JP3773366B2 - 断熱性容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インスタントラーメンなどの即席食品を入れるカップ状の容器に係り、特に熱湯を注いでそのまま食することのできる断熱性に優れた容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種のカップ状をした断熱性容器としては、発泡ポリスチレンなどのプラスチック製のものが多用されていたが、これらは廃棄した場合に公害問題になることから、これに代わるものとして、例えば実開平4−45212号公報に見られるように、胴部を二重にして断熱用の空隙を形成した紙製の断熱性容器が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術で述べた実開平4−45212号公報に記載の断熱性容器は、通常の紙カップに対してテーパーの異なった底なしの外筒を組み合わせるという簡単な構成により断熱効果を有するカップが得られるという利点がある。そして、断熱用の空隙が下方に行くほど大きくなっているので、通常の持ち方では良好な断熱効果を発揮する。しかしながら、上部寄りのところをつかんで持つ状態が長く続くと、断熱効果を発揮する空隙が無いか又は狭いので、段々と熱くなってくるという問題点がある。
【0004】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、胴部のいずれの場所を手で持っても内容物の熱が伝わり難い優れた断熱性容器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の断熱性容器は、上方開口縁に外向きカール部を有する紙カップ本体と、上方及び下方共に開口しており下方開口縁に内向きカール部を有する紙製の外筒とからなり、外筒はその胴部が紙カップ本体の胴部より裾が少し広がったテーパーを有すると共に、外筒の上部には上方開口縁がミシン目からなる折返し線のところで内側に折り返されて折返し部分が形成されており、外筒はその上部の折返し部分が紙カップ本体における外向きカール部直下の側壁外周面に接触すると共にその下方開口縁の内向きカール部が紙カップ本体の下部の側壁外周面に接触する大きさであって、外筒を紙カップ本体に被せて外筒の折返し部分の下方付近の内側面を紙カップ本体の胴部上方付近の側壁外周面に接着して両者を一体とすることにより形成され、紙カップ本体と外筒の間に空隙が形成されていることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0007】
図1は本発明に係る断熱性容器の一例を示すもので、左半分及び右半分をそれぞれ断面図と正面図で示す概略構成図であり、同図の断熱性容器1は、紙カップ本体2と上方及び下方共に開口した中空円筒状の外筒3とで構成されている。
【0008】
紙カップ本体2は、内面若しくは内外両面にポリエチレン等の合成樹脂をコーティングした紙からなるもので、通常の紙カップと同様に胴部4の下方に底板5を巻き締めると共に上方開口縁に外向きカール部6が形成されたものである。
【0009】
一方、中空円筒状の外筒3は、紙単体若しくは片面又は両面にポリエチレン等の合成樹脂をコーティングした紙からできており、胴部7の下方開口縁に内向きカール部8が形成されている。また、外筒3はその胴部7が紙カップ本体2の胴部4より裾が少し拡がったテーパーを有するもので、図2に拡大して示すように、その上部には上方開口縁が内側に折り返されて折返し部分9が形成されている。そして、折返し部分9が紙カップ本体2の胴部上方付近の側壁外周面に接触すると共に胴部7の下方開口縁の内向きカール部8が紙カップ本体2の下方の側壁外周面に接触する大きさとされている。
【0010】
そして、紙カップ本体2に上記構成の外筒3を下から被せ、外筒3の折返し部分9の下方付近の内側面を紙カップ本体2の胴部上方付近の側壁外周面にエマルジョン系等の接着剤10で接着して両者を一体とすることにより、図1の断熱性容器1が形成されている。なお、使用形態によっては、外筒3の下方開口縁に形成された内向きカール部8の部分も紙カップ本体2の下方の側壁外周面に接着することにより、紙カップ本体2と外筒3の結合をより確実なものにしてもよい。
【0011】
外筒3は、扇状のブランクを巻回して両端部分を貼り合わせることで中空円筒状に形成される。そして、下方開口縁の内向きカール部8は紙カップ本体2の外向きカール部6と同様にして形成される。一方、上方開口縁の折返し部分9はブランクの端縁を内側に折り返して形成されるが、この場合、図3(A)に示す如くブランクBの上端縁に沿ってミシン目で折返し線aを形成しておくことにより、折返し加工が容易に且つ確実に行えるようにしてある。さらに、図3(B)に示すように、上端縁に所定間隔で切込みbを設けておくと、折返しをより簡単に行うことができる。
【0012】
上記構成の断熱性容器1においては、紙カップ本体2の胴部4と外筒3の胴部7の間に空隙11が形成され、この空隙11の部分が断熱作用を果たす。しかも、外筒3の上部内側には折返し部分9が設けてあるので、容器1の下部においてはもちろん、上部においても空隙11がある程度の間隔で形成されることになる。したがって、断熱性容器1に例えば熱湯を入れた場合、内側の胴部4の熱が外側の胴部7に伝わるのが広い範囲に渡って防止され、この種の容器において通常持つとされるいずれの場所をつかんで持っても熱くなることがない。
【0013】
図4は図1に示した断熱性容器の変形例を示すもので、左半分及び右半分をそれぞれ断面図と正面図で示す概略構成図である。この図4に示される断熱性容器1は、図1に示したものと略同じ構成をしているが、印刷する文字や模様が外側への浮きだし部分12を形成するようにエンボス加工を施してなる板紙にて外筒3を形成した点が異なっている。この浮きだし部分12は、すべての文字や模様の部分について形成する必要はなく、強調したい文字や模様のみにしてもよい。この断熱性容器1も、紙カップ本体2に上記構成の外筒3を被せ、外筒3の折返し部分9の下方付近の内側面を紙カップ本体2の胴部上方付近の側壁外周面にエマルジョン系等の接着剤10で接着して両者を一体とすることにより組み立てられる。そして、図1の断熱性容器1と同様な断熱作用を発揮するが、特に浮きだし部分12では空隙11が広いために断熱作用が大きくなる。
【0014】
図5は図1に示した断熱性容器の別の変形例を示すもので、左半分及び右半分をそれぞれ断面図と正面図で示す概略構成図である。この図5に示される断熱性容器1は、図1に示したものと略同じ構成をしているが、外側となる面の全体に渡って微細なエンボス加工を施してなる板紙にて外筒3を形成した点が異なっている。この断熱性容器1も、紙カップ本体2に上記構成の外筒3を被せ、外筒3の折返し部分9の下方付近の内側面を紙カップ本体2の胴部上方付近の側壁外周面にエマルジョン系等の接着剤10で接着して両者を一体とすることにより組み立てられる。そして、図1の断熱性容器1と同様な断熱作用を発揮するが、紙カップ本体2と外筒3の間の空隙11による断熱効果が発揮されるのに加え、外筒表面の微細凹凸により持ちやすい上に手に熱が伝わりにくく、全体的に断熱効果が一層優れたものとなる。なお、図5の例ではエンボス加工による凹凸模様を外筒における胴部の全面に渡って形成したが、凹凸模様を形成しない部分を一部に残してもよい。例えば、手で持つ領域を考慮して胴部の上下に帯状に残してもよいし、またデザインを考慮して名前の部分などを模様状に残してもよい。
【0015】
図6は図1に示した断熱性容器のさらに別の変形例を示すもので、左半分及び右半分をそれぞれ断面図と正面図で示す概略構成図である。この図6に示される断熱性容器1は、図1に示したものと略同じ構成をしているが、外側となる面の略全体に渡って微細なエンボス加工を施すとともに、印刷する文字や模様が外側への浮きだし部分12を形成するようにエンボス加工を施してなる板紙にて外筒3を形成した点が異なっている。この浮きだし部分12は、すべての文字や模様の部分について形成する必要はなく、強調したい文字や模様のみにしてもよい。この断熱性容器1も、紙カップ本体2に上記構成の外筒3を被せ、外筒3の折返し部分9の下方付近の内側面を紙カップ本体2の胴部上方付近の側壁外周面にエマルジョン系等の接着剤10で接着して両者を一体とすることにより組み立てられる。そして、図1の断熱性容器1と同様な断熱作用を発揮するが、特に浮きだし部分12では空隙11が広いために断熱作用が大きくなり、また外筒表面の微細凹凸による断熱作用も加わり、全体的に断熱効果が一層優れたものとなる。なお、図6の例ではエンボス加工による凹凸模様を外筒における胴部の全面に渡って形成したが、凹凸模様を形成しない部分を一部に残してもよい。例えば、手で持つ領域を考慮して胴部の上下に帯状に残してもよいし、またデザインを考慮して浮きだし部分12となるところを残すようにしてもよい。
【0016】
なお、紙カップ本体2の胴部4に、周回方向であって内面側又は外面側に突出する突条を形成して、熱湯を注ぐ時の目安となる注入基準線を設けてもよい。この場合、貼り合わせのための接着剤10の位置は注入基準線よりも上方となるようにするのが好ましい。上記で説明した図1、図2、図4〜図6の断熱性容器においては、内面側に突出する突条20を紙カップ本体2に形成した場合を示している。
【0017】
【発明の効果】
本発明の断熱性容器は、上方開口縁に外向きカール部を有する紙カップ本体と、上方及び下方共に開口しており下方開口縁に内向きカール部を有する紙製の外筒とからなり、外筒はその胴部が紙カップ本体の胴部より裾が少し広がったテーパーを有すると共に、外筒の上部には上方開口縁がミシン目からなる折返し線のところで内側に折り返されて折返し部分が形成されており、外筒はその上部の折返し部分が紙カップ本体における外向きカール部直下の側壁外周面に接触すると共にその下方開口縁の内向きカール部が紙カップ本体の下部の側壁外周面に接触する大きさであって、外筒を紙カップ本体に被せて外筒の折返し部分の下方付近の内側面を紙カップ本体の胴部上方付近の側壁外周面に接着して両者を一体とすることにより形成され、紙カップ本体と外筒の間に空隙が形成されている構成としたので、胴部の下部から上部に至る広い範囲に渡って断熱用の空隙がある程度の間隔で形成されることから、胴部のいずれの場所を手で持っても内容物の熱が伝わりにくいという断熱性に優れたものとなる。
【0018】
また、印刷する文字や模様が外側への浮きだし部分を形成するようにエンボス加工を施した板紙にて外筒を形成することにより、外筒の表面に印刷する文字や模様が浮きだし部分により突き出た状態になるので、断熱作用が良好になる上に、その凹凸により文字や模様が強調されるというデザイン的にも優れた意匠を付与したものとなる。
【0019】
また、外側となる面の略全体に渡って微細なエンボス加工を施してなる板紙にて外筒を形成することにより、外筒の表面にエンボス加工による凹凸があるので、手で持ちやすい上に熱が手に伝わりにくく、しかもその凹凸の模様によりデザイン的にも従来にない意匠を付与したものを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る断熱性容器の一例を示すもので、左半分及び右半分をそれぞれ断面図と正面図で示す概略構成図である。
【図2】図1の左上部を拡大して示す一部拡大図である。
【図3】外筒を形成するためのブランクを示す展開図である。
【図4】図1に示す断熱性容器の変形例を示すもので、左半分及び右半分をそれぞれ断面図と正面図で示す概略構成図である。
【図5】図1に示す断熱性容器の別の変形例を示すもので、左半分及び右半分をそれぞれ断面図と正面図で示す概略構成図である。
【図6】図1に示す断熱性容器のさらに別の変形例を示すもので、左半分及び右半分をそれぞれ断面図と正面図で示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 断熱性容器
2 紙カップ本体
3 外筒
4 胴部
5 底板
6 外向きカール部
7 胴部
8 内向きカール部
9 折返し部分
10 接着剤
11 空隙
12 浮きだし部分
20 突条
B ブランク
a 折返し線
b 切込み

Claims (4)

  1. 上方開口縁に外向きカール部を有する紙カップ本体と、上方及び下方共に開口しており下方開口縁に内向きカール部を有する紙製の外筒とからなり、外筒はその胴部が紙カップ本体の胴部より裾が少し広がったテーパーを有すると共に、外筒の上部には上方開口縁がミシン目からなる折返し線のところで内側に折り返されて折返し部分が形成されており、外筒はその上部の折返し部分が紙カップ本体における外向きカール部直下の側壁外周面に接触すると共にその下方開口縁の内向きカール部が紙カップ本体の下部の側壁外周面に接触する大きさであって、外筒を紙カップ本体に被せて外筒の折返し部分の下方付近の内側面を紙カップ本体の胴部上方付近の側壁外周面に接着して両者を一体とすることにより形成され、紙カップ本体と外筒の間に空隙が形成されていることを特徴とする断熱性容器。
  2. 印刷する文字や模様が外側への浮きだし部分を形成するようにエンボス加工を施した板紙にて外筒を形成したことを特徴とする請求項1に記載の断熱性容器。
  3. 外側となる面の略全体に渡って微細なエンボス加工を施してなる板紙にて外筒を形成したことを特徴とする請求項1に記載の断熱性容器。
  4. 外側となる面の略全体に渡って微細なエンボス加工を施すとともに、印刷する文字や模様が外側への浮きだし部分を形成するようにエンボス加工を施してなる板紙にて外筒を形成したことを特徴とする請求項1に記載の断熱性容器。
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