JP4109506B2 - 運搬用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運搬用容器、詳しくは、複数の運搬用容器を積み上げ又は重ねるに当たって、内容物を収納した状態では背を高くして積み上げるスタッキング及び内容物を収納していない状態では背を低くして重ねるネスティングができる運搬用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から複数の運搬用容器を積み重ねるに当たって、内容物を収納した状態では背を高くして積み上げるスタッキング、内容物を収納していない状態では背を低くして重ねるネスティングができる運搬用容器が知られている。
【0003】
この運搬用容器1は、図18に示すように上方が開口した平面視長方形状をしており、運搬用容器1の上開口部の外周部にはフランジ部2が形成してある。運搬用容器1の対向する両側壁部の外面部の各両端部付近の下部にはそれぞれ側壁部の外面より突出した支持脚4が設けてある。一方、フランジ部2にはこれと対向する側壁部に点対称に形成された支持脚4をはめ込むことのできるポケット部5が形成してある。そして、2つの運搬用容器1を同一向きで積み上げた状態では下段の運搬用容器1のフランジ部2上に支持脚4の下端部が載置され、下段の運搬用容器1に対して平面視180°回転して上段の運搬用容器1を重ねた状態では下段の運搬用容器1のポケット部5に上段の運搬用容器1の支持脚4が没入されるように構成されたものである。
【0004】
上記のような構成の運搬用容器1は内容物を入れて上下に多段に積み上げる場合には、上記のように下段の運搬用容器1のフランジ部2上に支持脚4の下端部が載置されて背を高くしてスタッキング状態に積み上げるのである。
【0005】
一方運搬用容器1に内容物を入れない空の状態で多段に積み重ねるには(つまりネスティング状態にするには)、上記のように下段の運搬用容器1に対して上段の運搬用容器1を平面視で180°回転して重ねることで下段の運搬用容器1のポケット部5に上段の運搬用容器1の支持脚4を没入させて背を低くして多段に重ねるものである。
【0006】
このようなネスティング状態にある上段の運搬用容器1を一端部を支点Aとして他端部Bを図19の矢印イに示すように持ち上げて、上段の運搬用容器1を支点Aを中心に回動しながら下段の運搬用容器1から抜き取ることが考えられる。このように、支点Aを中心に上段の運搬用容器1を回動すると、上段の運搬用容器1の支点A側に近い方の支持脚4の支点Aよりも遠い方のコーナの角部は回転半径R1が小さいので下段の運搬用容器1の支点Aに近いポケット部5の支点Aから遠い方の内側面に当接し、コーナ部の角部がポケット部5の内面に強く引っ掛かって上方に引き上げられず、支点Aに近い支持脚4が支点Aに近い方のポケット部5から抜け出ることができなくなる。なお、上段の運搬用容器1の支点Aより遠い方の支持脚4の支点Aより遠い方のコーナの角部は回転半径R2が大きいのでポケット部5内における支点Aを中心とした回動軌跡は図19に示すようにほぼ垂直となり、したがって、支点Aを中心とした回動により抜けやすい。
【0007】
ところで、スタッキングの際に支持脚のがたつき防止、あるいはネスティングの際にできるだけ下段の運搬用容器1の四隅近くにおいてフランジ部2上に上段の運搬用容器1の支持脚4を載置できるようにするため、できるだけポケット部5の横幅を小さくすることが好ましいのであるが、ポケット部5の横幅を小さくすると、上段の運搬用容器1の支点Aより遠い方の支持脚4の支点Aより遠い方のコーナの角部がポケット部5の内面に当たった状態で、更に、上段の運搬用容器1の支点A側に近い方の支持脚4の支点Aよりも遠い方のコーナの角部が下段の運搬用容器1の支点Aに近いポケット部5の支点Aから遠い方の内側面に当接する場合がある。例えば、図19のように両支持脚4が両ポケット部5の内側面に同時に当たると、上段の運搬用容器1の他端部Bを持って上方に持ち上げるように回動しようとしても、例え、上記のように上段の運搬用容器1の支点Aより遠い方の支持脚4の支点Aより遠い方のコーナの角部は回転半径R2が大きくて回動軌跡がほぼ垂直であって抜けやすいといえども、両支持脚4を同時に両ポケット部5から上方に引き上げるように移動しながら回動することはできない。したがって、このような場合には上段の運搬用容器1の他端部Bを持って上方に持ち上げるように回動して上段の運搬用容器1を抜き取ることは不可能である。
【0008】
このように、従来にあってはネスティング状態にある上段の運搬用容器1の一端部Bを持ち上げて、上段の運搬用容器1を下段の運搬用容器1から抜き取ることが可能な場合(つまりポケット部5の横幅を必要以上に広くする場合)には、作業者が片手で上段の運搬用容器1の一端部Bを持ち上げて下段の運搬用容器1から取り外すことができるが、上記のように上段の運搬用容器1の支点A側に近い方の支持脚4の支点Aよりも遠い方のコーナの角部が下段の運搬用容器1の支点Aに近いポケット部5の支点Aから遠い方の内側面に当接して回動できないような場合や、上段の運搬用容器1の支点A側に近い方の支持脚4の支点Aよりも遠い方のコーナの角部、及び支点Aから遠い方の支持脚4の支点Aよりも遠い方のコーナの角部がいずれも下段の運搬用容器1の各ポケット部5の内側面に当接して可動できないような場合、作業者は両手で運搬用容器1の両端部を持って略垂直状に上段の運搬用容器1を持ち上げなければならず、作業性が悪くなるという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、ポケット部の大きさ(横幅)をできるだけ狭くして、簡単な構成でネスティング状態において上段の運搬用容器の一端部を持ち上げて、上段の運搬用容器を下段の運搬用容器から抜き取ることが可能となる運搬用容器を提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決して本発明の目的を達成するため、本発明の運搬用容器は、上方が開口した平面視長方形状をした運搬用容器1の上開口部の外周部にフランジ部2を形成し、対向する側壁部3の外面部の各両端部付近の下部にそれぞれ側壁部3の外面より突出した支持脚4を設け、フランジ部2にこれと対向する側壁部3に点対称に形成された支持脚4をはめ込むことのできる上方及び内方に開口したポケット部5を形成し、2つの運搬用容器1を同一向きで積み上げた状態では下段の運搬用容器1のフランジ部2上に支持脚4の下端部が載置され、下段の運搬用容器1に対して平面視180°回転して上段の運搬用容器1を重ねた状態では下段の運搬用容器1のポケット部5に上段の運搬用容器1の支持脚4が没入されるように構成されたものにおいて、上記対向する側壁部3の外面部の各両端部付近の下部に突出した一対の支持脚4の互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分を傾斜面6とし、ネスティング状態で上段の運搬用容器1の一端部を支点Aとし且つ他端部Bを上方に持ち上げながら上段の運搬用容器1を回動した際に、支点A側から遠い方の支持脚4がポケット部5から上方に抜けるまでは、支点Aから遠い方の支持脚4の支点Aから遠い方のコーナ部分がポケット部5の内面に当接したとしても支点Aから近い方の支持脚4の支点Aから遠い方のコーナ部分がポケット部5の内面には当接しないようにし、且つ、支点A側から遠い方の支持脚4がポケット部5から上方に抜けた以降に支点Aに近い方の支持脚4の支点Aから遠い方のコーナ部分の傾斜面6が支点A側に近い方の下段の運搬用容器1のポケット部5の支点Aから遠い方の内側面に当接するようにネスティング状態における上段の運搬用容器1の支持脚4の側面と下段の運搬用容器1のポケット部5の内側面との間の寸法、傾斜面6の形態を設定して成ることを特徴とするものである。しかして、ネスティング状態にある上段の運搬用容器1の一端部Bを持ち上げて、上段の運搬用容器1を下段の運搬用容器1から抜き取る場合には、上段の運搬用容器1を支点Aを中心に上方に回動させることになるが、支点Aを中心に上段の運搬用容器1を回動すると、上段の運搬用容器1の支点A側に近い方の支持脚4の支点Aよりも遠い方のコーナ部分の回転半径が小さいので下段の運搬用容器1の支点Aに近いポケット部5の支点Aから遠い方の内側面に当接しようとするが、本発明においては、対向する側壁部3の外面部の各両端部付近の下部に突出した一対の支持脚4の互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分を傾斜面6としてあるので、上段の運搬用容器1の支点A側に近い方の支持脚4の支点Aよりも遠い方のコーナ部分が傾斜面6となっていることになり、該コーナ部分が傾斜面6にガイドされてポケット部5の内側面に引っ掛かることなく回動できて上段の運搬用容器1を下段の運搬用容器1から容易に抜き取ることができることになる。そのうえ、支点Aに近い方の支持脚4の傾斜面6がポケット部5の内側面に当接すると共に同時に支点Aから遠い方の支持脚4の支点Aから遠い方のコーナ部分がポケット部5の内側面に当接するということが回避でき、これにより支点Aに近い方の支持脚4の傾斜面6がポケット部5の内側面に当接した時点で上段の運搬用容器1の他端部Bを上方に持ち上げながら回動することで、傾斜面6がポケット部5の内側面に摺れながら傾斜面6がガイドとなって支点Aに近い方の支持脚4を上方に引き上げながら上段の運搬用容器1を回動して支点Aに近い方の支持脚4を抜き取ることができるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて詳述する。
【0015】
図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7にそれぞれ本発明の全体を示す斜視図、正面図、背面図、平面図、底面図、右側面図、左側面図を示している。運搬用容器1は上方が開口していて上開口部の開口縁に外側方に向けてフランジ部2が形成してある。
【0016】
運搬用容器1の長辺側の側壁部3のうち一方の長辺側の側壁部3aの外面部の両側付近の下部にはそれぞれ支持脚4が突出して形成されている。ここで、両側の支持脚4のうち一方の支持脚4aは他方の支持脚4bよりも幅が狭くなっている。
【0017】
また、長辺側の他方の側壁部3bの上部には平面視で運搬用容器1の中心点O(図5、図6に示す)を中心として支持脚4a、4bと点対象の位置にそれぞれ支持脚4a、4bを嵌入することのできる上方及び内方に開口したポケット部5(支持脚4aを嵌入することができるポケット部5aと支持脚4bを嵌入することができるポケット部5b)が各々形成してある。
【0018】
同様に、長辺側の他方の側壁部3bの両側付近の下部にはそれぞれ支持脚4a、4bが形成してあり、また、長辺側の一方の側壁部3aの上部には該支持脚4a、4bが嵌入することのできるポケット部5a、5bが運搬用容器1の中心点Oを中心として支持脚4a、4bと点対象の位置に各々形成してある。
【0019】
また、短辺側の側壁部3のうち一方の短辺側の側壁部3cの外面部の両側付近の下部にはそれぞれ支持脚4c、4cが突出して形成されている。
【0020】
また、短辺側の他方の側壁部3dの上部には平面視で運搬用容器1の中心点Oを中心として支持脚4c、4cと点対象の位置にそれぞれ支持脚4c、4cが嵌入することのできるポケット部5c、5cが各々形成してある。
【0021】
同様に、短辺側の他方の側壁部3dの両側付近の下部にはそれぞれ支持脚4d、4dが形成してあり、また、短辺側の一方の側壁3aの上部には該支持脚4d、4dが嵌入することのできるポケット部5d、5dが平面視で運搬用容器1の中心点Oを中心として点対象の位置に各々形成してある。
【0022】
ここで、支持脚4c、4c間の距離は支持脚4d、4d間の距離と異なる距離に設定してある。
【0023】
なお、上記各ポケット部5(5a、5b、5c、5d)はいずれも上方においてはフランジ部2に開口している。
【0024】
ここで、本発明においては、対向する側壁部3(添付図面に示す実施形態では対向する長辺側の側壁部3a、3b)の外面部の各両端部付近の下部に突出した一対の支持脚4の互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分を傾斜面6としてある(つまり、支持脚4の下端部の運搬用容器1中央よりのコーナ部分を傾斜面6としてある)。
【0025】
傾斜面6としては図1乃至図3に示すように湾曲した傾斜面6であっても、図17に示すように平面状をした傾斜面6であってもよい。
【0026】
上記のような構成の運搬用容器1は合成樹脂により一体に形成してあり、この運搬用容器1は例えば下段の運搬用容器1の上開口に上段の運搬用容器1の底部を嵌め込むと共に下段の運搬用容器1の上端のフランジ部2に上段の運搬用容器1の支持脚4(4a、4b、4c、4d)を載置して図10、図11のように背を高くして積み上げる(いわゆるスタッキングという)ことができ、内部に収納物を収納した状態で運搬用容器1を上下に積み重ねることができるものである。このスタッキング積み状態では下段の運搬用容器1の上に上段の運搬用容器1を同一向きの姿勢で積み重ねるものである。
【0027】
一方、上段の運搬用容器1を平面視で180°回転した状態で下段の運搬用容器1内に上段の運搬用容器1を嵌め込み、上段の運搬用容器1の支持脚4a、4b、4a、4b及び支持脚4c、4c、4d、4dをそれぞれ下段の運搬用容器1のポケット部5a、5b、5a、5b及びポケット部5c、5c、5d、5dに嵌め込み、上段の運搬用容器1のポケット部5を下段の運搬用容器1のフランジ部2の上面に載置し、これにより図12、図13、図14のように背を低くして積み重ね(いわゆるネスティングという)て嵩張らないようにすることができる。このように、空の運搬用容器1をネスティング積みすることで、コンパクトに積み重ねた状態で多数の運搬用容器1を運搬したり、あるいは保管しておくことができる。図14に示すネスティング状態において、下段の運搬用容器1のポケット部5の両内側面とこれに嵌め込まれている支持脚4の両側面との間の隙間が同じ寸法となるように設定してある。
【0028】
このようなネスティング状態において、上段の運搬用容器1を下段の運搬用容器1から抜き取るに当たっては、上段の運搬用容器1の対向する両端部を両手で掴んで上段の運搬用容器1をほぼ垂直に持ち上げることで抜き取ることができるのはもちろんであるが、本発明においては、図15のように、上段の運搬用容器1の一端部Bを持ち上げて、上段の運搬用容器1を支点Aを中心に上方に回動させることで、上段の運搬用容器1を下段の運搬用容器1から抜き取ることが可能となるものであり、この場合には上段の運搬用容器1の一端部Bを片手で持ち上げて支点Aを中心に上方に回動させることで抜き取ることが可能となるものである。
【0029】
すなわち、上段の運搬用容器1の長辺と平行な方向の一端部を支点Aとして長辺と平行な方向の他端部B(図15においては右側の短辺部)を矢印イのように片手で持ち上げて支点A(図15においては支点Aは、上段の運搬用容器1の左に位置する短辺側のポケット部5dの下端外側コーナ部が支点Aとなる)を中心に上方に回動すると、上段の運搬用容器1の支点A側に近い方の支持脚4の支点Aよりも遠い方のコーナの角部は回転半径が小さいので下段の運搬用容器1の支点Aに近いポケット部5の支点Aから遠い方の内側面に当接しやすいが、本発明においては、この上段の運搬用容器1の支点A側に近い方の支持脚4の支点Aよりも遠い方のコーナ部分(つまり、一対の支持脚4の互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分)が傾斜面6となっているので、図15に示すように、他端部Bを更に図15の矢印イのように持ち上げながら回動すると支点Aに近い方の支持脚4の傾斜面6が支点Aに近い方のポケット部5の支点Aから遠い方の内側面に当接した状態で該傾斜面6がガイドとなって該支点Aに近い方の支持脚4が矢印ロのように上方に引き上げられながら回動しつつ(この場合支点Aであった上段の運搬用容器1の一端部は上方に浮き上がる)ポケット部5から上方に引き抜かれるものである。
【0030】
一方、上段の運搬用容器1の支点Aより遠い方の支持脚4の支点Aより遠い方のコーナの角部は回転半径が大きいのでポケット部5内における支点Aを中心とする回動軌跡はほぼ垂直であって、上記支点Aを中心とする回動で抜けることができる。
【0031】
ここで、添付図面に示す実施形態では、ネスティング状態で上段の運搬用容器1の一端部を支点Aとし且つ他端部Bを上方に持ち上げながら上段の運搬用容器1を回動した際に、支点A側から遠い方の支持脚4がポケット部5から上方に抜けた以降に支点Aに近い方の支持脚4の支点Aから遠い方のコーナ部分の傾斜面6が支点A側に近い方の下段の運搬用容器1のポケット部5の支点Aから遠い方の内側面に当接するようにネスティング状態における上段の運搬用容器1の支持脚4の側面と下段の運搬用容器1のポケット部5の内側面との間の寸法、傾斜面6の形態を設定してある。このようにすると、支点Aに近い方の支持脚4の傾斜面6がポケット部5の内側面に当接すると共に同時に支点Aから遠い方の支持脚4の支点Aから遠い方のコーナ部分がポケット部5の内側面に当接するということが回避でき、これにより例え支点Aから遠い方の支持脚4の支点Aから遠い方のコーナ部分がポケット部5の内面に当接したとしても、この場合は支点Aから近い方の支持脚4の支点Aから遠い方のコーナ部分がポケット部5の内面に当接しておらず、したがって、支点Aから遠い方の支持脚4は支点Aを中心とした回動によりほぼ垂直方向に引き上げられてポケット部5から引き抜かれ、このように支点Aから遠い方の支持脚4がポケット部5から引き抜かれた時点で支点Aに近い方の支持脚4の傾斜面6がポケット部5の内側面に当接することになり、これにより上段の運搬用容器1の他端部Bを上方に持ち上げながら回動することで、傾斜面6がポケット部5の内側面に摺れながら傾斜面6がガイドとなって抵抗を少なくしつつ支点Aに近い方の支持脚4を上方に引き上げながら上段の運搬用容器1を回動して支点Aに近い方の支持脚4をよりいっそう容易に抜き取ることができるものである。
【0032】
この場合、ネスティング状態で上段の運搬用容器1の一端部を支点Aとし且つ他端部Bを上方に持ち上げながら上段の運搬用容器1を回動した際に、支点A側から遠い方の支持脚4がポケット部5から上方に抜けた時点で支点A側の支持脚4に近い方の支持脚4のコーナ部分の傾斜面6が支点A側に近い方の下段の運搬用容器1のポケット部5の支点Aから遠い方の内側面に当接するようにしてあると、ポケット部5の横幅寸法をできるだけ短くできることになる。
【0033】
また、図16のように上段の運搬用容器1の長辺と平行な方向の他端部B’(図16においては左側の短辺部)を片手で持ち上げて支点A’(図16においては支点A’は、上段の運搬用容器1の右に位置する短辺側のポケット部5cの下端外側コーナ部が支点A’となる)を中心に上方に回動した場合は上記の場合と左右逆となるだけで、同様にして上段の運搬用容器1の支点A’側に近い方の支持脚4の支点A’よりも遠い方のコーナ部分(つまり、一対の支持脚4の互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分)が傾斜面6となっているので、上記と同様の理由で上段の運搬用容器1の他端部B’を持ち上げて、上段の運搬用容器1を支点A’を中心に上方に回動させるという簡単な操作で、上段の運搬用容器1を下段の運搬用容器1から抜き取ることが可能となるのである。
【0034】
したがって、本発明においては上段の運搬用容器1の長辺と平行な方向の一端部B、他端部B’のいずれか一方(つまり両短辺のうちいずれか一方)を持ち上げて、上段の運搬用容器1を支点A又はA’を中心に上方に回動させるという簡単な操作で、上段の運搬用容器1を下段の運搬用容器1から抜き取ることが可能となるのである。
【0035】
上記実施形態では対向する長辺側の側壁部3a、3bの外面部の各両端部付近の下部にそれぞれ突出した一対の支持脚4a、4bの互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分を傾斜面6とした例を示したが、短辺側の側壁部3c、3dの外面部の各両端部付近の下部にそれぞれ突出した一対の支持脚4c、4c、又は4d、4dの互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分を傾斜面6としてもよいものである。また、対向する長辺側の側壁部3a、3bの外面部の各両端部付近の下部にそれぞれ突出した一対の支持脚4a、4bの互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分を傾斜面6とし、これに加えて更に、短辺側の側壁部3c、3dの外面部の各両端部付近の下部にそれぞれ突出した一対の支持脚4c、4c、又は4d、4dの互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分を傾斜面6としてもよいものである。
【0036】
ところで、上記のように、傾斜面6は上記のように対向する側壁部3の外面部の各両端部付近の下部に突出した一対の支持脚4の下端部の両側のコーナ部分のうち互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分にのみ形成すれば、上段の運搬用容器1の一端部Bを持ち上げて、上段の運搬用容器1を支点Aを中心に上方に回動させることができるものであり、このため、支持脚4の下端部の両コーナ部分のうち他のコーナ部分は傾斜面6とせず従来と同様に角部のままとし、傾斜面6は一方のコーナ部分にのみ形成されることになり、スタッキング状態において、上段の運搬用容器1の支持脚4の下面の下段の運搬用容器1のフランジ部2上への載置部分の面積をできるだけ広く取ることが可能となって、安定してスタッキング積みできるものである。
【0037】
ここで、添付図面に示すように、対向する長辺側の側壁部3a、3bの外面部の各両端部付近の下部にそれぞれ突出した一対の支持脚4a、4bの互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分のみを傾斜面6とし、支持脚4a、4bの下端部の両コーナ部のうち他のコーナ部分は傾斜面6とせずに従来と同様に角部のままとし、更に、対向する短辺側の側壁部3c、3dの外面部の各両端部付近の下部にそれぞれ突出した一対の支持脚4c、4c、4d、4dの各下端部の両コーナ部をいずれも傾斜面6とせずに従来と同様に角部のままとすると、上段の運搬用容器1の長辺と平行な端部を持って回動しながら抜き取ることができる構成であるにもかかわらず、スタッキング状態において、上段の運搬用容器1の支持脚4の下面の下段の運搬用容器1のフランジ部2上への載置部分の面積をできるだけ広く取ることが可能となって、より安定してスタッキング積みできるものである。
【0038】
【発明の効果】
本発明にあっては、上記のように、ネスティング積み、スタッキング積みが選択してできるようにした運搬用容器において、対向する側壁部の外面部の各両端部付近の下部に突出した一対の支持脚の互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分を傾斜面としてあるので、ネスティング状態にある上段の運搬用容器の一端部を持ち上げて、上段の運搬用容器を下段の運搬用容器から抜き取る場合に、上段の運搬用容器を支点を中心に上方に回動させる際、上段の運搬用容器の支点側に近い方の支持脚の支点よりも遠い方のコーナ部分が傾斜面となっていることにより、該コーナ部分が傾斜面にガイドされてポケット部の内側面に引っ掛かることなく回動できて上段の運搬用容器を下段の運搬用容器から容易に抜き取ることができることになり、このように、対向する側壁部の外面部の各両端部付近の下部に突出した一対の支持脚の互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分を傾斜面にするという簡単な構成でネスティング状態にある上段の運搬用容器の一端部を持ち上げて、上段の運搬用容器を下段の運搬用容器から抜き取ることができるので、従来のように必要以上にポケット部を大きく形成する必要がないものである。
さらに、ネスティング状態で上段の運搬用容器の一端部を支点とし且つ他端部を上方に持ち上げながら上段の運搬用容器を回動した際に、支点側から遠い方の支持脚がポケット部から上方に抜けるまでは、支点から遠い方の支持脚の支点から遠い方のコーナ部分がポケット部の内面に当接したとしても支点から近い方の支持脚の支点から遠い方のコーナ部分がポケット部の内面には当接しないようにし、且つ、支点側から遠い方の支持脚がポケット部から上方に抜けた以降に支点に近い方の支持脚の支点から遠い方のコーナ部分の傾斜面が支点側に近い方の下段の運搬用容器のポケット部の支点から遠い方の内側面に当接するように、ネスティング状態における上段の運搬用容器の支持脚の側面と下段の運搬用容器のポケット部の内側面との間の寸法、傾斜面の形態を設定してあるので、支点に近い方の支持脚の傾斜面がポケット部の内側面に当接すると共に同時に支点から遠い方の支持脚の支点から遠い方のコーナ部分がポケット部の内側面に当接するということが回避でき、これにより支点に近い方の支持脚の傾斜面がポケット部の内側面に当接したとしても、この場合は支点から近い方の支持脚の支点から遠い方のコーナ部分がポケット部の内面に当接しておらず、したがって、支点から遠い方の支持脚は支点を中心とした回動によりほぼ垂直方向に引き上げられてポケット部から引き抜かれ、このように支点から遠い方の支持脚がポケット部から引き抜かれた時点で支点に近い方の支持脚の傾斜面がポケット部の内側面に当接することになり、これにより、上段の運搬用容器の他端部を上方に持ち上げながら回動することで、傾斜面がポケット部の内側面に摺れながら傾斜面がガイドとなって抵抗を少なくしつつ支点に近い方の支持脚を上方に引き上げながら上段の運搬用容器を回動して支点に近い方の支持脚をよりいっそう容易に抜き取ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の運搬用容器の斜視図である。
【図2】同上の正面図である。
【図3】同上の背面図である。
【図4】同上の平面図である。
【図5】同上の底面図である。
【図6】同上の右側面図である。
【図7】同上の左側面図である。
【図8】同上の側面断面図である。
【図9】同上の正面断面図である。
【図10】同上の運搬用容器をスタッキングした状態の正面図である。
【図11】同上のスタッキングした部分の拡大断面図である。
【図12】同上の運搬用容器をネスティングした状態の正面図である。
【図13】同上のネスティングした部分の側面断面図である。
【図14】同上のネスティングした部分の正面断面図である。
【図15】同上のネスティング状態で上段の運搬用容器の一端部を持ち上げて上段の運搬用容器を回動しながら抜き取る動作を示す説明図である。
【図16】同上のネスティング状態で上段の運搬用容器の他端部を持ち上げて上段の運搬用容器を回動しながら抜き取る動作を示す説明図である。
【図17】本発明の運搬用容器の他の実施形態の正面図である。
【図18】従来例の運搬用容器の斜視図である。
【図19】従来例においてネスティング状態で上段の運搬用容器の一端部を持ち上げて上段の運搬用容器を回動する場合の問題点を示す説明図である。
【符号の説明】
1 運搬用容器
2 フランジ部
3 側壁部
4 支持脚
5 ポケット部
6 傾斜面
Claims (1)
- 上方が開口した平面視長方形状をした運搬用容器の上開口部の外周部にフランジ部を形成し、対向する側壁部の外面部の各両端部付近の下部にそれぞれ側壁部の外面より突出した支持脚を設け、フランジ部にこれと対向する側壁部に点対称に形成された支持脚をはめ込むことのできる上方及び内方に開口したポケット部を形成し、2つの運搬用容器を同一向きで積み上げた状態では下段の運搬用容器のフランジ部上に支持脚の下端部が載置され、下段の運搬用容器に対して平面視180°回転して上段の運搬用容器を重ねた状態では下段の運搬用容器のポケット部に上段の運搬用容器の支持脚が没入されるように構成さたものにおいて、上記対向する側壁部の外面部の各両端部付近の下部に突出した一対の支持脚の互いに対向する側面と下面とのなすコーナ部分を傾斜面とし、ネスティング状態で上段の運搬用容器の一端部を支点とし且つ他端部を上方に持ち上げながら上段の運搬用容器を回動した際に、支点側から遠い方の支持脚がポケット部から上方に抜けるまでは、支点から遠い方の支持脚の支点から遠い方のコーナ部分がポケット部の内面に当接したとしても支点から近い方の支持脚の支点から遠い方のコーナ部分がポケット部の内面には当接しないようにし、且つ、支点側から遠い方の支持脚がポケット部から上方に抜けた以降に支点に近い方の支持脚の支点から遠い方のコーナ部分の傾斜面が支点側に近い方の下段の運搬用容器のポケット部の支点から遠い方の内側面に当接するように、ネスティング状態における上段の運搬用容器の支持脚の側面と下段の運搬用容器のポケット部の内側面との間の寸法、傾斜面の形態を設定して成ることを特徴とする運搬用容器。
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