JP2008248017A - アンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンを含むヒドロゲルおよびその製造方法 - Google Patents

アンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンを含むヒドロゲルおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水溶性ポリシロキサンで構成され、力学的な強度、耐久性、難燃性などが十分なヒドロゲルおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、アンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンと水とを含有するヒドロゲルであって、該架橋ポリシロキサンが、式(1):
NH(CHSiR (OR3−n (1)
(Rはアルキル基であり、Rは水素またはアルキル基であり、そしてnは0または1である)で示される3−アミノプロピルアルコキシシラン由来の単位を主構成成分とするポリマーであり、該単位のアミノ末端部分の少なくとも一部が、カルボニル架橋されており、残りのアミノ末端部分が、四級化されている、ヒドロゲル。
【選択図】なし

Description

本発明は、アンモニウムイオンを側鎖に有する水溶性ポリシロキサンと水とを含有するヒドロゲル、およびその製造方法に関する。
高分子ヒドロゲルは、高分子が有する三次元ネットワーク構造(マトリックス構造)の内部に、多量の水を安定に保持する材料である。このような高分子ヒドロゲルのうち、主鎖骨格が有機高分子であるヒドロゲルは、一般的に、ソフトコンタクトレンズ、冷却剤、紙おむつ、サニタリー用品などとして、広く利用されている(非特許文献1)。しかし、このような水を多量に含有する高分子ゲルは、力学的な強度、耐久性などが問題になることが多い。コンタクトレンズなどに使用する場合、ある程度の強度および耐久性が求められる。
このような主鎖骨格が有機高分子であるヒドロゲルの問題を解決する目的で、無機材料と組み合わせる研究がなされている。例えば、層状粘土鉱物のような無機材料を架橋剤として用いたヒドロゲルが開発されている(非特許文献2)。このヒドロゲルは、ナノ分散する粘土鉱物を架橋剤として用いることによって、通常の有機系の架橋剤を用いて得られるヒドロゲルよりも、良好な力学特性を有している。
本発明者らも、これまでに、ロッド状ポリシロキサン(特許文献1、特許文献2、非特許文献5、および非特許文献6)を合成し、このロッド状ポリシロキサンでなる架橋剤を用いて有機−無機混成型のヒドロゲルの合成に成功し、圧縮に対して容易に破壊されない柔軟な材料を提供している(非特許文献3)。このように、無機系の架橋剤のような無機材料を用いて合成されたヒドロゲルは、力学特性の向上に加えて難燃性を付与することも期待でき、多分野にわたる有用な材料になると考えられる。
しかし、従来合成されているヒドロゲルは、主鎖骨格に有機高分子が含まれるため、力学的な強度および耐久性に乏しく、例えば、機能性材料として用いると、無機材料の特徴である力学的な強度および耐久性を十分に付与し得ない場合がある。また、主鎖骨格に有機高分子が含まれるため、難燃性も不十分である。
一方、主鎖骨格が、無機高分子からなるヒドロゲルとして、シロキサン結合のみからなるヒドロゲルが挙げられる。このようなシロキサン結合のみからなるヒドロゲルは、テトラエトキシシランのようなシラン化合物のゾル−ゲル反応によって合成され、シリカガラスのための前駆物質として用いられている(非特許文献4)。しかし、シロキサン結合のみからなるヒドロゲルについては、このヒドロゲルを得るための反応の制御が難しい。
このような主鎖骨格が無機高分子からなるヒドロゲルは、上記の主鎖骨格に有機高分子を含むヒドロゲルの問題点(すなわち、力学的な強度、耐久性、難燃性など)を解決する可能性を有すると期待されるが、反応の制御が難しく、力学的な強度、耐久性、難燃性などに優れる無機高分子を主鎖とするヒドロゲルは、未だ報告されていない。
特開2005−120333号公報 特開2006−45392号公報 長田義仁、ほか1名、「ゲルハンドブック」、エヌ・ティー・エス(1997年11月) K.Haraguchi、ほか1名、"Nanocomposite hydrogels: a unique organic-inorganic network structure with extraordinary mechanical, optical, and swelling/de-swelling properties", Advanced Materials, VoL:14, p.1120-1124, (2002) Y.Kaneko、ほか3名、"Synthesis of organic-inorganic hybrid hydrogels using rodlike polysiloxane having acrylamide groups as a new cross-linking agent", Journal of Materials Chemistry, VoL:16, p.1746-1750, (2006.3.31) 作花済夫、「ゾル−ゲル法の科学」、アグネ承風社(1988年7月5日) Y.Kaneko、ほか5名、"Hexagonal-structured polysiloxane material prepared by sol-gel reaction of aminoalkyltrialkoxysilane without using surfactants", Chemistry of Materials, VoL:16, p.3417-3423, (2004) Y.Kaneko、ほか3名、"Synthesis of rodlike polysiloxane with hexagonal phase by sol-gel reaction of organotrialkoxysilane monomer containing two amino groups", Polymer, VoL:46, p.1828-1833, (2005)
本発明の目的は、力学的な強度および耐久性に優れた水溶性ポリシロキサンを含むヒドロゲルおよびその製造方法を提供することにある。
本発明のヒドロゲルは、アンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンと水とを含有するヒドロゲルであって、該架橋ポリシロキサンは、式(1):
NH(CHSiR (OR3−n (1)
(Rはアルキル基であり、Rは水素またはアルキル基であり、そしてnは0または1である)で示される3−アミノプロピルアルコキシシラン由来の単位を主構成成分とするポリマーであり、該単位のアミノ末端部分の少なくとも一部は、カルボニル架橋されており、残りのアミノ末端部分は、四級化されている。
1つの実施態様では、上記架橋ポリシロキサンは、以下の化合物(i)および(ii)を、酸の存在下でゾル−ゲル反応に供して得られる架橋ポリシロキサンである:
(i)上記式(1)で示される3−アミノプロピルアルコキシシラン、および
(ii)式(3)で示される架橋性シロキサン化合物:
Figure 2008248017
(Rはアルキル基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはアルキル基であり、そしてnは0または1である)であって、式(2):
O=C=N(CHSi(OR (2)
(Rは水素またはアルキル基である)で示されるイソシアン酸3−(トリアルコキシシリル)プロピルと上記式(1)で示される3−アミノプロピルアルコキシシランとの反応により得られる架橋性シロキサン化合物。
1つの実施態様では、上記式(1)で示される3−アミノプロピルアルコキシシランと上記式(3)で示される架橋性シロキサン化合物とのモル比は、20/80〜90/10である。
1つの実施態様では、上記酸は、無機酸である。
さらに、本発明のヒドロゲルの製造方法は、式(1):
NH(CHSiR (OR3−n (1)
(Rはアルキル基であり、Rは水素またはアルキル基であり、そしてnは0または1である)で示される3−アミノプロピルアルコキシシランと、式(2):
O=C=N(CHSi(OR (2)
(Rは水素またはアルキル基である)で示されるイソシアン酸3−(トリアルコキシシリル)プロピルとの反応により、式(3)で示される架橋性シロキサン化合物:
Figure 2008248017
(Rはアルキル基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはアルキル基であり、そしてnは0または1である)を得る工程、および該式(1)で示される3−アミノプロピルアルコキシシランと該式(3)で示される架橋性シロキサン化合物とを、酸の存在下でゾル−ゲル反応に供する工程を包含する。
1つの実施態様では、上記式(1)で示される3−アミノプロピルアルコキシシランと上記式(3)で示される架橋性シロキサン化合物とのモル比は、20/80〜90/10である。
1つの実施態様では、上記酸は、無機酸である。
本発明によれば、安定でかつ水溶性を有するポリシロキサンと水とを含むヒドロゲルが提供される。このヒドロゲルは、熱力学的に安定なポリシロキサンで構成されているため、力学的な強度および耐久性に優れる。
本発明のヒドロゲルにおいては、ポリシロキサンの側鎖にアンモニウムイオンが存在しているため、特異的な吸着能を有し、また機能性分子の導入も可能である。したがって、目的に応じて構造を改良することも可能であり、このようなポリマーを含むヒドロゲルは、各種分野で利用され得る。
以下、本発明のヒドロゲルおよびその製造方法について説明する。
(I)ヒドロゲル
本発明のヒドロゲルは、上述のように、アンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンと水とを含有するヒドロゲルである。このアンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンは、式(1):
NH(CHSiR (OR3−n (1)
(Rはアルキル基であり、Rは水素またはアルキル基であり、そしてnは0または1である)で示される3−アミノプロピルアルコキシシラン(以下、3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)または化合物(1)という場合がある)由来の単位を主構成成分とするポリマーであり、この単位のアミノ末端部分の少なくとも一部は、カルボニル架橋されており、残りのアミノ末端部分は、四級化されてアンモニウムイオンを構成する。
上記式(1)において、RおよびRのアルキル基としては、炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数が1または2のアルキル基がより好ましい。Rでは、炭素数が小さいほど親水性が高いので、上記炭素数のアルキル基が好ましい。Rのアルキル基の炭素数が3を超える場合は、得られるポリシロキサンの疎水性が強くなって水になじまなくなり、ゲルを形成しない場合が生じる。一方、Rでは、水素以外の場合、炭素数が小さいほどORがより加水分解されやすいので、上記炭素数のアルキル基が好ましい。そのようなアルキル基としては、メチル基、エチル基などが挙げられる。Rのアルキル基の炭素数が3を超える場合は、3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)が加水分解されにくくなり、ゾル−ゲル反応が進行しにくくなる。
上記式(1)において、nが0の場合、式(1)は3−アミノプロピルトリアルコキシシランを示し、nが1の場合、式(1)は3−アミノプロピルジアルコキシアルキルシランを示す。本発明においては、1種のみの3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)由来の単位を主構成成分とするポリマーであってもよく、2種以上の3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)の混合物由来の単位を主構成成分とするポリマーであってもよい。
3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)としては、具体的には、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシランなどが挙げられる。本発明においては、3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび3−アミノプロピルジエトキシメチルシランが、好ましく用いられる。
本発明のヒドロゲルを構成するアンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンは、3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)を主な重縮合成分として含有し、そのアミノ末端部分(すなわち、ポリシロキサン主鎖骨格から分岐する側鎖の末端のアミノ基)の少なくとも一部が、カルボニル基(O=C<)を介して架橋している。
架橋構造を有さないその他のアミノ末端部分は、好ましくは無機酸により四級化されてアンモニウムイオンを構成している。より好ましくは、塩酸または硝酸を用いて、塩化アンモニウム型または硝酸アンモニウム型とされている。
本発明のヒドロゲルを構成するアンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンの部分構造の一例を以下に示す。架橋構造を有さないアミノ末端部分は、塩化アンモニウム型に四級化されている。架橋ポリシロキサンは、以下に示す構造が、繰り返し単位となっているわけではなく、スラッシュで区切られている各構成単位がランダムに重合していると考えられる。式中の酸素原子(O)は、隣接するケイ素原子(Si)によって共有されている。
Figure 2008248017
このアンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンと水とが存在すると、該架橋ポリシロキサンの分子マトリックス間に水が保持されて、本発明のヒドロゲルが形成される。このヒドロゲルの含水率は、好ましくは20〜95%、より好ましくは20〜30%である。
(II)ヒドロゲルの製造方法
本発明のヒドロゲルは、3−アミノアルキルアルコキシシラン(1)と上記式(2)で示されるイソシアン酸3−(トリアルコキシシリル)プロピル(以下、イソシアン酸3−(トリアルコキシシリル)プロピル(2)または化合物(2)という場合がある)とから、式(3)で示される架橋性シロキサン化合物(以下、架橋性シロキサン化合物(3)または化合物(3)という場合がある)を合成し、該架橋性シロキサン化合物(3)と、3−アミノアルキルアルコキシシラン(1)とをゾル−ゲル反応に供することにより得られる。以下に、これを詳述する。
(II.1)架橋性シロキサン化合物(3)の調製
本発明の製造方法で用いられる架橋性シロキサン化合物(3)は、上記3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)と上記イソシアン酸3−(トリアルコキシシリル)プロピル(2)とを反応に供することによって得られ、以下の一般式(3)で示される:
Figure 2008248017
(Rはアルキル基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはアルキル基であり、そしてnは0または1である)。
3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)は、第(I)項に記載した3−アミノプロピルアルコキシシランを用い得る。3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イソシアン酸3−(トリアルコキシシリル)プロピル(2)は、以下の一般式(2)で示される:
O=C=N(CHSi(OR (2)
(Rは水素またはアルキル基である)。
上記式(2)において、Rのアルキル基としては、炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数が1または2のアルキル基がより好ましい。特に、水素以外の場合、酸の存在下で容易にORからOHに置換され得るアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基などが挙げられる。
イソシアン酸3−(トリアルコキシシリル)プロピル(2)としては、具体的には、イソシアン酸3−(トリエトキシシラン)プロピルなどが挙げられ、この化合物が好ましく用いられる。このイソシアン酸3−(トリアルコキシシリル)プロピル(2)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)とイソシアン酸3−(トリアルコキシシリル)プロピル(2)との反応は、不活性溶媒中で行われる。溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフランなどが用いられる。反応温度は、好ましくは15〜30℃であり、反応時間は、好ましくは15分以上であり、長くても12時間程度で完了する。架橋性シロキサン化合物(3)は、例えば、溶媒としてジクロロメタンを用い、室温で15分間撹拌することによって得られる。
(II.2)アンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンの調製
次いで、上記の3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)と上述の工程によって得られた架橋性シロキサン化合物(3)とを酸の存在下でゾル−ゲル反応に供する。
この反応で用いられる3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)は、上述の架橋性シロキサン化合物(3)の調製に用いた3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)と同一種であっても異なっていてもよい。
3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)と架橋性シロキサン化合物(3)とのモル比は、特に限定されず、好ましくは20/80〜90/10、より好ましくは85/15〜90/10である。
本発明の製造方法に用いられる酸は、好ましくは無機酸であり、より好ましくは塩酸、硝酸、および臭化水素酸であり、さらに好ましくは塩酸および硝酸である。酸は、ゾル−ゲル反応の触媒としてだけではなく、得られるヒドロゲルを構成するアンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンのアミノ末端の四級化剤としても使用する。
ゾル−ゲル反応は、水性溶媒中で、通常50〜60℃において1〜12時間の条件下で行なわれる。用いられる溶媒としては、水が挙げられる。
架橋性シロキサン化合物(3)の調製に用いる3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)とゾル−ゲル反応で用いる3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)とが同一種である場合、上述の架橋性シロキサン化合物(3)の調製時に、3−アミノプロピルアルコキシシラン(1)を過剰に仕込んでおき、反応終了後に溶媒を除去し、ゾル−ゲル反応用の溶媒を加えて、引き続いて反応を行うことにより、同一の反応容器で連続的に反応を行うことができる。
このようにゾル−ゲル反応を行うことにより、アンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンが形成され、このアンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンが水を含むことによって、ヒドロゲルが得られる。この架橋ポリシロキサンは、分子が十分に大きく、かつ水溶性であり、架橋点同士がある程度離れており、好適なヒドロゲルが形成される。
さらに、得られたヒドロゲルを乾燥して、例えば、粉末状として、吸収材料などにも用いられ得る。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
(実施例1:ヒドロゲルの合成1)
(実施例1.1)
まず、2mmol(0.44g)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、APTEOSという場合がある)に、1.6mmol(0.4g)のイソシアン酸3−(トリエトキシシリル)プロピル(以下、TEOSPI)を溶解したジクロロメタン6mLを加えた。この混合液を室温で15分間撹拌した。次いで、混合液を加熱して、ジクロロメタンを蒸発させて除去した。反応容器には、APTEOSとTEOSPIとの反応生成物である架橋性シロキサン化合物(1.6mmol)および未反応のAPTEOS(0.4mmol)が残った。
ジクロロメタンを除去後、反応容器に0.5Nの塩酸水溶液を6mL加えて、室温で2時間撹拌した。次いで、反応系を開放系にして60〜70℃で加熱し、水分を蒸発させながらゾル−ゲル反応(重縮合反応)を行ったところ、反応液全体が白濁したゲル状に変化した。得られたヒドロゲルの含水率を、凍結乾燥前後の質量の差から求めると92%であった。この反応の工程を図1に示す。本実施例に使用した原料の名称およびモル比、得られた生成物の形態などをまとめて表1に示す。後述の実施例1.2〜1.6および比較例1についても、合わせて表1に示す。
(実施例1.2〜1.6)
TEOSPIを表1に記載の量で用いたこと以外は、実施例1.1と同様の手順でヒドロゲルを得た。
(比較例1)
TEOSPIを表1に記載の量で用いたこと以外は、実施例1.1と同様の手順で反応を行った。しかし、生成物は微粒子が分散したスラリー状となり、ヒドロゲルは得られなかった。
Figure 2008248017
表1に示すように、実施例1.1〜1.6(APTEOS/架橋性シロキサン化合物=20/80〜90/10)では、含水率が30〜92%のヒドロゲルが得られた。特に、実施例1.3〜1.5(APTEOS/架橋性シロキサン化合物=60/40〜75/25)では、透明なヒドロゲルが得られた。実施例1.6(APTEOS/架橋性シロキサン化合物=90/10)では、透明なガラス状のヒドロゲルが得られた。
一方、比較例1(APTEOS/架橋性シロキサン化合物=0/100(すなわち、架橋性シロキサン化合物のみの場合))では、ヒドロゲルは得られず、粒子状の生成物が得られた。
したがって、ヒドロゲルの合成には、3−アミノプロピルアルコキシシランと架橋性シロキサン化合物との割合(すなわち、架橋密度)が、比較的重要であることがわかる。
さらに、実施例1.2、1.5、および1.6で得られたヒドロゲルならびに比較例1で得られた生成物を凍結乾燥して、赤外吸収(IR)スペクトル測定(SHIMADZU FTIR-8400 Spectrometerを用いて測定)およびX線回折(XRD)測定(Rigaku Geigerflex RAD-IIB Diffractometerを用いて測定)を行った。X線回折測定は、スキャン速度2θ=2°/min、温度24℃、および相対湿度58%の条件で行った。IRスペクトルを図2に、そしてX線回折プロファイルを図3に示す。
図2に示すように、実施例1.2、1.5、および1.6で得られたヒドロゲルは、シロキサン結合(Si−O−Si)由来の吸収ピークが、シラノール基(Si−OH)由来の吸収ピークよりも強く、ゾル−ゲル反応が進行していることが確認できる。したがって、アンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンが形成されていることが示唆される。なお、実施例1.6では、重縮合が進み、より高分子化された三次元マトリックスが形成され、ガラス状となったと考えられる。
一方、比較例1で得られた生成物は、シラノール基由来の吸収ピークが強く、十分にゾル−ゲル反応が進行しなかったことがわかる。
さらに、図3に示すように、比較例1で得られた生成物では、ナノオーダーでの規則的な高次構造を示す回折ピークが、非常にブロードであるのに対し、実施例1.2、1.5、および1.6で得られたヒドロゲルでは、規則的な高次構造を示すd値が、1.3nm程度の回折ピークが観察された。これは、ヒドロゲル中のアンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンが、ある程度の剛直性を有することを示している。
(実施例2:ヒドロゲルの合成2)
(実施例2.1)
トリアルコキシシランであるAPTEOSの代わりに、ジアルコキシシランである3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン(以下、APDEOMSという場合がある)を2mmol(0.38g)用い、TEOSPIを1.4mmol(0.35g)用いたこと以外は、実施例1.1と同様の手順でヒドロゲルを得た。
(実施例2.2〜2.6)
TEOSPIを表2に記載の量で用いたこと以外は、実施例2.1と同様の手順でヒドロゲルを得た。
Figure 2008248017
表2に示すように、実施例2.1〜2.6(APDEOMS/架橋性シロキサン化合物=30/70〜90/10)では、含水率が22〜92%のヒドロゲルが得られた。本実施例のように、ジアルコキシシランであるAPDEOMSを用いた場合には、実施例2.4(APDEOMS/架橋性シロキサン化合物=80/20)のように、架橋密度が低くても、得られたヒドロゲルの含水率が高い(87%)ことがわかる。
本発明によれば、力学的な強度および耐久性に優れた水溶性ポリシロキサンで構成されるヒドロゲルが得られる。このヒドロゲルは、ポリシロキサンの側鎖にアンモニウムイオンが存在しているため、特異的な吸着能を有し、また機能性分子の導入も可能である。したがって、無機材料を用いることを特徴とする各種分野(例えば、ソフトコンタクトレンズ、冷却剤、吸水材料、衝撃吸収材など)で、新規な材料として有効に利用され得る。さらに、本発明のヒドロゲルは、無機材料であるポリシロキサンが主鎖骨格であるため、本発明のヒドロゲルから得られる製品は、充分な難燃性を有することが期待できる。
本発明のヒドロゲルを合成するための工程図である。 実施例1で得られたヒドロゲルの乾燥生成物の赤外吸収スペクトル図である。 実施例1で得られたヒドロゲルの乾燥生成物のX線回折図である。

Claims (7)

  1. アンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンと水とを含有するヒドロゲルであって、
    該架橋ポリシロキサンが、式(1):
    NH(CHSiR (OR3−n (1)
    (Rはアルキル基であり、Rは水素またはアルキル基であり、そしてnは0または1である)で示される3−アミノプロピルアルコキシシラン由来の単位を主構成成分とするポリマーであり、
    該単位のアミノ末端部分の少なくとも一部が、カルボニル架橋されており、残りのアミノ末端部分が、四級化されている、
    ヒドロゲル。
  2. 前記アンモニウムイオンを有する架橋ポリシロキサンが、以下の化合物(i)および(ii)を、酸の存在下でゾル−ゲル反応に供して得られる架橋ポリシロキサンである、請求項1に記載のヒドロゲル:
    (i)前記式(1)で示される3−アミノプロピルアルコキシシラン、および
    (ii)式(3)で示される架橋性シロキサン化合物:
    Figure 2008248017
    (Rはアルキル基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはアルキル基であり、そしてnは0または1である)であって、
    式(2):
    O=C=N(CHSi(OR (2)
    (Rは水素またはアルキル基である)で示されるイソシアン酸3−(トリアルコキシシリル)プロピルと前記式(1)で示される3−アミノプロピルアルコキシシランとの反応により得られる架橋性シロキサン化合物。
  3. 前記式(1)で示される3−アミノプロピルアルコキシシランと前記式(3)で示される架橋性シロキサン化合物とのモル比が、20/80〜90/10である、請求項2に記載のヒドロゲル。
  4. 前記酸が、無機酸である、請求項2または3に記載のヒドロゲル。
  5. ヒドロゲルの製造方法であって、
    式(1):
    NH(CHSiR (OR3−n (1)
    (Rはアルキル基であり、Rは水素またはアルキル基であり、そしてnは0または1である)で示される3−アミノプロピルアルコキシシランと、式(2):
    O=C=N(CHSi(OR (2)
    (Rは水素またはアルキル基である)で示されるイソシアン酸3−(トリアルコキシシリル)プロピルとの反応により、式(3)で示される架橋性シロキサン化合物:
    Figure 2008248017
    (Rはアルキル基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはアルキル基であり、そしてnは0または1である)を得る工程、および
    該式(1)で示される3−アミノプロピルアルコキシシランと該式(3)で示される架橋性シロキサン化合物とを、酸の存在下でゾル−ゲル反応に供する工程、
    を包含する、方法。
  6. 前記式(1)で示される3−アミノプロピルアルコキシシランと前記式(3)で示される架橋性シロキサン化合物とのモル比が、20/80〜90/10である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記酸が、無機酸である、請求項5または6に記載の方法。
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