JP4061066B2 - 断熱紙カップの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インスタントラーメンなどの即席食品を入れるカップ状の紙カップの製造方法に係り、特に熱湯を注いでそのまま食する時に使うことができる断熱性を有する断熱紙カップの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、断熱性を有するカップ状をした容器としては、発泡ポリスチレンなどのプラスチック製のものが多用されていたが、これらは廃棄した場合に公害問題になることから、これに代わるものとして、紙カップ本体と外筒からなる胴部を二重にした形態の断熱紙カップが種々提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の紙カップ本体と外筒からなる胴部を二重にした形態の断熱紙カップ、例えば図1に示すような断熱紙カップAの製造方法では、図4のフローに示すように、まず、容器メーカーにおいて、紙カップの製造方法で上方開口縁に外向きにトップカール部6を有する紙カップ本体2を作製し、その紙カップ本体2に外筒3を被せて断熱紙カップ本体1を作製する。この断熱紙カップ本体1の状態で容器メーカーから充填メーカーに輸送される。充填メーカーでは、胴部が二重の断熱紙カップ本体1に内容物を充填した後、蓋材10をシールする。そのため、図5に示すように、シール機SのリテーナーRで断熱紙カップ本体1のトップカール部6を保持する必要がある。内容物を充填する前に、紙カップ本体2に外筒3を被せて一体とした断熱紙カップ本体1の場合、このリテーナーRに断熱紙カップ本体1のトップカール部6をかけるためには、図6に示すように、リテーナーRにかける部分の幅を約2mm以上必要とする。従って、トップカール部6の張り出した部分の幅Dより外筒3の厚さTを約2mm以上小さくする必要があり、断熱性を高めるために外筒3の厚さを厚くすることが限定される。つまり、外筒3の厚さをトップカール部6の張り出した部分の幅Dから約2mm引いた厚さ以下とする必要があるという問題がある。
【0004】
また、胴部が二重である状態の断熱紙カップ本体では、スタッキングピッチが大きくなり、容器メーカーから充填メーカーまでの輸送効率が低くなりコストが高くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、紙カップ本体と外筒からなり胴部が二重である断熱紙カップ本体に蓋材をシールした断熱紙カップの製造において、外筒の厚さに拘わらず、シール機のリテーナーにかけることができる断熱紙カップの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため
に、本発明の断熱紙カップの製造方法は、上方開口縁に外向きにトップカール部を有する紙カップ本体と、該紙カップ本体の側壁外周に被せられた紙製の外筒と、蓋材とからなり、前記トップカール部の張り出した部分の幅から前記外筒の厚さを引いた差が2mm未満であり、シール機のリテーナーに前記紙カップ本体の前記トップカール部をかけて保持して前記トップカール部に前記蓋材をシールする断熱紙容器の製造方法において、前記紙カップ本体に内容物を充填し、前記トップカール部の張り出した部分の全幅を利用して前記トップカール部を前記リテーナーで容易に保持して前記蓋材をシールした後に、前記外筒を取り付けて該外筒はその上方内面が前記紙カップ本体における前記トップカール部直下の側壁外周面に接触するように両者を一体とすることにより形成することを特徴とする断熱紙容器の製造方法である。
【0007】
本発明の断熱紙容器の製造方法によれば、紙カップ本体と外筒からなり胴部が二重である断熱紙カップの製造において、紙カップ本体に内容物を充填し、蓋材をシールした後に、前記外筒を取り付けることによって、外筒の厚さに拘わらず、シール機のリテーナーにかけることができる。
【0008】
また、紙カップ本体だけの状態で容器メーカーから充填メーカーまで輸送するため、スタッキングピッチが小さくてすみ、輸送効率が高くなりコストが安くなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、図面を参照しながら本発明の断熱紙カップの製造方法について説明する。
【0010】
本発明の断熱紙カップの製造方法により製造した断熱紙カップは、外観的には、従来の形態と同様であり、図1は、その一例を示すもので、左半分及び右半分をそれぞれ断面図と正面図で示す概略構成図である。断熱紙カップAは断熱紙カップ本体1に蓋材10をシールして密封したものであり、断熱紙カップ本体1は、紙カップ本体2と上方及び下方共に開口した中空円筒状の外筒3とからなる構成となっている。
【0011】
紙カップ本体2は、通常の紙カップと同様に胴部4の下方に底部5を巻き締めると共に上方開口縁に外向きにトップカール部6が形成されたものである。
【0012】
また、紙カップ本体2は、内面若しくは内外両面にポリエチレン等の合成樹脂をコーティングした紙からなるもので、その材料構成は、紙を主強度材とし、最内層に熱可塑性樹脂を有することを基本としている。例えば、紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、発泡ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン層/紙層/ポリプロピレン層、紙層/ポリエチレン樹脂層/アルミニウム層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/アルミニウム層/ポリエチレン樹脂層などがあげられる。
【0013】
主強度材となる紙としては、紙カップ成形適性の良いカップ原紙を使用することが好ましい。坪量は、とくに限定されないが、紙カップ成形適性上、150〜300g/m2の範囲がより好ましい。
【0014】
最内層に使用する熱可塑性樹脂は、内容物の保護、特に液状の物質を入れても洩れない機能、また、熱シールにより胴部の貼り合わせ、そして胴部と底部の接着を可能にする機能を持っている必要がある。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体などがあげられる。厚さとしては、15〜70μmの範囲が好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、押し出し加工あるいはラミネート加工によって、最内層に形成される。
【0015】
つぎに、中空円筒状の外筒3は、断熱性を有する材料からなっている。例えば、紙単体若しくは片面または両面にポリエチレン等の合成樹脂をコーティングした紙、複数の縦凹状を形成した紙、コルゲート加工紙、発泡加工紙、エンボス紙などがあげられる。これらの材料からなる外筒3を紙カップ本体2の下から被せ、外筒3の上方開口面を紙カップ本体2の胴部上方付近の側壁外周面にエマルジョン系等の接着剤8で接着して両者を一体とすることにより、図1の断熱紙カップ1が形成されている。
【0016】
外筒3は、扇状のブランクを巻回して両端部分を貼り合わせることで中空円筒状に形成される。
【0017】
上記構成の断熱紙カップ本体1においては、紙カップ本体2の胴部4に外筒3を被せた形状として、断熱効果を持たせている。したがって、断熱紙カップ本体1に例えば熱湯を入れた場合、内側の胴部4の熱が外側の外筒3に伝わるのが広い範囲に渡って防止され、この種の容器において通常持つとされるいずれの場所をつかんで持っても熱くなることがない。
【0018】
図2は、本発明の断熱紙カップの製造方法により製造した断熱紙カップの他の例を示すもので、左半分及び右半分をそれぞれ断面図と正面図で示す概略構成図であり、断熱紙カップBは断熱紙カップ本体1に蓋材10をシールして密封したものであり、断熱紙カップ本体1は、紙カップ本体2と上方及び下方共に開口した中空円筒状の外筒3とからなる構成となっている。
【0019】
紙カップ本体2は、前の例と同様であり、胴部4の下方に底部5を巻き締めると共に上方開口縁に外向きにトップカール部6が形成されたものである。
【0020】
つぎに、中空円筒状の外筒3は、前の例と異なり、外筒3の下方開口縁に内向きカール部7が形成されている。また、外筒3は紙カップ本体2の胴部4より裾が少し拡がったテーパーを有するもので、その上方開口内面が紙カップ本体2におけるトップカール部6の直下の側壁外周面に接触すると共に外筒3の下方開口縁の内向きカール部7が紙カップ本体2の下方の側壁外周面に接触する大きさとされている。
【0021】
そして、紙カップ本体2に上記構成の外筒3を下から被せ、外筒3の上方開口面を紙カップ本体2におけるトップカール部6の直下の側壁外周面にエマルジョン系等の接着剤8で接着して両者を一体とすることにより、図2の断熱紙カップ1が形成されている。なお、使用形態によっては、外筒3の下方開口縁に形成された内向きカール部7の部分も紙カップ本体2の下方の側壁外周面に接着することにより、紙カップ本体2と外筒3の結合をより確実なものにしてもよい。
【0022】
外筒3は、扇状のブランクを巻回して両端部分を貼り合わせることで中空円筒状に形成される。そして、下方開口縁の内向きカール部8は紙カップ本体2のトップカール部6と同様にして形成される。
【0023】
上記構成の断熱紙カップ本体1においては、紙カップ本体2の胴部4と外筒3の間に空隙9が形成され、この空隙9の部分が断熱作用を果たす。したがって、断熱性容器1に例えば熱湯を入れた場合、内側の胴部4の熱が外側の外筒3に伝わるのが広い範囲に渡って防止され、この種の容器において通常持つとされるいずれの場所をつかんで持っても熱くなることがない。
【0024】
本発明の断熱紙カップの製造方法は、図3のフローに示すように、まず、容器メーカーにおいて、公知の紙カップの製造方法で上方開口縁に外向きにトップカール部6を有する紙カップ本体2を作製する。
【0025】
つぎに、この紙カップ本体2の状態で、容器メーカーから充填メーカーへ輸送する。充填メーカーでは、この紙カップ本体2に充填ラインで内容物を充填する。そして、シール機で蓋材10をトップカール部6にシールする。この時、紙カップ本体2に外筒3が被せられていないため、トップカール部6の張り出した部分の全幅を利用することができ、トップカール部6をリテーナーで容易に保持することができる。
【0026】
最後に、図3−aのフローにおいては、トップカール部6に蓋材10がシールされた紙カップ本体2の胴部に外筒3が被せられる。この外筒3を紙カップ本体2に取り付ける方法としては、外筒3の内面を紙カップ本体2の側壁外周面に接着剤、両面テープ、ヒートシールで接着する方法があるが、それらの方法以外にも、外筒3を紙カップ本体2に嵌め込むことで抜け出しにくい状態とする方法がある。このようにして、内容物が充填された断熱紙カップ1が完成する。なお、外筒3を取り付ける工程は、図3−b、cのフローに示すように、充填メーカーではなく内容物を食する直前である店舗、自販機などの販売箇所、あるいは、消費者が持ち帰って行うことができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の断熱紙カップの製造方法によれば、紙カップ本体と外筒からなり胴部が二重である断熱紙カップにおいて、紙カップ本体に内容物を充填し、蓋材をシールした後に、前記外筒を取り付けることによって、外筒の厚さに拘わらず、シール機のリテーナーにかけることができる。
【0028】
また、紙カップ本体だけの状態で容器メーカーから充填メーカーまで輸送するため、スタッキングピッチが小さくてすみ、輸送効率が高くなりコストが安くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る断熱紙カップの製造方法による断熱紙カップの一例を示す部分切り欠け断面図である。
【図2】本発明に係る断熱紙カップの製造方法による断熱紙カップの他の例を示す部分切り欠け断面図である。
【図3】本発明に係る断熱紙カップの製造方法によるフローを示す図である。
【図4】従来の断熱紙カップの製造方法によるフローを示す図である。
【図5】断熱紙カップ本体をリテーナーにかけた状態を示す概略断面図である。
【図6】断熱紙カップ本体をリテーナーにかけた状態を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
A 断熱紙容器
B 断熱紙容器
1 断熱紙カップ本体
2 紙カップ本体
3 外筒
4 胴部
5 底板
6 トップカール部
7 内向きカール部
8 接着剤
9 空隙
10 蓋材
S シール機
R リテーナー
Claims (1)
- 上方開口縁に外向きにトップカール部を有する紙カップ本体と、該紙カップ本体の側壁外周に被せられた紙製の外筒と、蓋材とからなり、前記トップカール部の張り出した部分の幅から前記外筒の厚さを引いた差が2mm未満であり、シール機のリテーナーに前記紙カップ本体の前記トップカール部をかけて保持して前記トップカール部に前記蓋材をシールする断熱紙容器の製造方法において、前記紙カップ本体に内容物を充填し、前記トップカール部の張り出した部分の全幅を利用して前記トップカール部を前記リテーナーで容易に保持して前記蓋材をシールした後に、前記外筒を取り付けて該外筒はその上方内面が前記紙カップ本体における前記トップカール部直下の側壁外周面に接触するように両者を一体とすることにより形成することを特徴とする断熱紙容器の製造方法。
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