JP2003327952A - シーリング材組成物 - Google Patents

シーリング材組成物

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JP2003327952A
JP2003327952A JP2002141132A JP2002141132A JP2003327952A JP 2003327952 A JP2003327952 A JP 2003327952A JP 2002141132 A JP2002141132 A JP 2002141132A JP 2002141132 A JP2002141132 A JP 2002141132A JP 2003327952 A JP2003327952 A JP 2003327952A
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sealing material
graft copolymer
vinyl monomer
oligomer
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JP2002141132A
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Hiroshi Inukai
宏 犬飼
Takashi Tsuda
隆 津田
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐候性、耐汚染性、および施工性を有
するシーリング材組成物を提供する。 【解決手段】 末端に1分子あたり0.8〜2.2個の
カルボキシル基を有する数平均分子量800〜2000
0のオリゴマー(A)2〜80質量部の存在下、エポキ
シ基含有ビニル単量体(B)1〜30質量部およびエポ
キシ基を含有しないビニル単量体(C)15〜90質量
部を含有する単量体混合物をラジカル重合させて得られ
るグラフト共重合体、無機充填剤および可塑剤を主成分
とするシーリング材組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常温硬化可能であ
り、耐候性が優れるシーリング材組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】建築コストや時間の削減、性能や規格の
統一という面から、個人向けの住宅、マンション、高層
ビルディングの外壁には、窯業系サイジング材や金属カ
ーテンウォールを現地で組み立てる工法が多用されるよ
うになった。かかる工法にはシーリング材が多用されて
いる。近年、メンテナンスフリー、補修コストの低減が
ますます要求されるようになり、シーリング材も高性
能、高耐候性の必要性が主張されてきた。従来、シーリ
ング材としてとしては、シリコーン系、変成シリコーン
系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系などが知られ
ている。しかしながら、例えば変成シリコーン系、ポリ
サルファイド系やポリウレタン系は耐候性が不十分であ
り、またシリコーン系は、高耐候性であるものの耐汚染
性が悪いというように、各シーリング剤には問題があっ
た。近年、高耐候性であるポリイソブチレン系シーリン
グ材が提案されている(特開平08−41350、特開
平10−87957)が、高粘度であり施工性が悪い
上、更なる耐候性向上が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた耐候
性、耐汚染性、および施工性を有するシーリング材組成
物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明のシーリング材組成物は、末
端に1分子あたり0.8〜2.2個のカルボキシル基を
有する数平均分子量800〜20000のオリゴマー
(A)2〜80質量部の存在下、エポキシ基含有ビニル
単量体(B)1〜30質量部およびエポキシ基を含有し
ないビニル単量体(C)15〜90質量部を含有する単
量体混合物をラジカル重合させて得られるグラフト共重
合体、無機充填剤および可塑剤を主成分とするものであ
る。請求項2に記載の発明のシーリング材組成物は、末
端に1分子あたり0.8〜2.2個のカルボキシル基を
有する数平均分子量800〜20000のオリゴマー
(A)2〜80質量部の存在下、エポキシ基含有ビニル
単量体(B)1〜30質量部およびエポキシ基を含有し
ないビニル単量体(C)15〜90質量部を含有する単
量体混合物を、撹拌槽式反応器を使用し、150〜30
0℃の温度で、60分以内の時間ラジカル重合させて得
られるグラフト共重合体、無機充填剤および可塑剤を主
成分とするものである。請求項3に記載の発明のシーリ
ング材組成物は、請求項1または2に記載の発明におい
て、オリゴマー(A)がポリイソブチレン骨格または水
素添加されたポリジエン骨格を有することを特徴とする
ものである。請求項4に記載の発明のシーリング材組成
物は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、
グラフト共重合体が水酸基を有することを特徴とするも
のである。請求項5に記載の発明のシーリング材組成物
は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、グ
ラフト共重合体がアルコキシシリル基を有することを特
徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本明細書において、(メタ)アク
リルとは、アクリルまたはメタクリルを意味する。 (グラフト共重合体)グラフト共重合体はシーリング材
組成物の主成分であり、耐候性、耐汚染性、および施工
性を左右するものである。グラフト共重合体は、末端に
1分子あたり0.8〜2.2個のカルボキシル基を有す
る数平均分子量800〜20000のオリゴマー(A)
2〜80質量部の存在下、エポキシ基含有ビニル単量体
(B)1〜30質量部およびエポキシ基を含有しないビ
ニル単量体(C)15〜90質量部を含有する単量体混
合物をラジカル重合させて得られる。
【0006】1.オリゴマー(A) 本発明の原料として使用するオリゴマー(A)は、末端
に1分子あたり0.8〜2.2個のカルボキシル基を有
する数平均分子量800〜20000のものである。該
オリゴマー(以下、末端官能性オリゴマーともいう。)
の骨格構造はポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボ
ネート、ポリジエン及びその水素添加物またはポリイソ
ブチレンであり、このうちでもポリエステル、ポリエー
テル及びポリジエンの水素添加物が好ましく用いられ
る。特に好ましい骨格はポリイソブチレン及びポリジエ
ンの水素添加物である。オリゴマー(A)がポリイソブ
チレン骨格または水素添加されたポリジエン骨格を有す
るものである場合は、得られるシーリング材組成物が特
に耐候性の優れたものとなる。
【0007】ポリエステルの例としては、多官能カルボ
ン酸またはその低級アルキルエステルと多官能アルコー
ルの重縮合、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、環状エス
テルの開環重合などによって得られる脂肪族、脂環族ま
たは芳香族のポリエステルが挙げられる。ポリエーテル
の例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシ
ド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの開環重合体
が挙げられる。ポリジエンの水素添加物としては、ブタ
ジエンやイソプレンを還元(水素添加)して実質的に分
子内の不飽和結合をなくした重合体が挙げられる。ポリ
イソブチレンとしてはイソブチレンまたはイソブチレン
と少量のイソプレンのカチオン重合体が挙げられる。ポ
リイソブチレンとしてイソプレンの共重合されたものが
使用される場合はイソプレン単位に由来する不飽和結合
が水素添加により還元されてもよい。
【0008】末端官能性オリゴマーは、分子末端にカル
ボキシル基を有し、1分子当たりのカルボキシル基数が
0.8〜2.2である事に特徴がある。好ましいカルボ
キシル基数は1分子当たり1.0〜2.0である。1分
子当たりのカルボキシル基数が0.8未満ではグラフト
率が低下し、2.2を越えると重合時に架橋反応を起こ
し易いのでいずれも好ましくない。
【0009】末端官能性オリゴマーとしては、市販のテ
レケリックオリゴマーの中で片末端または両末端にカル
ボキシル基を持つものをそのまま使用することもでき
る。
【0010】市販テレケリックオリゴマーの多くは末端
にヒドロキシル基を持つタイプであり、このものを本発
明に利用する方法として、酸無水物を用いた官能基の変
換反応により末端カルボキシル基型オリゴマーを得るこ
ともできる。この際用いる酸無水物としては無水コハク
酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロ
フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテト
ラヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、
無水メチルハイミック酸、無水トリメリット酸、無水メ
チルナジック酸、ドデシル無水コハク酸などの市販の酸
無水物が挙げられる。反応条件は特に限定されず触媒の
添加も必要に応じて行えば良いが、通常は触媒を添加し
なくても100℃以上の加熱溶融状態で混合することに
より、容易に末端カルボキシル基型オリゴマーに変換す
ることができる。無触媒で反応する時の好ましい反応温
度は100〜250℃であり、120〜200℃が更に
好ましい。100℃未満では反応速度が遅く、250℃
を越えると着色など熱劣化を起こし易い。好ましい反応
時間2分〜5時間であり、5分〜2時間が更に好まし
い。反応時間が2分未満では反応率が低く、5時間を越
えると着色など熱劣化を起こし易いため好ましくない。
反応させる酸無水物のモル量は、ヒドロキシル基に対し
0.4〜1.5倍モルが好ましく、0.5〜1.2倍モ
ルが更に好ましい。酸無水物の使用量が0.4倍モル未
満ではグラフト率が低いため層分離を起こし易く、1.
5倍モルを越えると未反応の酸無水物が残存し、熱安定
性を低下させるので好ましくない。
【0011】本発明で使用する末端官能性オリゴマーの
分子量は、数平均分子量で800〜20000であり、
1000〜15000が好ましい。数平均分子量が80
0未満であると重合時に架橋し易く、20000を越え
ると層分離・不均一化しやすいので好ましくない。
【0012】2.エポキシ基含有ビニル単量体(B) 本発明で使用されるエポキシ基含有ビニル単量体は、ラ
ジカル重合性二重結合とエポキシ基を分子内に持つ化合
物であり、ビニル単量体(B)が含有するエポキシ基と
オリゴマー(A)が末端に有するカルボキシル基とが反
応することにより、オリゴマー(A)由来の重合体単位
およびビニル単量体(B)とビニル単量体(C)に由来
するビニル重合体単位を化学結合によりグラフト化させ
るための成分である。具体例としては、アクリル酸グリ
シジル、メタクリル酸グリシジル、p−スチリルカルボ
ン酸グリシジルなどの不飽和モノカルボン酸のグリシジ
ルエステル、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和ポリ
カルボン酸のモノグリシジルエステル或いはポリグリシ
ジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチル
アリルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエー
テルなどが挙げられる。これらの中では、ラジカル重合
性の点からアクリル酸グリシジル及びメタクリル酸グリ
シジルが好ましく用いられる。
【0013】3.エポキシ基を含有しないビニル単量体
(C) エポキシ基含有ビニル単量体(B)と共重合させるエポ
キシ基を含有しないビニル単量体(C)は、主にエポキ
シ基含有ビニル単量体(B)の濃度を調整するとともに
共重合体の構成単位として得られるグラフト共重合体の
物性を制御するために使用される。各種のラジカル重合
性不飽和化合物が使用でき、各種のアクリル系単量体、
酢酸ビニルを初めとするカルボン酸ビニルエステル、ス
チレンやα−メチルスチレンに代表されるスチレン系単
量体、無水マレイン酸、マレイン酸に代表される不飽和
二塩基酸とその無水物、ビニルピリジン、ビニルピロリ
ドン等が挙げられる。 アクリル系単量体とはアクリル
酸とそのエステル、メタクリル酸とそのエステル、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、
メタアクリルアミド、α−置換アクリル酸とそのエステ
ルを意味する。アクリル系単量体の具体例としては、
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、
(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イ
ソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)ア
クリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シク
ロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メ
タ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリ
ルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
ヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコールやポリプ
ロピレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル
などの水酸基を有するアクリル系ビニル単量体、(メ
タ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)
アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピルなどのアル
コキシシリル基を有するアクリル系ビニル単量体、N,
N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、α-ヒドロキ
シメチルアクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ジメ
チルアミノエチル等のアミノ基を有するアクリル系ビニ
ル単量体、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
2種以上の単量体を併用してもよい。
【0014】好適に使用されるビニル単量体(C)は、
エポキシ基との反応性を有する官能基(カルボキシル
基、酸無水物基、アミノ基など)を含まない単量体であ
る。例えばスチレン系単量体、カルボン酸ビニルエステ
ル、エポキシ基との反応性を有する官能基を含まないア
クリル系単量体などが好ましいビニル単量体であり、こ
れらの単量体を50質量%以上使用するのが好ましい。
水酸基を有するアクリル系ビニル単量体およびアルコキ
シシリル基を有するアクリル系ビニル単量体は、得られ
るグラフト共重合体が架橋反応性を有するものとなり、
シーリング材の主成分として良好な物性を発揮するため
に、使用することが好ましい単量体である。アルコキシ
シリル基および水酸基は通常のラジカル重合に用いられ
る条件においては、実質的にエポキシ基と反応すること
はない。
【0015】4.グラフト共重合体 ラジカル重合において使用する成分(A)、(B)およ
び(C)の割合は、(A)が2〜80質量部、(B)が
1〜30質量部、(C)が15〜90質量部であり、好
適には(A)が5〜70質量部、(B)が2〜20質量
部、(C)が20〜80質量部である。これらの原料成
分を、高温・短時間で反応させることにより、グラフト
共重合体を高効率で得ることができる。このとき起きる
主たる反応は、ビニル単量体(B)およびビニル単量体
(C)のラジカル共重合反応、およびビニル単量体
(B)に由来するエポキシ基とオリゴマー(A)が末端
に有するカルボキシル基との付加反応という2種類の反
応である。
【0016】反応温度は150〜300℃が好ましく、
160〜270℃がより好ましい。反応温度が150℃
未満では架橋反応が起り易く、300℃を越えると生成
したポリマーが分解して着色する場合がある。反応時間
は60分以内が好ましく、2〜30分がより好ましい。
反応時間が60分を越えると、生成ポリマーが熱劣化し
て物性が低下したり着色する場合がある。攪拌槽式の反
応器中で、実質的に溶剤を用いない高モノマー濃度の条
件でラジカル重合させることができる。本発明の条件で
製造されるグラフト共重合体は、通常の成形材用樹脂と
比較して分子量が小さく溶融粘度も低いため、攪拌槽式
反応器でも十分均一混合できる。
【0017】グラフト共重合体の製造は実質的に溶剤を
用いない塊状重合が好ましいが、分子量の調整などを目
的として少量の有機溶剤を使用しても構わない。有機溶
剤の種類は、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エ
ステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系など、
製造する樹脂の組成や他の目的に応じて選定すれば良
い。有機溶剤を用いる場合の使用量は(A)、(B)お
よび(C)の総量100質量部に対して50質量部以内
が好ましく、30質量部以内が更に好ましい。50質量
部を越える有機溶剤を使用すると、溶剤除去工程が煩雑
になりグラフト共重合体の製造効率が低下するため好ま
しくない。
【0018】各原料成分の反応器への仕込方法は特に限
定されない。バッチ式の反応器で初期一括仕込みで製造
しても良いし、少なくとも一つの原料成分を連続的に反
応器中に供給するセミ連続仕込み法でも良いし、全原料
を連続供給し、同時に反応器のから生成樹脂を連続的に
抜き出す連続重合法でもよい。上記成分(A)、(B)
および(C)の反応において、通常はラジカル開始剤を
使用する。通常のラジカル重合で常用される有機過酸化
物やアゾ化合物が好適に使用でき、その中で温度180
℃での半減期が10分以内のものが好ましく用いられ
る。温度180℃での半減期が10分を越えると生成物
中に未反応の過酸化物が残存し易く、使用の際に熱安定
性の低下などの問題を起し易い。使用できる有機過酸化
物としては、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタ
ール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオ
キサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジ
カーボネート類、パーオキシエステル類などの化合物が
使用できる。ジアルキルパーオキサイドの具体例として
は、αα'-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベ
ンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-
ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパ
ーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメ
チル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3などが
挙げられる。また、アゾ開始剤としてはアゾビスイソブ
チロニトリル、アゾビス−2−メチルブチロニトリル、
アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスシア
ノバレリックアシドなど、市販のアゾ系開始剤を使用す
ることができる。
【0019】本発明に使用されるグラフト共重合体は、
下記のとの2種類の重合体単位(重合体連鎖)から
成るグラフト共重合体である。 オリゴマー(A)に基づく重合体単位(重合体連鎖) 単量体(B)と(C)の共重合体単位(共重合体連
鎖) グラフト化反応は、の末端カルボキシル基がの主鎖
中のエポキシ基に付加する反応であり、重合反応と同時
に自発的に起きることに特徴がある。このグラフト化反
応は十分速いため、通常は触媒を添加する必要がない。
しかし、更に反応を加速する必要がある場合は所望によ
り触媒を添加しても良い。触媒としては通常のエポキシ
基とカルボキシル基の付加反応に用いられるアミン類、
アンモニウム塩、リン系触媒、酸触媒などである。本発
明では、共重合体単位中のエポキシ基の平均個数を
0.2〜3.3個となるよう、エポキシ基含有単量体
(B)の使用量と共重合体単位の分子量を調整するのが
好ましい。平均個数を0.2個未満ではグラフト率が低
く、3.3個を越えると副反応によって架橋・ゲル化し
やすくなる。ラジカル重合温度の選択やラジカル重合に
おいて連鎖移動剤の使用、連鎖移動剤の種類や濃度を選
択することにより共重合体単位の分子量を調整すること
ができる。
【0020】水酸基を有するグラフト共重合体は好まし
いものである。このようなグラフト共重合体を含有する
シーリング材組成物は、硬化剤としてイソシアネートが
配合されると2成分型の硬化性を有するシーリング材と
して使用できる。水酸基を有するグラフト共重合体は、
例えば上記のようにビニル単量体(C)として水酸基を
有するビニル単量体を使用することによっても得られ
る。
【0021】アルコキシシリル基を有するグラフト共重
合体は好ましいものである。このようなグラフト共重合
体を含有するシーリング材組成物は、湿気硬化型1成分
型シーリング材として使用可能である。かかるグラフト
共重合体は、ビニル単量体(C)成分としてアルコキシ
シリル基含有(メタ)アクリル酸エステルを共重合する
ことにより得られる。または、水酸基含有グラフト共重
合体の水酸基にイソシアネート含有アルコキシシランを
反応させて、水酸基をアルコキシシリル基に変換するこ
とによっても得られる。
【0022】(無機充填剤)本発明に使用できる無機充
填剤としては、通常シーリング材に配合されるものが使
用できる。無機充填剤の例としては炭酸カルシウム、酸
化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、合成ケイ酸、
タルク、ゼオライト、マイカ、シリカ、焼成クレー、カ
オリン、ベントナイト、水酸化アルミニウムおよび硫酸
バリウム等が挙げられる。シーリング材組成物におけ
る、グラフト共重合体と無機充填剤の割合は、グラフト
共重合体100質量部当たり、無機充填剤10〜400
質量部が好ましい。
【0023】炭酸カルシウムは特に好ましい無機充填剤
であり、一次粒子0.02〜2.0μmのコロイド・軽
質炭酸カルシウム、平均粒径1.0〜5.0μmの重質
炭酸カルシウムが例示される。コロイド・軽質炭酸カル
シウムとしては脂肪酸、スルホン酸や樹脂酸表面処理し
てあるものが好ましい。具体例としては、丸尾カルシウ
ム株式会社製のカルファイン100、カルファイン20
0、カルファイン500、シーレッツ、MS−100
M、MS−700、MSK−C、MSK−G、MSK−
PO、MC−T、ルミナス、ユニグロス1000、ユニ
グロス3000などが例示される。重質炭酸カルシウム
としては、スーパーS、スーパーSS、スーパー4S、
スーパー1500、スーパー2000、ナノックス#2
5などの粉砕品、MCコート、エスミック、MC−E2
0、ナノコートなどの表面処理品が例示される。コロイ
ド・軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムの割合
は、コロイド・軽質炭酸カルシウム100重量部あたり
重質炭酸カルシウム0〜100重量部が好ましい。シー
リング材組成物における、グラフト共重合体と炭酸カル
シウムの割合は、グラフト共重合体100質量部当た
り、炭酸カルシウム10〜300質量部が好ましく、さ
らに好ましくは20〜250質量部である。充填剤の量
が少なすぎても多すぎてもシーリング剤の力学的性質が
損なわれる場合がある。
【0024】(可塑剤)本発明のシーリング材組成物に
使用する可塑剤としては非フタル酸エステル系がのもの
好ましく、塩素化パラフィン、エポキシ化大豆油、ポリ
アルキレングリコール系化合物、炭化水素系オイルや重
量平均分子量が500〜20000のアクリルポリマー
が例示される。好ましくは炭化水素系オイルや重量平均
分子量が500〜20000のアクリルポリマーであ
り、さらに高耐候性が得られる点から、無溶剤または少
量の溶剤使用条件下にて単量体を180℃以上の高温で
ラジカル重合させて得られたアクリル系ポリマー((メ
タ)アクリル単量体を主な構成単位として有する重合
体)が好ましい。係るアクリル系ポリマーとしては東亞
合成株式会社製のARUFON UP1000、UP1
010、UP1020、UP1060等が例示される
(ARUFONは東亞合成株式会社の登録商標)。
【0025】(その他の成分)グラフト共重合体が水酸
基を含有するものである場合、シーリング材組成物は硬
化剤としてイソシアネートが添加されてもよい。そのよ
うなシーリング材組成物は架橋反応により強度などが向
上するために好ましいものである。硬化剤として使用で
きるイソシアネートとしては、多価イソシアネート化合
物、多価ブロックイソシアネート化合物およびアミノプ
ラスト樹脂等が好適である。具体的には、1,6−ヘキ
サメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソ
シアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネートおよびキシリレンジ
イソシアネート等の多価イソシアネート化合物、ならび
にこれらのイソシアヌレート系、ビウレット系およびポ
リオール変性系化合物が挙げられる。また、ブロックイ
ソシアネート化合物のブロック剤としては、フェノール
類、オキシム類およびアルコール類等が挙げられる。本
発明においては、常温硬化可能な多価イソシアネートが
好ましく、さらに好ましくは、得られるシーリング剤を
柔軟にできる点でポリオキシアルキレン変性イソシアネ
ートが好ましい。その中でも、主鎖骨格が、一部ポリオ
キシエチレンでもよいポリオキシプロピレンであるもの
が好ましい。グラフト共重合体に対する多価イソシアネ
ートの添加量は、グラフト共重合体の水酸基のモル数と
多価イソシアネートのモル数の比が1:0.8〜1:
1.3が好ましく、さらに好ましくは1:0.9〜1:
1.2になるような量である。
【0026】グラフト共重合体がアルコキシシリル基を
含有するものである場合、シーリング材組成物は該グラ
フト共重合体以外の加水分解性シリル基を有する重合体
が添加されたものであってもよい。このような重合体と
しては格別に制限はないが、引張特性を向上させる点
で、ポリアルキレンオキシドやポリイソブチレンの末端
に加水分解性シリル基を有するものが好ましい。具体例
としてMSポリマー(商品名、鐘淵化学製)、エピオン
(商品名、鐘淵化学製)やエクセスター(商品名、旭硝
子製)等が挙げられる。
【0027】本発明のシーリング材組成物は、シーリン
グ材を施工してから架橋・硬化するまでの所要時間を短
縮するため、硬化触媒が添加されたものであることが好
ましい。かかる触媒として用いる具体的な化合物として
は、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫メルカプチ
ド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマ
レエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセ
トアセトナート、オクチル酸錫およびジオクチル錫ジマ
レエート等の有機錫化合物;オクテン酸鉛、オクチル酸
鉛などの有機鉛化合物、テトラブチルチタネート、テト
ラプロピルチタネートなどの有機チタン化合物;トリエ
チルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、
N,N,N’N’−テトラメチルエチレンジアミン、ト
リエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、
N−メチルモルホリンおよびジアザビシクロウンデセン
等のアミン系化合物が例示される。これらの中でも、有
機錫化合物が反応性に優れる点で好ましい。触媒の好ま
しい使用量はグラフト共重合体に対し0.01質量%〜
10質量%である。
【0028】また必要によりベンゾフェノン系化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物および蓚酸アニリド系化合
物などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物など
の光安定剤、ヒンダードフェノール系などの酸化防止
剤、アミノシラン類、エポキシシラン類、メルカプトシ
ラン類の密着増強剤、水添ひまし油、アマイドワック
ス、有機ベントナイト類、超微粒子シリカ類などの垂れ
防止剤、オルト蟻酸メチルおよびオルト酢酸メチル、ア
ルコキシシランなどの脱水剤、着色剤および有機溶剤等
の添加剤、表面タック防止剤等が配合されてもよい。タ
ック防止剤としては、ポリエステルポリアクリレート等
からなる光硬化性組成物、桐油、亜麻仁油、ポリブタジ
エンおよび不飽和ポリエステル等の空気硬化性化合物が
挙げられる。
【0029】
【実施例】以下、参考例、実施例および比較例を挙げて
本発明をさらに具体的に説明する。各例における成分配
合の部は全て質量部である。 (参考例1) 末端カルボキシル基を有するオリゴマー
の製造(1) 両末端に水酸基を有する水添ポリブタジエン(日本ソー
ダ製 NISSO-PB GI-1000、数平均分子量2770 重量平
均分子量4330のもの)200部とメチルテトラヒド
ロ無水フタル酸(日立化成製NH−2200)20部を
300mLガラスフラスコに秤量し、150℃で1時間
加熱攪拌して反応を終了した。生成物の分子量は、数平
均分子量3210 重量平均分子量4380であり、中
和滴定から求めた酸価は0.516ミリ当量/gであっ
た。この生成物をメタノールで2回沈殿精製し、数平均
分子量は3870 重量平均分子量4810であり、酸
価は0.338ミリ当量/gのオリゴマー1を得た。こ
の結果から一分子当たりのカルボキシル基数は1.31
個と計算された。
【0030】(参考例2) 末端カルボキシル基を有す
るオリゴマーの製造(2) 両末端に水酸基を有する水添ポリブタジエン(日本ソー
ダ製 NISSO-PB GI-3000、数平均分子量4510 重量平
均分子量6600のもの)200部とメチルテトラヒド
ロ無水フタル酸10.7部を300mLガラスフラスコ
に秤量し、150℃で1時間加熱攪拌して反応を終了し
た。生成物の分子量は、数平均分子量5690 重量平
均分子量6930であり、中和滴定から求めた酸価は
0.288ミリ当量/gであった。この生成物を参考例
1と同様の方法で精製し、オリゴマー2を得た。一分子
当たりのカルボキシル基数を計算すると、1.64個で
あった。
【0031】(合成例1〜4)水添ポリブタジエン−ブ
チルアクリレートグラフト共重合体の製造 下記表1に示す末端カルボキシル型オリゴマー、モノマ
ー、連鎖移動剤、開始剤を滴下ロートに入れ、200℃
オイルバス中に浸した300mlガラスフラスコ中に攪
拌下で15分かけて仕込んだ。反応中内液は激しく還流
した。オイルバスの温度を230℃に上昇させて更に1
0分間加熱攪拌し反応を終了した。反応液は無色透明の
高粘度液であり、ガスクロマトグラフィーから求めた重
合率は90%以上、酸価から求めたグラフト反応率は6
0%以上であった。重合率、グラフト反応率、分子量
(GPCによるポリスチレン換算分子量)、の値を表1
に示した。合成例1、合成例2、合成例3および合成例
4において得られたグラフト共重合体をそれぞれ共重合
体1、共重合体2、共重合体3および共重合体4ともい
う。
【0032】表1の記述において使用した略号は次の化
合物を意味し、分析項目などは以下のように算出され
た。また、表1および表2におけるオリゴマー、ビニル
単量体、グラフト共重合体、その他の添加剤などの数値
は質量部を意味する。 ・BA:n−ブチルアクリート ・GMA:グリシジルメタクリレート ・HEA:ヒドロキシエチルアクリレート ・MDSP:メタクリル酸メチルジメトキシシリルプロ
ピル ・DTBP:ジt−ブチルパーオキシド 日本油脂株式
会社製パーブチルD ・n−DM:n−ドデシルメルカプタン ・重合率:ガスクロマトグラフィーから残存する単量体
の量を求め、仕込み量との比較で計算した。 ・グラフト反応率:0.1Nの水酸化カリウムで滴定し
て酸価を求め、オリゴマーの仕込み量との比較でカルボ
ン酸の消費率を求め、グラフト反応率とした。 ・分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)でポリスチレン換算の分子量を求めた。 ・水酸基価:無水酢酸/ピリジン法により中和滴定し、
グラフト共重合体1g当たりの水酸化カリウムのmg数
で表した。
【0033】
【表1】
【0034】(実施例1〜4および比較例1)合成例1
〜4において得られたグラフト共重合体100重量部を
用い、プラネタリーミキサーを使用して表2の配合でシ
ーリング材を製造した。表2に記載されている配合材料
の詳細は以下のとおりである。 硬化剤:XL1031T−11(武田薬品製、イソシア
ネート変性ポリプロピレンオキシド) コロイド・軽質炭酸カルシウム:カルファイン200M
(丸尾カルシウム製) 重質炭酸カルシウム:スーパーSS(丸尾カルシウム
製) 酸化チタン:タイペークR−820(石原産業株式会社
製) 可塑剤:プロセスオイルPS−32(出光興産製、炭化
水素系オイル) ARUFON UP1000(東亞合成株式会社製) 硬化触媒:ジブチル錫ジラウレート 老化防止剤:チヌビンB75(チバスペシャリティケミ
カル株式会社製) 比較例として、エピオンEP505S(鐘淵化学工業株
式会社製、アルコキシシリル基含有ポリイソブチレン)
を用い同様にシーリング材を製造した。
【0035】
【表2】
【0036】表2に記載した各シーリング材について、
被着体をアルミ板として引張接着性試験(JIS・A1
439,建築用シーリング材の試験方法)を実施し、そ
の結果を表3に示した。破壊状況の判定結果は、CF:
シーリング材の凝集破壊、AF:界面からの剥離で表し
た。 また、以下の方法により促進耐候性試験および耐
汚染性試験を行い、その結果も表3に記載した。 ・促進耐候性試験;スーパーUVウェザーメーター(ダ
イプラウインテス製)にて2000時間促進耐候性試験
した後の表面状態と伸度保持率(%)を測定した。表面
状態の外観については、○:変化なし、△:微少クラッ
クあり、×:深いクラックありによって表した。また、
強度保持率(%)は、(促進耐候性試験後の強度/初期
の強度)×100の値を意味し、伸度保持率(%)は、
(促進耐候性試験後の伸度/初期の伸度)×100の値
を意味する。 ・耐汚染性試験;7cm×15cmのガラス板の上面1
/2に、試料をへらで泡が入らないように塗って厚み1
mmの試験板を作製した。名古屋市船見町で8ヶ月の屋
外曝露を行い、汚れ具合を目視により次の判定基準で評
価した。○:塵埃の付着がほとんどない、△:塵埃が少
し付着する、×:塵がかなり付着する ・作業性:JIS・A1439記載の押出し試験を5℃
でおこない、全量押出された秒数を記載した。
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、良好な引張り特性のみ
ならず、高耐候性、耐汚染性、作業性に優れるシーリン
グ材組成物が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H017 AA04 AA24 AA25 AB01 AB07 AB08 AB16 AC01 AC05 AC19 AD05 AE03 4J026 AA14 AA67 AA68 AC10 AC23 AC33 BA27 BA30 BA43 BB04 CA03 DB05 FA04 GA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 末端に1分子あたり0.8〜2.2個の
    カルボキシル基を有する数平均分子量800〜2000
    0のオリゴマー(A)2〜80質量部の存在下、エポキ
    シ基含有ビニル単量体(B)1〜30質量部およびエポ
    キシ基を含有しないビニル単量体(C)15〜90質量
    部を含有する単量体混合物をラジカル重合させて得られ
    るグラフト共重合体、無機充填剤および可塑剤を主成分
    とするシーリング材組成物。
  2. 【請求項2】 末端に1分子あたり0.8〜2.2個の
    カルボキシル基を有する数平均分子量800〜2000
    0のオリゴマー(A)2〜80質量部の存在下、エポキ
    シ基含有ビニル単量体(B)1〜30質量部およびエポ
    キシ基を含有しないビニル単量体(C)15〜90質量
    部を含有する単量体混合物を、撹拌槽式反応器を使用
    し、150〜300℃の温度で、60分以内の時間ラジ
    カル重合させて得られるグラフト共重合体、無機充填剤
    および可塑剤を主成分とするシーリング材組成物。
  3. 【請求項3】 オリゴマー(A)がポリイソブチレン骨
    格または水素添加されたポリジエン骨格を有するもので
    ある請求項1または2に記載のシーリング材組成物。
  4. 【請求項4】 グラフト共重合体が水酸基を有するもの
    である請求項1〜3のいずれかに記載のシーリング材組
    成物。
  5. 【請求項5】 グラフト共重合体がアルコキシシリル基
    を有するものである請求項1〜3のいずれかに記載のシ
    ーリング材組成物。
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