JP2769074B2 - 重合体の製造方法 - Google Patents

重合体の製造方法

Info

Publication number
JP2769074B2
JP2769074B2 JP4293468A JP29346892A JP2769074B2 JP 2769074 B2 JP2769074 B2 JP 2769074B2 JP 4293468 A JP4293468 A JP 4293468A JP 29346892 A JP29346892 A JP 29346892A JP 2769074 B2 JP2769074 B2 JP 2769074B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
parts
acid
group
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP4293468A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06128311A (ja
Inventor
一男 竹井
俊明 松永
健人 鳥羽
博之 池内
文秀 田村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP4293468A priority Critical patent/JP2769074B2/ja
Publication of JPH06128311A publication Critical patent/JPH06128311A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2769074B2 publication Critical patent/JP2769074B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、両末端に水酸基を有
する重合体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】両末端に水酸基を有する重合体は、上記
末端の水酸基を適当な方法で反応させることによって、
容易に他の官能基との変換が可能であり、また、上記末
端の水酸基の反応性を利用し、この水酸基を適当な方法
で反応させることによって線状化および/または網状化
し、その結果、強度、耐熱性、耐候性、耐久性など種々
の良好な物性を有する高分子化合物となる。
【0003】両末端に水酸基を有する、この重合体は、
両末端に水酸基を有するという特徴を発揮することによ
って、たとえば、下記のような大きな利点を持つ。ポリ
エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹
脂などの各種樹脂原料(架橋剤等)として用いた場合、
材料の物性を損なう未反応物がないため、すべての重合
体が確実に樹脂架橋構造の中に組み込まれる。
【0004】水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの
官能基を有するビニル系単量体を共重合することにより
側鎖に官能基を導入した重合体(以下、官能基含有ビニ
ル系単量体共重合体と略す)は、これを用いて反応させ
た場合、その末端が樹脂(架橋)構造に組み込まれない
遊び部分(自由端)となるが、両末端に水酸基を有する
重合体では、このようなことが起こらない。
【0005】官能基含有ビニル系単量体共重合体に比べ
て、官能基間距離のばらつきが極めて小さいので、反応
点(架橋点)間距離がほぼ一定となり、均一な樹脂(架
橋)構造をつくる。官能基含有ビニル系単量体共重合体
では、平均官能基数が2.0のものを作り、これと、2
官能性の鎖延長剤とを反応させて、熱可塑性ポリマーを
合成しようとしても、合成法に由来する理由で、3官能
以上の重合体も統計的に含まれてしまうため、大部分が
熱硬化性ポリマーとなって、熱可塑性ポリマーを合成す
ることができないが、3官能以上の重合体を含まない、
両末端に水酸基を有する重合体では、鎖延長した熱可塑
性ポリマーを容易に合成することができる。
【0006】また、両末端に水酸基を有し、さらに、少
なくとも1つの末端に少なくとも2個の水酸基を有する
重合体の場合は、両末端に水酸基を有しはするが、その
末端にはただ1個の水酸基しか有さない重合体に比較し
て、架橋密度が上がるため、架橋体の物理的強度の向上
が可能であり、また、末端OH基の相乗効果によって、
末端OH基の反応性を向上できる、と言った長所が認め
られる。
【0007】このような両末端に水酸基を有し、かつ、
少なくとも1つの末端に少なくとも2個の水酸基を有す
る重合体を用いた場合、熱硬化性樹脂用途では、末端に
水酸基をただ1個しか有しない重合体を硬化させる場合
に必要な、高価な3官能NCO化合物や、取扱性の悪い
3官能以上のポリオールを加える必要がない。両末端に
水酸基を有する重合体は、上記の利点を生かすことによ
って、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカー
ボネート樹脂などの各種樹脂、各種ブロックポリマー等
の各種樹脂の原料あるいは添加剤として、または、重合
体のままで、塗料(ハイソリッド、低温硬化等)、弾性
壁材、塗膜防水材、粘着剤、床材、粘着性付与剤、接着
剤、バインダー(磁気記録媒体、インキバインダー、鋳
物バインダー、焼成レンガバインダー、グラフト材、マ
イクロカプセル、グラスファイバーサイジング等)、シ
ーリング材、ウレタンフォーム(硬質、半硬質、軟
質)、ウレタンRIM、UV・EB硬化樹脂、熱硬化型
エラストマー、マイクロセルラー、繊維加工剤、可塑
剤、吸音材料、制振材料、界面活性剤、ゲルコート剤、
人工大理石用樹脂、人工大理石用耐衝撃性付与剤、イン
キ用樹脂、フィルム(ラミネート接着剤、保護フィルム
等)、合わせガラス用樹脂、反応性希釈剤、各種成型材
料、弾性繊維、人工皮革、合成皮革、分散剤、水性ウレ
タンエマルジョン等の用途に非常に有用である。
【0008】従来、前記の用途に用いられる水酸基を有
する重合体としては、水酸基を側鎖に有するビニル系単
量体の共重合体、末端に水酸基を有するポリエーテル、
ポリエステル、ポリブタジエン、ポリカーボネートなど
が挙げられるが、まず、水酸基を側鎖に有するビニル系
単量体の共重合体は、水酸基を有する単量体と、水酸基
を有しない単量体とのランダムなラジカル重合で作られ
るので、水酸基を有しない共重合体の副生を抑えにく
く、これを避けようとすると共重合体中の水酸基含有量
を多くする必要があり、また、1分子中の水酸基の数に
ばらつきがあった。そのため、水酸基と反応性を有する
多官能性化合物と反応させた場合、反応しない共重合体
が残ってしまう、反応点間の距離に大きなばらつきがあ
る、反応後の架橋体構造に直接関与しないあそび鎖の部
分ができてしまう、反応に関与しない水酸基が残ってし
まうなどの原因により十分に伸びがあり(曲げ加工性が
よく)、かつ、強靱でもある重合体が得られない。他
方、末端に水酸基を有するポリエーテル、ポリエステ
ル、ポリブタジエンなどは、重合体末端に水酸基を有す
るため、水酸基を側鎖に有するビニル系単量体の共重合
体のような欠点は少ないものの、ポリエーテルの場合に
は主鎖中のエーテル結合、ポリエステルの場合は主鎖中
のエステル結合、ポリブタジエンの場合には主鎖中の不
飽和二重結合のために、耐候性、耐水性や耐熱性などが
よくないという欠点を有している。
【0009】以上のように、現在のところ、前記の用途
の原料として、また、各種樹脂添加剤およびその原料等
として用いられる水酸基を有する重合体で、強靱さ、伸
び(曲げ加工性)、耐候性、耐水性などすべての要求性
能を満たすものはない。このような問題は、両末端に水
酸基を有するビニル系重合体により解決されると考えら
れるが、以下にも記すように、アクリル酸、アクリル酸
エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等の有
極性ビニル系単量体も含めた幅広いビニル系単量体から
両末端に水酸基を有する重合体を工業的に製造する方法
は、まだ確立されていないのが現状である。
【0010】末端に水酸基を有するビニル系重合体の製
造方法としては、例えば、2−メルカプトエタノールな
どを連鎖移動剤として用いて重合体の片末端に水酸基を
1個導入するとともにメタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル等との共重合で重合体分子中に水酸基を平均もう1個
導入することにより、末端に水酸基を有する重合体を得
る方法がある。
【0011】しかし、この方法では、重合体1分子あた
り平均2個の水酸基が導入されるものの、平均2個の水
酸基のうちの1個が重合体の片末端に導入されるだけで
あり、もう1個の水酸基は、末端ではなくて、主鎖の途
中に導入される。また、共重合によりもう1個の水酸基
を導入するため、重合体1分子あたりの合計の水酸基数
には、1個のものや3個以上のものなど分布(ばらつ
き)が見られるとともに、水酸基間距離にも広い分布が
できる。そのため、得られた重合体は、前述したよう
な、両末端に水酸基を有する重合体の長所をほとんど発
揮することができない。しかも、メルカプタン化合物の
添加によって、重合が極端に遅くなり重合率が上がらな
かったり、残存メルカプタンの臭気が残ったりするとい
う問題もあった。
【0012】両末端に水酸基を有するビニル系重合体の
製造方法としては、たとえば、下記(i)〜(iii)に示
したように、各種開始剤や連鎖移動剤等の存在下でビニ
ル系単量体をラジカル重合させる方法がある。 (i) 水酸基を有する開始剤を用いてスチレンまたは
ブタジエンを重合させることにより、両末端に水酸基を
有する重合体を得る方法(「J. Polym. Sc
i.、Part A1」、第9巻、第2029頁、19
71年刊を参照)。
【0013】(ii) 水酸基を有するジチオカーバメー
トまたはチウラムジスルフィドを開始剤として用いて熱
重合または光重合させる方法によるか、あるいは、上記
ジチオカーバメートまたはチウラムジスルフィドを連鎖
移動剤として用いるとともに過酸化水素などを開始剤と
して用いて重合させることにより、両末端に水酸基を有
する重合体を得る方法(特開昭61−271306号公
報参照)。
【0014】(iii) 両末端に水酸基を有するジスルフ
ィド、トリスルフィドなどを連鎖移動剤として用いた重
合により、両末端に水酸基を有する重合体を得る方法
(特開昭54−47782号公報参照)。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述した従
来の、両末端に水酸基を有する重合体の製造法(i)〜
(iii)には、以下のように、それぞれ欠点があり、数多
くの種類のビニル系単量体から、両末端に水酸基を有す
る重合体を確実に、安価で簡便に、かつ工業的に合成す
るのは容易ではない。
【0016】まず、(i)の方法では、使用できるビニ
ル系単量体がブタジエンやスチレンに限られ、アクリル
酸エステル類やメタクリル酸エステル類等の有極性のビ
ニル系単量体を使用できないという問題があった。次
に、(ii)の方法では、水酸基などの官能基を有するチ
ウラムジスルフィドが不安定であり、そのため、それら
の取り扱いが困難であった。また、生成重合体が黄着色
するという問題があった。
【0017】最後に、(iii)の方法では、前記(ii)の
方法と同じ問題があるとともに、重合体末端に開始剤切
片が入り、片末端にしか水酸基を有さない重合体が副生
して、末端水酸基数の低い重合体ができるという問題が
あった。以上のように、アクリル酸、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等の有極性ビ
ニル系単量体も含めた幅広いビニル系単量体から両末端
に水酸基を有する重合体を工業的に製造する方法は、ま
だ確立されていないのが現状である。
【0018】このような事情に鑑み、この発明は、アク
リル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリ
ル酸エステル等の有極性ビニル系単量体も含めた幅広い
ビニル系単量体から、両末端に水酸基を有する重合体を
容易かつ安価に、しかも効率良く得ることができる方法
を提供することを課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明にかかる重合体の製造方法は、ビニル系単
量体(a)の重合を、アルコール類(b)の存在下、有
機過酸化物を必須とする開始剤系(c)を用いて行うこ
とにより、両末端に水酸基を有する重合体を製造する方
法であって、反応器内には、有機スルホン酸(d)をさ
らに共存させるとともに、前記4者(a)、(b)、
(c)、(d)以外の成分は、反応器内の全成分に対し
10重量%を超えては存在させないようにすることを
特徴とする。
【0020】ここで、この発明の製造方法により得られ
る重合体は、両末端に水酸基を有する重合体である(以
下、この重合体を「重合体A」と称することがある)。
以下では、まず、この発明にかかる、重合体の製造方法
について説明する。この発明で用いられるビニル系単量
体(a)は、従来公知のビニル系単量体であれば特に制
限はないが、たとえば、(メタ)アクリル酸;(メタ)
アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキ
シル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メ
タ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデ
シル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸ベン
ジルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル類;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)ア
クリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリ
シジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−
(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン
などの(メタ)アクリル酸置換基含有アルキルエステル
類;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アク
リル酸のエチレンオキサイド付加物などの(メタ)アク
リル酸誘導体類;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイ
ン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステ
ル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよび
ジアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、
メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸
およびそのナトリウム塩などの芳香族ビニル系単量体;
(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アク
リル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフ
ルオロプロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロブチ
ル、(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチル、(メ
タ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)ア
クリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アク
リル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル
酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸
2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチ
ル、(メタ)アクリル酸トリパーフルオロメチルメチ
ル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−
パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パ
ーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パ
ーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パー
フルオロヘキサデシルエチル、パーフルオロエチレン、
パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどのフッ
素含有ビニル系単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシランなどのトリアルキルオキシシリ
ル基含有ビニル系単量体類;γ−(メタクリロイルオキ
シプロピル)トリメトキシシランなどのケイ素含有ビニ
ル系単量体類;マレイミド、メチルマレイミド、エチル
マレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、
オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリル
マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレ
イミドなどのマレイミド誘導体;アクリロニトリル、メ
タクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル系単量体
類;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド基
含有ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル
などのビニルエステル類;エチレン、プロピレンなどの
アルケン類;ブタジエン、イソプレンなどのジエン類;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、アリ
ルアルコールなどが挙げられ、これらは、1種だけを用
いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
【0021】上にみたように、この発明において用いら
れるビニル系単量体(a)は、分子中に水酸基、カルボ
キシル基、アミノ基などの官能基を有する場合があって
もよいのである。特に比較的高い架橋密度が必要となる
場合、例えば塗料用途などでは官能基を有するビニル系
単量体を若干量併用することが、かえって好ましい。官
能基を有するビニル系単量体の使用量は、特に限定され
ないが、たとえば、水酸基を有するビニル系単量体の場
合、使用するビニル系単量体(a)の全量に対して、水
酸基を有するビニル系単量体が、1〜50重量%である
ことが好ましく、5〜30重量%であることがさらに好
ましい。
【0022】また、カルボキシル基を有するビニル系単
量体が、0.5〜25重量%であることが好ましく、1
〜10重量%であることがさらに好ましい。ビニル系単
量体(a)は、前述のように、従来公知のビニル系単量
体であれば特に制限はないが、たとえば、透明性、耐候
性、耐水性などが必要な場合には、(メタ)アクリル酸
系単量体を主成分とすることが好ましい。この場合、ビ
ニル系単量体(a)全体に対して、(メタ)アクリル酸
系単量体が40重量%以上含まれていることが好まし
い。
【0023】また、つや、塗膜の硬さなどが必要な場合
には、芳香族ビニル系単量体を用いることが好ましい。
この場合、ビニル系単量体(a)全体に対して、芳香族
ビニル系単量体が40重量%以上含まれていることが好
ましい。また、撥水性、撥油性、耐汚染性などが必要な
場合には、フッ素含有ビニル系単量体を用いることが好
ましい。この場合、ビニル系単量体(a)全体に対し
て、フッ素含有ビニル系単量体が10重量%以上含まれ
ていることが好ましい。
【0024】また、無機材質との密着性、耐汚染性など
が必要な場合には、ケイ素含有ビニル系単量体を用いる
ことが好ましい。この場合、ビニル系単量体(a)全体
に対して、ケイ素含有ビニル系単量体が10重量%以上
含まれていることが好ましい。この発明において、アル
コール類(b)に用いられるアルコールは、1分子中に
水酸基を1個のみ有する単官能アルコールであってもよ
いし、1分子中に2個以上の水酸基を有する多官能アル
コールであってもよい。また、単官能アルコールと多官
能アルコールを併用してもよい。単官能アルコールとし
ては、特に限定はされないが、たとえば、エチルアルコ
ール、メチルアルコール、プロピルアルコール、ブチル
アルコール、ターシャリーブチルアルコール、ペンチル
アルコール、C12〜C14の高級アルコール、メトキシエ
タノール、エトキシエタノール、プロピオキシエタノー
ル、エチレングリコールモノ酢酸エステル、シクロヘキ
サノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール
等の1種または2種以上がが挙げられる。多官能アルコ
ールとしては、特に限定はされないが、たとえば、エチ
レングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−
プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−
ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブ
タンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペ
ンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、ネオペン
チルグリコール、1,5−ペンタンジオール、2,3−
ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオールなどのアルキレングリコール;ハイ
ドロキノンジエチロールエーテル;ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコールなどのエチレングリコール
誘導体;ソルビトール、シクロヘキサンジオール、キシ
リレンジオールなどの脂肪族多官能アルコール;グリセ
ロールおよびモノアセチン、モノラウリン、モノオレイ
ン、モノパルミチン、モノステアリンなどのグリセロー
ル脂肪酸エステルやグリセロールモノアリルエーテル、
チミルアルコール、グリセロールモノメチルエーテル、
バチルアルコールなどのグリセロールモノエーテルとい
ったグリセロールの1または2置換誘導体;トリメチロ
ールプロパンおよびその1または2置換誘導体;ペンタ
エリスリトールおよびペンタエリスリトール2オレイン
酸エステル、ペンタエリスリトール2ステアリン酸エス
テルといったペンタエリスリトールの1〜3置換誘導
体;ソルビタン脂肪酸エステル;エリスリトール、トレ
オース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソ
ース、アロース、アルトース、グルコース、マンノー
ス、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フ
ルクトース、アピオース、ラムノース、プシコース、ソ
ルボース、タギトース、リブロース、キシルロースなど
の単糖類やスクロース、マルトース、ラクトースなどの
二糖類といった糖類等の1種または2種以上が挙げられ
る。これらのアルコール類(b)は、得ようとする重合
体Aの使用目的に応じて適宜選択してよい。たとえば、
重合体Aを熱可塑性樹脂組成物または熱可塑性ポリマー
の原料として用いる場合は、単官能アルコールの使用が
好ましく、重合体Aを熱硬化性樹脂組成物または熱硬化
性ポリマーの原料として用いる場合は、多官能アルコー
ルの使用が好ましい。また、上記アルコール類(b)の
中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエ
リスリトールおよびソルビトールの使用が特に好まし
い。
【0025】アルコール類(b)は、炭素、水素および
酸素のみを構成元素として含むものに限定されない。た
とえば、前記3元素に加えて、窒素元素または硫黄元素
を含むものであってもよいのである。使用できる窒素元
素含有アルコールとしては、特に限定はされないが、た
とえば、フェニルジエタノールアミン、トリエタノール
アミン、トリイソプロパノールアミン、ジエタノールア
ミン、ジイソプロパノールアミン、トリスヒドロキシメ
チルアミノメタン等のアミン系多官能アルコール類;ト
リスヒドロキシシアヌル酸等を挙げることができる。
【0026】硫黄元素含有アルコールについては、硫黄
元素を含む各種の結合、たとえば、C=S結合、C−S
−C結合、SO2 結合、SO3 結合、SH結合またはS
n 結合(n≧2)等を有するアルコールを使用すること
ができる。使用できる硫黄元素含有アルコールとして
は、特に限定はされないが、たとえば、メルカプトエタ
ノール、メタンスルホニルエタノール、メチルメルカプ
トエタノール、エチルメルカプトエタノール、チオジエ
チレングリコール、2−ヒドロキシエチルジスルフィ
ド、チオジエチレングリコール、エチレンビス−2−ヒ
ドロキシエチルスルフィド、ビスヒドロキシエチルスル
ホン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)タウリン
とその金属塩、ラウリルチオプロピオン酸チオジエタノ
ールアミン塩、チオエチレングリコールのエチレンオキ
シド付加物、ビス(2−ヒドロキシエチル)ビスフェノ
ール−S、ビス(2−ヒドロキシエチル)テトラブロモ
ビスフェノール−S、ビス(2−ヒドロキシエチル)テ
トラメチルビスフェノール−S、ビス(2−ヒドロキシ
エチル)ジフェニルビスフェノール−S、ビス(2−ヒ
ドロキシエチル)チオジフェノール等が挙げられる。
【0027】アルコール類(b)の種類を適宜選択する
ことによって、末端官能基数の制御を容易に行うことが
できる。その結果、官能基を有するビニル系単量体を併
用せずに、末端官能重合体の特徴である強靱性、耐候
性、耐水性を損なうことなく、架橋体の性能バランスの
とれた架橋密度を得ることが可能となる。アルコール類
(b)とビニル系単量体(a)との使用量の重量比〔ア
ルコール類(b):ビニル系単量体(a)〕は、好まし
くは1:20〜20:1であり、より好ましくは1:1
0〜10:1である。また、アルコール類(b)は、開
始剤系(c)に対しては、2モル倍以上であることが好
ましく、50モル倍以上であることがより好ましい。
【0028】この発明で使用される有機過酸化物を必須
とする開始剤系(c)に用いられる有機過酸化物として
は、特に制限はないが、たとえば、メチルエチルケトン
パーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、
3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイ
ドメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセ
トアセテェートパーオキサイド、アセチルアセトンパー
オキサイドなどのケトンパーオキサイド類、1,1−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチル
シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)バレート、2,2−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類、t−ブ
チルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキ
サイド、ジ−イソプウロピルベンゼンハイドロパーオキ
サイド、2−(4−メチルシクロヘキシル)−プロパン
ハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−
2,5−ジヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テ
トラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどのハイド
ロパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、
t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサ
イド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イ
ソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキ)ヘキサン、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3など
のジアルキルパーオキサイド類、アセチルパーオキサイ
ド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオ
キサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパー
オキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパー
オキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、ベ
ンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイル
パーオキサイド、m−トルイルパーオキサイドなどのジ
アシルパーオキサイド類、ジ−イソプロピルパーオキシ
ジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジ
カーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネ
ート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオ
キシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボ
ネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネ
ート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネ
ート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキ
シジカーボネート、ジーアリルパーオキシジカーボネー
トなどのパーオキシジカーボネート類、t−ブチルパー
オキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレー
ト、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパー
オキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノ
エート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルエキサノエ
ート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチル
ヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t
−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパー
オキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオ
キシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカ
ーボネート、クミルパーオキシオクトエート、t−ヘキ
シルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオ
ヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノ
エート、クミルパーオキシネオヘキサノエートなどのパ
ーオキシエステル類、アセチルシクロヘキシルスルフォ
ニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアリルカー
ボネートなどが挙げられる。特にシクロヘキサノンパー
オキサイドやベンゾイルパーオキサイドが好適である。
有機過酸化物は、1種類だけを用いても良いし、あるい
は、複数種を併用しても良い。
【0029】この発明で使用される有機過酸化物を必須
とする開始剤系(c)としては、たとえば、有機過酸化
物と組み合わせることにより重合を促進することのでき
る化合物(e)を有機過酸化物と併用する場合と、有機
過酸化物単独で用いる場合が挙げられる。化合物(e)
としては、有機過酸化物分解触媒、有機過酸化物と酸化
還元反応を行う還元性化合物等が挙げられる。即ち、有
機過酸化物を必須とする開始剤系(c)は、有機過酸化
物単独であってもよいし、あるいは、有機過酸化物を必
須成分とし、有機過酸化物分解触媒および還元性化合物
からなる群の中から選ばれた重合を促進することのでき
る1種または2種以上の化合物を含む混合物であっても
よいのである。
【0030】以下に、有機過酸化物と組み合わせること
により重合を促進することのできる化合物(e)を具体
的に説明する。化合物(e)の例である有機過酸化物分
解触媒としては、特に限定されないが、たとえば、塩化
リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化金属;酸化チ
タン、二酸化珪素などの金属酸化物;塩酸、硫酸、硝
酸、過塩素酸、臭化水素酸などの無機酸およびその金属
塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラク酸、イソラク酸、
安息香酸などのカルボン酸およびその金属塩とエステ
ル;ピリジン、インドールとその誘導体、イミダゾール
とその誘導体、カルバゾールとその誘導体などの複素環
アミンなどが挙げられる。これらは、1種だけを用いて
も良いし、複数種を併用しても良い。
【0031】化合物(e)の例である、有機過酸化物と
酸化還元反応を行う還元性化合物としては、特に限定さ
れないが、たとえば、フェロセンなどの有機金属化合
物;ナフテン酸鉄、ナフテン酸銅、ナフテン酸ニッケ
ル、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガンなどに例
示される鉄、銅、ニッケル、コバルト、マンガンなどの
金属イオンを発生できる無機金属化合物をはじめ、三フ
ッ化ホウ素エーテル付加物、過マンガン酸カリウム、過
塩素酸などの無機化合物;二酸化硫黄、亜硫酸塩、硫酸
のモノ−または、ジ−アルキルエステル、硫酸のモノ−
または、ジ−アリルエステル、重亜硫酸塩、チオ硫酸
塩、スルホキシ酸塩、ベンゼンスルフィン酸とその置換
体、パラトルエンスルフィン酸などの環状スルフィン酸
の同族体などの硫黄含有化合物;オクチルメルカプタ
ン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、メル
カプトエタノール、α−メルカプトプロピオン酸、チオ
グリコール酸、チオプロピオン酸、α−チオプロピオン
酸ソディウムスルホプロピルエステル、α−チオプロピ
オン酸ソディウムスルホエチルエステルなどのメルカプ
ト化合物;ヒドラジン、β−ヒドロキシエチルヒドラジ
ン、ヒドロキシルアミンなどの窒素含有化合物;ホルム
アルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒ
ド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、イ
ソバレリアンアルデヒドなどのアルデヒド類;アスコル
ビン酸などが挙げられる。これらは、1種だけを用いて
も良いし、複数種を併用しても良い。
【0032】開始剤系(c)は、上述のものに限定され
ない。たとえば、有機過酸化物、または、有機過酸化物
と上記化合物(e)を、AIBN(アゾビスイソブチロ
ニトリル)等のアゾ系開始剤、過酸化水素等を例とする
従来公知のラジカル開始剤のうちの1種または2種以上
と併用することもできる。開始剤系(c)の使用量は、
目的とする重合体Aの分子量により自ずと決定さるが、
一般的には、ビニル系単量体(a)に対して0.1〜2
0重量%であることが好ましい。
【0033】この発明で使用される有機スルホン
d)としては、特に限定されないが、たとえば、メタ
ンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン
酸、オクタンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸;ベン
ゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンス
ルホン酸、ナフタレンジスルホン酸などの芳香族スルホ
ン酸;クロルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−4
−スルホン酸、2−ナフチルアミン−6−スルホン酸、
トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸など
の核置換基を有する芳香族スルホン酸;(メタ)アクリ
ル酸2−スルホエチル、スチレンスルホン酸、ビニルス
ルホン酸などに例示される重合性不飽和基を有するスル
ホン酸;脂環式スルホン酸などが挙げられる。これら
は、1種だけを用いても良いし、複数種を併用しても良
い。また、有機スルホン酸(d)に併せて、無機酸やリ
ン酸などに例示される他の酸性化合物を用いてもよい。
【0034】上記有機スルホン酸(d)の中でも、特
に、メタスルホン酸、ベンゼンスルホン、ドデシルベン
ゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等が好ましい。ま
た、ドデシルベンゼンスルホン酸等のように界面活性性
能も併せて有する有機スルホン酸は、特に有効である。
有機スルホン酸(d)の好ましい使用量は、重合系全体
に対して0.05〜10重量%である。
【0035】この発明の製造方法では、反応中、反応器
内には、ビニル系単量体(a)、アルコール類(b)、
有機過酸化物を必須とする開始剤系(c)、有機スルホ
ン酸(d)以外のものは、反応器内の全成分に対して
0重量%を超えては存在しないようにする。具体的に
は、ビニル系単量体(a)、アルコール類(b)、有機
過酸化物を必須とする開始剤系(c)、有機スルホン酸
(d)以外の成分を、反応器内の全成分の5重量%以下
にとどめることが好ましく、全く含まないことがより好
ましい。
【0036】ただし、上記4者(a)、(b)、
(c)、(d)以外の成分として界面活性剤(x)を反
応器内の全成分量に対して10重量%未満の範囲で使用
することは、得られる重合体Aへの水酸基の導入を向上
することはあっても低下させることはないので、差し支
えない。界面活性剤(x)としては、特に限定はされな
いが、たとえば、塩化トリエチルベンジルアンモニウ
ム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化トリエチルベ
ンジルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニ
ウム、塩化トリブチルベンジルアンモニウム、塩化トリ
メチルベンジルアンモニウム、塩化N−ラウリルピリジ
ニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、水酸
化テトラメチルアンモニウム、臭化トリメチルフェニル
アンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テ
トラエチルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアン
モニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロゲ
ンサルフェート、N−ベンジルピコリニウムクロライ
ド、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラ−
n−ブチルアンモニウム、N−ラウリル−4−ピコリニ
ウムクロライド、N−ラウリル−4−ピコリニウムクロ
ライドなどの4級アンモニウム塩;塩化テトラブチルホ
スホニウムなどのホスホニウム塩;ヨウ化トリメチルス
ルホニウムなどのスルホニウム塩;等のオニウム塩;ま
たは、ポリオキシエチレン−ポリプロピレンオキシドブ
ロック共重合体;ポリオキシエチレン硫酸エステルなど
のポリオキシエチレン系界面活性剤;ラウリルアルコー
ル、ステアリルアルコールなどの高級アルコール;およ
びこれら高級アルコールの硫酸エステルとその硫酸エス
テルの金属塩;ラウリン酸、ステアリン酸などの高級脂
肪酸とこれら高級脂肪酸の金属塩およびソルビタンエス
テル類などが挙げられる。これらは、1種だけを用いて
も良いし、複数種を併用しても良い。
【0037】界面活性剤(x)を用いる場合、その使用
量は、反応器内の全成分量に対して10重量%未満、好
ましくは0.1〜5重量%である。界面活性剤(x)を
反応器内の全成分量に対して10重量%以上用いると、
界面活性剤(x)への連鎖移動反応などの副反応によ
り、得られる重合体の平均末端水酸基数(Fn(O
H))が減少するので好ましくない。
【0038】上記界面活性剤(x)の中でも、ポリオキ
シエチレン−ポリプロピレンオキシドブロック共重合体
の様に、それ自身、両末端に水酸基を有している界面活
性剤は、架橋構造に組み込まれるため、架橋体の強靱
性、耐候性、耐水性に与える悪影響が現れないので、精
製、除去の必要がなく、好ましい。この発明で使用され
る重合容器(重合反応を行う反応器)は、一般的な槽型
反応器やニーダーなどのバッチ式のものでもかまわない
し、ピストンフローの管型タイプのものや、重合体の粘
度によっては2軸押し出し機、連続式ニーダーなどの連
続式のものを用いてもよい。また、セミバッチ式の反応
器でも全く問題なく使用できるが、反応器内の各添加物
の濃度比を管の途中で各添加物を加えることにより容易
にコントロールできることや、滞留時間が一定であるこ
とおよび生産性がよい点などから、管型反応器、押し出
し機や連続式ニーダーなどを用いることが好ましい。管
型反応器、押し出し機および連続式ニーダーの使い分け
については、重合終了後の反応混合物が低粘度の場合は
管型反応器を、比較的高粘度の場合は押し出し機や連続
式ニーダーを用いることが好ましい。
【0039】ただし、これらの装置の接液部には、好適
な材質を選択すべきであり、一般的には、SUS31
6、304L、テフロン、アルミニウム、ガラスなどを
挙げることができる。これらの中でも、テフロン、アル
ミニウム、ガラスが好ましく、テフロン、ガラスが最も
好ましい。管型反応器の構造については、特に制限はな
く、単管型、多管型、また可動部のない混合器(ノリタ
ケ・カンパニー社製や住友・スルザー社製など)など従
来公知の管型反応器であれば利用することができるが、
混合、熱交換効率などの点から、可動部を持たない混合
器を用いた管型反応器を用いることが好ましい。同じ
く、押し出し機や連続式ニーダーについても、1軸式、
2軸式など従来公知の押し出し機であれば利用すること
ができるが、混合、熱交換効率などの点から、2軸式の
押し出し機や連続式ニーダーを用いることが好ましい。
【0040】この発明では、反応は常圧で行うことが可
能であるが、オートクレーブや押し出し機中などで加圧
下において行うことも可能である。この発明の製造方法
における重合温度についても、特に制限はなく、通常の
ラジカル重合が行われる、室温〜200℃程度であれ
ば、全く問題はない。この発明の製造方法では、重合終
了後、過剰なアルコール類(b)を除去する工程が必要
となる場合がある。その際、用いたアルコール類(b)
と生成した重合体Aとが相溶しうるものである場合に
は、釜もしくは2軸押し出し機などを用いて減圧脱揮す
ることによりアルコール類(b)を除去することができ
る。アルコール類(b)と重合体Aとが相溶しないもの
である場合には、重合終了後の反応混合物をそのまま静
置分離するか、あるいは、上記反応混合物に、重合体A
は溶解するがアルコール類(b)は溶解しない溶媒を添
加して重合体層の粘度を低減してから静置分離すること
によって、大半のアルコール類(b)を除去した後、液
−液抽出または減圧脱揮により残りのアルコール類
(b)を除去することができる。
【0041】この発明により製造される重合体Aの分子
量は、特に限定されないが、末端に反応性を有する水酸
基を有することに起因する特徴をより発揮させるために
は、数平均分子量が500〜100000であることが
好ましく、数平均分子量が1000〜50000である
ことがより好ましい。この発明により製造される重合体
Aの平均末端水酸基数(Fn(OH))については、用
いたアルコール類(b)の有する水酸基数(アルコール
1分子当りの水酸基の数)の1.8倍以上であれば、理
想的なもの(2倍のもの)とほぼ同等の物性が発揮でき
るので非常に好ましい。また、1.5倍以上であれば、
かなり理想的なものに近い物性が発揮できる。たとえ
ば、アルコール類(b)がエチレングリコール等の2官
能アルコール(アルコール1分子当りの水酸基の数が
2)である場合、重合体AのFn(OH)は、理想的に
は4.0であるが、3.6〜4.0であれば、理想的な
ものとほぼ同等の物性を発揮でき、非常に好ましい。少
なくとも3.0であれば、かなり理想的なものに近い物
性が発揮できる。また、アルコール類(b)がエチレン
グリコールモノ酢酸エステル等の単官能アルコール(ア
ルコール1分子当りの水酸基の数が1)である場合、重
合体AのFn(OH)は、理想的には2.0であるが、
1.8〜2.0であれば非常に好ましく、少なくとも
1.5であれば好ましい。
【0042】この発明の製造方法により得られる重合体
Aは、その末端の水酸基を、従来公知の有機反応などを
利用して容易に、アミノ基、カルボキシル基、ビニル基
などの重合性不飽和基、エポキシ基、シラノール基、ア
ルコキシシリル基、ヒドロシリル基、メルカプト基、オ
キサゾリン基、ラクトン基、アズラクトン基、エチニル
基、マレイミド基、ホルミル基、臭素、塩素などの有用
な末端官能基に変換することができる。
【0043】次に、この発明により製造される重合体A
を必須とする組成物について説明する。この組成物は、
重合体Aと、水酸基と反応可能な官能基を1分子中に2
個以上有する化合物(f)とを必須成分として含むもの
である。重合体Aは、1種のみを用いてもよいし、2種
以上を併用してもよい。また、この組成物に含まれる重
合体Aと化合物(f)との重量比(重合体A/化合物
(f))は、特に限定はされないが、99.99/0.
01〜40/60であることが好ましく、99.9/
0.1〜60/40であることがより好ましい。
【0044】この組成物は、重合体Aに加えて、従来公
知の水酸基を有する低分子化合物や従来公知の水酸基を
有するポリマー(ポリマーポリオール、アクリルポリオ
ール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオー
ル、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリ
オール、ポリオレフィンポリオール等)を含んでいても
よい。
【0045】上記水酸基と反応可能な官能基を1分子中
に2個以上有する化合物(f)としては、特に限定はさ
れないが、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネー
ト基を有する化合物(g)、メチロール化メラミンおよ
びそのアルキルエーテル化物または低縮合化物などのア
ミノプラスト樹脂(h)、多官能カルボン酸およびその
ハロゲン化物などの1分子中に2個以上のカルボキシル
基を有する化合物(i)などが挙げられる。
【0046】1分子中に2個以上のイソシアネート基を
有する化合物(g)は、いわゆる、多官能イソシアネー
ト化合物である。この多官能イソシアネート化合物
(g)としては、従来公知のものをいずれも使用するこ
とができ、例えば、トリレンジイソシアネート(「TD
I」とも言う)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシ
アネート(「MDI」とも言う)、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシ
リレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシ
アネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、
水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソ
シアネート化合物;スミジュールN(住友バイエルウレ
タン社製)の如きビュレットポリイソシアネート化合
物;デスモジュールIL、HL(バイエルA.G.社
製)、コロネートEH(日本ポリウレタン工業(株)
製)の如きイソシアヌレート環を有するポリイソシアネ
ート化合物;スミジュールL(住友バイエルウレタン
(株)社製)の如きアダクトポリイソシアネート化合
物、コロネートHL(日本ポリウレタン社製)の如きア
ダクトポリイソシアネート化合物、ポリプロピレングリ
コールなどの水酸基末端ポリマーの末端水酸基に多官能
イソシアネート(例えばTDIなど)を付加させてイソ
シアネート末端にしたもの(いわゆるウレタンプレポリ
マー)等を挙げることができる。これらは、単独で使用
し得るほか、2種以上を併用することもできる。また、
ブロックイソシアネートを使用しても構わない。
【0047】重合体Aと多官能イソシアネート化合物
(g)とを含んでなる組成物のよりすぐれた耐候性を生
かすためには、多官能イソシアネート化合物(g)とし
ては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素
化ジフェニルメタンジイソシアネート、スミジュールN
(住友バイエルウレタン社製)等の芳香環を有しないイ
ソシアネート化合物を用いるのが好ましい。
【0048】重合体Aと多官能イソシアネート化合物
(g)との配合比については、特に限定はされないが、
たとえば、この化合物(g)が有するイソシアネート基
と重合体Aが有する水酸基との比率(NCO/OH(モ
ル比))が0.5〜1.5であることが好ましく、0.
8〜1.2であることがより好ましい。ただし、この組
成物を、優れた耐侯性が要求される用途に用いる場合
は、NCO/OH=3.0程度までのモル比で用いるこ
ともある。
【0049】なお、この組成物中の成分である重合体A
と多官能イソシアネート化合物(g)とのウレタン化反
応を促進するために、必要に応じて、有機スズ化合物や
第3級アミン等の公知の触媒を用いることは自由であ
る。アミノプラスト樹脂(h)としては、特に限定はさ
れないが、たとえば、下記一般式化1で表されるトリア
ジン環含有化合物とホルムアルデヒドとの反応物(メチ
ロール化物)、前記トリアジン環含有化合物とホルムア
ルデヒドとの低縮合化物、これらの誘導体、さらに、尿
素樹脂、および、尿素樹脂とホルムアルデヒドとの反応
物(メチロール化物)、尿素樹脂とホルムアルデヒドと
の低縮合化物、これらの誘導体等が挙げられる。
【0050】
【化1】
【0051】上記一般式化1で表されるトリアジン環含
有化合物としては、特に限定はされないが、例えば、メ
ラミン、ベンゾグアナミン、シクロヘキサンカルボグア
ナミン、メチルグアナミン、ビニルグアナミン等を挙げ
ることができる。これらは、1種のみ用いてもよいし、
2種以上を併用してもよい。前記トリアジン環含有化合
物とホルムアルデヒドとの反応物またはその誘導体とし
ては、特に限定されないが、例えば、ヘキサメトキシメ
チルメラミンやテトラメトキシメチルベンゾグアナミン
等が挙げられる。また、前記トリアジン環含有化合物と
ホルムアルデヒドとの低縮合化物またはその誘導体とし
ては、特に限定はされないが、例えば、前記トリアジン
環含有化合物が、−NH−CH2 −O−CH2 −NH−
結合および/または−NH−CH2 −NH−結合を介し
て数個結合した低縮合化物やアルキルエーテル化ホルム
アルデヒド樹脂〔サイメル(三井サイアナミド(株)
製)〕等が挙げられる。これらのアミノプラスト樹脂
(h)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用
してもよい。
【0052】前に例を示したアミノプラスト樹脂(h)
を合成する際に用いられる前記トリアジン環含有化合物
とホルムアルデヒドとの比率は、使用される用途により
異なるが、これらのトリアジン環含有化合物とホルムア
ルデヒドとのモル比(トリアジン環含有化合物/ホルム
アルデヒド)が1〜6の範囲であることが好ましく、
1.5〜6の範囲であることがより好ましい。
【0053】重合体Aと、化合物(f)としてアミノプ
ラスト樹脂(h)とを必須成分として含む組成物におけ
る、重合体Aとアミノプラスト樹脂(h)との比率(重
量比)は、95:5〜50:50が好ましく、80:2
0〜60:40がより好ましい。重合体Aとアミノプラ
スト樹脂(h)を必須成分とする、この組成物中に、反
応を促進するためにパラトルエンスルホン酸、ベンゼン
スルホン酸等の従来公知の触媒を用いることは自由であ
る。
【0054】1分子中に2個以上のカルボキシル基を有
する化合物(i)としては、特に限定はされないが、た
とえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、
アジピン酸、フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、
トリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット
酸、無水ピロメリット酸、マレイン酸、無水マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸、ジフェン酸、ナフタレンジ
カルボン酸などの多官能カルボン酸またはその無水物、
および、これらのハロゲン化物、カルボキシル基を複数
個有するポリマーなどが挙げられる。化合物(i)は、
1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
化合物(i)と、重合体A中の水酸基とのモル比(化合
物(i)/重合体A中の水酸基)は、1〜3であること
が好ましく、1〜2であることがより好ましい。
【0055】重合体Aと、水酸基と反応可能な官能基を
1分子中に2個以上有する化合物(f)とを必須成分と
して含む組成物(以下、この組成物を単に「組成物A」
と称することがある。)を塗料用組成物として用いる場
合には、塗膜の硬度が要求されるため、ある程度の架橋
密度が必要となる。そのため、塗料用途に用いられる重
合体Aとしては、水酸基価が20〜450程度のものが
好ましい。すなわち、水酸基を有する単量体を共重合し
ない場合には、重合体Aの数平均分子量は、500〜1
2000程度が好ましい。ただし、数平均分子量が12
000より大きいものでも、水酸基を有する単量体を共
重合することにより用いることができる。組成物Aを塗
料用組成物として用いる場合、重合体AのTg(ガラス
転移温度)としては、−30℃〜100℃が好ましく、
−10℃〜60℃がより好ましい。用いるビニル系単量
体(a)の種類と割合を調整することにより、希望のT
gを有する重合体Aを合成することができる。また、化
合物(f)としてアミノプラスト樹脂(h)を用いる場
合には、内部酸触媒として酸基含有ビニル系単量体を共
重合することが好ましい。
【0056】組成物Aを塗料用組成物として用いる場
合、重合体Aに加えて、従来公知の水酸基を有する低分
子化合物や従来公知の水酸基を有するポリマー(ポリマ
ーポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリ
オール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポ
リオール、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィン
ポリオール等)、従来公知の塗料用樹脂等が含まれてい
てもよい。
【0057】組成物Aを粘着剤用組成物として用いる場
合、重合体AのTgは、−20℃以下であることが好ま
しく、また、その分子量(重量平均分子量)は、100
0〜1000000であることが好ましい。重量平均分
子量がおよそ1000〜10000程度の低分子量の重
合体Aを、2官能イソシアネート化合物などとの組み合
わせにより、基材に塗布後に、鎖延長させ、粘着剤とし
て用いた場合、官能基を有するビニル系単量体を共重合
させて得られた従来の重合体を用いた場合(通常、重量
平均分子量が100000以上のものが用いられる)に
比べて、粘着剤組成物の粘度が低く、そのため、溶剤の
使用量が減らせる、作業性が良くなるなど、従来の粘着
剤組成物にはなかった効果が得られる。また、基材との
粘着性をより向上させるためには、酸基含有モノマーを
共重合することが好ましい。
【0058】組成物Aを粘着剤用組成物として用いる場
合、この組成物中には、必要に応じて、従来公知の、粘
着付与剤、可塑剤、充填剤および老化防止剤などの添加
剤が含まれていてもよい。使用できる粘着付与剤として
は、特に限定されないが、例えば、ロジン系、ロジンエ
ステル系、ポリテルペン樹脂、クロマン−インデン樹
脂、石油系樹脂およびテルペンフェノール樹脂などが挙
げられる。可塑剤としては、特に限定はされないが、例
えば、液状ポリブテン、鉱油、ラノリン、液状ポリイソ
プレンおよび液状ポリアクリレートなどを挙げることが
できる。充填剤としては、特に限定はされないが、例え
ば、亜鉛華、チタン白、炭酸カルシウム、クレーおよび
各種顔料などを挙げることができる。老化防止剤として
は、特に限定はされないが、例えば、ゴム系酸化防止剤
(フェノール系、アミン系)および金属ジチオカルバメ
ートなどを挙げることができる。以上に挙げた粘着付与
剤、可塑剤、充填剤および老化防止剤は、各々につい
て、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用しても
よい。
【0059】組成物Aを接着剤用組成物として用いる場
合、重合体Aの分子量(重量平均分子量)は、1000
〜1000000であることが好ましい。この重合体A
を、従来公知のイソシアネート化合物などとの組み合わ
せる事により、一液型もしくは二液型接着剤として用い
る事ができる。組成物Aを接着剤用組成物として用いる
場合、この組成物中には、必要に応じて、従来公知の、
ポリオール類(低分子量ポリオール類、高分子量ポリオ
ール類)、粘着性付与剤、カップリング剤、揺変剤、無
機充填剤および安定剤などの添加剤が含まれていてもよ
い。使用できるポリオール類としては、特に限定されな
いが、例えば、低分子量ポリオール類としてエチレング
リコール(EGとも言う)、ジエチレングリコール(D
EGとも言う)、ジプロピレングリコール(DPGとも
言う)、1,4−ブタンジオール(1,4−BDとも言
う)、1,6−ヘキサンジオール(1,6−HDとも言
う)、ネオペンチルグリコール(NPGとも言う)、ト
リメチロールプロパン(TMPとも言う)等が挙げら
れ、高分子量ポリオールとしてポリエーテルポリオール
〔ポリエチレングリコール(PEGとも言う)、ポリプ
ロピレングリコール(PPGとも言う)、エチレンオキ
サイド/プロピレンオキサイド共重合体(EO/PO共
重合体とも言う)、ポリテトラメチレングリコール(P
TMEGとも言う)〕、ポリエステルポリオール、ひま
し油、液状ポリブタジエン、エポキシ樹脂、ポリカーボ
ネートジオール、ポリマーポリオール、ポリオレフィン
ポリオール、アクリルポリオール等が挙げられる。粘着
性付与剤としては、特に限定されないが、例えば、テル
ペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹
脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等を挙げることができ
る。カップリング剤としては、特に限定はされないが、
シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げ
られる。無機充填剤としては、特に限定はされないが、
例えば、カーボンブラック、チタン白、炭酸カルシウ
ム、クレーなどを挙げることができる。揺変剤として
は、特に限定されないが、エアロジル、ディスパロン等
が挙げられる。安定剤としては、特に限定はされない
が、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、
耐加水分解安定剤などを挙げることができる。以上に挙
げた、ポリオール類、粘着性付与剤、カップリング剤、
揺変剤、無機充填剤および安定剤は、各々について、1
種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】上記接着剤の用途としては、特に限定はさ
れないが、例えば、食品包装用接着剤、靴・履物用接着
剤、美粧紙用接着剤、木材用接着剤、構造用(自動車、
浄化槽、住宅)接着剤、磁気テープバインダー、繊維加
工用バインダー、繊維処理剤等が挙げられる。組成物A
をウレタンフォーム組成物として用いる場合、この組成
物中には、必要に応じて、従来公知の、ポリオール類
(この発明の製造方法により得られる重合体A以外の、
低分子量ポリオール類、高分子量ポリオール類等)、ポ
リイソシアネート(例えば、TDI、MDI等)、触媒
(例えば、アミン系、錫系等)、水、界面活性剤(例え
ば、シリコン系、非イオン系、イオン系等)、添加剤
(例えば、難燃剤、抗微生物剤、着色剤、充填剤、安定
剤等)、発泡助剤(例えば、ハロゲン化炭化水素など)
などが含まれていてもよい。
【0061】組成物Aをシーリング材組成物として用い
る場合、重合体Aの分子量(重量平均分子量)は、10
00〜1000000であることが好ましい。組成物A
をシーリング材組成物として用いる場合、この組成物中
には、必要に応じて、従来公知の、ポリオール類(重合
体A以外の高分子量ポリオール類等)、ポリイソシアネ
ート(例えば、TDI、MDI等)、触媒(例えば、ア
ミン系、錫系、鉛系等)、無機充填剤(例えば、炭酸カ
ルシウム、タルク、クレー、シリカ、カーボンブラッ
ク、チタンホワイト等)、可塑剤〔例えば、フタル酸ジ
オクチル(DOPとも言う)、フタル酸ジ−i−デシル
(DIDPとも言う)、アジピン酸ジオクチル(DOA
とも言う)等〕、たれ止め剤(例えば、コロイド状シリ
カ、水添ひまし油、有機ベントナイト、表面処理炭酸カ
ルシウムなど)、老化防止剤(例えば、ヒンダートフェ
ノール類、ベンゾトリアゾール、ヒンダートアミン類
等)、発泡抑制剤(例えば、脱水剤、炭酸ガス吸収剤
等)などが含まれていてもよい。
【0062】なお、この発明の製造方法により得られる
重合体Aの有する水酸基を、ヒドロキシシリル基やアル
コキシシリル基、メルカプト基に変換した重合体をシー
リング材組成物の必須成分として用いた場合、そのシー
リング材組成物は、ウレタンとは異なる架橋システムを
持つシーリング材組成物となる。次に、この発明にかか
る製造方法により製造された重合体Aを、水酸基と反応
可能な官能基と重合性不飽和基との2種類の反応性基を
1分子中に併せて有する化合物(j)と反応させて得ら
れる、両末端に重合性不飽和基を有する重合体(以下、
この重合体を「重合体B」と称することがある)につい
て説明する。
【0063】この重合体Bを合成する際、重合体Aと反
応させる、水酸基と反応可能な官能基と重合性不飽和基
との2種類の反応性基を1分子中に併せて有する化合物
(j)としては、特に限定はされないが、例えば、イソ
シアネート基、カルボキシル基、メチロール化されたト
リアジン環などを有するビニル系単量体などが挙げられ
る。より具体的には、例えば、メタクリロイルオキシエ
チルイソシアナート、メタクリロイルイソシアナート、
イソプロペニルジメチルベンジルイソシアナート、(メ
タ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、無水イタコン酸およびこれらのカルボ
キシル基のハロゲン化物、ビニルグアナミンのメチロー
ル化物等が挙げられる。
【0064】また、この反応の際に、溶媒や従来公知の
触媒を用いるのは自由である。この触媒の例としては、
化合物(j)の有する官能基がイソシアネート基である
場合には、トリエチルアミンなどの3級アミン類、ジブ
チルすずジラウレートなどのすず化合物類などが、前記
官能基がカルボキシル基または酸無水物基である場合に
は、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン化合物、
硫酸などの無機酸、および、酢酸ナトリウムなどの有機
酸アルカリ金属塩などが、前記官能基がトリアジン環の
メチロール化物である場合には、ドデシルベンゼンスル
ホン酸などのスルホン酸類および他の弱酸などがそれぞ
れ挙げられる。
【0065】重合体Bを組成物の必須成分として用いる
場合、この組成物に含まれるその他の成分としては、た
とえば、1分子中に重合性不飽和基を1個有するビニル
系単量体などが挙げられる。このビニル系単量体として
は、特に制限はなく、従来公知のものを問題なく用いる
ことができる。例えば、両末端に水酸基を有する重合体
Aを製造する際に用いられるビニル系単量体(a)は、
すべて使用することができ、特に、スチレン、アクリル
酸エステル、メタクリル酸エステル等が好ましい。上記
組成物中には、必要に応じて、従来公知の重合開始剤が
含まれていてもよい。また、重合を開始するエネルギー
源としては、特に限定はされないが、例えば、光、E
B、放射線、熱などを用いることが出来る。
【0066】重合体Bと、上述した1分子中に重合性不
飽和基を1個有するビニル系単量体とを必須成分として
含む組成物の例としては、以下に詳しく述べるゲルコー
ト樹脂組成物、人工大理石用樹脂組成物などが挙げられ
る。上記ゲルコート樹脂組成物は、必要に応じて、1分
子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多官能ビニル
系単量体をも含んでいてもよい。この多官能ビニル系単
量体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、1、
6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、1種または2種以上の組合せで用いることが
できる。
【0067】前記ゲルコート樹脂組成物に含まれる重合
体Bとビニル系単量体との重量比(重合体B/ビニル系
単量体)は、特に制限はされないが、10/90〜60
/40が好ましく、20/80〜50/50がより好ま
しい。この比が10/90より小さくなると、ゲルコー
ト樹脂層の反応収縮が大きすぎるため、収縮ひずみが大
きくなり、良好なコート表面が得られにくくなるからで
ある。また、その比が60/40より大きくなると、ゲ
ルコート樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、作業性が極
端に落ちることが起こりやすいからである。
【0068】ゲルコート層の表面硬度を得るためには、
本用途に用いられる重合体BのTgおよびビニル系単量
体のTgは、いずれも20℃以上であることが好まし
い。また、表面硬度を得るために架橋密度を上げる必要
がある場合には、重合体Bの前駆体である重合体A中
に、水酸基を有するビニル系単量体を共重合したり、前
記多官能ビニル系単量体を50重量%以下の割合で用い
たりすることが好ましい。
【0069】前記ゲルコート樹脂組成物には、必要に応
じて、ハイドロキノン、カテコール、2,6−ジターシ
ャリーブチルパラクレゾール等の重合禁止剤が加えら
れ、通常、一般的に用いられるラジカル重合開始剤、特
に有機過酸化物開始剤などによって硬化させられる。有
機過酸化物開始剤を用いた場合には、ナフテン酸コバル
ト、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸鉄などの各種還元
性金属塩、アミン類やメルカプタン類の様な還元性化合
物などの硬化促進剤を併用してもよい。
【0070】前記ゲルコート樹脂組成物には、また、必
要に応じて、染料、可塑剤、紫外線吸収剤などの他、シ
リカ、アスベスト粉、水素化ヒマシ油、脂肪酸アミド等
の従来公知の揺変剤、充填剤、安定剤、消泡剤、レベリ
ング剤等の各種添加剤を配合することができる。前記人
工大理石用樹脂組成物には、必要に応じて、1分子中に
2個以上の重合性不飽和基を有する多官能ビニル系単量
体や、充填剤、硬化剤、熱可塑性ポリマーなどの添加剤
などを添加することは自由である。
【0071】人工大理石用樹脂組成物に必要に応じて添
加される多官能ビニル系単量体としては、特に限定はさ
れないが、たとえば、前述のゲルコート樹脂組成物に含
有されてもよい多官能ビニル系単量体は、すべて使用す
ることができる。多官能ビニル系単量体の添加量は、特
に限定されないが、重合体B、1分子中に重合性不飽和
基を1個有するビニル系単量体および多官能ビニル系単
量体の合計量に対して40重量%以下が好ましい。多官
能ビニル系単量体の添加量が40重量%を超えると、得
られる人工大理石が硬くてもろいものとなり望ましくな
いからである。
【0072】人工大理石用樹脂組成物に必要に応じて添
加される充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化
マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、タ
ルク、クレー、シリカ、石英、アルミナ、ジルコニア、
ガラスパウダー、ガラス繊維、大理石、石灰岩、輝石、
角閃石、砂岩、花こう岩、玄武岩などの天然砕石、不飽
和ポリエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂およびメラ
ミン樹脂などの合成樹脂の破砕物などが挙げられる。充
填剤の添加量は、特に限定されないが、重合体B、1分
子中に重合性不飽和基を1個有するビニル系単量体およ
び多官能ビニル系単量体の合計量に対して100〜80
0重量%が好ましい。この添加量が100重量%未満で
あると、耐熱性や難燃性が不十分となる場合があり、ま
た、800重量%を超えると、重合体B、1分子中に重
合性不飽和基を1個有するビニル系単量体および多官能
ビニル系単量体への充填材の分散性が不十分となった
り、成型硬化時の流動性が損なわれて均一な人工大理石
が得られなかったりすることがある。人工大理石用樹脂
組成物に必要に応じて添加される硬化剤としては、特に
限定はされないが、例えば、ベンゾイルパーオキサイ
ド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケ
トンパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキ
シル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート、t−ブチルパーオキシオクトエート等
が挙げられる。中でもプレス成形用として好ましいの
は、クラックを生じずに透明性の良い硬化物を与える、
中・高温硬化剤のt−ブチルパーオキシオクトエートや
ベンゾイルパーオキサイドである。また、中・低温硬化
剤は、単独もしくは硬化促進剤と組み合わせて有機アミ
ンや多価金属の塩類とともに用いられるが、注型用とし
て好ましいのは、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシ
ル)パーオキシジカーボネート(パーカドックスPX−
16、日本化薬(株)製)である。
【0073】人工大理石用樹脂組成物に必要に応じて添
加される熱可塑性ポリマーとしては、特に限定はされな
いが、例えば、ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)ア
クリル系ポリマー、(メタ)アクリレート−スチレン共
重合体、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、スチレン−酢
酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、
ポリエチレン、ポリカプロラクタム、飽和ポリエステル
等の従来公知の低収縮化用ポリマーを単独もしくは併用
して用いられる。ただし、低収縮化用の熱可塑性ポリマ
ーを多量に配合すると、混練時の粘度上昇を招いて高充
填剤含量の注型用配合物が得難くなったり、製品の透明
性や耐熱性の点で劣ったものしか得られなくなったりす
ることがある。したがって、低収縮化用の熱可塑性ポリ
マーは、できるだけ少量用いるのがよく、特に限定はさ
れないが、重合体B、1分子中に重合性不飽和基を1個
有するビニル系単量体および多官能ビニル系単量体の合
計量に対して、100重量%以下の範囲で使用すること
が好ましい。
【0074】次に、この発明の製造方法により得られる
重合体Aを、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル
基との2つの反応性基を1分子中に併せて有する化合物
(k)および/または酸無水物と反応させて得られる、
両末端にカルボキシル基を有する重合体Cについて説明
する。この重合体Cを合成する際、水酸基を有する重合
体Aと反応させる、水酸基と反応可能な官能基とカルボ
キシル基との2つの反応性基を1分子中に併せて有する
化合物(k)としては、特に限定はされないが、例え
ば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、ドデカン二酸、フタル酸、テレフタル酸、マレ
イン酸、フマル酸、イタコン酸などの2塩基酸、クロロ
酢酸、ブロモ酢酸などのハロゲン置換カルボン酸などが
挙げられる。このように、化合物(k)の有する、水酸
基と反応可能な官能基とカルボキシル基との2つの反応
性基とは、2つのカルボキシル基であってもよいし、ハ
ロゲン基等のカルボキシル基以外の官能基とカルボキシ
ル基の組み合わせであってもよいのである。化合物
(k)の代わりに酸無水物を用いてもよいし、あるい
は、化合物(k)と酸無水物を併用してもよい。酸無水
物も、特に限定はされず、例えば、無水コハク酸、無水
グルタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水イタ
コン酸などが挙げられる。
【0075】両末端に水酸基を有する重合体Aと化合物
(k)および/または酸無水物との反応の際に、溶媒や
従来公知の触媒を用いるのは自由である。この触媒の例
としては、化合物(k)の有する、水酸基と反応可能な
官能基がカルボキシル基である場合には、硫酸、塩酸な
どの無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの
無機塩基、トリエチルアミン、ピリジンなどの3級アミ
ン化合物、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの有機酸
塩などが、ハロゲン基の場合には、ピリジン、トリエチ
ルアミンなどの3級アミン化合物などがそれぞれ挙げら
れる。
【0076】重合体Aを酸無水物と反応させる場合の反
応温度は、特に限定はされないが、60〜100℃が好
ましい。60℃未満の場合は、反応速度が遅く、最終的
な変換率も低い。また、100℃を超えると、2塩基酸
の反応速度は高くなるが、ジエステルの生成量が増加
し、反応後の分子量が増加するなどの問題が生じる。次
に、両末端にカルボキシル基を有する重合体Cと、カル
ボキシル基と反応可能な官能基を1分子中に2個以上有
する化合物(l)とを必須成分として含むことを特徴と
する樹脂組成物について説明する。
【0077】重合体Cは、1種のみを用いてもよいし、
2種以上を併用してもよい。また、この樹脂組成物に含
まれる、重合体Cと化合物(l)との重量比(重合体C
/化合物(l))は、特に限定はされないが、99.9
9/0.01〜40/60であることが好ましく、9
9.9/0.1〜60/40であることがより好まし
い。
【0078】カルボキシル基と反応可能な官能基を1分
子中に2個以上有する化合物(l)としては、特に限定
はされないが、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ
基を有する化合物、1分子中に2個以上の水酸基を有す
る化合物、1分子中に2個以上のアミノ基を有する化合
物、1分子中に2個以上のメルカプト基を有する化合
物、1分子中に2個以上のハロゲン基を有する化合物、
1分子中に2個以上のオキサゾリン基を有する化合物、
1分子中に2個以上のアジリジン基を有する化合物、1
分子中に2個以上のエステル基を有する化合物、1分子
中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物などが挙
げられる。
【0079】重合体Cは、エポキシ樹脂組成物の必須成
分として用いてもよい。このようなエポキシ樹脂組成物
中に含まれるその他の必須成分であるエポキシ樹脂とし
ては、従来公知のエポキシ樹脂であれば、特に制限はな
く、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フ
ェノールノボラック、クレゾールノボラック、ブロム化
ビスフェノールAなどのフェノール類のグリシジルエー
テル;ブタノール、ブタンジオール、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール類
のグリシジルエーテル;ヘキサヒドロフタル酸、ダイマ
ー酸などの酸のグリシジルエステル類などを挙げること
ができる。これらは、単独で使用しうる他、2種類以上
を併用しても構わない。
【0080】上記エポキシ樹脂組成物には、必要に応じ
て、充填剤、顔料、硬化剤などの添加剤を添加すること
は自由である。充填剤としては、水酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウ
ム、タルク、クレー、シリカ、カオリン、酸化チタン、
石英、石英ガラス、アルミナ、ジルコニア、ガラスパウ
ダー、ガラス繊維、大理石、石灰岩、輝石、角閃石、砂
岩、花こう岩、玄武岩などの天然砕石、不飽和ポリエス
テル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂およびメラミン樹脂な
どの合成樹脂の破砕物などが挙げられる。硬化剤として
は、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテト
ラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプ
ロピルアミンなどの直鎖状脂肪族アミン類;アミン価の
異なる各種ポリアミド類;メンセンジアミン、イソホロ
ンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン
などの脂環族アミン類;m−キシレンジアミン、ジアミ
ノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、
m−フェニレンジアミンなどの芳香族アミン類;無水フ
タル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水
フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘ
キサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデ
シル無水コハク酸、無水ピロメリット酸、メチルシクロ
ヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット
酸、ポリアゼライン酸無水物などの酸無水物類;フェノ
ールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノー
ル性水酸基含有化合物類;ポリメルカプタン類;2,
4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、
2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのアニオン重
合触媒類;BF3 モノエチルアミン錯体などのカチオン
重合触媒類;ジシアンジアミド、アミンアダクト、ヒド
ラジド、アミドアミン、ブロックイソシアネート、カル
バミン酸塩、ケチミン、芳香族ジアゾニウム塩などに代
表される潜在性硬化剤類などが挙げられ、それらの1種
もしくは2種以上を使用することが出来る。
【0081】次に、この発明の製造方法により得られる
重合体Aを必須成分として含むポリオール成分(m)
を、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多
官能イソシアネート化合物(g)と反応させて得られる
ポリウレタンについて説明する。このポリウレタンを合
成する際に用いられる1分子中に2個以上のイソシアネ
ート基を有する多官能イソシアネート化合物(g)は、
前述した通りである。重合体Aを必須成分として含むポ
リオール成分(m)としては、重合体A単独(2種類以
上の重合体Aを用いる場合も含む)でもよいが、重合体
Aをその他のポリオールと組合せて用いることもでき
る。その他のポリオールとしては、特に限定はされない
が、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの低分子
量ポリオールやソルビタン脂肪酸エステルなどの低分子
量ポリオールの部分エステル化物、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリ
コール−ポリエチレングリコールブロック共重合体など
のポリエーテルポリオール、前記の低分子ポリオールと
フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、
無水マレイン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、グル
タル酸、アジピン酸などの多官能カルボン酸より合成し
たポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオー
ル、ブタジエンおよびブタジエン/アクリロニトリル共
重合体主鎖よりなるジエン系ポリオール、ポリオレフィ
ンポリオール、アクリルポリオール、ポリマーポリオー
ルなどの高分子ポリオールなどから選ばれた1種または
2種以上が挙げられる。
【0082】また、この合成の際には、ポリオール成分
(m)と、多官能イソシアネート化合物(g)との全量
を1段階で反応させてもよいし、あるいは、1段階目で
ポリオール成分(m)中の特定成分と、多官能イソシア
ネート化合物(g)とを反応させて、まず、末端に少な
くとも1個のイソシアネート基を有するポリマー(オリ
ゴマー)を合成した後、次の段階で、このポリマー(オ
リゴマー)をさらに他の水酸基を1個有するポリマー
(オリゴマー)と反応させることにより、ポリウレタン
を合成する2段反応を用いてもよい。ただし、2段反応
の場合には、途中で反応後残存したイソシアネート化合
物を系外に取り除く必要のある場合がある。
【0083】このポリウレタンを合成する際の、重合体
Aと多官能イソシアネート化合物(g)との使用量の比
については、特に限定はされない。たとえば、前述の2
段階反応の場合には、化合物(g)中のイソシアネート
基と、重合体A中の水酸基とのモル比(NCO/OH)
は、1より高ければ問題はないが、この段階での分子量
増大を防ぎ、明確なブロック構造を有するポリウレタン
を合成するためには、1.2〜2.0が好ましく、1.
5〜2.0がより好ましい。また、1段階反応の場合の
多官能イソシアネート化合物(g)中のイソシアネート
基と、重合体A中の水酸基とのモル比(NCO/OH)
は、0.5〜1.5であることが好ましく、0.8〜
1.2であることがより好ましい。
【0084】このポリウレタンを合成の際には、ウレタ
ン化反応促進のために、有機スズ化合物や第3級アミン
等の公知の触媒を用いたり、各種溶媒を用いたりするこ
とは自由である。次に、この発明の製造方法により得ら
れる重合体Aを必須成分として含むポリオール成分
(m)を、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有す
る化合物(i)と反応させて得られるポリエステルにつ
いて説明する。
【0085】このポリエステルを合成する際に用いられ
る、重合体Aを必須成分とするポリオール成分(m)
は、上記のポリウレタンのところで説明したものと同じ
である。また、1分子中に2個以上のカルボキシル基を
有する化合物(i)も、前述のものと同じである。ま
た、この合成の際には、エステル化反応促進のために硫
酸などの無機酸などの公知の触媒を用いたり、各種溶媒
を用いることは自由である。
【0086】上述したポリウレタンまたはポリエステル
を成型材料として用いる場合、成型材料中には、必要に
応じて、他の成分として、従来の成型材料に含まれてい
るようなガラス繊維、パルプ等の充填材、離型材、炭酸
カルシウム、酸化チタン等の顔料、紫外線吸収材、酸化
防止材等が含まれていてもよい。成型方法としては、従
来公知のどの成型方法を用いてもよい。成型物の形状に
ついては、フィルム状、シート状等、種々の形に成型す
ることができる。
【0087】次に、この発明の製造方法により得られる
重合体Aを必須成分として含むブロックポリマーについ
て説明する。このブロックポリマーを得る方法として
は、特に限定はされないが、たとえば、下記〜の4
つの方法等が挙げられる。 この発明の製造方法により得られる異なる種類の重
合体Aまたは重合体Aと他のポリオールとの組み合わせ
よりなる2種以上のポリオールを用い、これらと、水酸
基と反応可能な官能基を1分子中に2個以上有する化合
物とを反応させる方法。
【0088】 この発明の製造方法により得られる重
合体Aと、水酸基を1分子中に1個のみ有する重合体
と、水酸基と反応可能な官能基を1分子中に2個以上有
する化合物とを反応させる方法。 この発明の製造方法により得られる重合体Aと、水
酸基と反応可能な官能基を1分子中に1個または2個以
上有する重合体とを反応させる方法。
【0089】 この発明の製造方法により得られる重
合体Aを開始剤として用い、エチレンオキサイド、プロ
ピレンオキサイド、テトラハイドロフラン等の環状エー
テルの1種または2種以上を開環重合する方法。 前記、およびの方法において、水酸基と反応可能
な官能基としては、特に限定はされないが、たとえば、
イソシアネート基、カルボキシル基、トリアジン環、メ
チロール化トリアジン環、酸無水物、アズラクトン環、
シラノール基、カーボネート基、エポキシ基、酸ハライ
ド基などが挙げられる。
【0090】また、前記、およびの方法における
反応の手法としては、特に限定はされないが、たとえ
ば、前述のポリウレタンおよびポリエステルの説明にお
いて述べた、1段で反応させる方法および多段反応法の
いずれも用いることができる。このブロックポリマーの
用途については、特に限定はされないが、たとえば、界
面活性剤、相溶化剤、トナー用樹脂、ホットメルト接着
剤、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、樹
脂改質剤、粘着剤、分散剤、耐熱性透明樹脂、耐衝撃性
透明樹脂、人工皮革、合成皮革、セメント減水剤、ウレ
タンフォーム等である。
【0091】このブロックポリマーの構造は、特に限定
はされないが、各々の用途に応じて自ずと決まってく
る。たとえば、界面活性剤用途を例にして説明すると、
ブロックポリマーを構成する2種類以上のセグメント
は、親水性セグメントと疎水性セグメントとからなるも
のであることが望ましい。また、エラストマー用途を例
にして説明すると、ブロックポリマーを構成する2種類
以上のセグメントは、ガラス転移温度がお互いに10℃
以上異なっているものであることが望ましい。
【0092】の発明の製造方法では、ビニル系単量体
(a)の重合を、アルコール類(b)と有機スルホン酸
(d)の存在下、有機過酸化物を必須とする開始剤系
(c)を用いて行っている。この重合反応では、有機過
酸化物を開始剤系(c)の必須成分として用いているた
め、下式で示す開始反応が起きる。
【化1】 このとき、この重合反応では、反応器内にアルコール類
(b)を併存させて、下式に示す第2の開始反応を起
きさせ、(イ)の水酸基含有ラジカルを生成させるよう
にしている。
【化2】 しかしながら、この場合、の開始反応すなわち有機過
酸化物(ROOR)の分解反応によって生成するORラ
ジカルは、非常に不安定であるため、有機スルホン酸
(d)の存在しない重合反応系においては、アルコール
類(b)に対するよりも、ビニル系単量体(a)に対し
ての方が付加反応および水素引抜反応(連鎖移動反応)
を起こし易い。結果として、重合体の末端に水酸基を確
実に導入することが出来にくい。その点、この発明の製
造方法では、反応器内に有機スルホン酸(d)も共存さ
せており、この有機スルホン酸(d)が第2開始反応
への選択性を向上させるため、上記水酸基含有ラジカル
(イ)を確実に、しかも効率良く生成させることが出来
るのである。 次に、この水酸基含有ラジカル(イ)が重
合開始点となって、下式、で示すビニル系単量体
(a)の重合反応が起きる。式は成長反応を表してい
る。
【化3】 重合体のこの成長は下式またはで示す停止反応によ
り停止する。
【化4】
【0093】このようにして、ビニル系重合体の両末端
に水酸基が導入される。 その結果、この発明にかかる重
合体の製造方法によれば、両末端に水酸基を有する重合
体を、有極性のビニル系単量体も含めた幅広いビニル系
単量体から容易かつ安価に効率良く得ることが可能にな
る。 なお、前述のように、この発明にかかる重合体の製
造方法では、前記式で示す第2開始反応によって水酸
基含有ラジカル(イ)が生成し、重合体末端への水酸基
の導入が可能となるのであるが、開始剤(c)やアルコ
ール類(b)の種類などによっては、開始剤由来のOR
ラジカル(R 1 −O・)とアルコール類との相溶性が悪
いことがあり、式の開始反応が起きにくい場合があ
る。このような場合には、反応器内に界面活性剤(x)
を共存させると、上記相溶性の問題が解消し、反応効率
が向上して、重合体末端への水酸基の導入が確実かつ効
率的となる。
【0094】ところで、この発明の製造方法では、重合
反応に際し、反応器内には前記4者(a)、(b)、
(c)、(d)以外の成分は、反応器内の全成分の10
重量%を超えては存在させないようにしている。もし
も、(a)、(b)、(c)、(d)以外の成分(たと
えば、溶剤等)が反応器内の全成分の10重量%を超え
て存在していると、片末端もしくは両末端ともに全く水
酸基の入っていない重合体が副生し、重合体の末端水酸
基数が低下する。したがって、前述のように、重合体A
への水酸基の導入を向上させる目的で反応器内に界面活
性剤(x)を共存させる場合でも、界面活性剤(x)の
使用量は10重量%未満とする。
【0095】この発明の製造方法により得られる重合体
Aは、その主鎖を構成するビニル系単量体(a)の種類
を任意に選択することにより、透明性、耐候性、耐水
性、耐加水分解性、耐薬品性を有し、また、この重合体
Aを含む組成物から誘導されるポリエステル樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの各種樹脂、
各種ブロックポリマーなどが有する、非常に伸びがあり
(曲げ加工性がよく)かつ強靱であるという特性を発揮
することから、塗料(ハイソリッド、低温硬化等)、弾
性壁材、塗膜防水材、粘着剤、床材、粘着性付与剤、接
着剤、バインダー(磁気記録媒体、インキバインダー、
鋳物バインダー、焼成レンガバインダー、グラフト材、
マイクロカプセル、グラスファイバーサイジング等)、
シーリング材、ウレタンフォーム(硬質、半硬質、軟
質)、ウレタンRIM、UV・EB硬化樹脂、熱硬化型
エラストマー、熱可塑性エラストマー、マイクロセルラ
ー、繊維加工剤、可塑剤、吸音材料、制振材料、界面活
性剤、ゲルコート剤、人工大理石用樹脂、人工大理石用
耐衝撃性付与剤、インキ用樹脂、フィルム(ラミネート
接着剤、保護フィルム等)、合わせガラス用樹脂、反応
性希釈剤、各種成型材料、弾性繊維、人工皮革、合成皮
革、分散剤、水性ウレタンエマルジョン等の原料とし
て、また、各種樹脂添加剤およびその原料等として、非
常に有用である。
【0096】重合体Aは、両末端の水酸基を適当な方法
により反応させることにより、他の官能基(例えば、ビ
ニル基などの重合性不飽和基、ホルミル基、アミノ基、
カルボキシル基、エチニル基、エポキシ基、シラノール
基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基、メルカプト
基、オキサゾリン基、マレイミド基、アズラクトン基、
ラクトン基、臭素、塩素など)を両末端に有する重合体
へ容易に変換させることが可能である。これらの重合体
も大変有用である。例えば、両末端にカルボキシル基を
有する重合体(重合体C)は、エポキシ接着剤の耐衝撃
性付与剤などとして大変有効である。また、重合体A
は、その末端水酸基にエチレンオキサイドやプロピレン
オキサイドを複数個付加することにより、界面活性剤、
ウレタンフォーム、セメント減水剤、相溶化剤などの原
料となる。
【0097】重合体Aおよび多官能イソシアネート化合
物(g)を必須として含む組成物、ならびに、重合体A
およびアミノプラスト樹脂(h)を必須として含む組成
物を、それぞれ塗料として用いた場合、柔軟かつ強靱で
あるばかりでなく、耐候性、耐水性、耐加水分解性、耐
薬品性、硬度などの非常にすぐれた塗膜を得ることがで
きる。また、低分子量にしても、重合体Aの末端に水酸
基が存在するため、従来のハイソリッド型塗料の欠点で
ある強靱性を改良できる。
【0098】重合体Aおよび多官能イソシアネート化合
物(g)を必須として含む組成物をシーリング材として
用いた場合、非常に柔軟かつ強靱で、耐候性、耐水性、
耐薬品性にすぐれたシーリング材を得ることができる。
重合体Aおよび多官能イソシアネート化合物(g)を必
須として含む組成物をウレタンフォーム用途および熱硬
化性ポリウレタンエラストマー用途に用いた場合、柔軟
性、耐候性、耐水性、耐薬品性にすぐれたウレタンフォ
ームおよびエラストマーを得ることができる。
【0099】重合体Aを、1分子中に水酸基と反応可能
な官能基と重合性不飽和基との2種類の反応性基を併せ
て有する化合物(j)と反応させて得られる両末端に重
合性不飽和基を有する重合体Bに加えて、1分子中に重
合性不飽和基を少なくとも1個有するビニル系単量体を
必須成分として含む組成物をゲルコート樹脂組成物用途
に用いた場合、ゲルコート層成型時の反応収縮が小さ
く、ゲルコート樹脂組成物の作業時の粘度が低く、ゲル
コート作業性がよく、また硬度が大きく、強靱で耐候性
のよいゲルコート層が得られる。
【0100】重合体Aと多官能イソシアネート化合物
(g)とを反応させて得られるポリウレタン、および、
重合体Aと1分子中に2個以上のカルボキシル基を有す
る化合物(i)とを反応させて得られるポリエステル
を、それぞれ成型材料の必須成分として用いた場合、加
工性、耐加水分解性、耐候性、耐薬品性および低温特性
にすぐれた成型材料を得ることができる。
【0101】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例を比較例
と併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定さ
れない。また、下記実施例および比較例中、「部」およ
び「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表
す。 −実施例1− 攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えた
フラスコにエチレングリコールを140部仕込み、フラ
スコ内の窒素置換を行った後、緩やかに窒素ガスを吹き
込みながら、140℃に昇温した。反応容器内の温度が
安定してから、アクリル酸ブチル40部とメタクリル酸
メチル60部にシクロヘキサノンパーオキサイド2.0
部を溶かした混合液と、ドデシルベンゼンスルホン酸
1.7部とエチレングリコール33部との混合液を同時
に1時間かけて滴下した後、10分間140℃で攪拌を
続け、重合を完了させた。ガスクロマトグラフィーによ
るアクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルの残存率から
重合率を求めたところ、92%であった。
【0102】続いて、トルエン/水系の抽出溶媒を用
い、重合体を含む反応混合物から重合体を抽出分離し
て、重合体を含むトルエン溶液を得た。トルエンを留去
し、さらに減圧下、45℃で乾燥させることにより、精
製された重合体〔1〕を得た。精製後の重合体〔1〕の
数平均分子量(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー
(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により測定
した結果、7500であった。また、重合体〔1〕の平
均末端水酸基数(Fn(OH))は、JIS−K−15
57に準じて求めたOH価と上記で測定した数平均分子
量の値とを基に算出した結果、4.4(モル/重合体1
モル)であった。
【0103】−実施例2− 攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えた
フラスコにエチレングリコールを140部仕込み、フラ
スコ内の窒素置換を行った後、緩やかに窒素ガスを吹き
込みながら、140℃に昇温した。反応容器内の温度が
安定してから、アクリル酸ブチル40部とメタクリル酸
メチル60部にシクロヘキサノンパーオキサイド1.0
部とAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.8部
を溶かした混合液と、ドデシルベンゼンスルホン酸1.
7部とエチレングリコール33部との混合液を同時に1
時間かけて滴下した後、10分間140℃で攪拌を続
け、重合を完了させた。ガスクロマトグラフィーによる
アクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルの残存率から重
合率を求めたところ、95%であった。
【0104】続いて、トルエン/水系の抽出溶媒を用
い、重合体を含む反応混合物から重合体を抽出分離し
て、重合体を含むトルエン溶液を得た。トルエンを留去
し、さらに減圧下、45℃で乾燥させることにより、精
製された重合体〔2〕を得た。精製後の重合体〔2〕の
数平均分子量(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー
(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により測定
した結果、9000であった。また、重合体〔2〕の平
均末端水酸基数(Fn(OH))は、JIS−K−15
57に準じて求めたOH価と上記で測定した数平均分子
量の値とを基に算出した結果、3.6(モル/重合体1
モル)であった。
【0105】−実施例3− 攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えた
フラスコにエチレングリコールを140部仕込み、フラ
スコ内の窒素置換を行った後、緩やかに窒素ガスを吹き
込みながら、140℃に昇温した。反応容器内の温度が
安定してから、アクリル酸ブチル40部とメタクリル酸
メチル60部にシクロヘキサノンパーオキサイド1.0
部とドデシルベンゼンスルホン酸1.7部を溶かした混
合液と、60%過酸化水素水溶液2.8部とエチレング
リコール33部との混合液を同時に1時間かけて滴下し
た後、10分間140℃で攪拌を続け、重合を完了させ
た。ガスクロマトグラフィーによるアクリル酸ブチルと
メタクリル酸メチルの残存率から重合率を求めたとこ
ろ、93%であった。
【0106】続いて、トルエン/水系の抽出溶媒を用
い、重合体を含む反応混合物から重合体を抽出分離し
て、重合体を含むトルエン溶液を得た。トルエンを留去
し、さらに減圧下、45℃で乾燥させることにより、精
製された重合体〔3〕を得た。精製後の重合体〔3〕の
数平均分子量(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー
(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により測定
した結果、10000であった。また、重合体〔3〕の
平均末端水酸基数(Fn(OH))は、JIS−K−1
557に準じて求めたOH価と上記で測定した数平均分
子量の値とを基に算出した結果、3.7(モル/重合体
1モル)であった。
【0107】−比較例1− 攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えた
フラスコにエチレングリコールを140部仕込み、フラ
スコ内の窒素置換を行った後、緩やかに窒素ガスを吹き
込みながら、140℃に昇温した。反応容器内の温度が
安定してから、アクリル酸ブチル40部とメタクリル酸
メチル60部にシクロヘキサノンパーオキサイド2.0
部を溶かした混合液を1時間かけて滴下した後、10分
間140℃で攪拌を続け、重合を完了させた。続いて、
実施例1と同様の精製手法で、精製された比較用重合体
〔1〕を得た。
【0108】精製後の比較用重合体〔1〕の数平均分子
量(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
を用いた標準ポリスチレン換算法により測定した結果、
18000であった。また、比較用重合体〔1〕の平均
末端水酸基数(Fn(OH))は、JIS−K−155
7に準じて求めたOH価と上記で測定した数平均分子量
の値とを基に算出した結果、0.5(モル/重合体1モ
ル)であった。
【0109】−実施例4− 攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えた
フラスコにエチレングリコールを320部(アルコール
類(b)のフラスコ初期仕込み量)仕込み、フラスコ内
の窒素置換を行った後、緩やかに窒素ガスを吹き込みな
がら、140℃に昇温した。反応器内の温度が安定して
から、アクリル酸ブチル67部、メタクリル酸メチル4
5部およびアクリル酸3部にシクロヘキサノンパーオキ
サイド4.4部を溶かした第1の混合液と、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸(以下、DBSと記す)3.4部をエ
チレングリコール70部(アルコール類(b)の滴下
量)に溶かした第2の混合液を同時に2時間かけて滴下
した後、30分間140℃で攪拌を続け、重合を完了さ
せた。ガスクロマトグラフィーによるアクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸の残存率から
重合率を求めたところ、98%であった。
【0110】続いて、トルエン/水系抽出溶媒を用い、
重合体を含む反応混合物から重合体を抽出分離して、重
合体を含むトルエン溶液を得た。トルエンを留去し、さ
らに減圧下、45℃で乾燥させることにより、精製され
た重合体〔4〕を得た。精製後の重合体〔4〕の数平均
分子量(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GP
C)を用いた標準ポリスチレン換算法により測定した結
果、3200であった。また、重合体〔4〕の平均末端
水酸基数(Fn(OH))は、JIS−K−1557に
準じて求めたOH価と上記で測定した数平均分子量の値
とを基に算出した結果、4.0(モル/重合体1モル)
であった。
【0111】−実施例5〜17− 実施例4において、ビニル系単量体(a)、アルコール
類(b)(初期仕込み分と滴下分)、開始剤系(c)、
有機スルホン酸化合物(d)の種類、量および重合温度
を表1〜4に示す通りとしたこと以外は実施例4と同様
にして、精製された重合体〔5〕〜〔17〕を得た。
【0112】これらの重合体の性状を表7に示した。 −実施例18− 実施例4において、ビニル系単量体(a)、アルコール
類(b)(初期仕込み分と滴下分)、開始剤系(c)、
有機スルホン酸化合物(d)の種類、量および重合温度
を表5に示す通りとするとともに、開始剤系(c)のう
ち、ナフテン酸マンガン(Mn分6%のアクリル酸ブチ
ル溶液)0.3部はビニル系単量体(a)に溶かして第
1の混合液の成分として滴下し、シクロヘキサノンパー
オキサイド2.0部はDBSとともにエチレングリコー
ル40部(滴下分)に溶かして第2の混合液の成分とし
て滴下したこと以外は実施例4と同様にして、精製され
た重合体〔18〕を得た。
【0113】この重合体〔18〕の性状を表7に示し
た。 −実施例19〜21− 実施例4において、ビニル系単量体(a)、アルコール
類(b)(初期仕込み分と滴下分)、開始剤系(c)、
有機スルホン酸化合物(d)の種類、量および重合温度
を表5〜6に示す通りとするとともに、界面活性剤(実
施例19、20ではSPAN60((株)花王製、ノニ
オン系界面活性剤)3.0部、実施例21ではペレック
スOT−P((株)花王製)3.0部)をフラスコ初期
仕込みしたこと以外は実施例4と同様にして、精製され
た重合体〔19〕〜〔22〕を得た。
【0114】これらの重合体の性状を表7に示した。 −実施例22− 実施例4において、ビニル系単量体(a)、アルコール
類(b)(初期仕込み分と滴下分)、開始剤系(c)、
有機スルホン酸化合物(d)の種類、量および重合温度
を表6に示す通りとしたこと以外は実施例4と同様にし
て、精製された重合体〔22〕を得た。
【0115】この重合体の性状を表7に示した。 −比較例2− 比較例1において、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メ
チルおよびシクロヘキサノンパーオキサイドからなる混
合液の他に、トリエチルアミン0.6部をエチレングリ
コール33部に溶解させた混合液を前記混合液と同時に
1時間かけて反応容器内へ滴下したこと以外は比較例1
と同様の操作により重合を行って、重合体を含む反応混
合物を得た。この反応混合物のガスクロマトグラフィー
分析によるアクリル酸ブチルおよびメタクリル酸メチル
の残存率から求めた重合率は62%と低いものであっ
た。
【0116】上記反応混合物に対して実施例1と同様の
精製処理を行うことにより、精製された比較用重合体
〔2〕を得た。この比較用重合体〔2〕の数平均分子量
(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を
用いた標準ポリスチレン換算法により測定した結果、6
000であった。また、比較用重合体〔2〕の平均末端
水酸基数(Fn(OH))は、JIS−K−1557に
準じて求めたOH価と上記で測定した数平均分子量の値
を基に算出した結果、0.7(モル/重合体1モル)で
あった。
【0117】−比較例3− 比較例1において、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メ
チルおよびシクロヘキサノンパーオキサイドからなる混
合液の他に、ピリジン0.5部をエチレングリコール3
3部に溶解させた混合液を前記混合液と同時に1時間か
けて反応容器内へ滴下したこと以外は比較例1と同様の
操作により重合を行って、重合体を含む反応混合物を得
た。この反応混合物のガスクロマトグラフィー分析によ
るアクリル酸ブチルおよびメタクリル酸メチルの残存率
から求めた重合率は74%と低いものであった。
【0118】上記反応混合物に対して実施例1と同様の
精製処理を行うことにより、精製された比較用重合体
〔3〕を得た。この比較用重合体〔3〕の数平均分子量
(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を
用いた標準ポリスチレン換算法により測定した結果、5
800であった。また、比較用重合体〔3〕の平均末端
水酸基数(Fn(OH))は、JIS−K−1557に
準じて求めたOH価と上記で測定した数平均分子量の値
を基に算出した結果、0.7(モル/重合体1モル)で
あった。
【0119】−比較例4− 比較例1において、フラスコ中にエチレングリコール1
40部とともにSPAN−60((株)花王製、ノニオ
ン系界面活性剤)3.0部を初期仕込みしたこと以外は
比較例1と同様の操作を行って、精製された比較用重合
体〔4〕を得た。
【0120】この比較用重合体〔4〕の数平均分子量
(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を
用いた標準ポリスチレン換算法により測定した結果、1
1000であった。また、比較用重合体〔4〕の平均末
端水酸基数(Fn(OH))は、JIS−K−1557
に準じて求めたOH価と上記で測定した数平均分子量の
値を基に算出した結果、0.6(モル/重合体1モル)
であった。
【0121】−比較例5− 実施例1において、フラスコ中にエチレングリコール1
40部とともにジオキサン100部を初期仕込みしたこ
と以外は実施例1と同様の重合操作を行って、比較用重
合体〔5〕を生成させた。この比較用重合体〔5〕を精
製した後、その数平均分子量(Mn)を、ゲル浸透クロ
マトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換
算法により測定した結果、6000であった。また、比
較用重合体〔5〕の平均末端水酸基数(Fn(OH))
は、JIS−K−1557に準じて求めたOH価と上記
で測定した数平均分子量の値を基に算出した結果、2.
1(モル/重合体1モル)であった。
【0122】−比較例6− 実施例1において、フラスコ中にエチレングリコール1
40部とともにトルエン50部を初期仕込みしたこと以
外は実施例1と同様の重合操作を行って、比較用重合体
〔6〕を生成させた。この比較用重合体〔6〕を精製し
た後、その数平均分子量(Mn)を、ゲル浸透クロマト
グラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法
により測定した結果、5800であった。また、比較用
重合体〔6〕の平均末端水酸基数(Fn(OH))は、
JIS−K−1557に準じて求めたOH価と上記で測
定した数平均分子量の値を基に算出した結果、1.8
(モル/重合体1モル)であった。
【0123】−比較例7− 実施例1において、フラスコ中にエチレングリコール1
40部とともにSPAN60((株)花王製、ノニオン
系界面活性剤)60部を初期仕込みしたこと以外は実施
例1と同様の重合操作を行って、比較用重合体〔7〕を
生成させた。この比較用重合体〔7〕を精製した後、そ
の数平均分子量(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィ
ー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により測
定した結果、5500であった。また、比較用重合体
〔7〕の平均末端水酸基数(Fn(OH))は、JIS
−K−1557に準じて求めたOH価と上記で測定した
数平均分子量の値を基に算出した結果、2.0(モル/
重合体1モル)であった。
【0124】−実施例23− 攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却器を備えた
フラスコに、実施例12で得られた重合体〔12〕10
0部、ヘキサメチレンジイソシアネート4.6部(NC
O/OH=1.05(モル比))、トルエン200部お
よびジブチルすずジラウレート0.1部を仕込み、80
℃で5時間攪拌を続けて反応を完了し、ポリウレタン
〔23〕のトルエン溶液を得た。
【0125】このポリウレタン〔23〕の数平均分子量
(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を
用いた標準ポリスチレン換算法により測定したところ、
75000であった。 −実施例24− 実施例23において、重合体〔12〕100部のかわり
に、重合体〔12〕65部および実施例13で得られた
重合体〔13〕35部を用い、ヘキサメチレンジイソシ
アネートの量を4.4部に変更したこと以外は実施例2
3と同様の操作を行って、ポリウレタン〔24〕のトル
エン溶液を得た。
【0126】このポリウレタン〔24〕の数平均分子量
(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を
用いた標準ポリスチレン換算法により測定したところ、
80000であった。 −実施例25− 実施例23において、重合体〔12〕100部のかわり
に、重合体〔12〕50部および実施例13で得られた
重合体〔13〕50部を用いたこと以外は実施例23と
同様の操作を行って、ポリウレタン〔25〕のトルエン
溶液を得た。
【0127】このポリウレタン〔25〕の数平均分子量
(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を
用いた標準ポリスチレン換算法により測定したところ、
78000であった。 −実施例26− 実施例23において、重合体〔12〕100部のかわり
に、重合体〔12〕70部および1、4−ブタンジオー
ル0.71部を用いたこと以外は実施例23と同様の操
作を行って、ポリウレタン〔26〕のトルエン溶液を得
た。
【0128】このポリウレタン〔26〕の数平均分子量
(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を
用いた標準ポリスチレン換算法により測定したところ、
72000であった。 −実施例27− 攪拌機、窒素導入管、温度計、滴下ロートおよび還流冷
却器を備えたフラスコに、メチルエチルケトン100
部、ヘキサメチレンジイソシアネート2.0部を仕込
み、還流がかかる温度(約80℃)まで昇温した後、そ
こへ、バイロンGK130(ポリエステルジオール、東
洋紡績(株)製、Mn=6000)60部およびジブチ
ルすずジラウレート0.1部をメチルエチルケトン20
0部に溶解させたものを1時間かけて滴下し、さらに上
記温度で3時間攪拌を続けて反応を完了し、両末端にイ
ソシアネート基を有するポリエステルのメチルエチルケ
トン溶液を得た。
【0129】次に、実施例13で得られた重合体〔1
3〕54部およびジブチルすずジラウレート0.1部を
メチルエチルケトン100部に溶かした溶液を、上記で
得られたメチルエチルケトン溶液の入ったフラスコへ1
時間かけて滴下し、さらに還流温度で3時間攪拌を続け
て反応を完了し、ポリウレタン〔27〕のメチルエチル
ケトン溶液を得た。
【0130】このポリウレタン〔27〕の数平均分子量
(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を
用いた標準ポリスチレン換算法により測定したところ、
95000であった。 −実施例28− 攪拌機、窒素導入管、温度計、滴下ロートおよび還流冷
却器を備えたフラスコに、トルエン100部、ヘキサメ
チレンジイソシアネート3.5部を仕込み、80℃まで
昇温した後、そこへ、実施例13で得られた重合体〔1
3〕47部およびジブチルすずジラウレート0.1部を
トルエン100部に溶解させたものを1時間かけて滴下
し、さらに上記温度で3時間攪拌を続けて反応を完了
し、両末端にイソシアネート基を有するポリマーのトル
エン溶液を得た。
【0131】次に、実施例12で得られた重合体〔1
2〕79部およびジブチルすずジラウレート0.1部を
トルエン100部に溶かした溶液を、上記で得られたト
ルエン溶液の入ったフラスコへ1時間かけて滴下し、さ
らに80℃で3時間攪拌を続けて反応を完了し、ポリウ
レタン〔28〕のトルエン溶液を得た。このポリウレタ
ン〔28〕の数平均分子量(Mn)を、ゲル浸透クロマ
トグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算
法により測定したところ、88000であった。
【0132】−実施例29− 攪拌機、温度計、共沸脱水管、還流冷却器を備えたフラ
スコに、実施例12で得られた重合体〔12〕100
部、無水フタル酸3.9部、キシレン5部を仕込み、十
分に攪拌を行い、共沸脱水管から脱水しながら、まず1
00℃で2時間、ついで160℃で2時間、最後に22
0℃で1時間反応を行わせて、ポリエステル〔29〕を
得た。
【0133】このポリエステル〔29〕の数平均分子量
(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を
用いた標準ポリスチレン換算法により測定したところ、
45000であった。 −実施例30− 実施例29において、重合体〔12〕100部のかわり
に、重合体〔12〕65部および実施例13で得られた
重合体〔13〕35部を用い、無水フタル酸の量を3.
6部に変更したこと以外は実施例29と同様の操作を行
って、ポリエステル〔30〕を得た。
【0134】このポリエステル〔30〕の数平均分子量
(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を
用いた標準ポリスチレン換算法により測定したところ、
42000であった。 −実施例31− 実施例29において、重合体〔12〕100部のかわり
に、重合体〔12〕50部および実施例13で得られた
重合体〔13〕50部を用い、無水フタル酸の量を3.
5部に変更したこと以外は実施例29と同様の操作を行
って、ポリエステル〔31〕を得た。
【0135】このポリエステル〔31〕の数平均分子量
(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を
用いた標準ポリスチレン換算法により測定したところ、
45000であった。 −実施例32− 実施例29において、重合体〔12〕100部のかわり
に、重合体〔12〕65部および1、4−ブタンジオー
ル0.8部を用いたこと以外は実施例29と同様の操作
を行って、ポリエステル〔32〕を得た。
【0136】このポリエステル〔32〕の数平均分子量
(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を
用いた標準ポリスチレン換算法により測定したところ、
44000であった。 −実施例33− アクリルプライマー用樹脂(組成(%):アクリル酸エ
チル/スチレン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸/ア
クリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸メチル=
35/35/12/8/6/3、数平均分子量1500
0、水酸基価36、酸価50)100部に対し、アルキ
ルエーテルアミノホルムアルデヒド樹脂としてサイメル
325(三井サイアナミド(株)製)30部、硬化促進
剤としてパラトルエンスルホン酸0.25部、防錆顔料
としてジンククロメート30部、溶剤としてシクロヘキ
サノン400部および酸化チタン50部をよく攪拌混合
したものを、あらかじめクロメート処理した0.5mm
厚の亜鉛めっき鋼板に乾燥膜厚が5μmになるようにバ
ーコーターで塗布し、220℃で1分間焼き付けた。
【0137】冷却後、プライマー塗膜上に、実施例4で
得られた重合体〔4〕100部、アルキルエーテル化ア
ミノホルムアルデヒド樹脂としてサイメル325(三井
サイアナミド(株)製)30部、硬化促進剤としてパラ
トルエンスルホン酸0.25部、酸化チタン125部、
レベリング剤MKコンク(共栄社油脂化学工業(株)
製)0.5部およびシクロヘキサノン400部をペイン
トシェーカーでよく攪拌混合したものを乾燥膜厚が25
μになるようにバーコーターで塗布し、70℃で10分
間セッティングした後に、235℃で60秒間焼き付け
て、塗装鋼板を作製した。そして、その塗膜について、
下記(1)の方法によりコインスクラッチ性を評価し
た。
【0138】また、あらかじめクロメート処理した0.
5mm厚の亜鉛めっき鋼板に対し、実施例4で得られた
重合体〔4〕100部、アルキルエーテル化アミノホル
ムアルデヒド樹脂としてサイメル325(三井サイアナ
ミド(株)製)30部、硬化促進剤としてパラトルエン
スルホン酸0.25部、酸化チタン125部、レベリン
グ剤MKコンク(共栄社油脂化学工業(株)製)0.5
部およびシクロヘキサノン400部をペイントシェーカ
ーでよく攪拌混合したものを、乾燥膜厚が25μになる
ようにバーコーターで、上記のアクリルプライマー用樹
脂を用いずに直接塗布し、70℃で10分間セッティン
グした後、235℃で60秒間焼き付けて、塗装鋼板を
作製した。そして、その塗膜について以下の(2)〜
(6)の評価を行った。(1)コインスクラッチ性 塗装鋼板塗膜を10円硬貨を用いて力強くひっかいた後
の、塗膜の状態を目視により判定した。
【0139】 ◎・・・プライマー基材(鋼板)から剥離せず、かつ、
プライマーと上塗りとの層間密着性も良好であり、上塗
りのみ凝集破壊する。 ○・・・プライマーが基材からわずかに剥離するが、プ
ライマーと上塗りとの層間密着性は良好。 △・・・プライマーは基材から剥離しないが、プライマ
ーと上塗りとの層間密着性が不良で上塗りが容易に層間
剥離する。
【0140】 ×・・・プライマーごと上塗りが基材から剥離する。プ
ライマーの基材に対する密着性が不十分。 ××・・プライマーごと上塗りが基材から著しく剥離す
る。(2)常温加工性(Tベント) 常温において塗装鋼板を180度4Tから順次0Tまで
折り曲げ、屈折部に発生する割れを15倍のルーペで観
察し判定した。例えば、折り曲げ部に同じ板厚の銅版を
3枚はさみ折り曲げた時に割れが発生した場合、加工性
がTベント3Tであるといい、従ってTベントの数字が
小さい方が加工性が良好であることを示している。(3)密着性 JIS D−0202に準じてクロスカットごばん目剥
離試験を行った。(4)耐沸水試験 塗膜鋼板をイオン交換水中に浸漬し、8時間煮沸した
後、取り出し、塗膜を観察し判定した。
【0141】 ○・・・ブリスターなし。上記(3)による密着性10
0/100。 △・・・ブリスター発生。 ×・・・著しくブリスター発生。(5)耐触性 塗膜鋼板にカッターナイフでクロスカットを施し、JI
S−K−5400に準じて塩水噴霧試験を500時間行
った後、クロスカット部に対してセロハンテープ剥離を
行い、その剥離幅で評価した。(6)鉛筆硬度 三菱ユニ鉛筆を用い、JIS K−5400に従って行
った。
【0142】上記試験結果を表8にまとめた。表8にみ
るように、実施例4で得られた重合体〔4〕を用いたト
ップコートは、プライマーとの密着性にすぐれ、傷つき
にくいばかりでなく、柔軟で加工性にもすぐれ、かつ耐
沸水性や耐触性にもすぐれるものであることがわかっ
た。 −比較例8、9− 実施例33において、上塗り用の塗料に用いる重合体と
して重合体〔4〕の代わりに表8に示した重合体を用い
たこと以外は実施例33と同じ操作を繰り返して、比較
用塗装鋼板を作製した。これらの比較用塗装鋼板の塗膜
について、実施例33と同様の評価試験を行い、その結
果を表8にまとめて示した。
【0143】−実施例34− 実施例22で得られた重合体〔22〕65部に対してキ
シレン17.5部、酢酸ブチル17.5部を添加し、よ
く攪拌し重合体溶液とした後、そこへさらに酸化チタン
(タイペークR−820、石原産業(株)製)を顔料濃
度40%となるように配合し、サンドミルでよく分散し
て、分散液(以下、I液という)を得た。次いで、多官
能イソシアネート(スミジュールN、住友バイエルウレ
タン(株)製)を、上記I液中のヒドロキシル基に対し
て1:1となる量だけ秤取し、これをII液とした。この
ようにして、I液とII液からなる二液性ウレタン樹脂塗
料用組成物を得た。
【0144】この塗料用組成物のI液とII液を混合し、
得られた混合液をエアスプレーでリン散亜鉛処理板に乾
燥膜厚40μとなるよう塗装した後、60℃で30分間
強制乾燥して、各種性能試験用の試験片を作製した。こ
の試験片の塗膜の性能を、次に示す性能試験方法により
鉛筆硬度以外は◎〜○〜△〜×の4段階で評価した。評
価結果は表9に示す。 (性能評価方法) 乾燥性 :強制乾燥直後の指圧判定およびマスキングテ
ストでの判定。 光沢 :60度鏡面反射率測定値の比較。 肉持ち性:塗装皮膜の目視判定。 密着性 :塗装基材に対する密着性で判定。 鉛筆硬度:三菱ユニ鉛筆による傷強度。 加工性(Tベント):塗装鋼板を180度4Tから順次
0Tまで折り曲げ、屈折部に発生する割れを15倍のル
ーペで観察し判定した。例えば、折り曲げ部に同じ板厚
の銅版を3枚はさみ折り曲げた時に割れが発生した場
合、加工性がTベント3Tであると言い、従ってTベン
トの数字が小さい方が加工性が良好であることを示して
いる。 硬化初期の耐溶剤性:ウレタン用シンナーのスポットテ
ストでの判定。 耐薬品性 :5%NaOH水溶液および5%希
釈酸、24時間浸漬。 耐候性(耐チョーキング性):屋外暴露後の光沢保持率
での評価。 耐候性(耐汚染性):屋外暴露後の塗膜の汚れの程度で
判定。 スプレー作業性 :スプレー時の作業性の良悪で判
定。 溶剤希釈性 :シンナーでの希釈のしやすさの度
合いで判定。
【0145】−比較例10− 実施例34において、重合体〔22〕のかわりに、モノ
マー組成がスチレン/メタクリル酸シクロヘキシル/メ
タクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸メチル
/メタクリル酸=40/30/20/10/2(重量
比)で数平均分子量(Mn)が2600の共重合体(比
較用重合体〔10〕)を用いたこと以外は実施例34と
同様の操作を行って、比較用重合体〔10〕を含む塗料
用組成物を作製した。この塗料用組成物による塗膜の性
能評価試験を実施例34と同様にして行った。その結果
を表9に示す。
【0146】−実施例35− トリメチロールプロパンに3当量のトリレンジイソシア
ネートを付加させたもの(コロネートL(日本ポリウレ
タン社製)、以下コロネートLと略す)を、実施例5で
得られた重合体〔5〕100部に対して5部配合し、酢
酸エチルで20%溶液に希釈して、接着剤溶液とした。
被着体として厚さ12μmのポリエリレンテレフタレー
トフィルム(以下、「PET」と略す)およびコロナ放
電処理を施した厚さ50μmの未延伸ポリプロピレンフ
ィルム(以下、「CPP」と略す)を用い、それらをラ
ミネートするために、それら両方に上記接着剤溶液をド
ライラミネーターにより固形分で3.0g/m2 となる
ように塗布し、溶剤を揮散させた後、貼り合わせた。そ
の際、接着剤溶液の濡れ特性を調べた。得られたラミネ
ートフィルムを幅15mmの試験片に切り取り、引っ張
り試験機によって300mm/分でT型剥離試験を行
い、初期接着力を測定した。また、貼り合わせた後、5
0℃で3日間硬化させて得られたラミネートフィルムよ
り試験片を作成し、下記の方法で常態接着力、耐熱水
性、耐薬品性および柔軟性を評価した。それらの結果を
表10に示す。(1)常態接着力 初期接着力と同様のT型剥離試験を行った。(2)耐熱水性と耐薬品性 耐熱水性試験では、試験片を水と共に50ccのオート
クレーブに入れ、120℃で5時間処理した後、T型剥
離試験を行い、剥離の状態と強度を調べた。
【0147】耐薬品性試験では、試験片を4時間25℃
の4%酢酸水溶液に浸漬したものについて、T型剥離試
験を行った。(3)柔軟性 柔軟性は上記各剥離試験における剥離の際の様子によっ
て判定した。表中の印の意味は次の通りである。
【0148】 ○:剥離強度が大きくジワジワ剥がれるため均一強度を
示す。 △:部分的に強度は大きいが簡単に剥がれるところもあ
る。 ×:簡単にパリッと剥がれ強度が小さい。(4)濡れ特性(観察結果) ○:均一に塗布できる。
【0149】 △:部分的にはじく。 ×:はじく。 以上の試験結果から、実施例5で得られた重合体〔5〕
を用いた接着剤組成物は、ラミネート用接着剤として用
いられた場合、初期や常態での接着力が強いばかりでな
く、耐熱水性、耐薬品性および柔軟性にも非常に優れた
ものであることが確認された。
【0150】−比較例11、12− 実施例35において、重合体〔5〕のかわりに表10に
示した重合体を用いたこと以外は実施例35と同じ操作
を繰り返して比較用ラミネートフィルムの試験片を得
た。各試験片の常態接着力、耐熱水性、耐薬品性、柔軟
性および濡れ特性の評価結果を表10に示す。
【0151】−実施例36− 実施例6で得られた重合体〔6〕35部に酢酸エチル3
5部、トルエン30部、コロネートL(日本ポリウレタ
ン社製のイソシアネート化合物)0.5部を添加し、よ
く攪拌した後、25μm厚のPETフィルム上に、乾燥
後の厚さが25μmとなるように塗布し、100℃で3
分間熱乾燥することにより、感圧接着シートを得た。
【0152】この感圧接着シートについて、下記方法で
23℃および5℃での粘着力、初期タック(プローブタ
ック)および粘着保持力を測定した。それらの結果を表
11に示した。粘着力 :温度が23℃で湿度が65%の雰囲気中、およ
び、温度が5℃の雰囲気中で供試感圧接着シート(25
mm幅)をポリエチレン板上に2Kgのゴムローラを1往
復させることによって貼り合わせる。そして25分後に
180度方向に300mm/分の速度で引き剥がしたとき
の抵抗値を測定した。
【0153】初期タック(プローブタック):温度が2
3℃で湿度が65%の雰囲気中、および、温度が5℃の
雰囲気中でプローブタック試験機(ニチバン社製)に供
試感圧接着シートを取り付け、接触時間1秒で1cm/秒
の速度で引き剥がしたときの抵抗値を測定した。粘着保持力 :ステンレス鋼板(SUS304)に供試感
圧接着シートを25mm×25mmの面積で貼り付け、20
分後に80℃で1kgの荷重を掛けて落下するまでの時間
を測定した。
【0154】−実施例37− 実施例7で得られた重合体〔7〕80部に酢酸エチル1
0部、トルエン10部、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト3.5部、コロネートL(日本ポリウレタン社製のイ
ソシアネート化合物)0.5部、ジブチルすずジラウレ
ート0.1部を添加し、よく攪拌した後、25μm厚の
PETフィルム上に、乾燥後の厚さが25μmとなるよ
うに塗布し、100℃で3分間熱乾燥して、感圧接着シ
ートを得た。
【0155】この感圧接着シートについて、実施例36
と同様の方法により、23℃および5℃での粘着力、初
期タック(プローブタック)および粘着保持力を測定し
た。それらの結果を表11に示した。表11にみるよう
に、実施例6で得られた重合体〔6〕を用いた感圧接着
剤組成物および実施例7で得られた重合体〔7〕を用い
た感圧接着剤組成物は、いずれも、常温での粘着力、プ
ローブタック、粘着保持力に優れるばかりでなく、特に
低温での粘着力、プローブタックにも優れたものである
ことが確認された。
【0156】−比較例13− 実施例36において、重合体〔6〕35部のかわりに表
11に示した共重合体を用いたこと以外は実施例36と
同じ操作を繰り返して、比較用感圧接着シートを得た。
この比較用感圧接着シートについて、実施例36と同様
の方法により、23℃および5℃での粘着力、初期タッ
ク(プローブタック)および粘着保持力を測定した。そ
れらの結果を表11に示した。
【0157】−実施例38− 実施例8で得られた重合体〔8〕100部に炭酸カルシ
ウム100部、二酸化チタン15部、酸化カルシウム2
0部、ディスパロン3600N(楠本化成(株)製)2
部、ジブチルすずジラウレート0.5部およびカーボン
ブラック0.2部を配合してニーダーでよく攪拌し、つ
いでヘキサメチレンジイシシアネート9.5部を添加
し、80℃で3時間ニーダーでよく攪拌することによ
り、弾性シーラントを得た。この弾性シーラントについ
て、JIS−A5757による特性評価および下記に示
す耐候性試験を行ったところ、表12に示すような結果
が得られた。耐候性試験 :サンシャインウェザーメーターにおいて、
雰囲気温度63℃、UV照射下、1サイクル2時間、1
サイクル中18分間降雨という条件下に、あらかじめ作
成した試験片(ダンベル)を静置し、160時間後に試
験片(ダンベル)を取り出して、その伸度保持率(%)
を測定した。伸度保持率は、耐候性試験前後の最大伸び
の比により求めた。それらの結果を表12に示す。
【0158】表12にみるように、実施例8で得られた
重合体〔8〕を用いた弾性シーラント組成物は、常態で
の伸びに優れているだけでなく、耐候性にも非常に優れ
たものであることが確認された。 −比較例14〜16− 実施例38において、重合体〔8〕のかわりに表12に
示した重合体を用いたこと以外は実施例38と同じ操作
を繰り返して、各比較用弾性シーラントを得た。
【0159】これらの比較用弾性シーラントについて、
重合体38と同様の性能試験を行ったところ、表12に
示すような結果が得られた。 −実施例39− 実施例9で得られた重合体
〔9〕700部およびトリメ
チロールプロパン6.1部の混合物を2Torrの減圧
下にて70℃で2時間加熱することにより乾燥した。こ
の乾燥して脱気したポリオール混合物にIsonate
143−L(Upjohn Polymer Chem
icals製)500部(イソシアネート2.56ミリ
当量/g)を加え、温度を70℃に70分間保持するこ
とにより、反応を完了させた。生成物は、2.2ミリ当
量/gのイソシアネート含有量および25℃で2000
0cpsの粘度を有するほとんど無色の液体であった。
これを80℃で2週間保存したところ、25℃で350
00cpsまで増粘した。
【0160】次に、35℃に加熱した上記生成物80g
を、Wyandotte製の非イオン性界面活性剤であ
るPluronic L−62の2%水溶液100ml
とともに強力に攪拌することにより、柔軟でしなやかな
軟質ウレタンフォームを得た。その物性を表13に示
す。 −比較例17〜19− 実施例39において、重合体
〔9〕700部のかわりに
表13に示した種類、量の重合体を用いたこと以外は実
施例39と同じ操作を繰り返して、各比較用軟質ウレタ
ンフォームを得た。それらの物性を表13に示した。
【0161】−実施例40− (両末端に重合性不飽和基を有する重合体の合成)攪拌
機、還流冷却器および温度計を備えたフラスコに実施例
10で得られた重合体〔10〕100部、無水マレイン
酸5.8部、ジブチルすずオキサイド0.1部、ハイド
ロキノン0.1部およびトルエン200部を仕込み、8
0℃で5時間攪拌して反応を行ったあと、エバポレータ
ーおよび減圧乾燥器でトルエンを除去することにより、
重合体〔40〕を得た。
【0162】−実施例41− (両末端および側鎖に重合性不飽和基を有する重合体の
合成)攪拌機、還流冷却器および温度計を備えたフラス
コに実施例11で得られた重合体〔11〕100部、メ
タクリル酸2−イソシアナートエチル18部、ジブチル
すずジラウレート0.1部、ハイドロキノン0.1部お
よびトルエン200部を仕込み、80℃で5時間攪拌し
て反応を行ったあと、エバポレーターおよび減圧乾燥器
でトルエンを除去することにより、重合体〔41〕を得
た。
【0163】−実施例42〜46− 実施例40および41で得られた重合体〔40〕および
〔41〕を用いて表14に示す配合物および配合量で各
ゲルコート樹脂組成物を調製した。これらのゲルコート
樹脂組成物の各々100部に対し、アエロジル♯200
(揺変剤、日本アエロジル社製)2.5部、ナフテン酸
コバルトの金属分として0.015部、55%メチルエ
チルケトンパーオキサイド(パーメリックN、日本油脂
社製)1.0部を添加してよく混合した後、その混合物
を、口径3.0mmのスプレーガンを用いて空気圧3.
0Kg/cm2 で塗布膜厚0.2〜0.3mmとなるよ
うにガラス板に塗布した。次に、これを60℃で2時間
硬化させた後、室温まで放冷し、得られた塗膜上に、不
飽和ポリエステル樹脂とガラス繊維を用いてガラス繊維
強化プラスチック層を成型して硬化させた。その後、ガ
ラス板から成型物を脱型し、ゲルコート樹脂層を有する
成型品を得た。
【0164】この成型品のゲルコート層の塗膜物性およ
び耐候性を以下のようにして測定し、その結果を表14
にまとめた。(1)粘度、揺変度およびゲルタイム JIS6901液状不飽和ポリエステル樹脂試験法に準
じて行った。(2)造膜性 スプレー塗装時の外観(ハジキ)を目視で判断した。(3)鉛筆硬度 三菱ユニ鉛筆を用い、JIS K−5400に準じて行
った。(4)耐候性(ブリスター発生時間) スガ試験機製サンシャインウエザオメーターを用い、雰
囲気温度65℃、スプレー周期18分/120分、光
源:アークカーボンという条件下にサンプル成型物を1
000時間置いた際の、表面ゲルコート層の光沢(60
゜Gloss)保持率を求めた。
【0165】表14にみるように、実施例42〜46の
ゲルコート樹脂組成物は、各種成型物に塗布した際のタ
レがなく、かつ作業時の粘度が低く良好な作業性を有す
るばかりでなく、硬度が高く、耐候性の良いゲルコート
層を形成することが確認された。 −実施例47〜49− 実施例24で得られたポリウレタン〔24〕、実施例2
8で得られたポリウレタン〔28〕および実施例30で
得られたポリエステル〔30〕の各々について、以下に
示す熱可塑性エラストマーに関する評価試験を行った。
その結果を表15に示した。(1)引っ張り伸び試験 3号ダンベルを用い、JIS−K6301に従って行っ
た。(2)耐油性試験 ポリマーをJIS♯3オイルに100℃で70時間浸漬
し、試験前に対する浸漬後のポリマーの体積変化率
(%)を測定した。(3)耐候性試験 サンシャインウェザーメーターにおいて、雰囲気温度を
63℃、UV照射下、1サイクル2時間、1サイクル中
18分間降雨という条件下に、200℃で溶融キャスト
し成型したダンベルを静置し、24時間後および330
時間後にダンベルを取り出して、その伸度保持率(%)
を測定した。伸度保持率は、JIS−K6301に従っ
て引っ張り破断伸びを測定し、耐候性試験前後の比によ
り求めた。(4)耐薬品性試験 3号ダンベルを用い、JIS−K6301に従って試験
を行った。ポリマーを40%NaOH水溶液、および各
溶媒に23℃で5日間浸漬した後、ポリマーを取り出し
てその表面状態を観察した。表面の状態から耐薬品性を
下記のA〜Dに段階評価した。
【0166】 A:全く変化なし。 B:ほとんど変化なし。 C:わずかに表面が膨張する。 D:膨張してもろくなる。 表15にみるように、実施例のポリウレタンおよびポリ
エステルを用いた熱可塑性エラストマーは、常態での伸
びが大きいばかりでなく、耐油性、耐候性、耐薬品性な
どにも非常に優れたものであった。
【0167】−比較例20、21− 表15に示した比較用ポリマーについて、熱可塑性エラ
ストマーに関する評価試験を実施例47〜49と同様の
方法により行った。その結果を表15に示す。 −実施例50、51− 実施例25で得られたポリウレタン〔25〕および実施
例31で得られたポリエステル〔31〕について、以下
の成型材料に関する評価試験を行い、その結果を表16
にまとめた。(1)成型加工性 ポリウレタンおよびポリエステルの溶融流動特性の温度
依存性を、降下式フローテスターを用いて昇温法(ホー
ルド185℃×5min、昇温速度5℃/min、ダイ
ス径×長さ=0.5mmφ×5mmL、荷重20kg)
により粘度を測定することにより調べ、その結果に基づ
いて、絶対温度と相関関係にある流量比の対数値を絶対
温度の逆数に対してプロットしてその傾きKを求め、下
記の式に従い、溶融流動の見かけの活性化エネルギーE
a(Kcal/mol)を計算して評価した。
【0168】Ea=−2.303R・K〔ここで、Rは
ガス定数(=1.987cal/deg・mol)を表
す。〕 なお、流量比=(測定温度での単位時間当りにフローテ
スターから流れ出てくるポリマー量)/(基準温度での
単位時間当りにフローテスターから流れ出てくるポリマ
ー量)である。(2)低温特性 低温特性については、ポリウレタンまたはポリエステル
のペレットを250℃で2分間加圧(10kg/cm )
プレスすることにより厚さ100μmのフィルムを調製
し、動的粘弾性自動測定機(110Hz)による主分散
ピーク温度(Ta)を測定することにより評価した。(3)耐加水分解性 耐加水分解性はジャングルテストにより評価した。ジャ
ングルテストは、70℃、95%の相対湿度下に50μ
mの厚みのポリウレタンまたはポリエステルの皮膜を3
0日間放置し、ジャングルテスト前後のフィルムの引っ
張り強度保持率で評価した。(4)耐候性試験 ウェザーメーターにおいて、雰囲気条件を40℃、湿度
68%に設定して、50μmの厚みのポリウレタンまた
はポリエステルの皮膜に光を照射し、7日後に皮膜を取
り出して、耐候性試験前後の引っ張り強度保持率(%)
を求めた。
【0169】表16にみるように、実施例のポリウレタ
ンおよびポリエステルを用いた成型材料は、良好な成型
加工性を有し、低温特性に優れるばかりでなく、耐加水
分解性や耐候性にも非常に優れるものであることが確認
された。 −比較例22、23− 表16に示した比較用ポリマーについて、成型材料に関
する評価試験を実施例50〜51と同様の方法により行
った。その結果を表16に示す。
【0170】−実施例52− (人工皮革組成物及び合成皮革組成物に関する実施例)
攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却器を備えた
フラスコに、実施例12で得られた重合体〔12〕10
0部、1,4−ブタンジオール10部、TDIをNCO
/OH=1.05(モル比)となるように加え、さらに
ジブチルすずジラウレート0.1部を仕込み、DMF中
で80℃で5時間攪拌を続けて反応を完了させて、ポリ
ウレタン〔52〕を得た。
【0171】このポリウレタン〔52〕の数平均分子量
(Mn)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を
用いた標準ポリスチレン換算法により測定したところ、
68000であった。このポリウレタン〔52〕をTH
Fに再溶解してフィルム化した。 −比較例24− (人工皮革組成物及び合成皮革組成物に関する比較例)
実施例52において、重合体〔12〕のかわりに従来公
知の数平均分子量(Mn)=2000のポリエステルジ
オールを用いたこと以外は実施例52と同じ操作を繰り
返して、比較用ポリウレタン〔24〕を得た。
【0172】−比較例25− (人工皮革組成物及び合成皮革組成物に関する比較例)
実施例52において、重合体〔12〕のかわりに従来公
知の数平均分子量(Mn)=3000のポリエーテルジ
オールを用いたこと以外は実施例52と同じ操作を繰り
返して、比較用ポリウレタン〔25〕を得た。
【0173】−実施例53および比較例26〜27− (人工皮革組成物及び合成皮革組成物に関する評価試
験)実施例52で得られたポリウレタン〔52〕および
比較例24〜25で得られた比較用ポリウレタン〔2
4〕〜〔25〕について、以下に示す、人工皮革および
合成皮革に関する評価試験を行った。(1)耐加水分解性 ポリウレタン〔52〕および比較用ポリウレタン〔2
4〕をジャングルテストにより評価した。ジャングルテ
ストは70℃、95%の相対湿度下に50μmの厚みの
ポリウレタン皮膜を12日間放置して行い、ジャングル
テスト前後のインストロンによる応力歪特性結果からフ
ィルムの引っ張り強度保持率(%)を求めて評価した。
その結果は下記の通りであった。
【0174】 ポリウレタン〔52〕 …100% 比較用ポリウレタン〔24〕… 76%(2)耐熱性 ポリウレタン〔52〕と比較用ポリウレタン〔25〕の
耐熱性を評価した。耐熱性は各ポリウレタンフィルムを
120℃の熱風乾燥下で約6日間放置し、熱風乾燥放置
前後のインストロンによる応力歪特性結果からフィルム
の引っ張り強度保持率(%)を求めて評価した。その結
果は下記の通りであった。
【0175】 ポリウレタン〔52〕 …100% 比較用ポリウレタン〔25〕…フィルムの形状を保持し
ていなかった。 −実施例54− (印刷インキ組成物に関する実施例)攪拌機、窒素導入
管、温度計および還流冷却器を備えたフラスコに、実施
例14で得られた重合体〔14〕823部とイソホロン
ジイソシアネート66.7部を入れて混合し、95℃で
10時間反応させて、遊離NCO1.5%のウレタンプ
レポリマーを得た。これにメチルエチルケトン(ME
K)620部を投入して均一溶液にした。次いで、イソ
ホロンジアミン23.3部とジ−n−ブチルアミン2.
4部をMEK226部、イソプロパノール118部の混
合溶液に溶解した溶液に、上記で得られたウレタンプレ
ポリマーのMEK溶液1447部を室温で滴下した。滴
下後昇温し、50℃で3時間反応させて、ポリウレタン
溶液を得た。
【0176】このポリウレタン溶液37.5部、酸化チ
タン25部およびMEK23部をボールミルに24時間
かけた後、酢酸エチル29部を加えて、印刷インキ組成
物を得た。このインキ組成物を使用してグラビア印刷機
でナイロンフィルムおよびポリエステルフィルムに印刷
し、下記に示す方法により、印刷適性(接着性と耐ブロ
ッキング性)と耐久性(耐加水分解性と耐熱劣化性)を
調べた。その結果を表16に示した。この印刷インキ組
成物は、長期間保存しても粘度変化が無く分散性が良好
であった。(1)印刷適性 接着性(セロテープ接着性):印刷後1日放置し、印刷
部分にセロテープを貼り、これを急速に引きはがす。
【0177】 良…全くはがれない。 不良…部分的にはがれる。 耐ブロッキング性:2枚の印刷物の印刷面を合わせて2
枚重ね、熱プレス機により印刷面が密着するように締め
付け、40℃で24時間放置した後、印刷物同士をはが
した。
【0178】 良…全く抵抗感なくはがれたもの。 やや良…ごくわずか抵抗感あり。 不良…明らかな抵抗感があるもの、または、はがれない
もの。(2)耐久性 耐加水分解性:印刷物を100℃の熱水に72時間浸漬
し、印刷部分の粘着性を調べた。
【0179】 良…粘着性無し。 不良…粘着性あり。 耐熱劣化性:印刷物を120℃の熱風乾燥機に1週間放
置後、印刷部分の粘着性を調べた。
【0180】 良…粘着性無し。 不良…粘着性あり。 −比較例28− (印刷インキ組成物に関する比較例)実施例54におい
て、重合体〔14〕のかわりに従来公知の数平均分子量
(Mn)=2,000のポリテトラメチレングリコール
を300部用いたこと以外は実施例54と同じ操作を繰
り返して、比較用印刷インキ組成物を得、この組成物に
ついて、実施例54と同様の方法により、印刷適性と耐
久性を調べた。その結果を表17に示した。
【0181】−比較例29− (印刷インキ組成物に関する比較例)実施例54におい
て、重合体〔14〕のかわりに従来公知の数平均分子量
(Mn)=2,000のポリブチレンアジペートジオー
ルを300部と4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソ
シアネート79部とを用いたこと以外は実施例54と同
じ操作を繰り返して、比較用印刷インキ組成物を得、こ
の組成物について、実施例54と同様の方法により、印
刷適性と耐久性を調べた。その結果を表17に示した。
【0182】−実施例55− (熱硬化型ポリウレタンエラストマー組成物に関する実
施例)次に攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却
器を備えたフラスコに、実施例15で得られた重合体
〔15〕を3440部、ブタンジオールを51部及びT
DIを397部入れ、窒素気流中で80℃で3時間攪拌
を行って反応させた。
【0183】得られた反応生成物3888部を80℃で
減圧脱泡し、あらかじめ120℃で溶融しておいた3,
3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
284部を加え、泡を巻き込まないように1分間攪拌
後、100℃に加熱したモールドに流し込み、100℃
で24時間硬化させて、ポリウレタン〔55〕を得た。
このポリウレタン〔55〕の応力歪特性(インストロン
試験機による)と耐久性を調べた。なお、耐久性は、以
下に示す耐加水分解性と耐熱性で評価した。それらの結
果を表18に示した。(1)耐加水分解性 ジャングルテストにより評価した。ジャングルテスト
は、70℃の温度、95%の相対湿度の条件下にポリウ
レタン成型品を12日間放置して、ジャングルテスト前
後のインストロン試験機による応力歪特性結果より成型
品の引っ張り強度保持率で評価した。(2)耐熱性 ウレタンフィルムを120℃の熱風乾燥下で約6日間放
置し、熱風乾燥放置前後のインストロン試験機による応
力歪特性結果よりフィルムの引っ張り強度保持率で評価
した。
【0184】−比較例30− (熱硬化型ポリウレタンエラストマー組成物に関する比
較例)実施例55において、重合体〔15〕のかわりに
従来公知の数平均分子量(Mn)=1000のポリエス
テルジオールを552部用いたこと以外は実施例55と
同じ操作を繰り返して、比較用ポリウレタン〔30〕を
得た。
【0185】この比較用ポリウレタン〔30〕の応力歪
特性と耐久性を実施例55と同様にして調べた。それら
の結果を表18に記載した。 −比較例31− (熱硬化型ポリウレタンエラストマー組成物に関する比
較例)実施例55において、重合体〔15〕のかわりに
従来公知の数平均分子量(Mn)=1000のポリエー
テルジオールを552部用いたこと以外は実施例55と
同じ操作を繰り返して、比較用ポリウレタン〔31〕を
得た。
【0186】この比較用ポリウレタン〔31〕の応力歪
特性と耐久性を実施例55と同様にして調べた。それら
の結果を表18に記載した。 −実施例56− (両末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレ
ポリマーの合成)攪拌機、窒素導入管、温度計および還
流冷却器を備えたフラスコに、実施例12で得られた重
合体〔12〕を90部及びトリレンジイソシアネートを
8.3部入れ、窒素気流中で80℃で3時間攪拌を行っ
て反応させることにより、イソシアネート末端ポリウレ
タンプレポリマー〔56〕を得た。
【0187】−実施例57− (床材用樹脂組成物に関する実施例)実施例56で得ら
れたイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー〔5
6〕を用い、表19に示す組成のポリウレタン組成物
(床材用樹脂組成物)を製造し、この組成物について、
硬度、表面粘着性、耐久性(耐加水分解性と耐熱性)を
測定評価した。その結果を表20に示した。
【0188】−比較例32− (両末端にイソシアネート基を有するポリエーテルポリ
ウレタンプレポリマーの合成)攪拌機、窒素導入管、温
度計および還流冷却器を備えたフラスコに、数平均分子
量=2000のポリプロピレングリコール85部及びト
リレンジイソシアネート15部を入れ、窒素気流中で8
0℃で3時間攪拌を行って反応させることにより、比較
用イソシアネート末端ポリエーテルポリウレタンプレポ
リマー〔32〕を得た。
【0189】−比較例33− (両末端にイソシアネート基を有するポリエステルポリ
ウレタンプレポリマーの合成)攪拌機、窒素導入管、温
度計および還流冷却器を備えたフラスコに、数平均分子
量=2000のポリエステルジオール85部及びTDI
を15部入れ、窒素気流中で80℃で3時間攪拌を行っ
て反応させることにより、比較用イソシアネート末端ポ
リエステルポリウレタンプレポリマー〔33〕を得た。
【0190】−比較例34、35− (床材用樹脂組成物に関する比較例)比較例32、33
で得られたイソシアネート末端ポリエーテルポリウレタ
ンプレポリマー〔32〕、イソシアネート末端ポリエス
テルポリウレタンプレポリマー〔33〕を用い、表19
に組成を示す各比較用ポリウレタン組成物(床材用樹脂
組成物)を製造し、これらの組成物について、硬度、表
面粘着性、耐久性(耐加水分解性と耐熱性)を測定評価
した。その結果を表20に示した。
【0191】−実施例58− (両末端に重合性不飽和基を有する重合体の合成)実施
例40において、重合体〔10〕100部のかわりに重
合体
〔9〕43部を用いたこと以外は実施例40と同じ
操作を繰り返して、重合体〔58〕を得た。
【0192】−実施例59− (両末端に重合性不飽和基を有する重合体の合成)実施
例40において、重合体〔10〕100部のかわりに重
合体〔16〕100部を用いたこと以外は実施例40と
同じ操作を繰り返して、重合体〔59〕を得た。
【0193】−実施例60− (両末端に重合性不飽和基を有する重合体の合成)実施
例40において、重合体〔10〕100部のかわりに重
合体〔19〕345部を用いたこと以外は実施例40と
同じ操作を繰り返して、重合体〔60〕を得た。
【0194】−実施例61− (両末端に重合性不飽和基を有する重合体の合成)実施
例40において、重合体〔10〕100部のかわりに重
合体〔20〕373部を用いたこと以外は実施例40と
同じ操作を繰り返して、重合体〔61〕を得た。
【0195】−実施例62− 実施例58で得られた重合体〔58〕50部、スチレン
48.5部、シランカップリング剤(KBM−503、
信越化学(株)製)1.5部を混合し、樹脂組成物を得
た。次に、この樹脂組成物に水酸化アルミニウム(ハイ
ジライトH−320、平均粒径3.5ミクロン、昭和電
工(株)製)200部を添加し、高速攪拌機を用いて混
練した。次いで、硬化剤としてカヤエステルO(t−ブ
チルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、化薬ヌー
リー(株)製)0.8部を加えて混合した後、減圧脱泡
して、配合物を得た。この配合物の粘度は、液温30℃
で4.8ポイズであった。
【0196】この配合物を1000×600×6mmの
注型用型に注入し、60℃で硬化させたところ、30分
で硬化し、さらに120℃で2時間、後硬化を行った。
得られた硬化物は、乳白色の美麗に光を散乱する大理石
調を有するものであり、難燃性を有し、表21に示す通
り、耐衝撃性および切削加工性に優れたものであった。
【0197】−実施例63〜66− 表21に示す通りの配合組成とする他は実施例62と同
様の操作を行って、各硬化物を得た。これらの硬化物
は、乳白色の美光を散乱するものであり、難燃性を有
し、表21に示すように、耐衝撃性および切削加工性に
優れたものであった。
【0198】−比較例36− ポリメタクリル酸メチル(アクリペットMD011、三
菱レーヨン(株)製)27部をメタクリル酸メチル73
部に溶解して、粘度5ポイズのメタクリル酸メチルシラ
ップ(樹脂液)を得た。次に、この樹脂液に水酸化アル
ミニウム(ハイジライトH−320、平均粒径3.5ミ
クロン、昭和電工(株)製)200部を添加し、高速攪
拌機を用いて混練した。次いで、硬化剤としてカヤエス
テルO(化薬ヌーリー(株)製)0.8部を加え、混合
後、減圧脱泡して、比較用樹脂配合物を得た。この樹脂
配合物の粘度は、液温30℃で200ポイズであって、
気泡の残留が多く、かつ流動性が悪いため、注型に困難
をきたした。この樹脂配合物を1000×600×6m
mの注型用型に注入し、60℃で硬化を行ったところ、
20分で硬化し、さらに110℃で2時間、後硬化させ
た。
【0199】得られた硬化物の物性は表22に示す通
り、耐衝撃性に問題があった。 −比較例37− 表22に示したように、両末端に重合性不飽和基を有す
る重合体〔58〕50部のかわりにエチレングリコール
ジメタクリレート20部を用いたこと以外は実施例62
と同じ操作を行って、硬化物を得た。
【0200】得られた硬化物の物性は、表22に示す通
りであり、耐衝撃性および加工性において劣っていた。 −比較例38− トリメチロールプロパントリメタクリレート30部、ス
チレン50部、メタクリル酸メチル20部およびシラン
カップリング剤(KBM−503、信越化学(株)製)
1.5部を混合して、単量体混液を得た。
【0201】次に、この混液に水酸化アルミニウム(ハ
イジライトH−320、平均粒径3.5ミクロン、昭和
電工(株)製)300部を添加し、高速攪拌機を用いて
混練した。次いで、硬化剤としてカヤエステルP−70
(t−ブチルパーオキシピバレート、化薬ヌーリー
(株)製)0.5重量部を加え、混合後、減圧脱泡し
て、比較用配合物を得た。この配合物の粘度は、液温3
0℃で10ポイズであった。
【0202】次に、この配合物を1000×600×6
mmの注型用型に注入し、50℃で硬化させたところ、
45分で硬化し、さらに120℃で2時間、後硬化させ
た。得られた硬化物は、乳白色の美麗に光を散乱する大
理石調の半透明性を有するものであり、難燃性を有し、
表22に示すとおり、熱変形温度は230℃と高かった
が、耐衝撃性および加工性において劣っていた。
【0203】−比較例39− ビニルエステル樹脂(ビスフェノールA型エポキシアク
リレート樹脂55部をスチレン45部に溶解したもの)
100部にシランカップリング剤(KBM−503、信
越化学(株)製)1.5部を混合した樹脂液に水酸化ア
ルミニウム(ハイジライトH−320、平均粒径3.5
ミクロン、昭和電工(株)製)200部を入れ、高速攪
拌機を用いて混練した。次いで、硬化剤としてカヤエス
テルO(化薬ヌーリー(株)製)0.8部を加え、混合
後、減圧脱泡して、比較用樹脂配合物を得た。
【0204】この樹脂配合物の粘度は、液温30℃で3
00ポイズあって、気泡の残留が多く、かつ流動性が悪
いために、注型に困難をきたした。この樹脂配合物を1
000×600×6mmの注型用型に注入し、60℃で
硬化させたところ、50分で硬化し、さらに110℃で
2時間、後硬化させた。得られた硬化物の物性は、表2
2に示す通り、耐衝撃性および加工性に問題があった。
【0205】−実施例67− (両末端にカルボキシル基を有する重合体の合成)攪拌
器、還流冷却器および温度計を備えたフラスコに実施例
9で得られた重合体
〔9〕100部、無水マレイン酸1
8.8部、トリエチルアミン2.8部を仕込み、80℃
で6時間攪拌して、重合体〔67〕を得た。
【0206】重合体〔67〕の物性は、GPCによる測
定より数平均分子量(Mn)が2800、アルコール性
KOHによる滴定と先の数平均分子量より平均末端カル
ボキシル基数(Fn(COOH))が4.7(モル/重
合体1モル)というものであった。このことから、反応
は定量的に進行したものと考えられる。 −実施例68− (両末端にカルボキシル基を有する重合体の合成)攪拌
器、還流冷却器および温度計を備えたフラスコに実施例
17で得られた重合体〔17〕100部、無水コハク酸
11.3部、酢酸ナトリウム部2.1を仕込み、80℃
で6時間攪拌して、重合体〔68〕を得た。
【0207】重合体〔68〕の物性は、GPCによる測
定より数平均分子量(Mn)が4200、アルコール性
KOHによる滴定と先の数平均分子量より平均末端カル
ボキシル基数(Fn(COOH))が4.4(モル/重
合体1モル)というものであった。このことから、反応
は定量的に進行したものと考えられる。 −実施例69− (両末端にカルボキシル基を有する重合体の合成)攪拌
器、還流冷却器および温度計を備えたフラスコに実施例
18で得られた重合体〔18〕100部、無水フタル酸
31部、トリエチルアミン2.0部を仕込み、80℃で
6時間攪拌して、重合体〔69〕を得た。
【0208】重合体〔69〕の物性は、GPCによる測
定より数平均分子量(Mn)が2600、アルコール性
KOHによる滴定と先の数平均分子量より平均末端カル
ボキシル基数(Fn(COOH))が4.6(モル/重
合体1モル)というものであった。このことから、反応
は定量的に進行したものと考えられる。 −実施例70− (エポキシ樹脂組成物の評価)実施例67で得た重合体
〔67〕をゴム成分として表23に示す比率でエポキシ
樹脂および硬化剤と混合して、エポキシ樹脂組成物を得
た。
【0209】このエポキシ樹脂組成物について、接着試
験と耐熱性試験を行った。接着試験は、被着体として、
厚さ1.5mm(T型剥離試験用のものは0.5mm)
の冷間圧延鋼板を♯100サンドペーパーで研磨しアセ
トンで洗浄脱脂したものを用い、150℃で1時間加熱
して接着剤を硬化させ、引っ張りせん断力とT型剥離強
度を測定することにより行った。
【0210】耐熱性試験は、接着試験のサンプルを12
0℃の熱風乾燥下で約6日間放置し、熱風乾燥放置前後
で接着試験を行って強度保持率を求めることにより行っ
た。それらの結果を表23に示した。 −実施例71− (エポキシ樹脂組成物の評価)実施例70において、重
合体〔67〕とエポキシ樹脂を、予め150℃で3時間
予備加熱後、硬化剤と混合する以外は実施例70と同じ
操作を繰り返して、エポキシ樹脂組成物の作製と、得ら
れたエポキシ樹脂組成物に関する接着試験および耐熱性
試験を行った。その結果を表23に示した。
【0211】−実施例72、73− (エポキシ樹脂組成物の評価)表23に示すように、実
施例70において、重合体〔67〕のかわりに同量の重
合体〔68〕および〔69〕を使用する以外は実施例7
0と同じ操作を繰り返して、エポキシ樹脂組成物の作製
と、得られたエポキシ樹脂組成物に関する接着試験およ
び耐熱性試験を行った。その結果を表23に示した。
【0212】−比較例40− (比較用エポキシ樹脂組成物の評価)表23に示すよう
に、実施例70において、ゴム成分である重合体〔6
7〕を用いないこと以外は実施例70と同じ操作を繰り
返して、比較用エポキシ樹脂組成物の作製と、得られた
比較用エポキシ樹脂組成物に関する接着試験を行った。
【0213】その結果を表23に示した。 −比較例41− (比較用エポキシ樹脂組成物の評価)表23に示すよう
に、実施例70において、ゴム成分として重合体〔6
7〕のかわりに宇部興産製のハイカーCTBN1300
X8を同量用いる以外は実施例70と同じ操作を繰り返
して、比較用エポキシ樹脂組成物の作製と、得られた比
較用エポキシ樹脂組成物に関する接着試験と耐熱性試験
を行った。その結果を表23に示した。
【0214】−比較例42− (比較用エポキシ樹脂組成物の評価)表23に示すよう
に、実施例70において、ゴム成分として重合体〔6
7〕のかわりに宇部興産製のハイカーCTBN1300
X8を同量用いるとともに、このハイカーCTBN13
00X8をエポキシ樹脂とともに、予め150℃で3時
間予備加熱後、硬化剤と混合すること以外は実施例70
と同じ操作を繰り返して、比較用エポキシ樹脂組成物の
作製と、得られた比較用エポキシ樹脂組成物に関する接
着試験と耐熱性試験を行った。その結果を表23に示し
た。
【0215】
【表1】
【0216】
【表2】
【0217】
【表3】
【0218】
【表4】
【0219】
【表5】
【0220】
【表6】
【0221】
【表7】
【0222】上記表7の注釈は、以下の通りである。 ※1:重合終了後の重合溶液の不揮発分より算出した。 ※2:標準ポリスチレンによる検量線を用いたGPCに
より測定した。 ※3:重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比。 ※4:平均末端水酸基数(Fn(OH))は、JIS−
K−1557に準じて求めたOH価と上記※2で測定し
た数平均分子量の値とを基に算出した。 ※5:まず、得られた重合体と、スミジュ−ルN−75
(3官能イソシアネート化合物、住友バイエルウレタン
社製)とを、イソシアネート基と水酸基のモル比が1.
1/1になるように混合して、約40%のトルエン溶液
とした後、触媒としてジブチルすずジラウレートを微量
添加し、よく攪拌混合したものを、80℃で3時間反応
させて、ポリウレタンフィルムを得た。
【0223】次に、そのフィルムを充分乾燥させた後、
テトラヒドロフランを溶媒としたソックスレー抽出に8
時間かけ、抽出されずに残った不溶分の重量%をゲル分
率として表示した。 ※6:まず、得られた重合体と、デスモジュ−ルH(2
官能イソシアネート化合物、住友バイエルウレタン社
製)とを、イソシアネート基と水酸基のモル比が1.0
5/1になるように混合して、約40%のトルエン溶液
とした後、触媒としてジブチルすずジラウレートを微量
添加し、よく攪拌混合したものを、80℃で3時間反応
させて、ポリウレタンフィルムを得た。次に、そのフィ
ルムを充分乾燥させた後、テトラヒドロフランを溶媒と
したソックスレー抽出に8時間かけ、抽出されずに残っ
た不溶分の重量%をゲル分率として表示した。
【0224】
【表8】
【0225】
【表9】
【0226】
【表10】
【0227】
【表11】
【0228】
【表12】
【0229】
【表13】
【0230】
【表14】
【0231】
【表15】
【0232】
【表16】
【0233】
【表17】
【0234】
【表18】
【0235】
【表19】
【0236】
【表20】
【0237】
【表21】
【0238】
【表22】
【0239】
【表23】
【0240】
【発明の効果】この発明の製造方法によれば、アクリル
酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸
エステル等の有極性のビニル系単量体も含めた幅広いビ
ニル系単量体から、両末端に水酸基を有する重合体(重
合体A)を容易かつ安価に効率よく得ることができる。
【0241】この製造方法により得られる重合体Aは、
両末端に水酸基を有することにより、それ自身、ポリエ
ステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹
脂、各種ブロックポリマーなどの各種樹脂の原料もしく
は添加剤として、または、重合体のままで、塗料(ハイ
ソリッド、低温硬化等)、弾性壁材、塗膜防水材、粘着
剤、床材、粘着性付与剤、接着剤、バインダー(磁気記
録媒体、インキバインダー、鋳物バインダー、焼成レン
ガバインダー、グラフト材、マイクロカプセル、グラス
ファイバーサイジング等)、シーリング材、ウレタンフ
ォーム(硬質、半硬質、軟質)、ウレタンRIM、UV
・EB硬化樹脂、熱硬化型エラストマー、熱可塑性エラ
ストマー、マイクロセルラー、繊維加工剤、可塑剤、吸
音材料、制振材料、界面活性剤、ゲルコート剤、人工大
理石用樹脂、人工大理石用耐衝撃性付与剤、インキ用樹
脂、フィルム(ラミネート接着剤、保護フィルム等)、
合わせガラス用樹脂、反応性希釈剤、各種成型材料、弾
性繊維、人工皮革、合成皮革、分散剤、水性ウレタンエ
マルジョン等の用途に非常に有用であるとともに、両末
端の水酸基を適当な方法により反応させることにより、
水酸基以外の官能基(例えば、ビニル基などの重合性不
飽和基、ホルミル基、アミノ基、カルボキシル基、エチ
ニル基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシリル
基、ヒドロシリル基、メルカプト基、オキサゾリン基、
マレイミド基、アズラクトン基、ラクトン基、臭素、塩
素など)を両末端に有する重合体へ容易に変換すること
が可能である。この重合体も大変有用である。例えば、
両末端にカルボキシル基を有する重合体(重合体C)
は、エポキシ接着剤の耐衝撃性付与剤として大変有効で
ある。また、重合体Aの末端水酸基にエチレンオキサイ
ドやプロピレンオキサイドを複数個付加させることによ
り、界面活性剤、ウレタンフォーム、セメント減水剤、
相溶化剤などの原料となる。
【0242】この発明の製造方法により得られる重合体
Aと、水酸基と反応可能な官能基を1分子中に2個以上
有する多官能化合物(f)とを必須成分として含む組成
物(組成物A)は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリカーボネート樹脂などの各種樹脂、各種ブロッ
クポリマー、塗料(ハイソリッド、低温硬化等)、弾性
壁材、塗膜防水材、粘着剤、床材、粘着性付与剤、接着
剤、バインダー(磁気記録媒体、インキバインダー、鋳
物バインダー、焼成レンガバインダー、グラフト材、マ
イクロカプセル、グラスファイバーサイジング等)、シ
ーリング材、ウレタンフォーム(硬質、半硬質、軟
質)、ウレタンRIM、UV・EB硬化樹脂、熱硬化型
エラストマー、熱可塑性エラストマー、マイクロセルラ
ー、繊維加工剤、可塑剤、吸音材料、制振材料、界面活
性剤、ゲルコート剤、人工大理石用樹脂、人工大理石用
耐衝撃性付与剤、インキ用樹脂、フィルム(ラミネート
接着剤、保護フィルム等)、合わせガラス用樹脂、反応
性希釈剤、各種成型材料、弾性繊維、人工皮革、合成皮
革、分散剤、水性ウレタンエマルジョン等の原料とし
て、また、各種樹脂添加剤およびその原料等に用いられ
た場合、柔軟で強靭な機械物性を有するのみでなく、重
合体Aの主鎖を構成する単量体成分(a)の種類によっ
ては、非常に良好な透明性、耐候性、耐水性、耐加水分
解性、耐薬品性などの物性も遺憾なく発揮し、非常に良
好な物性を示す。
【0243】例えば、重合体Aとして重量平均分子量が
およそ1000〜10000程度の低分子量のものを用
い、これを、2官能イソシアネート化合物などとの組み
合わせにより、基材に塗布後に、鎖延長させ、粘着剤と
して用いた場合、官能基を有するビニル系単量体を共重
合させて得られた従来の重合体を用いた場合(通常、重
量平均分子量が100000以上のものが用いられる)
に比べて、粘着剤組成物の粘度が低く、そのため、溶剤
の使用量が減らせる、作業性が良くなるなど、従来の粘
着剤組成物にはなかった画期的な効果を持った粘着剤組
成物が得られる。
【0244】前記組成物Aを接着剤組成物用途に用いる
場合、この組成物は、必須成分の一つとして、重合体A
を含んでいるため、官能基を有するビニル系単量体を共
重合させて得られたアクリル系の重合体を用いた場合に
比べて、同等の接着性能を出す場合、接着剤組成物の粘
度が低く、そのため、溶剤の使用量が減らせる、作業性
が良くなるなど、従来の接着剤組成物にはなかった効果
が得られる。また、組成物Aを用いた接着剤は、現在用
いられているポリエーテルポリオールを用いた接着剤と
比べて耐熱性が優れているとともに、現在用いられてい
るポリエステルポリオールを用いた接着剤と比べると耐
加水分解性が優れている。
【0245】組成物Aをウレタンフォーム用途に用いる
場合、重合体Aを、従来公知のイソシアネート化合物な
どと組み合わせて用いるため、柔軟性、耐候性、耐熱
性、耐水性、耐薬品性、反発弾性率において従来のウレ
タンフォーム組成物にはなかった効果が得られる。ま
た、組成物Aを用いたウレタンフォームは、現在用いら
れているポリエーテルポリオールを用いたウレタンフォ
ームと比べて耐熱性が優れており、現在用いられている
ポリエステルポリオールを用いたウレタンフォームと比
べると耐加水分解性が優れている。
【0246】組成物Aをシーリング材用途に用いる場
合、重合体Aを、従来公知のイソシアネート化合物など
と組み合わせる事により、柔軟かつ強靱で、耐候性、耐
熱性、耐水性、耐薬品性、反発弾性率において従来のシ
ーリング材組成物にはなかった効果が得られる。また、
組成物Aを用いたシーリング材は、現在用いられている
ポリエーテルポリオールを用いたシーリング材と比べて
耐熱性が優れている。
【0247】重合体Aを、1分子中に水酸基と反応可能
な官能基と重合性不飽和基との2種類の反応性基を併せ
て有する化合物(j)と反応させて得られる、両末端に
重合性不飽和基を有する重合体(重合体B)に加えて、
1分子中に重合性不飽和基を少なくとも1個有するビニ
ル系単量体を必須成分として含む組成物をゲルコート樹
脂組成物、人工大理石用樹脂組成物、合わせガラス用樹
脂組成物等に用いた場合、成型時の反応収縮が小さく、
作業時の粘度が低く、作業性がよく、また、硬化物の硬
度が大きく、強靭で耐候性のよい樹脂が得られる。
【0248】前記の人工大理石用樹脂組成物から得られ
る人工大理石は、耐熱性、耐候性に優れるとともに、前
記重合体Bを用いることにより、本組成物は成型時の重
合による収縮が小さいので、成型時にクラックが発生す
るなどの問題が解決される。また、重合体の末端で架橋
構造に組み込まれるため、重合体主鎖にゴム成分を用い
ることにより、成型物の可とう性を大幅に向上させ、耐
衝撃性の極めて良好な成型物を得ることができる。ま
た、同様の理由で、切削加工時の欠けなどもなく、切削
加工性も良好なものである。
【0249】さらに、重合時の重合収縮を抑え、成型物
に可とう性を与えるために、従来より行われていた重合
性不飽和基を有さない熱可塑性ポリマーを添加した場合
と異なり、添加する重合体が両末端に重合性不飽和基を
有するため、成型後も架橋構造に組み込まれるので、添
加量を増やしても、耐熱性が低下するなどの問題も生じ
ず、また、可とう性も十分に付与される。
【0250】重合体Aを多官能イソシアネート化合物
(g)と反応させて得られるポリウレタン、ならびに、
重合体Aを、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有
する化合物(i)と反応させて得られるポリエステル
は、成型材料に用いた場合、柔軟で強靭な機械物性を有
するのみでなく、重合体Aの主鎖を構成するビニル系単
量体成分(a)の種類によっては、非常に良好な透明
性、耐候性、耐水性、耐加水分解性、耐油性、耐薬品性
などの物性も遺憾なく発揮し、非常に良好な物性を示す
非常に有用なものである。
【0251】重合体Aを、水酸基と反応可能な官能基と
カルボキシル基との2つの反応性基を1分子中に併せて
有する化合物(k)および/または酸無水物と反応させ
て得られる、両末端にカルボキシル基を有する重合体
(重合体C)は、その主鎖を構成するビニル系単量体
(a)の種類を任意に選択することにより、水酸基を有
する重合体Aと同様に、透明性、耐候性、耐水性、耐加
水分解性、耐薬品性を有し、また、重合体Cから誘導さ
れるポリエステルなどの各種樹脂は、非常に伸びがあり
(曲げ加工性が良く)かつ強靱であるという特性を発揮
することから、塗料、粘接着剤、各種成型材料、樹脂改
質材(耐衝撃性付与材)、制振材料、弾性壁材、床材、
繊維加工材、UV・EB硬化樹脂等の原料として有用な
ものである。さらに、この重合体Cは、水酸基末端では
用いることが難しかったエポキシ樹脂の硬化剤および添
加剤などにも用いることができるという特徴を有する。
【0252】次に、重合体Cと、カルボキシル基と反応
可能な官能基を1分子中に2個以上有する化合物(l)
とを必須成分として含むことを特徴とする樹脂組成物
は、その主鎖を構成するビニル系単量体(a)の種類を
任意に選択することにより、重合体Aを必須成分として
含む前述の組成物Aと同様に、透明性、耐候性、耐水
性、耐加水分解性、耐薬品性を有し、また、重合体Cを
含む組成物から誘導されるポリエステルなどの各種樹脂
は、非常に伸びがあり(曲げ加工性が良く)かつ強靱で
あるという特性を発揮することから、塗料、粘接着剤、
各種成型材料、樹脂改質材(耐衝撃性付与材)、制振材
料、弾性壁材、床材、繊維加工材、UV・EB硬化樹脂
等の原料として有用なものである。さらに、この重合体
Cを含む組成物は、水酸基末端では用いることが難しか
ったエポキシ樹脂組成物に用いることができるという特
徴を有する。
【0253】重合体Cを必須成分として含むことを特徴
とするエポキシ樹脂組成物では、重合体Cをゴム成分と
してエポキシ樹脂に添加する事により靱性が改善される
とともに、耐熱性と耐候性において従来のエポキシ樹脂
組成物にはなかった効果が得られる。つまり、重合体C
を用いたエポキシ樹脂組成物は、現在用いられているポ
リブタジエンポリオールやポリブタジエン/アクリロニ
トリルポリオールを添加したエポキシ樹脂組成物と比べ
て耐熱性と耐候性が優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池内 博之 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒 中央研究所内 (72)発明者 田村 文秀 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒 中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭50−146690(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 2/00 - 2/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル系単量体(a)の重合を、アルコ
    ール類(b)の存在下、有機過酸化物を必須とする開始
    剤系(c)を用いて行うことにより、両末端に水酸基を
    有する重合体を製造する方法であって、反応器内には、
    有機スルホン酸(d)をさらに共存させるとともに、前
    記4者(a)、(b)、(c)、(d)以外の成分は、
    反応器内の全成分に対して10重量%を超えては存在さ
    せないようにすることを特徴とする重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 ビニル系単量体(a)、アルコール類
    (b)、開始剤系(c)、有機スルホン酸(d)以外の
    成分として界面活性剤(x)を反応器内の全成分量に対
    して10重量%未満存在させるようにする請求項1記載
    の重合体の製造方法。
JP4293468A 1992-09-03 1992-10-30 重合体の製造方法 Expired - Lifetime JP2769074B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4293468A JP2769074B2 (ja) 1992-09-03 1992-10-30 重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23620592 1992-09-03
JP4-236205 1992-09-03
JP4293468A JP2769074B2 (ja) 1992-09-03 1992-10-30 重合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06128311A JPH06128311A (ja) 1994-05-10
JP2769074B2 true JP2769074B2 (ja) 1998-06-25

Family

ID=26532540

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4293468A Expired - Lifetime JP2769074B2 (ja) 1992-09-03 1992-10-30 重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2769074B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002340487A (ja) * 2001-05-18 2002-11-27 Noritake Co Ltd 循環式熱交換方法及び熱交換装置
WO2013056391A1 (en) * 2011-10-18 2013-04-25 Bayer Materialscience Ag Process for the coating of textiles

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5434425B2 (ja) * 1974-05-16 1979-10-26

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06128311A (ja) 1994-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2594402B2 (ja) 重合体の製造方法
JPH06239912A (ja) 重合体の製造方法
US5391665A (en) Process for producing polymer having hydroxyl groups at both terminals
US8829080B2 (en) Coating agent and method for production thereof
JPH06211922A (ja) 硬化性組成物
EP0610515B1 (en) Process for producing polymer
JP2769074B2 (ja) 重合体の製造方法
TW202146488A (zh) 2液型接著性組合物
JPH06116312A (ja) 重合体の製造方法
JPH08120046A (ja) 樹脂組成物
JP3084238B2 (ja) 両末端に水酸基を有する重合体を含む組成物とその用途
JPH06234803A (ja) 重合体の製造方法
JPH06234804A (ja) 重合体の製造方法
JPH08283310A (ja) 重合体の製造方法
JP2010508379A (ja) 重合可能なモノマーと、フリーラジカル開始剤とを含む、フリーラジカル硬化性組成物
JPH08283355A (ja) 樹脂組成物並びに樹脂硬化物の製造方法
JPH06100610A (ja) 重合体の製造方法、前記重合体を含む組成物ならびに前記組成物から誘導されるポリマー
JP2996426B2 (ja) 硬化性組成物
JPH09137119A (ja) 非汚染塗料組成物
JPH09157584A (ja) 非汚染塗料組成物
JPH01279913A (ja) 硬化性組成物
JPH0753615A (ja) 重合体の製造方法
JP3446235B2 (ja) 常温硬化性樹脂組成物
JP2003327952A (ja) シーリング材組成物
EP0662501A1 (en) Polymeric compositions, their preparation and use