JP4097807B2 - 断熱性容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インスタントラーメンなどの即席食品を入れるカップ状の容器に係り、特に熱湯を注いでそのまま食することのできる断熱性に優れた容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種のカップ状をした断熱性容器としては、発泡ポリスチレンなどのプラスチック製のものが多用されていたが、これらは廃棄した場合に公害問題になることから、これに代わるものとして、例えば実開平4−45212号公報に見られるように、胴部を二重にして断熱用の空隙を形成した紙製の断熱性容器が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術で述べた実開平4−45212号公報に記載の断熱性容器は、通常の紙カップに対してテーパーの異なった底なしの外筒を組み合わせるという簡単な構成により断熱効果を有するカップが得られるという利点がある。そして、断熱用の空隙が下方に行くほど大きくなっているので、通常の持ち方では良好な断熱効果を発揮する。しかしながら、上部寄りのところをつかんで持つ状態が長く続くと、断熱効果を発揮する空隙が無いか又は狭いので、段々と熱くなってくるという問題点がある。
【0004】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、胴部のいずれの場所を手で持っても内容物の熱が伝わり難い優れた断熱性容器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の断熱性容器は、上方開口縁に外向きカール部を有する紙カップ本体と、上方及び下方共に開口しており下方開口縁に内向きカール部を有する紙製の外筒とからなり、外筒はその上方開口内面が紙カップ本体における外向きカール部直下の側壁外周面に当接すると共にその下方開口縁の内向きカール部が紙カップ本体の下部の側壁外周面に当接する大きさであって、外筒の胴部上方には内向きに凹んだ複数の小さな凹部と外向きに突き出た複数の小さな凸部とが混在した状態で全周に渡って設けられており、その外筒を紙カップ本体に被せて外筒の胴部上方の内面を凹部のところで紙カップ本体の胴部上方の側壁外周面に接着して両者を一体とすることにより形成され、紙カップ本体と外筒の間に空隙が形成されていることを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0007】
図1は本発明に係る断熱性容器の一例を示すもので、左半分及び右半分をそれぞれ断面図と正面図で示す概略構成図であり、同図の断熱性容器1は、紙カップ本体2と上方及び下方共に開口した中空円筒状の外筒3とで構成されている。
【0008】
紙カップ本体2は、内面若しくは内外両面にポリエチレン等の合成樹脂をコーティングした紙からなるもので、通常の紙カップと同様に胴部4の下方に底板5を巻き締めると共に上方開口縁に外向きカール部6が形成されたものである。
【0009】
一方、中空円筒状の外筒3は、紙単体若しくは片面又は両面にポリエチレン等の合成樹脂をコーティングした紙からできており、胴部7の下方開口縁に内向きカール部8が形成されている。また、外筒3はその胴部7が紙カップ本体2の胴部4より裾が少し拡がったテーパーを有するもので、その上方開口内面が紙カップ本体2における外向きカール部6直下の側壁外周面に当接すると共にその下方開口縁の内向きカール部8が紙カップ本体2の下部の側壁外周面に当接する大きさとされている。
【0010】
そして、図示の如く、外筒3の胴部上方には内向きに凹んだ複数の小さな凹部9,10と外向きに突き出た複数の小さな凸部11とが混在した状態で全周に渡って設けられており、図示の例では、これらの凹部9,10と凸部11が規則的に並んだ状態になっている。すなわち、ごく小さな凹部9が縦方向に4つ並び且つそれらが周回方向に等間隔で設けられており、またこれら凹部9の並びの下方に、凹部9より大きめの凸部11が上下に2つ並び且つそれらが凹部9の並びに対して1つ置きとなるように周回方向に設けられ、さらに凹部9より大きめの凹部10が上下左右に隣接する4つの凸部11の中間に位置するようにして周回方向に並んでいる。これらの凹部9,10と凸部11は絵柄等を印刷したカップ原紙にエンボス加工を施すことで形成される。
【0011】
そして、紙カップ本体2に上記構成の外筒3を被せ、外筒3の胴部上方の内面を紙カップ本体2の胴部上方の側壁外周面にエマルジョン系接着剤等の接着剤12で接着して両者を一体とすることにより、図1の断熱性容器1が形成されている。図示の例では、外筒3はその小さな凹部9のところで接着剤12により紙カップ本体2に貼り合わせられている。なお、使用形態によっては、外筒3の下方開口縁に形成された内向きカール部8の部分も紙カップ本体2の下方の側壁外周面に接着することにより、紙カップ本体2と外筒3の結合をより確実なものにしてもよい。
【0012】
上記構成の断熱性容器1においては、テーパーの異なる紙カップ本体2の胴部4と外筒3の胴部7の間に空隙13が形成され、この空隙13の部分が断熱作用を果たす。しかも、複数の小さな凹部9,10があることによって上方付近でも空隙13がある程度の間隔で保持され、また凸部11の部分では外側に膨らんだ空隙が形成される。したがって、断熱性容器1に例えば熱湯を入れた場合、内側の胴部4の熱が外側の胴部7に伝わるのが上下の広い範囲に渡って防止され、この種の容器において通常把持されるどの場所をつかんで持ってもそれ程熱くなることがない。特に、凸部11の部分では空隙13が大きいので断熱効果が大きくなり、しかも凸部11があることによって持ち易さが向上する。
【0013】
なお、言うまでもないことであるが、外筒3の胴部上方に設ける凹部と凸部は図1に示した例に限るものではなく、接着剤を塗布する場所、断熱作用、デザイン等を考慮してそれらの大きさや配置を決めればよい。この場合、全周に渡って断熱作用を平均化させるため規則的に配置することが好ましい。
【0014】
また、紙カップ本体2の胴部4に、周回方向であって内面側又は外面側に突出する突条を形成して、熱湯を注ぐ時の目安となる注入基準線を設けるようにしてもよい。
【0015】
【発明の効果】
本発明の断熱性容器は、上方開口縁に外向きカール部を有する紙カップ本体と、上方及び下方共に開口しており下方開口縁に内向きカール部を有する紙製の外筒とからなり、外筒はその上方開口内面が紙カップ本体における外向きカール部直下の側壁外周面に当接すると共にその下方開口縁の内向きカール部が紙カップ本体の下部の側壁外周面に当接する大きさであって、外筒の胴部上方には内向きに凹んだ複数の小さな凹部と外向きに突き出た複数の小さな凸部とが混在した状態で全周に渡って設けられており、その外筒を紙カップ本体に被せて外筒の胴部上方の内面を凹部のところで紙カップ本体の胴部上方の側壁外周面に接着して両者を一体とすることにより形成され、紙カップ本体と外筒の間に空隙が形成されている構成としたので、外筒の胴部上方に凹部があることにより下方は勿論のこと上部付近でも断熱用の空隙がある程度の間隔で形成され、また外筒の胴部上方に凸部があることによりその部分での空隙が大きくなることから、これら凹部と凸部の相乗作用により、胴部のいずれの場所を手で持っても、特に上方付近を手で持った場合でも内容物の熱が伝わりにくいという断熱性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る断熱性容器の一例を示すもので、左半分及び右半分をそれぞれ断面図と正面図で示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 断熱性容器
2 紙カップ本体
3 外筒
4 胴部
5 底板
6 外向きカール部
7 胴部
8 内向きカール部
9,10 凹部
11 凸部
12 接着剤
13 空隙
Claims (1)
- 上方開口縁に外向きカール部を有する紙カップ本体と、上方及び下方共に開口しており下方開口縁に内向きカール部を有する紙製の外筒とからなり、外筒はその上方開口内面が紙カップ本体における外向きカール部直下の側壁外周面に当接すると共にその下方開口縁の内向きカール部が紙カップ本体の下部の側壁外周面に当接する大きさであって、外筒の胴部上方には内向きに凹んだ複数の小さな凹部と外向きに突き出た複数の小さな凸部とが混在した状態で全周に渡って設けられており、その外筒を紙カップ本体に被せて外筒の胴部上方の内面を凹部のところで紙カップ本体の胴部上方の側壁外周面に接着して両者を一体とすることにより形成され、紙カップ本体と外筒の間に空隙が形成されていることを特徴とする断熱性容器。
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- 1998-10-19 JP JP29634198A patent/JP4097807B2/ja not_active Expired - Lifetime
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