JP4103538B2 - 水圧転写方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車部品ならびに家電部品の如き表面特性と装飾性が求められる用途に有用な水圧転写方法に関し、更に詳しくは、プレコート金属板の如き硬化塗膜層を有する金属基体に転写層を水圧転写する水圧転写方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷蔵庫や洗濯機などの家電製品に用いられる成形品には、成形加工した金属にスプレー塗装等により塗装したものや、プレコートメタル(PCM)と呼ばれる塗装済み金属板を成形加工したものが用いられている。しかしながら、近年の需要の多様化により、金属成形品に対する意匠要求も形だけでなく、色や柄も重視されて来ており、従来の方法で金属成形品に柄模様を装飾するのは困難であった。
【0003】
成形品に柄模様を装飾する方法として、金属成形品に印刷したフィルムを貼り付ける方法も行われている。短期間で絵柄を貼り替える製品の場合には、フィルムは簡便で有利な方法であるが、家電製品のように使用期間の長い製品の製造に前記の方法を採用した場合、耐久性の点で満足できるものが得られないという問題があり、また、金属成形物の三次元形状によっては、フィルムを成形物に密着させることが難しく、さらに、金属成形物のねじ穴などのトリミングが後から必要であるなどの問題があった。
【0004】
同様に、プレコート金属板にも、高い意匠性を有する装飾を付与することは困難であり、例えば、均一な斑点状の模様を付与する程度が限界であり、グラビア印刷の絵柄などの高度な装飾を付与することはできなかった(特許文献1参照)。
【0005】
一方、水圧転写法は、柄模様が付された装飾層を有する水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルムを水に浮かべ、支持体フィルムを溶解または膨潤しながら、装飾層を溶剤で活性化し、被転写体を支持体フィルム上部から押し当てて水中に沈めることで、柄模様が付された装飾層を被転写体に転写する方法であり、被転写体である成形物の範囲が広く、意匠の自由度も高い優れた装飾方法である。しかしながら、工程が煩雑であることから、その応用は一部の特に意匠性を要求される高級商品の製造に限られていた。
【0006】
また、水圧転写法では、被転写体と装飾層とが密着することが必須であるが、例えば、亜鉛めっき鋼板などの金属材料に転写した印刷インキや塗膜などの装飾層は、金属基体との密着性が低いため、水圧転写時に印刷模様が崩れたり、水洗時や乾燥後の成形加工時に装飾層が剥がれる問題があった。
【0007】
上記した水圧転写法の問題を解決する方法として、乾燥はしているが完全硬化には至っていない半硬化及至未硬化状態の硬化性樹脂層を有する被転写体に水圧転写により印刷模様層を転写し、次いで、印刷模様層を被覆するように硬化性樹脂層を形成し、更に、印刷模様層の上下両側に存在する硬化性樹脂層を完全硬化させる絵付け成形品の製造方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、上記の方法は、被転写体である金属基体に硬化性樹脂を塗布して、直ちに水圧転写を行う場合には採用できる方法であるが、半硬化及至未硬化状態の硬化性樹脂を塗布した金属基体を塗装表面を清浄、平滑に保って保存することは困難であり、また、保存中に硬化性樹脂の硬化が進み、水圧転写される転写層を受着できなくなる、という問題があった。
【0009】
また、電離放射線の照射又は熱で硬化する性質を有する樹脂からなる装飾層を具備する水溶性もしくは水膨潤性フィルムからなる水圧転写用シートを、該水圧転写用シートにおける水溶性もしくは水膨潤性フィルムが下方を向くようにして水面に浮かべた後、成形体をその上面から押し入れることにより、水圧によって前記水圧転写用シートを前記成形体の外側表面に延展、密着させ、前記水圧転写用シートにおける装飾層を前述の成形体の外側表面に転移させ、次いで、前記水圧転写用シートにおける水溶性もしくは水膨潤性フィルムを除去し、更に、前記移転された装飾層中の組成物の種類に応じて、前記装飾層に電離放射線を照射するかあるいは前記装飾層を加熱することにより、前記装飾層を硬化させる方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0010】
しかしながら、上記の方法では、依然として、装飾層と金属基体との密着性が低いため、水洗時、乾燥後の成型加工時に装飾層が剥がれる問題があった。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−079456号公報
【特許文献2】
特開昭61−261100号公報
【特許文献3】
特開平1−22378号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、長期保存が可能で、意匠性に優れ、しかも、任意形状の金属基体上に強固に接着された転写層を有する金属基体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究した結果、硬化塗膜を有するプレコート金属基体であって、該硬化塗膜が水圧転写された転写層に含まれる有機溶剤を十分に吸収することができれば、該転写層を該硬化塗膜上にしっかり固定化接着できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けられた有機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層とからなり、前記転写層が印刷インキ被膜又は塗料被膜からなる装飾層、又は、活性エネルギー線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる保護層を有する水圧転写用フィルムを用いて、金属基体からなる被転写体上に前記転写層を水圧転写する方法において、前記金属基体が、キシレン吸収量が10〜100g/m 2 の範囲にある硬化塗膜層を有する金属基体であることを特徴とする水圧転写方法を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する被転写体は、キシレン吸収量が3.5〜100g/m2の硬化塗膜層を有する金属基体である。前記硬化塗膜層のキシレン吸収量の好ましい範囲は、前記硬化層上に水圧転写される転写層の構成によって異なるが、転写層が後述する装飾層のみからなる場合には、前記硬化塗膜層のキシレン吸収量は、3.5〜100g/m2であり、好ましくは5〜80g/m2、更に好ましくは10〜60g/m2である。硬化塗膜のキシレン吸収量が3.5g/m2未満である硬化塗膜層を有する金属基体を用いた場合、水圧転写した転写層の被転写体への接着性が十分でない。一方、硬化塗膜層のキシレン吸収量が100g/m2を超える硬化塗膜層を有する金属基体を用いた場合、乾燥工程において、水圧転写した転写層の表面にクレーター状の小さな穴が多数発生し、商品価値が著しく低下する傾向にあるので、好ましくない。また、転写層が後述する活性エネルギー線あるいは熱硬化性樹脂からなる保護層を有する場合には、前記硬化塗膜層のキシレン吸収量は、転写層が装飾層のみからなる転写層の場合より多い方が好ましく、10〜100g/m2であり、より好ましくは20〜80g/m2、更に好ましくは30〜60g/m2である。
【0017】
なお、本発明で言う硬化塗膜層のキシレン吸収量とは、硬化塗膜層を有する金属基体をキシレンに浸漬し、金属基体の硬化塗膜層に吸収されるキシレン吸収量が一定となった時点での金属基体単位面積当たりの吸収キシレン量を言う。より詳しくは、硬化塗膜層を有する金属基体(10mm×25mm、又は50mm×50mm)をキシレンに浸漬し、24時間ごとに取り出して、表面のキシレンをタオルで拭き取って秤量し、この操作を繰り返し行って、金属基体の秤量値が一定となった時点(通常、浸漬開始から96時間経過後)での、塗膜単位面積当たりの吸収キシレン量、すなわち、浸漬前と浸漬後の質量変化値を試料金属基体の単位面積で除した溶剤吸収量を言う。
【0018】
前記硬化塗膜層の層厚は、3〜100μmの範囲にあることが好ましく、5〜80μmの範囲にあることが特に好ましい。硬化塗膜層の層厚が3μm以上とすることによって、金属基体と転写層との間の密着性が十分となる。また、硬化塗膜層の層厚が100μm以下とすることによって、硬化塗膜層を形成した金属基体を任意形状に加工する際に硬化塗膜層がひび割れを生じることもない。
【0019】
硬化塗膜層を有する金属基体は、その硬化塗膜上に水圧転写により転写層を転写し、更に通常、その転写層の上に保護層を設けるので、その硬化塗膜層の硬度、耐擦傷性、耐溶剤性等の塗膜物性は、通常のプレコート金属板の塗膜層を構成する樹脂組成物より低くて良い。そのため、金属基体上に設けられる硬化塗膜層は、低い架橋度の三次元架橋した硬化塗膜層や、実質的に三次元架橋されていない線状樹脂から成る硬化塗膜層であってもよく、転写層との密着性が良好となる材料から構成されることが好ましい。
【0020】
金属基体上に設けられる硬化塗膜層は、ポリエステル樹脂と、イソシアネート系硬化剤及びアミン系硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤とを含む樹脂組成物の硬化物からなるものが好ましい。これらの中でも、両末端に水酸基とカルボキシル基との少なくとも1種を有するポリエステル樹脂とジイソシアネートとを反応させて得られる硬化樹脂からなるものが好ましい。
【0021】
前記ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分とを常法に従って脱水縮合する方法、ヒドロキシカルボン酸を常法に従って脱水縮合する方法、ヒドロキシカルボン酸の環状エステルを常法に従って開環重合する方法、などによって、容易に製造することができる。前記ポリエステルの原料として、前記したジカルボン酸成分及びジオール成分に加えて、必要に応じて、少量の3官能以上の多価カルボン酸および/またはポリオールを使用することもできる。
【0022】
前記ジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチル−ヘキサヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、およびそれらの無水物、などが挙げられる。
【0023】
前記ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチルペンタン1,3−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールFのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物などの脂肪族アルキルオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールFのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物などの芳香族アルキルオキサイド付加物などや、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリテトラメチレンエ−テルグリコ−ル(PTMEG)、ポリカーボネートジオール(PCD)、などが挙げられる。
【0024】
前記ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、2−ヒドロシキエトキシ安息香酸、などが挙げられる。
【0025】
前記ヒドロキシカルボン酸の環状エステルとしては、例えば、ε−カプロラクトン、などが挙げられる。
【0026】
前記3官能以上の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族多価カルボン酸、ブタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、などが挙げられる。
【0027】
前記3官能以上のポリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール、などが挙げられる。これら3官能以上のカルボン酸および/またはポリオールを併用する場合の使用量は、ポリエステル樹脂を構成する全モノマーの10モル%以下の量で、かつ、ゲル化しない量が好ましい。
【0028】
前記ポリエステル樹脂の数平均分子量は、2000〜100000の範囲が好ましく、5000〜15000の範囲が特に好ましい。数平均分子量が2000以上のポリエステルを用いることによって、転写層を有する金属基体に充分な加工性が得られる。また、数平均分子量が100000以下のポリエステルを用いることによって、金属基体上に硬化塗膜層を形成する際に用いる塗料の取扱いが容易となる。なお、数平均分子量はゲルパーミェーションクロマトグラフィ(以下、単にGPCと略記する)によって測定し、標準ポリメタクリル樹脂(PMMA)の検量線を用いて求めるものである。
【0029】
前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は特に限定されるものではないが、転写層を有する金属基体を成形加工する際の塗膜硬度や塗膜表面の性能の面から30℃以上が好ましく、45℃以上が特に好ましい。
【0030】
前記硬化塗膜層に用いることができるポリエステル樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製の「ベッコライトM−6207−40」、同「ベッコライト57−206−40」、東洋紡績株式会社製の「バイロン600」、同「バイロン290」、などが挙げられる。
【0031】
ポリエステル樹脂と硬化剤とを反応させる場合、ポリエステル樹脂95〜70質量%に対して、硬化剤5〜30質量%の範囲内で使用することが望ましい。硬化剤が5質量%未満の場合には、硬化度が低いために、塗膜性能、特に耐蝕性が低下する。硬化剤が30質量%を越える場合には、塗膜性能、特に絞り加工性が低下すると共に、水圧転写の際に転写層の接着性が悪くなる。
【0032】
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートのごとき芳香族ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのごとき脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネートのごとき脂環族ジイソシアネート類;これらのジイソシアネートのイソシアヌレート等の多量体;これらのジイソシアネートの多価アルコールとの付加物などのブロック化物、などが挙げられる。
【0033】
前記ブロック化剤としては、例えば、フェノール系、ラクタム系、アルコール系、活性メチレン系、メルカプタン系、イミン系、アミン系、イミダゾール系、オキシム系あるいは亜硫酸系ブロック剤、などが挙げられる。
【0034】
両末端に水酸基とカルボキシル基との少なくとも1種を有するポリエステル樹脂にジイソシアネートを反応させてウレタン変性ポリエステル樹脂を得る場合、ポリエステル樹脂の水酸基とカルボキシル基との少なくとも1種とジイソシアネートとの反応割合は、カルボキシル基と水酸基との少なくとも一つの官能基1モルに対して、イソシアネート基が0.5〜5モルとなる割合が好ましく、1.0〜3.0モルとなる割合が特に好ましい。
【0035】
ブロック化イソシアネートを用いて硬化反応を行なう場合には、解離触媒と併用することが好ましい。解離触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレートの如き有機スズ化合物を含む慣用のものが挙げられる。
【0036】
また、ポリエステル樹脂の水酸基またはカルボキシル基とイソシアネート系硬化剤との反応において、反応を促進させるために有機金属触媒を用いることができる。
【0037】
前記有機金属触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジオクチルチンジアセテート、ジブチルチンオキサイドの如き有機錫化合物;有機アルミニウム化合物、有機ニッケル化合物、などが挙げられる。これらの中でも、有機錫触媒が好適である。
【0038】
有機錫系触媒の市販品としては、武田薬品工業株式会社製の「タケネートTK−1」が挙げられる。また、有機アルミニウム系触媒及び有機ニッケル系触媒の市販品としては、例えば、それぞれ、キングインダストリー(KING INDUSTRY)社製の「K−KAT348」、同「XC−4205」、などが挙げられる。
【0039】
有機金属触媒を用いる場合の触媒の使用量は、ポリエステル樹脂及びイソシアネート系硬化剤の合計量に対して0.01〜3.0質量%の範囲が好ましく、0.05〜0.3質量%の範囲が特に好ましい。
【0040】
アミン系硬化剤は、炭素原子数1〜4のアルコールによりアルキルエーテル化されたホルムアルデヒドあるいはパラホルムアルデヒドなどと、尿素、N,N´−エチレン尿素、ジシアンジアミド、アミノトリアジン等との縮合物が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロール−N,N´−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン、などが挙げられる。
【0041】
また、ポリエステル樹脂とアミン系硬化剤との反応において、必要に応じて、反応を促進させるために触媒を用いることができる。そのような触媒としては、例えば、塩酸、リン酸モノアルキルエステル、p−トルエンスルホン酸の如き酸;これらの酸と3級アミンまたは2級アミン化合物との塩、などが挙げられる。これらの触媒の使用量は、アミン系触媒に対し0〜10質量%の範囲が好ましい。
【0042】
硬化塗膜層を構成する樹脂として、ポリエステル樹脂と硬化剤からなる樹脂を用いる場合、さらに、エポキシ樹脂やアクリル樹脂を含んでいてもよい。
【0043】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式型エポキシ樹脂、アルコール型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、などが挙げられる。また、これらのエポキシ樹脂を必要に応じてポリエステル樹脂などの他の樹脂で変性したものを用いても良い。
【0044】
エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製の「エピクロン7050−40S」、同「エピクロンP−439」、ジャパンエポキシレジン株式会社製の「エピコート1007」、同「エピコート1009」、などが挙げられる。
【0045】
アクリル樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸又はメタクリル酸の炭素原子数2〜18のアルキルエステル、末端に水酸基、カルポシキル基、グリシジル基、イソシアネート基などの反応性官能基を有する単量体からなる群から選ばれる1種又は2種以上の単量体を常法に従って重合あるいは共重合させて得られるものである。
【0046】
アクリル樹脂の市販品としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製の「LR−635」、大日本インキ化学工業株式会社製の「アクリディックA−405」、などが挙げられる。
【0047】
前記硬化塗膜層を形成するために用いられる塗料は、顔料を含まないクリア塗料でも良いが、必要に応じて顔料を配合しても良い。
【0048】
顔料としては、酸化チタン、クロム酸ストロンチウム、ジンククロメート、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化ケイ素、などが挙げられる。
【0049】
また、前記硬化塗膜層を形成するために用いられる塗料には、キシレン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ソルベッソ100、などの溶剤を混合することもできる。
【0050】
金属基体を構成する金属は、プレコート金属板用に通常用いられている金属であればいかなるものでもよい。また、金属基体の形状は、板状、円筒状など、水圧転写可能な形状であれば、如何なる形状でも良いが、金属基板上に硬化塗膜層を形成した後、任意の形状に加工した後、水圧転写法に供することが好ましい。そのような金属板としては、例えば、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、鉛めっき鋼板、ニッケルめっき鋼板、アルミニウム板、チタン板、ステンレス板、などが挙げられる。
【0051】
金属基体の硬化塗膜層は、これらの金属基体に直接あるいは通常の塗装前処理を施した後、上述した樹脂を必要に応じて有機溶剤に溶解したものを塗装して形成される。塗装前処理としては、プレコート金属板の慣用の前処理であれば良く、例えば、電解クロメート処理、塗布型クロメート処理および反応型クロメート処理等のクロメート化成処理や、りん酸亜鉛処理やりん酸鉄処理のようなりん酸塩化成処理、またはニッケルとコバルトを含有する複合酸化被膜処理、などが挙げられる。
【0052】
本発明で用いる硬化塗膜層を有する金属基体は、硬化塗膜層上に更に転写層を積層するので、金属基体と硬化塗膜層との間にプライマー層を設ける必要はないが、必要に応じて、金属基体と硬化塗膜層との接着性を向上させる目的で金属基体にプライマー塗料を塗装し、乾燥させた後、上述した硬化塗膜層を塗装してもよい。
【0053】
そのようなプライマー塗料としては、エポキシ樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料など、プレコートメタル用のプライマー塗料として通常用いられているものであれば、特に制限なく使用することができる。耐蝕性が要求される場合には、ストロンチウムクロメートやジンククロメートなどの防錆顔料を適宜配合したプライマー塗料を使用することが望ましい。
【0054】
塗装方法としては、プレコート金属の製造時に通常用いられるロールコーターやカーテンフローコーターなどにより、乾燥塗膜厚が3〜100μm、好ましくは、5〜80μmとなるように塗装した後、乾燥焼付する。なお、乾燥塗膜厚が10μm以上となる場合には、ワキなどの塗膜欠陥発生を防ぐために、数回に分けて塗布並びに乾燥焼付してもよい。例えば、乾燥塗膜厚60μmとする場合には、乾燥塗膜厚換算で20μmずつ3回に分けて塗布並びに乾燥焼付してもよい。
【0055】
焼付条件は、雰囲気温度120〜400℃で、15〜120秒の焼付時間で、最高板面到達温度(以下、PMTと略記する)が120〜280℃となるように焼付けるのが好ましい。また、誘導加熱方式によって塗装原板を直接加熱する方法で焼付けてもよい。
【0056】
乾燥塗膜厚が3μm未満であると隠蔽性が低くなり、また転写層の接着性が悪く、転写の際に装飾層が崩れたり、転写した装飾層が金属基体から剥がれ落ちるという転写不良を起こし易い。また乾燥塗膜厚が100μm以上になると、塗装焼付時にワキなどの塗装欠陥が発生しやすくなり、連続した均一な塗膜を得ることが困難になる上、成形加工時に塗膜のひび割れなどの塗膜欠陥が発生しやすくなる。
【0057】
また、用いる硬化剤の種類にもよるが、一般にPMTが120℃未満であると塗膜中に溶剤が残存し易くなり、架橋反応が充分に進行しないため、強靱な塗膜を得ることが困難となる。また、PMTが280℃を越えると、いわゆるオーバーベークとなり色焼けなどが生じやすくなり好ましくない。
【0058】
ポリエステル樹脂を配合して塗料を調整する際には、所望の物性を損なわない範囲で、一般的に焼付型塗料に用いられる顔料分散安定化剤、光沢調整剤、粘度調整剤、ハジキ防止剤、ワックス等の後添加剤、などを適宜配合することができる。ただし、ポリエステル樹脂を配合して塗料を調整する際に用いる添加剤のうち、ワックス等の滑剤成分は装飾層と硬化塗膜層を有する金属基体との密着性を低下させる傾向があるので、本発明で用いる硬化塗膜層を有する金属基体の塗膜形成用の樹脂にはワックス等の滑剤成分の使用量は必要最小限に留めるべきである。
【0059】
次に、水圧転写用フィルムの構成要素について順に詳述する。
水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルムは、水で膨潤または溶解可能な親水性樹脂からなる支持体フィルムである。水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース、ポリアクリルアミド、アセチルブチルセルロース、ゼラチン、にかわ、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のフィルムが使用できる。
【0060】
これらの中でも。一般に水圧転写用フィルムとして用いられているポリビニルアルコール(PVA)フィルムが水に溶解し易く、また、入手し易く、さらに、装飾層の印刷や保護層の形成にも適しており、特に好ましい。用いる支持体フィルムの厚みは10〜200μmの範囲が好ましい。
【0061】
水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルムは、転写対象の被転写体を水圧転写用フィルムの上に乗せて水中に沈めた際に、三次元構造の被転写体の曲面に対して十分な追従性を示す柔軟性を有することが必要である。支持体フィルムは水中で完全に溶解せずに膨潤するものであっても良い。
【0062】
次に、転写層について説明する。
支持体フィルム上に設けられた転写層は、次の3種類が挙げられる。
(1)有機溶剤に溶解可能な疎水性の印刷インキ皮膜または塗料皮膜から成る装飾層から構成されるもの、
(2)活性エネルギー線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂から成る保護層から構成されるもの、
または
(3)活性エネルギー線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂から成る保護層と、該保護層上に設けられた有機溶剤に溶解可能な疎水性の印刷インキ皮膜または塗料皮膜から成る装飾層とから構成されるもの。
【0063】
転写層の膜厚は、特に制限されるものではないが、1〜300μmの範囲が好ましく、10〜150μmの範囲が特に好ましい。転写層の膜厚が1μm未満である場合、十分な表面保護機能あるいは要求される意匠性を満たす装飾を実現する塗膜の形成・付与が困難であり、一方、転写層の膜厚が300μmを越えると、水圧転写時における転写層の均一な活性化が困難となる。
【0064】
ここで、「転写層の活性化」とは、転写層に有機溶媒を塗布または散布することにより、装飾層や硬化樹脂層から成る転写層を構成する樹脂を完全には溶解せずに転写層を可溶化させ、水圧転写に際して親水性の支持体フィルムから疎水性の転写層の剥離を容易にすると共に、転写層に柔軟性を付与することにより転写層の被転写体の三次元曲面への追従性と密着性を向上させることを意味する。
【0065】
次に、装飾層について説明する。
装飾層に用いる印刷インキまたは塗料は、有機溶媒によって活性化される必要があるが、絵柄が流れない程度に柔軟性を維持できる性質が重要で、特にグラビア印刷インキが好ましい。
【0066】
これらの印刷インキまたは塗料に用いるワニス用樹脂は、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂(塩ビ、酢ビ共重合樹脂)、ビニリデン樹脂(ビニリデンクロライド、ビニリデンフルオネート)、エチレン−ビニルアセテート樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化オレフィン樹脂、エチレン−アクリル樹脂、石油系樹脂、セルロース誘導体樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。これらの中でも、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体樹脂およびエチレンビニルアセテート樹脂が特に好ましい。
【0067】
装飾層中の印刷インキまたは塗料の着色剤は、顔料が好ましく、無機系顔料、有機系顔料のいずれも使用が可能である。さらに、金属切削粒子のペーストや蒸着金属膜から得られる金属細片を顔料として含んだ金属光沢インキの使用も可能である。これらの金属としては、アルミニウム、金、銀、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロームおよびステンレス等が好ましく用いられる。これらの金属細片は、分散性、酸化防止やインキ層の強度向上のためにエポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、ニトロセルロース等のセルロース誘導体などで表面処理を行っていても良い。
【0068】
なお、意匠性、展延性を阻害しない限り、保護層および装飾層中に消泡剤、沈降防止剤、顔料分散剤、流動性改質剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、内部硬化剤、耐擦傷性の向上等を目的とする各種添加剤等を加えることもできる。
【0069】
また、装飾層の膜厚は、特に制限されるものではないが、0.1〜10μmの範囲が好ましく、1〜7μmの範囲が特に好ましい。装飾層の膜厚が0.1μm未満では、十分な意匠性を付与することが困難であり、装飾層の膜厚が10μmを越えると、膜厚が大きすぎて水圧転写時の均一な活性化が困難となる。
【0070】
装飾層を水圧転写して装飾された金属基体の表面保護、光沢感や深み感等の高度な意匠性を与えるためには、金属基体に形成された装飾層の上に、さらに硬化性樹脂から成る保護層を設けることが望ましい。
【0071】
金属基体上に形成された装飾層の上に保護層を設ける方法としては、活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化可能で、かつ硬化物が透明な硬化性樹脂組成物をスプレー塗装し、活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化させる方法などの公知慣用の方法が挙げられる。また、装飾層の上に、未硬化の保護層のみを再度水圧転写する方法を採用することもできる。
【0072】
また、印刷インキ皮膜または塗料皮膜から成る装飾層と該装飾層の下に設けられた活性エネルギー線硬化性樹脂又は熱硬化性の樹脂からなる保護層とから成る転写層を有する水圧転写用フィルムを用いることにより、装飾層と硬化性樹脂から成る保護層とを一度の水圧転写で金属基体の硬化塗膜上に転写することができる。
【0073】
保護層は、透明な活性エネルギー線硬化性樹脂および熱硬化性樹脂の少なくとも一種からなり、さらに硬化前でもべたつきがないものが好ましい。
【0074】
保護層の透明性は、装飾被転写体の要求特性にもよるが、基本的に装飾層の色や柄が透けて見えれば良く、完全に透明であることを要せず、透明から半透明なものまであっても良い。また、保護層は、装飾層と同様に水圧転写の際に、親水性の支持体フィルムから容易に離れて、被転写体である三次元成形体に転移されねばならない。従って、保護層を形成する樹脂は全体として疎水性であることが必要である。
【0075】
保護層に非硬化性で非粘着性の熱可塑性樹脂を含ませることは、保護層の乾燥性の向上に極めて効果的である。しかし、非硬化性の熱可塑性樹脂が多いと、硬化性樹脂の硬化反応を阻害しかねないので、保護層の樹脂量100質量部に対して非粘着性の熱可塑性樹脂は70質量部を超えない範囲で添加することが好ましい。
【0076】
保護層のもう一つの必要特性は、水圧転写される前に散布される有機溶剤で活性化され、十分に可溶化もしくは柔軟化されることである。この可溶化は有機溶剤が保護層と装飾層とに浸透し、保護層と装飾層とを一体の転写層として水圧転写用フィルムから被転写体へ転写する際に、保護層と装飾層とから成る転写層が被転写体の三次元曲面へ十分に追従できる程度に柔軟化されれば良く、可溶化によって装飾層と保護層の樹脂成分が互いに混和するほど過剰に可溶化、溶解されると、装飾層の絵柄の乱れや光沢の低下が起こり、好ましくない。
【0077】
保護層を形成する硬化性樹脂は、活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂と加熱により硬化する熱硬化性樹脂に大別される。本発明でいう活性エネルギー線は、紫外線や電子線が挙げられる。活性エネルギー線硬化性樹脂は、1分子中に活性エネルギー線によって直接、または活性エネルギー線によって発生した開始種との反応によって硬化可能な硬化性基を2個以上有するものであり、ラジカル硬化性樹脂やカチオン硬化性樹脂が好ましい。
【0078】
これらはラジカル源やカチオン源によって重合を開始する硬化性基を主鎖や側鎖、または末端基に有する樹脂である。このような硬化性基は、アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルエステル基、ビニルエーテル基、アレニル基、アセチレン基などのビニル硬化性基や、マレイミド基、エポキシ基、環状カーボネート基、オキセタン基、オキサゾリン基などの開環硬化性基が利用可能であるが、これらに限るものではない。
【0079】
保護層に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂は、特にアクリル系樹脂が好ましく、なかでも1分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレートが好ましい。なお、本発明で言う(メタ)アクリロイル基を有するアクリレートとは、メタクリロイル基とアクリロイル基のいずれかの基を有する樹脂を意味する。
【0080】
(メタ)アクリロイル基を有する樹脂は、塗料用樹脂として一般に使用されているアクリル樹脂であれば、特に支障なく使用することができる。そのような(メタ)アクリロイル基を有する樹脂としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、アミノ樹脂(メタ)アクリレート、マレイミド(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
【0081】
これらの(メタ)アクリロイル基を有する樹脂は、単独で用いることも、2種類以上を併用して用いることもできる。さらに、後述する熱硬化性ポリマーまたはオリゴマーと混合可能な範囲で混合して用いることもできる。
【0082】
これらの(メタ)アクリロイル基を有する樹脂の中でも、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートは、トリオールやテトラオールなどのポリオールとジイソシアネートの反応で得られるポリイソシアネートと、水酸基を有するアクリレートとの付加反応によって得ることができる。
【0083】
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、などのアクリル酸またはメタクリル酸の炭素原子数2〜8のヒドロキシアルキルエステルを挙げることができる。
【0084】
これらの活性エネルギー硬化性樹脂を含む保護層には、必要に応じて、公知慣用の光重合開始剤、光増感剤を併用することができる。
【0085】
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトンの如きアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系化合物;2,4−ジメチルチオキサントンの如きチオキサントン系化合物;4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系化合物、などが挙げられる。
【0086】
光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルの如きアミン類、などが挙げられる。
【0087】
光重合開始剤は、一般に、紫外線を用いる場合に必要であり、電子線には不要である。この光重合開始剤の使用量は、用いる活性エネルギー線硬化性樹脂に対して、0.5〜15質量%の範囲が好ましく、1〜8質量%の範囲が特に好ましい。
【0088】
次に、保護層に用いる熱硬化性樹脂について説明する。
熱硬化性樹脂も活性エネルギー線硬化性樹脂の場合と同様に、印刷性または塗工性が必要であることから、樹脂の分子量は高いほうが好ましく、具体的には重量平均分子量が1000〜100,000の範囲が好ましく、3,000〜30,000の範囲が特に好ましい。この領域で、かつ分子凝集性の高い樹脂であれば印刷または塗工時の十分な乾燥性が得られる。
【0089】
熱硬化性樹脂としては、熱により反応し得る官能基を1分子中に2つ以上有する化合物であるか、または主剤となる熱硬化性化合物に架橋剤となる熱硬化性化合物を配合したものである。熱により反応し得る官能基としては、例えば、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基、アミノ基、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、エポキシ基、メチロール基等が挙げられ、その他、酸無水物や炭素−炭素二重結合も熱反応性である。
【0090】
分子内に炭素−炭素二重結合を有し、かつ、連鎖重合による架橋反応が可能なものは、エネルギー線硬化性樹脂と同種の硬化性樹脂であり、これらの硬化性樹脂と加熱によってラジカルソースを発生する開始剤とを組み合わせることにより熱硬化性樹脂とすることができる。この際の開始剤としては、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどの通常のラジカル開始剤が用いられる。
【0091】
熱硬化性樹脂と硬化剤の組み合わせは、例えば、水酸基やアミノ基を有する樹脂と硬化剤ブロックイソシアネート、水酸基やカルボキシル基を有する樹脂と、N−メチロール化またはN−アルコキシメチル化メラミン、ベンゾグアナミン等のアミン系硬化剤との組み合わせ、エポキシ基や水酸基を有する樹脂と、硬化剤として無水フタル酸の如き酸無水物との組み合わせ、カルボキシル基や炭素−炭素二重結合、ニトリル基、エポキシ基を有する樹脂と、硬化剤としてフェノール樹脂との組み合わせ、カルボキシル基やアミノ基を有する樹脂と、硬化剤としてエポキシ基を有する化合物との組み合わせ、などが挙げられる。
【0092】
しかし、これらの熱硬化性樹脂は加熱しなくとも保存中に徐々に硬化反応が進行するものが多く、保存期間中に硬化反応が進むと、活性剤による転写層の活性化が十分行われずに転写不良を起こす原因となる。このため、常温硬化型の熱硬化性樹脂は好ましくなく、熱硬化性樹脂の中でもポリオールと、硬化剤としてブロックイソシアネートを用いた系が好ましい。
【0093】
ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール共重合体、などが挙げられる。これらの中でも、アクリルポリオールが特に好ましい。
【0094】
ブロックイソシアネートとしては、イソシアネート基をアルコールなどのブロック基で保護したものを用いることができ、これらのブロック基には、フェノール、クレゾール、芳香族第2アミン、第3級アルコール、ラクタム、オキシムなどが挙げられる。これらのブロックイソシアネートは、加熱によってアルコールなどのブロック基が遊離するため、これらブロック基の遊離温度以上の加熱によって、始めて架橋反応が開始される。
【0095】
保護層に用いる熱硬化性樹脂は、アクリルポリオールを主剤とし、ブロックイソシアネートを硬化剤として用いたものが特に好ましい。アクリルポリオールの重量平均分子量は、3,000〜100,000の範囲が好ましく、10,000〜70,000の範囲が特に好ましい。
【0096】
保護層には、上述したような活性エネルギー線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂の少なくとも一種以上を含む樹脂を主成分とするものであるが、一般に硬化性樹脂は硬化密度を向上させるために分子量が低く、硬化前は粘着性が残るものが多い。さらに、硬化性樹脂が装飾層にまで混濁またはブリードし、非印刷または非塗工面とブロッキングを生じることがある。従って、乾燥性や印刷性を改善する目的で、保護層の樹脂量100質量部に対して70質量部を超えない範囲で非粘着性の熱可塑性樹脂を添加することが好ましい。
【0097】
本発明の保護層に用いる非重合性で非粘着性の熱可塑性樹脂は、活性エネルギー線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂の少なくとも一種以上を含む樹脂と併せて使用されるため、これらの硬化性樹脂と十分に混合できることが必要であり、混合の際に白濁したり、二相分離するようなものは好ましくない。また、非粘着性の熱可塑性樹脂はTgが高いものであることが、粘着性が少なくなる傾向にあるため好ましい。
【0098】
非粘着性の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステルなどが挙げられる。これらの樹脂は2種類以上のモノマーを共重合したものであっても良い。これらの中でも、Tgが高く、印刷時の乾燥性向上に適しているのがポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレンおよび塩化ビニル酢酸ビニル共重合体である。これらの中でも、透明性、耐溶剤性および耐擦傷性に優れるポリメチルメタクリレートを主成分としたポリ(メタ)アクリレートが特に好ましく、その重量平均分子量は、30,000〜300,000の範囲が好ましく、150,000〜300,000の範囲が特に好ましい。
【0099】
活性エネルギー線硬化性樹脂を含む保護層としては、べたつきがないことが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートと非粘着性の熱可塑性樹脂としてTg35℃以上のポリ(メタ)アクリレートとの組み合わせが好ましい。さらに、非粘着性の熱可塑性樹脂が、メチルメタクリレートを90%以上含有するモノマー組成物を共重合させたポリ(メタ)アクリレートであるものが好ましく、とりわけ1分子中に3つ以上の(メタ)アクリル基を有するウレタンアクリレートと、重量平均分子量が3万〜30万のポリ(メタ)アクリレートを含むものが好ましい。
【0100】
次に、本発明の水圧転写用フィルムの層構造とその積層方法について説明する。
転写層に保護層を設ける場合の保護層の硬化後の膜厚は、特に制限されるものではないが、3〜200μmの範囲が好ましく、5〜150μmの範囲が特に好ましい。保護層の硬化後の膜厚が3μm未満では、十分な表面保護機能を付与することが困難であり、保護層の硬化後の膜厚が200μmを越えると、膜厚が大きすぎて水圧転写時の均一な活性化が困難となる。装飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmの範囲が好ましく、1〜7μmの範囲が特に好ましい。
【0101】
これらの装飾層や保護層は、それぞれ1回の印刷や塗工だけでなく、2回以上の複数の印刷や塗工によって形成することもできる。例えば、多色刷り印刷機などで可能な範囲で多層印刷すればよい。グラビア印刷においては、印刷インキの粘度が低いため、1回に積層できる膜厚が限られ、多色刷り機による重ね印刷が必要となる。特に保護層は、3μm以上の厚みが好ましいため、複数の重ね印刷によって所望の膜厚に積層される。
【0102】
一方、コンマコーターのように厚塗りが可能なコーターにおいては、1回の塗工だけでも所望膜厚とすることができる。重ね刷りする装飾層においてもベタ層と柄模様層を重ね刷りされて積層されることが一般的である。
【0103】
水圧転写用フィルムの装飾層および保護層の塗工方法は、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、キスタッチコーターおよびコンマコーターを用いることが出来る。また、スプレー塗装によっても塗工可能である。しかし、柄模様を印刷する場合は、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、シルク印刷等が好ましい。また、乾燥温度に留意する必要があるが、一般に乾燥性の低いものが多いため、乾燥温度範囲が広く乾燥炉長が長い印刷機またはコーターが適している。
【0104】
なお、意匠性、展延性、接着性等の本発明の効果を阻害しない限り、装飾層および保護層を構成する樹脂組成物中に消泡、沈降防止、顔料分散、流動性改質、ブロッキング防止、帯電防止、酸化防止、光安定性、紫外線吸収、内部架橋などを目的とする各種添加剤を加えても構わない。
【0105】
次に、上述した水圧転写用フィルムから、硬化塗膜を有する金属基体からなる被転写体の硬化塗膜層上に転写層を水圧転写する方法について説明する。本発明の水圧転写方法自体は、従来の水圧転写方法と同様であり、その概略は、以下に示す通りである。
【0106】
(1)水圧転写用フィルムを水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルムを下にして水槽中の水に浮かべ、前記支持体フィルムを水で溶解もしくは膨潤させる。
【0107】
(2)水圧転写用フィルムの転写層上に有機溶媒を塗布または噴霧することにより転写層を活性化させる。なお、この有機溶媒による転写層の活性化は水圧転写フィルムを水に浮かべる前に行っても良い。
【0108】
(3)前記水圧転写用フィルムの転写層面に被転写体を押しつけながら、被転写体と水圧転写用フィルムを水中に沈めて行き、水圧によって転写層を被転写体に密着させて転写する。
【0109】
(4)水から出した被転写体を乾燥させる。
【0110】
(5)転写層が保護層を含む場合は、転写された転写層の保護層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種により硬化させる。
【0111】
水圧転写用フィルムの転写層が保護層を含む場合は、従来の水圧転写法に比べ、水圧転写後のスプレー塗装工程が省略される分、製造時間の短縮が図れ、また製造現場に塗装ブースを設ける必要がない設備上の利点を有する。
【0112】
水圧転写に使用する水槽中の水は、装飾層および保護層を転写する際に水圧転写フィルム、装飾層並びに保護層を被転写体に密着させる為の水圧媒体として働く他、被転写体に密着可能な柔軟性にまで十分に水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルムを膨潤または溶解させるものであり、具体的には、水道水、蒸留水、イオン交換水などの水で良く、また用いる支持体フィルムによっては、水にホウ酸等の無機塩類やアルコール類を10%以内の範囲で溶解させたものでもよい。
【0113】
転写層の活性化に用いる有機溶剤は、水圧転写工程が終了するまで蒸発しないことが重要である。本発明の保護層を有する水圧転写用フィルムに用いる有機溶剤は、従来の水圧転写法に用いるものと同様なものを用いることができ、例えば、トルエン、キシレン、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトールアセテート、カルビトール、カルビトールアセテート、セロソルブアセテート、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールおよびそれらの混合物、などが挙げられる。
【0114】
この有機溶剤中に印刷インキまたは塗料と被転写体との密着性を高めるために、若干の樹脂成分を含ませてもよい。例えば、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂といった、インキのバインダーに類似の構造のものを1〜10質量%含ませることによって密着性が高まることがある。
【0115】
被転写体に転写層を転写後、支持体フィルムを水で溶解するか、洗浄や物理・化学的手段により剥離する。洗浄、溶解方法は、従来の水圧転写方法と同様に、水流、好ましくはウォータージェットで支持体フィルムを溶解、剥離させる。
【0116】
水圧転写後の被転写体の乾燥工程では、転写層が熱硬化性樹脂からなる保護層を含む場合は、乾燥とともに保護層の硬化を行うことができる。硬化時間は、組成、硬化剤の種類にもよるが、数分から1時間以内に硬化が進むものが工程上好ましい。
【0117】
一方、転写層が活性エネルギー線硬化性樹脂からなる保護層を含む場合は、乾燥後に活性エネルギー線照射を行い、保護層の硬化を行う。この際、遠赤外線を同時に照射し乾燥させながら硬化を進めるような紫外線または電子線照射機であれば、硬化工程を短縮することができる。
【0118】
本発明の転写層を有する金属基体の具体例としては、テレビ、ビデオデッキ、ラジオカセット、パーソナルコンピューター、プリンター、ファックス機、光磁気ディスクドライブ、ハードディスクドライブ、CD/DVDドライブ、スキャナー、テレビチューナー、ポータブルCDプレーヤー、ポータブルMDプレーヤー、ポータブルカセットプレーヤー、携帯電話、冷蔵庫、エアコン、ガスファンヒーター、石油ファンヒーター、セラミックヒーター、空気清浄器、家庭用照明器具、デジタルカメラ、ビデオカメラ、洗濯機、衣類乾燥機、食器洗い機、電子レンジ、オーブントースター、電気ポット、炊飯ジャーなどの家庭電化製品の金属部分が挙げられる。また、テーブル、本棚、ベンチなどのスチール家具の部材やシステムキッチン、扉、窓枠、廻り縁、などの建築部材にも適用できる。さらに、表面物性の高いものに関しては自動車内装パネル、自動車外板、アルミホイールなどにも使用可能である。
【0119】
【実施例】
次に実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、以下の例において、「%」および「部」は、特に断りのない限り質量基準である。また、実施例においては、硬化塗膜層を有する金属基体を「プレコート金属板」と略称する。
【0120】
(製造例1)[プレコート金属板(X1)の製造]
テレフタル酸25モル%、イソフタル酸25モル%、エチレングリコール25モル%、ネオペンチルグリコール25モル%を反応容器に仕込んだ後、重縮合反応を行なった。反応終了後、反応混合物をシクロヘキサノン/ソルベッソ100混合溶剤(質量比50/50)に溶解して、不揮発分40%のポリエステル樹脂(P1)を得た。このようにして得たポリエステル樹脂(P1)の数平均分子量は、10,000であった。
【0121】
ポリエステル樹脂(P1)25部、酸化チタン5部、ストロンチウムクロメート系防錆顔料15部、炭酸カルシウム5部及びシクロヘキサノン7部を混合し、サンドミルで混練し、混練終了後、ポリエステル樹脂(P1)25部、メチルエーテル化メチロールメラミン(スーパーベッカミンL−105、大日本インキ化学工業株式会社製)8部及びキシレン10部を加えて、塗料(Z1)を得た。
【0122】
次いで、コイル塗装ラインにて、クロメート処理済亜鉛めっき鋼板(素材厚さ0.6mm、亜鉛メッキ付着量60g/m2)に、塗料(Z1)を乾燥塗膜厚さが7μmとなるようにロール塗装した後、最高板温が210℃になるように40秒間熱風乾燥炉にて焼付けることによって塗膜を硬化させて、プレコート金属板(X1)を得た。
【0123】
(製造例2)[プレコート金属板(X2)の製造]
テレフタル酸12.5モル%、イソフタル酸12.5モル%、アジピン酸25モル%、エチレングリコール25モル%及びネオペンチルグリコール25モル%を反応容器に仕込んだ後、重縮合反応を行なった。反応終了後、反応混合物をシクロヘキサノン/ソルベッソ100混合溶剤(質量比50/50)に溶解して、不揮発分40%のポリエステル樹脂(P2)を得た。このようにして得たポリエステル樹脂(P2)の数平均分子量は、11,000であった。
【0124】
製造例1において、ポリエステル樹脂(P1)に代えて、ポリエステル樹脂(P2)を用いた以外は、製造例1と同様にして、プレコート金属板(X2)を得た。
【0125】
(製造例3)[プレコート金属板(X3)の製造]
テレフタル酸25モル%、イソフタル酸25モル%、エチレングリコール25モル%及びビスフェノールAのエチレンオキサイド2.3モル付加物25モル%を反応容器に仕込んだ後、重縮合反応を行なった。反応終了後、反応混合物をシクロヘキサノン/ソルベッソ100混合溶剤(質量比50/50)に溶解して、不揮発分40%のポリエステル樹脂(P3)を得た。このようにして得たポリエステル樹脂(P3)の数平均分子量は90,000であった。
【0126】
製造例1において、ポリエステル樹脂(P1)に代えて、ポリエステル樹脂(P3)を用いた以外は、製造例1と同様にして、プレコート金属板(X3)を得た。
【0127】
(製造例4)[プレコート金属板(X4)の製造]
テレフタル酸20モル%、イソフタル酸20モル%、アジピン酸10モル%、エチレングリコール16モル%、ネオペンチルグリコール16モル%及び1,6−ヘキサンジオール18モル%を反応容器に仕込んだ後、重縮合反応を行なった。反応終了後、反応混合物をシクロヘキサノン/ソルベッソ100/イソホロン混合溶剤(質量比15/75/10)に溶解して、不揮発分40%のポリエステル樹脂(P4)を得た。このようにして得たポリエステル樹脂(P4)の数平均分子量は2,900であった。
【0128】
ポリエステル樹脂(P4)25部、酸化チタン25部及びイソホロン7部を混合し、サンドミル混練し、混練終了後、ポリエステル樹脂(P4)25部、メチルエーテル化メチロールメラミン(スーパーベッカミンL−105、大日本インキ化学工業株式会社製)8部及びキシレン10部を加えて、塗料(Z4)を得た。
【0129】
プレコート金属板(X3)に、塗料(Z4)を乾燥塗膜厚が18μmとなるようにロール塗装した後、最高板温が230℃になるように60秒間熱風乾燥炉にて焼付けることによって塗膜を硬化させて、プレコート金属板(X4)を得た。
【0130】
(製造例5)[プレコート金属板(X5)の製造]
大日本インキ化学工業株式会社製の「ベッコライト57−206−40」(末端に水酸基を有する直鎖状ポリエステル樹脂、数平均分子量10,000)を固形分換算で45部、チタン白50部及びシクロヘキサノン/イソホロン/キシロール=30/50/20の混合溶剤20部を混合し、ビーズミル練肉し、練肉終了後、硬化剤としてキシレンジイソシアネート(XDI)5部及びジブチル錫ジラウレート(TK−1)0.5部を加えて塗料(Z5)を得た。
【0131】
製造例1で調製した塗料(Z1)を5μm塗装したクロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板(メッキ付着量60g/m2)に、塗料(Z5)を乾燥膜厚が40μmとなるようにバーコ一夕一を用いて塗布した後、最高到達板温235℃にて焼付けることによって塗膜を硬化させて、プレコート金属板(X5)を得た。
【0132】
(製造例6)[プレコート金属板(X6)の製造]
製造例5において、キシレンジイソシアネート(XDI)5部及びジブチル錫ジラウレート(TK−1)0.5部に代えて、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)5部及びジブチル錫ジラウレート0.5部を用いた以外は、製造例5と同様にして、プレコート金属板(X6)を得た。
【0133】
(製造例7)[プレコート金属板(X7)の製造]
大日本インキ化学工業株式会社製の「ベッコライト57−206−40」を固形分換算で22.5部、大日本インキ化学工業株式会社製の「ベッコライトM6207−40」を固形分換算で22.5部、(末端に水酸基を有する直鎖状ポリエステル樹脂、数平均分子量10,000)、チタン白50部及びシクロヘキサノン/イソホローン/キシロール=30/50/20の混合溶剤20部を混合した後、ビーズミル練肉した。練肉終了後、硬化剤としてキシレンジイソシアネート5部及びジブチル錫ジラウレート0.5部を加えて、塗料(Z7)を得た。
【0134】
製造例5において、塗料(Z5)に代えて、塗料(Z7)を用いた以外は、製造例5と同様にして、プレコート金属板(X7)を得た。
【0135】
(製造例8)[プレコート金属板(X8)の製造]
大日本インキ化学工業株式会社製の「ベッコライトM6207−40」を固形分換算で45部、チタン白50部及びシクロヘキサノン/イソホローン/キシロール=30/50/20の混合溶剤20部を混合し、ビーズミル練肉した。練肉終了後、硬化剤としてキシレンジイソシアネート5部及びジブチル錫ジラウレート0.5部加えて、塗料(Z8)を得た。
【0136】
製造例5において、塗料(Z5)に代えて、塗料(Z8)を用いた以外は、製造例5と同様にして、プレコート金属板(X8)を得た。
【0137】
(製造例9)[プレコート金属板(X9)の製造]
大日本インキ化学工業株式会社製の「ベッコライト57−206−40」(末端に水酸基を有する直鎖状ポリエステル樹脂、数平均分子量10,000)を固形分換算で45部、チタン白50部及びシクロヘキサノン/イソホローン/キシロール=30/50/20の混合溶剤20部を混合し、ビーズミル練肉した。練肉終了後、硬化剤としてキシレンジイソシアネート(XDI)5部及びジブチル錫ジラウレート(TK−1)を0.5部加えて、塗料(Z9)を得た。
【0138】
クロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板(メッキ付着量60g/m2)に、塗料(Z9)を乾燥膜厚が8μmとなるようバーコ一夕一を用いて塗布した後、最高到達板温235℃にて焼付けることによって塗膜を硬化させて、プレコート金属板(X9)を得た。
【0139】
(製造例10)[プレコート金属板(X10)の製造]
テレフタル酸15モル%、イソフタル酸10モル%、アジピン酸25モル%、エチレングリコール25モル%及びネオペンチルグリコール25モル%を反応容器に仕込んだ後、重縮合反応を行なった。反応終了後、反応混合物をシクロヘキサノン/ソルベッソ100混合溶剤(質量比50/50)に溶解して、不揮発分40%のポリエステル樹脂(P10)を得た。このようにして得たポリエステル樹脂(P10)の数平均分子量は13,000であった。
【0140】
ポリエステル樹脂(P10)25部、酸化チタン25部及びイソホロン7部を混合した後、サンドミル混練した。混練終了後、ポリエステル樹脂(P10)25部、メチルエーテル化メチロールメラミン(スーパーベッカミンL−105、大日本インキ化学工業株式会社製)8部及びキシレン10部を加えて、塗料(Z10)を得た。
【0141】
製造例1で調製した塗料(Z1)を3μm塗装したクロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板(メッキ付着量60g/m2)に、塗料(Z10)を乾燥塗膜厚さが3μmになるようにロール塗装した後、最高板温が230℃になるように60秒間熱風乾燥炉にて焼付けることによって塗膜を硬化させて、プレコート金属板(X10)を得た。
【0142】
(製造例11)[プレコート金属板(X11)の製造]
テレフタル酸25モル%、イソフタル酸10モル%、アジピン酸15モル%、脂肪族ポリカーボネートジオールとしてポリヘキサメチレンカーボネート(分子量2,000)25モル%、1,5−ペンタンジオール25モル%を反応容器に仕込んだ後、重縮合反応を行なった。反応終了後、反応混合物をシクロヘキサノン/ソルベッソ100/イソホロン混合溶剤(質量比15/75/10)に溶解して、不揮発分30%のポリエステルカーボネート樹脂(P11)を得た。このようにして得たポリエステル樹脂(P11)の数平均分子量は16,000であった。
【0143】
製造例5において、「ベッコライト57−206−40」に代えて、ポリエステル樹脂(P11)を固形分換算で45部使用し、かつ、キシレンジイソシアネート(XDI)及びジブチル錫ジラウレート(TK−1)に代えて、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)5部及びジブチル錫ジラウレート0.5部を用いた以外は、製造例5と同様にして、プレコート金属板(X11)を得た。
【0144】
(製造例12)[プレコート金属板(X12)の製造]
テレフタル酸25モル%、イソフタル酸10モル%、アジピン酸15モル%、エチレングリコール25モル%及びネオペンチルグリコール25モル%を反応容器に仕込んだ後、重縮合反応を行なった。反応終了後、反応混合物をシクロヘキサノン/ソルベッソ100混合溶剤(質量比50/50)に溶解して、不揮発分40%のポリエステル樹脂(P12)を得た。このようにして得たポリエステル樹脂(P12)の数平均分子量は14,000であった。
【0145】
ポリエステル樹脂(P12)25部、酸化チタン25部及びイソホロン7部を混合し多後、サンドミル混練した。混練終了後、ポリエステル樹脂(P12)25部、メチルエーテル化メチロールメラミン(スーパーベッカミンL−105、大日本インキ化学工業株式会社製)8部及びキシレン10部を加えて、塗料(Z12)を得た。
【0146】
クロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板(メッキ付着量60g/m2)に製造例1で調製した塗料(Z1)を乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗工したのち、乾燥させてプライマー層を有するクロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板を得た。
【0147】
塗料(Z12)を乾燥塗膜厚さが4μmになるように前記プライマー層を有するクロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板(メッキ付着量60g/m2)にロール塗装した後、最高板温が230℃になるように60秒間熱風乾燥炉にて焼付けることによって塗膜を硬化させて、プレコート金属板(X12)を得た。
【0148】
(製造例13)[プレコート金属板(X13)の製造]
大日本インキ化学工業株式会社製の「ベッコライト57−206−40」(末端に水酸基を有する直鎖状ポリエステル樹脂、数平均分子量10,000)を固形分換算で45部、チタン白50部及びシクロヘキサノン/イソホローン/キシロール=30/50/20の混合溶剤20部を混合した後、ビーズミル練肉した。練肉終了後、硬化剤としてキシレンジイソシアネート(XDI)5部及びジブチル錫ジラウレート(TK−1)0.5部加えて、塗料(Z13)を得た。
【0149】
クロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板(メッキ付着量60g/m2)に、塗料(Z13)を乾燥膜厚が20μmとなるようバーコ一夕一を用いて塗布した後、最高到達板温235℃にて焼付けることによって塗膜を硬化させた。以上の塗布及び焼き付け操作を4回繰り返して、全乾燥膜厚として80μmのプレコート金属板(X13)を得た。
【0150】
(製造例14)[紫外線硬化性樹脂組成物(H1)の製造]
トリレンジイソシアネートをトリメチロールプロパンに対して1分子あたり3個反応させたポリイソシアネートに、ヒドロキシエチルメタクリレートを1分子あたり3個エステル化させた3官能ウレタンアクリレート40部と、非粘着性の熱可塑性樹脂として、重量平均分子量200,000のポリメチルメタクリレート60部とを、酢酸エチル及びメチルエチルケトンの混合溶剤(1/1)に溶させて固形分率30%の紫外線硬化性樹脂組成物(H1)を得た。
【0151】
(製造例15)[熱硬化性樹脂組成物(H2)の製造]
ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート及びスチレンをモル比で20/30/15/15/20の比で共重合させたアクリルポリオール(重量平均分子量25,000)85部と、前記アクリルポリオールの水酸基価とほぼ当量のイソシアネート価のキシリレンジイソシアネートフェノール付加物とキシリレンジイソシアネートの3量体のフェノール付加物との混合物19部とを、トルエン及び酢酸エチル(1/1)の混合溶媒に溶解して、固形分率25%の熱硬化性樹脂組成物(H2)を得た。
【0152】
(製造例16)[水圧転写用フィルム(F1)の製造]
厚さ35μmのポリビニルアルコール製フィルムの表面に、下記の印刷インキAをグラビア印刷にて4g(固形分)/m2の厚みの柄模様およびベタを3版で印刷した。
【0153】
<印刷インキA組成、黒、茶、白>
ポリウレタン(大日本インキ化学工業(株)製の「バーノックEZL676」)20部、顔料(黒、茶又は白)10部、酢酸エチル30部、トルエン30部、ポリエチレン系ワックスのインキワニス分散品8部及びシリカ粉2部を用いて常法に従って印刷インキとした。
【0154】
(製造例17)[水圧転写用フィルム(F2)の製造]
紫外線硬化性樹脂組成物(H1)99部及び「イルガキュア184」(チバ・スペシャリティー・ケミカル社製の光重合開始剤)1部からなる紫外線硬化性樹脂組成物(H3)を調製した。
【0155】
厚さ35μmのポリビニルアルコール製フィルムの表面に、紫外線硬化性樹脂組成物(H3)をグラビア印刷により10g(固形分)/m2となるようにベタ4版で印刷した。
【0156】
(製造例18)[水圧転写用フィルム(F3)の製造]
厚さ35μmのポリビニルアルコール性フィルムの表面に、紫外線硬化性樹脂組成物(H3)をグラビア印刷により10g(固形分)/m2となるようにベタ4版で印刷し、さらに下記の処方の印刷インキを4g(固形分)/m2の厚みとなるように柄模様およびベタを3版で印刷した。
【0157】
(インキ組成(赤、青))
ポリウレタン(荒川化学社製の「ポリウレタン2569」)20部、顔料(赤又は青)10部、酢酸エチル30部、トルエン30部、ポリエチレン系ワックスのインキワニス分散品8部及びシリカ粉2部を用いて常法に従って印刷インキとした。
【0158】
(製造例19)[水圧転写用フィルム(F4)の製造]
紫外線硬化性樹脂組成物(H1)49.5部、「イルガキュア184」0.5部及び熱硬化性樹脂組成物(H2)50部からなる硬化性樹脂組成物(H4)を調製した。
【0159】
厚さ35μmのポリビニルアルコール性フィルムの表面に、硬化性樹脂組成物(H4)をグラビア印刷により10g(固形分)/m2となるようにベタ4版で印刷し、さらに下記の処方の印刷インキを4g(固形分)/m2の厚みとなるように柄模様およびベタを3版で印刷した。
【0160】
(インキ組成(赤、青))
ポリウレタン(荒川化学社製の「ポリウレタン2569」)20部、顔料(赤又は青)10部、酢酸エチル30部、トルエン30部、ポリエチレン系ワックスのインキワニス分散品8部及びシリカ粉2部を用いて常法に従って印刷インキとした。
【0161】
(実施例1)[プレコート金属板(X1)への水圧転写]
水圧転写用フィルム(F1)を30℃の水浴に印刷面が上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主成分メチルイソブチルケトン)20g/m2をフィルム上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向からプレコート金属板(X1)を用いた成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)を押し当てて、印刷面からなる装飾層を転写した。転写後、転写物を水洗し、90℃で15分乾燥させることにより、表面に装飾層を有する金属基体を得た。
【0162】
(実施例2)[プレコート金属板(X2)への水圧転写]
実施例1において、プレコート金属板(X1)に代えて、プレコート金属板(X2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面に装飾層を有する金属基体を得た。
【0163】
(実施例3)[プレコート金属板(X3)への水圧転写]
実施例1において、プレコート金属板(X1)に代えて、プレコート金属板(X3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面に装飾層を有する金属基体を得た。
【0164】
(実施例4)[プレコート金属板(X4)への水圧転写]
実施例1において、プレコート金属板(X1)に代えて、プレコート金属板(X4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面に装飾層を有する金属基体を得た。
【0165】
(参考例1)[プレコート金属板(X12)への水圧転写]
実施例1において、プレコート金属板(X1)に代えて、プレコート金属板(X12)を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面に装飾層を有する金属基体を得た。
【0166】
(実施例6)[プレコート金属板(X5)への水圧転写]
水圧転写用フィルム(F1)を30℃の水浴に印刷面が上になるようにして浮かべて2分間放置した後、活性剤(主成分メチルイソブチルケトン)30g/m2をフィルム上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向からプレコート金属板(X5)を用いた成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)を押し当てて、装飾層を転写した。転写後、転写物を水洗し、90℃で15分乾燥させることにより、装飾層を有する金属基体を得た。
【0167】
(実施例7)[プレコート金属板(X6)への水圧転写]
実施例6において、プレコート金属板(X5)に代えて、プレコート金属板(X6)を用いた以外は、実施例6と同様にして、装飾層を有する金属基体を得た。
【0168】
(実施例8)[プレコート金属板(X7)への水圧転写]
実施例6において、プレコート金属板(X5)に代えて、プレコート金属板(X7)を用いた以外は、実施例6と同様にして、装飾層を有する金属基体を得た。
【0169】
(実施例9)[プレコート金属板(X8)への水圧転写]
実施例6において、プレコート金属板(X5)に代えて、プレコート金属板(X8)を用いた以外は、実施例6と同様にして、装飾層を有する金属基体を得た。
【0170】
(比較例1)[水圧転写用フィルム(F1)の未処理鋼板への水圧転写]
実施例6において、プレコート金属板(X5)を用いた成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)に代えて、クロメート処理済亜鉛めっき鋼板(素材厚さ0.6mm、亜鉛メッキ付着量60g/m2)を用いた成形物(自動車内装部品)を用いた以外は、実施例6と同様にして、装飾層を有する金属基体を得た。
【0171】
(比較例2)[プレコート金属板(X10)への水圧転写]
実施例6において、プレコート金属板(X5)を用いた成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)に代えて、プレコート金属板(X10)を用いた成形物(自動車内装部品)を用いた以外は、実施例6と同様にして、装飾層を有する金属基体を得た。
【0172】
(実施例10)[プレコート金属板(X1)への水圧転写]
水圧転写用フィルム(F2)を30℃の水浴に印刷面が上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主成分メチルイソブチルケトン)30g/m2をフィルム上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向からプレコート金属板(X1)を用いた成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)を押し当てて、未硬化の保護層からなる転写層を転写した。転写後、転写物を水洗し、90℃で15分乾燥させた。次に、紫外線照射装置(出力80KW/m、10m/分のコンベア速度)に未硬化の保護層からなる転写層を転写した金属基体を1回通すことにより、保護層を硬化させて、光沢のある保護層を有する金属基体を得た。
【0173】
(実施例11)[プレコート金属板(X3)への水圧転写]
実施例10において、プレコート金属板(X1)に代えて、プレコート金属板(X3)を用いた以外は、実施例10と同様にして、光沢のある保護層を有する金属基体を得た。
【0174】
(実施例12)[プレコート金属板(X4)への水圧転写]
実施例10において、プレコート金属板(X1)に代えて、プレコート金属板(X4)を用いた以外は、実施例10と同様にして、光沢のある保護層を有する金属基体を得た。
【0175】
(比較例3)[水圧転写用フィルム(F2)の未処理鋼板への水圧転写]
実施例10において、プレコート金属板(X1)を用いた成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)に代えて、クロメート処理済亜鉛めっき鋼板(素材厚さ0.6mm、亜鉛メッキ付着量60g/m2)を用いた成形物(自動車内装部品)を用いた以外は、実施例10と同様にして、光沢のある保護層を有する金属基体を得た。
【0176】
(比較例4)[プレコート金属板(X9)への水圧転写]
実施例10において、プレコート金属板(X1)に代えて、プレコート金属板(X9)を用いた以外は、実施例10と同様にして、光沢のある保護層を有する金属基体を得た。
【0177】
(実施例13)[プレコート金属板(X5)への水圧転写]
水圧転写用フィルム(F2)を30℃の水浴に印刷面が上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主成分メチルイソブチルケトン)50g/m2をフィルム上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向からプレコート金属板(X5)を用いた成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)を押し当てて、未硬化の保護層からなる転写層を転写した。転写後、転写物を水洗し、90℃で15分乾燥させた。次に、紫外線照射装置(出力80KW/m、10m/分のコンベア速度)に保護層からなる転写層を転写した金属基体を1回通すことにより、保護層を完全に硬化させて、光沢のある保護層を有する金属基体を得た。
【0178】
(実施例14)[プレコート金属板(X7)への水圧転写]
実施例13において、プレコート金属板(X5)に代えて、プレコート金属板(X7)を用いた以外は、実施例13と同様にして、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0179】
(実施例15)[プレコート金属板(X8)への水圧転写]
実施例13において、プレコート金属板(X5)に代えて、プレコート金属板(X8)を用いた以外は、実施例13と同様にして、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0180】
(実施例16)[プレコート金属板(X2)への水圧転写]
水圧転写用フィルム(F3)を30℃の水浴に印刷面が上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主成分メチルイソブチルケトン)30g/m2をフィルム上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向からプレコート金属板(X2)を用いた成形物(自動車内装部品)を押し当てて、装飾層及び未硬化の保護層からなる転写層を転写した。転写後、転写物を水洗し、80℃で30分乾燥させた。次に、紫外線照射装置(出力80kW/m、10m/分のコンベア速度)に装飾層及び未硬化の保護層からなる転写層を転写した金属基体を1回通すことにより、保護層を硬化させて、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0181】
(比較例5)[水圧転写用フィルム(F3)の未処理鋼板への水圧転写]
実施例16において、プレコート金属板(X2)に代えて、クロメート処理済亜鉛めっき鋼板(素材厚さ0.6mm、亜鉛メッキ付着量60g/m2)を用いた以外は、実施例16と同様にして、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0182】
(比較例6)[プレコート金属板(X9)への水圧転写]
実施例16において、プレコート金属板(X2)に代えて、プレコート金属板(X9)を用い、かつ、UV照射装置に、装飾層と未硬化の保護層からなる転写層を有する金属基体を3回通した以外は、実施例16と同様にして、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0183】
(実施例17)[プレコート金属板(X6)への水圧転写]
水圧転写用フィルム(F3)を30℃の水浴に印刷面が上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主成分メチルイソブチルケトン)50g/m2をフィルム上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向からプレコート金属板(X6)を用いた成形物(自動車内装部品)を押し当てて、装飾層と未硬化の保護層からなる転写層を転写した。転写後、転写物を水洗し、80℃で30分乾燥させた。次にUV照射装置(出力80kW/m、10m/分のコンベア速度)に装飾層及び保護層からなる転写層を転写した金属基体を1回通すことにより、保護層を硬化させて、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0184】
(実施例18)[プレコート金属板(X13)への水圧転写]
水圧転写用フィルム(F3)を30℃の水浴に印刷面が上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主成分メチルイソブチルケトン)33g/m2をフィルム上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向からプレコート金属板(X13)を用いた成形物(自動車内装部品)を押し当てて、装飾層と未硬化の保護層からなる転写層を転写した。転写後、転写物を水洗し、90℃で10分乾燥させ、さらに120℃で30分乾燥させることによって、保護層を硬化させた。次に、紫外線照射装置(出力80kW/m、10m/分のコンベア速度)に装飾層及び保護層からなる転写層を転写した金属基体を1回通すことにより、保護層を完全に硬化させて、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0185】
(実施例19)[プレコート金属板(X3)への水圧転写]
水圧転写用フィルム(F4)を30℃の水浴に印刷面が上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主成分メチルイソブチルケトン)30g/m2をフィルム上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向からプレコート金属板(X3)を用いた成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)を押し当てて、装飾層と未硬化の保護層からなる転写層を転写した。転写後、転写物を水洗し、90℃で10分乾燥させた。さらに、120℃で30分乾燥させることによって、保護層を硬化させた。次に、UV照射装置(出力80kW/m、10m/分のコンベア速度)に装飾層及び保護層からなる転写層を転写した金属基体を1回通すことにより、保護層を完全に硬化させて、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0186】
(実施例20)[プレコート金属板(X11)への水圧転写]
実施例19において、プレコート金属板(X3)に代えて、プレコート金属板(X11)を用いた以外は、実施例19と同様にして、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0187】
(比較例7)[水圧転写用フィルム(F4)の未処理鋼板への水圧転写]
実施例19において、プレコート金属板(X3)を用いた成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)に代えて、クロメート処理済亜鉛めっき鋼板(素材厚さ0.6mm、亜鉛メッキ付着量60g/m2)を用いた成形物(自動車内装部品)を用いた以外は、実施例19と同様にして、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0188】
(比較例8)[プレコート金属板(X9)への水圧転写]
実施例19において、プレコート金属板(X3)に代えて、プレコート金属板(X9)を用いた以外は、実施例19と同様にして、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0189】
(実施例21)[プレコート金属板(X7)への水圧転写]
水圧転写用フィルム(F4)を30℃の水浴にインキ面が上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主成分メチルイソブチルケトン)50g/m2をフィルム上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向からプレコート金属板(X7)を用いた成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)を押し当てて、装飾層と未硬化の保護層からなる転写層を転写した。転写後、転写物を水洗し、90℃で10分乾燥させ、さらに120℃で30分乾燥させることによって、保護層を硬化させた。次に、紫外線照射装置(出力80KW/m、10m/分のコンベア速度)に装飾層及び保護層からなる転写層を転写した金属基体を1回通すことにより、保護層を完全に硬化させて、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0190】
(深絞り性の評価)
各製造例で作成したプレコート金属板(平板)について、円筒紋り試験機を用いて絞り比2.5で加工した。この加工品を沸騰水中に1時間浸漬した後、塗膜状態を目視にて以下の3段階に評価した。
○:塗膜破断全くなし。
△:細かいひび割れあり。
×:塗膜破断あり。
【0191】
(キシレン吸収量の測定)
各製造例で作成したプレコート金属板(平板)から、10mm×25mmの長方形に切り出した小片(サンプル形状A、質量約1g)5個、もしくは50mm×50mmの正方形に切り出した小片(サンプル形状B、質量約9g)5個を用意した。この小片5個それぞれを精秤(使用した天秤の感度は0.001g)した後、密栓付試験管中または密閉できるガラス容器(薄層展開槽)内でキシレンに浸漬した。各試料片を24時間ごとに取り出し、試料片の表面の溶剤をタオルでふき取って、予め秤量しておいた秤量ビンに入れて秤量した。
【0192】
この操作を繰り返し、小片の秤量値と前回秤量値との差が±0.002g以下であり、かつ5個の小片全ての質量変化が平均値±0.004g以下に収まった段階(概ね浸漬開始から96時間経過後)で、5個の小片における質量変化の平均値を小片の面積で除して、単位面積(m2)あたりの溶剤吸収量(g)を測定した。なお、浸漬開始から96時間経過後においても、キシレン浸漬前後において、5個の小片全ての質量変化が±0.002g以内の場合には、検出限界以下(N.D.)であると判断して以後の測定を中止した。なお、キシレン吸収量の検出限界は、サンプル形状Aを用いた場合は8g/m2、サンプル形状Bを用いた場合は0.8g/m2であった。
【0193】
(水圧転写性の評価)
各実施例及び各比較例で作成した転写層を設けた金属基体について、3次元立体成形物上での装飾層の模様の再現性を目視にて以下の3段階に評価した。
○:模様再現面積率98%以上 (転写性良好)
△:模様再現面積率80%〜98%未満(転写性やや良好)
×:模様再現面積率80%未満(転写性不良)
【0194】
(塗膜密着性の評価)
平板状のプレコート金属板を用いた以外は、各実施例及び各比較例と同様にして作成した転写層を有する金属板について、碁盤目テープ法(JIS K5400)に準じて塗膜密着性を評価(10点満点)した。
【0195】
(耐引掻傷性の評価)
平板状のプレコート金属板を用いた以外は、各実施例と同様にして作成した保護層を設けた金属板について、JIS-K5401「塗膜用鉛筆引き掻き試験機」を用いて塗膜強度を測定した。芯の長さは3mm、塗膜面との角度45度、荷重1kg、引き掻き速度0.5mm/分、引き掻き長さ3mm、使用鉛筆は三菱ユニとした。
【0196】
(表面光沢の評価)
平板状のプレコート金属板を用いた以外は、各実施例と同様にして作成した保護層を設けた金属板について、60度鏡面光沢度(JIS K5400)を測定した。
【0197】
(耐擦傷性の評価)
平板状のプレコート金属板を用いた以外は、各実施例と同様にして作成した保護層を設けた金属板について、ラビング試験機(荷重800g)により乾拭き100回後の表面光沢保持率を評価した。
【0198】
(耐洗剤性の評価)
平板状のプレコート金属板を用いた以外は、各実施例と同様にして作成した保護層を設けた金属板について、「マジックリン」(花王株式会社製の住居用洗剤)の原液を含ませた脱脂綿を用いてラビング試験(荷重800g、往復100回)を実施し、試験後の表面光沢保持率を測定した。
【0199】
(熱水処理後の密着性評価)
平板状のプレコート金属板を用いた以外は、各実施例と同様にして作成した転写層を有する金属板について、熱水(水温98℃)中で30分間の処理を行い、次いで、塗膜にカッターで1×1mmの碁盤目を100個つくり、その部分に粘着テープを貼った後、この粘着テープを急速に剥離し、塗膜の剥離状態を目視により観察して、次に示す3段階に評価した。
【0200】
○:剥離が全く認められない
△:全体の1〜30%が剥離した
×:全体の31〜100%が剥離した
【0201】
比較例1〜8では、水圧転写は出来たものの、得られた転写層を有する金属板は、転写層と金属板との密着性が極めて低く、上記した各評価試験のうち、水圧転写性と塗膜密着性以外の評価を実施することができなかった。
【0202】
【表1】
【0203】
【表2】
【0204】
表1及び表2に示した結果から、キシレン吸収量が3.5〜100g/m2の範囲にある硬化塗膜層を有する金属基体から成る被転写体を用いることによって、水圧転写性が良好で、金属基体と装飾層から成る転写層との塗膜密着性が良好となることが理解できる。
【0205】
【表3】
【0206】
【表4】
【0207】
表3及び表4に示した結果から、キシレン吸収量が10〜100g/m2の範囲にある硬化塗膜層を有する金属基体から成る被転写体を用いることによって、水圧転写性が良好で、金属基体と保護層から成る転写層との塗膜密着性、耐引掻傷性、表面光沢、耐擦傷性、耐洗剤性が良好となることが理解できる。
【0208】
【表5】
【0209】
【表6】
【0210】
表5及び表6に示した結果から、キシレン吸収量が10〜100g/m2の範囲にある硬化塗膜層を有する金属基体から成る被転写体を用いることによって、水圧転写性が良好で、金属基体と装飾層及び保護層から成る転写層との塗膜密着性、耐引掻傷性、表面光沢、耐擦傷性、耐洗剤性が良好となることが理解できる。
【0211】
【発明の効果】
本発明の水圧転写方法によれば、水圧転写性が良好で、金属基体と転写層との塗膜密着性が良好であるので、長期保存が可能で、意匠性に優れ、しかも、任意の形状の金属基体上に強固に接着された転写層を有する金属基体を製造することができる。
Claims (7)
- 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けられた有機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層とからなり、前記転写層が印刷インキ被膜又は塗料被膜からなる装飾層、あるいは、活性エネルギー線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる保護層を有する水圧転写用フィルムを用いて、金属基体からなる被転写体上に前記転写層を水圧転写する方法において、前記金属基体が、キシレン吸収量が10〜100g/m2の範囲にある硬化塗膜層を有する金属基体であることを特徴とする水圧転写方法。
- 前記水圧転写フィルムが、前記支持体フィルム上に設けられた前記保護層と前記保護層上に設けられた印刷インキ被膜又は塗料被膜からなる装飾層とからなる転写層を有する請求項1記載の水圧転写方法。
- 前記硬化塗膜層を有する金属基体が、プレコート金属板である請求項1又は2に記載の水圧転写方法。
- 前記硬化塗膜層を有する金属基体が、前記硬化塗膜層形成後に任意形状に成形したものである請求項1〜3のいずれかに記載の水圧転写方法。
- 前記硬化塗膜層が、数平均分子量が2,000〜100,000のポリエステル樹脂と、イソシアネート系硬化剤及びアミン系硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤とを含む樹脂組成物の硬化物からなる請求項1〜4のいずれかに記載の水圧転写方法。
- 前記硬化塗膜層が、両末端に水酸基とカルボキシル基との少なくとも1種を有するポリエステル樹脂とジイソシアネートとを反応させて得られる硬化樹脂からなる請求項1〜5のいずれかに記載の水圧転写方法。
- 前記活性エネルギー線硬化性及び/又は熱硬化性の樹脂層が、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリル基を有するウレタンアクリレート及び重量平均分子量30,000〜300,000のポリ(メタ)アクリレートを含有する硬化性樹脂組成物からなる請求項1〜6のいずれかに記載の水圧転写方法。
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