JP2003246195A - 水圧転写方法 - Google Patents

水圧転写方法

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JP2003246195A
JP2003246195A JP2002304250A JP2002304250A JP2003246195A JP 2003246195 A JP2003246195 A JP 2003246195A JP 2002304250 A JP2002304250 A JP 2002304250A JP 2002304250 A JP2002304250 A JP 2002304250A JP 2003246195 A JP2003246195 A JP 2003246195A
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彰廣 澤口
Mitsutaka Nanpo
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Hiroaki Tanabe
裕章 田部
Shinji Kato
真司 加藤
Shuzo Mizuno
修三 水野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、長期保存
が可能で、意匠性に優れ、しかも、任意形状の金属基体
上に強固に接着された転写層を有する金属基体を提供す
ること。 【解決手段】 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る
支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けられた有
機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層とからなり、前記転
写層が印刷インキ被膜又は塗料被膜からなる装飾層から
構成される水圧転写用フィルムを用いて、金属基体から
なる被転写体上に前記転写層を水圧転写する方法におい
て、前記金属基体が、キシレン吸収量が3.5〜100
g/mの範囲にある硬化塗膜層を有する金属基体であ
ることを特徴とする水圧転写方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車部品ならび
に家電部品の如き表面特性と装飾性が求められる用途に
有用な水圧転写方法に関し、更に詳しくは、プレコート
金属板の如き硬化塗膜層を有する金属基体に転写層を水
圧転写する水圧転写方法に関する。
【0002】
【従来の技術】冷蔵庫や洗濯機などの家電製品に用いら
れる成形品には、成形加工した金属にスプレー塗装等に
より塗装したものや、プレコートメタル(PCM)と呼
ばれる塗装済み金属板を成形加工したものが用いられて
いる。しかしながら、近年の需要の多様化により、金属
成形品に対する意匠要求も形だけでなく、色や柄も重視
されて来ており、従来の方法で金属成形品に柄模様を装
飾するのは困難であった。
【0003】成形品に柄模様を装飾する方法として、金
属成形品に印刷したフィルムを貼り付ける方法も行われ
ている。短期間で絵柄を貼り替える製品の場合には、フ
ィルムは簡便で有利な方法であるが、家電製品のように
使用期間の長い製品の製造に前記の方法を採用した場
合、耐久性の点で満足できるものが得られないという問
題があり、また、金属成形物の三次元形状によっては、
フィルムを成形物に密着させることが難しく、さらに、
金属成形物のねじ穴などのトリミングが後から必要であ
るなどの問題があった。
【0004】同様に、プレコート金属板にも、高い意匠
性を有する装飾を付与することは困難であり、例えば、
均一な斑点状の模様を付与する程度が限界であり、グラ
ビア印刷の絵柄などの高度な装飾を付与することはでき
なかった(特許文献1参照)。
【0005】一方、水圧転写法は、柄模様が付された装
飾層を有する水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支
持体フィルムを水に浮かべ、支持体フィルムを溶解また
は膨潤しながら、装飾層を溶剤で活性化し、被転写体を
支持体フィルム上部から押し当てて水中に沈めること
で、柄模様が付された装飾層を被転写体に転写する方法
であり、被転写体である成形物の範囲が広く、意匠の自
由度も高い優れた装飾方法である。しかしながら、工程
が煩雑であることから、その応用は一部の特に意匠性を
要求される高級商品の製造に限られていた。
【0006】また、水圧転写法では、被転写体と装飾層
とが密着することが必須であるが、例えば、亜鉛めっき
鋼板などの金属材料に転写した印刷インキや塗膜などの
装飾層は、金属基体との密着性が低いため、水圧転写時
に印刷模様が崩れたり、水洗時や乾燥後の成形加工時に
装飾層が剥がれる問題があった。
【0007】上記した水圧転写法の問題を解決する方法
として、乾燥はしているが完全硬化には至っていない半
硬化及至未硬化状態の硬化性樹脂層を有する被転写体に
水圧転写により印刷模様層を転写し、次いで、印刷模様
層を被覆するように硬化性樹脂層を形成し、更に、印刷
模様層の上下両側に存在する硬化性樹脂層を完全硬化さ
せる絵付け成形品の製造方法が提案されている(特許文
献2参照)。
【0008】しかしながら、上記の方法は、被転写体で
ある金属基体に硬化性樹脂を塗布して、直ちに水圧転写
を行う場合には採用できる方法であるが、半硬化及至未
硬化状態の硬化性樹脂を塗布した金属基体を塗装表面を
清浄、平滑に保って保存することは困難であり、また、
保存中に硬化性樹脂の硬化が進み、水圧転写される転写
層を受着できなくなる、という問題があった。
【0009】また、電離放射線の照射又は熱で硬化する
性質を有する樹脂からなる装飾層を具備する水溶性もし
くは水膨潤性フィルムからなる水圧転写用シートを、該
水圧転写用シートにおける水溶性もしくは水膨潤性フィ
ルムが下方を向くようにして水面に浮かべた後、成形体
をその上面から押し入れることにより、水圧によって前
記水圧転写用シートを前記成形体の外側表面に延展、密
着させ、前記水圧転写用シートにおける装飾層を前述の
成形体の外側表面に転移させ、次いで、前記水圧転写用
シートにおける水溶性もしくは水膨潤性フィルムを除去
し、更に、前記移転された装飾層中の組成物の種類に応
じて、前記装飾層に電離放射線を照射するかあるいは前
記装飾層を加熱することにより、前記装飾層を硬化させ
る方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0010】しかしながら、上記の方法では、依然とし
て、装飾層と金属基体との密着性が低いため、水洗時、
乾燥後の成型加工時に装飾層が剥がれる問題があった。
【0011】
【特許文献1】特開2001−079456号公報
【特許文献2】特開昭61−261100号公報
【特許文献3】特開平1−22378号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、長期保存が可能で、意匠性に優れ、しか
も、任意形状の金属基体上に強固に接着された転写層を
有する金属基体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究し
た結果、硬化塗膜を有するプレコート金属基体であっ
て、該硬化塗膜が水圧転写された転写層に含まれる有機
溶剤を十分に吸収することができれば、該転写層を該硬
化塗膜上にしっかり固定化接着できることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は上記課題を解決するた
めに、(1)水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支
持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けられた有機
溶剤に溶解可能な疎水性の転写層とからなり、前記転写
層が印刷インキ被膜又は塗料被膜からなる装飾層から構
成される水圧転写用フィルムを用いて、金属基体からな
る被転写体に前記転写層を水圧転写する方法において、
前記金属基体が、キシレン吸収量が3.5〜100g/
の範囲にある硬化塗膜層を有する金属基体であるこ
とを特徴とする水圧転写方法を提供する。
【0015】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(2)水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持
体フィルムと前記支持体フィルム上に設けられた有機溶
剤に溶解可能な疎水性の転写層とからなり、前記転写層
が活性エネルギー線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂からな
る保護層を有する水圧転写用フィルムを用いて、金属基
体からなる被転写体に前記転写層を水圧転写する方法に
おいて、前記金属基体が、キシレン吸収量が10〜10
0g/mの範囲にある硬化塗膜層を有する金属基体で
あることを特徴とする水圧転写方法を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明で使用する被転写体は、キ
シレン吸収量が3.5〜100g/mの硬化塗膜層を
有する金属基体である。前記硬化塗膜層のキシレン吸収
量の好ましい範囲は、前記硬化層上に水圧転写される転
写層の構成によって異なるが、転写層が後述する装飾層
のみからなる場合には、前記硬化塗膜層のキシレン吸収
量は、3.5〜100g/mであり、好ましくは5〜
80g/m、更に好ましくは10〜60g/mであ
る。硬化塗膜のキシレン吸収量が3.5g/m未満で
ある硬化塗膜層を有する金属基体を用いた場合、水圧転
写した転写層の被転写体への接着性が十分でない。一
方、硬化塗膜層のキシレン吸収量が100g/mを超
える硬化塗膜層を有する金属基体を用いた場合、乾燥工
程において、水圧転写した転写層の表面にクレーター状
の小さな穴が多数発生し、商品価値が著しく低下する傾
向にあるので、好ましくない。また、転写層が後述する
活性エネルギー線あるいは熱硬化性樹脂からなる保護層
を有する場合には、前記硬化塗膜層のキシレン吸収量
は、転写層が装飾層のみからなる転写層の場合より多い
方が好ましく、10〜100g/mであり、より好ま
しくは20〜80g/m、更に好ましくは30〜60
g/mである。
【0017】なお、本発明で言う硬化塗膜層のキシレン
吸収量とは、硬化塗膜層を有する金属基体をキシレンに
浸漬し、金属基体の硬化塗膜層に吸収されるキシレン吸
収量が一定となった時点での金属基体単位面積当たりの
吸収キシレン量を言う。より詳しくは、硬化塗膜層を有
する金属基体(10mm×25mm、又は50mm×5
0mm)をキシレンに浸漬し、24時間ごとに取り出し
て、表面のキシレンをタオルで拭き取って秤量し、この
操作を繰り返し行って、金属基体の秤量値が一定となっ
た時点(通常、浸漬開始から96時間経過後)での、塗
膜単位面積当たりの吸収キシレン量、すなわち、浸漬前
と浸漬後の質量変化値を試料金属基体の単位面積で除し
た溶剤吸収量を言う。
【0018】前記硬化塗膜層の層厚は、3〜100μm
の範囲にあることが好ましく、5〜80μmの範囲にあ
ることが特に好ましい。硬化塗膜層の層厚が3μm以上
とすることによって、金属基体と転写層との間の密着性
が十分となる。また、硬化塗膜層の層厚が100μm以
下とすることによって、硬化塗膜層を形成した金属基体
を任意形状に加工する際に硬化塗膜層がひび割れを生じ
ることもない。
【0019】硬化塗膜層を有する金属基体は、その硬化
塗膜上に水圧転写により転写層を転写し、更に通常、そ
の転写層の上に保護層を設けるので、その硬化塗膜層の
硬度、耐擦傷性、耐溶剤性等の塗膜物性は、通常のプレ
コート金属板の塗膜層を構成する樹脂組成物より低くて
良い。そのため、金属基体上に設けられる硬化塗膜層
は、低い架橋度の三次元架橋した硬化塗膜層や、実質的
に三次元架橋されていない線状樹脂から成る硬化塗膜層
であってもよく、転写層との密着性が良好となる材料か
ら構成されることが好ましい。
【0020】金属基体上に設けられる硬化塗膜層は、ポ
リエステル樹脂と、イソシアネート系硬化剤及びアミン
系硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化
剤とを含む樹脂組成物の硬化物からなるものが好まし
い。これらの中でも、両末端に水酸基とカルボキシル基
との少なくとも1種を有するポリエステル樹脂とジイソ
シアネートとを反応させて得られる硬化樹脂からなるも
のが好ましい。
【0021】前記ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成
分とジオール成分とを常法に従って脱水縮合する方法、
ヒドロキシカルボン酸を常法に従って脱水縮合する方
法、ヒドロキシカルボン酸の環状エステルを常法に従っ
て開環重合する方法、などによって、容易に製造するこ
とができる。前記ポリエステルの原料として、前記した
ジカルボン酸成分及びジオール成分に加えて、必要に応
じて、少量の3官能以上の多価カルボン酸および/また
はポリオールを使用することもできる。
【0022】前記ジカルボン酸成分としては、例えば、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸、ダイマー酸、テトラヒドロフタル
酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチル−ヘキサヒドロフタ
ル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−
シクロヘキサンジカルボン酸、およびそれらの無水物、
などが挙げられる。
【0023】前記ジオール成分としては、例えば、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジエチレング
リコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、2,2,4−トリメチルペンタン
1,3−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエ
チレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロ
ピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのエチ
レンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物、水添ビ
スフェノールF、水添ビスフェノールFのエチレンオキ
サイド付加物、水添ビスフェノールFのエチレンオキサ
イド/プロピレンオキサイド付加物などの脂肪族アルキ
ルオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキ
サイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイ
ド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド/プ
ロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールFのエチレ
ンオキサイド付加物、ビスフェノールFのエチレンオキ
サイド/プロピレンオキサイド付加物などの芳香族アル
キルオキサイド付加物などや、ポリエチレングリコール
(PEG)、ポリテトラメチレンエ−テルグリコ−ル
(PTMEG)、ポリカーボネートジオール(PC
D)、などが挙げられる。
【0024】前記ヒドロキシカルボン酸としては、例え
ば、2−ヒドロシキエトキシ安息香酸、などが挙げられ
る。
【0025】前記ヒドロキシカルボン酸の環状エステル
としては、例えば、ε−カプロラクトン、などが挙げら
れる。
【0026】前記3官能以上の多価カルボン酸として
は、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳
香族多価カルボン酸、ブタンテトラカルボン酸などの脂
肪族多価カルボン酸、などが挙げられる。
【0027】前記3官能以上のポリオールとしては、例
えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオ
ール、などが挙げられる。これら3官能以上のカルボン
酸および/またはポリオールを併用する場合の使用量
は、ポリエステル樹脂を構成する全モノマーの10モル
%以下の量で、かつ、ゲル化しない量が好ましい。
【0028】前記ポリエステル樹脂の数平均分子量は、
2000〜100000の範囲が好ましく、5000〜
15000の範囲が特に好ましい。数平均分子量が20
00以上のポリエステルを用いることによって、転写層
を有する金属基体に充分な加工性が得られる。また、数
平均分子量が100000以下のポリエステルを用いる
ことによって、金属基体上に硬化塗膜層を形成する際に
用いる塗料の取扱いが容易となる。なお、数平均分子量
はゲルパーミェーションクロマトグラフィ(以下、単に
GPCと略記する)によって測定し、標準ポリメタクリ
ル樹脂(PMMA)の検量線を用いて求めるものであ
る。
【0029】前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度
(Tg)は特に限定されるものではないが、転写層を有
する金属基体を成形加工する際の塗膜硬度や塗膜表面の
性能の面から30℃以上が好ましく、45℃以上が特に
好ましい。
【0030】前記硬化塗膜層に用いることができるポリ
エステル樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ
化学工業株式会社製の「ベッコライトM−6207−4
0」、同「ベッコライト57−206−40」、東洋紡
績株式会社製の「バイロン600」、同「バイロン29
0」、などが挙げられる。
【0031】ポリエステル樹脂と硬化剤とを反応させる
場合、ポリエステル樹脂95〜70質量%に対して、硬
化剤5〜30質量%の範囲内で使用することが望まし
い。硬化剤が5質量%未満の場合には、硬化度が低いた
めに、塗膜性能、特に耐蝕性が低下する。硬化剤が30
質量%を越える場合には、塗膜性能、特に絞り加工性が
低下すると共に、水圧転写の際に転写層の接着性が悪く
なる。
【0032】イソシアネート系硬化剤としては、例え
ば、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシア
ネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート
のごとき芳香族ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネートのごとき脂肪族ジイソシアネート類、イソホロン
ジイソシアネートのごとき脂環族ジイソシアネート類;
これらのジイソシアネートのイソシアヌレート等の多量
体;これらのジイソシアネートの多価アルコールとの付
加物などのブロック化物、などが挙げられる。
【0033】前記ブロック化剤としては、例えば、フェ
ノール系、ラクタム系、アルコール系、活性メチレン
系、メルカプタン系、イミン系、アミン系、イミダゾー
ル系、オキシム系あるいは亜硫酸系ブロック剤、などが
挙げられる。
【0034】両末端に水酸基とカルボキシル基との少な
くとも1種を有するポリエステル樹脂にジイソシアネー
トを反応させてウレタン変性ポリエステル樹脂を得る場
合、ポリエステル樹脂の水酸基とカルボキシル基との少
なくとも1種とジイソシアネートとの反応割合は、カル
ボキシル基と水酸基との少なくとも一つの官能基1モル
に対して、イソシアネート基が0.5〜5モルとなる割
合が好ましく、1.0〜3.0モルとなる割合が特に好
ましい。
【0035】ブロック化イソシアネートを用いて硬化反
応を行なう場合には、解離触媒と併用することが好まし
い。解離触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレ
ートの如き有機スズ化合物を含む慣用のものが挙げられ
る。
【0036】また、ポリエステル樹脂の水酸基またはカ
ルボキシル基とイソシアネート系硬化剤との反応におい
て、反応を促進させるために有機金属触媒を用いること
ができる。
【0037】前記有機金属触媒としては、例えば、ジブ
チルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、
ジオクチルチンジアセテート、ジブチルチンオキサイド
の如き有機錫化合物;有機アルミニウム化合物、有機ニ
ッケル化合物、などが挙げられる。これらの中でも、有
機錫触媒が好適である。
【0038】有機錫系触媒の市販品としては、武田薬品
工業株式会社製の「タケネートTK−1」が挙げられ
る。また、有機アルミニウム系触媒及び有機ニッケル系
触媒の市販品としては、例えば、それぞれ、キングイン
ダストリー(KING INDUSTRY)社製の「K−KAT34
8」、同「XC−4205」、などが挙げられる。
【0039】有機金属触媒を用いる場合の触媒の使用量
は、ポリエステル樹脂及びイソシアネート系硬化剤の合
計量に対して0.01〜3.0質量%の範囲が好まし
く、0.05〜0.3質量%の範囲が特に好ましい。
【0040】アミン系硬化剤は、炭素原子数1〜4のア
ルコールによりアルキルエーテル化されたホルムアルデ
ヒドあるいはパラホルムアルデヒドなどと、尿素、N,
N´−エチレン尿素、ジシアンジアミド、アミノトリア
ジン等との縮合物が挙げられ、具体的には、例えば、メ
トキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロール−N,
N´−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジ
アミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メ
チロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラ
ミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン、などが
挙げられる。
【0041】また、ポリエステル樹脂とアミン系硬化剤
との反応において、必要に応じて、反応を促進させるた
めに触媒を用いることができる。そのような触媒として
は、例えば、塩酸、リン酸モノアルキルエステル、p−
トルエンスルホン酸の如き酸;これらの酸と3級アミン
または2級アミン化合物との塩、などが挙げられる。こ
れらの触媒の使用量は、アミン系触媒に対し0〜10質
量%の範囲が好ましい。
【0042】硬化塗膜層を構成する樹脂として、ポリエ
ステル樹脂と硬化剤からなる樹脂を用いる場合、さら
に、エポキシ樹脂やアクリル樹脂を含んでいてもよい。
【0043】エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、
脂環式型エポキシ樹脂、アルコール型エポキシ樹脂、ポ
リフェノール型エポキシ樹脂、ポリグリシジルアミン型
エポキシ樹脂、などが挙げられる。また、これらのエポ
キシ樹脂を必要に応じてポリエステル樹脂などの他の樹
脂で変性したものを用いても良い。
【0044】エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、
大日本インキ化学工業株式会社製の「エピクロン705
0−40S」、同「エピクロンP−439」、ジャパン
エポキシレジン株式会社製の「エピコート1007」、
同「エピコート1009」、などが挙げられる。
【0045】アクリル樹脂は、アクリル酸、メタクリル
酸、アクリル酸又はメタクリル酸の炭素原子数2〜18
のアルキルエステル、末端に水酸基、カルポシキル基、
グリシジル基、イソシアネート基などの反応性官能基を
有する単量体からなる群から選ばれる1種又は2種以上
の単量体を常法に従って重合あるいは共重合させて得ら
れるものである。
【0046】アクリル樹脂の市販品としては、例えば、
三菱レイヨン株式会社製の「LR−635」、大日本イ
ンキ化学工業株式会社製の「アクリディックA−40
5」、などが挙げられる。
【0047】前記硬化塗膜層を形成するために用いられ
る塗料は、顔料を含まないクリア塗料でも良いが、必要
に応じて顔料を配合しても良い。
【0048】顔料としては、酸化チタン、クロム酸スト
ロンチウム、ジンククロメート、炭酸カルシウム、硫酸
バリウム、酸化鉄、二酸化ケイ素、などが挙げられる。
【0049】また、前記硬化塗膜層を形成するために用
いられる塗料には、キシレン、シクロヘキサノン、トル
エン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ソルベッソ1
00、などの溶剤を混合することもできる。
【0050】金属基体を構成する金属は、プレコート金
属板用に通常用いられている金属であればいかなるもの
でもよい。また、金属基体の形状は、板状、円筒状な
ど、水圧転写可能な形状であれば、如何なる形状でも良
いが、金属基板上に硬化塗膜層を形成した後、任意の形
状に加工した後、水圧転写法に供することが好ましい。
そのような金属板としては、例えば、冷延鋼板、溶融亜
鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜
鉛合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、錫めっき
鋼板、クロムめっき鋼板、鉛めっき鋼板、ニッケルめっ
き鋼板、アルミニウム板、チタン板、ステンレス板、な
どが挙げられる。
【0051】金属基体の硬化塗膜層は、これらの金属基
体に直接あるいは通常の塗装前処理を施した後、上述し
た樹脂を必要に応じて有機溶剤に溶解したものを塗装し
て形成される。塗装前処理としては、プレコート金属板
の慣用の前処理であれば良く、例えば、電解クロメート
処理、塗布型クロメート処理および反応型クロメート処
理等のクロメート化成処理や、りん酸亜鉛処理やりん酸
鉄処理のようなりん酸塩化成処理、またはニッケルとコ
バルトを含有する複合酸化被膜処理、などが挙げられ
る。
【0052】本発明で用いる硬化塗膜層を有する金属基
体は、硬化塗膜層上に更に転写層を積層するので、金属
基体と硬化塗膜層との間にプライマー層を設ける必要は
ないが、必要に応じて、金属基体と硬化塗膜層との接着
性を向上させる目的で金属基体にプライマー塗料を塗装
し、乾燥させた後、上述した硬化塗膜層を塗装してもよ
い。
【0053】そのようなプライマー塗料としては、エポ
キシ樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料など、プレコ
ートメタル用のプライマー塗料として通常用いられてい
るものであれば、特に制限なく使用することができる。
耐蝕性が要求される場合には、ストロンチウムクロメー
トやジンククロメートなどの防錆顔料を適宜配合したプ
ライマー塗料を使用することが望ましい。
【0054】塗装方法としては、プレコート金属の製造
時に通常用いられるロールコーターやカーテンフローコ
ーターなどにより、乾燥塗膜厚が3〜100μm、好ま
しくは、5〜80μmとなるように塗装した後、乾燥焼
付する。なお、乾燥塗膜厚が10μm以上となる場合に
は、ワキなどの塗膜欠陥発生を防ぐために、数回に分け
て塗布並びに乾燥焼付してもよい。例えば、乾燥塗膜厚
60μmとする場合には、乾燥塗膜厚換算で20μmず
つ3回に分けて塗布並びに乾燥焼付してもよい。
【0055】焼付条件は、雰囲気温度120〜400℃
で、15〜120秒の焼付時間で、最高板面到達温度
(以下、PMTと略記する)が120〜280℃となる
ように焼付けるのが好ましい。また、誘導加熱方式によ
って塗装原板を直接加熱する方法で焼付けてもよい。
【0056】乾燥塗膜厚が3μm未満であると隠蔽性が
低くなり、また転写層の接着性が悪く、転写の際に装飾
層が崩れたり、転写した装飾層が金属基体から剥がれ落
ちるという転写不良を起こし易い。また乾燥塗膜厚が1
00μm以上になると、塗装焼付時にワキなどの塗装欠
陥が発生しやすくなり、連続した均一な塗膜を得ること
が困難になる上、成形加工時に塗膜のひび割れなどの塗
膜欠陥が発生しやすくなる。
【0057】また、用いる硬化剤の種類にもよるが、一
般にPMTが120℃未満であると塗膜中に溶剤が残存
し易くなり、架橋反応が充分に進行しないため、強靱な
塗膜を得ることが困難となる。また、PMTが280℃
を越えると、いわゆるオーバーベークとなり色焼けなど
が生じやすくなり好ましくない。
【0058】ポリエステル樹脂を配合して塗料を調整す
る際には、所望の物性を損なわない範囲で、一般的に焼
付型塗料に用いられる顔料分散安定化剤、光沢調整剤、
粘度調整剤、ハジキ防止剤、ワックス等の後添加剤、な
どを適宜配合することができる。ただし、ポリエステル
樹脂を配合して塗料を調整する際に用いる添加剤のう
ち、ワックス等の滑剤成分は装飾層と硬化塗膜層を有す
る金属基体との密着性を低下させる傾向があるので、本
発明で用いる硬化塗膜層を有する金属基体の塗膜形成用
の樹脂にはワックス等の滑剤成分の使用量は必要最小限
に留めるべきである。
【0059】次に、水圧転写用フィルムの構成要素につ
いて順に詳述する。水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から
成る支持体フィルムは、水で膨潤または溶解可能な親水
性樹脂からなる支持体フィルムである。水溶性もしくは
水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルムとしては、例え
ば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ア
セチルセルロース、ポリアクリルアミド、アセチルブチ
ルセルロース、ゼラチン、にかわ、アルギン酸ナトリウ
ム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース等のフィルムが使用できる。
【0060】これらの中でも。一般に水圧転写用フィル
ムとして用いられているポリビニルアルコール(PV
A)フィルムが水に溶解し易く、また、入手し易く、さ
らに、装飾層の印刷や保護層の形成にも適しており、特
に好ましい。用いる支持体フィルムの厚みは10〜20
0μmの範囲が好ましい。
【0061】水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支
持体フィルムは、転写対象の被転写体を水圧転写用フィ
ルムの上に乗せて水中に沈めた際に、三次元構造の被転
写体の曲面に対して十分な追従性を示す柔軟性を有する
ことが必要である。支持体フィルムは水中で完全に溶解
せずに膨潤するものであっても良い。
【0062】次に、転写層について説明する。支持体フ
ィルム上に設けられた転写層は、次の3種類が挙げられ
る。 (1)有機溶剤に溶解可能な疎水性の印刷インキ皮膜ま
たは塗料皮膜から成る装飾層から構成されるもの、
(2)活性エネルギー線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂か
ら成る保護層から構成されるもの、または(3)活性エ
ネルギー線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂から成る保護層
と、該保護層上に設けられた有機溶剤に溶解可能な疎水
性の印刷インキ皮膜または塗料皮膜から成る装飾層とか
ら構成されるもの。
【0063】転写層の膜厚は、特に制限されるものでは
ないが、1〜300μmの範囲が好ましく、10〜15
0μmの範囲が特に好ましい。転写層の膜厚が1μm未
満である場合、十分な表面保護機能あるいは要求される
意匠性を満たす装飾を実現する塗膜の形成・付与が困難
であり、一方、転写層の膜厚が300μmを越えると、
水圧転写時における転写層の均一な活性化が困難とな
る。
【0064】ここで、「転写層の活性化」とは、転写層
に有機溶媒を塗布または散布することにより、装飾層や
硬化樹脂層から成る転写層を構成する樹脂を完全には溶
解せずに転写層を可溶化させ、水圧転写に際して親水性
の支持体フィルムから疎水性の転写層の剥離を容易にす
ると共に、転写層に柔軟性を付与することにより転写層
の被転写体の三次元曲面への追従性と密着性を向上させ
ることを意味する。
【0065】次に、装飾層について説明する。装飾層に
用いる印刷インキまたは塗料は、有機溶媒によって活性
化される必要があるが、絵柄が流れない程度に柔軟性を
維持できる性質が重要で、特にグラビア印刷インキが好
ましい。
【0066】これらの印刷インキまたは塗料に用いるワ
ニス用樹脂は、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ
アミド樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル
樹脂、ビニル樹脂(塩ビ、酢ビ共重合樹脂)、ビニリデ
ン樹脂(ビニリデンクロライド、ビニリデンフルオネー
ト)、エチレン−ビニルアセテート樹脂、ポリオレフィ
ン樹脂、塩素化オレフィン樹脂、エチレン−アクリル樹
脂、石油系樹脂、セルロース誘導体樹脂などの熱可塑性
樹脂が好ましく用いられる。これらの中でも、アルキッ
ド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース
誘導体樹脂およびエチレンビニルアセテート樹脂が特に
好ましい。
【0067】装飾層中の印刷インキまたは塗料の着色剤
は、顔料が好ましく、無機系顔料、有機系顔料のいずれ
も使用が可能である。さらに、金属切削粒子のペースト
や蒸着金属膜から得られる金属細片を顔料として含んだ
金属光沢インキの使用も可能である。これらの金属とし
ては、アルミニウム、金、銀、真鍮、チタン、クロム、
ニッケル、ニッケルクロームおよびステンレス等が好ま
しく用いられる。これらの金属細片は、分散性、酸化防
止やインキ層の強度向上のためにエポキシ樹脂、ポリウ
レタン、アクリル樹脂、ニトロセルロース等のセルロー
ス誘導体などで表面処理を行っていても良い。
【0068】なお、意匠性、展延性を阻害しない限り、
保護層および装飾層中に消泡剤、沈降防止剤、顔料分散
剤、流動性改質剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、
酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、内部硬化剤、
耐擦傷性の向上等を目的とする各種添加剤等を加えるこ
ともできる。
【0069】また、装飾層の膜厚は、特に制限されるも
のではないが、0.1〜10μmの範囲が好ましく、1
〜7μmの範囲が特に好ましい。装飾層の膜厚が0.1
μm未満では、十分な意匠性を付与することが困難であ
り、装飾層の膜厚が10μmを越えると、膜厚が大きす
ぎて水圧転写時の均一な活性化が困難となる。
【0070】装飾層を水圧転写して装飾された金属基体
の表面保護、光沢感や深み感等の高度な意匠性を与える
ためには、金属基体に形成された装飾層の上に、さらに
硬化性樹脂から成る保護層を設けることが望ましい。
【0071】金属基体上に形成された装飾層の上に保護
層を設ける方法としては、活性エネルギー線照射と加熱
の少なくとも一種で硬化可能で、かつ硬化物が透明な硬
化性樹脂組成物をスプレー塗装し、活性エネルギー線照
射と加熱の少なくとも一種で硬化させる方法などの公知
慣用の方法が挙げられる。また、装飾層の上に、未硬化
の保護層のみを再度水圧転写する方法を採用することも
できる。
【0072】また、印刷インキ皮膜または塗料皮膜から
成る装飾層と該装飾層の下に設けられた活性エネルギー
線硬化性樹脂又は熱硬化性の樹脂からなる保護層とから
成る転写層を有する水圧転写用フィルムを用いることに
より、装飾層と硬化性樹脂から成る保護層とを一度の水
圧転写で金属基体の硬化塗膜上に転写することができ
る。
【0073】保護層は、透明な活性エネルギー線硬化性
樹脂および熱硬化性樹脂の少なくとも一種からなり、さ
らに硬化前でもべたつきがないものが好ましい。
【0074】保護層の透明性は、装飾被転写体の要求特
性にもよるが、基本的に装飾層の色や柄が透けて見えれ
ば良く、完全に透明であることを要せず、透明から半透
明なものまであっても良い。また、保護層は、装飾層と
同様に水圧転写の際に、親水性の支持体フィルムから容
易に離れて、被転写体である三次元成形体に転移されね
ばならない。従って、保護層を形成する樹脂は全体とし
て疎水性であることが必要である。
【0075】保護層に非硬化性で非粘着性の熱可塑性樹
脂を含ませることは、保護層の乾燥性の向上に極めて効
果的である。しかし、非硬化性の熱可塑性樹脂が多い
と、硬化性樹脂の硬化反応を阻害しかねないので、保護
層の樹脂量100質量部に対して非粘着性の熱可塑性樹
脂は70質量部を超えない範囲で添加することが好まし
い。
【0076】保護層のもう一つの必要特性は、水圧転写
される前に散布される有機溶剤で活性化され、十分に可
溶化もしくは柔軟化されることである。この可溶化は有
機溶剤が保護層と装飾層とに浸透し、保護層と装飾層と
を一体の転写層として水圧転写用フィルムから被転写体
へ転写する際に、保護層と装飾層とから成る転写層が被
転写体の三次元曲面へ十分に追従できる程度に柔軟化さ
れれば良く、可溶化によって装飾層と保護層の樹脂成分
が互いに混和するほど過剰に可溶化、溶解されると、装
飾層の絵柄の乱れや光沢の低下が起こり、好ましくな
い。
【0077】保護層を形成する硬化性樹脂は、活性エネ
ルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性
樹脂と加熱により硬化する熱硬化性樹脂に大別される。
本発明でいう活性エネルギー線は、紫外線や電子線が挙
げられる。活性エネルギー線硬化性樹脂は、1分子中に
活性エネルギー線によって直接、または活性エネルギー
線によって発生した開始種との反応によって硬化可能な
硬化性基を2個以上有するものであり、ラジカル硬化性
樹脂やカチオン硬化性樹脂が好ましい。
【0078】これらはラジカル源やカチオン源によって
重合を開始する硬化性基を主鎖や側鎖、または末端基に
有する樹脂である。このような硬化性基は、アクリロイ
ル基、アリル基、スチリル基、ビニルエステル基、ビニ
ルエーテル基、アレニル基、アセチレン基などのビニル
硬化性基や、マレイミド基、エポキシ基、環状カーボネ
ート基、オキセタン基、オキサゾリン基などの開環硬化
性基が利用可能であるが、これらに限るものではない。
【0079】保護層に用いる活性エネルギー線硬化性樹
脂は、特にアクリル系樹脂が好ましく、なかでも1分子
中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリ
レートが好ましい。なお、本発明で言う(メタ)アクリ
ロイル基を有するアクリレートとは、メタクリロイル基
とアクリロイル基のいずれかの基を有する樹脂を意味す
る。
【0080】(メタ)アクリロイル基を有する樹脂は、
塗料用樹脂として一般に使用されているアクリル樹脂で
あれば、特に支障なく使用することができる。そのよう
な(メタ)アクリロイル基を有する樹脂としては、例え
ば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メ
タ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレー
ト、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メ
タ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート、ポ
リブタジエン(メタ)アクリレート、アミノ樹脂(メ
タ)アクリレート、マレイミド(メタ)アクリレート、
などが挙げられる。
【0081】これらの(メタ)アクリロイル基を有する
樹脂は、単独で用いることも、2種類以上を併用して用
いることもできる。さらに、後述する熱硬化性ポリマー
またはオリゴマーと混合可能な範囲で混合して用いるこ
ともできる。
【0082】これらの(メタ)アクリロイル基を有する
樹脂の中でも、ウレタン(メタ)アクリレートが好まし
い。ウレタン(メタ)アクリレートは、トリオールやテ
トラオールなどのポリオールとジイソシアネートの反応
で得られるポリイソシアネートと、水酸基を有するアク
リレートとの付加反応によって得ることができる。
【0083】水酸基を有する(メタ)アクリレートとし
ては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アク
リル酸3−ヒドロキシプロピル、などのアクリル酸また
はメタクリル酸の炭素原子数2〜8のヒドロキシアルキ
ルエステルを挙げることができる。
【0084】これらの活性エネルギー硬化性樹脂を含む
保護層には、必要に応じて、公知慣用の光重合開始剤、
光増感剤を併用することができる。
【0085】光重合開始剤としては、例えば、ジエトキ
シアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フ
ェニルケトンの如きアセトフェノン系化合物;ベンゾイ
ン、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン
系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニ
ルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド
系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メ
チル−4−フェニルベンゾフェノンの如きベンゾフェノ
ン系化合物;2,4−ジメチルチオキサントンの如きチ
オキサントン系化合物;4,4′−ジエチルアミノベン
ゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系化合物、など
が挙げられる。
【0086】光増感剤としては、例えば、トリエタノー
ルアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルの如きア
ミン類、などが挙げられる。
【0087】光重合開始剤は、一般に、紫外線を用いる
場合に必要であり、電子線には不要である。この光重合
開始剤の使用量は、用いる活性エネルギー線硬化性樹脂
に対して、0.5〜15質量%の範囲が好ましく、1〜
8質量%の範囲が特に好ましい。
【0088】次に、保護層に用いる熱硬化性樹脂につい
て説明する。熱硬化性樹脂も活性エネルギー線硬化性樹
脂の場合と同様に、印刷性または塗工性が必要であるこ
とから、樹脂の分子量は高いほうが好ましく、具体的に
は重量平均分子量が1000〜100,000の範囲が
好ましく、3,000〜30,000の範囲が特に好ま
しい。この領域で、かつ分子凝集性の高い樹脂であれば
印刷または塗工時の十分な乾燥性が得られる。
【0089】熱硬化性樹脂としては、熱により反応し得
る官能基を1分子中に2つ以上有する化合物であるか、
または主剤となる熱硬化性化合物に架橋剤となる熱硬化
性化合物を配合したものである。熱により反応し得る官
能基としては、例えば、N−メチロール基、N−アルコ
キシメチル基、アミノ基、水酸基、イソシアネート基、
カルボキシル基、エポキシ基、メチロール基等が挙げら
れ、その他、酸無水物や炭素−炭素二重結合も熱反応性
である。
【0090】分子内に炭素−炭素二重結合を有し、か
つ、連鎖重合による架橋反応が可能なものは、エネルギ
ー線硬化性樹脂と同種の硬化性樹脂であり、これらの硬
化性樹脂と加熱によってラジカルソースを発生する開始
剤とを組み合わせることにより熱硬化性樹脂とすること
ができる。この際の開始剤としては、過酸化ベンゾイ
ル、アゾビスイソブチロニトリルなどの通常のラジカル
開始剤が用いられる。
【0091】熱硬化性樹脂と硬化剤の組み合わせは、例
えば、水酸基やアミノ基を有する樹脂と硬化剤ブロック
イソシアネート、水酸基やカルボキシル基を有する樹脂
と、N−メチロール化またはN−アルコキシメチル化メ
ラミン、ベンゾグアナミン等のアミン系硬化剤との組み
合わせ、エポキシ基や水酸基を有する樹脂と、硬化剤と
して無水フタル酸の如き酸無水物との組み合わせ、カル
ボキシル基や炭素−炭素二重結合、ニトリル基、エポキ
シ基を有する樹脂と、硬化剤としてフェノール樹脂との
組み合わせ、カルボキシル基やアミノ基を有する樹脂
と、硬化剤としてエポキシ基を有する化合物との組み合
わせ、などが挙げられる。
【0092】しかし、これらの熱硬化性樹脂は加熱しな
くとも保存中に徐々に硬化反応が進行するものが多く、
保存期間中に硬化反応が進むと、活性剤による転写層の
活性化が十分行われずに転写不良を起こす原因となる。
このため、常温硬化型の熱硬化性樹脂は好ましくなく、
熱硬化性樹脂の中でもポリオールと、硬化剤としてブロ
ックイソシアネートを用いた系が好ましい。
【0093】ポリオールとしては、例えば、アクリルポ
リオール、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ポリエーテ
ルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリビニルア
ルコール、ポリエチレンビニルアルコール共重合体、な
どが挙げられる。これらの中でも、アクリルポリオール
が特に好ましい。
【0094】ブロックイソシアネートとしては、イソシ
アネート基をアルコールなどのブロック基で保護したも
のを用いることができ、これらのブロック基には、フェ
ノール、クレゾール、芳香族第2アミン、第3級アルコ
ール、ラクタム、オキシムなどが挙げられる。これらの
ブロックイソシアネートは、加熱によってアルコールな
どのブロック基が遊離するため、これらブロック基の遊
離温度以上の加熱によって、始めて架橋反応が開始され
る。
【0095】保護層に用いる熱硬化性樹脂は、アクリル
ポリオールを主剤とし、ブロックイソシアネートを硬化
剤として用いたものが特に好ましい。アクリルポリオー
ルの重量平均分子量は、3,000〜100,000の
範囲が好ましく、10,000〜70,000の範囲が
特に好ましい。
【0096】保護層には、上述したような活性エネルギ
ー線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂の少なくとも一種以上を
含む樹脂を主成分とするものであるが、一般に硬化性樹
脂は硬化密度を向上させるために分子量が低く、硬化前
は粘着性が残るものが多い。さらに、硬化性樹脂が装飾
層にまで混濁またはブリードし、非印刷または非塗工面
とブロッキングを生じることがある。従って、乾燥性や
印刷性を改善する目的で、保護層の樹脂量100質量部
に対して70質量部を超えない範囲で非粘着性の熱可塑
性樹脂を添加することが好ましい。
【0097】本発明の保護層に用いる非重合性で非粘着
性の熱可塑性樹脂は、活性エネルギー線硬化性樹脂や熱
硬化性樹脂の少なくとも一種以上を含む樹脂と併せて使
用されるため、これらの硬化性樹脂と十分に混合できる
ことが必要であり、混合の際に白濁したり、二相分離す
るようなものは好ましくない。また、非粘着性の熱可塑
性樹脂はTgが高いものであることが、粘着性が少なく
なる傾向にあるため好ましい。
【0098】非粘着性の熱可塑性樹脂としては、例え
ば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリ
エステルなどが挙げられる。これらの樹脂は2種類以上
のモノマーを共重合したものであっても良い。これらの
中でも、Tgが高く、印刷時の乾燥性向上に適している
のがポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレンおよび塩
化ビニル酢酸ビニル共重合体である。これらの中でも、
透明性、耐溶剤性および耐擦傷性に優れるポリメチルメ
タクリレートを主成分としたポリ(メタ)アクリレート
が特に好ましく、その重量平均分子量は、30,000
〜300,000の範囲が好ましく、150,000〜
300,000の範囲が特に好ましい。
【0099】活性エネルギー線硬化性樹脂を含む保護層
としては、べたつきがないことが好ましく、ウレタン
(メタ)アクリレートと非粘着性の熱可塑性樹脂として
Tg35℃以上のポリ(メタ)アクリレートとの組み合
わせが好ましい。さらに、非粘着性の熱可塑性樹脂が、
メチルメタクリレートを90%以上含有するモノマー組
成物を共重合させたポリ(メタ)アクリレートであるも
のが好ましく、とりわけ1分子中に3つ以上の(メタ)
アクリル基を有するウレタンアクリレートと、重量平均
分子量が3万〜30万のポリ(メタ)アクリレートを含
むものが好ましい。
【0100】次に、本発明の水圧転写用フィルムの層構
造とその積層方法について説明する。転写層に保護層を
設ける場合の保護層の硬化後の膜厚は、特に制限される
ものではないが、3〜200μmの範囲が好ましく、5
〜150μmの範囲が特に好ましい。保護層の硬化後の
膜厚が3μm未満では、十分な表面保護機能を付与する
ことが困難であり、保護層の硬化後の膜厚が200μm
を越えると、膜厚が大きすぎて水圧転写時の均一な活性
化が困難となる。装飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μm
の範囲が好ましく、1〜7μmの範囲が特に好ましい。
【0101】これらの装飾層や保護層は、それぞれ1回
の印刷や塗工だけでなく、2回以上の複数の印刷や塗工
によって形成することもできる。例えば、多色刷り印刷
機などで可能な範囲で多層印刷すればよい。グラビア印
刷においては、印刷インキの粘度が低いため、1回に積
層できる膜厚が限られ、多色刷り機による重ね印刷が必
要となる。特に保護層は、3μm以上の厚みが好ましい
ため、複数の重ね印刷によって所望の膜厚に積層され
る。
【0102】一方、コンマコーターのように厚塗りが可
能なコーターにおいては、1回の塗工だけでも所望膜厚
とすることができる。重ね刷りする装飾層においてもベ
タ層と柄模様層を重ね刷りされて積層されることが一般
的である。
【0103】水圧転写用フィルムの装飾層および保護層
の塗工方法は、グラビアコーター、グラビアリバースコ
ーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ロ
ールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、
キスタッチコーターおよびコンマコーターを用いること
が出来る。また、スプレー塗装によっても塗工可能であ
る。しかし、柄模様を印刷する場合は、グラビア印刷、
フレキソ印刷、オフセット印刷、シルク印刷等が好まし
い。また、乾燥温度に留意する必要があるが、一般に乾
燥性の低いものが多いため、乾燥温度範囲が広く乾燥炉
長が長い印刷機またはコーターが適している。
【0104】なお、意匠性、展延性、接着性等の本発明
の効果を阻害しない限り、装飾層および保護層を構成す
る樹脂組成物中に消泡、沈降防止、顔料分散、流動性改
質、ブロッキング防止、帯電防止、酸化防止、光安定
性、紫外線吸収、内部架橋などを目的とする各種添加剤
を加えても構わない。
【0105】次に、上述した水圧転写用フィルムから、
硬化塗膜を有する金属基体からなる被転写体の硬化塗膜
層上に転写層を水圧転写する方法について説明する。本
発明の水圧転写方法自体は、従来の水圧転写方法と同様
であり、その概略は、以下に示す通りである。
【0106】(1)水圧転写用フィルムを水溶性もしく
は水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルムを下にして水
槽中の水に浮かべ、前記支持体フィルムを水で溶解もし
くは膨潤させる。
【0107】(2)水圧転写用フィルムの転写層上に有
機溶媒を塗布または噴霧することにより転写層を活性化
させる。なお、この有機溶媒による転写層の活性化は水
圧転写フィルムを水に浮かべる前に行っても良い。
【0108】(3)前記水圧転写用フィルムの転写層面
に被転写体を押しつけながら、被転写体と水圧転写用フ
ィルムを水中に沈めて行き、水圧によって転写層を被転
写体に密着させて転写する。
【0109】(4)水から出した被転写体を乾燥させ
る。
【0110】(5)転写層が保護層を含む場合は、転写
された転写層の保護層を活性エネルギー線照射と加熱の
少なくとも一種により硬化させる。
【0111】水圧転写用フィルムの転写層が保護層を含
む場合は、従来の水圧転写法に比べ、水圧転写後のスプ
レー塗装工程が省略される分、製造時間の短縮が図れ、
また製造現場に塗装ブースを設ける必要がない設備上の
利点を有する。
【0112】水圧転写に使用する水槽中の水は、装飾層
および保護層を転写する際に水圧転写フィルム、装飾層
並びに保護層を被転写体に密着させる為の水圧媒体とし
て働く他、被転写体に密着可能な柔軟性にまで十分に水
溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルムを
膨潤または溶解させるものであり、具体的には、水道
水、蒸留水、イオン交換水などの水で良く、また用いる
支持体フィルムによっては、水にホウ酸等の無機塩類や
アルコール類を10%以内の範囲で溶解させたものでも
よい。
【0113】転写層の活性化に用いる有機溶剤は、水圧
転写工程が終了するまで蒸発しないことが重要である。
本発明の保護層を有する水圧転写用フィルムに用いる有
機溶剤は、従来の水圧転写法に用いるものと同様なもの
を用いることができ、例えば、トルエン、キシレン、ブ
チルセロソルブ、ブチルカルビトールアセテート、カル
ビトール、カルビトールアセテート、セロソルブアセテ
ート、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソ
ブチル、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブタノールおよびそれらの混合物、などが挙げ
られる。
【0114】この有機溶剤中に印刷インキまたは塗料と
被転写体との密着性を高めるために、若干の樹脂成分を
含ませてもよい。例えば、ポリウレタン、アクリル樹
脂、エポキシ樹脂といった、インキのバインダーに類似
の構造のものを1〜10質量%含ませることによって密
着性が高まることがある。
【0115】被転写体に転写層を転写後、支持体フィル
ムを水で溶解するか、洗浄や物理・化学的手段により剥
離する。洗浄、溶解方法は、従来の水圧転写方法と同様
に、水流、好ましくはウォータージェットで支持体フィ
ルムを溶解、剥離させる。
【0116】水圧転写後の被転写体の乾燥工程では、転
写層が熱硬化性樹脂からなる保護層を含む場合は、乾燥
とともに保護層の硬化を行うことができる。硬化時間
は、組成、硬化剤の種類にもよるが、数分から1時間以
内に硬化が進むものが工程上好ましい。
【0117】一方、転写層が活性エネルギー線硬化性樹
脂からなる保護層を含む場合は、乾燥後に活性エネルギ
ー線照射を行い、保護層の硬化を行う。この際、遠赤外
線を同時に照射し乾燥させながら硬化を進めるような紫
外線または電子線照射機であれば、硬化工程を短縮する
ことができる。
【0118】本発明の転写層を有する金属基体の具体例
としては、テレビ、ビデオデッキ、ラジオカセット、パ
ーソナルコンピューター、プリンター、ファックス機、
光磁気ディスクドライブ、ハードディスクドライブ、C
D/DVDドライブ、スキャナー、テレビチューナー、
ポータブルCDプレーヤー、ポータブルMDプレーヤ
ー、ポータブルカセットプレーヤー、携帯電話、冷蔵
庫、エアコン、ガスファンヒーター、石油ファンヒータ
ー、セラミックヒーター、空気清浄器、家庭用照明器
具、デジタルカメラ、ビデオカメラ、洗濯機、衣類乾燥
機、食器洗い機、電子レンジ、オーブントースター、電
気ポット、炊飯ジャーなどの家庭電化製品の金属部分が
挙げられる。また、テーブル、本棚、ベンチなどのスチ
ール家具の部材やシステムキッチン、扉、窓枠、廻り
縁、などの建築部材にも適用できる。さらに、表面物性
の高いものに関しては自動車内装パネル、自動車外板、
アルミホイールなどにも使用可能である。
【0119】
【実施例】次に実施例により本発明をより詳細に説明す
る。なお、以下の例において、「%」および「部」は、
特に断りのない限り質量基準である。また、実施例にお
いては、硬化塗膜層を有する金属基体を「プレコート金
属板」と略称する。
【0120】(製造例1)[プレコート金属板(X1)
の製造] テレフタル酸25モル%、イソフタル酸25モル%、エ
チレングリコール25モル%、ネオペンチルグリコール
25モル%を反応容器に仕込んだ後、重縮合反応を行な
った。反応終了後、反応混合物をシクロヘキサノン/ソ
ルベッソ100混合溶剤(質量比50/50)に溶解し
て、不揮発分40%のポリエステル樹脂(P1)を得
た。このようにして得たポリエステル樹脂(P1)の数
平均分子量は、10,000であった。
【0121】ポリエステル樹脂(P1)25部、酸化チ
タン5部、ストロンチウムクロメート系防錆顔料15
部、炭酸カルシウム5部及びシクロヘキサノン7部を混
合し、サンドミルで混練し、混練終了後、ポリエステル
樹脂(P1)25部、メチルエーテル化メチロールメラ
ミン(スーパーベッカミンL−105、大日本インキ化
学工業株式会社製)8部及びキシレン10部を加えて、
塗料(Z1)を得た。
【0122】次いで、コイル塗装ラインにて、クロメー
ト処理済亜鉛めっき鋼板(素材厚さ0.6mm、亜鉛メ
ッキ付着量60g/m)に、塗料(Z1)を乾燥塗膜
厚さが7μmとなるようにロール塗装した後、最高板温
が210℃になるように40秒間熱風乾燥炉にて焼付け
ることによって塗膜を硬化させて、プレコート金属板
(X1)を得た。
【0123】(製造例2)[プレコート金属板(X2)
の製造] テレフタル酸12.5モル%、イソフタル酸12.5モ
ル%、アジピン酸25モル%、エチレングリコール25
モル%及びネオペンチルグリコール25モル%を反応容
器に仕込んだ後、重縮合反応を行なった。反応終了後、
反応混合物をシクロヘキサノン/ソルベッソ100混合
溶剤(質量比50/50)に溶解して、不揮発分40%
のポリエステル樹脂(P2)を得た。このようにして得
たポリエステル樹脂(P2)の数平均分子量は、11,
000であった。
【0124】製造例1において、ポリエステル樹脂(P
1)に代えて、ポリエステル樹脂(P2)を用いた以外
は、製造例1と同様にして、プレコート金属板(X2)
を得た。
【0125】(製造例3)[プレコート金属板(X3)
の製造] テレフタル酸25モル%、イソフタル酸25モル%、エ
チレングリコール25モル%及びビスフェノールAのエ
チレンオキサイド2.3モル付加物25モル%を反応容
器に仕込んだ後、重縮合反応を行なった。反応終了後、
反応混合物をシクロヘキサノン/ソルベッソ100混合
溶剤(質量比50/50)に溶解して、不揮発分40%
のポリエステル樹脂(P3)を得た。このようにして得
たポリエステル樹脂(P3)の数平均分子量は90,0
00であった。
【0126】製造例1において、ポリエステル樹脂(P
1)に代えて、ポリエステル樹脂(P3)を用いた以外
は、製造例1と同様にして、プレコート金属板(X3)
を得た。
【0127】(製造例4)[プレコート金属板(X4)
の製造] テレフタル酸20モル%、イソフタル酸20モル%、ア
ジピン酸10モル%、エチレングリコール16モル%、
ネオペンチルグリコール16モル%及び1,6−ヘキサ
ンジオール18モル%を反応容器に仕込んだ後、重縮合
反応を行なった。反応終了後、反応混合物をシクロヘキ
サノン/ソルベッソ100/イソホロン混合溶剤(質量
比15/75/10)に溶解して、不揮発分40%のポ
リエステル樹脂(P4)を得た。このようにして得たポ
リエステル樹脂(P4)の数平均分子量は2,900で
あった。
【0128】ポリエステル樹脂(P4)25部、酸化チ
タン25部及びイソホロン7部を混合し、サンドミル混
練し、混練終了後、ポリエステル樹脂(P4)25部、
メチルエーテル化メチロールメラミン(スーパーベッカ
ミンL−105、大日本インキ化学工業株式会社製)8
部及びキシレン10部を加えて、塗料(Z4)を得た。
【0129】プレコート金属板(X3)に、塗料(Z
4)を乾燥塗膜厚が18μmとなるようにロール塗装し
た後、最高板温が230℃になるように60秒間熱風乾
燥炉にて焼付けることによって塗膜を硬化させて、プレ
コート金属板(X4)を得た。
【0130】(製造例5)[プレコート金属板(X5)
の製造] 大日本インキ化学工業株式会社製の「ベッコライト57
−206−40」(末端に水酸基を有する直鎖状ポリエ
ステル樹脂、数平均分子量10,000)を固形分換算
で45部、チタン白50部及びシクロヘキサノン/イソ
ホロン/キシロール=30/50/20の混合溶剤20
部を混合し、ビーズミル練肉し、練肉終了後、硬化剤と
してキシレンジイソシアネート(XDI)5部及びジブ
チル錫ジラウレート(TK−1)0.5部を加えて塗料
(Z5)を得た。
【0131】製造例1で調製した塗料(Z1)を5μm
塗装したクロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板(メッキ付
着量60g/m)に、塗料(Z5)を乾燥膜厚が40
μmとなるようにバーコ一夕一を用いて塗布した後、最
高到達板温235℃にて焼付けることによって塗膜を硬
化させて、プレコート金属板(X5)を得た。
【0132】(製造例6)[プレコート金属板(X6)
の製造] 製造例5において、キシレンジイソシアネート(XD
I)5部及びジブチル錫ジラウレート(TK−1)0.
5部に代えて、ヘキサメチレンジイソシアネート(HD
I)5部及びジブチル錫ジラウレート0.5部を用いた
以外は、製造例5と同様にして、プレコート金属板(X
6)を得た。
【0133】(製造例7)[プレコート金属板(X7)
の製造] 大日本インキ化学工業株式会社製の「ベッコライト57
−206−40」を固形分換算で22.5部、大日本イ
ンキ化学工業株式会社製の「ベッコライトM6207−
40」を固形分換算で22.5部、(末端に水酸基を有
する直鎖状ポリエステル樹脂、数平均分子量10,00
0)、チタン白50部及びシクロヘキサノン/イソホロ
ーン/キシロール=30/50/20の混合溶剤20部
を混合した後、ビーズミル練肉した。練肉終了後、硬化
剤としてキシレンジイソシアネート5部及びジブチル錫
ジラウレート0.5部を加えて、塗料(Z7)を得た。
【0134】製造例5において、塗料(Z5)に代え
て、塗料(Z7)を用いた以外は、製造例5と同様にし
て、プレコート金属板(X7)を得た。
【0135】(製造例8)[プレコート金属板(X8)
の製造] 大日本インキ化学工業株式会社製の「ベッコライトM6
207−40」を固形分換算で45部、チタン白50部
及びシクロヘキサノン/イソホローン/キシロール=3
0/50/20の混合溶剤20部を混合し、ビーズミル
練肉した。練肉終了後、硬化剤としてキシレンジイソシ
アネート5部及びジブチル錫ジラウレート0.5部加え
て、塗料(Z8)を得た。
【0136】製造例5において、塗料(Z5)に代え
て、塗料(Z8)を用いた以外は、製造例5と同様にし
て、プレコート金属板(X8)を得た。
【0137】(製造例9)[プレコート金属板(X9)
の製造] 大日本インキ化学工業株式会社製の「ベッコライト57
−206−40」(末端に水酸基を有する直鎖状ポリエ
ステル樹脂、数平均分子量10,000)を固形分換算
で45部、チタン白50部及びシクロヘキサノン/イソ
ホローン/キシロール=30/50/20の混合溶剤2
0部を混合し、ビーズミル練肉した。練肉終了後、硬化
剤としてキシレンジイソシアネート(XDI)5部及び
ジブチル錫ジラウレート(TK−1)を0.5部加え
て、塗料(Z9)を得た。
【0138】クロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板(メッ
キ付着量60g/m)に、塗料(Z9)を乾燥膜厚が
8μmとなるようバーコ一夕一を用いて塗布した後、最
高到達板温235℃にて焼付けることによって塗膜を硬
化させて、プレコート金属板(X9)を得た。
【0139】(製造例10)[プレコート金属板(X1
0)の製造] テレフタル酸15モル%、イソフタル酸10モル%、ア
ジピン酸25モル%、エチレングリコール25モル%及
びネオペンチルグリコール25モル%を反応容器に仕込
んだ後、重縮合反応を行なった。反応終了後、反応混合
物をシクロヘキサノン/ソルベッソ100混合溶剤(質
量比50/50)に溶解して、不揮発分40%のポリエ
ステル樹脂(P10)を得た。このようにして得たポリ
エステル樹脂(P10)の数平均分子量は13,000
であった。
【0140】ポリエステル樹脂(P10)25部、酸化
チタン25部及びイソホロン7部を混合した後、サンド
ミル混練した。混練終了後、ポリエステル樹脂(P1
0)25部、メチルエーテル化メチロールメラミン(ス
ーパーベッカミンL−105、大日本インキ化学工業株
式会社製)8部及びキシレン10部を加えて、塗料(Z
10)を得た。
【0141】製造例1で調製した塗料(Z1)を3μm
塗装したクロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板(メッキ付
着量60g/m)に、塗料(Z10)を乾燥塗膜厚さ
が3μmになるようにロール塗装した後、最高板温が2
30℃になるように60秒間熱風乾燥炉にて焼付けるこ
とによって塗膜を硬化させて、プレコート金属板(X1
0)を得た。
【0142】(製造例11)[プレコート金属板(X1
1)の製造] テレフタル酸25モル%、イソフタル酸10モル%、ア
ジピン酸15モル%、脂肪族ポリカーボネートジオール
としてポリヘキサメチレンカーボネート(分子量2,0
00)25モル%、1,5−ペンタンジオール25モル
%を反応容器に仕込んだ後、重縮合反応を行なった。反
応終了後、反応混合物をシクロヘキサノン/ソルベッソ
100/イソホロン混合溶剤(質量比15/75/1
0)に溶解して、不揮発分30%のポリエステルカーボ
ネート樹脂(P11)を得た。このようにして得たポリ
エステル樹脂(P11)の数平均分子量は16,000
であった。
【0143】製造例5において、「ベッコライト57−
206−40」に代えて、ポリエステル樹脂(P11)
を固形分換算で45部使用し、かつ、キシレンジイソシ
アネート(XDI)及びジブチル錫ジラウレート(TK
−1)に代えて、ヘキサメチレンジイソシアネート(H
DI)5部及びジブチル錫ジラウレート0.5部を用い
た以外は、製造例5と同様にして、プレコート金属板
(X11)を得た。
【0144】(製造例12)[プレコート金属板(X1
2)の製造] テレフタル酸25モル%、イソフタル酸10モル%、ア
ジピン酸15モル%、エチレングリコール25モル%及
びネオペンチルグリコール25モル%を反応容器に仕込
んだ後、重縮合反応を行なった。反応終了後、反応混合
物をシクロヘキサノン/ソルベッソ100混合溶剤(質
量比50/50)に溶解して、不揮発分40%のポリエ
ステル樹脂(P12)を得た。このようにして得たポリ
エステル樹脂(P12)の数平均分子量は14,000
であった。
【0145】ポリエステル樹脂(P12)25部、酸化
チタン25部及びイソホロン7部を混合し多後、サンド
ミル混練した。混練終了後、ポリエステル樹脂(P1
2)25部、メチルエーテル化メチロールメラミン(ス
ーパーベッカミンL−105、大日本インキ化学工業株
式会社製)8部及びキシレン10部を加えて、塗料(Z
12)を得た。
【0146】クロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板(メッ
キ付着量60g/m)に製造例1で調製した塗料(Z
1)を乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗工したの
ち、乾燥させてプライマー層を有するクロメート処理溶
融亜鉛メッキ鋼板を得た。
【0147】塗料(Z12)を乾燥塗膜厚さが4μmに
なるように前記プライマー層を有するクロメート処理溶
融亜鉛メッキ鋼板(メッキ付着量60g/m)にロー
ル塗装した後、最高板温が230℃になるように60秒
間熱風乾燥炉にて焼付けることによって塗膜を硬化させ
て、プレコート金属板(X12)を得た。
【0148】(製造例13)[プレコート金属板(X1
3)の製造] 大日本インキ化学工業株式会社製の「ベッコライト57
−206−40」(末端に水酸基を有する直鎖状ポリエ
ステル樹脂、数平均分子量10,000)を固形分換算
で45部、チタン白50部及びシクロヘキサノン/イソ
ホローン/キシロール=30/50/20の混合溶剤2
0部を混合した後、ビーズミル練肉した。練肉終了後、
硬化剤としてキシレンジイソシアネート(XDI)5部
及びジブチル錫ジラウレート(TK−1)0.5部加え
て、塗料(Z13)を得た。
【0149】クロメート処理溶融亜鉛メッキ鋼板(メッ
キ付着量60g/m)に、塗料(Z13)を乾燥膜厚
が20μmとなるようバーコ一夕一を用いて塗布した
後、最高到達板温235℃にて焼付けることによって塗
膜を硬化させた。以上の塗布及び焼き付け操作を4回繰
り返して、全乾燥膜厚として80μmのプレコート金属
板(X13)を得た。
【0150】(製造例14)[紫外線硬化性樹脂組成物
(H1)の製造] トリレンジイソシアネートをトリメチロールプロパンに
対して1分子あたり3個反応させたポリイソシアネート
に、ヒドロキシエチルメタクリレートを1分子あたり3
個エステル化させた3官能ウレタンアクリレート40部
と、非粘着性の熱可塑性樹脂として、重量平均分子量2
00,000のポリメチルメタクリレート60部とを、
酢酸エチル及びメチルエチルケトンの混合溶剤(1/
1)に溶させて固形分率30%の紫外線硬化性樹脂組成
物(H1)を得た。
【0151】(製造例15)[熱硬化性樹脂組成物(H
2)の製造] ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルアクリレート、ブチルアクリレート及びスチ
レンをモル比で20/30/15/15/20の比で共
重合させたアクリルポリオール(重量平均分子量25,
000)85部と、前記アクリルポリオールの水酸基価
とほぼ当量のイソシアネート価のキシリレンジイソシア
ネートフェノール付加物とキシリレンジイソシアネート
の3量体のフェノール付加物との混合物19部とを、ト
ルエン及び酢酸エチル(1/1)の混合溶媒に溶解し
て、固形分率25%の熱硬化性樹脂組成物(H2)を得
た。
【0152】(製造例16)[水圧転写用フィルム(F
1)の製造] 厚さ35μmのポリビニルアルコール製フィルムの表面
に、下記の印刷インキAをグラビア印刷にて4g(固形
分)/mの厚みの柄模様およびベタを3版で印刷し
た。
【0153】<印刷インキA組成、黒、茶、白>ポリウ
レタン(大日本インキ化学工業(株)製の「バーノックE
ZL676」)20部、顔料(黒、茶又は白)10部、
酢酸エチル30部、トルエン30部、ポリエチレン系ワ
ックスのインキワニス分散品8部及びシリカ粉2部を用
いて常法に従って印刷インキとした。
【0154】(製造例17)[水圧転写用フィルム(F
2)の製造] 紫外線硬化性樹脂組成物(H1)99部及び「イルガキ
ュア184」(チバ・スペシャリティー・ケミカル社製
の光重合開始剤)1部からなる紫外線硬化性樹脂組成物
(H3)を調製した。
【0155】厚さ35μmのポリビニルアルコール製フ
ィルムの表面に、紫外線硬化性樹脂組成物(H3)をグ
ラビア印刷により10g(固形分)/mとなるように
ベタ4版で印刷した。
【0156】(製造例18)[水圧転写用フィルム(F
3)の製造] 厚さ35μmのポリビニルアルコール性フィルムの表面
に、紫外線硬化性樹脂組成物(H3)をグラビア印刷に
より10g(固形分)/mとなるようにベタ4版で印
刷し、さらに下記の処方の印刷インキを4g(固形分)
/mの厚みとなるように柄模様およびベタを3版で印
刷した。
【0157】(インキ組成(赤、青))ポリウレタン
(荒川化学社製の「ポリウレタン2569」)20部、
顔料(赤又は青)10部、酢酸エチル30部、トルエン
30部、ポリエチレン系ワックスのインキワニス分散品
8部及びシリカ粉2部を用いて常法に従って印刷インキ
とした。
【0158】(製造例19)[水圧転写用フィルム(F
4)の製造] 紫外線硬化性樹脂組成物(H1)49.5部、「イルガ
キュア184」0.5部及び熱硬化性樹脂組成物(H
2)50部からなる硬化性樹脂組成物(H4)を調製し
た。
【0159】厚さ35μmのポリビニルアルコール性フ
ィルムの表面に、硬化性樹脂組成物(H4)をグラビア
印刷により10g(固形分)/mとなるようにベタ4
版で印刷し、さらに下記の処方の印刷インキを4g(固
形分)/mの厚みとなるように柄模様およびベタを3
版で印刷した。
【0160】(インキ組成(赤、青))ポリウレタン
(荒川化学社製の「ポリウレタン2569」)20部、
顔料(赤又は青)10部、酢酸エチル30部、トルエン
30部、ポリエチレン系ワックスのインキワニス分散品
8部及びシリカ粉2部を用いて常法に従って印刷インキ
とした。
【0161】(実施例1)[プレコート金属板(X1)
への水圧転写] 水圧転写用フィルム(F1)を30℃の水浴に印刷面が
上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主
成分メチルイソブチルケトン)20g/mをフィルム
上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向から
プレコート金属板(X1)を用いた成形物(石油ファン
ヒーター用のハウジング)を押し当てて、印刷面からな
る装飾層を転写した。転写後、転写物を水洗し、90℃
で15分乾燥させることにより、表面に装飾層を有する
金属基体を得た。
【0162】(実施例2)[プレコート金属板(X2)
への水圧転写] 実施例1において、プレコート金属板(X1)に代え
て、プレコート金属板(X2)を用いた以外は、実施例
1と同様にして、表面に装飾層を有する金属基体を得
た。
【0163】(実施例3)[プレコート金属板(X3)
への水圧転写] 実施例1において、プレコート金属板(X1)に代え
て、プレコート金属板(X3)を用いた以外は、実施例
1と同様にして、表面に装飾層を有する金属基体を得
た。
【0164】(実施例4)[プレコート金属板(X4)
への水圧転写] 実施例1において、プレコート金属板(X1)に代え
て、プレコート金属板(X4)を用いた以外は、実施例
1と同様にして、表面に装飾層を有する金属基体を得
た。
【0165】(実施例5)[プレコート金属板(X1
2)への水圧転写] 実施例1において、プレコート金属板(X1)に代え
て、プレコート金属板(X12)を用いた以外は、実施
例1と同様にして、表面に装飾層を有する金属基体を得
た。
【0166】(実施例6)[プレコート金属板(X5)
への水圧転写] 水圧転写用フィルム(F1)を30℃の水浴に印刷面が
上になるようにして浮かべて2分間放置した後、活性剤
(主成分メチルイソブチルケトン)30g/m をフィ
ルム上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向
からプレコート金属板(X5)を用いた成形物(石油フ
ァンヒーター用のハウジング)を押し当てて、装飾層を
転写した。転写後、転写物を水洗し、90℃で15分乾
燥させることにより、装飾層を有する金属基体を得た。
【0167】(実施例7)[プレコート金属板(X6)
への水圧転写] 実施例6において、プレコート金属板(X5)に代え
て、プレコート金属板(X6)を用いた以外は、実施例
6と同様にして、装飾層を有する金属基体を得た。
【0168】(実施例8)[プレコート金属板(X7)
への水圧転写] 実施例6において、プレコート金属板(X5)に代え
て、プレコート金属板(X7)を用いた以外は、実施例
6と同様にして、装飾層を有する金属基体を得た。
【0169】(実施例9)[プレコート金属板(X8)
への水圧転写] 実施例6において、プレコート金属板(X5)に代え
て、プレコート金属板(X8)を用いた以外は、実施例
6と同様にして、装飾層を有する金属基体を得た。
【0170】(比較例1)[水圧転写用フィルム(F
1)の未処理鋼板への水圧転写] 実施例6において、プレコート金属板(X5)を用いた
成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)に代え
て、クロメート処理済亜鉛めっき鋼板(素材厚さ0.6
mm、亜鉛メッキ付着量60g/m)を用いた成形物
(自動車内装部品)を用いた以外は、実施例6と同様に
して、装飾層を有する金属基体を得た。
【0171】(比較例2)[プレコート金属板(X1
0)への水圧転写] 実施例6において、プレコート金属板(X5)を用いた
成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)に代え
て、プレコート金属板(X10)を用いた成形物(自動
車内装部品)を用いた以外は、実施例6と同様にして、
装飾層を有する金属基体を得た。
【0172】(実施例10)[プレコート金属板(X
1)への水圧転写] 水圧転写用フィルム(F2)を30℃の水浴に印刷面が
上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主
成分メチルイソブチルケトン)30g/mをフィルム
上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向から
プレコート金属板(X1)を用いた成形物(石油ファン
ヒーター用のハウジング)を押し当てて、未硬化の保護
層からなる転写層を転写した。転写後、転写物を水洗
し、90℃で15分乾燥させた。次に、紫外線照射装置
(出力80KW/m、10m/分のコンベア速度)に未
硬化の保護層からなる転写層を転写した金属基体を1回
通すことにより、保護層を硬化させて、光沢のある保護
層を有する金属基体を得た。
【0173】(実施例11)[プレコート金属板(X
3)への水圧転写] 実施例10において、プレコート金属板(X1)に代え
て、プレコート金属板(X3)を用いた以外は、実施例
10と同様にして、光沢のある保護層を有する金属基体
を得た。
【0174】(実施例12)[プレコート金属板(X
4)への水圧転写] 実施例10において、プレコート金属板(X1)に代え
て、プレコート金属板(X4)を用いた以外は、実施例
10と同様にして、光沢のある保護層を有する金属基体
を得た。
【0175】(比較例3)[水圧転写用フィルム(F
2)の未処理鋼板への水圧転写] 実施例10において、プレコート金属板(X1)を用い
た成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)に代え
て、クロメート処理済亜鉛めっき鋼板(素材厚さ0.6
mm、亜鉛メッキ付着量60g/m)を用いた成形物
(自動車内装部品)を用いた以外は、実施例10と同様
にして、光沢のある保護層を有する金属基体を得た。
【0176】(比較例4)[プレコート金属板(X9)
への水圧転写] 実施例10において、プレコート金属板(X1)に代え
て、プレコート金属板(X9)を用いた以外は、実施例
10と同様にして、光沢のある保護層を有する金属基体
を得た。
【0177】(実施例13)[プレコート金属板(X
5)への水圧転写] 水圧転写用フィルム(F2)を30℃の水浴に印刷面が
上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主
成分メチルイソブチルケトン)50g/mをフィルム
上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向から
プレコート金属板(X5)を用いた成形物(石油ファン
ヒーター用のハウジング)を押し当てて、未硬化の保護
層からなる転写層を転写した。転写後、転写物を水洗
し、90℃で15分乾燥させた。次に、紫外線照射装置
(出力80KW/m、10m/分のコンベア速度)に保
護層からなる転写層を転写した金属基体を1回通すこと
により、保護層を完全に硬化させて、光沢のある保護層
を有する金属基体を得た。
【0178】(実施例14)[プレコート金属板(X
7)への水圧転写] 実施例13において、プレコート金属板(X5)に代え
て、プレコート金属板(X7)を用いた以外は、実施例
13と同様にして、光沢のある保護層と装飾層を有する
金属基体を得た。
【0179】(実施例15)[プレコート金属板(X
8)への水圧転写] 実施例13において、プレコート金属板(X5)に代え
て、プレコート金属板(X8)を用いた以外は、実施例
13と同様にして、光沢のある保護層と装飾層を有する
金属基体を得た。
【0180】(実施例16)[プレコート金属板(X
2)への水圧転写] 水圧転写用フィルム(F3)を30℃の水浴に印刷面が
上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主
成分メチルイソブチルケトン)30g/mをフィルム
上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向から
プレコート金属板(X2)を用いた成形物(自動車内装
部品)を押し当てて、装飾層及び未硬化の保護層からな
る転写層を転写した。転写後、転写物を水洗し、80℃
で30分乾燥させた。次に、紫外線照射装置(出力80
kW/m、10m/分のコンベア速度)に装飾層及び未
硬化の保護層からなる転写層を転写した金属基体を1回
通すことにより、保護層を硬化させて、光沢のある保護
層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0181】(比較例5)[水圧転写用フィルム(F
3)の未処理鋼板への水圧転写] 実施例16において、プレコート金属板(X2)に代え
て、クロメート処理済亜鉛めっき鋼板(素材厚さ0.6
mm、亜鉛メッキ付着量60g/m)を用いた以外
は、実施例16と同様にして、光沢のある保護層と装飾
層を有する金属基体を得た。
【0182】(比較例6)[プレコート金属板(X9)
への水圧転写] 実施例16において、プレコート金属板(X2)に代え
て、プレコート金属板(X9)を用い、かつ、UV照射
装置に、装飾層と未硬化の保護層からなる転写層を有す
る金属基体を3回通した以外は、実施例16と同様にし
て、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得
た。
【0183】(実施例17)[プレコート金属板(X
6)への水圧転写] 水圧転写用フィルム(F3)を30℃の水浴に印刷面が
上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主
成分メチルイソブチルケトン)50g/mをフィルム
上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向から
プレコート金属板(X6)を用いた成形物(自動車内装
部品)を押し当てて、装飾層と未硬化の保護層からなる
転写層を転写した。転写後、転写物を水洗し、80℃で
30分乾燥させた。次にUV照射装置(出力80kW/
m、10m/分のコンベア速度)に装飾層及び保護層か
らなる転写層を転写した金属基体を1回通すことによ
り、保護層を硬化させて、光沢のある保護層と装飾層を
有する金属基体を得た。
【0184】(実施例18)[プレコート金属板(X1
3)への水圧転写] 水圧転写用フィルム(F3)を30℃の水浴に印刷面が
上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主
成分メチルイソブチルケトン)33g/mをフィルム
上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向から
プレコート金属板(X13)を用いた成形物(自動車内
装部品)を押し当てて、装飾層と未硬化の保護層からな
る転写層を転写した。転写後、転写物を水洗し、90℃
で10分乾燥させ、さらに120℃で30分乾燥させる
ことによって、保護層を硬化させた。次に、紫外線照射
装置(出力80kW/m、10m/分のコンベア速度)
に装飾層及び保護層からなる転写層を転写した金属基体
を1回通すことにより、保護層を完全に硬化させて、光
沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を得た。
【0185】(実施例19)[プレコート金属板(X
3)への水圧転写] 水圧転写用フィルム(F4)を30℃の水浴に印刷面が
上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤(主
成分メチルイソブチルケトン)30g/mをフィルム
上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向から
プレコート金属板(X3)を用いた成形物(石油ファン
ヒーター用のハウジング)を押し当てて、装飾層と未硬
化の保護層からなる転写層を転写した。転写後、転写物
を水洗し、90℃で10分乾燥させた。さらに、120
℃で30分乾燥させることによって、保護層を硬化させ
た。次に、UV照射装置(出力80kW/m、10m/
分のコンベア速度)に装飾層及び保護層からなる転写層
を転写した金属基体を1回通すことにより、保護層を完
全に硬化させて、光沢のある保護層と装飾層を有する金
属基体を得た。
【0186】(実施例20)[プレコート金属板(X1
1)への水圧転写] 実施例19において、プレコート金属板(X3)に代え
て、プレコート金属板(X11)を用いた以外は、実施
例19と同様にして、光沢のある保護層と装飾層を有す
る金属基体を得た。
【0187】(比較例7)[水圧転写用フィルム(F
4)の未処理鋼板への水圧転写] 実施例19において、プレコート金属板(X3)を用い
た成形物(石油ファンヒーター用のハウジング)に代え
て、クロメート処理済亜鉛めっき鋼板(素材厚さ0.6
mm、亜鉛メッキ付着量60g/m)を用いた成形物
(自動車内装部品)を用いた以外は、実施例19と同様
にして、光沢のある保護層と装飾層を有する金属基体を
得た。
【0188】(比較例8)[プレコート金属板(X9)
への水圧転写] 実施例19において、プレコート金属板(X3)に代え
て、プレコート金属板(X9)を用いた以外は、実施例
19と同様にして、光沢のある保護層と装飾層を有する
金属基体を得た。
【0189】(実施例21)[プレコート金属板(X
7)への水圧転写] 水圧転写用フィルム(F4)を30℃の水浴にインキ面
が上になるように浮かべて2分間放置した後、活性剤
(主成分メチルイソブチルケトン)50g/mをフィ
ルム上に散布した。更に10秒間放置した後、垂直方向
からプレコート金属板(X7)を用いた成形物(石油フ
ァンヒーター用のハウジング)を押し当てて、装飾層と
未硬化の保護層からなる転写層を転写した。転写後、転
写物を水洗し、90℃で10分乾燥させ、さらに120
℃で30分乾燥させることによって、保護層を硬化させ
た。次に、紫外線照射装置(出力80KW/m、10m
/分のコンベア速度)に装飾層及び保護層からなる転写
層を転写した金属基体を1回通すことにより、保護層を
完全に硬化させて、光沢のある保護層と装飾層を有する
金属基体を得た。
【0190】(深絞り性の評価)各製造例で作成したプ
レコート金属板(平板)について、円筒紋り試験機を用
いて絞り比2.5で加工した。この加工品を沸騰水中に
1時間浸漬した後、塗膜状態を目視にて以下の3段階に
評価した。 ○:塗膜破断全くなし。 △:細かいひび割れあり。 ×:塗膜破断あり。
【0191】(キシレン吸収量の測定)各製造例で作成
したプレコート金属板(平板)から、10mm×25m
mの長方形に切り出した小片(サンプル形状A、質量約
1g)5個、もしくは50mm×50mmの正方形に切
り出した小片(サンプル形状B、質量約9g)5個を用
意した。この小片5個それぞれを精秤(使用した天秤の
感度は0.001g)した後、密栓付試験管中または密
閉できるガラス容器(薄層展開槽)内でキシレンに浸漬
した。各試料片を24時間ごとに取り出し、試料片の表
面の溶剤をタオルでふき取って、予め秤量しておいた秤
量ビンに入れて秤量した。
【0192】この操作を繰り返し、小片の秤量値と前回
秤量値との差が±0.002g以下であり、かつ5個の
小片全ての質量変化が平均値±0.004g以下に収ま
った段階(概ね浸漬開始から96時間経過後)で、5個の
小片における質量変化の平均値を小片の面積で除して、
単位面積(m)あたりの溶剤吸収量(g)を測定し
た。なお、浸漬開始から96時間経過後においても、キ
シレン浸漬前後において、5個の小片全ての質量変化が
±0.002g以内の場合には、検出限界以下(N.
D.)であると判断して以後の測定を中止した。なお、
キシレン吸収量の検出限界は、サンプル形状Aを用いた
場合は8g/m、サンプル形状Bを用いた場合は0.
8g/mであった。
【0193】(水圧転写性の評価)各実施例及び各比較
例で作成した転写層を設けた金属基体について、3次元
立体成形物上での装飾層の模様の再現性を目視にて以下
の3段階に評価した。 ○:模様再現面積率98%以上 (転写性良好) △:模様再現面積率80%〜98%未満(転写性やや良
好) ×:模様再現面積率80%未満(転写性不良)
【0194】(塗膜密着性の評価)平板状のプレコート
金属板を用いた以外は、各実施例及び各比較例と同様に
して作成した転写層を有する金属板について、碁盤目テ
ープ法(JIS K5400)に準じて塗膜密着性を評
価(10点満点)した。
【0195】(耐引掻傷性の評価)平板状のプレコート
金属板を用いた以外は、各実施例と同様にして作成した
保護層を設けた金属板について、JIS-K5401
「塗膜用鉛筆引き掻き試験機」を用いて塗膜強度を測定
した。芯の長さは3mm、塗膜面との角度45度、荷重
1kg、引き掻き速度0.5mm/分、引き掻き長さ3
mm、使用鉛筆は三菱ユニとした。
【0196】(表面光沢の評価)平板状のプレコート金
属板を用いた以外は、各実施例と同様にして作成した保
護層を設けた金属板について、60度鏡面光沢度(JI
S K5400)を測定した。
【0197】(耐擦傷性の評価)平板状のプレコート金
属板を用いた以外は、各実施例と同様にして作成した保
護層を設けた金属板について、ラビング試験機(荷重8
00g)により乾拭き100回後の表面光沢保持率を評
価した。
【0198】(耐洗剤性の評価)平板状のプレコート金
属板を用いた以外は、各実施例と同様にして作成した保
護層を設けた金属板について、「マジックリン」(花王
株式会社製の住居用洗剤)の原液を含ませた脱脂綿を用
いてラビング試験(荷重800g、往復100回)を実
施し、試験後の表面光沢保持率を測定した。
【0199】(熱水処理後の密着性評価)平板状のプレ
コート金属板を用いた以外は、各実施例と同様にして作
成した転写層を有する金属板について、熱水(水温98
℃)中で30分間の処理を行い、次いで、塗膜にカッタ
ーで1×1mmの碁盤目を100個つくり、その部分に
粘着テープを貼った後、この粘着テープを急速に剥離
し、塗膜の剥離状態を目視により観察して、次に示す3
段階に評価した。
【0200】 ○:剥離が全く認められない △:全体の1〜30%が剥離した ×:全体の31〜100%が剥離した
【0201】比較例1〜8では、水圧転写は出来たもの
の、得られた転写層を有する金属板は、転写層と金属板
との密着性が極めて低く、上記した各評価試験のうち、
水圧転写性と塗膜密着性以外の評価を実施することがで
きなかった。
【0202】
【表1】
【0203】
【表2】
【0204】表1及び表2に示した結果から、キシレン
吸収量が3.5〜100g/mの範囲にある硬化塗膜
層を有する金属基体から成る被転写体を用いることによ
って、水圧転写性が良好で、金属基体と装飾層から成る
転写層との塗膜密着性が良好となることが理解できる。
【0205】
【表3】
【0206】
【表4】
【0207】表3及び表4に示した結果から、キシレン
吸収量が10〜100g/mの範囲にある硬化塗膜層
を有する金属基体から成る被転写体を用いることによっ
て、水圧転写性が良好で、金属基体と保護層から成る転
写層との塗膜密着性、耐引掻傷性、表面光沢、耐擦傷
性、耐洗剤性が良好となることが理解できる。
【0208】
【表5】
【0209】
【表6】
【0210】表5及び表6に示した結果から、キシレン
吸収量が10〜100g/mの範囲にある硬化塗膜層
を有する金属基体から成る被転写体を用いることによっ
て、水圧転写性が良好で、金属基体と装飾層及び保護層
から成る転写層との塗膜密着性、耐引掻傷性、表面光
沢、耐擦傷性、耐洗剤性が良好となることが理解でき
る。
【0211】
【発明の効果】本発明の水圧転写方法によれば、水圧転
写性が良好で、金属基体と転写層との塗膜密着性が良好
であるので、長期保存が可能で、意匠性に優れ、しか
も、任意の形状の金属基体上に強固に接着された転写層
を有する金属基体を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南保 光孝 東京都練馬区三原台1−7−2 (72)発明者 田部 裕章 大阪府摂津市千里丘東5−19−17 (72)発明者 加藤 真司 神奈川県相模原市東大沼3−26−7 (72)発明者 水野 修三 東京都町田市山崎町1380 G−501 Fターム(参考) 3B005 FA13 FA17 FB13 FB34 FB37 FC08Y FC09Y FE04 FG02X GA28 4D075 AB22 AB33 AB36 AB51 AC43 AE15 CA02 CA13 CB04 CB11 DA04 DA06 DA23 DB02 DB04 DB05 DB07 DB32 DB33 DB40 DB43 DB48 DB50 DC10 DC13 DC18 DC38 EA07 EA21 EB07 EB08 EB12 EB13 EB15 EB17 EB19 EB20 EB22 EB32 EB33 EB35 EB36 EB37 EB38 EB39 EB43 EB45 EB52 EC07 EC37

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る
    支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けられた有
    機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層とからなり、前記転
    写層が印刷インキ被膜又は塗料被膜からなる装飾層から
    構成される水圧転写用フィルムを用いて、金属基体から
    なる被転写体上に前記転写層を水圧転写する方法におい
    て、 前記金属基体が、キシレン吸収量が3.5〜100g/
    の範囲にある硬化塗膜層を有する金属基体であるこ
    とを特徴とする水圧転写方法。
  2. 【請求項2】 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る
    支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けられた有
    機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層とからなり、前記転
    写層が活性エネルギー線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂か
    らなる保護層を有する水圧転写用フィルムを用いて、金
    属基体からなる被転写体上に前記転写層を水圧転写する
    方法において、 前記金属基体が、キシレン吸収量が10〜100g/m
    の範囲にある硬化塗膜層を有する金属基体であること
    を特徴とする水圧転写方法。
  3. 【請求項3】 前記水圧転写フィルムが前記支持体フィ
    ルム上に設けられた前記保護層と前記保護層上に設けら
    れた印刷インキ被膜又は塗料被膜からなる装飾層とから
    なる転写層を有する請求項2記載の水圧転写方法。
  4. 【請求項4】 前記硬化塗膜層を有する金属基体が、プ
    レコート金属板である請求項1、2又は3に記載の水圧
    転写方法。
  5. 【請求項5】 前記硬化塗膜層を有する金属基体が、前
    記硬化塗膜層形成後に任意形状に成形したものである請
    求項1、2又は3に記載の水圧転写方法。
  6. 【請求項6】 前記硬化塗膜層が、数平均分子量が2,
    000〜100,000のポリエステル樹脂と、イソシ
    アネート系硬化剤及びアミン系硬化剤からなる群から選
    ばれる少なくとも1種の硬化剤とを含む樹脂組成物の硬
    化物からなる請求項1、2又は3に記載の水圧転写方
    法。
  7. 【請求項7】 前記硬化塗膜層が、両末端に水酸基とカ
    ルボキシル基との少なくとも1種を有するポリエステル
    樹脂とジイソシアネートとを反応させて得られる硬化樹
    脂からなる請求項1、2又は3に記載の水圧転写方法。
  8. 【請求項8】 前記活性エネルギー線硬化性及び/又は
    熱硬化性の樹脂層が、1分子中に3つ以上の(メタ)ア
    クリル基を有するウレタンアクリレート及び重量平均分
    子量30,000〜300,000のポリ(メタ)アク
    リレートを含有する硬化性樹脂組成物からなる請求項2
    又は3に記載の水圧転写方法。
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