以下、本発明の一実施形態に係る包装用容器について図1〜図14を参酌しつつ説明する。本実施形態における包装用容器は、各種の被包装物を収容可能であって、図1〜図3に閉蓋状態を示しているように、上面開口の容器本体1と、容器本体1の開口部を閉塞するための蓋体2とを備えている。これら容器本体1と蓋体2は、何れも合成樹脂シートを熱成形することにより形成されたものである。従って、内面と外面は原則として表裏一体の関係にあり、内面が凸形状であればそれに対応した外面の箇所は凹形状となる。被包装物は特には限定されないが各種の食材が好適であり、電子レンジで加熱調理する用途にも好適である。また、後述するように内嵌合容器とすれば、水分等の液体を含有する食材を収容してもその液体がこぼれにくくなる。
容器本体1は、図4〜図6にも示しているように、底面部10と、該底面部10の周縁部から拡開しつつ上方に立ち上がる側壁部20とを有しており、好ましくは側壁部20の上端部から外方に延設されたフランジ部30を有するものである。
底面部10は、方形等の多角形、楕円形、円形等、種々の形状であってよく、例えば、方形の場合であってもその各辺が直線状ではなく外側凸に湾曲していたり内側凸に湾曲していたりしてもよい。底面部10は、本実施形態においては略円形である。底面部10は周縁領域(外側領域)と中央領域(内側領域)に区画され、周縁領域はその下面が所定幅のリング状に形成された平坦面であって容器本体1を載置面に載置した際にその載置面に接する接地面部11である。該接地面部11は全周に亘って凹凸のない連続した同一平面を構成している。接地面部11は全周に亘って連続した平坦面とすることが好ましいが、全周のうちの所定箇所に不連続部分があってもよい。少なくとも平坦な接地面部11で接地するように、底面部10の下面には接地面部11よりも下側に突出した凸部は形成しないようにする。中央領域は、図8及び図10にも示しているように、接地面部11によって囲まれた例えば円形の領域であって、載置面に接しないように接地面部11の内縁から上側凸に凹んだ非接地面としての上げ底部12となっている。このように上げ底部12を形成すると、特に、包装用容器を耐熱素材とし、電子レンジで加熱調理する用途に適用した場合において有効であり、電子レンジの電磁波を効率良く内容物に伝達できて短時間で均一に加熱調理することができる。また底面部10の内面に残った細かい食材等の被包装物が上げ底部12の内面から接地面部11の内面に集まりやすくなり、取り出しが容易にもなる。上げ底部12の形状は任意であって、またそれを省略してもよい。
接地面部11の周縁部の所定箇所には外側に突出した接地面拡張部13が形成されている。該接地面拡張部13は接地面部11を局所的に外側に拡張するようにして形成されており、従って、接地面拡張部13も接地面部11の他の部分と同一平面を構成している。該接地面拡張部13は、底面部10の周縁部に複数箇所形成されることが好ましい。複数の接地面拡張部13の個数は任意であるが例えば三個〜六個であって、互いに同一形状、同一サイズとすることが好ましいが、異なる形状や大きさとしてもよい。
また、接地面拡張部13を接地面部11の周縁部に複数の箇所に形成する場合には複数の箇所に均等に分散して配置することが好ましい。この接地面拡張部13の均等分散配置の代表例を図13及び図14に示している。図13及び図14において符号Aで示している箇所が接地面拡張部13を形成する箇所である。例えば、底面部10が略円形である場合には、図13(a)のように、周方向に等間隔で配置する。接地面拡張部13を例えば四箇所に形成する場合には90度間隔で配置する。また、図13(b)のように、複数個例えば二個の接地面拡張部13を一組とし、その組(ペア)を周方向に等間隔で配置してもよい。また、底面部10が略正方形である場合には、図13(c)のように、四つの隅部にそれぞれ接地面拡張部13を形成する。また、図14(a)のように、四つの隅部の左右両側にそれぞれ一箇所ずつ接地面拡張部13を形成するようにしてもよい。また、底面部10が略長方形である場合も同様であって、図14(b)のように四つの隅部にそれぞれ接地面拡張部13を形成してもよいし、図14(c)のように、四つの隅部の左右両側にそれぞれ一箇所ずつ接地面拡張部13を形成するようにしてもよい。何れにしても、接地面拡張部13を接地面部11の周縁部の複数の箇所に全体として均等に分散して配置することが好ましい。但し、接地面拡張部13を不均等に配置してもよいし、周方向に不等間隔で配置してもよいし、特に上から荷重が作用しやすい箇所のみに形成してもよく、一箇所のみ形成してもよい。尚、本実施形態では底面部10が略円形であって接地面拡張部13を90度間隔で合計四箇所形成している。
接地面拡張部13の形状も矩形としたり半円形としたりする等任意であるが、本実施形態では、図11(b)に拡大して示しているように底面視において略三角形、より詳細には略二等辺三角形である。そして、その略二等辺三角形の頂角は鈍角とされることが好ましい。従って、接地面拡張部13はその突出量Cに対して幅Aが大きい形状とされることが好ましい。具体的には、突出量Cに対して幅Aが1.5倍〜5倍となることが好ましい。接地面拡張部13の寸法としては、突出量Cが例えば3〜10mm程度、幅Aが例えば5〜30mm程度とすることができる。但し、略二等辺三角形の頂角が直角であってもよいし鋭角であってもよい。また、接地面拡張部13が三角形以外の多角形であってもよい。何れにしても、接地面拡張部13は外側に向けて先細りとなる先細り形状とされることが好ましい。先細り形状はその他の種々の形状であってよく、例えば図15(a)に示す如く半円形のように左右両端から外側凸の円弧を描きつつ先端(径方向外側)に向かって先細りとなる形状であってもよいし、逆に、図15(b)の如く左右両端から外側凹の円弧を描きつつ先端(径方向外側)に向かって先鋭的に先細り形状となる形状であってもよい。また、先細り形状ではなく例えば図15(c)に示す如く方形のように幅一定で径方向外側に向かって突出する形状であってもよい。
側壁部20は、開口縁部に内嵌合構造を備えることが好ましく、その構成も種々のものであってよいが、例えば、図8及び図10に断面図で示しているように、底面部10の接地面部11の外縁から上方に立ち上がる側壁主部21と、該側壁主部21の上側に形成されて側壁主部21よりも垂直に近い立ち上がり角度で立ち上がる第一側壁上部22と、該第一側壁上部22の上側に段差部23を介して形成された第二側壁上部24と、該第二側壁上部24の上側に段差部25及び面取り部26を介して形成された嵌合壁部27とを備えた構成とすることができる。
側壁主部21は、底面部10の接地面部11の外縁から緩やかな角度で上方に立ち上がっており、具体的には、外側凸の円弧を描きつつ、即ち、椀状のように外側凸に湾曲しつつ上方に立ち上がっているが、逆に、外側凹に湾曲しつつ上方に立ち上がっていてもよく、その立ち上がり角度や形状は任意である。該側壁主部21の下部外面には図10のように突っ張り壁部28が形成されている。該突っ張り壁部28は、接地面拡張部13毎にそれぞれ形成され、接地面拡張部13の外縁から上方に向けて延設されている。従って、突っ張り壁部28は接地面拡張部13の突出形状に対応して外側に膨出している。上述したように本実施形態においては90度間隔で合計四箇所の接地面拡張部13が形成されているので、突っ張り壁部28も90度間隔で四箇所形成されている。
接地面拡張部13が接地面部11の他の部分に比して外側に突出しているので、突っ張り壁部28の立ち上がりポイントは側壁主部21(側壁部20)の他の部分における立ち上がりポイントに比して外側にオフセットしている。そして、突っ張り壁部28の膨出量は全体として上方に向けて漸減し、側壁部20の上下方向中途部において、詳細には、例えば側壁主部21の上下方向略中央部において、その膨出量が0となっている。即ち、突っ張り壁部28は、接地面拡張部13の外縁から側壁部20の上下方向中途部まで形成されている。側壁部20の上下方向中途部とは、側壁部20の上端部まで達しない程度であって、側壁部20が内嵌合構造としての嵌合壁部27を備えている場合には、最も高い場合であってもその嵌合壁部27に達しない程度である。
このように突っ張り壁部28の膨出量が上方に向けて徐々に減少していることから、突っ張り壁部28はその左右両側における側壁主部21(側壁部20)の部分に比して全体として急勾配で立ち上がることになる。また、図11(a)のように、突っ張り壁部28の形状は、上側ほど幅狭となる形状となっており、例えば正面視において略三角形となっている。複数の突っ張り壁部28は互いに同一形状、大きさとすることが好ましいが、異なる形状や大きさとしてもよい。尚、突っ張り壁部28の高さBは任意であるが例えば5〜20mm程度である。また、突っ張り壁部28の高さBは、突っ張り壁部28の幅Aに対して好ましくは0.5倍以上1.5倍以下(0.5A≦B≦1.5A)、より好ましくは0.5倍以上1倍以下(0.5A≦B≦A)である。また、突っ張り壁部28は、その左右両側の側壁部20の部分よりも急勾配であればよく、従って、例えば、突っ張り壁部28を除く側壁部20の部分が一定の勾配(立ち上がり角度)であってもよいし、突っ張り壁部28を除く側壁部20の部分の勾配に大小変化があってもよいし、側壁部20の一部に突っ張り壁部28と同等あるいはそれ以上に急勾配な部分があってもよい。突っ張り壁部28の形状は、上側ほど幅狭となる形状とすることが好ましく、正面視略三角形の他、正面視略台形等、種々の形状であってもよく、また、幅一定で上方に延びていてもよい。また、図12に模式図として示しているように、突っ張り壁部28は、図12(a)のように上方に直線的に延設されていてもよいし、図12(b)のように外側凸に湾曲しつつ上方に延設されていてもよいし、図12(c)のように内側凸に湾曲しつつ上方に延設されていてもよい。何れにしても突っ張り壁部28はその左右両側の側壁部20の部分に比して全体として急勾配であればよい。
尚、第一側壁上部22の外面所定箇所には、容器本体1同士を複数重ね合わせた際において上側の容器本体1が下側の容器本体1にきつく嵌り合って離れなくなる現象(ブロッキング現象)を防止するためのブロッキング防止用突部29が形成されている。該ブロッキング防止用突部29は図5及び図6のように周方向に間隔をあけて複数箇所に形成されており、その配置は等間隔ではなく、また、容器本体1毎にその位置を周方向にずらすようにして形成されている。
また、嵌合壁部27は容器本体1の開口縁部を構成する部分であって、上側に向けて徐々に内側(容器の中心側)に向かう逆テーパ状に傾斜している。即ち、嵌合壁部27は上方に向けて縮径する形状となっており、その内面が容器本体1側の内嵌合面となる。尚、側壁部20には従来公知のリブを形成してもよく、例えば上下方向に延びる突条のリブや凹条のリブを適宜形成してもよい。
側壁部20の上端部にはフランジ部30を形成してもよい。例えば、嵌合壁部27の上端部に面取り部31を介してフランジ部30を形成することができる。このようにフランジ部30を側壁部20の上端部に全周に亘って形成する場合、そのフランジ部30の平面形状は任意であって側壁部20や底面部10と同様に外縁を円形、即ち幅一定の環状のフランジ部30としてもよいが、例えば図4に示すように、外縁が平面視略方形状とすることが好ましく、これによって底面部10や側壁部20が平面視円形であっても、容器本体1の平面視における平面形状は全体として略方形状となる。側壁部20が平面視円形であって開口部も平面視円形であるので、外縁が平面視略方形状であるフランジ部30は、四つの隅部32において最も幅広となっており、容器本体1の中心からフランジ部30の外縁までの距離も四つの隅部32において最大となっている。このようにフランジ部30を略方形状とする場合には、上述の突っ張り壁部28はフランジ部30の四つの隅部32に対応した箇所にそれぞれ形成することが好ましい。
また、フランジ部30に、上面が上下方向断面視において上側凸の円弧状である玉ぶち状部33を有していることが好ましい。該玉ぶち状部33はフランジ部30の上面の外縁近傍に形成されることが好ましく、また、周方向に連続して全周に亘って突条として形成されることが好ましい。尚、玉ぶち状部33の頂部の高さは周方向に一定としてもよいが、図2及び図8、図10のように、四つの隅部32において最も高く、隅部32と隅部32との間の中間位置にある辺中央部34において最も低くなるようにすることが好ましい。図10のように四つの隅部32においてフランジ部30の高さは、側壁部20の上端部から外側に向けて徐々に迫り上がるようにして高くなっていき、玉ぶち状部33の頂部において最も高くなる。隅部32と隅部32との間の辺中央部34においては図8のようにフランジ部30における玉ぶち状部33の頂部の高さは側壁部20の上端部の高さと略同じである。
また、玉ぶち状部33の外側には外側に向けて下方に傾斜する傾斜面部35が形成され、該傾斜面部35の下端部には外側に向けて縁取り部36が延設されている。該縁取り部36はフランジ部30の外縁となる部分であって、従って容器本体1の最外周縁となる部分を構成している。上述したように玉ぶち状部33の頂部の高さは隅部32において最も高くすることができるが、縁取り部36の高さは全周に亘って略一定とすることが好ましい。その場合には傾斜面部35の高さ寸法もそれに応じて変化することになり、傾斜面部35の高さ寸法は隅部32において最も大きく、隅部32と隅部32との間の辺中央部34において最も小さくなる。尚、縁取り部36の高さは側壁部20の上端部の高さよりも低くすることが好ましい。
このようにフランジ部30の外縁に縁取り部36を全周に亘って設けることが好ましく、その全周の縁取り部36によってフランジ部30を効果的に補強することができる。縁取り部36は、略水平に設けることが好ましく、その幅は例えば1mm〜2mm程度と細いものとすることができる。また、縁取り部36の上面には、容器本体1を熱成形する際にそれと同時に細かな凹凸加工やエンボス加工を施して凹凸形状を形成することが好ましく、特に、側面視において正弦波や三角波、台形波等の波形形状に形成することが好ましい。例えば縁取り部36の上面に容器本体1の内外方向即ち縁取り部36の幅方向に沿った山と谷とを周方向に交互に連続的に形成することにより、縁取り部36の上面に凹凸形状を形成することができる。尚、縁取り部36の上面の凹凸形状は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のような各種のローレット目によって形成することができ、特に、滑りにくいように綾目ローレット目によって形成することが好ましい。
縁取り部36の端面はシート成形時に抜刃でカットされたシート切断面であるが、縁取り部36の上面に凹凸形状を形成することで、シート切断面の上側エッジライン(上側の輪郭線)が、縁取り部36の上面の凹凸形状に対応して側面視(あるいは正面視)において上下に波打つように蛇行した波形形状となる。このように縁取り部36の上側エッジラインが側面視波形形状となることで鋭利ではなくなり、容器に触れる指先を保護することができるうえに、縁取り部36の強度、即ちシートエッジの強度を向上させることができ、縁取り部36の外縁を起点として裂断することを効果的に防止することができる。従って、エンボス加工等された縁取り部36は、フランジ部30の全周に形成されることが好ましい。尚、縁取り部36の上面の凹凸形状が縁取り部36から傾斜面部35へと連続するように形成されていてもよい。尚、縁取り部36の下面は平坦面としてもよいが、その下面にも上面の凹凸に対応して凹凸形状を形成することが好ましい。
尚、フランジ部30に各種の補強リブに代表される補強構造を採用してもよく、例えば内外方向に延びる補強リブを形成することができる。補強リブの形状や配置は任意である。尚、合成樹脂シートに発泡シートを使用する場合において、フランジ部30の上面に上述のような玉ぶち状部33を形成する場合には、フランジ部30の下面には上方に凹んだ凹溝を周方向に沿って全周に亘って形成することが好ましく、フランジ部30の下面に凹溝を形成することにより、フランジ部30の上面を容易に上方に突出させて玉ぶち状部33を形成することができる。凹溝は上下方向の断面視において略矩形であってもよいし略U字状やV字状であってもよく、その形状は任意であるが、この凹溝の所定箇所に他の部分よりも凹入深さが浅くなるように内外方向に延びる補強リブを形成してもよい。即ち、補強リブは凹溝の内外両壁面同士を局所的に架橋連結するように形成され、これによりフランジ部30が下面側から内外方向に補強される。尚、補強リブを形成した箇所の肉厚は他の部分よりも厚くなる。
次に蓋体2の構成について説明する。蓋体2は、容器本体1と内嵌合する構造とすることが好ましい。例えば、蓋体2は、図8及び図9に示すように、天面部50と、該天面部50の周縁部から斜め下方に拡開するように垂下したスカート壁部51と、該スカート壁部51の下端部から外側に延設された環状の溝底部52と、該溝底部52の外縁から上側に折り返されるようにして上方に延びる嵌合壁部53と、該嵌合壁部53の上端部に面取り部54を介して外側に延設されたフランジ部55とを備えた構成とすることができる。
天面部50は図7のように略円形であって、その上面の周縁部にはガード突起56が上方に向けて突設されている。該ガード突起56は、包装用容器を積み重ねた際に、上側の包装用容器の位置ずれを抑制するためのものであり、天面部50に容器本体1の底面部10が載置された状態でその容器本体1の側壁部20の下端部を外側からガードして容器本体1の横方向への位置ずれを抑制する。従って、ガード突起56は、容器本体1の側壁部20の下端部をガードし得る構成であればよく、その形状や配置態様は任意であって、全周に亘って形成してもよいが、必ずしも全周に亘って形成する必要はなく、例えば、全周のうち所定範囲のみに突条として形成してもよい。また、ガード突起56の内側の側面56a(壁面)は、略垂直に立ち上がる形状としてもよいし、その形状は任意であるが、容器本体1の側壁部20の下端部の立ち上がり形状に対応したものとすることが好ましい。上述のように、容器本体1の側壁部20が底面部10から外側凸に湾曲しつつ上方に立ち上がっている場合には、その形状に対応して、ガード突起56の内側の側面56aを、図8及び図9のように外側に向けて迫り上がる形状(外側凸に湾曲した形状)とすることが好ましい。
また、天面部50の周縁部の一部にガード突起56を形成しないようにしてもよく、その場合、ガード突起56を形成しない領域においては天面部50からスカート壁部51へと傾斜した傾斜面57を形成して該傾斜面57をラベル表示部として用いてもよい。また、そのガード突起56を形成しない領域を例えば正面側とすることができる。このようなガード突起56を形成しない領域や傾斜面57を設けることで蓋体2の向きを容易に把握することができ、容易に整列配置できる。
尚、天面部50には切り込み線58を一箇所あるいは複数箇所形成してもよい。該切り込み線58の形状は例えばC字状とすることができる。切り込み線58をC字状とすると、天面部50に略円形の孔を形成することができる。
スカート壁部51の外面下端部にも容器本体1と同様にブロッキング防止用突部59を複数形成することが好ましい。嵌合壁部53は容器本体1の嵌合壁部27と内嵌合するものであって、容器本体1の嵌合壁部27に対応して、上方に向けて徐々に内側に傾斜した逆テーパ状に形成されており、その外面が内嵌合面となる。図9に示すように、蓋体2の嵌合壁部53が容器本体1の嵌合壁部27の内側に進入するように嵌り込んで内嵌合し、これにより容器本体1の開口部を内側から全周に亘ってシールする。
蓋体2のフランジ部55は略水平に延びていることが好ましい。また、平面視において蓋体2のフランジ部55の外縁は周方向の一部を除いて円形とすることができ、その幅は容器本体1のフランジ部55の外縁よりも外側にはみ出さない程度の細幅とすることが好ましい。更に、蓋体2のフランジ部55には、その幅を局所的に幅広とした摘み部60を設けることが好ましく、その摘み部60の形状は任意であるが例えば容器本体1のフランジ部30の隅部32の形状に対応したものとすることができる。該摘み部60は一箇所でもよく、複数箇所でもよく、好ましくは、ガード突起56を形成しない領域(ラベル表示部)の左隣あるいは右隣に形成する。
図9のように閉蓋状態において蓋体2のフランジ部55は容器本体1のフランジ部30の上面に近接ないし当接することが好ましい。上述したように容器本体1のフランジ部30における玉ぶち状部33の頂部の高さは隅部32において高くなっているが、蓋体2のフランジ部55の高さは全周に亘って略一定である。閉蓋状態において、蓋体2の摘み部60は容器本体1のフランジ部30の隅部32の上側に重なるため、蓋体2の摘み部60は容器本体1のフランジ部30の隅部32における迫り上がり形状に追従するように上方に撓んで変形して重なり合った状態となる。尚、蓋体2の摘み部60の下面には凸部61(例えば半球状)を下方に向けて突設することが好ましい。蓋体2の摘み部60の下面に凸部61を形成すると、閉蓋状態において蓋体2の摘み部60を容器本体1のフランジ部30から僅かに上方に離間させることができるので、容易に蓋体2の摘み部60を摘んで蓋体2を開けることができる。このように摘み部60の下面に凸部61を形成することは、蓋体2の摘み部60が容器本体1のフランジ部30から外側にはみ出さない形態において特に有効である。従って、容器本体1のフランジ部30の隅部32が隅切りされているような場合においては、蓋体2の摘み部60の少なくとも一部が容器本体1のフランジ部30の隅部32から外側にはみ出す形態とすることもまた好ましい。
尚、蓋体2のフランジ部55の上面や下面にも容器本体1のフランジ部30の縁取り部36と同様に内外方向(径方向)に延びる凹凸形状を全周に亘って形成することが好ましい。該凹凸形状は蓋体2のフランジ部55の全幅に亘って形成してもよいが、全幅のうち外側領域のみに形成してもよい。また、蓋体2の摘み部60においては、容器本体1の縁取り部36と同様の内外方向に延びる凹凸形状に加えて、それと交差する方向に延びる突条あるいは凹条を一定間隔毎に形成すると、摘み部60をより一層容易に摘むことができるため好ましく、また摘み部60の位置も容易に視認できる。即ち、蓋体2の摘み部60においては綾目ローレット目とし、それ以外の箇所においては平目ローレット目とすることが好ましい一例である。
容器本体1及び蓋体2はいわゆるシート成形により形成されている。シート成形としては例えば真空成形、圧空成形、真空圧空成形、両面真空成形、熱板成形等があり、何れにしても合成樹脂シートを熱成形することにより形成される。ここで、合成樹脂シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂や、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂から構成されたシートを使用できる。尚、これらの樹脂に無機物を充填したシートや、これらの樹脂を発泡させた発泡シートや、これらのシートを延伸した延伸シートを使用できる。尚、シートは、単層のみならず多層であってもよい。尚、透明なシートを用いることも好ましく、特に蓋体2に用いると内容物の視認性に優れるため好ましい。尚、容器本体1と蓋体2に使用する合成樹脂シートは、互いに同じものであってもよいし異なるものであってもよい。
以上のように本実施形態における包装用容器にあっては、突っ張り壁部28がその左右両側の部分に比して急勾配であって側壁部20の上下方向中途部まで延びているので、側壁部20に上方から圧縮方向の力が作用した場合に突っ張り壁部28が突っ張りとなって側壁部20を支持する。突っ張り壁部28は外方に膨出した凸形状であるので上下方向の力に対する強度、剛性が大きく、しかも、その左右両側の側壁部20の部分に比して急勾配であるので、上方からの圧縮力に対して側壁部20がその下端部を基点として拡開方向に変形しようとしても、突っ張り壁部28が側壁部20の突っ張りとして機能して側壁部20を支持して、その拡開方向の変形を抑制するのである。
特に、側壁部20が底面部10の接地面部11の外縁から緩やかな角度で上方に立ち上がっている場合には突っ張り壁部28を設けることの効果が大きく、その中でも、側壁部20が外側凸の円弧を描きつつ上方に立ち上がっている場合において効果が大きい。
更に、側壁部20から底面部10にまで延びる外側凸の多数のリブとは異なり、平坦な接地面部11によって安定した接地状態が得られる。また、突っ張り壁部28は外側に膨出した形状であるので、突っ張り壁部28を側壁部20に形成しても突っ張り壁部28が被包装物を取り出す際の邪魔になるということもない。特に、被包装物が細かくカットされたり小さくカットされたりしたカット食材である場合や、小さくて比較的取り出しにくい豆類やナッツ類、ブルーベリー等の小型の果実である場合においても、突っ張り壁部28が邪魔になることなくスムーズに容器本体1から取り出すことができる。更に、突っ張り壁部28が形成されることによってその箇所の内面は凹んだ形状となっており、また接地面拡張部13が接地面部11の周縁部から外側に張り出した状態となっているので、例えば底面部10の内面に残った豆等の転がりやすい小さな食材を、接地面拡張部13の内面と突っ張り壁部28の内面によって形成される張り出し空間に追い込んで安定させて、そこから容易に取り出すということもできる。特に、本実施形態のように底面部10が略円形であって側壁部20もそれに応じて筒状となっている場合には、豆等の食材を箸等で取り出そうとしてもその食材が周方向に転がるように逃げたり滑ったりして取り出しにくいのであるが、接地面拡張部13と突っ張り壁部28を形成することによって底面部10の内面に擬似的に隅部を形成することができ、その隅部を利用して食材を安定させて容易に取り出すことができる。従って、小さな食材等の被包装物の取り出し容易性については特に底面部10が略円形あるいは略楕円形である場合において接地面拡張部13と突っ張り壁部28を形成することのメリットが大きい。
また更に、側壁部20の上端部にフランジ部30が周設され、該フランジ部30の外縁形状が平面視略方形状である場合には、フランジ部30の四つの隅部32に上方から力が作用しやすく、容器本体1の中心からの距離も長いことから側壁部20がその隅部32に対応した位置において変形しやすくなる。従って、そのような場合には特にフランジ部30の四つの隅部32に対応した側壁部20の四つの位置にそれぞれ突っ張り壁部28を形成することが好ましく、側壁部20の変形を突っ張り壁部28によって効果的に抑制することができ、また、フランジ部30に作用する上方からの力に対して四つの突っ張り壁部28が荷重を分担して側壁部20を支えることができる。
また、容器本体1の開口部を内嵌合により密封する蓋体2を備えている場合には特に効果的である。このような内嵌合容器においては、蓋体2を閉じる際に、上から蓋体2を強く押して容器本体1に内嵌合させる必要があるうえに、閉蓋動作によって容器の内圧が高まりやすく、その内圧によって容器本体1が外側に変形しやすい。従って、このような内嵌合容器においては特に容器本体1の側壁部20に突っ張り壁部28を形成することが好ましく、蓋体2を閉じる際における容器本体1の変形を効果的に抑制することができる。突っ張り壁部28は、側壁部20の上下方向中途部で止まっていて側壁部20の上端部まで延びているものではないので、突っ張り壁部28を設けても開口縁部の形状には影響がなく、従って容易に内嵌合構造を採用することができて高いシール性を確保できる。また、突っ張り壁部28は、側壁部20の上下方向中途部で止まっていて側壁部20の上端部まで延びているものではないので、突っ張り壁部28によって側壁部20の下部ないしは全体的な変形を抑制しつつも、容器本体1の開口縁部である側壁部20の嵌合壁部27即ち側壁部20の上端部についてはその内外方向(拡縮方向)の変形を内嵌合できる程度には許容することができ、蓋体2の開け閉めには支障がなく容易に行うことができる。即ち、側壁部20の強度を確保しつつも内嵌合構造を維持することができる。
尚、蓋体2の上面に、包装用容器を積み上げた際に上側の容器本体1の接地面拡張部13が内側から係合可能な係合部62を形成してもよい。このように蓋体2の上面の係合部62に接地面拡張部13を係合させるようにすると、容器本体1の接地面拡張部13を有効に利用して段積み時における包装用容器の横方向の位置ずれを防止することができ、安定した段積み状態が得られる。
かかる係合部62の形状、配置は任意であるが、例えば、図16(a)のように、天面部50の上面の周縁部に周方向に延びるガード突起56を形成し、その内側の側面56aに外側凹の係合部62を形成することができる。係合部62は容器本体1の接地面拡張部13の形状に対応したものとすることが好ましい。尚、図16においてはガード突起56をクロスハッチングを施して示している。特に、接地面拡張部13を図15(b)のように左右両端から外側凹の円弧を描きつつ先端に向かってその幅が徐々に細くなる先細り形状とし、蓋体2の係合部62もそれに対応した形状とすることが好ましく、より一層確実な係合状態が得られる結果、より一層安定した段積み状態が得られる。尚、図16のように、容器本体1の底面部10が底面視において略方形である場合には、その四つの隅部に接地面拡張部13を形成することが好ましく、底面部10がその他の多角形である場合も同様に隅部に接地面拡張部13を形成することが好ましい。
また、ガード突起56を周方向に延びる連続した形状とするのではなく、図16(b)のように、周方向に離間した一対のガード突起56の間に接地面拡張部13が係合するようにしてもよい。その場合、一対のガード突起56の互いに対峙する側面56aの部分から係合部62が形成されることになる。尚、この場合における一対のガード突起56の形状も任意であって、図16(b)のように島状に形成してもよいし、周方向に長い形状としてもよく、例えば全周のうち接地面拡張部13に対応した箇所のみが切り欠かれてその切欠部における側面56aから係合部62を形成するようにしてもよい。
尚、このように蓋体2の上面に係合部62を形成する場合には、図17に示すように、容器本体1の側壁部20の下端部に、ガード突起56の突出量に対応した高さを有して垂直に近い角度で立ち上がる段積み用立ち上がり部63を周設して、その段積み用立ち上がり部63の上側から徐々に外側に拡開していくようにすることが好ましい。その場合、突っ張り壁部28にも同様に段積み用立ち上がり部63を形成して、その突っ張り壁部28における段積み用立ち上がり部63が係合部62に内側から係合するようにする。突っ張り壁部28においても側壁部20の他の部分と同様に段積み用立ち上がり部63よりも上側の部分が徐々に拡開していくことになるが、その上側の部分が、側壁部20の他の部分、特に左右両側の側壁部20の部分よりも急勾配となる。
尚、接地面拡張部13及び突っ張り壁部28を設ける構成は、内嵌合構造に限らず外嵌合構造にも適用可能であり、容器本体1がフランジ部30を有していないものや、蓋体2を有していない包装用容器にも適用可能である。