JP3702908B2 - 断熱性紙カップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱湯を注いだり、電子レンジで加熱したりして食用に供するインスタント食品等の包装,収納に使用される断熱性を有する紙カップに関する。
【0002】
【従来の技術】
インスタントカップ麺,インスタントみそ汁等のごとく、容器内に直接熱湯を注いで食用に供する食品の容器としては、発砲ポリスチレン樹脂の容器が多用されているが、廃棄処分に当り、嵩張るとか、焼却時に燃焼カロリーが高く、かつ黒煙を発生する等の問題があり、しかも電子レンジでの加熱に耐えない欠点も有していた。
【0003】
前記発砲ポリスチレン樹脂の容器の問題,欠点を解決するものとして実公昭54ー5282号公報とか、特開平5ー178341号公報とかに開示される容器が提案されている。
【0004】
しかし、前記実公昭54ー5282号公報に示されるものは、外層の防熱被覆材が波形板紙であるため、外表面の凹凸が目立ち、波形成形前に施した印刷、あるいは貼付したレッテル等の図形,文字等が乱れ、美観をそこね、かつ細文字等は判読しにくくなる等の問題がある。
【0005】
また前記特開平5ー178341号公報に示されるものは、紙容器本体の外側面に貼着した表面断熱板カバーの縦突条が、下端部の高さを上端部の高さより高く形成されているため、スタッキング時に下向き重圧が作用すると、縦突条の下端部が変形し、重なり合う容器同士が強く密着してブロッキング現象を惹起する問題があり、このブロッキング現象は、前記実公昭54ー5282号公報に示されるものにも発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の断熱紙カップの有する問題点に鑑み、本発明は、断熱性が良好で、断熱カバー外面に施した印刷等の視認性が良く、焼却処分等の際にも公害の発生が無く、電子レンジによる加熱も可能であり、把持強度が大で、スタッキング時にブロッキング現象を生ずることも無い断熱性紙カップを提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1の発明では、紙料を主材とする逆截頭円錐形のカップ状の容器本体の外周面の開口縁から底縁に至る間に、複数本の環状突条を周方向に突設した。
【0008】
前記外周面には、上下方向に走る多数の凹条部によって区分された略平坦外面の多数の凸条部を有するところの紙料を主材とする断熱カバーを貼付した。
【0009】
そして前記凸条部は、上端の周方向幅を、4mmないし30mmの範囲に選定し、前記凹条部の周方向の幅を、前記凸条部の周方向幅に対し、0.2ないし0.8の比率の範囲に選定し、更に容器本体の環状突条の突出高さを、底縁から開口縁に向うほど高く形成するという構成とした。
【0010】
また請求項2の発明では、断熱カバーの凸条部の、容器本体の外周面からの突出高さが、容器本体の底縁から開口縁に向うほど高い形状とするという構成を、請求項1の発明に付加した。
【0011】
請求項3の発明では、請求項1または請求項2の発明における断熱カバー凹条部の周方向の断面形状をV字状とするという構成とした。
【0012】
さらに請求項4の発明では、請求項1,請求項2または請求項3の発明における容器本体の各環状突条の外面と、断熱カバーの凹条部の裏面稜縁とを発泡性接着剤で貼着するという構成とした。
【0013】
【発明の実施の形態】
図は、請求項1ないし請求項4の各発明を併せ適用した実施の一例を示している。
【0014】
図1,図2および図3に示す逆截頭円錐形のカップ状の容器本体1は、耐水加工された紙料を主材として成形されており、カールされた開口縁2と糸敷部たる底縁3との間の外周面に複数本の環状突条4,5,6が周方向に突設されている。
【0015】
前記環状突条4,5,6は、底縁3から開口縁2に向うほど、その突出高さH3,H2,H1が順次高くされている。
【0016】
容器本体1の外周面には、図4,図5および図6に示されるごとく、上下方向に走る多数の凹条部7で区分された略平坦外面を呈する多数の凸条部8が形成された扇形の断熱カバー9が貼付されている。
【0017】
前記断熱カバー9は耐水加工された紙料を主材とし、外表面に図柄,文字等が印刷され、各環状突条4,5,6の外面に対し、凹条部7の裏面稜縁10において、図示を省略した発泡性接着剤で貼着されている。
【0018】
断熱カバー9の凸条部8は、上端11の周方向の幅W1が4mmないし30mmの範囲に選定されており、凹条部7の周方向の幅W2が、凸条部8の上端の周方向の幅W1に対し、その0.2ないし0.8の比率の範囲に選定されている。
【0019】
断熱カバー9は、前述のごとく、凹条部7の裏面稜縁10において、発泡性接着剤で環状突条4,5,6の外面に貼着されており、環状突条4,5,6は、容器本体1の底縁3から開口縁2に向うほど、その突出高さH3,H2,H1が順次高くされているので、この環状突条4,5,6に貼着された断熱カバー9の凸条部8の、容器本体1の外周面からの突出高さH4も底縁3から開口縁2に向うほど高く形成されている。
【0020】
前記凸条部8の上端11の周方向の幅W1が4mm以下であると、凹条部7と凸条部8とが細かい間隔配置となり、印刷面の視認が困難となり、図柄,文字等がぼやけた感じとなるし、該幅W1が30mm以上となると、手指による把持という僅かな押圧力の作用でも凸条部8がつぶれ、容器本体1の外周面との間の空間を維持できず、断熱作用を失う。
【0021】
また凹条部7の周方向の幅W2が、凸条部8の上端の周方向の幅W1に対する比率、すなわちW2/W1が0.2以下の場合は、凸条部8に対し、凹条部7が著しく小さくなり、容器本体1と断熱カバー9との接着性が悪化するのみでなく、手指による把持,他物との接触等の側圧を受けた際に変形しやすくなる。
【0022】
前記比率W2/W1が0.8以上となると、容器本体1と断熱カバー9との接触面積が大となり、容器本体1から断熱カバー9への伝熱面積が増大し、断熱性が低下すると共に、断熱カバー9の外表面の凹凸が目立ち、印刷面の視認性が悪くなり美観を損ねる欠点を生ずる。
【0023】
容器本体1の外周面の複数本の環状突条4,5,6は、その存在自体により、容器本体の補強リブとして機能するのみでなく、底縁3から開口縁2に向うほど突出高さH3,H2,H1が高くされ、開口縁2の直近の環状突条4が最高とされ、補強効果も大きいので、手指による把持時に押圧作用に耐えうる強度を保持できる。
【0024】
また断熱カバー9の凸条部8は、底縁3から開口縁2に向うほど、容器本体1の外周面からの突出高さH4も高く形成されるので、断熱効果も断熱カバー9の上部ほど大きくなる。
【0025】
図示例では、容器本体1の環状突条4,5,6の突出高さH3,H2,H1により断熱カバー9の突出高さH4を高くしているが、断熱カバー9の凹条部7の凹み深さを底縁3から開口縁2に向うほど深く形成しても同様の結果を得ることができる。
【0026】
前述のごとく断熱カバー9の凸条部8が、開口縁2に近いほど突出高さH4を高くされている結果、スタッキング時に下側の容器本体1の内周面に対し、上側の容器本体1の外周面の傾斜角が大となるため、下方へ向う重圧が作用しても、ブロッキングを生ずることが無い。
【0027】
断熱カバー9の凹条部7は、周方向の断面形状がV字状とされているので、容器本体1の環状突条4,5,6との接触面積が小となり、特に凹条部7の裏面の稜縁10において、発泡性接着剤で容器本体1の環状突条4,5,6の外面に接着されていることによる断熱性の向上とあいまち、断熱カバー9の変形をも最小に留めうるものである。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、容器本体の外周面の環状突条に、略平坦外面の多数の凸条部を有する断熱カバーが上下方向に走る多数の凹条部で貼着されているので、断熱性が向上するのは勿論、該カバーの多数の凸条部が、略平坦外面のものとされているので、断熱カバー外表面の印刷面の視認が明瞭となる効果がある。
【0029】
特に凸条部の上端の周方向の幅を4mmないし30mmの範囲に選定したので、印刷面の図柄,文字等の視認を困難とすることがなく、また手指による把持その他の側圧の作用時に凸条部が変形してつぶれる現象の発生を防止できる十分な強力を保持できる効果を奏する。
【0030】
また凹条部の周方向の幅が、凸条部の上端の周方向の幅に対する比率を0.2ないし0.8の範囲に選定したので、凹条部の小型化に起因する容器本体の断熱カバーとの接着性の悪化を防止でき、前記側圧の作用に対する対抗力を増大させる補強効果を奏する。
【0031】
更に、容器本体の外周面の周方向に突設されている環状突条が、底縁から開口縁に向うほど高く形成されているので、断熱効果と、容器本体の補強効果とが、手指による把持が行われる容器本体上部ほど大となる効果を奏する。
【0032】
請求項2の発明によると、断熱カバーの凸条部の容器本体の外周面からの突出高さが、容器本体の底縁から開口縁に向うほど高く形成されているのでスタッキング時に、下側の容器本体の内周面より、上側の容器本体の外周面の傾斜角が大となり、スタッキングにより下向きの重圧が作用してもブロッキングを生じない効果を奏する。
【0033】
請求項3の発明によると、断熱カバーの凹条部の周方向の断面形状がV字状とされているので、容器本体の環状突条との接触面積を小とすることができ、請求項4の発明である凹条部の裏面稜縁と容器本体の環状突条とを発泡性接着剤で貼着することとあいまち、断熱カバーの変形をも最小としうる補強効果と、伝導性の低下による断熱性の向上を図りうる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の一例の半部を断面として示した側面図である。
【図2】図1に示すもののスタッキング状態を示す半截断面拡大図である。
【図3】図1に示すものの容器本体のみを、半部断面として示した側面図である。
【図4】断熱カバー展開平面図である。
【図5】図4中A−A線断面の折曲状態の模型図である。
【図6】成形された断熱カバーの側面図である。
【符号の説明】
1 容器本体
2 開口縁
3 底縁
4,5,6 環状突条
7 凹条部
8 凸条部
9 断熱カバー
10 裏面の稜縁
11 凸条部の上端縁
H1,H2,H3 環状突条の突出高さ
H4 凸条部の突出高さ
W1 凸条部の上端の幅
W2 凹条部の幅
Claims (4)
- 紙料を主材とする逆截頭円錐形のカップ状の容器本体の外周面の開口縁から底縁に至る間に、複数本の環状突条が周方向に突設され、該外周面には、上下方向に走る多数の凹条部によって区分された略平坦外面の多数の凸条部を有するところの、紙料を主材とする断熱カバーが貼付されており、該凸条部の上端の周方向幅が4mmないし30mmの範囲に選定され、前記凹条部の周方向の幅が、前記凸条部の上端の周方向の幅に対し、0.2ないし0.8の比率の範囲に選定されており、容器本体の環状突条の突出高さが、底縁から開口縁に向うほど高く形成されている断熱性紙カップ。
- 断熱カバーの凸条部の容器本体の外周面からの突出高さが、容器本体の底縁から開口縁に向うほど高く形成されている請求項1記載の断熱性紙カップ。
- 断熱カバーの凹条部の周方向の断面形状がV字状とされている請求項1または請求項2記載の断熱性紙カップ。
- 容器本体の各環状突条の外面と断熱カバーの凹条部の裏面稜縁とが発砲性接着剤で貼着されている請求項1,請求項2または請求項3記載の断熱性紙カップ。
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- 1995-08-14 JP JP22855295A patent/JP3702908B2/ja not_active Expired - Fee Related
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