JP4483175B2 - 装飾付き繊維強化プラスチック成形品および繊維強化プラスチック成形品の装飾方法 - Google Patents

装飾付き繊維強化プラスチック成形品および繊維強化プラスチック成形品の装飾方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、装飾付き繊維強化プラスチック成形品および繊維強化プラスチック成形品の装飾方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にFRPと略称される繊維強化プラスチックは、その優れた強度、耐熱性及び耐久性から、広く建築部材、家電部材、自動車部材などの工業製品部材を始め、システムキッチン等や浴室部材等の家庭用品部材などにも用いられている。これらの繊維強化プラスチックからなる建築部材、家電部材、自動車部材およびシステムキッチンや浴室部材等の家庭用品部材には、材料樹脂組成物に顔料を添加することにより着色したものが用いられているが、近年、嗜好の高級化から、これら繊維強化プラスチック成形品に意匠性の高い絵柄模様などの装飾を施すことが求められている。
【0003】
従来、繊維強化プラスチック成形品に装飾を施す方法として、チタン紙、不織布、布、含浸紙などに装飾を施した部材を成形と同時に一体化する方法(例えば、特許文献1参照)が知られていたが、この方法では、装飾を施した部材に破れが生じやすい、または成形性がなく形状が制限されるなどの欠点があった。それらの欠点を改良するために、2軸延伸ポリエステル樹脂層とABS樹脂層とを積層した装飾シートを該装飾シートのABS樹脂層側と接するように繊維強化プラスチックに重ね合わせ、金型内で加熱加圧して両者を一体化する繊維強化プラスチック成形品の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、この方法も装飾したシートを金型内で加熱加圧成形するために、成形品の形状によっては、装飾層が均一に延伸されず、部分的に装飾の意匠性が損なわれる問題があった。また、耐擦傷性も低く、例えば、浴室部材等に要求される耐水性も十分でなかった。
【0005】
一方、繊維強化プラスチックからなる浴槽に装飾を施したものには、例えば、成形後の繊維強化プラスチック製浴槽の表面にハンド塗装ガンを用いて塗料を粒子状に噴霧することにより模様を塗装する模様付き浴槽の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この製造方法では、作業に熟練と手間がかかり、斑点を組み合わせて御影石調の浴槽を得ることができる程度であり、複雑な絵柄模様を浴槽に付与することは到底出来なかった。
【0006】
【特許文献1】
特開昭51−20951号公報
【特許文献2】
特開平11−70622号公報
【特許文献3】
特開2000−300454号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、優れた耐水性、耐薬品性及び耐擦傷性を有する鮮明で精細な装飾付き繊維強化プラスチック成形品、及びそのような装飾を繊維強化プラスチック成形品に付与することができる繊維強化プラスチック成形品の装飾方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、装飾を水圧転写方法により繊維強化プラスチック成形品に付与することを試みたが、水圧転写した装飾層と繊維強化プラスチック成形品との密着性が低く、例えば、熱水との接触で容易に膨れや剥がれを生じた。
本発明者らは、更に検討した結果、以下の知見を見出した。
1. (1)繊維強化プラスチック成形品に硬化性エポキシ樹脂からなる半硬化状態の下塗り層(A)を形成し、(2)該下塗り層上に、ウレタン樹脂を主な樹脂成分とする印刷インキ被膜または塗料皮膜からなる転写層を有する水圧転写フィルムを用いて、水圧転写法により該転写層を転写して装飾層(B)を形成し、(3)水圧転写後の前記成形品を加熱乾燥し、(4)前記装飾層上に、アクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物を塗布し、塗布した該組成物層を硬化させて透明な硬化樹脂層(C)を形成し、(5)前記半硬化の下塗り層(A)を前記(3)又は(4)の工程で硬化させることによって、優れた耐熱水性、耐薬品性及び耐擦傷性を備え且つ鮮明で精細な装飾の施された保護塗膜を有する繊維強化プラスチック成形品が得られる。
【0009】
2. 下塗り層(A)上にアクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂の塗布し、塗布した該組成物を半硬化させて接着層(D)形成し、該接着層(D)上に、前記装飾層(B)と透明な硬化樹脂層(C)を形成するときは、前記下塗り層(A)が完全硬化した後であっても、前記1と同様に、優れた耐熱水性、耐薬品性及び耐擦傷性を備え且つ鮮明で精細な装飾の施された保護塗膜を有する繊維強化プラスチック成形品が得られる。
本発明は上記の知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、繊維強化プラスチック成形品の表面に硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物からなる下塗り層(A)、前記下塗り層(A)上にウレタン樹脂を主な樹脂成分とする印刷インキ被膜または塗料皮膜からなる装飾層(B)、及び前記装飾層(B)上にアクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物の硬化物からなる透明な硬化樹脂層(C)を有することを特徴とする装飾付き繊維強化プラスチック成形品を提供する。
【0011】
また、本発明は、(1)繊維強化プラスチック成形品の装飾所望箇所に硬化性エポキシ樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により半硬化させて下塗り層(A)を形成し、
(2)前記下塗り層(A)上に、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性のウレタン樹脂を主な樹脂成分とする印刷インキ被膜または塗料皮膜からなる転写層を有する水圧転写フィルムから前記転写層を水圧転写して装飾層(B)を形成し、
(3)水圧転写後の前記成形品を加熱乾燥し、
(4)前記装飾層(B)上にアクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により硬化させて透明な硬化樹脂層(C)を形成し、
(5)前記下塗り層(A)を前記(3)又は(4)の工程で完全硬化させることを特徴とする繊維強化プラスチック成形品の装飾方法を提供する。
【0012】
更に、本発明は、(1)繊維強化プラスチック成形品の装飾所望箇所に硬化性エポキシ樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により硬化又は半硬化させて下塗り層(A)を形成し、
(2)前記下塗り層(A)上にアクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により半硬化させて接着層(D)を形成し、
(3)前記接着層(D)上に、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性のウレタン樹脂を主な樹脂成分とする印刷インキ被膜または塗料皮膜からなる転写層を有する水圧転写フィルムから前記転写層を水圧転写して装飾層(B)を形成し、
(4)水圧転写後の前記成形品を加熱により乾燥し、
(5)前記装飾層(B)上にアクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により硬化させて透明な硬化樹脂層(C)を形成し、
(6)前記下塗り層(A)が前記(1)工程で半硬化状態にあるときは、前記下塗り層(A)を前記(2)、(4)又は(5)の工程で完全硬化させ、前記半硬化状態にある接着層(D)を前記(4)又は(5)の工程で完全硬化させることを特徴とする繊維強化プラスチック成形品の装飾方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の装飾付き繊維強化プラスチック成形品は、目的形状に成形した繊維強化プラスチック成形品に下塗り層を設け、該下塗り層上に水圧転写により装飾層を転写し、さらに該装飾層上に保護層として透明な硬化樹脂層を設けたものである。
【0014】
[繊維強化プラスチック成形品]
繊維強化プラスチック成形品は、マトリックス樹脂に、重合性単量体、充填剤、ラジカル重合開始剤、重合禁止剤、増粘剤、離型剤および必要に応じてその他の添加剤を混合し、ガラス繊維などの繊維強化材に含浸させた繊維強化プラスチックを加熱プレス成形することによって製造される。
【0015】
より具体的には、繊維強化プラスチック成形品は、混練し塊状にしたBMC(バルクモールディングコンパウンド)や、マトリックス樹脂、充填材およびその他添加物の混合物をガラス繊維に含侵させたシート状成形材料であるSMC(シートモールディングコンパウンド)などの繊維強化プラスチックを目的形状に加熱加圧プレス成形するか、あるいは型内でこれらの繊維強化プラスチックをRTM(反応トランスファーモールディング)成形するか、あるいは繊維強化プラスチックを手作業で目的形状の型に積層、硬化させた後に脱型するハンドレイアップ成形することにより製造することができる。
【0016】
繊維強化プラスチック中のマトリックス樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂等が用いられ、中でも成形性と耐熱水性に優れることから不飽和ポリエステル樹脂が好ましくは用いられる。重合性単量体としては、スチレン、クロロスチレン、t−ブチルスチレン、メチルメタクリレート等の重合性単量体が用いられる。
【0017】
これらの充填剤、ラジカル重合開始剤、重合禁止剤、増粘剤、離型剤などは、それぞれ慣用のものを用いることができ、特に限定されない。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられ、ラジカル重合開始剤としては、例えば、マトリックス樹脂が不飽和ポリエステルの場合は、ターシャリーヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート(t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネートと略す)などが好ましく用いられる。
【0018】
また、必要に応じて用いられる重合禁止剤としては、パラベンゾキノンなどが挙げられる。増粘剤としては、アルカリ土類金属の酸化物や、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、離型剤としては、ステアリン酸塩やけい素樹脂等が挙げられる。その他の添加剤としては、着色剤等が用いられる。また、繊維強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、綿繊維などが用いられる。
【0019】
[下塗り層(A)]
繊維強化プラスチック成形品の装飾所望箇所に設ける下塗り層(A)を構成する硬化性樹脂は、耐水性を確保するために、繊維強化プラスチック中のマトリックス樹脂と高い密着力を有し、かつ装飾層とも良好な密着力を有する硬化性エポキシ樹脂組成物が好ましい。
【0020】
下塗り層を構成する硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化性エポキシ樹脂成分は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ、中でも、耐水性に優れたビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
【0021】
用いる硬化性エポキシ樹脂の数平均分子量は、700〜5,000が好ましく、より好ましくは、1,000〜3,000である。数平均分子量が700未満の場合は、架橋点が多くなるために硬化剤との反応で生じる水酸基が多くなり、親水性が増加して耐熱水性が低下する。一方、数平均分子量が5,000を超えて大きくなると、架橋点間分子量が大きくなるため、高温での塗膜の柔軟性が高くなり、繊維強化プラスチックとの密着力が低下しやすい。
【0022】
硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂の硬化剤は、エポキシ樹脂用硬化剤として、通常、用いられるものが特に制限なく使用出来る。例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミンなどのポリアミン類;
ポリ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物類;
2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、あるいは2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物類;
およびジシアンジアミド、ポリアミドアミン類が挙げられる。
【0023】
ポリアミドアミン類としては、例えば、脂肪族系多官能性アミンと脂肪族ジカルボン酸とから形成されるものが好ましく、該脂肪族系多官能性アミンとしては、例えばヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミンなどのアルキレンポリアミンが挙げられる。これらの硬化剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの硬化剤の中でも密着性、耐水性等の塗膜性能に優れる点からポリアミドアミン類が特に好ましい。
【0024】
下塗り層に用いる硬化性エポキシ樹脂組成物としては、これらの中でも、繊維強化プラスチックとの密着性、耐水性が良好であることから、ビスフェノール型エポキシ樹脂とビスフェノールA変性ポリアミドアミンとの組み合わせが、特に好ましい。ビスフェノールA変性ポリアミドアミンとしては、例えば、脂肪族ジカルボン酸とビスフェノールAジグリシジルエーテルとアルキレンポリアミンから得られるビスフェノールA変性ポリアミドアミンが挙げられる。
【0025】
硬化性エポキシ樹脂と硬化剤の配合比は、エポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量を用いることが好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量未満、あるいは1.2当量を超えた場合は、いずれも硬化が不完全となりやすい。
【0026】
また、硬化性エポキシ樹脂組成物には、上記の硬化剤に加え、更に硬化促進剤を含ませてもよい。硬化促進剤としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、DBU等の第三級アミン類、2メチル4エチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルフォスフィン等のフォスフィン類が挙げられる。
下塗り層の膜厚は、通常、5〜50μmであり、より好ましくは10〜35μmである。
【0027】
下塗り層上への装飾層の水圧転写に先立って、下塗り層を構成する硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させるが、水圧転写させる装飾層と下塗り層との密着性を確保するために、水圧転写前は下塗り層を完全に硬化させず、ゲル分率60〜85%程度の半硬化状態に留め、装飾層を下塗り層上に水圧転写させた後、加熱することにより、下塗り層を完全に硬化させる(ゲル分率で90%以上、より好ましくは95%以上)。なお、ここで言うゲル分率は、塗膜を溶解性の高いアセトンなどのケトン類に浸漬して、可溶分を溶出させ、不溶分を測定することにより測定することができる。
【0028】
製造される装飾付き繊維強化プラスチック成形品が、浴槽等に要求される優れた耐熱水性を備えるためには、下塗り層を構成する硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物のTgが、50℃を上回ることが好ましく、下塗り層を構成する硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物のTgは、好ましくは55℃〜120℃、より好ましくは60℃〜120℃である。
【0029】
下塗り層を構成する硬化性エポキシ樹脂組成物には、下地の隠蔽性を高めるために、着色顔料や体質顔料などのフィラーを配合することが好ましい。着色顔料としてはカーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、ベンガラ、体質顔料としては硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等が代表的なものとして挙げられる。これらのフィラーの配合量は特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物中約20〜70質量%となる範囲であることが、塗装性や塗膜性能の点から好ましく、より好ましくは30〜70質量%である。また、硬化性エポキシ樹脂組成物に、慣用の添加剤として、ハジギ防止剤、ダレ止め剤、流展剤、消泡剤、硬化促進剤等を添加してもよい。
【0030】
[装飾層(B)]
前記下塗り層(A)上に水圧転写により設けられる装飾層(B)は、水圧転写フィルムから水圧転写により転写されたウレタン樹脂を主な樹脂成分とする印刷インキ被膜または塗料皮膜からなる。装飾層(B)を形成する被膜形成性樹脂の主成分がウレタン樹脂で構成される限り、耐水性、耐薬品性、耐擦傷性等の塗膜物性の悪化を惹起せず本発明の目的を害しない範囲で、他の被膜形成性樹脂を使用できる。
【0031】
水圧転写により転写される装飾層は、水圧転写用フィルムの水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルム上に印刷または塗布により設けられるが、これらの印刷インキまたは塗料に用いる樹脂が一般に水圧転写用フィルムの印刷インキに用いられる硝化綿や硝化綿と同程度の親水性の樹脂であると、得られる装飾付き浴槽の耐熱水性が低くなる。
【0032】
ウレタン樹脂と併用できる樹脂としては、硝化綿より高い疎水性を有する熱可塑性樹脂、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂(塩ビ、酢ビ共重合樹脂)、ビニリデン樹脂(ビニリデンクロライド、ビニリデンフルオネート)、エチレン−ビニルアセテート樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化オレフィン樹脂、エチレン−アクリル樹脂などが挙げられる。
【0033】
樹脂成分と共に印刷インキまたは塗料に用いる着色剤は、顔料が好ましく、無機系顔料と有機系顔料のいずれであってもよく、また、金属切削粒子のペーストや蒸着金属膜から得られる金属細片顔料も用いることが出来る。それらに用いられる金属は、アルミニウム、金、銀、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロームおよびステンレス等が挙げられる。これらの金属細片は、分散性を向上させる目的や酸化防止を目的として、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂などで表面が処理されていても良い。
装飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、より好ましくは、1〜7μmである。
【0034】
[硬化樹脂層(C)]
水圧転写した装飾層の保護層として装飾層上に設ける硬化樹脂層(C)は、アクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物で構成される。
【0035】
アクリルポリオール樹脂は、水酸基を有する重合性不飽和単量体類と、該水酸基を有する重合性不飽和単量体類と共重合可能な他の重合性不飽和単量体類とを常法により共重合させることにより製造される。得られるアクリルポリオール樹脂の水酸基価は、好ましくは20〜150、その質量平均分子量は、好ましくは3000〜20000である。
【0036】
水酸基を有する重合性不飽和単量体類としては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートの如き(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸の如き多価カルボン酸類のジヒドロキシアルキルエステル類;またはヒドロキシアルキルビニルエーテル類などである。
【0037】
水酸基を有する重合性不飽和単量体類と共重合可能な他の重合性不飽和単量体類としては、メチルメタアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートもしくはシクロヘキシル(メタ)アクリレートの如きアルキル(メタ)アクリレート類;
【0038】
あるいは、メトキシエチル(メタ)アクリレートなどに代表されるようなアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
ジメチルマレエート、ジエチルフマレート、ジブチルフマレートもしくはジブチルイタコネートの如きマレイン酸、フマル酸ないしはイタコン酸などによって代表されるジカルボン酸類と1価アルコール類とのジエステル類;
【0039】
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸の如き不飽和モノ−またはジ−カルボン酸類または上述したような酸無水物の種々のカルボキシル基含有単量体類;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルの如きエポキシ基含有単量体類;
スチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー類などである。
【0040】
また、アクリルポリオール樹脂として、市販品、例えば、「アクリディックA−800、A801、A−801−P」(大日本インキ化学工業株式会社製)などを用いることもできる。
【0041】
硬化剤成分であるポリイソシアネートは、少なくとも1分子あたり2個のイソシアネート基を有する化合物が用いられる。ポリイソシアネートの代表例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類;
テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはトリメチルヘキサンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート類;
イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−(または2、6−)ジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)または1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサンの如き脂環式ジイソシアネート類;
あるいは、これらイソシアネート化合物と多価アルコール類から得られるポリイソシアネートや、イソシアネート基と末端に水酸基を有するポリエステル樹脂から得られるポリオール伸長型ポリイソシアネート類;
さらには上記ジイソシアネートのビウレット体やイソシアヌレート体などが挙げられる。
【0042】
主剤のアクリルポリオール樹脂の構成成分としては、上記重合性不飽和単量体の中からブチルアクリレートやジブチルフマレートの如き炭素数4以上の脂肪族アルコールのアクリルエステルや、スチレン誘導体の如き疎水性の高いモノマーを全体の構成成分の10モル%〜50モル%用いることが耐熱水性を向上させるために好ましい。また硬化剤としてはヘキサメチレンジイソシアネートの重合体やキシリレンジイソシアネートのイソシアヌレートが特に好ましく用いられる。
【0043】
硬化樹脂層を構成するアクリルウレタン樹脂の完全硬化後のTgは55℃〜120℃であるものが好ましく、より高い耐熱水性を得るには、完全硬化後のTgが60℃〜120℃であるものが好ましい。
【0044】
主剤であるアクリルポリオール樹脂を構成する水酸基を有する重合性不飽和単量体類と硬化剤としてのポリイソシアネートの配合比は、水酸基を有する重合性不飽和単量体類のヒドロキシ基とポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比OH/NCOが1.0/0.8〜1.0/2.0である範囲が好ましい。ヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が0.8当量未満では、十分な塗膜性能が得られ難く、逆にNCO基が2.0当量を越えると、塗膜の形成時に発泡したり、耐熱水性が低下するために好ましくない。
【0045】
また、必要に応じて、慣用のウレタン化反応の反応促進剤を用いて塗膜の硬化性を向上せしめることもできる。
硬化条件は、硬化樹脂層のゲル分率が90%〜100%になるような条件を選択し、具体的にはアクリルウレタン樹脂では70〜100℃、乾燥時間は30分〜1時間程度が好ましい。
【0046】
また、硬化樹脂層は、十分に光沢が高いことが好ましく、60°入射角光沢値が80%以上であることが好ましい。また、硬化樹脂層は、鮮映性を向上させるために、表面平滑性が高いことが好ましく、表面平滑性を向上させるために硬化樹脂層にレベリング剤を添加しても構わない。レベリング剤としては、慣用のシリコン系、アクリル系のものを用いることができる。硬化樹脂層の膜厚は、好ましくは10〜100μmである。
【0047】
[接着層(D)]
接着層(D)は、水圧転写される装飾層が含む有機溶剤を吸収し、装飾層を下塗り層に密着させる役割を果たす。接着層(D)は、下塗り層(A)を構成するエポキシ樹脂組成物が、室温で硬化が進行しやすく、装飾層を水圧転写する時まで半硬化状態を保ちにくい場合や、耐薬品性、特に耐酸性洗剤性を更に向上させる必要がある場合に、下塗り層(A)上に設けることが好ましい。
【0048】
接着層は、完全硬化した状態では有機溶剤吸収能が低く、水圧転写される装飾層との接着性が低くなるので、接着層が半硬化の状態で水圧転写を行うことが好ましく、水圧転写時における接着層のゲル分率は80%未満であることが好ましく、より好ましくは60%〜75%である。
【0049】
接着層を構成する硬化性樹脂としては、アクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物が用いられる。かかる硬化性樹脂組成物の使用により得られる保護塗膜は耐水性および耐水性に更に優れ、かつ下塗り層(A)や装飾層(B)との接着性に更に優れたものとなる。
【0050】
接着層を構成する硬化性樹脂組成物は、完全硬化後のTgが55℃〜120℃であるものが好ましく、より高い耐熱性を得るには、完全硬化後のTgが60℃〜120℃であるものがより好ましい。また、接着層には、下塗り層(A)に添加する着色顔料や体質顔料などのフィラーを配合することが好ましい。着色顔料としては公知慣用の着色顔料が使用でき、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、ベンガラ、体質顔料も公知慣用の体質顔料が使用でき、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等が挙げられる。これらフィラーの配合量は、塗装性、耐熱水性および接着性が良好な範囲であるアクリルウレタン樹脂の約20〜50質量%であること好ましい。
また、接着層の膜厚は、10〜60μmが好ましく、より好ましくは30〜50μmである。
【0051】
[装飾付き繊維強化プラスチック成形品の製造方法]
本発明の装飾付き繊維強化プラスチック成形品の製造方法は以下の通りである。
(1)繊維強化プラスチック成形品の装飾所望箇所に硬化性エポキシ樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により半硬化させて下塗り層(A)を形成し、
(2)前記下塗り層(A)上に、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性のウレタン樹脂を主な樹脂成分とする印刷インキ被膜または塗料皮膜からなる転写層を有する水圧転写フィルムから前記転写層を水圧転写して装飾層(B)を形成し、
(3)水圧転写後の前記成形品を加熱乾燥し、
(4)前記装飾層(B)上にアクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により硬化させて透明な硬化樹脂層(C)を形成し、
(5)前記下塗り層(A)を前記(3)又は(4)の工程で完全硬化させる。
【0052】
また、下塗り層(A)上に接着層(D)を設ける場合の製造方法は以下の通りである。
(1)繊維強化プラスチック成形品の装飾所望箇所に硬化性エポキシ樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により硬化又は半硬化させて下塗り層(A)を形成し、
(2)前記下塗り層(A)上にアクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により半硬化させて接着層(D)を形成し、
(3)前記接着層(D)上に、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性のウレタン樹脂を主な樹脂成分とする印刷インキ被膜または塗料皮膜からなる転写層を有する水圧転写フィルムから前記転写層を水圧転写して装飾層(B)を形成し、
(4)水圧転写後の前記成形品を加熱により乾燥し、
(5)前記装飾層(B)上にアクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により硬化させて透明な硬化樹脂層(C)を形成し、
(6)前記下塗り層(A)が前記(1)工程で半硬化状態にあるときは、前記下塗り層(A)を前記(2)、(4)又は(5)の工程で完全硬化させ、前記半硬化状態にある接着層(D)を前記(4)又は(5)の工程で完全硬化させる。
【0053】
下塗り層(A)、硬化樹脂層(C)及び接着層(D)のそれぞれの塗布方法は、スプレー塗装、刷毛塗り塗装、ロール塗装などの何れであっても良いが、好ましくはスプレーガンやリシンガン等の機械装置でのスプレー塗装である。
【0054】
下塗り層(A)または接着層(D)が完全に硬化した状態で、その上に装飾層(B)を設けると、装飾層(B)の下塗り層(A)または接着層(D)への密着性が低いため、装飾層(B)が水圧転写される下塗り層(A)または接着層(D)は必ず半硬化状態である必要がある。水圧転写後、得られた水圧転写体を洗浄して残着した支持体フィルムを完全に除去した後、水分除去と下塗り層(A)または接着層(D)を完全硬化させる目的で加熱、乾燥させる。下塗り層または接着層中に水分が残存すると、下塗り層または接着層に膨れを生じたり、硬化樹脂層に気泡が発生し、耐熱水性を低下させる原因となる。
【0055】
[水圧転写フィルム]
次に水圧転写フィルムについて説明する。
水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体フィルム(以下、支持体フィルムと略す)としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース、ポリアクリルアミド、アセチルブチルセルロース、ゼラチン、にかわ、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のフィルムが使用できる。なかでも水圧転写用フィルムとして広く用いられているPVAフィルムが水に溶解し易く、入手が容易で、装飾層の形成にも適しており、特に好ましい。また、支持体フィルムの厚みは10〜200μm程度が好ましい。
【0056】
前記の印刷インキ又は塗料を用いて、上記支持体フィルム上に装飾層(B)となる転写層を印刷又は塗装して形成して水圧転写用フィルムを製造する。支持体フィルム上での転写層の形成は、従来の水圧転写用フィルムの製造と同様に、支持体フィルム上へのグラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などの慣用の印刷または塗布により行うことができ、中でもグラビア印刷により行うことが、複雑かつ鮮明な画像を容易に形成できることから好ましい。
【0057】
[水圧転写方法]
本発明において水圧転写法により下塗り層(A)または接着層(D)上に装飾層(B)を形成するには、慣用の水圧転写法に従って行えば良く、その概略は以下の通りである。
(1)装飾層(B)となる転写層を有する水圧転写用フィルムの支持体フィルム側を下にして水槽中の25℃〜30℃の水に浮かべ、支持体フィルムを水で溶解もしくは膨潤させる。
(2)前記転写層に有機溶剤を塗布または噴霧することにより転写層を活性化させる。なお、転写層の有機溶剤による活性化は、フィルムを水に浮かべる前に行っても良い。
(3)上述した下塗り層(A)、または下塗り層(A)と接着層(D)を有する目的形状に成形された繊維強化プラスチック成形品を水圧転写用フィルムの転写層に押しつけながら、水圧転写用フィルムと共に水中に沈めて行き、水圧によって転写層を前記成形体の下塗り層(A)または接着層(D)上に密着させて転写することにより装飾層(B)を形成する。
(4)水から出した前記成形品から水洗にて残存した支持体フィルムを除去し、本発明の装飾付き繊維強化プラスチック成形品を得る。
【0058】
支持体フィルム上の転写層は、水圧転写される前に散布される有機溶剤で活性化され、十分に可溶化もしくは柔軟化されることが必要である。ここで言う活性化とは、転写層に有機溶剤を塗布または散布することにより、転写層を構成する樹脂を完全には溶解せずに可溶化させ、水圧転写に際して水溶性もしくは水膨潤性の支持体フィルムから疎水性の転写層の剥離を容易にすると共に、転写層に柔軟性を付与することにより、被転写対象の成形体の三次元曲面への追従性と密着性を向上させることを意味する。この活性化は、転写層を水圧転写用フィルムから該成形体へ転写する際に、転写層が柔軟化され、成形体への三次元曲面への転写に十分に追従できる程度に行われれば良い。
【0059】
水圧転写における水槽の水は、転写層を被転写体である成形品の三次元曲面に密着させる水圧媒体として働く他、支持体フィルムを膨潤または溶解させるものであり、具体的には、水道水、蒸留水、イオン交換水などの水でよい。
【0060】
本発明に用いる活性化剤は、転写層を可溶化させる有機溶剤である。本発明に用いる活性化剤は、一般の水圧転写に用いる活性化剤と同様なものを用いることができ、具体的には、トルエン、キシレン、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトールアセテート、カルビトール、カルビトールアセテート、セロソルブアセテート、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、ソルフィットアセテートなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0061】
この活性化剤中に転写層と被転写体である成形品との密着性を高めるために、若干の樹脂成分を含ませてもよい。例えば、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂といった、インキのバインダーに類似の構造のものを1〜10%含ませることによって密着性が高まることがある。
【0062】
被転写体である成形品に装飾層を水圧転写した後は、従来の水圧転写方法と同様に水流で支持体フィルムを溶解もしくは剥離して除去する。
【0063】
本発明の装飾付き繊維強化プラスチック成形品は、その優れた意匠性、耐水性、耐薬品性及び耐久性から、装飾を付与することが好ましい建築部材、家電部材および自動車部材などの工業製品部材を始め、浴槽、浴室の壁板や床板、浴室のカウンター前板や防水パン、その他の浴室部材、洗面台及びシステムキッチン等の家庭用品の部材にも広く用いられる。本発明の装飾付き繊維強化プラスチック成形品は、なかでも、耐熱水性や耐薬品性に優れることから、浴槽や浴室の壁板や床板、浴室のカウンター前板や防水パン等の浴室部材の用途に特に好適であり、また洗面台やシステムキッチン等の台所部材の用途にも好適である。
【0064】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、文中「部」「%」は、断りのない限り質量基準である。
【0065】
(参考例1)下塗り層(A)用塗料(1)の調製
数平均分子量500のビスフェノールA型エポキシ樹脂65質量部、酸化チタン35質量部、溶剤(キシレン/酢酸ブチル/n−ブタノール=)50質量部をホモディスパーで十分に攪拌し、下塗り層用主剤を調製した。この主剤75質量部と硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンとビスフェノールA変性ポリアミド及びシンナー(キシレン:酢酸ブチル=80:20)を75:25:30の質量比で混合し、下塗り層(A)用塗料(1)を調製した。
【0066】
(参考例2)下塗り層(A)用塗料(2)の調製
数平均分子量500のビスフェノールA型エポキシ樹脂35質量部、数平均分子量1000のビスフェノールA型エポキシ樹脂30質量部、酸化チタン35質量部および溶剤(キシレン/酢酸ブチル/n−ブタノール=)50質量部をホモディスパーで十分に攪拌し、下塗り層用主剤を調製した。この主剤75質量部、硬化剤としてビスフェノールA変性ポリアミドアミン及びシンナー(キシレン:酢酸ブチル=80:20)を75:25:30の質量比で混合し、下塗り層(A)用塗料(2)を調製した。
【0067】
(参考例3)接着層(D)用塗料(3)の調製
メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、メチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート及びスチレンを50:10:10:20:10の比で共重合させて得た分子量10000のポリアクリレート共重合体(Tg69℃)を100質量部と、酸化チタン37質量部および溶剤50質量部をホモディスパーで十分に攪拌し、接着層用主剤を調製した。この主剤と硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(イソシアヌレート含有率78%、ウレトジオンダイマー含有率10%)と、シンナー(キシレン:酢酸ブチル=60:40)を質量比80:20:50で混合し、接着層(D)用塗料(3)を調製した。
【0068】
(参考例4)透明な硬化樹脂層(C)用塗料(4)の調製
メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、メチルアクリレート、ヒドロキシメチルアクリレートおよびスチレンを50:10:10:20:10の比で共重合させた分子量10000のポリアクリレート共重合体(Tg:69℃)70質量部と溶剤(キシレン:酢酸ブチル=65:35)30質量部をホモディスパーで十分に攪拌し、硬化樹脂層用主剤を調製した。この主剤と硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(イソシアヌレート含有率78%、ウレトジオンダイマー含有率10%)とシンナー(キシレン:酢酸ブチル=60:40)を質量比90:10:50で混合し、透明な硬化樹脂層(C)用塗料(4)を得た。
【0069】
(参考例5)下塗り層(A)用塗料(5)の調製
メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ヒドロキプロピルアクリレート及びヒドロキシエチルアクリレートを20:30:20:10:10:10の比で共重合させた分子量3500のポリアクリレート共重合体(Tg8.2℃)65質量部、酸化チタン35質量部および溶剤(キシレン:酢酸ブチル=65:35)80質量部をホモディスパーで十分に攪拌し、下塗り層用主剤を調製した。この主剤と硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(イソシアヌレート含有率78%、ウレトジオンダイマー含有率10%)とシンナー(キシレン:酢酸ブチル=60:40)を質量比90:10:50で混合し、下塗り層(A)用塗料(5)を得た。
【0070】
(参考例6)ウレタン系印刷インキの調製
数平均分子量20000のウレタン樹脂(三洋化成社製:サンプレンIB1700、不揮発分30%)40質量部、混合溶剤(トルエン:MEK:IPA=30:50:20)49質量部、ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)1質量部および顔料10質量部を1時間練肉し、更に溶剤で希釈して不揮発分23%のウレタン系印刷インキを調製した。
【0071】
(参考例7)硝化綿印刷インキの調製
平均重合度45〜55、窒素含有量10.7〜11.4質量%の硝化綿[旭化成社製:LIG1/8(不揮発分70%)]12質量部、チタンアセチルアセトネート[松本薬品工業社製:オルガチックスTC−100(不揮発分75%)]4質量部、ブチラール樹脂(電気化学工業社製:デンカブチラール2000−L)4質量部、混合溶剤(酢酸エチル:IPA=30:70)69質量部、ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)1質量部および顔料10質量部を1時間練肉し不揮発分26.4%の硝化綿印刷インキを調製した。
【0072】
(参考例8)水圧転写フィルム(1)の作製
参考例6で調製したウレタン系印刷インキをトーセロ製PVAフィルム「トスロン」に4版構成で石目柄を印刷し、水圧転写用フィルム(1)を得た。
【0073】
(参考例9)水圧転写フィルム(2)の作製
参考例7で調製した硝化綿印刷インキをトーセロ製PVAフィルム「トスロン」に4版構成で石目柄を印刷し、水圧転写用フィルム(2)を得た。
【0074】
(参考例10)水圧転写用活性剤の調製
キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、イソブチルアルコールを50:25:15:10の比で混合し、水圧転写用活性剤を得た。
【0075】
(実施例1)装飾付き浴槽(A)の作製
大日本インキ化学工業株式会社製のSMC(ディックマット2417、不飽和ポリエステル系SMC)を加熱加圧成形した繊維強化プラスチック浴槽の上縁面(図1及び図2の符号2で示す部分)と上縁面から浴槽内側下4cm以外の部分にマスキングテープによりマスキングを行い、次いで浴槽の上縁面と上縁面から浴槽内側下4cmとをイソプロパノールを用いて脱脂処理した。
【0076】
脱脂剤乾燥後、参考例1で作製した下塗り層用塗料(1)を上縁面と上縁面から浴槽内側下4cmに膜厚30μmになるように塗布し、室温で20分放置後、80℃で15分乾燥加熱し、下塗り層用塗料(1)を半硬化させ、下塗り層を形成させた。なお、下塗り層用塗料(1)を塗布した試験片を同様に処理して求めた下塗り層用塗料(1)のゲル分率は75%であった。以下の実施例においても、同様に試験片を処理して求めたゲル分率を記載した。
【0077】
次に、浴槽を室温まで放冷後、参考例8で作製した水圧転写用フィルム(1)を、装飾層を上にして30℃の水に浮かべ、フィルム面に活性剤30g/m2を噴霧した。活性剤の噴霧後、浴槽を浴槽開口部からフィルム面にゆっくり接触させ、フィルムと共にゆっくりと水中に沈めて装飾層を浴槽の上縁面に転写した。浴槽を水中から引き上げ、40℃の温水で洗浄後、さらに清浄水で洗浄した。次いで、浴槽を80℃の乾燥機で30分加熱、乾燥して下塗り層を完全に硬化させた(ゲル分率95%)。
【0078】
装飾層を設けた浴槽を放冷後、水圧転写した装飾層上に参考例4で調製した透明な硬化樹脂層用塗料(4)を30μmの膜厚になるように塗布し、20分室温で放置後、80℃で30分加熱して硬化させ、透明な硬化樹脂層を形成させた(ゲル分率92%)。30分放冷後、マスキングテープをはがし、表面に光沢があり、高級感のある大理石柄模様の装飾付き浴槽(A)を得た。
【0079】
(実施例2)装飾付き浴槽(B)の作製
大日本インキ化学工業株式会社製のSMC(ディックマット2451、不飽和ポリエステル系SMC)を実施例1と同様にマスキングし、イソプロパノールを用いて脱脂処理した。脱脂剤乾燥後、実施例1と同様に、参考例1で得た下塗り層用塗料(1)を上縁面と上縁面から浴槽内側下4cmに膜厚30μmになるように塗布した。室温で20分放置後、80℃で30分加熱、乾燥させて下塗り層用塗料(1)を完全硬化させて下塗り層を形成させた(ゲル分率96%)。
【0080】
次に、浴槽を室温まで放冷後、参考例(3)で得た接着層用塗料(3)を上記下塗り層上に膜厚30μmになるように塗布し、室温で20分放置後、80℃で15分加熱乾燥し半硬化状態の接着層を形成させた(ゲル分率77%)。
【0081】
次に、実施例1と同様に参考例8で作製した水圧転写用フィルム(1)の装飾層を浴槽の上縁面に水圧転写し、次いで、浴槽を80℃の乾燥機で30分加熱、乾燥して半硬化状態の接着層用塗料(3)を完全に硬化させた(ゲル分率97%)。装飾層を設けた浴槽を放冷後、装飾層上に参考例4で作製した硬化樹脂層(C)用塗料(4)を30μmの膜厚になるように塗布し、20分室温で放置後、80℃で30分加熱して硬化樹脂層用塗料(4)を完全に硬化させた(ゲル分率94%)。30分放冷後、マスキングテープをはがし、表面に光沢があり、高級感のある大理石柄模様の装飾付き浴槽(B)を得た。
【0082】
(実施例3)装飾付き浴室カウンターの作製
大日本インキ化学工業株式会社製のSMC(ディックマット2417、不飽和ポリエステル系SMC)を加熱加圧成形した長さ約1mの繊維強化プラスチック製の浴室カウンターの表面をイソプロパノールを用いて脱脂処理した。脱脂剤乾燥後、参考例1で得た下塗り層用塗料(1)をカウンター表面に膜厚30μmになるように塗布し、室温で20分放置後、80℃で30分乾燥、下塗り層用塗料(1)を完全硬化させて下塗り層を形成させた(ゲル分率97%)。
【0083】
次に、浴室カウンターを室温まで放冷後、参考例(3)で得た接着層用塗料(3)を下塗り層上に膜厚30μmになるように塗布し、室温で20分放置後、80℃で15分加熱乾燥して接着層用塗料(3)を半硬化状態の接着層を形成させた(ゲル分率74%)。
【0084】
次に、実施例1と同様に参考例8で作製した水圧転写用フィルム(1)を浴室カウンターの接着層上に転写し、次いで、浴室カウンターを80℃で30分乾燥し、半硬化状態の接着層を完全に硬化させた(ゲル分率98%)。装飾層を設けた浴室カウンターを放冷後、水圧転写した装飾層の上に参考例4で作製した透明な硬化樹脂層用塗料(4)を30μmの膜厚になるように塗布し、20分室温で放置後、80℃で30分加熱して硬化樹脂層用塗料(4)を完全に硬化させた(ゲル分率92%)。30分放冷後、マスキングテープをはがし、表面に光沢があり、高級感のある大理石柄模様の装飾付き浴室カウンターを得た。
【0085】
(比較例1)装飾付き浴槽(C)の作製
大日本インキ化学工業株式会社製SMCを加熱加圧成形した繊維強化プラスチック浴槽を用いて、実施例1と同様なマスキングおよび脱脂処理を行った。
脱脂剤を乾燥させた後、参考例1で作製した下塗り層用塗料(1)を実施例1と同様に30μmの膜厚になるように浴槽に塗装し、室温で20分放置後、60℃で15分加熱乾燥して硬化させた(ゲル分率67%)。
【0086】
次に、浴槽を室温まで放冷後、実施例1と同様に参考例8で作製した水圧転写用フィルム(1)を浴槽に転写した。次に、装飾層を設けた浴槽を60℃の乾燥機で10分乾燥し、下塗り層の水分を除去した。(ゲル分率75%)
装飾層を設けた浴槽を放冷後、参考例4で作製した透明な硬化樹脂層用塗料(4)を30μmの膜厚になるように塗装し、20分室温で放置後、80℃で30分加熱して硬化させた(ゲル分率91%)。30分放冷後、マスキングテープをはがし、大理石柄模様の装飾付き浴槽(C)を得た。
【0087】
(比較例2)装飾付き浴槽(D)の作製
実施例1で用いたものと同様の大日本インキ化学工業株式会社製SMCを加熱加圧成形した繊維強化プラスチック浴槽を用いて、実施例1と同様なマスキングおよび脱脂処理を行った。脱脂剤を乾燥させた後、参考例5で作製した下塗り層用塗料(5)を実施例1と同様に30μmの膜厚になるように浴槽に塗装し、室温で20分放置後、80℃で30分乾燥、加熱して半硬化させた(ゲル分率65%)。
【0088】
次に、浴槽を室温まで放冷後、実施例1と同様に参考例8で作製した水圧転写用フィルム(1)を浴槽に転写した。次に、浴槽を80℃の乾燥機で30分乾燥し、半硬化の下塗り層を完全に硬化させた(ゲル分率97%)。
浴槽を放冷後、参考例4で作製した透明な硬化樹脂層用塗料(4)を30μmの膜厚になるように塗装し、20分室温で放置後、80℃で30分加熱して硬化させた(ゲル分率91%)。30分放冷後、マスキングテープをはがし、大理石柄模様の装飾付き浴槽(D)を得た。
【0089】
(比較例3)装飾付き浴槽(E)の作製
実施例1で用いたものと同様の大日本インキ化学工業株式会社SMCを加熱加圧成形した繊維強化プラスチック浴槽を用いて、実施例1と同様なマスキングおよび脱脂処理を行った。脱脂剤を乾燥させた後、参考例1で作製した下塗り層用塗料(1)を実施例1と同様に30μmの膜厚になるように浴槽に塗装し、室温で20分放置後、80℃で15分加熱、乾燥して半硬化させた(ゲル分率77%)。次に、浴槽を室温まで放冷後、実施例1と同様に参考例9で作製した水圧転写用フィルム(2)を浴槽に転写した。次に、浴槽を80℃の乾燥機で30分加熱乾燥し、半硬化の下塗り層を完全に硬化させた(ゲル分率95%)。
【0090】
浴槽を放冷後、参考例4で調製した透明な硬化樹脂層用塗料(4)を30μmの膜厚になるように塗装し20分室温で放置後、80℃で30分加熱して硬化させた(ゲル分率93%)。30分放冷後、マスキングテープをはがし、大理石柄模様の装飾付き浴槽(E)を得た。
【0091】
(比較例4)装飾付き浴槽(F)の作製
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、商品名ダイヤホイルT−100、25μm厚)にヘキサメチレンジイソシアネートとアクリルポリオールからなる2液硬化型ポリウレタン樹脂をバインダーとするインキ(ザインクテック株式会社製、NL−ALFA)を用いてグラビア印刷にて石目模様を印刷して装飾層を形成した後、その印刷面に2液硬化型ポリウレタン樹脂接着剤(大日精化工業株式会社製、E−295)を用いて着色ABSシート(三宝樹脂製「A402」、30μm厚)をドライラミネートした。
【0092】
この装飾シートのABS面が不飽和ポリエステル樹脂とガラス繊維とからなる大日本インキ化学工業株式会社製のSMCと接するようにして重ね合わせ、これらを5分間加熱加圧してSMCを硬化させるとともに両者を接着一体成形し、装飾層つきの浴槽を得た。
【0093】
次に作製した浴槽の耐熱水性試験や耐洗剤性試験を以下に示す方法で行った。
(耐熱水試験)
作製した浴槽にサーモスタット付投げ込みヒータを設置し浴槽内を満水にして、浴槽内の水温を92℃に加温した。この浴槽に、ステンレス板で蓋をして、92℃の温水を満水にしたまま300時間放置した。300時間経過後、浴槽から温水を抜き取り、転写面のはがれや膨れを調べた。評価は、目視により、はがれや膨れのないものを○、はがれまたは膨れが確認されたものを×とした。
【0094】
(耐洗剤性試験)
10cm×10cmのSMC試験平板に実施例および比較例で作製した装飾付き浴槽または浴室カウンターと同様の層構成を持ち、かつ実施例および比較例と同様に水圧転写により装飾層を転写した試験平板をそれぞれ作製した。弱酸性の洗剤原液(キンチョー株式会社製ティンクル)を40℃に保温した水槽に、これらのSMC試験平板を浸漬した。80時間後および200時間後に試験平板を取り出し、表面状態を確認した。200時間でも変化がなかったものを○、80時間までは変化がなかったが、200時間では膨れやはがれが出たものを△、80時間で膨れまたははがれが生じたものを×とした。
【0095】
(耐擦傷性試験)
実施例と比較例の浴槽または浴室カウンターの装飾部分をクレンザー1gを水10mlに分散したものを付けたアルミ粉付スポンジたわしで100回擦った。この表面の光沢が試験前の光沢値の80%以上を保持したものを○、80%未満の光沢保持率のものを×とした。
【0096】
(水圧転写性評価)
浴槽または浴室カウンターの装飾部分で、転写フィルムの印刷柄が崩れなく水圧転写された場合を○、一部でも柄の崩れを生じた場合を×とした。
【0097】
(水圧転写体の表面光沢測定方法)
JIS K5400に準じて、熱水試験後の水圧転写体の60度鏡面光沢度を日本電色工業株式会社製ハンディー光沢計PG−1により測定した。
【0098】
【表1】
Figure 0004483175
【0099】
耐熱水性試験の結果、実施例1と2で作製した浴槽(A)、(B)及び実施例3で作成した浴室カウンターは膨れやはがれはなく、試験前と同じ良好な光沢ある外観を保っていた。これに対して、比較例1と2で作製した浴槽(C)と(D)は浴槽の装飾を施した表面に多数の膨れを生じていた。膨れを分析したところ、いずれも下塗り層とSMCの界面で膨れが生じていた。また、比較例3で作製した浴槽(E)は装飾層と下塗り層の間で剥離と膨れが生じていた。
【0100】
比較例1の浴槽Cは、下塗り層の硬化が不十分であったために十分な密着性が維持できず、かつ架橋度が低いため透水性が高くなり膨れを生じたと考えられ、比較例2の浴槽Dは、下塗り層に用いたアクリル樹脂がSMCとの密着性が低いために、高温下でSMCとの密着を維持できなかったものと考えられる。比較例3の浴槽Eは、硝化綿印刷インキの耐水性が低いために、装飾層を水が透過したものと考えられる。比較例4の一体成形型装飾付き浴槽では、製造した浴槽の角の部分、および浴槽底部に近い内側側面に設けられた絵柄模様ほど引き伸ばされた形状となり、意匠性が著しく損なわれたものとなった。また、耐擦傷性、耐熱水性ともに低かった。
【0101】
【発明の効果】
本発明の装飾付き繊維強化プラスチック成形品は、光沢があり、鮮明で詳細な絵柄模様を有し、例えば、浴槽などの浴室部材として十分な耐水性、耐熱性、耐薬品性及び耐擦傷性を有する。また、本発明の繊維強化プラスチック成形品の装飾方法は、繊維強化プラスチック成形品に優れた意匠性、耐水性、耐薬品性及び耐擦傷性を有する詳細な絵柄模様を鮮明に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の装飾付き浴槽の斜視図である。
【図2】 実施例1の装飾付き浴槽の断面図である。
【符号の説明】
1 浴槽
2 上縁面
3 装飾部分

Claims (3)

  1. (1)繊維強化プラスチック成形品の装飾所望箇所に硬化性エポキシ樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により半硬化させて下塗り層(A)を形成し、
    (2)前記下塗り層(A)上に、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性のウレタン樹脂を主な樹脂成分とする印刷インキ被膜または塗料皮膜からなる転写層を有する水圧転写フィルムから前記転写層を水圧転写して装飾層(B)を形成し、
    (3)水圧転写後の前記成形品を加熱乾燥し、
    (4)前記装飾層(B)上にアクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により硬化させて透明な硬化樹脂層(C)を形成し、
    (5)前記下塗り層(A)を前記(3)又は(4)の工程で完全硬化させることを特徴とする繊維強化プラスチック成形品の装飾方法。
  2. 前記(1)における下塗り層(A)のゲル分率が67%を超え且つ85%以下である請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形品の装飾方法。
  3. (1)繊維強化プラスチック成形品の装飾所望箇所に硬化性エポキシ樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱させて下塗り層(A)を形成し、
    (2)前記下塗り層(A)上にアクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により半硬化させて接着層(D)を形成し、
    (3)前記接着層(D)上に、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと前記支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な疎水性のウレタン樹脂を主な樹脂成分とする印刷インキ被膜または塗料皮膜からなる転写層を有する水圧転写フィルムから前記転写層を水圧転写して装飾層(B)を形成し、
    (4)水圧転写後の前記成形品を加熱により乾燥し、
    (5)前記装飾層(B)上にアクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物を塗布し、塗布した前記組成物を加熱により硬化させて透明な硬化樹脂層(C)を形成し、
    (6)前記接着層(D)を前記(4)又は(5)の工程で完全硬化させることを特徴とする繊維強化プラスチック成形品の装飾方法。
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