JP4105328B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレッドゴムの充填剤としてシリカを用いたタイヤにおいて、その優れた低転がり抵抗性能とウエット性能とを発揮しつつ電気抵抗を低減した空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、トレッドゴムの充填剤としてカーボンブラックからシリカへと置き換えることが提案されている。シリカは、カーボンブラックとは異なり、結合材を介してゴムと強固に化学的結合をなすため、シリカにより補強されたトレッドゴムは、転がり抵抗を減じるとともに、ゴムが動きやすくかつ粘着力に富むなどウエット性能にも優れるという利点を有している。
【0003】
ところが、シリカは電気絶縁性が高いためゴムの電気抵抗が大となり、車両で発生した静電気が地上へアースされず車両に溜まりやすくなるという欠点がある。このような静電気の蓄積は、例えばガソリンスタンドで車両の燃料タンクの蓋を開けようとした際に、火花を発生させる危険があり、また車両の走行中にラジオノイズ等の電波障害を引き起こすなど電気的誤動作の原因ともなる。
【0004】
そのために本出願人は、特開平9−71112号公報において、トレッド部を、シリカ配合の絶縁性ゴムからなるキャップゴムと、その半径方向内側に配される導電性ゴムからなるベースゴムとの2層構造とするとともに、このベースゴムに、前記キャップゴムを貫通してのびトレッド接地面で露出する貫通端子部を形成することを提案した。従って、車両内の静電気を、ベースゴムから貫通端子部を経由して地上に放出でき、タイヤの電気抵抗を大巾に低減しうる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このものはカーボンブラックなどのカーボン系及び金属粉などをゴムに配合することにより、前記ベースゴムに導電性を付与するものであり、特に、ベースゴムに良導電性を付与するためには、自ずとカーボンブラックなどの配合量が増大してベースゴムのヒステリシスロスが高められ、ひいてはタイヤの転がり抵抗を効果的に低減しえない傾向がある。
【0006】
そこで本発明は、以上のような問題点に鑑み案出されたもので、トレッド部をシリカ配合のキャップゴム体と貫通端子部を有する導電性のベースゴム体とで構成したタイヤにおいて、前記ベースゴムの充填剤としてカーボンブラックの表面の少なくとも一部をシリカで被覆したシリカ処理カーボンブラックを用いることを基本として、ウエット性能や低電気抵抗性を高く維持しながら、低転がり抵抗性能を一段と向上しうる空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願の請求項1の空気入りタイヤの本発明は、トレッド部からサイドウオール部をへてビード部のビードコアに至るカーカス、このカーカスの半径方向外側かつ前記トレッド部の内方に配される補強コード部材、トレッド部の接地面側に配されるキャップゴム体、及びこのキャップゴム体のタイヤ半径方向内側に配されるベース部とこのベース部から前記キャップゴム体を貫通してのびかつ外端面が前記接地面の一部をなす貫通端子部とを具えるベースゴム体を具える一方、
前記キャップゴム体は、シリカにより補強される絶縁性ゴム材からなるとともに、前記ベースゴム体は、カーボンブラックの表面の少なくとも一部をシリカで被覆したシリカ処理カーボンブラックにより補強される導電性ゴム材からなることを特徴としている。
【0008】
また請求項1の発明では、前記絶縁性ゴム材は、シリカ、カーボンブラックを含むことなく、しかもジエン系ゴムを用いたゴム基材の100重量部に対して、30〜100重量部のシリカと3〜20重量部のカーボンブラックとを含みかつ体積固有抵抗が1×108 Ωcmを越えるとともに、前記導電性ゴム材は、ジエン系ゴムを用いたゴム基材の100重量部に対して、35〜60重量部のシリカ処理カーボンブラックを含みかつ体積固有抵抗が1×108 Ωcm以下としたことを特徴としている。
【0009】
また請求項1の発明では、前記シリカ処理カーボンブラックは、その全表面積に対するシリカの表面積が5〜20%であることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明の空気入りタイヤ1が乗用車用ラジアルタイヤである場合の断面図を例示しており、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5の廻りで折返して係止されるトロイド状のカーカス6と、このカーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内方に配される補強コード部材7とを具えている。
【0011】
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤道Cに対して75〜90度の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライから形成され、そのプライ本体部6aとプライ折返し部分6bとの間には、硬質のビードエーペックスゴム8が配される。カーカスコードとしては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードが採用されるが、スチールコードなども好適に使用できる。
【0012】
前記補強コード部材7は、トレッド補強用のブレーカ層9を少なくとも含み、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して補強しかつトレッド剛性を高めている。
【0013】
前記ブレーカ層9は、本例では、ブレーカコードをタイヤ赤道Cに対して15〜40度の角度で配列した2枚以上、本例では2枚のブレーカプライ9A、9Bからなり、ブレーカプライ9A、9Bは、ブレーカコードがプライ間で交差するように傾斜の向きを違えて配置している。なおベルトコードとしては、スチールコード及びこれに匹敵する芳香族ポリアミド等の高張力の有機繊維コードが好適に使用される。
【0014】
又前記補強コード部材7として、本例では、前記ブレーカ層9の外側に重置されそのリフティングを防止し高速耐久性を高めるバンド層(図示せず)を含む。このバンド層は、例えばナイロン製のバンドコードをタイヤ赤道Cに対して0〜5゜の角度で螺旋状に巻回した所謂エンドレス状のバンドプライからなり、ブレーカ層9の少なくとも外端部を被覆する。
【0015】
なお、前記カーカス6、ブレーカ層9、およびバンド層は、スチールコードを使用することによって導電性とすることができるが、本例では、従来の一般タイヤと同様、コードを被覆するプライ形成用のトッピングゴムにおいて、カーボンブラックを充填剤として使用することによって、良導電性を付与している。
【0016】
次に、前記トレッド部2は、シリカにより補強された絶縁性ゴム材g1からなり接地面2Sの側に配されるキャップゴム体11と、導電性ゴム材g2からなりかつ前記キャップゴム体11のタイヤ半径方向内側に配されるベース部10Aを有するベースゴム体10とを具える。
【0017】
前記ベースゴム体10は、ほぼ均一な厚さを有して前記補強コード部材7の外面に接してのびる前記ベース部10Aと、このベース部10Aから前記キャップゴム体11を貫通してのびかつ外端面12が前記接地面2Sの一部をなす貫通端子部10Bとを具える。
【0018】
先ず、キャップゴム体11は、接地面2Sのうち前記貫通端子部10Bを除く略全域で露出するように形成され、路面との接地性に最も重要な影響を与える。本発明では、このキャップゴム体11は、充填剤としてシリカを主に配合することにより補強されたゴム材からなり、これによりドライ路面での転がり抵抗を低減する一方ウエット路でのグリップ性が向上される。
【0019】
なお前記キャップゴム体11は、本例では排水用のトレッド溝Gの溝深さ以上の厚さを有する。このため、タイヤの摩耗終期に至っても前記低転がり抵抗性能及びウエット性能を維持することができる。
【0020】
前記キャップゴム体11は、例えばゴム基材の100重量部に対して、30〜100重量部のシリカを含み、これによって、キャップゴム体11は、タイヤの転がり抵抗の低減とウエット性能とをより高いレベルで両立しうる。
【0021】
前記ゴム基材としては、ジエン系ゴム、すなわち天然ゴム(NR)、ブタジエンの重合体であるブタジエンゴム(BR)、いわゆる乳化重合のスチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合のスチレンブタジエンゴム(S−SBR)、イソプレンの重合体である合成ポリイソプレンゴム(IR)、ブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体であるニトリルゴム(NBR)、クロロプレンの重合体であるクロロプレンゴム(CR)などを挙げることができ、これらを単独で用いてもよく、また2種以上を互いにブレンドして使用してもよい。
【0022】
また配合されるシリカとしては、窒素吸着比表面積(BET)が100〜250m2 /gの範囲、かつフタル酸ジブチル(DBP)吸油量が150ml/100g以上のコロイダル特性を示すものが、ゴムへの補強効果及びゴム加工性等の点で好ましい。
【0023】
なお、キャップゴム体11に要求される他のゴム物性、例えばゴム弾性、ゴム硬度、耐摩耗性等を得るために、前記ジエン系ゴム基材100重量部に対して3〜20重量部のカーボンブラックを補助的に配合するのが好ましい。
【0024】
前記カーボンブラックの配合量が20重量部を超えると、シリカによる低転がり抵抗性等の優れた効果が減少し、またゴムが硬くなる傾向にあるなどキャップゴム体11として満足のゆくゴム物性が得られ難い。また前記シリカの配合量が100重量部を超えると、前記他のゴム物性を得るためのカーボンブラックの3重量部以上の配合が困難となり、光酸化防止効果が下がり耐候性を著しく損ねるため好ましくない。
【0025】
このようなキャップゴム体11は、前記シリカの配合により、例えば体積固有抵抗が1×108 Ωcmを越す絶縁性ゴム材g1から構成される。
【0026】
これに対して、前記ベースゴム体10のベース部10Aび貫通端子部10Bは、車両から生じる静電気を路面へ放出するために重要な役割を担う。本例ではベース部10A、貫通端子部10Bはいずれも同じ導電性ゴム材g2から形成されるものを示す。この導電性ゴム材g2は、かかる役割を果たすために体積固有抵抗が1×108 Ωcm以下に制限されなければならない。
【0027】
また、前記ベース部10Aは、略均一な厚さで前記キャップゴム体11の内面に接してのび、本例では前記ブレーカ層7の両端と略一致して終端しているものを示す。なおキャップゴム体11、ベースゴム体10のタイヤ軸方向両端には、ウイングゴム体15が設けられるものを例示している。
【0028】
前記貫通端子部10Aは、図2に拡大して示すように、前記ベース部10Bにその内端部16が連結しかつ半径方向外側にキャップゴム体11を貫通してのびるとともに、その外端部12が前記接地面2Sの一部をなす如く形成される。なお本明細書において、接地面2Sとは、トレッド部2が路面と接地する面部分を意味し、前記トレッド溝Gの溝壁面および溝底面は除外する。
【0029】
このような空気入りタイヤ1は、車両で発生した静電気を、リムJからタイヤのビード部4やサイドウォール部3の外面を形成する外皮ゴム、カーカス6、及びコード補強層7などを経由してベースゴム体10の前記貫通端子部10Bから路面へと放電する導電通路を形成しうる。なおトレッド部2よりもタイヤ半径方向内側に位置するサイドウォール部3、ビード部4には、従来の一般タイヤと同様、カーボンブラックが充填剤として使用されることによって、体積固有抵抗が1×108 Ωcm以下の良導電性体として構成される。
【0030】
本例の前記貫通端子部10Bは、略タイヤ赤道Cの位置において図2、図3に示すように、タイヤ周方向に連続するリング状に形成される。このため、タイヤの1回転中に前記貫通端子部10Bを常に路面に接地させることができるから、より確実に車両の静電気除去効果を発揮でき、しかも、直進時及び旋回時のいずれにおいても接地が可能でありかつ接地圧が比較的高いタイヤ赤道Cの位置に貫通端子部10Bが設けられるため、静電気の路面への放出効果をさらに高めうる点で好ましいものとなる。
【0031】
また貫通端子部10Bは、図2に示すようにその内端部16よりも巾の狭い狭小部13を有するものを例示している。この貫通端子部10Bの狭小部13は、貫通端子部10Bのタイヤ軸方向の巾を漸減しながら接地面2Sに向かってのびるテーパ状に形成され、接地面2Sで最小巾をなすものを示す。
【0032】
このように貫通端子部10Bが、その内端部16よりも巾の狭い狭小部13を有すると、剛性の低い狭小部13に歪みを集中させることができ、貫通端子部10Bの内端部16でのゴム割れや、異種ゴムであるキャップゴム体11との剛性段差を効果的に緩和することが可能となる。このような観点から、前記狭小部13のタイヤ軸方向の最小巾(本例ではWb)は、前記内端部16の巾Waの60〜80%とするのが好ましい。
【0033】
また前記貫通端子部10Bが接地面2Sに現れる外端部12のタイヤ軸方向巾Wb(本例では狭小部の最小巾となる)は、例えば0.5〜20.0mm、より好ましくは5〜20mmの範囲から設定するのが好ましい。この外端部12の巾Wbが0.5mm未満では、路面への通電効果が低下しがちとなり、逆に20mmを超えると、キャップゴム体11の接地面積が減じて、特にウエット性能の向上効果を相対的に低下させる恐れがある。
【0034】
次に、本発明では、前記ベースゴム体10を形成する導電性ゴム材g2の充填剤として、シリカ処理カーボンブラックを用いることに大きな特徴の一つを有している。
【0035】
このシリカ処理カーボンブラックは、カーボンブラックの表面の少なくとも一部をシリカで被覆したものであり、例えば特許第2788212号公報で開示されるごとくカーボンブラック20の外表面にのみシリカ21が付着したタイプA(図4(A)に模式的に示す)、及び例えばWO96/37547号公報で開示されるごとく、カーボンブラック20とシリカ21とが1つの粒子内で3次元的に混ざり合っているタイプB(図4(B)に模式的に示す)が知られている。
【0036】
これらはいずれもカーボンブラックとシリカの両者の特徴を併せ持つと考えられ、優れた低転がり抵抗性能と導電性とを発揮できる。特にタイプBのものは、表面活性点が通常のカーボンブラックと同等あるいはそれ以上であり、補強性能の尺度となるバウンドラバーが多いため、より好ましく使用できる。
【0037】
なおウエット性能に関しても、カーボンブラック配合のゴムに比して高性能ではあるが、シリカ配合のゴムよりは劣る傾向にある。従って、シリカ処理カーボンブラックを全トレッドゴムに配合することは性能及びコストの点で不利であり、本願の2層構造と合体して使用することによって、必要な導電性を確保しながら、低転がり抵抗性能とウエット性能とを最大限に発揮することが可能となるのである。
【0038】
そのためには、前記シリカ処理カーボンブラックとして、その全表面積に対するシリカ21の表面積が5〜20%のものを用いるとともに、このシリカ処理カーボンブラックの配合量を、前記ジエン系ゴム基材100重量部に対し、35〜60重量部の範囲としている。なお、シリカやカーボンブラックとは併用しない。
【0039】
前記シリカ表面積が5%未満の時、転がり抵抗の向上効果が期待できず、逆に20%を越えると、必要な導電性を得るためにその配合量が増し、例えばゴム弾性、伸び性、硬度、強度等の他のゴム物性を阻害することとなる。また前記配合量が35重量部未満あるいは60重量部を越えると、前記他のゴム物性が過小あるいは過大となるなどタイヤとしての性能が十分に確保できなくなる。
【0040】
前記絶縁性ゴム材g1、導電性ゴム材g2には、必要に応じて、公知の加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、可塑剤、老化防止剤、およびシランカップリング剤等を適宜添加できることは勿論である。
【0041】
図5には、貫通端子部10Bの他の実施形態を示す。この例では、貫通端子部10Bは、そのタイヤ半径方向長さの略中央部分に前記狭小部13を有し、この狭小部13の半径方向外側は、再び拡巾し、外端部12は内端部16とほぼ等しいタイヤ軸方向の巾を有している。この場合、接地面2Sにて貫通端子部10Bの接地面積を大としうる点で好ましく、また貫通端子部10Bは、その略中央部分の狭小部13で剛性が小さくなるため、特に歪を狭小部13に集中させることで、キャップゴム体11との剛性段差を緩和することができる。
【0042】
また貫通端子部10Bは、複数列、例えばタイヤ赤道Cを挟んで両側に設けることや、リング状以外にも接地面2Sから見た外端面が例えば円形、矩形などをなす柱状体としてベース部10Aから立ち上げでき、しかもタイヤ周方向に疎らに分散配置することもできる。この場合、タイヤが1周する際にトレッド面が接地するフットプリント上で常に1つ以上の導電部が接地しているのが良い。なお貫通端子部10Bは、内端部16が前記ベース部10Aと例えば円弧によって滑らかに接することによって、内端部16での応力集中の緩和を図ることも好ましく実施しうる。
【0043】
【実施例】
先ず、キャップゴム体に用いたゴム材、ベースゴム体に用いたゴム材の配合例を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
なお表1の*1〜9は次の通りである。
*1 日本合成ゴム製 SL574 (S-SBR :スチレン量15%、ビニル量57%、非油展)
*2 日本ゼオン製 BR1220 (ハイシスBR シス分98%)
*3 Degusa製 ウルトラシルVN-3 (シリカ:BET175m2/g、 DBP 吸油量210ml/100g)
*4 三菱化学製カーボン(1次粒子径16nm)
*5 昭和キャボット製 N351カーボン(1次粒子径28nm)
*6 昭和キャボット製 CRX2000
*7 Degussa製 シランカップリング剤 (Si69:ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスフィド)
*8 ADVANTESTER8340Aの電気抵抗測定器を用い、印加電圧(500V)、気温 (25℃) 、湿度(50%) の条件下で測定した値で、Log 表示(Ωcm)である。
*9 岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用い、温度70゜C、初期伸張10.0%、動歪±1.0%、周波数10Hzの条件下で測定した値である。
【0046】
次に、図1に示す構造の空気入りタイヤ(サイズ:175/70R13)を表1に示したゴムを適宜表2に示すように組み合わせて試作し、タイヤの転がり抵抗、ウエット性能、電気抵抗をそれぞれ測定して評価した。なおビード部、サイドウォール部のゴムの体積固有抵抗をそれぞれ略1×107 Ωcmとしている。
テストの方法は次の通りである。
【0047】
<転がり抵抗性>
転がり抵抗は、神戸機械(株)製の転がり抵抗試験機を用いて測定し、比較例2を100とする指数で表示した。数値が大きいほど優れている。
【0048】
<ウエット性能>
ウエット性能は、前記試供タイヤをJATMA規格で定める標準リム、最高空気圧にて乗用車の前輪に装着し、半径50mのアスファルト路面に水深約5mmの水たまりを設けたコース上を、速度を段階的に増加させながら実車走行した時に測定した最大横加速度(横G)をもってウエット性能とし、比較例2を100とする指数で評価した。数値が大きいほど優れている。
【0049】
<電気抵抗>
ドイツの WDK、 Blatt3で規定される「荷重下でのタイヤ電気抵抗の測定手順」に基づき測定しうるものであって、図6に示すように、台板30に対して絶縁状態で取付く鋼板31上に、タイヤ1を前記負荷状態で垂直に接地させ、リムJと鋼板31との間の電気抵抗を、印加電圧(500V)、気温 (25℃) 、湿度(50%) 、内圧(200Kpa)、縦荷重(450Kgf)の条件で測定した。Log 表示(Ω)である。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例のタイヤは、キャップゴム体のゴム材を同じとした比較例のタイヤに比べ、ウエット性能を維持しながら電気抵抗及び転がり抵抗を両立して改善することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の空気入りタイヤは、トレッド部をシリカ配合のキャップゴム体と貫通端子部を有する導電性のベースゴム体とで構成したタイヤにおいて、前記ベースゴムの充填剤としてシリカ処理カーボンブラックを用いているため、ウエット性能や低電気抵抗性を高く維持しながら、低転がり抵抗性能を一段と向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す空気入りタイヤの断面図である。
【図2】貫通端子部を拡大して示す部分断面図である。
【図3】トレッドパターンの一例を示すトレッド部の平面図である。
【図4】(A)、(B)は、シリカ処理カーボンブラックを示す略図である。
【図5】貫通端子部の他の実施例を示す断面図である。
【図6】負荷状態におけるタイヤの電気抵抗の測定方法を説明する線図である。
【符号の説明】
2 トレッド部
2S 接地面
3 サイドウオール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 補強コード部材
10 ベースゴム体
10A ベース部
10B 貫通端子部
11 キャップゴム体
g1 絶縁性ゴム材
g2 導電性ゴム材
Claims (1)
- トレッド部からサイドウオール部をへてビード部のビードコアに至るカーカス、このカーカスの半径方向外側かつ前記トレッド部の内方に配される補強コード部材、トレッド部の接地面側に配されるキャップゴム体、及びこのキャップゴム体のタイヤ半径方向内側に配されるベース部とこのベース部から前記キャップゴム体を貫通してのびかつ外端面が前記接地面の一部をなす貫通端子部とを具えるベースゴム体を具える一方、
前記キャップゴム体は、シリカにより補強される絶縁性ゴム材からなるとともに、前記ベースゴム体は、カーボンブラックの表面を、該カーボンブラックの全表面積に対して5〜20%の表面積でシリカにより被覆したシリカ処理カーボンブラックにより補強される導電性ゴム材からなり、
かつ前記絶縁性ゴム材は、ジエン系ゴムを用いたゴム基材の100重量部に対して、30〜100重量部のシリカと3〜20重量部のカーボンブラックとを含みかつ体積固有抵抗が1×10 8 Ω cm を越えるとともに、
前記導電性ゴム材は、シリカ、カーボンブラックを含むことなく、しかもジエン系ゴムを用いたゴム基材の100重量部に対して、35〜60重量部のシリカ処理カーボンブラックを含みかつ体積固有抵抗が1×10 8 Ω cm 以下であることを特徴とする空気入りタイヤ。
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