JP4116313B2 - 運搬容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種物品を収容し、保管や運搬、輸送に供するための運搬容器に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
積み重ね可能な従来の運搬容器は、容器が傾くことなく安定して積み重なるよう、周側壁が同じ高さに形成されていた。そのため、容器を多段に重ねた状態では、最上段の容器からしか収容された物品を取り出すことができず、容器毎に異なる物品が収容されていた場合には、上段の容器を取り外してからでないと目的の物品を取り出せないことがあった。
【0003】
収容容積が小さく、軽量な小物を保管するための容器であれば側壁の一部に物品を取り出すための開口を設けることに何ら支障は生じないが、飲料が充填されたパックやボトルなどの大重量の物品の運搬に利用されるような収容容積の大きい大型の容器にあっては、側壁に物品取り出し用の開口を設けることにより、容器の強度低下を引き起こす虞れがあり、容器の強度を維持して安定して多段に積み重ねることができるような工夫が必要となる。
【0004】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、積み重ね可能に形成された大型の運搬容器において、容器を積み重ねた状態のまま各段の容器に収容された物品を取り出すことが可能であり、且つ傾いたり滑ったりすることなく安定して容器を多段に積み上げることができるようにすることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本発明の運搬容器は、平面視矩形の底部の周囲に前後側壁と左右側壁を立ち上げて上面を略方形に開口し、各側壁内面は凹凸のない平面に設けられ、各側壁上端に略水平に外方へ張り出したフランジが設けられた運搬容器において、前記側壁のうち、後側壁及び左右側壁が同じ高さに、前側壁がこれよりも低い高さに設けられ、前側壁と左右側壁とは隅角部が湾曲した壁面及び湾曲フランジで一体に連結され、各側壁の外周面にはフランジと平行に鍔部が突設され、この鍔部とフランジとは補強リブで連結されており、 左右側壁の前側壁よりの外面と後側壁よりの外面両側には、フランジと同じ幅外方へ張り出していてフランジの下面から当該側壁の下端に渡って鉛直に延びた二本の縦リブの下端を横リブで連結してなる支脚がそれぞれ設けられ、各支脚の上端が接合する位置のフランジ上面には凹部が設けられ、各支脚の下面には前記凹部内に没入する大きさの凸リブが設けられた構成を有することを特徴とする。
また、本発明の運搬容器は、左右側壁が同じ高さに、前後側壁がこれよりも低い高さに設けられ、前後側壁の上方に物品取り出し用の傾斜開口が設けられたことを特徴する。各側壁は底部から上方に開拡しており、低側壁の傾斜角度が他の側壁の傾斜角度よりも大きく設けられたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、側壁の一つを隣接する側壁よりも低く設け、あたかも箱の上部角部を切り欠いた形状に形成されるので、容器を積み重ねた状態でも当該低い側壁の上方が傾斜開口し、ここから収容された物品を取り出すことができる。このとき、低側壁が外側に大きく傾斜していると、傾斜開口からの物品の取り出しが容易となる。
また、この低い側壁と隣接する側壁が湾曲した壁面で連結され、両側壁のフランジも同じく湾曲したフランジで一体に連結されているので、隅角部が筋交い状となり、傾斜開口面の強度が高まって上方からの荷重に対して変形し難い構造となり、容器を多段に積み重ねても下段の容器が変形したり上段容器が傾いたりするようなことはない。
さらに、低い側壁の両側の側壁に支脚を配置し、この支脚の下面に凸リブを設けるとともに、容器を積み重ねたときに上段容器の支脚が支持される容器のフランジ上面に凹部を設け、容器を積み重ねた状態で凹部内に凸リブが係入するように設けてあるので、上段容器の積載位置がずれたり、上方からの荷重を受けて下段容器の側壁が開いたりするのを防ぎ、容器を安定して積み重ねることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の運搬容器の外観斜視図、図2はこの容器の平面図、図3は図2のA−A線に沿って要部を断面で示した容器の正面図、図4は容器を積み重ねた状態の側面図、図5及び図6は容器を積み重ねたときの上段容器の凸リブと下段容器の凹部の係合部分の拡大断面図である。
【0008】
本形態の運搬容器1は、平面視矩形を呈する底部2の周囲から前後側壁3、4と左右側壁5、6を上方に若干開拡しつつ立ち上げ、上面を略矩形に開口した有底箱型に形成されている。
【0009】
詳しくは、各側壁のうち、底部2の短手辺の一方と連結した前側壁3を、後側壁4及び左右側壁5、6よりも底部2に対する傾きを大きくし、且つ他の側壁の1/2程度の高さで低く立ち上げるとともに、これと隣接する左右側壁5、6との隅角部に傾斜しつつ湾曲した壁面7、7を配して一体に連結しており、前側壁3と湾曲壁面7、7の上方が収容物品を取り出すための傾斜開口となっている。各側壁内面は凹凸のない平面に設けられている。
【0010】
各側壁の上端には適宜な幅水平に張り出したフランジ8が設けられ、前側壁3と左右側壁5、6のフランジ8も、湾曲壁面7、7の上端に張り出した湾曲フランジ9で繋げて一体に連結されている。図2に示されるように、湾曲壁面7、7は、後側壁4と左右側壁5、6との隅角部の円弧RB よりも曲率の大きい円弧RA に、また湾曲フランジ9も、後側壁4と左右側壁5、6との隅角部のフランジ8の円弧Rb よりも曲率の大きい円弧Ra にそれぞれ設定されて、一の円弧で湾曲させてある。
【0011】
また、各側壁の外周面には、フランジ8、9と平行に水平に張り出した鍔部10が突設され、この鍔部10とフランジ8、9とを複数の補強リブ11で連結してある。
【0012】
さらに、側壁5、6の外面には、フランジ8と同じ幅で外方へ張り出していてフランジ8の下面から側壁の下端に渡って鉛直に延びた二本の縦リブ12a、12aを突出させ且つ当該リブの下端同士を横リブ12bで連結してなる支脚12、12が、それぞれ側壁5、6の前側壁3よりと後側壁4よりの両側に一対配置されている。
また、各支脚12の上端が接合する位置のフランジ8の上面には凹部13がそれぞれ設けられ、各支脚12の横リブ12bの下面には凹部13内に没入し得る大きさの凸リブ14がそれぞれ設けられている。なお、前記凹部13に代えて、フランジ8に凸リブ14が没入して係合する貫通孔を設けるようにしてもよい。
【0013】
このように構成された運搬容器1によれば、図4に示されるように、上下に配した容器同士を同方向に向けて重ね合わせれば、上段容器の底部2を僅かに下段容器の開口面内に差し入れた状態で、上段容器の各支脚部12が下段容器のフランジ8の上面に載って積み重なる。
前側壁3が他の側壁よりも低くなって外側に傾斜しており、容器を積み重ねた状態でも下段容器の前側壁3上方が傾斜開口しているので、ここから容器に収容された物品を取り出すことができる。
【0014】
また、図5に示されるように、容器を積み重ねた状態では、上段容器の支脚部下面の凸リブ14が下段容器のフランジ8の凹部13内に係入しているので、容器に横方向の荷重がかかったときでも、凸リブ14が凹部13内面に係合して上下容器の位置がずれることを防止し、容器は当初の積載位置に保持され、容器を傾けることなく安定して多段に積み上げることができる。
また、前側壁3と左右側壁5、6の隅角部は大きな曲率円弧の湾曲壁面7、7で形成されているから、上方からの荷重に対して開口が変形し難くなっており、さらに仮に下段容器に上方から大荷重がかかったとしても、図6に示されるように、上段容器の凸リブ14が下段容器の凹部13内面に係合するため、下段容器の左右側壁5、6が開き難くなり、開口が変形するのを防止する。
【0015】
なお、図示した形態は一例であり、本発明の運搬容器は、積み重ね可能な構造であれば、その全体又は各部の寸法や形状などは、利用形態や収容する物品の大きさや種類などに応じて適宜な態様に設けることができる。前側壁3と後側壁4の両方を左右側壁5、6よりも低くし、前後側壁3、4の上方に物品取り出し用の傾斜開口を設けてもよく、また、容器内部に物品の仕切りを設けてもよい。
【0016】
【発明の効果】
本発明の運搬容器によれば、容器を積み重ねた状態のまま各段の容器に収容された物品を取り出すことでき、また、容器を当初の積載位置に保持して安定して多段に積み上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の運搬容器の外観斜視図である。
【図2】図1の容器の平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿って要部を断面で示した容器の正面図である。
【図4】図1の容器を積み重ねた状態の側面図である。
【図5】容器を積み重ねたときの上段容器の凸リブと下段容器の凹部の係合部分の拡大断面図である。
【図6】下段容器に大荷重がかかった状態の上段容器の凸リブと下段容器の凹部の係合部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 運搬容器
2 底部
3 前側壁
4 後側壁
5 左側壁
6 右側壁
7 湾曲壁面
8 フランジ
9 湾曲フランジ
10 鍔部
11 補強リブ
12 支脚
13 凹部
14 凸リブ
Claims (2)
- 平面視矩形の底部(2)の周囲に前後側壁(3、4)と左右側壁(5、6)を立ち上げて上面を略方形に開口し、各側壁内面は凹凸のない平面に設けられ、各側壁上端に略水平に外方へ張り出したフランジ(8)が設けられた運搬容器において、
前記側壁のうち、後側壁(4)及び左右側壁(5、6)が同じ高さに、前側壁(3)がこれよりも低い高さに設けられ、前側壁(3)と左右側壁(5、6)とは隅角部が湾曲した壁面(7)及び湾曲フランジ(9)で一体に連結され、
各側壁の外周面にはフランジ(8、9)と平行に鍔部(10)が突設され、この鍔部(10)とフランジ(8、9)とは補強リブ(11)で連結されており、
左右側壁(5、6)の前側壁(3)よりの外面と後側壁(4)よりの外面両側には、フランジ(8)と同じ幅外方へ張り出していてフランジ(8)の下面から当該側壁(5、6)の下端に渡って鉛直に延びた二本の縦リブ(12a、12a)の下端を横リブ(12b)で連結してなる支脚(12、12)がそれぞれ設けられ、
各支脚(12、12)の上端が接合する位置のフランジ上面には凹部(13)が設けられ、各支脚(12、12)の下面には前記凹部(13)内に没入する大きさの凸リブ(14)が設けられた構成を有する運搬容器。 - 左右側壁(5、6)が同じ高さに、前後側壁(3、4)がこれよりも低い高さに設けられ、前後側壁(3、4)の上方に物品取り出し用の傾斜開口が設けられた構成を有する請求項1に記載の運搬容器。
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- 2002-04-09 JP JP2002106857A patent/JP4116313B2/ja not_active Expired - Lifetime
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