JP4109710B2 - シ―ル材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シ―ル基材上に粘着剤組成物の層を有してなる、主にハ―ドデイスクドライブ(以下、HDDという)用や、その他パソコン、ワ―プロ、パ―ソナルデジタルアシスタンス(持ち運び可能な個人向け情報機器:以下、PDAという)、携帯電話用など、とくにシロキサンガスを嫌う電子機器などにおける構成部品の接着シ―ルに用いられるシ―ル材に関する。
【0002】
【従来の技術】
HDD、パソコン、ワ―プロ、PDA、携帯電話などの構成部品は、多種多用であるが、これら部品の接合手段のひとつに、粘着テ―プなどの粘着加工品を用いる方法が知られている。とくに、HDDのハウジング組立工程などでは、気密性を確保するため、粘着加工されたシ―ル材、つまり発泡基材や防湿効果のある基材などに粘着剤組成物の層を設けてなるシ―ル材(パツキング材)が用いられている。この種のシ―ル材の粘着剤組成物には、高い接着性、凝集性を示すことが望まれ、最近では、低揮発性といつた性能も要求されている。
【0003】
ところで、このような粘着加工されたシ―ル材では、通常、粘着面に剥離ライナ―を貼り合わせて、粘着面の保護、保管時や使用時の取り扱い性の向上などをはかつている。また、場合により、発泡基材や防湿効果のある基材などからなるシ―ル基材の背面を剥離処理して、粘着面と自背面との剥離性を良くし、剥離ライナ―を介装せずにロ―ル状に巻回することもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来のシ―ル材は、良好な接着性を確保するように設計されているため、剥離ライナ―として、そのほとんどが、接着性の低いシリコ―ン処理したものを用いており、またシ―ル基材の背面側をシリコ―ン処理して自背面との剥離性を改善しており、これが下記の問題を招いていた。
【0005】
すなわち、この種のシ―ル材では、剥離ライナ―中またはシ―ル基材の背面側に存在するシリコ―ン化合物の一部が粘着剤組成物の層表面に移行する現象がみられ、この現象は、通常のシ―ル材の場合ほとんど問題とならないが、HDDなどの内部に密閉される形で使用される場合、シロキサンガスの発生原因となり、HDD内部などの腐食や誤動作を引き起こす結果となつていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、シリコ―ン処理を施していない剥離ライナ―や背面側にシリコ―ン処理を施していないシ―ル基材を用いて、剥離ライナ―または自背面との剥離性にすぐれ、しかも良好な接着力を示す、シ―ル効果の高いシ―ル材を得ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的に対し、鋭意検討した結果、シ―ル基材上にポリカ―ボネ―ト構造を持つ特定のポリマ―を含む粘着剤組成物を設けるようにすると、ポリエチレンフイルムなどからなるシリコ―ン処理を施していない剥離ライナ―や、背面側をポリエチレンなどで構成したシリコ―ン処理を施していないシ―ル基材を使用でき、これら剥離ライナ―または自背面との剥離性にすぐれ、かつ良好な接着力を示す、所期の目的とするシ―ル効果の高いシ―ル材が得られ、これによればシロキサンガスの発生によるHDD内部などの腐食や誤動作などの問題が回避されることを知り、本発明を完成するに至つた。
【0008】
すなわち、本発明は、シール基材として、(a)合成樹脂や合成ゴムのシート状物またはフォーム状物であるか、あるいはこれらに合成樹脂フィルムを積層した積層体(ただし、上記のシート状物、フォーム状物または積層体の厚さは0.3〜2.0 mm である)か、または(b)金属箔やフッ素樹脂フィルムであるか、あるいは合成樹脂フィルムに金属層やフッ素樹脂層を設けた複合体を使用し、このシール基材上に、つぎの式;

−(O−R−O−C)n−



(Rは炭素数2〜20の直鎖状または分枝状の炭化水素基である)

で表わされる繰り返し単位を有するポリカーボネート構造を持つポリマーとして、上記の式で表わされる繰り返し単位を有するポリカーボネートジオールを必須としたジオール成分と炭素数が2〜20の脂肪族または脂環族の炭化水素基を分子骨格とするジカルボン酸を必須としたジカルボン酸成分とから合成される重量平均分子量1万〜30万のポリエステルを主成分として含む粘着剤組成物からなる層を有することを特徴とするシール材に係るものであり、とくに、粘着面にシリコーン処理を施していない剥離ライナーが貼り合わされているか、あるいは背面側にシリコーン処理が施されていないシール基材を用いて剥離ライナーを介装することなくロール状に巻回してなる上記シール材に係り、主にHDDなどの接合材料としての上記シール材を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる粘着剤組成物は、ポリカ―ボネ―ト構造を持つポリマ―として、つぎの式;
Figure 0004109710
(Rは炭素数2〜20の直鎖状または分枝状の炭化水素基である)
で表わされる繰り返し単位を有するポリマ―を主成分として含んでなるものであり、上記ポリマ―の分子量は、重量平均で1万以上、好ましくは3万以上、より好ましくは5万以上(通常30万まで)であるのがよい。
【0010】
上記のポリマ―としては、ポリカ―ボネ―トジオ―ル(またはその誘導体)とジカルボン酸(またはその誘導体)とから合成されるポリエステル、ポリカ―ボネ―トジカルボン酸とジオ―ルとから合成されるポリエステル、ポリカ―ボネ―トジオ―ルとジイソシアネ―トとから合成されるポリウレタンなどが挙げられ、これらの中でも、とくにポリカ―ボネ―トジオ―ルとジカルボン酸とから合成されるポリエステルが好ましい。
【0011】
このポリエステルは、ポリカ―ボネ―トジオ―ルを必須としたジオ―ル成分と炭素数が2〜20の脂肪族または脂環族の炭化水素基を分子骨格とするジカルボン酸を必須としたジカルボン酸成分とを、常法にしたがい、無触媒または適宜の触媒を用いてエステル化反応させることにより、得られるものである。この反応に際し、ジオ―ル成分とジカルボン酸成分とは、得られるポリエステルの分子量が前記範囲となるように、当モル反応とするのが望ましいが、エステル化反応を促進するために、どららかを過剰に用いて反応させてもよい。
【0012】
ここで用いられるポリカ―ボネ―トジオ―ルは、つぎの式;
Figure 0004109710
(Rは炭素数2〜20の直鎖状または分枝状の炭化水素基である)
で表わされる繰り返し単位を有するジオ―ルで、数平均分子量としては、400以上、好ましくは900以上(通常1万まで)であるのがよい。このようなポリカ―ボネ―トジオ―ルとしては、ポリヘキサメチレンカ―ボネ―トジオ―ル、ポリ(3−メチルペンテンカ―ボネ―ト)ジオ―ル、ポリプロピレンカ―ボネ―トジオ―ルなど、それらの混合物またはそれらの共重合物などがある。市販品としては、たとえば、ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD205PL」、「同CD208PL」、「同CD210PL」、「同CD220PL」、「同CD205HL」、「同CD208HL」、「同CD210HL」、「同CD220HL」などが挙げられる。
【0013】
ジオ―ル成分としては、これらの成分のほか、必要により、エチレングリコ―ル、プロピレングリコ―ル、ブタンジオ―ル、ヘキサンジオ―ル、オクタンジオ―ル、デカンジオ―ル、オクタデカンジオ―ルなどの直鎖状のジオ―ルや分枝状のジオ―ルなどの成分を併用してもよい。これら他のジオ―ルは、ジオ―ル成分全体の50重量%以下、好ましくは30重量%以下の使用量とするのがよい。また、さらに必要により、ポリマ―を高分子量化するために、3官能以上のポリオ―ル成分を少量添加してもよい。
【0014】
また、ジカルボン酸成分は、炭素数が2〜20の脂肪族または脂環族の炭化水素基を分子骨格としたもので、上記の炭化水素基が直鎖状のものでも分枝状のものであつてもよい。具体的には、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリツク酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、これらの酸無水物や低級アルキルエステルなどが挙げられる。
【0015】
本発明においては、通常、このようなポリエステルをはじめとするポリカ―ボネ―ト構造を持つポリマ―を適宜の手段で架橋処理することにより、剥離ライナ―または自背面に対する剥離性と接着力に加え、耐熱性などの耐久性にも好結果を得ることができる。架橋方法は任意でよいが、一般に、ポリエステルなどのポリマ―に含まれる水酸基および/またはカルボキシル基と反応しうる官能基を有する化合物を添加して反応させる、いわゆる架橋剤を用いる方法が望ましい。架橋剤には、ポリイソシアネ―ト化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、金属キレ―ト化合物、金属アルコキシド化合物などがあるが、これらの中でも、とくにポリイソシアネ―ト化合物が好ましく用いられる。
【0016】
このポリイソシアネ―ト化合物としては、たとえば、エチレンジイソシアネ―ト、ブチレンジイソシアネ―ト、ヘキサメチレンジイソシアネ―トなどの低級脂肪族ポリイソシアネ―ト類、シクロペンチレンジイソシアネ―ト、シクロヘキシレンジイソシアネ―ト、イソホロンジイソシアネ―トなどの脂環族ポリイソシアネ―ト類、2,4−トリレンジイソシアネ―ト、4,4´−ジフエニルメタンジイソシアネ―ト、キシリレンジイソシアネ―トなどの芳香族ポリイソシアネ―ト類などがあり、そのほかに、トリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トL」〕、トリメチロ―ルプロパンのヘキサメチレンジイソシアネ―ト付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トHL」〕なども用いられる。
【0017】
これらの架橋剤は、その1種を単独でまたは2種以上の混合系で使用される。使用量は、架橋するべきポリエステルなどのポリマ―とのバランスにより、また粘着剤組成物の使用目的により、適宜選択される。一般には、ポリエステルなどのポリマ―100重量部に対し、0.5〜5重量部の割合とするのがよく、これにより凝集力と接着力のバランス特性に好結果が得られる。
【0018】
本発明に用いられる粘着剤組成物には、従来公知の各種の粘着付与剤を配合してもよい。粘着付与剤の配合により、接着力と耐久性などのバランスがとりやすくなることもある。また、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状物、箔状物などの従来公知の各種の添加剤を任意に配合できる。さらに、老化防止剤の添加により、耐久性の向上を図るようにしてもよい。
【0019】
本発明に用いられるシ―ル基材は、所期の目的とするシ―ル機能を備え、材料成分中にシリコ―ン化合物を実質的に含まないものであれば、公知の各種のものを使用できる。シ―ル基材の代表的なひとつは、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(以下、SBRという)などの各種の合成樹脂や合成ゴムのシ―ト状物またはフオ―ム状物であるか、あるいはこれらに合成樹脂フイルムを積層した積層体などからなる弾性効果のある材料である。このようなシ―ル基材の厚さとしては、シ―ト状物、フオ―ム状物または積層体であるかどうかにより異なるが、一般には、0.3〜2.0mm程度であるのがよい。
【0020】
シ―ル基材の他のひとつは、アルミニウムなどの金属箔やフツ素樹脂フイルムであるか、あるいはポリエステルフイルムなどの合成樹脂フイルムにアルミニウムなどの金属層を設けた複合体(金属箔を積層したり、金属を蒸着したもの)、上記同様の合成樹脂フイルムにフツ素樹脂層を塗工した複合体などからなる防湿効果のある材料が挙げられる。このようなシ―ル基材の厚さとしては、金属箔、フツ素樹脂フイルムまたは複合体であるかどうかにより大きく異なるが、一般には、10〜200μm程度であるのがよい。
【0021】
なお、フツ素樹脂フイルムやフツ素樹脂層を構成させるフツ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)、テトラフルオロエチレン−パ―フルオロアルキルビニルエ―テル共重合体(以下、PFAという)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPという)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(以下、E/TFEという)、ポリビニリデンフルオライド(以下、PVDFという)、ポリクロロトリフルオロエチレン(以下、PCTFEという)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(以下、E/CTFEという)、テトラフルオロエチレン−パ―フルオロジメチルジオキソ―ル共重合体(以下、TEF/PDDという)、ポリビニルフルオライド(以下、PVFという)などがある。
【0022】
本発明のシ―ル材は、上記のようなシ―ル基材上に、上記の粘着剤組成物からなる層を乾燥後の厚さが通常10〜150μm程度となるように塗着して、粘着剤層をシ―ル基材に担持させてなるものである。粘着剤組成物からなる層は、基材の片面だけでなく、必要により両面に塗着してもよい。また、粘着特性の改良のため、他の粘着剤組成物を用いて多層構造化してもよい。
【0023】
このようなシ―ル材には、通常、粘着面、つまり粘着剤組成物からなる層の表面にシリコ―ン処理を施していない剥離ライナ―が貼り合わされる。この剥離ライナ―としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(ブロツクまたはランダム共重合体)またはこれらの混合物からなるポリオレフイン系フイルム、表面が上記同様のポリオレフイン、つまりポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(ブロツクまたはランダム共重合体)またはこれらの混合物にて加工されたフイルムなどがあり、後者の表面が加工されたフイルムには、紙類や他のフイルムと上記ポリオレフイン系フイルムとの積層物なども含まれる。このようなシリコ―ン処理を施していない剥離ライナ―の厚さは、通常20〜200μm程度である。
【0024】
このように構成される本発明のシ―ル材は、剥離ライナ―の剥離力が200g/50mm幅以下、好ましくは100g/50mm幅以下、さらに好ましくは50g/50mm幅以下(通常1g/50mm幅まで)で、接着力が1Kg/20mm幅以上、好ましくは1.5Kg/20mm幅以上(通常10Kg/20mm幅まで)となる、剥離性にすぐれて、かつ大きな接着力を示すものである。
【0025】
このように、本発明のシ―ル材は、剥離ライナ―にポリエチレンフイルムやポリプロピレンフイルムなどを利用することにより、シリコ―ンを全く含まないシ―ル材の製造が可能であり、その結果、シロキサンガスの発生が問題となるHDD用などの接合材料としてとくに有用となる。また、剥離ライナ―がポリエチレン、ポリプロピレンといつた単純なフイルム材料である場合は、近年、とくに問題となつているプラスチツクのリサイクル性にもすぐれている。
【0026】
また、一般のアクリル系やゴム系粘着剤では、ポリエチレンフイルムやポリプロピレンフイルムなどを剥離ライナ―とすると、剥離力が500g/50mm幅以上となり、剥離作業性の低下という問題をさけられないが、本発明ではこのよううな問題も生じない。すなわち、本発明のシ―ル材では、剥離ライナ―の剥離力を200g/50mm幅以下に設定できるので、シ―ル材からの剥離ライナ―の除去が容易であり、通常使用されるシリコ―ン処理剥離ライナ―を用いたシ―ル材と同様の取り扱いが可能である。その結果、シリコ―ン処理剥離ライナ―から本発明の剥離ライナ―への変更に伴う装置、作業手順などの変更もとくに必要とならないという利点が得られるのである。
【0027】
一方、本発明では、このような剥離ライナ―を用いない、いわゆるランナ―レスのシ―ル材として、シ―ル基材の片面側に上記の粘着剤組成物からなる層を設け、このシ―ル基材の背面側をシリコ―ン処理せずに、しかも剥離ライナ―を介装せずにロ―ル状に巻回したシ―ル材とすることもできる。とくに、シ―ル基材の背面側をポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体またはこれらの混合物からなるポリオレフインで構成して、剥離ライナ―を介装せずにロ―ル状に巻回したシ―ル材を得ることができる。
【0028】
このシ―ル材は、剥離ライナ―を持たず、かつシ―ル基材の背面側をシリコ―ン化合物で剥離処理していないにもかかわらず、自背面との剥離性が良好で、この剥離力を前記剥離ライナ―を用いる場合と同様の値に設定でき、しかも前記同様の接着力も維持できる。このため、シリコ―ン化合物を実質的に含まないシ―ル材として、前記シリコ―ン処理を施していない剥離ライナ―を用いる場合と同様の用途であるHDD用などの接合材料として用いられる。
【0029】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例によりなんら制限を受けるものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0030】
実施例1
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカ―ボネ―トジオ―ル〔ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD210PL」、水酸基価:115.0KOHmg/g〕200.0g(水酸基:0.41当量)、無水コハク酸20.51g(酸基:0.41当量)、触媒としてのジブチルチンオキサイド(以下、DBTOという)102mgを仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約27時間反応を続けて、重量平均分子量が56,000となるポリエステルを得た。
【0031】
このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロ―ルプロパンのヘキサメチレンジイソシアネ―ト付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トHL」〕を1.0部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケ―タ―により、厚さが1.2mmのポリウレタンフオ―ム上に塗布し、130℃で3分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着剤層の表面に厚さが100μmのポリエチレンフイルムを貼り合わせて、シ―ル材を作製した。
【0032】
実施例2
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカ―ボネ―トジオ―ル〔ダイセル化学(株)製の「PLACCEL CD210PL」、水酸基価:115.0KOHmg/g〕250.0g(水酸基:0.512当量)、セバシン酸51.8g(酸基:0.512当量)、触媒としてのDBTOを127mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約30時間反応を続けて、重量平均分子量が60,000となるポリエステルを得た。
【0033】
このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トL」〕を1.5部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。これをアプリケ―タ―により厚さが0.3mmのSBRフオ―ム上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着剤層の表面に厚さが60μmのポリエチレンフイルムを貼り合わせて、シ―ル材を作製した。
【0034】
実施例3
四つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計および水分離管を付し、ポリカ―ボネ―トジオ―ル〔ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD220PL」、水酸基価:56.1KOHmg/g〕250.0g(水酸基:0.26当量)、セバシン酸26.8g(酸基:0.26当量)、触媒としてのDBTOを62mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約31時間反応を続けて、重量平均分子量が74,000となるポリエステルを得た。
【0035】
このポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロ―ルプロパンのヘキサメチレンジイソシアネ―ト付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トHL」〕を1.5部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケ―タ―により、厚さが0.5mmのポリウレタンシ―ト上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着剤層の表面に厚さが100μmのポリエチレンとポリプロピレンとのブレンドフイルムを貼り合わせて、シ―ル材を作製した。
【0036】
実施例4
実施例3のポリエステルをトルエンで固形分濃度50重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロ―ルプロパンのヘキサメチレンジイソシアネ―ト付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トHL」〕を2.0部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケ―タ―により、厚さが1.2mmのポリウレタンフオ―ム上に塗布し、80℃で10分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着剤層の表面に厚さが60μmのポリエチレンフイルムを貼り合わせて、シ―ル材を作製した。
【0037】
比較例1
アクリル酸ブチル92部とアクリル酸8部とのモノマ―混合物を使用し、このモノマ―混合物にトルエン150部とアゾビスイソブチロニトリル0.1部とを添加した混合溶液を、窒素雰囲気中、60℃で約7時間溶液重合して、ポリマ―溶液を得た。このポリマ―100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トL」〕を2.0部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケ―タ―により、厚さが1.2mmのポリウレタンフオ―ム上に塗布し、120℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着剤層の表面に厚さが50μmのポリエチレンとポリプロピレンとのブレンドフイルムを貼り合わせて、シ―ル材を作製した。
【0038】
比較例2
天然ゴム100部、脂肪族系石油樹脂(軟化点100℃)100部、軟化剤(ポリブテン)20部をトルエン150部に溶解し、架橋剤としてトリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トL」〕を1.5部(固形分)添加し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を、アプリケ―タ―により、厚さが1.2mmのポリウレタンフオ―ム上に塗布し、100℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着剤層の表面に厚さが60μmのポリエチレンフイルムを貼り合わせて、シ―ル材を作製した。
【0039】
上記の実施例1〜4および比較例1,2の各シ―ル材について、下記の方法により、接着力および剥離ライナ―の剥離力の測定を行つた。結果は、後記の表1に示されるとおりであつた。
【0040】
<接着力の測定>
23℃,65%RHの雰囲気中で、シ―ル材から剥離ライナ―を剥がして、アルミニウム板に貼り付け、30分後に、引張速度300mm/分の条件で、180度引き剥がし接着力を測定した。
【0041】
<剥離力の測定>
23℃,65%RHの雰囲気中で、シ―ル材から剥離ライナ―を引張速度300mm/分の条件で剥離し、剥離力を測定した。
【0042】
Figure 0004109710
【0043】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜4の各シ―ル材は、いずれも、シリコ―ン処理を施していない剥離ライナ―を用いているにもかかわらず、剥離作業に支障をきたすことのない小さい剥離力を示し、しかも、実用上望まれる大きな接着力を有していることがわかる。これに対し、比較例1,2のシ―ル材では、接着力は大きいが、剥離ライナ―の剥離力も大きすぎて、剥離作業に支障をきたすものであることがわかる。
【0044】
また、本発明の実施例1〜4の各シ―ル材は、剥離ライナ―だけでなく、シ―ル基材と粘着剤組成物の層がシリコ―ン化合物を含まないため、これをHDD用の接合材料として用いたときに、HDD内部にシロキサンガスが発生してくることがなく、これに起因したHDD内部の腐食や誤動作またはヘツドクラツシユなどを引き起こさず、シ―ル基材に基づく本来のシ―ル機能、つまりフオ―ム状物などが有する弾性効果に基づくシ―ル機能を、上記良好な接着力と相まつて、より良く発現できるものであることが確認された。
【0045】
実施例5
実施例1で得た粘着剤組成物を、アプリケ―タ―により、厚さが80μmのアルミニウムシ―ト上に塗布し、130℃で3分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着剤層の表面に厚さが100μmのポリエチレンフイルムを貼り合わせて、シ―ル材を作製した。
【0046】
実施例6
実施例2で得た粘着剤組成物を、アプリケ―タ―により、厚さが80μmのアルミニウムラミネ―トシ―ト(厚さが50μmのポリエチレンテレフタレ―トフイルムに金属アルミニウムを30μmの厚さに蒸着したラミネ―トシ―ト)上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着剤層の表面に厚さが100μmのポリエチレンフイルムを貼り合わせて、シ―ル材を作製した。
【0047】
実施例7
実施例3で得た粘着剤組成物を、アプリケ―タ―により、厚さが100μmのフツ素樹脂(PTFE)シ―ト上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着剤層の表面に厚さが100μmのポリエチレンフイルムを貼り合わせて、シ―ル材を作製した。
【0048】
実施例8
実施例4で得た粘着剤組成物を、アプリケ―タ―により、厚さが55μmのフツ素樹脂コ―テイングシ―ト〔厚さが50μmのポリエチレンテレフタレ―トフイルム上にフツ素樹脂(PTFE)を5μmの厚さにコ―テイングしたシ―ト〕上に塗布し、80℃で10分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着剤層の表面に厚さが100μmのポリエチレンフイルムを貼り合わせて、シ―ル材を作製した。
【0049】
比較例3
比較例1で得た粘着剤組成物を、アプリケ―タ―により、厚さが50μmのアルミニウムシ―ト上に塗布し、120℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着剤層の表面に厚さが130μmの剥離紙(シリコ―ン処理したもの)を貼り合わせて、シ―ル材を作製した。
【0050】
比較例4
実施例1で得た粘着剤組成物を、アプリケ―タ―により、厚さが50μmのポリエチレンテレフタレ―トフイルム上に塗布し、130℃で3分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。さらに、この粘着剤層の表面に厚さが100μmのポリエチレンフイルムを貼り合わせて、シ―ル材を作製した。
【0051】
上記の実施例5〜8および比較例3,4の各シ―ル材について、前記と同様にして、接着力および剥離ライナ―の剥離力の測定を行つた。結果は、下記の表2に示されるとおりであつた。
【0052】
Figure 0004109710
【0053】
表2の結果から明らかなように、本発明の実施例5〜8の各シ―ル材は、いずれも、シリコ―ン処理を施していない剥離ライナ―を用いているにもかかわらず、シリコ―ン処理を施した剥離ライナ―を用いたシ―ル材(比較例3)の場合と同様に、剥離作業に支障をきたすことのない小さい剥離力を示し、しかも実用上望まれる大きな接着力を有していることがわかる。
【0054】
また、本発明の実施例5〜8の各シ―ル材は、比較例3のシ―ル材と異なり、剥離ライナ―中にシリコ―ン化合物を含まず、しかもシ―ル基材や粘着剤組成物の層もシリコ―ン化合物を含まないため、これをHDD用の接合材料として用いたときに、HDD内部にシロキサンガスが発生せず、HDD内部の腐食や誤動作またはヘツドクラツシユなどを引き起こす心配がない。そのうえ、シ―ル基材として防湿効果のある材料を用いているため、比較例4のシ―ル材に比べて防湿効果がはるかに高く、これに基づくシ―ル機能を、上記良好な接着力と相まつて、より良く発現できるものであることが確認された。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、シ―ル基材上に特定の粘着剤組成物の層を設ける構成としたことにより、剥離ライナ―としてシリコ―ン処理を施していないものを使用でき、またシ―ル基材の背面側をシリコ―ン処理する必要がなく、シリコ―ン化合物を本質的に含まないHDD用などに適したシ―ル材として、剥離ライナ―や自背面に対する剥離性が良好で、かつ大きな接着力を示す、本来のシ―ル機能にすぐれたシ―ル材を提供することができる。

Claims (5)

  1. シール基材として、(a)合成樹脂や合成ゴムのシート状物またはフォーム状物であるか、あるいはこれらに合成樹脂フィルムを積層した積層体(ただし、上記のシート状物、フォーム状物または積層体の厚さは0.3〜2.0 mm である)か、または(b)金属箔やフッ素樹脂フィルムであるか、あるいは合成樹脂フィルムに金属層やフッ素樹脂層を設けた複合体を使用し、このシール基材上に、つぎの式;

    −(O−R−O−C)n−



    (Rは炭素数2〜20の直鎖状または分枝状の炭化水素基である)

    で表わされる繰り返し単位を有するポリカーボネート構造を持つポリマーとして、上記の式で表わされる繰り返し単位を有するポリカーボネートジオールを必須としたジオール成分と炭素数が2〜20の脂肪族または脂環族の炭化水素基を分子骨格とするジカルボン酸を必須としたジカルボン酸成分とから合成される重量平均分子量1万〜30万のポリエステルを主成分として含む粘着剤組成物からなる層を有することを特徴とするシール材。
  2. 粘着面にシリコーン処理を施していない剥離ライナーが貼り合わされてなる請求項1に記載のシール材。
  3. シリコーン処理を施していない剥離ライナーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体またはこれらの混合物からなるポリオレフィン系フイルム、あるいは表面が上記同様のポリオレフィンにより加工されたフィルムであり、この剥離ライナーの剥離力が200g/50mm幅以下である請求項2に記載のシール材。
  4. シール基材の片面に粘着剤組成物からなる層を有し、このシール基材の背面側がシリコーン処理されておらず、剥離ライナーを介装することなくロール状に巻回してなる請求項1に記載のシール材。
  5. シール基材の片面側に粘着剤組成物からなる層を有し、このシール基材の背面側をポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体またはこれらの混合物からなるポリオレフィンで構成して、剥離ライナーを介装することなくロール状に巻回してなる請求項1に記載のシール材。
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