JP2004075836A - シーリング材組成物 - Google Patents

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Akihito Iida
飯田 晃人
Hiroshi Inukai
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Abstract

【課題】常温硬化可能であり、基材密着性、上塗り塗料密着性、耐汚染性のよいシーリング材組成物を提供する。
【解決手段】架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)およびアミノシラン化合物とイソシアネート化合物との反応物(B)を含有するシーリング材組成物。上記成分(A)および(B)のほか、ガラス転移温度が10℃以下、重量平均分子量が800〜15000である架橋性シリル基を有していない(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)をも含有するシーリング材組成物。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温硬化可能であり、基材密着性、上塗り塗料密着性、耐汚染性のよいシーリング材組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シーリング材は建築や土木等の分野において欠かせない材料である。シーリング材の成分には、通常シーリング基材以外に充填剤、可塑剤、硬化促進剤、老化防止剤、チクソ性付与剤などが添加されている。このうち、可塑剤は主として作業性を向上するために添加され、通常ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート等のフタル酸エステルやポリプロピレングリコール系の可塑剤が用いられる。今や汎用的になっている変成シリコーン(末端に架橋性シリル基を有するオキシアルキレン重合体)を基材としたシーリング材でも、これまでにこれらの可塑剤が主に用いられてきているが、これは十分な耐候性を有していなく、また施工後年月を経るとともに表面にブリードし、自己汚染・周辺汚染をするという問題があった。かかる問題を解決するために、最近では上記フタル酸エステルに代えて、ガラス転移温度の低い(メタ)アクリル酸エステル系重合体が可塑剤として添加された変成シリコーンを基材とした硬化性組成物が提案され、シーリング材として利用できることが知られている(特開2001−288374号公報)。
しかしながら、上記公知文献に具体的に開示されている組成物は、自己汚染、周辺汚染、耐候性には優れているものの、基材への密着性が十分ではない場合があり特に基材表面をプライマー処理することなく施工した時の基材密着性は不十分な場合があった。また、施工されたシーリング材上に塗料を塗装する際の上塗り塗料との密着性が十分でない場合もあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、常温硬化可能であり、基材密着性、上塗り塗料密着性、耐汚染性のよいシーリング材組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明のシーリング材組成物は、架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)およびアミノシラン化合物とイソシアネート化合物との反応物(B)を含有するものである。
請求項2に記載の発明のシーリング材組成物は、架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)100質量部およびアミノシラン化合物とイソシアネート化合物との反応物(B)0.1〜10質量部を含有するものである。
請求項3に記載の発明のシーリング材組成物は、請求項1または2に記載のシーリング材組成物において、架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)が架橋性シリル基を有するオキシアルキレン重合体または架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明のシーリング材組成物は、請求項1〜3のいずれかに記載のシーリング材組成物において、アミノシラン化合物とイソシアネート化合物との反応物(B)が常温で液状であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明のシーリング材組成物は、請求項1〜4のいずれかに記載のシーリング材組成物において、アミノシラン化合物とイソシアネート化合物との反応物(B)がアミノシラン化合物中のアミノ基またはイミノ基の活性水素とイソシアネート化合物中のイソシアネート基とのモル比1/0.8〜0.8/1の割合で混合反応され、アミノ基もしくはイミノ基の活性水素またはイソシアネート基の反応率90%以上であることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明のシーリング材組成物は、請求項1〜5のいずれかに記載のシーリング材組成物において、アミノシラン化合物が2級アミノ基を有し、イソシアネート化合物が1分子中に2個以上のイソシアネート基を有することを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明のシーリング材組成物は、請求項1〜6のいずれかに記載のシーリング材組成物において、該シーリング材組成物が架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)100質量部を基準として、ガラス転移温度が10℃以下、重量平均分子量が800〜15000である架橋性シリル基を有していない(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)1〜100質量部をも含有することを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)は、シーリング材組成物がシーリング材としての機能を発揮するための基本となる成分である。架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)は、架橋性シリル基を側鎖または分子の末端に有する有機重合体である。
【0006】
架橋性シリル基の具体例としては、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジメチルメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメチルエトキシシリル基等のアルコキシシリル基、トリクロロシリル基等のハロゲンが結合したシリル基が挙げられる。
【0007】
シーリング基材(A)を構成する有機重合体としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等のポリオキシアルキレン、ポリエステル、ポリカーボネート等の両末端官能基を変性し、架橋性シリル基が導入されたものが挙げられる。また、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、(メタ)アクリル酸エステル類、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類、クロロトリフルオロエチレン等の含フッ素オレフィン等のビニル単量体単位を構成単位として有する重合体の末端に架橋性シリル基が導入されたものが挙げられる。さらに、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、(メタ)アクリル酸エステル類、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類、クロロトリフルオロエチレン等の含フッ素オレフィン等のビニル単量体単位および架橋性シリル基を有するビニル単量体単位を構成単位として有する重合体が挙げられる。シーリング基材(A)はこれらが併用されたものであってもよい。
【0008】
シーリング基材(A)を構成する有機重合体の中でも、後述する(B)成分添加による基材密着性および上塗り塗料密着性を向上させる効果が大きいため、架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン、架橋性シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体、およびこれらの混合物が好ましい。
【0009】
アミノシラン化合物とイソシアネート化合物との反応物(B)(以下、アミノシラン・イソシアネート反応物(B)ともいう。)は、シーリング材とシーリング材が施工される基材との密着性(以下、単に基材密着性という。)およびシーリング材とシーリング材表面に塗工される上塗り塗料との密着性(以下、単に上塗り塗料密着性という。)を優れたものにするために必要な成分である。
【0010】
アミノシラン・イソシアネート反応物(B)の原料であるアミノシランとは分子中にNHR(Rは水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を意味する。)で表されるアミノ基またはイミノ基と加水分解性シリル基を併せ持つ化合物である。具体的にはアミノメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、 N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメチキシシリルプロピル)アミン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ベンジルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤が使用可能である。アミノシラン類は単独、あるいは複数併用して用いる事ができる。
【0011】
アミノシラン・イソシアネート反応物(B)のもう一方の原料であるイソシアネート化合物とは、イソシアネート基を有する化合物である。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の環状脂肪族ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類をそのまま用いても良いし、これらのイソシアネートを多価アルコールに付加させたもの(アダクト型イソシアネート)、前記ジイソシアネートのヌレート型多量体、ビュレット体等が用いられる。また、イソシアネート基含有シランカップリング剤等も使用可能である。
【0012】
アミノシラン化合物とイソシアネート化合物との付加反応は無溶剤下、あるいは水酸基含有有機溶剤を除く有機溶剤中で所定量のアミノシラン化合物とイソシアネート化合物を加熱、混合し行う事ができる。アミノシラン化合物とイソシアネート化合物の反応は、ガスクロマトグラフィーによるアミノシラン化合物の減少、および赤外分光分析(IR)によるイソシアネート基の吸収の減少から追跡可能である。アミノシラン化合物とイソシアネート化合物の反応時の混合比はNH、またはNHの水素原子/NCO基がモル比で1.0/0.8〜0.8/1.0の範囲であり、また、反応が90%以上進行しているものであることがシーリング材組成物を長期保管にしたときに初期性能を維持するため好ましい好ましい。未反応のNH基が多く存在すると(A)成分の架橋性シリル基を有するシーリング基材と混合した時に、助触媒として作用するため、可使時間が短くなる。ただし、可使時間や、硬化速度は硬化触媒量で調節可能である。また、未反応イソシアネート化合物が多く存在する場合には(A)成分、(B)成分を混合したシーリング材組成物を長時間加熱した時に硬化速度が変化するおそれがある。また、シーリング材組成物にさらにアミノシラン化合物を添加する場合、アミノシランと未反応イソシアネートが反応してしまう。
【0013】
(B)成分は液状物であることが、シーリング材組成物の製造面や、シーリング施工時の作業性の面で好ましい。
また、アミノシラン化合物として、2級のアミノシラン類を使用し、イソシアネート基含有化合物としてポリイソシアネート(1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物)を使用することが密着性の点で最も好ましい。
【0014】
シーリング材組成物は、架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)100質量部を基準としてアミノシラン・イソシアネート反応物(B)0.1〜10質量部を含有するものが好ましく、1〜8質量部を含有するものがより好ましい。アミノシラン・イソシアネート反応物(B)の割合が少なすぎると基材密着性および上塗り塗料密着性向上効果が十分でない場合があり、多すぎるとシーリング材組成物を施工する際の作業性が悪いものとなる場合がある。
【0015】
シーリング材組成物は、上記必須成分のほかにガラス転移温度が10℃以下、重量平均分子量が800〜15000である架橋性シリル基を有していない(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)が添加されたものであってもよい。このような重合体(C)は可塑剤として機能するのもであり、組成物の取り扱い作業性や耐候性を良好にするのみでなく、通常使用されている低分子の可塑剤が添加された場合に問題となる耐汚染性の悪化などを起こさない。上記重合体(C)のことを以下、可塑化重合体ともいう。可塑化重合体の好ましい重量平均分子量は1000〜11000である。重量平均分子量が小さすぎると施工されたシーリング材の表面にブリ−ドして耐汚染性が悪くなることがあり、大きすぎるとシーリング材組成物が相溶性の悪いものとなりシーリング材として必要な性能を発揮できなくなる場合がある。可塑化重合体のガラス転移温度の下限は特にないが入手できる単量体の性質上−70℃程度である。
【0016】
シーリング材組成物は、架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)100質量部を基準として、可塑化重合体1〜100質量部を含有するものが好ましく、5〜100質量部を含有するものがより好ましく、10〜100質量部を含有するものがさらに好ましい。可塑化重合体の添加割合が少なすぎると可塑剤としての効果が不充分となり、得られるシーリング材組成物が作業性の不充分なものとなる場合がある。また、添加割合が多すぎると施工されたシーリング材表面上にブリードがおき、汚染性が悪くなる場合がある。
【0017】
可塑化重合体としては特開2001−207157号記載のアクリル酸エステル共重合体等が使用可能である。可塑化重合体製造に用いられるアクリル酸エステルとしてはエステル部分が炭素数1〜20のものが好ましい。具体的にはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシルおよびアクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルおよびアクリル酸トリシクロデシニル等のアクリル酸脂環式アルキル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルおよびアクリル酸ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン付加反応物等のアクリル酸ヒドロキシアルキル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸クロロエチル、アクリル酸トリフルオロエチルおよびアクリル酸テトラヒドロフルフリル等のヘテロ原子含有アクリル酸エステル類が挙げられるが、これらに限らない。また、これらのうちの2種類以上が併用されてもよい。
また、アクリル酸エステル以外の共重合可能な単量体を共重合させることも可能である。例えば、メタクリル酸エステル、α−オレフィン類、ビニルエステル類およびビニルエーテル類などの、ビニル単量体が挙げられる。水酸基、アルコキシシリル基等の官能基含有単量体を共重合したものも使用可能である。
【0018】
可塑化重合体の具体例としては、東亞合成株式会社製のARUFON UP1000、ARUFON UP1010、ARUFON UP1020、ARUFON UP1060、ARUFON UP1080、ARUFON UP1110、ARUFON UH2000、ARUFON UH2130等(ARUFONは東亞合成株式会社の登録商標)などが挙げられる。
【0019】
シーリング材組成物は、(C)成分である可塑化重合体以外の、一般に使用される可塑剤(以下、汎用可塑剤ともいう。)が添加されたものであってもよい。汎用可塑剤の例としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチル等の2塩基酸のジエステル類、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のグリコールエステル類、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪酸エステル類、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル等のリン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類、ポリエステル系可塑剤;ポリプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル類;ポリーαーメチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレン類、ポリブタジエン、ブタジエンーアクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン塩素化パラフィン等が挙げられる。
これらの汎用可塑剤は、単独でも任意の割合で複数混合しても構わない。また、可塑化重合体および汎用可塑剤が併用されてもよい。
【0020】
シーリング材組成物は、上記成分のほか充填材、チクソ性付与剤、老化防止剤、硬化促進剤、密着増強剤、脱水剤、有機溶剤等が添加されたものであってもよい。
充填材としては、平均粒径0.02〜2.0μm程度の軽質炭酸カルシウム、平均粒径1.0〜5.0μm程度の重質炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、合成ケイ酸、タルク、ゼオライト、マイカ、シリカ、焼成クレー、カオリン、ベントナイト、水酸化アルミニウムおよび硫酸バリウム、ガラスバルーン、シリカバルーン、ポリメタクリル酸メチルバルーンが例示される。これら充填剤により、力学的な性質が改善され、強度や伸度を向上させることができる。
この中でも、物性改善の効果が高い、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムおよび酸化チタンが好ましい。充填材の添加量は、架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)およびガラス転移温度が10℃以下、重量平均分子量が800〜15000である架橋性シリル基を有していない(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の合計量100質量部を基準として50〜300質量部が好ましく、100〜250質量部がより好ましい。充填材の量が多すぎても少なすぎても、シーリング材の力学的性質が損なわれる場合がある。
老化防止剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物および蓚酸アニリド系化合物などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物などの光安定剤、ヒンダードフェノール系などの酸化防止剤などが挙げられ、これらは併用されてもよい。
硬化促進剤としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセトアセトナート等の錫系硬化促進剤が挙げられる。チクソ性付与剤としては、アマイドワックス系、シリカ系のチクソ性付与剤が挙げられ、密着増強剤としてはアミノシラン、エポキシシラン等が挙げられ、脱水剤としてはビニルシラン、メチルシラン類やオルト蟻酸メチルおよびオルト酢酸メチルなどが挙げられる。
以下、合成例および実施例を挙げて、具体的に説明する。
【0021】
【実施例】
(アミノシラン化合物とイソシアネート化合物の反応物(B)の合成)
合成例1
γ−アミノプロピルトリエトキシシランの22.1g(0.1mol)、トルエンの22.1gを入れたナスフラスコに窒素気流下でγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランの51.9g(0.21mol)とトルエンの51.9gの混合物を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下した(NH/NCOモル比=1.0/1.05)。混合液を更に50℃で5時間攪拌し、ガスクロマトグラフィー分析したところ、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの転化率は99%であり、IRによるイソシアネート基の残率は5%以下であったため室温に戻した。反応液中の未反応アミノシラン量は0.3質量%であった。その後、減圧下、エバポレーターでトルエンを除去し、淡黄色の液体(B−1)を得た。「NH/NCOモル比」とはアミノシラン化合物中のアミノ基またはイミノ基の活性水素とイソシアネート化合物中のイソシアネート基とのモル比を意味する。
【0022】
合成例2
γ−ベンジルアミノプロピルトリメトキシシランの25.5g(0.1mol)、トルエンの25.5gを入れたナスフラスコに窒素気流下で武田薬品株式会社製ポリイソシアネートであるタケネートD177N(NCO含有量20.0%)の22.1g、トルエンの22.1gを混合したものを、50℃で攪拌しながら1時間かけて滴下した(NH/NCOモル比=1.0/1.05)。混合液を更に50℃で5時間攪拌し、ガスクロマトグラフィー分析したことろ、γ−ベンジルアミノプロピルトリメトキシシランの反応率は97%であり、IRによるイソシアネート基残率は5%以下であったため室温に戻した。反応液中の未反応アミノシラン量は1.6質量%であった。その後、減圧下、エバポレーターでトルエンを除去し、淡黄色の粘調液体(B−2)を得た。
【0023】
合成例3
ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンの27.3g(0.08mol)、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの2.2g(0.01mol)、トルエンの29.5gを入れたナスフラスコに窒素気流下でタケネートD−177Nの22.1g、トルエンの22.1gを混合したものを、50℃で攪拌しながら1時間かけて滴下した(NH/NCOモル比=1.0/1.05)。混合液を更に50℃で5時間攪拌し、ガスクロマトグラフィー分析したことろ、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンの反応率は92%、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの反応率は99%以上、また、IRによるイソシアネート基残率は5%以下であったので室温に戻した。反応液中の未反応アミノシラン量は2.1質量%であった。その後、減圧下、エバポレーターでトルエンを除去し、淡黄色の粘調液体(B−3)を得た。
【0024】
合成例4
γ−アミノプロピルトリエトキシシランの22.1g(0.1mol)、トルエンの22.1gを入れたナスフラスコに窒素気流下でタケネートD−177Nの22.1g、トルエンの22.1gを混合したものを、50℃で攪拌しながら1時間かけて滴下した(NH/NCOモル比=1.0/1.05)。混合液を更に50℃で5時間攪拌し、ガスクロマトグラフィー分析したことろ、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの反応率は97%であった。また、IRによるイソシアネート基の残率は5%以下であったので室温に戻した。反応液中の未反応アミノシラン量は1.5質量%であった。その後、減圧下、エバポレーターでトルエンを除去し、白色固体(B−4)を得た。
【0025】
(シーリング材組成物の配合)
実施例および比較例のシーリング材組成物の配合を表1に示す。配合割合を示す表中の数量は質量部を意味する。
【0026】
【表1】
Figure 2004075836
【0027】
表1における原料は以下のとおりである。
基材A1(変成シリコーン系シーリング基材)
MSポリマーS−203(鐘淵化学製)
基材A2(アクリルシリコン系シーリング基材)
アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル=96/4(質量比)の重合体(数平均分子量12000)とS−203を2:8の割合で混合した混合物
可塑剤1 :DOP(ジオクチルフタレート)
可塑剤2 :(メタ)アクリル酸エステル系共重合体系可塑剤
東亞合成製 ARUFON UP1110(可塑化重合体)
1)白艶華CCR(白石カルシウム製)
2)タイペークCR−97(石原産業製)
3)N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン
4)ジブチル錫ジアセトアセトナート
5)A−171(日本ユニカー製)
6)サノールLS−770(三共製)
7)チヌビン327(チバスペシャリティケミカルズ製)
8)ディスパロン6500(楠本化成製)
【0028】
(評価条件および評価結果)
上記シーリング材組成物を用いて以下の試験を行った。評価結果を表2に示す。
▲1▼押し出し性試験
JIS・A−1439に基づいて、上記組成物の押し出し性試験を行った。所要時間が短いほど作業性が良好であることを意味する。
▲2▼基材密着性
JIS・A−1439に基づいて基材に硬質塩化ビニルを用い、プライマーを使用せず上記組成物を用い試験片を作成した。常温で1週間養生した後、引張試験機で接着試験を行い、最大引張応力(強度)、破断面の状態を観察した。
▲3▼上塗り塗料密着性
7×15cmのスレート基材に上記組成物を5mmの厚さで施工し、室温で3日乾燥した後、エマルジョン塗料(日本ペイント「タイルラック水性トップ(白)」)の200g/m2を2回塗装した。室温で4日間の乾燥後、JIS K5400に準じて5マス×5マスの碁盤目剥離試験を行った。
【0029】
【表2】
Figure 2004075836
【0030】
【発明の効果】
施工時の作業性、基材密着性、上塗り塗料密着性に優れ、良好な耐候性を有する硬化物を与えるシーリング材組成物が得られた。
また、本発明の組成物は、シーリング材以外の用途として、接着剤、塗料などにも好適に利用することができる。

Claims (7)

  1. 架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)およびアミノシラン化合物とイソシアネート化合物との反応物(B)を含有するシーリング材組成物。
  2. 架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)100質量部およびアミノシラン化合物とイソシアネート化合物との反応物(B)0.1〜10質量部を含有するシーリング材組成物。
  3. 架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)は、架橋性シリル基を有するオキシアルキレン重合体または架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有するものである請求項1または2に記載のシーリング材組成物。
  4. アミノシラン化合物とイソシアネート化合物との反応物(B)は、常温において液状のものである請求項1〜3のいずれかに記載のシーリング材組成物。
  5. アミノシラン化合物とイソシアネート化合物との反応物(B)は、アミノシラン化合物中のアミノ基またはイミノ基の活性水素とイソシアネート化合物中のイソシアネート基とのモル比が1/0.8〜0.8/1の割合で混合反応され、アミノ基もしくはイミノ基の活性水素またはイソシアネート基の反応率が90%以上のものである請求項1〜4のいずれかに記載のシーリング材組成物。
  6. アミノシラン化合物は2級アミノ基を有するものであり、イソシアネート化合物は1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものである請求項1〜5のいずれかに記載のシーリング材組成物。
  7. 架橋性シリル基を有するシーリング基材(A)100質量部を基準として、ガラス転移温度が10℃以下、重量平均分子量が800〜15000である架橋性シリル基を有していない(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)1〜100質量部をも含有する請求項1〜6のいずれかに記載のシーリング材組成物。
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