JP2003200698A - 水圧転写用フィルム及び装飾成形品の製造方法 - Google Patents

水圧転写用フィルム及び装飾成形品の製造方法

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JP2003200698A
JP2003200698A JP2002047258A JP2002047258A JP2003200698A JP 2003200698 A JP2003200698 A JP 2003200698A JP 2002047258 A JP2002047258 A JP 2002047258A JP 2002047258 A JP2002047258 A JP 2002047258A JP 2003200698 A JP2003200698 A JP 2003200698A
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resin layer
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Yukihiko Kawarada
雪彦 川原田
Shinji Kato
真司 加藤
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Nippon Decor Inc
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Nippon Decor Inc
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被転写体への十分な水圧転写性を有しなが
ら、耐擦傷性や耐薬品性などの優れた表面特性を有する
硬化性樹脂層、印刷インキ皮膜または塗料皮膜から成る
装飾層、被転写体と装飾層とに良好な密着性を有するプ
ライマー層を被転写体に同時に水圧転写でき、かつフィ
ルム表面にべたつきがなく、ロール巻き取りによる保存
と流通が可能な水圧転写用フィルムと該水圧転写用フィ
ルムを用いた装飾成形品の製造方法を提供すること。 【解決手段】 親水性樹脂から成る支持体フィルムと前
記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な転写
層とから成り、前記転写層が前記支持体フィルム上に設
けた活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一つで硬
化可能で透明な硬化性樹脂層と該硬化性樹脂層上に設け
た印刷インキ皮膜または塗料皮膜から成る装飾層と該装
飾層上に設けた有機溶剤に溶解可能でべたつきのないプ
ライマー層から成り、かつ前記硬化性樹脂層が活性エネ
ルギー線照射と加熱の少なくとも一つにより予備硬化さ
せたものであることを特徴とする水圧転写用フィルムと
該水圧転写用フィルムを用いた装飾成形品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は保護層である硬化性
樹脂層、装飾層および密着性を上げる為のプライマー層
を一度の水圧転写で被転写体に付与できる水圧転写用フ
ィルムと該水圧転写用フィルムを用いた装飾成形品の製
造方法に関する。本発明の水圧転写用フィルム及び該水
圧転写用フィルムを用いた装飾成形品の製造方法は、家
庭電化製品のハウジング、家具部材、建築部材および自
動車用部材などの極めて広い分野での装飾成形品の製造
に有用である。
【0002】
【従来の技術】従来から三次元形状を有する成形品に絵
柄模様などの意匠性に富む装飾層を設ける方法として水
圧転写法が知られている。水圧転写法は複雑な形状の成
形物にも意匠性に富む装飾層を付与できる、優れた装飾
成形品の製造方法である。
【0003】しかし水圧転写法の問題点は、その工程の
煩雑さにある。すなわち、水圧転写法により製造される
装飾形成品は、装飾層を被転写体に水圧転写した後、さ
らに装飾層に保護層としての硬化性樹脂を塗装すること
が一般的である。このため、インラインでの効率の良い
製造が困難で、さらに水圧転写装置の他に塗装設備も必
要で、コスト高となることから、水圧転写法による装飾
形成品の製造対象品は高級少数品に限られてきた。
【0004】塗装工程の省略を目的に特許公報3098
533号では、あらかじめ親水性の支持体フィルム上に
熱可塑性樹脂から成る保護層を装飾層とともに設け、熱
可塑性樹脂から成る保護層と装飾層とを同時に被転写体
に水圧転写する技術が開示されている。しかし、該技術
では保護層が熱可塑性樹脂、詳しくはブチルアクリレー
トとエチルアクリレートの共重合体から成るもので、保
護層として必要とされる耐溶剤性、耐薬品性および表面
硬度などの表面特性を被転写体に十分に付与できるもの
ではなかった。
【0005】特公平7−29084号公報では、ガラス
転移温度が0〜250℃のポリマー中にラジカル重合性
不飽和基を有する化合物及び/又は融点が20〜250
℃でありラジカル重合性不飽和基を有する化合物からな
り、未硬化状態で常温で固体状をなし、且つ非粘着性の
塗工層を具備する水圧転写用シートと、該シートを用い
て成形体に塗工層を水圧転写した後、電離放射線を照射
することにより、塗工層を硬化させる水圧転写用シート
の使用方法が開示されている。
【0006】しかし該公報に開示されたガラス転移温度
が0〜250℃のポリマー中にラジカル重合性不飽和基
を有する化合物及び/又は融点が20〜250℃であり
ラジカル重合性不飽和基を有する化合物で未硬化状態に
おいて常温で固体状をなし、且つ非粘着性の塗膜を形成
する条件を満足する樹脂材料は、現実には入手しにくい
問題がある。
【0007】また、水圧転写法により製造される装飾形
成品は、水圧転写された装飾層と被転写体との密着性が
重要である。例えば、亜鉛めっき鋼板などの金属成形品
は塗膜や印刷インキ皮膜との密着性が低いので、水圧転
写自体は実施可能なものの、転写された模様が崩れた
り、水洗時や乾燥後に塗膜や印刷インキ皮膜が剥がれる
という問題がある。そこで、それらの被転写物にプライ
マー層を予め塗装して転写される塗膜や印刷インキ皮膜
との密着性を向上させる方法が行われてきた。
【0008】特公平7−37196号公報には、被転写
体の表面に、乾燥はしているが完全硬化には至っていな
い硬化性樹脂層(プライマー層)を形成させ、水圧転写
により水圧転写用フィルムから印刷模様層を該硬化性樹
脂層(プライマー層)上に転写した後、印刷模様層を硬
化性樹脂でスプレー塗装し、次いで印刷模様層の上下に
存在する2つの硬化性樹脂層を完全硬化させる絵付け成
形品の製造方法が開示されており、印刷模様層の耐水性
や耐湿熱性が改善された絵付け成形品が得られると記載
されている。
【0009】しかし、該公報の方法では、被転写体に硬
化性樹脂を塗工し乾燥し、更に水圧転写後に更に硬化性
樹脂を塗工し乾燥する、従来の水圧転写法の煩雑な工程
は改善されないままであった。また該公報に記載のプラ
イマー層に用いられる硬化性樹脂は、従来公知の熱硬化
性樹脂や電離放射線硬化性組成物であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、被転写体への十分な水圧転写性を有しなが
ら、耐擦傷性や耐薬品性などの優れた表面特性を有する
硬化性樹脂層、印刷インキ皮膜または塗料皮膜から成る
装飾層、被転写体と装飾層とに良好な密着性を有するプ
ライマー層を被転写体に同時に水圧転写でき、かつフィ
ルム表面にべたつきがなく、ロール巻き取りによる保存
と流通が可能な水圧転写用フィルムと、該水圧転写用フ
ィルムを用いる、優れた表面特性の硬化樹脂層と意匠性
に富む装飾層とを有する装飾成形品の製造方法を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、課題を解
決するために種々検討したが、水圧転写用フィルムに設
けた硬化性樹脂層を予め硬化させると、水圧転写の際に
有機溶剤による硬化樹脂層の可溶化ができず、被転写体
への水圧転写が不可能であり、一方、硬化程度を低く抑
えた硬化性樹脂層ではべたつきが残って、その上に印刷
インキ層または塗料層を設けることが困難であった。
【0012】本発明者らは、特公平7−29084号公
報に開示された硬化性樹脂による水圧転写の追試を試み
たが、公報に記載された樹脂は市販されておらず、同様
の機能を有すると思われる樹脂選択には多大の困難があ
り、その樹脂選択の幅が極めて狭いことが判った。
【0013】また、水圧転写用フィルムに用いられる親
水性樹脂から成る支持体フィルムの耐熱性は120℃程
度であるため、既存の120℃以下で乾燥可能な低温乾
燥型のプライマー樹脂を水圧転写用フィルムに塗工し
て、転写層として被転写体に水圧転写することを試みた
が、該水圧転写用フィルムを水面に浮かせた際に、フィ
ルム上に形成された印刷模様層が水面上に均一かつ良好
に延展し難い問題があり、印刷模様層のくずれた転写模
様、いわゆる柄流れが発生し、高級な塗膜外観や耐久性
を十分に満足させるものは容易に得られなかった。
【0014】そこで、本発明者らは、水圧転写用フィル
ムに設けた硬化性樹脂層を硬化させる際に、完全硬化に
要するエネルギー量よりも低いエネルギー量を硬化性樹
脂層に与え、ベタつかない程度に硬化性樹脂層を予備硬
化させ、この予備硬化させた硬化性樹脂層の上に印刷イ
ンキ皮膜または塗料皮膜から成る装飾層を、更にこの装
飾層の上に特定の構造を有する(ポリ)アルキレングリ
コールのジグリシジルエーテルと、P−OH結合を少な
くとも1個有するリン系化合物との反応生成物からなる
樹脂組成物をプライマー層として用いることにより、上
記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0015】すなわち、本発明は、親水性樹脂から成る
支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶
剤に溶解可能な転写層とから成り、前記転写層が前記支
持体フィルム上に設けた活性エネルギー線照射と加熱の
少なくとも一つで硬化可能で透明な硬化性樹脂層と該硬
化性樹脂層上に設けた印刷インキ皮膜または塗料皮膜か
ら成る装飾層と該装飾層上に設けた有機溶剤に溶解可能
でべたつきのないプライマー層から成り、かつ前記硬化
性樹脂層が活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一
つにより予備硬化させたものであることを特徴とする水
圧転写用フィルムを提供する。
【0016】また本発明は、親水性樹脂から成る支持体
フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶
解可能な転写層とから成り、前記転写層が活性エネルギ
ー線照射と加熱の少なくとも一つで硬化可能で透明な硬
化性樹脂層と該硬化性樹脂層上に設けた印刷インキ皮膜
または塗料皮膜から成る装飾層と該装飾層上に設けた有
機溶剤に溶解可能でべたつきのないプライマー層とから
成り、かつ前記硬化性樹脂層の硬化性樹脂を活性エネル
ギー線照射と加熱の少なくとも一つにより予備硬化させ
た水圧転写用フィルムから、有機溶媒により活性化した
前記転写層を被転写体に水圧転写し、次いで転写した前
記転写層の硬化性樹脂層を活性エネルギー線照射と加熱
の少なくとも一つにより硬化させることを特徴とする装
飾成形品の製造方法を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】先ず本発明の水圧転写用フィルム
の構成要素について以下に詳述する。親水性樹脂から成
る支持体フィルムは、水で膨潤または溶解可能な親水性
樹脂からなる支持体フィルムである。親水性樹脂から成
る支持体フィルムとしては、具体的には、例えば、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アセチルセ
ルロース、ポリアクリルアミド、アセチルブチルセルロ
ース、ゼラチン、にかわ、アルギン酸ナトリウム、ヒド
ロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース
等のフィルムが使用できる。
【0018】なかでも一般に水圧転写用フィルムとして
用いられているポリビニルアルコールのフィルムが水に
溶解し易く、また入手し易く、硬化性樹脂層の印刷にも
適しており、特に好ましい。支持体フィルムの厚みは、
硬化性樹脂層または硬化性樹脂層と装飾層を設け、かつ
水圧転写後の溶解、剥離が容易であるために、10〜2
00μm程度が好ましい。
【0019】次に、親水性樹脂から成る支持体フィルム
上に設けられる転写層について説明する。転写層は水圧
転写の際に、有機溶剤により活性化されて親水性の支持
体フィルムから容易に離れ、被転写体に転移されねばな
らない。従って、転写層は全体として有機溶剤に溶解可
能で疎水性である必要がある。
【0020】本発明の転写層は、親水性樹脂から成る支
持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性の
層であり、活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一
つで硬化可能で透明な硬化性樹脂層と、該硬化性樹脂層
上に設けた印刷インキ皮膜または塗料皮膜から成る装飾
層と、該装飾層上に設けた有機溶剤に溶解可能でべたつ
きのないプライマー層から成り、かつ前記硬化性樹脂層
を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一つにより
予備硬化(半硬化)させたものである。
【0021】硬化性樹脂層は、透明であることが本発明
の効果を発現できることから好ましい。但し、硬化性樹
脂層の透明性は装飾被転写体の要求特性にもよるが、基
本的に装飾層の色や柄が透けて見えれば良く、完全に透
明であることを要せず、透明から半透明なものまでを含
む。
【0022】硬化性樹脂層と装飾層とプライマー層から
なる転写層は、水圧転写の前に有機溶剤により活性化さ
せ、十分に可溶化もしくは柔軟化させることが必要であ
る。ここで言う活性化とは、転写層に有機溶媒を塗布ま
たは散布することによって、硬化性樹脂層と装飾層とプ
ライマー層から成る転写層を完全には溶解させずに可溶
化させ、水圧転写の際に親水性の支持体フィルムから転
写層の剥離を容易にすると共に転写層に柔軟性を付与
し、転写層の形状を保ったまま、転写層を被転写体表面
へ転写させるために、転写層に十分な追従性と密着性を
付与することを意味する。
【0023】そのためには、本発明の水圧転写フィルム
の転写層を構成する、活性エネルギー線照射と加熱の少
なくとも一つで硬化可能で透明な硬化性樹脂層は、水圧
転写前に、未硬化または完全に硬化させた硬化樹脂層で
はなく、予備硬化させた硬化性樹脂層でなければならな
い。
【0024】次に本発明の硬化性樹脂層について説明す
る。本発明の水圧転写用フィルムの硬化性樹脂層は、活
性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一つにより予備
硬化させたものであり、べたつきのない硬化樹脂層を有
するものである。本発明で言う硬化性樹脂層の予備硬化
の状態をさらに詳細に定めれば、硬化性樹脂の架橋密度
が1×10−6〜5×10−3mol/cmであること
が好ましい。
【0025】本発明で言う架橋密度は、以下のようにし
て求めることができる。 架橋密度=硬化性樹脂層の密度/架橋間分子量であり、 架橋間分子量=3×硬化性樹脂層の密度×R×T×10
7/貯蔵弾性率であるので、 架橋密度=貯蔵弾性率/3×R×T×107となる。な
お、ここで言う架橋間分子量とは、架橋点間の高分子セ
グメントの数平均分子量である。
【0026】ここで、貯蔵弾性率は、硬化性樹脂層のガ
ラス転移温度より50℃高い温度における貯蔵弾性率で
あり、硬化性樹脂層の動的粘弾性を測定することにより
求めることができる。Rは気体定数であり、Tは硬化性
樹脂層のガラス転移温度より50℃高い温度(絶対温
度:単位K)である。
【0027】本発明の水圧転写用フィルムの予備硬化さ
れた硬化性樹脂層を構成する硬化性樹脂の架橋密度は1
×10-6mol/cm〜5×10-3mol/cmであ
ることが好ましく、1×10-5mol/cm〜1×1
-3mol/cm であることがより好ましい。硬化性
樹脂層の架橋密度が1×10-6mol/cmより小さ
いと、硬化性樹脂層は延伸性に優れたものとなるが、水
圧転写時に装飾層との境界が不明確となり易い。逆に、
架橋密度が5×10-3mol/cmを超えて大きい
と、水圧転写に際しての有機溶媒による活性化が十分行
われず、転写層の延伸性が劣り、被転写体である成形品
表面への転写性と追従性が低下する。
【0028】また本発明の水圧転写用フィルムは、支持
体フィルムと硬化性樹脂層とから成るフィルムの71%
伸長時の引張り応力が15N以上40N以下であること
が好ましい。本発明で言う71%伸長時の引張り応力
は、以下のようにして求めることができる。すなわち、
厚さ35μmの支持体フィルム上に厚さ10μmの硬化
性樹脂層を設けて硬化させた後に、該フィルムを25m
m×90mmのサイズで切り出し、この切り出したサン
プルを測定分が長さ35mmとなるように挟み、測定ス
ピード3mm/sで80mmまで伸長させて、60mm
伸長時の引張り応力を測定する。
【0029】この測定を10回以上、測定値の標準偏差
が0.8N未満になるまで繰り返し、測定値の標準偏差
が0.8N未満となったときの測定値の平均値を71%
伸長時の引張り応力とする。なお71%とは、下式で表
されるサンプル長さに対する伸び長さの割合を意味す
る。 [(60mm−35mm)/35mm]×100=71
【0030】71%伸長時の引張り応力を基準とするの
は、60%以下の伸長では引張り応力が小さいために測
定値の振れが大きく、測定データを一定基準内の標準偏
差内に収めることが困難であること、80%以上の伸長
時では硬化樹脂が破断した場合でも支持体フィルムはま
だ破断しないために、支持体フィルムの引張り応力と硬
化樹脂の引張り応力とを分けることが困難なためであ
る。
【0031】本発明の水圧転写用フィルムの硬化性樹脂
層を予備硬化させた状態での71%伸長時の引張り応力
は、上記したように15N以上40N以下であり、20
N〜30Nであることが好ましく、21N〜28Nであ
ることが特に好ましい。71%伸長時の引張り応力が1
5N未満であると、水圧転写用フィルムの強度が低すぎ
て、水圧転写時に膜切れなどの問題が生じる。一方、7
1%伸長時の引張り応力が40Nを超えて大きいと、水
圧転写時の延伸性が低く、被転写体への転写性と追従性
が低下する。
【0032】本発明の水圧転写用フィルムの硬化性樹脂
層を所望の予備硬化状態にするには、用いる硬化性樹脂
層を完全硬化させるに必要なエネルギー量よりも低いエ
ネルギー量を与えることにより実現でき、例えば、活性
エネルギー線硬化性樹脂を用いる場合には、完全硬化さ
せるに必要な活性エネルギー線照射量の0.001%〜
1%量の活性エネルギー線を照射することにより予備硬
化を達成できる。
【0033】この活性エネルギー線の照射量の制御は照
射時間の制御等によって容易に行うことができる。例え
ば、活性エネルギー線硬化性樹脂層を一定の厚さで印刷
した基材フィルムの一部を切り取って照射量測定用試料
とし、この試料を活性エネルギー線の光源から一定の距
離に置いて活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー
線硬化性樹脂層が完全硬化するまでの時間(以下、「完
全硬化時間」という)を測定する。
【0034】次いで、上記活性エネルギー線硬化性樹脂
層と同一の厚さで設けた基材フィルムの該活性エネルギ
ー線硬化性樹脂層に上記と同じ活性エネルギー線照射装
置を用いて、その光源までの距離を前記と等しい距離に
設定し、その活性エネルギー線硬化性樹脂層面に先に求
めた完全硬化時間の0.001%以上1%以下に相当す
る時間、同一強度の活性エネルギー線を照射することに
より、該樹脂層を予備硬化させることができる。
【0035】完全硬化させるに必要な活性エネルギー線
照射量の0.001%未満の照射では、支持体フィルム
上に設けた透明な硬化性樹脂層の乾燥が不十分なため、
該硬化性樹脂層の上に装飾層を設けることが実質的に不
可能である。また、完全硬化させるに必要な活性エネル
ギー線照射量の1%を超えて照射すると、支持体フィル
ム上に設けた透明な硬化性樹脂層の乾燥は十分なもの
の、水圧転写工程における硬化性樹脂層の柔軟性が大幅
に低下し、被転写体表面への転写性と追従性が低下す
る。
【0036】なお本発明でいう、活性エネルギー線と
は、可視光、紫外線、電子線、ガンマ線などが挙げら
れ、特に紫外線が好適であり、紫外線源としては、太陽
光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボ
ンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等
が用いられる。
【0037】本発明に用いる活性エネルギー線硬化性樹
脂は、1分子中に活性エネルギー線によって硬化可能な
重合性基を有するものであり、これらは、例えば、アク
リロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルエステル
基、ビニルエーテル基などのビニル重合性基やマレイミ
ド基、エポキシ基、環状カーボネート基、オキセタン
基、オキサゾリン基などの開環重合性基が利用可能であ
るが、これらに限るものではない。
【0038】硬化性樹脂層に用いる活性エネルギー線硬
化性樹脂は、特にアクリル系樹脂が好ましく、なかでも
2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレー
トが好ましい。なお、本発明で言う(メタ)アクリロイ
ル基を有するアクリレートとは、メタクリロイル基とア
クリロイル基のいずれかの基を有する樹脂を意味し、以
下は(メタ)アクリレートと略称する。
【0039】本発明に用いられる(メタ)アクリレート
は、塗料用樹脂として一般に使用されている(メタ)ア
クリレートであれば問題なく使用することができ、具体
例を挙げれば、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポ
リエステル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メ
タ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポ
リエーテル(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)ア
クリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シ
リコン(メタ)アクリレート、アミノ樹脂(メタ)アク
リレート、マレイミド(メタ)アクリレート等が挙げら
れる。
【0040】本発明においては、硬化性樹脂層が、一般
にポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有
(メタ)アクリレートの反応生成物として得られるウレ
タン(メタ)アクリレートであることが得られる塗膜性
能が優れることから好ましい。
【0041】これらポリオールの具体例としては、塗料
用樹脂材料やポリエステル原料に用いられる2価アルコ
ール類であれば、特に制限なく用いることができる。例
えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、プロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール、2−エチルブタン−1,4−
ジオール、
【0042】1,4−シクロヘキサンジオール、1,4
−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ジエチルプロ
パン−1,3−ジオール、トリエチレングリコール、ジ
プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリ
セリン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、トリ
メチロールプロパン、
【0043】ダイマージオールおよび2−ブテン−1,
4−ジオール、ハイドロキノンレゾルシン、ジヒドロキ
シジフェニルエーテル等、更にはこれらポリオールのダ
イマーやトリマー、ポリオールの重縮合体である(ポ
リ)アルキレングリコールなどが挙げられる。
【0044】本発明に用いられるウレタン(メタ)アク
リレートの製造に用いられるポリオールは、ウレタン
(メタ)アクリレートの低粘度化が容易で、かつ経済的
にも安価であることから、特に(ポリ)アルキレングリ
コールであることが好ましく本発明で使用する(ポリ)
アルキレングリコールは、従来公知の種々のものを使用
することができる。
【0045】(ポリ)アルキレングリコールの具体例と
しては、ビスフェノールAオキシアルキレングリコール
付加物、ビスフェノールADオキシアルキレングリコー
ル付加物、ビスフェノールFオキシアルキレングリコー
ル付加物、水添ビスフェノールAオキシアルキレングリ
コール付加物、フェノールノボラックのオキシアルキレ
ングリコール付加物、クレゾールノボラック型樹脂のオ
キシアルキレングリコール付加物、多価フェノールオキ
シアルキレングリコール付加物、芳香族多価アルコール
のオキシアルキレングリコール付加物、芳香族性窒素含
有複素環化合物のオキシアルキレングリコール付加物等
の芳香族(ポリ)アルキレングリコールや、エチレング
リコール、プロピレングリコールポリテトラメチレング
リコールなどの脂肪族(ポリ)アルキレングリコール等
が挙げられる。
【0046】本発明のウレタン(メタ)アクリレートの
製造に用いられる(ポリ)アルキレングリコールは、な
かでも芳香族(ポリ)アルキレングリコールが好まし
く、芳香族(ポリ)アルキレングリコールを固形分換算
で80%以上含有することが特に好ましい。さらに、芳
香族(ポリ)アルキレングリコールの中でも、特にビス
フェノール類オキシアルキレングリコール付加物が好ま
しく、ビスフェノールAのオキシアルキレングリコール
付加物が特に好ましい。
【0047】用いる(ポリ)アルキレングリコールの分
子量範囲は、特に限定されるものではないが、数平均分
子量として400〜3000が好ましい。これは、数平
均分子量400以下では、製造されるウレタン(メタ)
アクリレートの柔軟性が不足し、数平均分子量3000
以上では製造されるウレタン(メタ)アクリレートが常
温で固体もしくは固体と液体の共存状態となり、作業性
が著しく低下するためである。
【0048】またウレタン(メタ)アクリレートの製造
に用いられるポリイソシアネートは1分子中にイソシア
ネート基を平均2個以上有し、且つ数平均分子量(ポリ
スチレン換算の値)が10,000以下、好ましくは
5,000以下、特に好ましくは2,000以下のもの
である。これらはジイソシアネートもしくは3価以上の
イソシアネート化合物を必須のイソシアネート化合物成
分として含む。
【0049】ジイソシアネートの具体例としては、例え
ば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキ
サメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネ
ート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネ
ート類、水素添加キシリレンジイソシアネート、シクロ
ヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート等の環状脂肪族ジイソシアネート類、トリレンジイ
ソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族
ジイソシアネート類が挙げられる。
【0050】3価以上のイソシアネート化合物の具体例
としては、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシ
アナトカプロエート、1,3,5−トリイソシアナトシ
クロヘキサンなどの脂肪族トリイソシアネート、1,
3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリ
イソシアナトナフタレンなどの芳香族トリイソシアネー
ト、ジイソシアネート類を環化三量化せしめて得られ
る、いわゆるイソシアヌレート環構造を有するポリイソ
シアネート類が挙げられる。
【0051】更に、3価以上のポリイソシアネート化合
物は、2価以上のポリイソシアネートの2量体もしくは
3量体、これらの2価または3価以上のポリイソシアネ
ートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もし
くは水等とをイソシアネート基過剰の条件で反応させて
なる付加物等、さらにはこれらのイソシアネート化合物
の遊離のイソシアネート基をフェノール類、オキシム
類、ラクタム類、アルコール類、メルカプタン類などの
ブロック剤で封鎖したブロックポリイソシアネートや、
遊離のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類
と、水とを反応せしめて得られる、ビウレット構造を有
するポリイソシアネート類、
【0052】2−イソシアナートエチル(メタ)アクリ
レート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジ
ルイソシアネートもしくは(メタ)アクリロイルイソシ
アネートの如きイソシアネート基を有するビニルモノマ
ーの単独重合体、またはこれらのイソシアネート基含有
ビニルモノマーを、これらと共重合可能な(メタ)アク
リル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族
ビニル系もしくはフルオロオレフィン系ビニルモノマー
類などと共重合せしめて得られる、それぞれ、イソシア
ネート基含有のアクリル系共重合体、ビニルエステル系
共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体などのよ
うな、種々のビニル系共重合体類などとも併用すること
ができる。
【0053】また、ウレタン(メタ)アクリレートの製
造に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレートとして
は、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタク
リル酸ヒドロキシブチル等のアクリル酸またはメタクリ
ル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の
ポリエーテルポリオールとアクリル酸またはメタクリル
酸等の不飽和カルボン酸とのモノエステル;
【0054】ポリエチレングリコール等のポリエーテル
ポリオールとアクリル酸2−ヒドロキシエチル等の水酸
基含有不飽和モノマーとのモノエーテル、無水マレイン
酸や無水イタコン酸のような酸無水基含有不飽和化合物
とエチレングリコール、等のグリコール類とのモノエス
テル化物またはジエステル化合物;
【0055】ヒドロキシエチルビニルエーテルのような
ヒドロキシアルキルビニルエーテル類、アリルアルコー
ル、α,β−不飽和カルボン酸とα−オレフィンエポキ
シドのようなモノエポキシ化合物との付加物、アクリル
酸グリシジルまたはメタクリル酸グリシジルと酢酸、プ
ロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸、脂肪酸のよう
な一塩基酸との付加物、上記の水酸基含有モノマーとラ
クトン類(例えばε−カプロラクトン、γ−バレロラク
トン等)との付加物等を挙げることができ、アクリル酸
2−ヒドロキシエチルなどが好ましく、アクリル酸2−
ヒドロキシエチルの水酸基はイソシアネートとの反応性
が大きく、アクリル二重結合の反応性も高いので、アク
リル酸2−ヒドロキシエチルが特に好ましい。
【0056】ウレタン(メタ)アクリレートの製造の際
のポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有
(メタ)アクリレートの配合比は、特に制限はないが、
ポリオールおよび水酸基含有(メタ)アクリレート中の
水酸基1当量当たりにポリイソシアネート中のイソシア
ネート基が0.5〜2.0当量の範囲が好ましい。
【0057】本発明の製造方法により得られる硬化樹脂
層を有する成形品の光沢をより一層高めるためには、用
いるウレタン(メタ)アクリレートを構成するモノマー
あるいはポリマー成分としてジアリル化合物を含むこと
が好ましい。このジアリル化合物としては、アクリル酸
アリル、メタクリル酸アリル、ジアリル酢酸、マレイン
酸ジアリル、ジアリルカルビノール、ジアリルエーテ
ル、ジアリルクロロシラン等が挙げられるが、共重合体
の安定性や原料化合物の入手しやすさといった観点か
ら、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリルが好まし
い。
【0058】ジアリル化合物のウレタン(メタ)アクリ
レートへの仕込み量は0.5〜30質量%が好ましい。
これは、ジアリル化合物の仕込み量を0.5質量%以上
とすることにより、光沢が充分なものとなり、ジアリル
化合物の仕込み量を30質量%以下とするのは、30質
量%を越えると製造時に反応装置内で反応混合物のゲル
化の危険性が増大するからである。
【0059】本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレ
ートには、更に必要に応じて、最終的に得られる物性に
影響しない範囲で、ウレタン(メタ)アクリレートを構
成するモノマーあるいはポリマー成分として共重合可能
な他のビニル系モノマーとして、公知慣用の種々のビニ
ル系モノマーを添加することができる。
【0060】ウレタン(メタ)アクリレートの製造法と
しては、無溶媒もしくは必要に応じて、例えば、キシレ
ン、トルエン等の芳香族炭化水素類、イソブタノール、
n−ブタノール等のアルコール類、酢酸ブチル等のエス
テル類、メチルエチルケトン等のケトン類、セロソル
ブ、セロソルブアセテート等のエーテル類等の有機溶剤
中で、無触媒もしくはN,N−アゾビスジイソブチロニ
トリル等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド等の
有機過酸化物等のラジカル重合開始剤、n−ドデシルメ
ルカプタン等の連鎖移動剤等を用いて、前述のモノマー
成分を、反応温度約40〜120℃で、約1〜30時間
反応させる。
【0061】これら(メタ)アクリレートは、単独で用
いても良いし、混合可能な範囲でブレンドして用いても
良い。なかでもさらに、後述する熱硬化性ポリマーまた
はオリゴマーと混合可能な範囲でブレンドして用いても
良い。
【0062】これらの活性エネルギー線硬化性樹脂を含
む硬化性樹脂層は、必要に応じて、公知慣用の光重合開
始剤、光増感剤が含まれて良い。かかる光重合開始剤の
代表的なものとしては、例えば、ジエトキシアセトフェ
ノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン
の如きアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾイ
ンイソプロピルエーテルの如きベンゾイン系化合物;
2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィ
ンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系化合物;
【0063】ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸
メチル−4−フェニルベンゾフェノンの如きベンゾフェ
ノン系化合物;2,4−ジメチルチオキサントンの如き
チオキサントン系化合物;4,4′−ジエチルアミノベ
ンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系化合物など
の各種の化合物が挙げられる。かかる光増感剤として
は、例えば、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミ
ノ安息香酸エチルの如きアミン類が挙げられる。
【0064】光重合開始剤は、一般に、紫外線を用いる
場合に必要であり、他の電子線などの活性エネルギー線
を使用する場合には不要である。この光重合開始剤とし
ては特に制限なく、各種公知のものを使用することがで
き、その使用量は用いる活性エネルギー線硬化性樹脂に
対して、通常0.5〜15質量%、好ましくは1〜8質
量%を用いる。
【0065】次に、硬化性樹脂層を加熱により予備硬化
させる場合について述べる。熱硬化性樹脂を用いて、加
熱により硬化性樹脂層を予備硬化させる場合には、完全
硬化せしめる温度と加熱時間の2条件が熱硬化性樹脂の
樹脂組成と複雑に関連するため、前述の活性エネルギー
線硬化性樹脂を用いた場合のような一義的な表現は困難
であるが、目安として完全硬化せしめる温度と、同温度
において加熱硬化時間を完全硬化せしめる硬化時間の4
0%以下に設定することで所望の予備硬化状態を実現で
きる。
【0066】硬化性樹脂層に用いる熱硬化性樹脂も活性
エネルギー線硬化性樹脂の場合と同様に、印刷性または
塗工性が必要であることから、硬化前の樹脂の分子量は
高いほうが好ましく、具体的には質量平均分子量100
0〜100,000が好ましく、さらに好ましくは3,
000〜30,000である。この領域で、かつ分子凝
集性の高い樹脂であれば印刷または塗工時の十分な乾燥
性が得られる。
【0067】用いる熱硬化性樹脂としては、熱により反
応しえる官能基を1分子中に2つ以上有する化合物であ
るか、または主剤となる熱硬化性化合物に架橋剤となる
熱硬化性化合物を配合したものである。熱により反応し
える官能基としては、例えば、N−メチロール基、N−
アルコキシメチル基、アミノ基、水酸基、イソシアネー
ト基、カルボキシル基、エポキシ基、メチロール基、酸
無水物、炭素−炭素二重結合含有化合物等が挙げられ
る。
【0068】炭素−炭素二重結合を分子内に有し連鎖重
合による架橋反応が可能なものは、エネルギー線硬化性
樹脂と同種の硬化性樹脂であり、これらの硬化性樹脂と
加熱によってラジカルソースを発生する開始剤とを組み
合わせることにより熱硬化性樹脂とすることができる。
この際の開始剤としては、過酸化ベンゾイル、アゾビス
イソブチロニトリルなどの通常のラジカル開始剤が用い
られる。
【0069】主剤と硬化剤の組み合わせは、特に限定さ
れるものではないが、例えば、水酸基やアミノ基を有す
る主剤と硬化剤としてイソシアネート、水酸基やカルボ
キシル基を有する主剤と、硬化剤としてN−メチロール
化またはN−アルコキシメチル化メラミン、ベンゾグア
ナミン等のアミノ樹脂、エポキシ基や水酸基を有する主
剤と、硬化剤として無水フタル酸の如き酸無水物、カル
ボキシル基や炭素−炭素二重結合、ニトリル基、エポキ
シ基を有する主剤と、硬化剤としてフェノール樹脂、カ
ルボキシル基やアミノ基を有する主剤と、硬化剤として
エポキシ基含有化合物などを用いることができる。
【0070】しかしながら、これらの熱硬化性樹脂は加
熱しなくとも保存中に徐々に硬化反応が進行するものが
多く、保存期間中に硬化反応が進むと、活性剤による転
写層の活性化が十分行われず、水圧転写不良を起こす原
因となる。このため、常温硬化型の熱硬化性樹脂は好ま
しくなく、熱硬化性樹脂の中でも主剤としてポリオー
ル、硬化剤としてブロックイソシアネートを用いた系が
好ましい。
【0071】ポリオールとしては、アクリルポリオー
ル、ポリ―p−ヒドロキシスチレン、ポリエーテルポリ
オール、ポリエステルポリオール、ポリビニルアルコー
ル、ポリエチレンビニルアルコール共重合体などがあげ
られるが、特にアクリルポリオールが好ましい。
【0072】ブロックイソシアネートとしてはイソシア
ネート基をアルコールなどのブロック基で保護したもの
を用いることができ、これらのブロック基には、フェノ
ール、クレゾール、芳香族第2アミン、第3級アルコー
ル、ラクタム、オキシムなどが挙げられる。これらのブ
ロックイソシアネートは、加熱によってアルコールなど
のブロック基が遊離するため、これらブロック基の遊離
温度以上の加熱によって、始めて架橋反応が開始され
る。
【0073】本発明の硬化性樹脂層に用いる熱硬化性樹
脂は、アクリルポリオールを主剤とし、ブロックイソシ
アネートを硬化剤として用いたものが特に好ましい。本
発明で好ましく用いられるアクリルポリオールの質量平
均分子量は、3,000〜100,000が好ましく、
さらに好ましくは10,000〜70,000である。
本発明で好ましく用いられるブロックイソシアネート
は、親水性樹脂から成る支持体フィルムの耐熱温度を考
慮して、標準的な完全硬化条件が130℃×30分以内
であるブロックイソシアネートを用いることが好まし
い。
【0074】また、硬化性樹脂層に非粘着性の熱可塑性
樹脂を添加することは、硬化性樹脂層の乾燥性向上に効
果的である。しかし、熱可塑性樹脂の添加は硬化性樹脂
の硬化反応を阻害する懸念があることや、水圧転写され
る前に散布される有機溶剤量の増量につながる問題点が
あるので、硬化性樹脂層の樹脂量100質量部に対して
非粘着性の熱可塑性樹脂は70質量部を超えない範囲で
添加することが好ましい。
【0075】非粘着性の熱可塑性樹脂の具体例として
は、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリ
エステルなどが挙げられる。なかでも、ポリアクリレー
ト、ポリスチレン、およびポリ塩化ビニル酢酸ビニル共
重合体はTgが高く、乾燥性向上に好ましい。さらに透
明性、耐溶剤性および耐擦傷性に優れるポリメチルメタ
クリレートを主成分としたポリ(メタ)アクリレートが
特に好ましく、質量平均分子量30,000以上30
0,000以下のポリメチルメタクリレートが好まし
く、150,000以上300,000以下のものが更
に好ましく用いられる。
【0076】次に、本発明の装飾層について説明する。
本発明の印刷インキ皮膜または塗料皮膜からなる装飾層
の形成に用いる印刷インキまたは塗料は、硬化性樹脂層
に対して印刷または塗工が可能な印刷インキまたは塗料
であり、さらに硬化性樹脂層と同様に有機溶媒によって
活性化され、被転写体に水圧転写される際に十分な柔軟
性が得られることが必要である。
【0077】これらの印刷インキまたは塗料に用いるワ
ニス用樹脂は、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ
アミド樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル
樹脂、ビニル樹脂(塩ビ、酢ビ共重合樹脂)、ビニリデ
ン樹脂(ビニリデンクロライド、ビニリデンフルオネー
ト)、エチレン−ビニルアセテート樹脂、ポリオレフィ
ン樹脂、塩素化オレフィン樹脂、エチレン−アクリル樹
脂、石油系樹脂、セルロース誘導体樹脂などの熱可塑性
樹脂が好ましく用いられ、中でも、アルキッド樹脂、ア
クリル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体樹脂
およびエチレンビニルアセテート樹脂が特に好ましく用
いられる。
【0078】装飾層中の印刷インキまたは塗料の着色剤
は、顔料が好ましく、無機系顔料、有機系顔料のいずれ
も使用が可能である。さらに、金属切削粒子のペースト
や蒸着金属膜から得られる金属細片を顔料として含んだ
金属光沢インキの使用も可能である。これらの金属とし
ては、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(A
g)、真鍮(Cu−Zn)、チタン(Ti)、クロム
(Cr)、ニッケル(Ni)、ニッケルクローム(Ni
−Cr)およびステンレス(SUS)等が好ましく用い
られる。これらの金属細片は、分散性、酸化防止やイン
キ層の強度向上のためにエポキシ樹脂、ポリウレタン、
アクリル樹脂、ニトロセルロース等のセルロース誘導体
などで表面処理を行っていても良い。
【0079】次に、本発明のプライマー層について説明
する。本発明のプライマー層は、特に(ポリ)アルキレ
ングリコールのジグリシジルエーテルと、P−OH結合
を少なくとも1個有するリン系化合物とを、(ポリ)ア
ルキレングリコールのジグリシジルエーテルのエポキシ
基1当量に対して、リン系化合物の水酸基が0.05当
量以上1.0当量以下となる割合で、リン酸エステル化
反応させて得られる樹脂組成物からなるものが好まし
い。
【0080】本発明のプライマー層を構成する(ポリ)
アルキレングリコールのジグリシジルエーテルは、従来
公知の種々のものを使用することができる。具体的に
は、ビスフェノールAオキシアルキレン付加物のジグリ
シジルエーテル、ビスフェノールADオキシアルキレン
付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールFオキ
シアルキレン付加物のジグリシジルエーテル、水添ビス
フェノールAオキシアルキレン付加物のジグリシジルエ
ーテル、
【0081】フェノールノボラックのオキシアルキレン
付加物のジグリシジルエーテル、クレゾールノボラック
型樹脂のオキシアルキレン付加物のジグリシジルエーテ
ル、多価フェノールオキシアルキレン付加物のジグリシ
ジルエーテル、芳香族多価アルコールジグリシジルエー
テルのオキシアルキレン付加物のジグリシジルエーテ
ル、芳香族性窒素含有複素環化合物のオキシアルキレン
付加物のジグリシジルエーテルなどの芳香族(ポリ)ア
ルキレングリコールのジグリシジルエーテル、
【0082】ポリエチレングリコールのジグリシジルエ
ーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエー
テル、ポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエ
ーテルなどの脂肪族(ポリ)アルキレングリコールのジ
グリシジルエーテル等が挙げられ、中でも芳香族(ポ
リ)アルキレングリコールのジグリシジルエーテルが好
ましい。特にビスフェノール類のオキシアルキレン付加
物のジグリシジルエーテルが好ましく、ビスフェノール
Aのオキシアルキレン付加物のジグリシジルエーテルが
更に好ましい。
【0083】本発明で使用する(ポリ)アルキレングリ
コールのジグリシジルエーテルの(ポリ)アルキレング
リコールとしては、エチレングリコール、ポリエチレン
グリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレング
リコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコールのいずれか1つであればよく、エチレン
グリコールあるいはポリエチレングリコールと、プロピ
レングリコールあるいはポリプロピレングリコールと、
テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコ
ールとの任意の組み合わせが使用できる。
【0084】具体的には、ビスフェノールAオキシエチ
レン2mol付加物のジグリシジルエーテル、例えば、
下記に構造式を例示する、化1のビスフェノールAオキ
シプロピレン2mol付加物のジグリシジルエーテル
【0085】
【化1】
【0086】ビスフェノールAオキシエチレン2mol
オキシプロピレン3mol付加物のジグリシジルエーテ
ル、ビスフェノールAオキシエチレン5molオキシプ
ロピレン4mol付加物のジグリシジルエーテル、ビス
フェノールADオキシエチレン2molオキシ付加物の
ジグリシジルエーテル、ビスフェノールFオキシプロピ
レン5mol付加物のジグリシジルエーテル、水添ビス
フェノールAオキシプロピレン3mol付加物のジグリ
シジルエーテル、フェノールノボラックオキシエチレン
6mol付加物のジグリシジルエーテル、
【0087】クレゾールノボラック型樹脂のオキシプロ
ピレン4mol付加物のジグリシジルエーテル、多価フ
ェノールのオキシプロピレン2mol付加物のジグリシ
ジルエーテル、芳香族多価アルコールのオキシプロピレ
ン2mol付加物のジグリシジルエーテル、芳香族性窒
素含有複素環化合物のオキシプロピレン2mol付加物
のジグリシジルエーテル等が挙げられ、特にビスフェノ
ール類オキシプロピレン2mol付加物のジグリシジル
エーテルが好ましい。
【0088】 本発明で使用するP−OH結合を少なく
とも1個有するリン系化合物としては、オルトリン酸の
モノエステルがある。リン酸のモノエステルの好適例に
は、リン酸モノブチル、リン酸モノアミル、リン酸モノ
ノニル、リン酸モノセチル、リン酸モノフェニル、及び
リン酸モノベンジルがある。
【0089】ここで有用なリン系化合物には、水和され
たリン酸から純粋なリン酸、即ち、約70%〜約100
%のリン酸、好ましくは約85%のリン酸が包含され
る。その理由は工業的に入手しやすいからである。種々
の縮合された形態のリン酸等価物、例えば、リン酸の重
合部分無水物またはエステル、ピロリン酸、トリリン酸
等が用いられる。
【0090】これらのリン系化合物と、(ポリ)アルキ
レングリコールのジグリシジルエーテルとの反応に際
し、反応物の比は任意の比率で選択することが可能であ
るが、エポキシ基1当量に対して、リン系化合物の水酸
基が0.05当量以上1.0当量以下であることが好ま
しい。0.05当量未満の場合は化合物自身不安定であ
り、逆に1.0を越えると特にエポキシ当量が240以
下の(ポリ)アルキレングリコールのジグリシジルエー
テルを用いた場合、反応の制御が困難になるのでいずれ
も好ましくない。
【0091】また、一塩基酸と(ポリ)アルキレングリ
コールのジグリシジルエーテル(P1)のエポキシ基の
一部を反応させ、後にリン系化合物と反応させてもよ
い。ここで用いる一塩基酸としては、例えば、プロピオ
ン酸、ネオデカン酸(バーサチック酸)、ステアリン酸
等の(C1〜C18)のアルキルモノカルボン酸、また
は、アクリル酸、メタクリル酸、動植物油脂肪酸等の
(C2〜C18)のアルケニルモノカルボン酸、乳酸等
のヒドロキシアルキルモノカルボン酸、安息香酸等の芳
香族モノカルボン酸等が挙げられる。
【0092】反応温度は、25℃〜150℃、好ましく
は50℃〜100℃の反応温度が使用される。反応温度
が25℃未満の場合は反応が遅く、逆に150℃を越え
ると反応の制御が困難になるのでいずれも好ましくな
い。この反応は、通常不活性な溶媒存在下で行なわれ
る。
【0093】用いる溶剤としては、トルエン等の芳香族
溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホ
ロン等のケトン系溶媒、ヘキサンやシクロヘキサン等の
炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プ
ロピレングリコールモノプロピルエーテル等のエーテル
化合物、酢酸エチル、ブチルジグリコールアセテート等
のエステル類またはハロゲン溶剤等の活性水素を含有し
ていない溶剤が挙げられる。
【0094】不活性な溶媒の使用量は、(ポリ)アルキ
レングリコールのジグリシジルエーテルに対して0.1
〜20倍、好ましくは0.5〜2倍である。使用量が
0.1倍未満の場合は基質濃度が高すぎて反応の制御が
困難であり、逆に20倍を越えると不経済となるのでい
ずれも好ましくない。
【0095】反応を行う際、仕込み順序に制限はない
が、好ましくは、(ポリ)アルキレングリコールのジグ
リシジルエーテルと不活性な溶媒の混合物にリン酸を滴
下、前記温度に昇温させる。
【0096】反応の終点は、例えば、滴定によってオキ
シラン酸素が実質上残存しないことで確認することがで
きる。本反応で得られた化合物はそのままフィルム塗装
に供することができる。また水洗及び減圧下での低沸成
分留去、またはそのまま低沸成分を留去することにより
単離することもできる。更に純度の高いものを得るため
に、溶媒を用いて再結晶化することも可能である。
【0097】本発明のプライマー層に用いる、(ポリ)
アルキレングリコールのジグリシジルエーテルとP−O
H結合を少なくとも1個有するリン系化合物とをリン酸
エステル化反応させて得た樹脂組成物は、活性エネルギ
ー線照射や加熱で硬化させなくても、べたつきがなく、
プライマー層として被転写体と硬化性樹脂層あるいは装
飾層と十分な密着性を示すものである。
【0098】次に本発明の水圧転写用フィルムの層構造
とその積層方法について述べる。プライマー層、装飾層
および硬化性樹脂層の塗工方法はいずれも、グラビアコ
ーター、グラビアリバースコーター、フレキソコータ
ー、ブランケットコーター、ロールコーター、ナイフコ
ーター、エアナイフコーター、キスタッチコーターまた
はコンマコーターを用い塗工することが出来る。また、
スプレー塗装によっても塗工可能である。しかし、装飾
層の柄模様を印刷する場合は、グラビア印刷、フレキソ
印刷、オフセット印刷またはシルク印刷することが好ま
しい。
【0099】これらの硬化性樹脂層や装飾層は、それぞ
れ1回の印刷や塗工だけでなく、2回以上の複数の印刷
や塗工によって形成されてよく、例えば、多色刷り印刷
機などで可能な範囲で多層印刷すればよい。グラビア印
刷においては、印刷インキの粘度が低いため、1回に積
層できる膜厚が限られ、多色刷り機による重ね印刷が必
要となる。特に硬化性樹脂層は、3μm以上の厚みが好
ましいため、複数の重ね印刷によって所望の膜厚に積層
する。一方、コンマコーターのように厚塗りが可能なコ
ーターにおいては、1回の塗工だけでも所望膜厚とする
ことができる。重ね刷りする装飾層においてもベタ層と
柄模様層を重ね刷りして積層することが一般的である。
【0100】硬化性樹脂層の乾燥膜厚は、保護層として
十分な表面特性を示し、かつ硬化性樹脂の乾燥性や水圧
転写時の活性化が良好であるためには、3〜100μm
であることが好ましく、さらに好ましくは、5〜70μ
mである。印刷インキ被膜または塗膜からなる装飾層の
乾燥膜厚は、良好な装飾性と水圧転写時の活性化が可能
であるためには、0.5〜15μmであることが好まし
く、さらに好ましくは、1〜7μmである。なお、本発
明で言う装飾層には、顔料や絵柄模様を含まないクリヤ
ーニス層をも含んでいる。プライマー層の乾燥膜厚は、
装飾層と被転写体との十分な密着性を保持し、かつ水圧
転写時の活性化が良好であるためには、1〜200μm
であることが好ましく、更に好ましくは、3〜80μm
である。
【0101】次に本発明で用いる水圧転写用フィルムの
製造方法の概略を示す。 (1)親水性樹脂から成る支持体フィルム上に、塗工ま
たは印刷により硬化性樹脂層を形成する。 (2)硬化性樹脂層を下記(a)と(b)の少なくとも
1つで予備硬化させる。 (a)完全硬化に必要な活性エネルギー線照射量の0.
001%〜1%照射量の活性エネルギー線を照射する。 (b)完全硬化に必要な加熱硬化条件よりも穏和な条
件、例えば、硬化温度で完全硬化時間の40%以下の加
熱時間で加熱する。 (3)予備硬化させた硬化性樹脂層の上に塗工または印
刷により装飾層を形成する。 (4)装飾層上に塗工または印刷によりプライマー層を
形成する。
【0102】かくして得られた本発明の水圧転写用フィ
ルムは、ロールとして巻き取って、遮光紙で覆い、倉庫
等の暗所に保管すれば硬化反応が不用意に進行すること
はなく、かつ有機溶媒により硬化性樹脂層または硬化性
樹脂層と装飾層とが活性化されて水圧転写可能なもので
あり、積極的に紫外線や太陽光に曝さない限り十分な貯
蔵安定性と流通性とを有するものである。
【0103】次に、本発明の水圧転写用フィルムを用い
る装飾成形品の製造方法について説明する。本発明の水
圧転写用フィルムは、従来の水圧転写用フィルムの水圧
転写方法と同様な方法での使用が可能であり、本発明の
水圧転写用フィルムを用いた硬化樹脂層を有する成形品
の製造方法は、概略以下に示す通りである。
【0104】(1)本発明の水圧転写用フィルムを親水
性樹脂から成る支持体フィルムを下にし、プライマー層
を上にして水槽中の水に浮かべ、前記支持体フィルムを
水で溶解もしくは膨潤させる。 (2)水圧転写用フィルムのプライマー層に有機溶媒を
塗布または噴霧することにより、プライマー層と装飾層
と硬化性樹脂層とから成る転写層を活性化させる。な
お、転写層の有機溶媒による活性化は水圧転写用フィル
ムを水に浮かべる前に行っても良い。 (3)前記水圧転写用フィルムのプライマー層面に被転
写体を押しつけながら、前記被転写体と前記水圧転写用
フィルムを水中に沈めて行き、水圧によって転写層を前
記被転写体に密着させて転写する。
【0105】(4)水から出した被転写体の硬化性樹脂
層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一つによ
り硬化させ、硬化樹脂層を有する成形品を得る。
【0106】本発明の装飾成形品の製造方法は、従来の
水圧転写法に比べ、プライマー層、装飾層及び硬化性樹
脂層を同時に被転写体に形成できる利点を有する。また
製造現場に塗装ブースを設ける必要がない設備上の利点
も有する。
【0107】水圧転写に使用する水槽中の水は、プライ
マー層、装飾層および硬化性樹脂層を転写する際に、プ
ライマー層、装飾層および硬化性樹脂層を被転写体に密
着させる為の水圧媒体として働く他、被転写体に密着可
能なまで親水性樹脂から成る支持体フィルムを膨潤また
は溶解させるものであり、具体的には、水道水、蒸留
水、イオン交換水などの水で良く、また用いる支持体フ
ィルムによっては、水にホウ酸等の無機塩類やアルコー
ル類を10%以内の範囲で溶解させたものでもよい。
【0108】転写層の活性化に用いる有機溶剤は、水圧
転写工程が終了するまで蒸発しないことが重要である。
本発明の硬化性樹脂層を有する水圧転写用フィルムの活
性化に用いる有機溶剤は、従来の水圧転写法に用いるも
のと同様なものを用いることができ、具体的には、トル
エン、キシレン、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトー
ルアセテート、カルビトール、カルビトールアセテー
ト、セロソルブアセテート、メチルイソブチルケトン、
酢酸エチル、酢酸イソブチル、イソブチルアルコール、
イソプロピルアルコール、n−ブタノールおよびそれら
の混合物が挙げられる。
【0109】この有機溶剤中に印刷インキまたは塗料と
被転写体との密着性を高めるために、若干の樹脂成分を
含ませてもよい。例えば、ポリウレタン、アクリル樹
脂、エポキシ樹脂といった、インキのバインダーに類似
の構造のものを1〜10%含ませることによって密着性
が高まることがある。
【0110】被転写体に転写層を転写後、支持体フィル
ムを水で溶解するか、洗浄や物理・化学的手段により剥
離する。洗浄、溶解方法は、従来の水圧転写方法と同様
に、水流、好ましくはウォータージェットで支持体フィ
ルムを溶解、剥離させる。
【0111】水圧転写後の被転写体の乾燥工程では、熱
硬化性樹脂からなる硬化性樹脂層ならば、乾燥とともに
硬化性樹脂層の硬化を行うことができる。硬化時間は、
組成、硬化剤の種類にもよるが、数分から1時間以内に
硬化が進むものが工程上好ましい。
【0112】一方、活性エネルギー線硬化性樹脂からな
る硬化性樹脂層の場合は、乾燥後に活性エネルギー線照
射を行い、硬化性樹脂層の硬化を行う。この際、遠赤外
線を同時に照射し乾燥しながら硬化を進めるような紫外
線または電子線照射機であれば、硬化工程を短縮でき
る。
【0113】被転写体の材質は、水中に沈めても形状が
崩れたりせず品質上問題を起こさないレベルの防水性が
あれば良く、金属、各種のプラスチック、木材、パルプ
モールドまたはガラスなどであって良い。
【0114】本発明の水圧転写用フィルムおよびそれを
用いた装飾形成品の製造方法が適用できる分野として
は、テレビ、ビデオデッキ、ラジオカセット、コンピュ
ーター、各種のディスプレー、プリンター、ファックス
機、電話機、各種のOAドライブ、スキャナー、ラジオ
・テレビチューナー、ステレオコンポ、ポータブルCD
やMDプレーヤー、BSアンテナ、携帯電話、冷蔵庫、
各種の温調ファンヒーター、加湿器、空気清浄器、家具
調こたつ、電気スタンド、
【0115】各種の家庭用照明器具、カメラ類、洗濯
機、衣類乾燥機、コーヒーメーカー、食器洗い機、電子
レンジ、オーブントースター、電気ポット、炊飯ジャ
ー、掃除機、ジューサーミキサー、時計、ひげ剃り機、
ドライヤー、体重計、血圧計、マッサージ器などの家庭
電化製品のハウジング部分などが挙げられる。
【0116】また家具の部材やバスタブ、システムキッ
チン、扉、窓枠、廻り縁、幅木などの建築部材にも適用
できる。汎用性の高いものとしては、筆箱、ボールペ
ン、シャープペンシル、電卓、電子手帳、ファイル、C
Dケース、フロッピー(登録商標)ディスク、テーブル
タップ、鉛筆削り、定規などの雑貨・文房具や電動ドリ
ル、ドライバーの柄などの工具にも利用可能である。
【0117】さらに、自動車内装パネル、自動車外板、
アルミホイール、樹脂ホイールキャップ、スキーキャリ
ヤ、自動車用キャリアバッグ等の自動車用部材、ゴルフ
クラブ、ゴルフボール、ヨットなどの船舶部品、スキー
板、スノーボード、ヘルメット、ゴーグル、墓石、モニ
ュメントなど、極めて広い分野の装飾成形品の製造方法
として有用である。
【0118】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明する。特に
断わりのない限り「部」、「%」は質量基準である。
【0119】(硬化性樹脂層の架橋密度の測定方法)1
00mm×200mm×3mm厚のポリプロピレン板上
に各実施例及び各比較例に記載されている組成の硬化性
樹脂組成物を、同様の乾燥膜厚となるようにバーコータ
ーにて塗工し、それぞれ同様の条件にて硬化させた。硬
化後、直ちに硬化樹脂をポリプロピレン板から剥離し、
剥離した硬化樹脂の動的粘弾性を粘弾性測定装置(Rheom
etrics社製 RDS−II)にて、ガラス転移温度を求め
た。次にこのガラス転移温度より50℃高い温度におけ
る貯蔵弾性率から、下式に従って架橋密度を求めた。
【0120】 架橋密度=貯蔵弾性率/3×R×T×107 ここで、Rは気体定数であり、Tは硬化した樹脂組成物
のガラス転移温度より50℃高い温度(絶対温度:単位
K)である。
【0121】<水圧転写後の成形品の試験方法> (転写性)水圧転写済サンプルの3次元立体成形物でのイ
ンキ転写性について、模様再現面積率により以下のよう
に目視評価した。 ○:模様再現面積率95%以上 (インキ転写性良好) △:模様再現面積率80%95%以下(インキ転写性や
や良好) ×:模様再現面積率80%未満(インキ転写性不良)
【0122】(密着性)亜鉛メッキ鋼板(平板:100m
m×100mm×0.5mm)あるいはABS樹脂板
(平板:100mm×100mm×3mm)に対して、
前述の方法により、水圧転写を実施したサンプルについ
て、碁盤目テープ法(JIS K5400) に準じてイ
ンキ密着性を評価(10点満点)した。
【0123】(耐引掻き傷性)JIS-K5401「塗
膜用鉛筆引き掻き試験機」を用いて塗膜強度を測定し
た。芯の長さは3mm塗膜綿との角度45度、荷重1k
g、引き掻き速度0.5mm/分、引き掻き長さ3m
m、使用鉛筆は三菱ユニとした。
【0124】(表面光沢)60度鏡面光沢度(JIS
K5400)を測定した。
【0125】(耐擦傷性)亜鉛メッキ鋼板(平板:10
0mm×100mm×0.5mm)あるいはABS樹脂
板(平板:100mm×100mm×3mm)に対し
て、前述の方法により、水圧転写を実施したサンプルに
ついて、ラビング試験機(荷重800g)により、乾拭
き100回後の表面光沢保持率を評価した。
【0126】(耐洗剤性)亜鉛メッキ鋼板(平板:10
0mm×100mm×0.5mm)あるいはABS樹脂
板(平板:100mm×100mm×3mm)に対し
て、前述の方法により、水圧転写を実施したサンプルに
ついて、マジックリン原液(花王株式会社、住居用洗
剤)を含ませた脱脂綿を用いてラビング試験(荷重80
0g、往復100回)を実施し、試験後の表面光沢保持
率を測定した。
【0127】(熱水処理後の密着性)水圧転写したサン
プルを熱水(水温98℃)中で30分間加熱処理し、次
いで塗膜にカッターで1×1mmの碁盤目を100個つ
くり、その部分に粘着テープを貼った後、この粘着テー
プを急速に剥離し、塗膜の剥離状態を目視により観察し
て、次に示す3段階にて評価した。
【0128】 ○:剥離が全く認められなかった。 △:全体の1〜30%が剥離した。 ×:全体の31〜100%が剥離した。
【0129】(熱水処理後の光沢保持率)水圧転写した
サンプルを熱水(水温98℃)中で30分間の熱処理
し、次いで光沢計で60度グロスを測定して熱水処理前
後での光沢保持率を算出した。
【0130】〔合成例1〕ウレタン(メタ)アクリレー
ト(UA−1)の合成 ビスフェノールA−EO付加物(数平均分子量150
0、日本油脂株式会社製DA−15)300部、イソホ
ロンジイソシアネート133部、2−ヒドロキシエチル
アクリレート93部を窒素雰囲気下60℃で12時間反
応させ、ウレタン(メタ)アクリレート(UA−1)を
得た。
【0131】〔合成例2〕ウレタン(メタ)アクリレー
ト(UA−2)の合成 ビスフェノールA−EO付加物(数平均分子量100
0、日本乳化剤株式会社製BA−17)400部、ヘキ
サメチレンジイソシアネート(住化バイエルウレタン株
式会社製、デスモジュールW)786部、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート464部を、窒素雰囲気下60℃
で12時間反応させ、ウレタン(メタ)アクリレート
(UA−2)を得た。
【0132】〔合成例3〕ウレタン(メタ)アクリレー
ト(UA−3)の合成 ポリエチレングリコール(数平均分子量1000、日本
油脂株式会社製PEG#1000)400部、イソホロ
ンジイソシアネート666部、2−ヒドロキシエチルア
クリレート464部を、窒素雰囲気下60℃で12時間
反応させ、ウレタン(メタ)アクリレート(UA−3)
を得た。
【0133】〔合成例4〕プライマー(P−1)の合成 ビスフェノールAオキシプロピレン2mol付加物ジグ
リシジルエーテル(共栄社化学 株式会社製 エポライ
ト3002)430部とメチルエチルケトン240gを
窒素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、攪拌溶解し
ながら65℃まで昇温した。液温を65℃に保ちつつ、
この中に85%リン酸25gと蒸留水15.4gおよび
メチルエチルケトン43gを混合溶解したものを1時間
かけて徐々に滴下した。滴下終了後、更に同温度で6時
間攪拌し、固形分30%の樹脂組成物(P−1)を得
た。得られた樹脂組成物は酸価24、数平均分子量約4
000であった。
【0134】〔合成例5〕プライマー(P−2)の合成 ポリプロピレングリコール(数平均分子量 400)ジグ
リシジルエーテル(共栄社化学株式会社製 エポライト
400P)400部とメチルエチルケトン230gを窒
素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、攪拌溶解しな
がら65℃まで昇温した。液温を65℃に保ちつつ、こ
の中に85%リン酸25gと蒸留水15.4gおよびメ
チルエチルケトン43gを混合溶解したものを1.5時
間かけて徐々に滴下した。滴下終了後、更に同温度で8
時間攪拌し、固形分30%の樹脂組成物(P−2)を得
た。得られた樹脂組成物は酸価22、数平均分子量約5
00であった。
【0135】(実施例1)厚さ35μmのポリビニルア
ルコール樹脂フィルムの表面に下記組成の硬化性樹脂組
成物Aをコンマコーターにより塗工し、40g(固形
分)/mの硬化性樹脂層を塗工した後、紫外線を照射
して予備硬化させた。予備硬化させた硬化性樹脂層の上
に下記の処方の印刷インキAをグラビア印刷にて4g
(固形分)/m の厚みで柄模様及びベタを3版で印刷
した。更に、プライマーP−1を乾燥塗膜の質量が0.
7g/m2 となるように、コンマコーターを用いて塗工
し、75℃のオーブン中で1分間乾燥した後、室温まで
冷却し、水圧転写用フィルムを作成した。
【0136】<硬化性樹脂組成物Aの組成> 硬化性樹脂組成物(東亞合成株式会社製、M−710
0、3官能ポリエステルアクリレート):80部、イル
ガキュア184:1部、および酢酸エチル/メチルエチ
ルケトン混合溶剤(混合比1/1):19部。
【0137】<印刷インキAの組成(茶、白)> ポリウレタン(大日本インキ社製、バーノックEZL6
76):20質量部、顔料(茶、白):10質量部、酢
酸エチル・トルエン(1/1):60質量部、およびワ
ックス等添加剤:10質量部。
【0138】得られた水圧転写用フィルムを30℃の水
浴にプライマー塗工面が上になるようにして1分間放置
後、活性剤(キシレン/メチルイソブチルケトン/3−
メチル3−メトキシブチルアセテート/酢酸ブチル=5
0/25/15/10)35g/mをフィルム上に散
布した。更に10秒放置後、垂直方向から亜鉛メッキ製
成形物(石油ファンヒーターハウジング)を押し当て、
転写層を該亜鉛メッキ鋼板製成形物に転写した。転写
後、成形物を水洗し、90℃で1分乾燥した。次にUV
照射装置に2回サンプルを通すことにより、硬化性樹脂
層を完全硬化させ、光沢のある硬化皮膜を有する成形品
を得た。
【0139】(実施例2)厚さ35μmのポリビニルア
ルコール樹脂フィルムの表面に、下記組成の硬化性樹脂
組成物Bをコンマコーターにより塗工し、40g(固形
分)/mの硬化性樹脂層を塗工した後、紫外線を照射
し予備硬化させた。予備硬化させた硬化性樹脂層の上に
下記の処方の印刷インキBをグラビア印刷にて4g(固
形分)/m の厚みで柄模様及びベタを3版で印刷し
た。更に、プライマー混合物(P−1:P−2=9:
1)を乾燥塗膜の質量が0.7g/m2 となるように、
コンマコーターを用いて塗工し、75℃のオーブン中で
1分間乾燥した後、室温まで冷却し、水圧転写用フィル
ムを作成した。
【0140】<硬化性樹脂組成物Bの組成> 硬化性樹脂組成物1(東亞合成株式会社製、M−710
0):77.5部、硬化性樹脂組成物2(東亞合成株式
会社製、M−8530、3官能ポリエステルアクリレー
ト):2.5部、イルガキュア184:1部、および酢
酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤(混合比1/
1):19部。
【0141】<印刷インキBの組成(銀、黒)> ポリウレタン(荒川化学社製、ポリウレタン256
9):20部、顔料(銀、黒、赤):10部、酢酸エチ
ル・トルエン(1/1):60部、およびワックス等添
加剤:10部。
【0142】実施例1と同様に処理し、亜鉛メッキ製成
形物(自動車模型)に硬化性樹脂層を転写し、UV照射
して硬化させ、光沢のある硬化皮膜を有する成形品を得
た。
【0143】(実施例3)厚さ35μmのポリビニルア
ルコール樹脂フィルムを用い、その表面に下記組成の硬
化性樹脂組成物Cをコンマコーターにより40g(固形
分)/mの硬化性樹脂層(完全硬化に要する紫外線照
射量:200mJ/cm2)を塗工した後、紫外線を2
1μJ/cm照射(完全硬化に要する紫外線照射量の
0.011%に相当)して、予備硬化させた。予備硬化
させた硬化性樹脂層の上に下記の処方の印刷インキCを
グラビア印刷にて4g(固形分)/mの厚みで柄模様
及びベタを3版で印刷した。更に、プライマーP−1を
乾燥塗膜の質量が0.7g/m2 となるように、コンマ
コーターを用いて塗工し、75℃のオーブン中で1分間
乾燥した後、室温まで冷却し、水圧転写用フィルムを作
成した。
【0144】<硬化性樹脂組成物Cの組成> 硬化性樹脂組成物1(UA−1):77部、硬化性樹脂
組成物2(メタクリル酸アリル):3部、イルガキュア
184:1部、酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶
剤(混合比1/1):19部
【0145】<印刷インキCの組成(赤、白、黄)> ポリウレタン(荒川化学社製ポリウレタン2569):
20部、顔料(赤、白、黄):10部、酢酸エチル・ト
ルエン(1/1):60部、およびワックス等添加剤:
10部。
【0146】活性剤をキシレン15g/mに変えた以
外は、実施例1と同様に処理して、亜鉛メッキ製成形物
(自動車模型)に硬化性樹脂層を転写し、UV照射して
硬化させ、光沢のある硬化皮膜を有する成形品を得た。
【0147】(実施例4)厚さ35μmのポリビニルア
ルコール樹脂フィルムの表面に下記組成の硬化性樹脂組
成物Dをコンマコーターにより塗工し、40g(固形
分)/mの硬化性樹脂層を塗工した後、紫外線を照射
し予備硬化させた。予備硬化させた硬化性樹脂層の上に
下記の処方の印刷インキDをグラビア印刷にて4g(固
形分)/mの厚みで柄模様及びベタを3版で印刷し、
水圧転写用フィルムを作成した。更に、プライマーP−
1を乾燥塗膜の質量が0.7g/m2 となるように、コ
ンマコーターを用いて塗工し、75℃のオーブン中で1
分間乾燥した後、室温まで冷却し、水圧転写用フィルム
を作成した。
【0148】<硬化性樹脂組成物Dの組成> 硬化性樹脂組成物1(日本化薬株式会社製、カラヤッド
R−712、EO変性ビスフェノールFジアクリレー
ト):50部、硬化性樹脂組成物2(東亞合成株式会社
製、M−8530):30部、イルガキュア184:1
部、および酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤
(混合比1/1):19部。
【0149】<印刷インキDの組成(赤、青)> ポリウレタン(荒川化学社製ポリウレタン2569):
20部、顔料(赤、青):10部、酢酸エチル・トルエ
ン(1/1):60部、およびワックス等添加剤:10
部。
【0150】得られた水圧転写用フィルムを30℃の水
浴に、プライマー塗工面が上になるようにして1分間放
置後、活性剤(実施例1と同じ)35g/mをフィル
ム上に散布した。更に10秒放置後、垂直方向から亜鉛
メッキ鋼板製成形物(石油ファンヒーターハウジング)
を押し当て、転写層を該亜鉛メッキ鋼板製成形物に転写
した。転写後、成形物を水洗し、110℃で15分乾燥
した。次にUV照射装置に2回サンプルを通すことによ
り、硬化性樹脂層を完全硬化させ、光沢のある柄付き硬
化皮膜を有する成形品を得た。
【0151】(実施例5)厚さ35μmのポリビニルア
ルコール樹脂フィルムの表面に下記の硬化性樹脂組成物
Eをコンマコーターにより塗工し、35g(固形分)/
の硬化性樹脂層を形成した後、加熱炉(80℃)を通
して予備硬化させた。次に下記の処方の印刷インキEを
グラビア印刷にて4g(固形分)/mの厚みで柄模様
及びベタを3版で印刷した。更に、プライマーP−1を
乾燥塗膜の質量が0.7g/m2 となるように、コンマ
コーターを用いて塗工し、75℃のオーブン中で1分間
乾燥した後、室温まで冷却し、水圧転写用フィルムを作
成した。
【0152】<硬化性樹脂組成物Eの調整方法と組成> トルイレンジイソシアネートをトリメチロールプロパン
に対して1分子あたり3個反応させたポリイソシアネー
トに、ヒドロキシエチルメタクリレートを1分子あたり
3個エステル化させた3官能ウレタンアクリレート:7
0部、イルガキュア184:1部、および酢酸エチル/
メチルエチルケトン混合溶剤(混合比1/1):29
部。
【0153】<印刷インキEの組成(銀、黒)> ポリウレタン(荒川化学社製、ポリウレタン256
9):20部、顔料(銀、黒):10部、酢酸エチル・
トルエン(1/1):60部、およびワックス等添加
剤:10部。
【0154】得られた水圧転写用フィルムを実施例4と
同様に処理して、光沢のある柄付き硬化皮膜を有する成
形品を得た。
【0155】(実施例6)厚さ35μmのポリビニルア
ルコール樹脂フィルムの表面に、下記組成の硬化性樹脂
組成物Fをコンマコーターにより塗工し、40g(固形
分)/mの硬化性樹脂層を形成した後、紫外線を照射
し予備硬化させた。予備硬化させた硬化性樹脂層の上に
下記の処方の印刷インキFをグラビア印刷にて4g(固
形分)/m の厚みで柄模様及びベタを3版で印刷し
た。更に、プライマーP−1を乾燥塗膜の質量が0.7
g/m2 となるように、コンマコーターを用いて塗工
し、75℃のオーブン中で1分間乾燥した後、室温まで
冷却し、水圧転写用フィルムを作成した。
【0156】<硬化性樹脂組成物Fの組成> 硬化性樹脂組成物1(日本化薬株式会社製、カラヤッド
R−712):50部、硬化性樹脂組成物2(東亞合成
株式会社製、M−8530):22.5部、硬化性樹脂
組成物3(東亞合成株式会社製、M−7100):4.
5部、硬化性樹脂組成物4(三菱レイヨン株式会社製、
アクリル酸アリル):3部、イルガキュア184:1
部、および酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤
(混合比1/1):19部。
【0157】<印刷インキFの組成(赤、青)> ポリウレタン(荒川化学社製、ポリウレタン256
9):20部、顔料(赤、青、緑):10部、酢酸エチ
ル・トルエン(1/1):60部、およびワックス等添
加剤:10部。
【0158】得られた水圧転写用フィルムを実施例4と
同様に処理して、光沢のある柄付き硬化皮膜を有する成
形品を得た。
【0159】(実施例7)厚さ35μmのポリビニルア
ルコール樹脂フィルムの表面に下記の硬化性樹脂組成物
Gをコンマコーターにより塗工し、29g(固形分)/
の硬化性樹脂層を形成した後、加熱炉(80℃)を通
して予備硬化させた。次に下記の処方の印刷インキGを
グラビア印刷にて4g(固形分)/mの厚みで柄模様
及びベタを3版で印刷した。更に、プライマーP−1を
乾燥塗膜の質量が0.7g/m2 となるように、コンマ
コーターを用いて塗工し、75℃のオーブン中で1分間
乾燥した後、室温まで冷却し、水圧転写用フィルムを作
成した。
【0160】<硬化性樹脂組成物Gの調整方法と組成>
トルエン/酢酸エチル(1/1)混合溶媒100部にヒ
ドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、スチレ
ンをモル比で20/30/15/15/20の比で共重
合したアクリルオリゴマー(質量平均分子量3,00
0)85部を加え、更にアクリルオリゴマーの水酸基価
とほぼ当量のイソシアネート価のキシリレンジイソシア
ネートフェノール付加物とキシリレンジイソシアネート
の3量体のフェノール付加物との混合物15部を加え
た。
【0161】<印刷インキG組成、黒、茶、白> ポリウレタン(大日本インキ社製、バーノックEZL6
76):20質量部、顔料(黒、茶、白):10質量
部、酢酸エチル・トルエン(1/1):60質量部、お
よびワックス等添加剤:10質量部。
【0162】得られた水圧転写用フィルムを30℃の水
浴にプライマー塗工面が上になるようにして、1分間放
置後、活性剤(実施例1と同じ)35g/mをフィル
ム上に散布した。更に10秒放置後、垂直方向からプラ
イマー処理済みの亜鉛メッキ鋼板製成形物(石油ファン
ヒーターハウジング)を押し当て、転写層を該亜鉛メッ
キ鋼板製成形物に転写した。転写後、成形物を水洗し、
90℃で5分乾燥した。次に加熱処理(150℃、30
分)を行い、硬化性樹脂層を完全硬化させ、光沢のある
柄付き硬化皮膜を得た。
【0163】(実施例8)厚さ35μmのポリビニルア
ルコール樹脂フィルムの表面に下記組成の硬化性樹脂組
成物Hをコンマコーターにより40g(固形分)/m
の硬化性樹脂層(完全硬化に要する紫外線照射量:18
0mJ/cm2)を塗工し、紫外線を1.6mJ/cm
照射(完全硬化に要する紫外線照射量の0.89%に
相当)して予備硬化させた。予備硬化させた硬化性樹脂
層の上に下記処方の印刷インキHをグラビア印刷にて4
g(固形分)/mの厚みの柄模様およびベタを3版で
印刷した。更に、プライマーP−1を乾燥塗膜の質量が
0.7g/m2 となるように、コンマコーターを用いて
塗工し、75℃のオーブン中で1分間乾燥した後、室温
まで冷却し、水圧転写用フィルムを作成した。
【0164】<硬化性樹脂組成物Hの組成> 硬化性樹脂組成物1(UA−1):62部、硬化性樹脂
組成物2(UA−3):15部、硬化性樹脂組成物3
(メタクリル酸アリル):3部、イルガキュア184:
1部、酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤(混合
比1/1):19部
【0165】<印刷インキHの組成(赤、青)> ポリウレタン(荒川化学社製ポリウレタン2569):
20部、顔料(赤、青):10部、酢酸エチル・トルエ
ン(1/1):60部、ワックス等添加剤:10部
【0166】活性剤をキシレン15g/mとした以外
は実施例4と同様にして、光沢のある柄付き硬化皮膜を
有する成形品を得た。
【0167】(実施例9)厚さ35μmのポリビニルア
ルコール樹脂フィルムの表面に下記組成の硬化性樹脂組
成物Iを使用し、コンマコーターにより35g(固形
分)/mの硬化性樹脂層(完全硬化に要する紫外線照
射量:210J/cm2)を塗工した後、紫外線を15
0μJ/cm照射(完全硬化に要する紫外線照射量の
0.071%に相当)して、予備硬化させた。次に下記
処方の印刷インキIをグラビア印刷にて4g(固形分)
/mの厚みの柄模様およびベタを3版で印刷した。更
に、プライマーP−1を乾燥塗膜の質量が0.7g/m
2となるように、コンマコーターを用いて塗工し、75
℃のオーブン中で1分間乾燥した後、室温まで冷却し、
水圧転写用フィルムを作成した。
【0168】<硬化性樹脂組成物Iの調整方法と組成> 硬化性樹脂組成物1(UA−1):7部、硬化性樹脂組
成物2(UA−2):70部、硬化性樹脂組成物3(メ
タクリル酸アリル):3部、イルガキュア184:1
部、酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤(混合比
1/1):19部
【0169】<印刷インキIの組成(銀、黒)> ポリウレタン(荒川化学社製ポリウレタン2569):
20部、顔料(銀、黒):10部、酢酸エチル・トルエ
ン(1/1):60部、ワックス等添加剤:10部
【0170】活性剤をキシレン15g/mとした以外
は実施例4と同様にして、光沢のある柄付き硬化皮膜を
有する成形品を得た。
【0171】(実施例10)厚さ35μmのポリビニル
アルコール樹脂フィルムの表面に下記組成の硬化性樹脂
組成物Jを使用し、コンマコーターにより29g(固形
分)/mの硬化性樹脂層(完全硬化に要する紫外線照
射量:240mJ/cm2)を塗工した後、紫外線を7
20μJ/cm照射(完全硬化に要する紫外線照射量
の0.3%に相当)して、予備硬化させた。次に下記処
方の印刷インキをグラビア印刷にて4g(固形分)/m
の厚みの柄模様およびベタを3版で印刷した。更に、
プライマーP−1を乾燥塗膜の質量が0.7g/m2
なるように、コンマコーターを用いて塗工し、75℃の
オーブン中で1分間乾燥した後、室温まで冷却し、水圧
転写用フィルムを作成した。
【0172】<硬化性樹脂組成物Jの調整方法と組成> 硬化性樹脂組成物1(UA−2):60部、硬化性樹脂
組成物2(UA−3):17部、硬化性樹脂組成物3
(メタクリル酸アリル):3部、イルガキュア184:
1.5部、酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤
(混合比1/1):18.5部
【0173】<印刷インキJ組成、黒、茶、白> ポリウレタン(大日本インキ社製バーノックEZL67
6):20質量部、顔料(黒、茶、白):10質量部、
酢酸エチル・トルエン(1/1):60質量部、ワック
ス等添加剤:10質量部
【0174】活性剤をキシレン15g/mとした以外
は実施例4と同様にして、光沢のある柄付き硬化皮膜を
有する成形品を得た。
【0175】(比較例1)厚さ35μmのポリビニルア
ルコール樹脂フィルムの表面に比較例1と同じ硬化性樹
脂組成物Kを使用し、コンマコーターにより29g(固
形分)/mの硬化性樹脂層を形成した後、紫外線を照
射して予備硬化させた。次に上記の処方の印刷インキK
をグラビア印刷にて4g(固形分)/mの厚みで柄模
様及びベタを3版で印刷した。更に、プライマーP−1
を乾燥塗膜の質量が0.7g/m2となるように、コン
マコーターを用いて塗工し、75℃のオーブン中で1分
間乾燥した後、室温まで冷却し、水圧転写用フィルムを
作成した。
【0176】<硬化性樹脂組成物Kの組成> 硬化性樹脂組成物(東亞合成株式会社製、M−710
0):40部、イルガキュア184:1部、および酢酸
エチル/メチルエチルケトン混合溶剤(混合比1/
1):59部。
【0177】<印刷インキK組成、黒、茶、白> ポリウレタン(大日本インキ社製バーノックEZL67
6):20質量部、顔料(黒、茶、白):10質量部、
酢酸エチル・トルエン(1/1):60質量部、および
ワックス等添加剤:10質量部。
【0178】得られた水圧転写用フィルムを30℃の水
浴にプライマー塗工面が上になるようにして、1分間放
置後、活性剤(実施例1と同じ)35g/mをフィル
ム上に散布した。更に10秒放置後、垂直方向からプラ
イマー処理済みの亜鉛メッキ鋼板製成形物(石油ファン
ヒーターハウジング)を押し当て、転写層を該亜鉛メッ
キ鋼板製成形物に転写することを試みたが、転写層が十
分に活性化しなかったため、被転写物の3次元形状への
追従が不足し、結果として転写できなかった。
【0179】(比較例2)厚さ35μmのポリビニルア
ルコール樹脂フィルムの表面に下記の硬化性樹脂組成物
K(比較例1と同じ)を使用し、コンマコーターにより
29g(固形分)/mの硬化性樹脂層を形成した後、
紫外線を照射して予備硬化させた。次に上記の処方の印
刷インキK(比較例1と同じ)をグラビア印刷にて4g
(固形分)/mの厚みで柄模様及びベタを3版で印刷
することを試みたが、硬化性樹脂層と印刷インキ層とが
混合してしまい、所望の装飾層を得ることができなかっ
た。
【0180】<硬化性樹脂組成物Kの組成> 硬化性樹脂組成物(東亞合成化学株式会社製、M−71
00):40部、イルガキュア184:1部、および酢
酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤(混合比1/
1):59部。
【0181】<印刷インキK組成、黒、茶、白> ポリウレタン(大日本インキ社製バーノックEZL67
6):20質量部、顔料(黒、茶、白):10質量部、
酢酸エチル・トルエン(1/1):60質量部、および
ワックス等添加剤:10質量部。
【0182】(比較例3)厚さ35μmのポリビニルア
ルコール樹脂フィルムの表面に実施例3と同じ組成の硬
化性樹脂組成物Cをコンマコーターにより40g(固形
分)/mの硬化性樹脂層(完全硬化に要する紫外線照
射量:200mJ/cm2)を塗工し、2.6mJ/c
の紫外線を照射(完全硬化に要する紫外線照射量の
1.3%に相当)して予備的に硬化させた。次に上記の
処方の印刷インキJ(実施例10と同一組成)をグラビ
ア印刷にて4g(固形分)/mの厚みの柄模様および
ベタを3版で印刷した。更に、プライマーP−1を乾燥
塗膜の質量が0.7g/m2となるように、コンマコー
ターを用いて塗工し、75℃のオーブン中で1分間乾燥
した後、室温まで冷却し、水圧転写用フィルムを作成し
た。
【0183】<硬化性樹脂組成物Cの組成> 硬化性樹脂組成物1(UA−1):77部、硬化性樹脂
組成物2(メタクリル酸アリル):3部、イルガキュア
184:1部、酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶
剤(混合比1/1):19部
【0184】<印刷インキJ組成、黒、茶、白> ポリウレタン(大日本インキ社製バーノックEZL67
6):20質量部、顔料(黒、茶、白):10質量部、
酢酸エチル・トルエン(1/1):60質量部、ワック
ス等添加剤:10質量部
【0185】得られた水圧転写用フィルムを30℃の水
浴に、プライマー塗工面が上になるようにして1分間浮
かべ、活性剤(キシレン)15g/mを転写層上に散
布した。更に10秒放置後、垂直方向から亜鉛メッキ鋼
板製成形物(石油ファンヒーターハウジング)を押し当
て、転写層(T)を該亜鉛メッキ鋼板製成形物に転写す
ることを試みたが、転写層が十分に活性化できず転写で
きなかった。
【0186】
【表1】
【0187】
【表2】
【0188】
【表3】
【0189】実施例1〜10及び比較例1〜3の結果を
表1〜3に示す。実施例1〜10はいずれも光沢があ
り、密着性に優れ、かつ耐擦傷性、耐薬品性などの保護
層として十分な表面特性を有する成形品が得られたが、
比較例1〜3は、満足な装飾成形品が得られなかった。
【0190】実施例8で示した芳香族(ポリ)アルキレ
ングリコール系ウレタン(メタ)アクリレート(UA−
1)を固形分換算で80%、脂肪族(ポリ)アルキレン
グリコール系ウレタン(メタ)アクリレート(UA−
3)を20%の割合で配合した場合は、実施例3で示し
た転写性、密着性、耐引掻き傷性がやや低下した。また
実施例10で示した芳香族(ポリ)アルキレングリコー
ルアルキレングリコール系ウレタン(メタ)アクリレー
ト(UA−2)を固形分換算で80%、脂肪族(ポリ)
アルキレングリコール系ウレタン(メタ)アクリレート
(UA−3)を20%の割合で配合した場合は、実施例
9で示した転写性、密着性、耐引掻き傷性がやや低下し
た。
【0191】
【発明の効果】本発明は、被転写体への十分な水圧転写
性を有しながら、耐擦傷性や耐薬品性などの優れた表面
特性を有する硬化性樹脂層、印刷インキ皮膜または塗料
皮膜から成る装飾層、被転写体と装飾層とに良好な密着
性を有するプライマー層を被転写体に同時に水圧転写で
き、かつフィルム表面にべたつきがなく、ロール巻き取
りによる保存と流通が可能な水圧転写用フィルムと、該
水圧転写用フィルムを用いる、優れた表面特性の硬化樹
脂層と意匠性に富む装飾層とを有する装飾成形品の製造
方法を提供できる。
【0192】本発明の水圧転写用フィルム並びにそれを
用いる装飾成形品の製造方法は、硬化性樹脂層、装飾層
およびプライマー層を被転写体に一度の水圧転写によっ
て、付与することができ、工程や設備を簡略化すること
ができる。また、本発明の水圧転写用フィルム並びにそ
れを用いる装飾成形品の製造方法は、被転写体の表面が
装飾層との密着性が低い場合であっても、転写するプラ
イマー層により両者を強固に密着させることができ、装
飾層や硬化樹脂層が剥がれにくい、丈夫な装飾成形品を
得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B005 EA01 EB01 EB05 EC02 EC04 EC11 FA04 FA12 FB02 FB13 FC08Y FC08Z FC09Y FC09Z FD04Y FD04Z FD10Y FD10Z FG07Z GA22 GA28 GB01 GC02 GC08

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性樹脂から成る支持体フィルムと前
    記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な転写
    層とから成り、前記転写層が前記支持体フィルム上に設
    けた活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一つで硬
    化可能で透明な硬化性樹脂層と該硬化性樹脂層上に設け
    た印刷インキ皮膜または塗料皮膜から成る装飾層と該装
    飾層上に設けた有機溶剤に溶解可能でべたつきのないプ
    ライマー層から成り、かつ前記硬化性樹脂層が活性エネ
    ルギー線照射と加熱の少なくとも一つにより予備硬化さ
    せたものであることを特徴とする水圧転写用フィルム。
  2. 【請求項2】 活性エネルギー線照射と加熱の少なくと
    も一つにより予備硬化させた硬化性樹脂層の架橋密度が
    1×10−6〜5×10−3mol/cmで、かつ支持
    体フィルムと予備硬化された硬化性樹脂層とから成るフ
    ィルムの71%伸長時の引張り応力が15N以上40N
    以下である請求項1に記載の水圧転写用フィルム。
  3. 【請求項3】 予備硬化させた硬化性樹脂層がその完全
    硬化に必要な活性エネルギー線照射量の0.001%〜
    1%量の活性エネルギー線を照射して予備硬化させたも
    のである請求項2に記載の水圧転写用フィルム。
  4. 【請求項4】 予備硬化させた硬化性樹脂層がポリオー
    ル、ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリ
    レートとの反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレ
    ートから成り、かつ前記ポリオールが(ポリ)アルキレ
    ングリコールである請求項3に記載の水圧転写用フィル
    ム。
  5. 【請求項5】 プライマー層が(ポリ)アルキレングリ
    コールのジグリシジルエーテルとP−OH結合を少なく
    とも1個有するリン系化合物とをリン酸エステル化反応
    させて得た樹脂組成物からなる請求項1に記載の水圧転
    写用フィルム。
  6. 【請求項6】 (ポリ)アルキレングリコールのジグリ
    シジルエーテルが、芳香族(ポリ)アルキレングリコー
    ルのジグリシジルエーテルを固形分換算で80%以上含
    有する請求項5に記載の水圧転写用フィルム。
  7. 【請求項7】 親水性樹脂から成る支持体フィルムと前
    記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な転写
    層とから成り、前記転写層が活性エネルギー線照射と加
    熱の少なくとも一つで硬化可能で透明な硬化性樹脂層と
    該硬化性樹脂層上に設けた印刷インキ皮膜または塗料皮
    膜から成る装飾層と該装飾層上に設けた有機溶剤に溶解
    可能でべたつきのないプライマー層とから成り、かつ前
    記硬化性樹脂層の硬化性樹脂を活性エネルギー線照射と
    加熱の少なくとも一つにより予備硬化させた水圧転写用
    フィルムから、有機溶媒により活性化した前記転写層を
    被転写体に水圧転写し、次いで転写した前記転写層の硬
    化性樹脂層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも
    一つにより硬化させることを特徴とする装飾成形品の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 活性エネルギー線照射と加熱の少なくと
    も一つにより予備硬化させた硬化性樹脂層の架橋密度が
    1×10−6〜5×10−3mol/cmで、かつ支持
    体フィルムと予備硬化させた硬化性樹脂層とから成るフ
    ィルムの71%伸長時の引張り応力が15N以上40N
    以下である請求項7に記載の装飾成形品の製造方法。
  9. 【請求項9】 予備硬化させた硬化性樹脂層がその完全
    硬化に必要な活性エネルギー線照射量の0.001%〜
    1%量の活性エネルギー線を照射して予備硬化させたも
    のである請求項8に記載の装飾成形品の製造方法。
  10. 【請求項10】 予備硬化させた硬化性樹脂層がポリオ
    ール、ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アク
    リレートとの反応生成物であるウレタン(メタ)アクリ
    レートから成り、かつ前記ポリオールが(ポリ)アルキ
    レングリコールである請求項9に記載の装飾成形品の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 プライマー層が、(ポリ)アルキレン
    グリコールのジグリシジルエーテルとP−OH結合を少
    なくとも1個有するリン系化合物とをリン酸エステル化
    反応させて得た樹脂組成物からなる請求項7に記載の装
    飾成形品の製造方法。
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