JP4110312B2 - 苗移植機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、野菜等の苗を移植する苗移植機に関し、農業機械の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
下端部が尖った嘴状の作穴体が周期的に昇降し、昇降行程の下死点もしくはその近傍で作穴体が土中に突入すると共に、その土中に突入したときに下部が開いて苗植付用の穴を開け、その穴の中に苗が植付けられる構成の苗移植機がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来構成の苗移植機では、作穴体の下部が開くとき、作穴体が形成した穴内に側方からの土壌が崩れて落ち込むことがあり、これが障害となって苗の植付姿勢の悪化を招く問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、本発明にかかる苗移植機は、周期的に昇降し、昇降の下死点もしくはその近傍で土中に突入すると共に、その土中に突入したときに下部が開いて苗植付用の穴を開ける作穴体を備える苗植付装置と、前記作穴体へ所定の位置で苗を落下供給する複数の苗供給カップを備える苗供給部とを設けた苗移植機であって、苗供給カップには透視穴を設け、作穴体の先端に両端が中央より長く突出するよう切欠凹部を設けると共に、作穴体の外周を覆う弾力性のある樹脂体を設けてあることを特徴とする苗移植機とした。
【0005】
【発明の効果】
以上要するに、本発明にかかる苗移植機は、苗供給カップには透視穴を設けたので、苗が入っているかどうか側方からよく分かる。そして、作穴体の下部が土中に突入して開くとき、この作穴体が穴底の両端に溝を形成することになり、側方から崩れ落ちてくる土をこの溝内に受入れて埋め込むことにより、全体として穴底が平坦なものとなる。従って、穴底に底面が載るように植え付けられるポット苗等の苗の植付姿勢を良好に保持することができる。また、作穴体が土中に突入する際にその樹脂体が撓み、作穴体が上昇して土中から上方に離れた時、樹脂自体の弾発力により付着している土を弾き除けるように構成している。従って、土の付着を防ぎ、穴開け作用を正確に行い得る。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、苗移植機の一例として歩行型の苗移植機1を示すものであり、この歩行型苗移植機1は、主として前部にエンジン2及び主伝動ケ−ス3と走行車輪としての左右一対の前輪4,4及び後輪5,5と後部に苗植付装置6、苗供給部7、覆土鎮圧輪8及び操縦ハンドル9とを備えて構成される。この苗移植機1は、機体が圃場内の畝をまたぐように前記前輪4,4及び後輪5,5が畝間を走行し、畝の上面の左右中央に前記苗植付装置6により苗を植付けていくようになっている。
【0007】
主伝動ケ−ス3の左右端には該主伝動ケ−ス3に対して回動可能な走行エクステンションケ−ス10,10を左右それぞれ設け、前記左右の走行エクステンションケ−ス10,10のそれぞれの端部に走行チェ−ンケ−ス11,11を固着して設けている。従って、前記エンジン2から入力される主伝動ケ−ス3内の動力を走行チェ−ンケ−ス11,11内に伝動する構成となっている。前記走行チェ−ンケ−ス11,11の回動先端部の左右内側には走行車輪である左右一対の後輪5,5をそれぞれ取り付け、この左右一対の後輪5,5の駆動により機体が走行するようになっている。従って、主伝動ケ−ス3は、走行車輪としての後輪5,5に伝動する伝動装置となっている。一方、エンジン載置台の下部には左右方向に延びる前輪支持フレ−ム12を前後方向のロ−リング軸13回りに回動可能に設け、この前輪支持フレ−ム12の左右両端部に前輪4,4を取り付けた構成としている。
【0008】
前記左右の走行エクステンションケ−ス10,10は、左右横方向に伸縮(後輪駆動軸も同時に伸縮)する構成であり、この左右方向の伸縮により後輪5,5のトレッド調節を行う構成となっている。
また、前輪支持フレ−ム12は左右伸縮可能に設けられており、左右の前輪4,4のトレッド調節も行えるようになっている。
【0009】
前記左右フレ−ム14の後部には、右寄りの位置に延びる主フレ−ム15を設けている。該主フレ−ム15の後端部には操縦ハンドル9を設け、この操縦ハンドル9が主フレ−ム15を介して前記主伝動ケ−ス3に支持された構成となっている。
また、主伝動ケ−ス3の後部で左右方向の中央には、油圧昇降シリンダ16を設けている。この油圧昇降シリンダ16は、主伝動ケース3に固着された油圧切替バルブ部17に固着して設けられ、主伝動ケ−ス3に固着された油圧ポンプ18からの油圧を切り替える前記油圧切替バルブ部17に備えられた昇降操作バルブを操作することにより作動するようになっている。前記油圧昇降シリンダ16のシリンダロッド端には左右に延びる横杆19を設け、この横杆19の左右端部にそれぞれ後輪昇降ロッド20,21を枢着し該ロッド20,21の他端をそれぞれの走行エクステンションケ−ス10,10に固着された上側ア−ム10a,10aに枢着して、前記横杆19と走行エクステンションケ−ス10,10とが連結された構成となっている。従って、前記油圧昇降シリンダ16の伸縮により前記横杆19、前記後輪昇降ロッド20,21を介して主伝動ケ−ス3の左右の出力軸回りに走行チェ−ンケ−ス11,11が回動され、該走行チェ−ンケ−ス11,11の回動により後輪5,5が上下して機体が昇降する構成となっている。
【0010】
また、左側の前記後輪昇降ロッド20が伸縮するように該ロッド20の中途部に油圧ポンプ18からの油圧により作動する水平用油圧シリンダ22を設けており、該水平用油圧シリンダ22の伸縮により右側の後輪5の上下位置に対して左側の後輪5を上下させて、畝の谷部の凹凸に関係なく機体を左右水平に維持できるようになっている。尚、主伝動ケ−ス3の右側には振り子式の左右傾斜センサ23が設けられて、この左右傾斜センサ23の検出により油圧切替バルブ部17に備えられた水平操作バルブを介して前記水平用油圧シリンダ22を作動させ機体を左右水平に維持する構成となっている。
【0011】
前記苗植付装置6は、一株の苗を圃場に植付けるべく主伝動ケ−ス3内からの動力が前記主伝動ケ−ス3の後側に設けた植付ミッションケ−ス24とこの植付ミッションケ−ス24から連動駆動される第1植付伝動ケ−ス25A及び第2植付伝動ケ−ス25Bを介して伝達され作動するようになっている。
前記苗植付装置6は、下部が前後に開閉する嘴状の作穴体26と該作穴体26を昇降させるべく作動する作穴体作動機構27とで構成される。
【0012】
作穴体26は前側部材26aと後側部材26bとからなっており、作穴体26の後方に位置する前側部材回動軸28aに回動自在に支持された前側部材取付ア−ム29aに前側部材26aが一体に取り付けられ、作穴体26の前方に位置する後側部材回動軸28bに回動自在に支持された後側部材取付ア−ム29bに後側部材26bが一体に取り付けられている。従って、回動軸28a,28bを支点として両部材26a,26bが回動すると、作穴体26の下部が前後に開閉する。前側部材取付ア−ム29aと後側部材取付ア−ム29bに形成された長穴に遊嵌する連動ピン30によって、前側部材26aと後側部材26bは互いに連動して回動する。前側部材取付ア−ム29aの脚部31aと後側部材取付ア−ム29bの脚部31bとの間に、前側部材26a及び後側部材26bを閉じる側に付勢するスプリング32が張設されている。
【0013】
次に作穴体作動機構27について説明すると、第2植付伝動ケ−ス25Bから突出する支持部に後リンク支持ア−ム33aが回動自在に取り付けられ、その支持ア−ムに基部が枢着された後リンク34aの後端に前側部材回動軸28aが連結されている。後リンク34aの中間部には、第2植付伝動ケ−ス25Bの後端部に設けた後リンク駆動ア−ム35aが連結されている。また、植付ミッションケ−ス24に前リンク支持ア−ム33bが回動自在に取り付けられ、その支持ア−ムに基部が枢着された前リンク34bの後端に後側部材回動軸28bが連結されている。前リンク34bの中間部には、第1植付伝動ケ−ス25Aの後端部に設けた前リンク駆動ア−ム35bが連結されている。両駆動ア−ム35a,35bが駆動回転すると、後リンク34a及び前リンク34bが基部の位置を前後に変動させつつ上下に揺動し、作穴体26が上下方向の楕円軌跡Kを描いて一定姿勢のまま上下動する。
【0014】
後リンク34aの基部には開閉ア−ム36が回動自在に取り付けられ、その開閉ア−ム36の先端部と前側部材取付ア−ム29aとが開閉ロッド37で連結されている。また、後リンク34aの中間部には後リンク駆動ア−ム35aと一体に回転するように普通の苗用の開閉カム38aと草丈の高い苗用の開閉カム38bとが設けられ、そのいづれかと作用するベアリング製のカムフォロア39が開閉ア−ム36に設けられている。
【0015】
そして、前記作穴体26の先端には両端が中央より長く突出するよう半円状又は扇形状の切欠凹部40が設けられている。つまり、この作穴体の下部が土中に突入して前後に開くとき、長く突出する左右両端の突条40a,40bが穴底の左右両側に溝を形成する構成である。
作穴体26が下死点に位置するときに開閉カム38a(または38b)とカムフォロア39が係合し、これによって開閉ロッド37が引かれることにより、作穴体26の前側部材26aと後側部材26bが互いに連動して前後に回動し、作穴体26の下部が開く。作穴体26が上昇する行程では下部が開いた状態のまま保持される。そして、開閉カム38aにカムフォロア39が作用している場合は、作穴体26が上死点に達した時点で、開閉カム38とカムフォロア39の係合が外れ、スプリング32の張力によって作穴体26の下部が閉じる。また、開閉カム38bにカムフォロア39が作用している場合は、作穴体26が上死点を少し過ぎた位置で作穴体26の下部が閉じる。
、作穴体26が上死点を少し過ぎた位置にある時に、苗供給部7により作穴体内に苗が落下供給される。このとき、作穴体26の下部は閉じている。苗を保持した作穴体26が下降し、畝の土中に突入する。そして、下死点で作穴体26の下部が開き、苗移植用穴を形成すると共に、その穴の中に保持していた苗を解放して植付ける。作穴体の下部が土中に突入して開くとき、作穴体の切欠凹部40の左右突条40a,40bの作用にて穴底に溝が形成されるので、左右側方から崩れ落ちてくる土があってもこの溝内に受け入れられ埋め込まれることになる。これにより、全体として穴底が広くて平坦なものとなり、底面が広く坐りのよいポット苗の植付姿勢を良好に保持することができる。
【0016】
前記苗供給部7は、前記苗植付装置6の上側に設けられ、一株の苗を前記苗植付装置6に順次供給する苗供給回転台41を備えて構成されている。前記苗供給回転台41は、前記植付ミッションケ−ス24からの伝動により前後に往復作動するクランクロッド42、一方向クラッチ機構43を介して上下方向の回転軸44回りに回転駆動するようになっている。また、苗供給回転台41は、前記回転軸44を中心とする円周に沿って所定間隔毎に複数の苗供給カップ45…が設けられた構成となっている。該苗供給カップ45…は該カップ45…の底面45a…が開閉可能に設けられると共に、苗供給カップ45…の下方には苗供給回転台41の回転により苗供給カップ45…が所定の位置に来たときのみ該カップ45…の底面が開くように設けられた苗供給カップ開閉ガイド46が機体側に固着して設けられている。従って、苗供給回転台41の回転により苗供給カップ45…が所定の位置Aに来ると、苗供給カップ45…の底面45a…が開いて苗供給カップ45…内のポット苗を下方の作穴体26に落下供給し、更に苗供給回転台41が回転し苗供給カップ45…が前記所定の位置Aから外れると苗供給カップ45…の底面45a…が閉じるようになっている。
【0017】
なお、この苗供給カップ45…には苗が入っているかどうか側方からよく分かるように無数の透視穴47を設けた構成としている。
苗供給回転台41の前側には、セルトレイに育苗された苗をセルトレイごと載置する苗載置枠48を設けている。
覆土鎮圧輪8は、苗植付位置の後方位置において左右一対設けられ、機体の進行に伴って畝面を転動し、苗が植え付けられた後の苗植付用穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共にその跡を軽く鎮圧をするようになっている。
【0018】
別実施例1(図9)につき説明する。
作穴体26の外周を弾力性のある樹脂体49で覆うようにし、土中に突入する際にその樹脂体が撓み、作穴体が上昇して土中から上方に離れた時、樹脂自体の弾発力により付着している土を弾き除けるように構成している。従って、土の付着を防ぎ、穴開け作用を正確に行い得る。
【0019】
別実施例2(図10)につき説明する。
図10は野菜移植機の軽四トラックへの搭載方法を示し、後輪5を最大限まで押し下げて車体後部を大きく持ち上げ、機体を前後に大きく傾けた状態として、軽四トラック50の荷台51の横幅寸法内に収まるようにしている。このとき、覆土鎮圧輪8も上方に大きく持ち上げられた状態にあり、また、ハンドル9が荷台より外側に若干はみ出る場合には図のように途中から折り畳みできるようにしておくとよい。
【0020】
1畝3条、4条の移植機は、トレッドが1600〜1800mmであり、通常荷台後方からの積込の場合には、荷台幅が狭くて軽四には搭載できないものであった。当然、移植機全長も約2000mmもあるのでしかりである。
しかし、上記のような搭載方式をとることで、野菜移植機を軽四荷台の側方から積み込むことで搭載可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】苗移植機の側面図
【図2】苗移植機の一部省略した平面図
【図3】苗植付装置の側面図
【図4】苗植付装置の平面図
【図5】作穴体の平面図
【図6】作穴体の一部の側面図
【図7】作穴体の一部の正面図
【図8】従来、本案との比較作用図
【図9】作穴体の斜視図
【図10】野菜移植機の軽四トラックへの搭載状態を示す背面図
【符号の説明】
1 苗移植機、 2 エンジン
3 主伝動ケ−ス 4 前輪
5 後輪 6 苗植付装置
7 苗供給部、 8 覆土鎮圧輪
9 操縦ハンドル 10 走行エクステンションケ−ス
10a 上側ア−ム 11 走行チエンケ−ス
12 前輪支持フレ−ム 13 ロ−リング軸
14 左右フレ−ム 15 主フレ−ム
16 油圧昇降シリンダ− 17 油圧切替バルブ
18 油圧ポンプ 19 横杆
20 後輪昇降ロッド 21 後輪昇降ロッド
22 水平用油圧シリンダ− 23 左右傾斜センサ
24 植付ミッションケ−ス 25A 第1植付伝動ケ−ス
26 作穴体 26a 前側部材
26b 後側部材 27 作穴体作動機構
40 切欠凹部 40a 突条
40b 突条 41 苗供給回転台
45 苗供給カップ 48 苗載置枠
Claims (1)
- 周期的に昇降し、昇降の下死点もしくはその近傍で土中に突入すると共に、その土中に突入したときに下部が開いて苗植付用の穴を開ける作穴体を備える苗植付装置と、前記作穴体へ所定の位置で苗を落下供給する複数の苗供給カップを備える苗供給部とを設けた苗移植機であって、苗供給カップには透視穴を設け、作穴体の先端に両端が中央より長く突出するよう切欠凹部を設けると共に、作穴体の外周を覆う弾力性のある樹脂体を設けてあることを特徴とする苗移植機。
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