JP4090436B2 - 応力測定方法および応力測定装置 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、エレクトロルミネッセンス、すなわち、電子線を試料に照射して、試料からの発光現象を用いて、試料の応力測定を行う応力測定方法および応力測定装置等に関するものである。
背景技術
従来より、ラマン分光法等のフォトルミネッセンスを用いた応力測定方法および応力測定装置が知られている。上記フォトルミネッセンスを用いた分光法、すなわち、フォトルミネッセンス分光法は、通常、μm単位の分解能で、弾性材における応力等の測定に用いられている。
そして、ラマン分光法を用いた応力測定方法および応力測定装置としては、例えば、特開平7−19969号公報、特開平6−347343号公報、特開平8−5471号公報に開示されている。
上記各公報には、レーザ光源とレーザ光を被応力測定物表面にスポット状に絞るための対物レンズと散乱光を分光計に導くためのハーフミラーと分光器とを備えた応力測定方法が開示されている。
しかしながら、上記ラマン分光法を用いた応力測定は、位置分解能が悪いという問題点がある。
すなわち、上記ラマン分光法を用いた応力測定方法では、試料に光を照射する際のレーザ光のビームスポット径を小さくするには限界がある。例えば、一般的なラマン分光法を用いた応力測定方法の位置分解能は、1μm程度であり、近接場光を用いた場合でも200nm程度である。
近年、ナノレベルで原子・分子が配置されている微細な構造を有するナノチューブやナノコイル等の新物質が製造されている。このような、新物質の繰り返し単位の大きさは、200nm以下のものが大部分であり、新物質のナノレベル(例えば、数nm程度)での応力を測定する場合、従来のラマン分光法を用いた応力測定方法では、ビームスポット径を小さくすることができず、位置分解能が悪いため、そのビームスポット領域全体の平均的な応力が算出されてしまって局所部分(ナノレベル)での応力を測定することができない。
その結果、例えばナノレベルでの極めて小さな領域に高い応力集中がある場合でも、その応力集中は平均のなかに埋もれてしまって検出されず、例えば破壊の原因を特定することができない。
このように、特に応力測定の分野では、位置分解能を向上させることは、単純に位置測定精度を上げることに寄与するのみならず、従来測定できなかった局所的な高い応力集中を測定できることにつながり、破壊原因の解明や物性測定等に飛躍的な進歩を与えるものである。
さらに従来のラマン分光法を用いた応力測定方法では、応力感度が低くなる傾向にあり、微少応力変化の測定も難しい。
そこで本発明の目的は、従来よりも、位置分解能が高く、応力感度にも優れた応力測定方法および応力測定装置を提供することにある。
発明の開示
本発明の応力測定方法は、上記の課題を解決するために、試料に電子線を照射する電子線照射工程と、上記電子線照射工程により試料から発生する光を分析してスペクトルを得る分光工程と、所定状態での試料から得られるスペクトルとその所定状態とは異なる状態での試料から得られるスペクトルとのスペクトルシフトからその試料に生じている応力変化を求める応力算出工程とを含むことを特徴とする。ここで「所定状態とは異なる状態」とは同一試料において測定場所が異なるだけの場合も含む。
具体的態様としては、上記応力算出工程において、試料に応力が存在していない状態のスペクトルである試料スペクトルと、試料に残留応力が存在している状態のスペクトルである応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから前記残留応力を求めるものを挙げることができる。
また、本発明の応力測定方法は、上記電子線照射工程の前に試料に外力をかける外力印加工程をさらに含み、上記応力算出手段では、外力印加工程によって試料に内部応力が発生している状態の内部応力印加スペクトルと、その外力が印加されていない状態でのスペクトル、すなわち上記試料スペクトルまたは上記応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を求める構成でも構わない。
本発明の応力測定方法により測定する「応力」とは、内部応力および/または残留応力を示す。
上記試料スペクトルとは、試料に応力が存在していない状態のスペクトルを示す。また、応力印加スペクトルとは、試料に残留応力が存在している状態のスペクトルを示す。また、内部応力印加スペクトルとは、試料に外力をかけた状態のスペクトルを示す。また、「外力」とは、試料の外部からかけるエネルギー(力・熱等)を示している。
試料に対して、ある特定の波長の電子線を照射することにより、例えば、最高被占準位(HOMO)と最低空準位(LUMO)との間のような、電子のエネルギー準位間で電子が励起される。そして、励起された電子が基底状態に戻る際に光(蛍光を含む)を放出する。この放出された発光は、試料の構造的および分析的情報を含んでいる。
試料に応力が存在する場合には、試料スペクトルと応力印加スペクトルとを比べると、スペクトルの位置がシフト(スペクトルシフト)することになる。具体的には、試料に作用する応力が変化すると、試料を構成している原子間距離(イオン間距離)が変化する。これにより、原子(イオン)の電子状態が変化することとなり、電子のエネルギー状態が変化することになる。従って、例えば外力を受けている状態の試料と外力を受けていない状態の試料とではスペクトルの位置が異なることとなり、内部応力印加スペクトルは、試料スペクトルと比べてスペクトルがシフトすることとなる。
また、例えば、ガラス等の非晶性物質の場合、この物質に熱(外力)を加えて溶融した後、急激に冷却すると、熱膨張率の違いによってひずみが生じる。このひずみは、通常、解消されることなく物質内に残ることになる。この内部ひずみが存在していることは残留応力が存在していることを意味する。そして、上記残留応力が存在している場所と、残留応力の存在していない場所との間にもスペクトルシフトが生じる。
従って、試料に作用している残留応力は、応力印加スペクトルと試料スペクトルとの位置の差(スペクトルシフト)から求めることができる。また、例えば試料に外力(力・熱)がかけられることによって発生する内部応力の大きさは、その外力が作用していない状態でのスペクトルと、作用している状態でのスペクトルとのスペクトルシフトから求めることができる。なお、この場合には、両者のスペクトルには、同じ大きさの残留応力が存在している必要がある。
このように本発明にかかる応力測定方法では、試料に電子線を照射することにより発生した光を用いて応力を測定している。具体的には、残留応力を測定する場合には、試料に全く応力が存在していない状態の試料スペクトルと、試料に残留応力が存在している状態の応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を算出する。また、上記外力印加工程により試料に発生した内部応力を測定するには、外力を印加した状態の内部応力印加スペクトルと上記応力印加スペクトルまたは試料スペクトルとの差から応力を算出する。
上記電子線は、例えば、従来の応力測定に用いられてきたレーザ光と比べて、波長が短いため、ビームスポット径(ビームスポットの直径)を小さくすることができる。従って、試料に電子線を照射することにより発生した光を用いて応力を測定する構成(エレクトロルミネッセンス分光法)は、従来の光を照射することにより発生した光を用いる構成(フォトルミネッセンス分光法)と比べて、位置分解能(空間分解能)の優れた応力測定を行うことができる。具体的には、電子線を用いた場合、ビームスポット径を、100nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは2nm以下、最も好ましくは0.13nm程度まで小さくすることができるので、従来と比べて、位置分解能が著しく高い応力を測定することができる。
これにより、高位置分解能(数nm単位)の応力測定が可能になるので、従来の応力測定方法では応力の測定ができなかった、例えば、カーボンナノチューブやマイクロマシーン等の微細部分に関して原子・分子レベルでの応力解析が可能となる。また、算出された応力を基に、試料の構造を推定することもできる。
また、電子線を試料に照射することにより得られる発光を利用して応力を測定する構成は、従来のレーザ光を照射する構成に比べて、実験的に証明されたとおり、スペクトルシフトを大きくすることができる。従って、スペクトルシフトをより精度よく測定することができるので、感度の高い応力測定、すなわち従来では測定できなかった微小応力変化を測定することができる。
一方、上述したように高い空間分解能を有し、なおかつ微小応力変化の測定も可能な本発明においては、応力の存在しない状態での試料スペクトル、すなわち0点スペクトルを特定しておくことがそれらの機能を保証するうえで必要である。
上記試料スペクトルを特定する好ましい方法としては、上記電子線照射工程が、所望の空間分解能を得るための電子線のスポットサイズより十分大きな広域領域に対し、電子線を絞らずに照射する広域電子線照射工程を含み、上記応力算出工程で、その広域電子線照射工程により試料から発生する光を分析して得られたスペクトルを上記試料スペクトルとするものを挙げることができる。
また、上記電子線照射工程が、所望の空間分解能を得るための電子線のスポットサイズより十分大きな広域領域に対し、当該電子線を前記スポットサイズで走査して照射する広域電子線照射工程を含み、上記応力算出工程で、その広域電子線照射工程における電子線の各照射によってそれぞれ発生する光のスペクトルの平均を上記試料スペクトルとするものでも構わない。
好ましくは、上記広域領域が試料の全領域であれば、より確実に試料スペクトルを特定できる。その他に上記広城領域の径を、電子線のスポットサイズの100倍以上に設定しても精度よく試料スペクトルを得ることができる。
試料スペクトルを得る全く他の方法としては、試料から微量のサンプルを取得する微量サンプル取得工程をさらに含み、上記応力算出工程では、その微量サンプルに電子線を照射して得られた光のスペクトルを上記試料スペクトルとするものが挙げられる。微量サンプルの取得には、例えばナノマニピュレータ等の微量サンプル取得手段を用い、電子線照射と同一環境内で行えるようにすることが、測定の便宜上好ましい。なお「微量」とは残留応力等の応力が存在し得ない程度の量をいい、その形状によってもその量が異なるのはもちろんである。
例えば試料が半導体等においてはドーピングされた不純物の拡散等により、試料内で部分的に組成が異なる場合がある。このような場合、組成の違いによってスペクトルにケミカルシフトが生じ、これを考慮しないと試料スペクトルに誤差が混入することとなる。
そこでこれを防止するためには、試料の部分的な組成の違いを解析する組成解析工程をさらに含み、上記応力算出工程では、上記組成解析工程で得られた、試料の組成の異なる領域毎に、その組成の違いから生じるスペクトルシフトを考慮して上記試料スペクトルを定めるようにしているものが望ましい。
本発明の応力測定方法は、上記電子線照射工程では、スペクトルが既知である外部光を照射して、上記分光工程では、外部光と試料からの発光とのスペクトルを得て、上記応力算出工程では、応力変化測定のための比較すべき各状態における試料からのそれぞれのスペクトルの位置を、外部光のスペクトルを基に補正する構成がより好ましい。
具体的には、上記試料スペクトルと応力印加スペクトルとのそれぞれのスペクトルの位置を外部光のスペクトルを基に補正する構成や、内部応力印加スペクトルと上記試料スペクトルまたは応力印加スペクトルとのそれぞれのスペクトルの位置を外部光のスペクトルを基に補正する構成を挙げることができる。
またその場合、上記外部光スペクトルにおける基準となる所定ピーク波長を、試料からの発光スペクトルの所定ピーク波長近傍、より具体的には、前記ピーク波形の半値幅の略2倍以内に設定しておけばよい。測定レンジを担保できるからである。
上記外部光とは、試料からの発光とは無関係の光であり、かつ、スペクトルが既知である光を示す。上記構成によれば、試料スペクトルと応力印加スペクトルとのそれぞれのスペクトルの位置を、外部光のスペクトルに基づいて補正するようになっている。具体的には、それぞれのスペクトルを得る際に、外部光も併せて分光する。そして、試料スペクトルと応力印加スペクトルとのスペクトルシフトを算出する際に、両者のスペクトルに含まれている外部光のスペクトルの位置を一致させることにより、測定環境に起因する誤差を最小限に止めることができ、より正確なスペクトルシフトを算出することができる。また、異なる測定機器を用いて測定されたスペクトル同士を比較することもできる。なお、内部応力印加スペクトルと上記試料スペクトルまたは応力印加スペクトルとの場合にも同様である。
本発明の応力測定方法は、さらに、試料への外力の印加量と上記スペクトルシフトの量との相関を算出する相関算出工程を含む構成がより好ましい。
試料への外力の印加量と上記スペクトルシフトの量との間には相関がある。具体的には、試料への外力の印加量と上記スペクトルシフトの量との間には、外力が数GPa程度までは、一次関数(比例)の関係にある。この相関を用いることにより、試料にかかっている応力(内部応力、残留応力)を算出することができる。具体的には、例えば、試料の残留応力を測定する場合、試料に残留応力の存在している状態のスペクトルを測定し、残留応力を取り除いた状態の上記試料のスペクトルを測定して、両者のスペクトルの差(ピークシフト)を測定する。そして、このピークシフトを上記相関に当てはめることにより、上記試料に残っている残留応力を算出することができる。
上記の構成によれば、試料への外力の印加量と上記スペクトルシフトの量との相関を算出する相関算出工程を含むことにより、試料の外力の印加量と上記スペクトルシフトの量との相関とが分かっていない場合でも、試料にかかっている応力(内部応力・残留応力)を算出することができる。
本発明の応力測定方法は、上記試料には、ランタノイド系列からなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素が1ppm〜10000ppmの範囲内で含まれる構成がより好ましい。
電子線を照射することによる試料からの発光が得られない場合には、応力を測定することができない。従って、試料からの発光が得られない場合には、試料に、発光物質(蛍光物質)を含ませる(ドープする)必要がある。
ランタノイド系列とは、電子配置上、4f電子が順次充たされていく遷移元素のことである。このランタノイド系列は、4f−4f遷移が起こりやすい発光物質である。そして、ランタノイド系列の元素を試料に含ませることにより、ランタノイド系列特有の発光を得ることができる。上記の構成によれば、試料に1ppm〜10000ppmの範囲内のランタノイド系列が含まれていることにより、例えば、光(蛍光)を発しない試料の場合でも、上記ランタノイド系列からなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を試料にドープさせることにより、このランタノイド系列の4f−4f遷移により発光する光を測定することができるので、応力を測定することができる。
また、ランタノイド系列は非常に微量でもはっきりとしたスペクトルを得ることができるので、試料に非常に微量の割合(1ppm〜10000ppmの範囲内、より好ましくは50ppm〜10000ppmの範囲内、さらに好ましくは100ppm〜10000ppmの範囲内)で含有させればよい。従って、試料の特性(物性)を何ら変化させることなく応力を測定することができる。
本発明の応力測定方法は、上記ランタノイド系列が、Sm、Eu、Tb、Y、La、Er、Gdからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素である構成がより好ましい。
上記の構成によれば、Sm、Eu、Tb、Y、La、ErおよびGdは、ランタノイド系列の他の元素に比べてより発光効率が高いので、試料に添加する量をより少なくすることができる。従って、試料の物性をより変化させることなく、応力を測定することができる。
本発明の応力測定装置は、上記の課題を解決するために、試料に電子線を照射する電子線照射手段と、上記電子線照射工程により試料から発生する光を分析してスペクトルを得る分光手段と、所定状態での試料から得られるスペクトルと、その所定状態とは異なる状態での試料から得られるスペクトルとのスペクトルシフトからその試料に生じている応力変化を求める応力算出手段とを備えていることを特徴とする。
上記電子線照射手段とは、試料に電子線を照射するものであり、例えば、電子顕微鏡が挙げられる。なお、上記電子線照射手段には、電子線のスポットを小さくするための、コンデンサーレンズ等も含むこととする。
また、上記分光手段とは、電子線が試料に照射されることにより発生する光を検出器により検出して、検出された光を分光器により単色光に分離することによりスペクトルを得るものである。上記検出器としては、具体的には、光電子増倍管(PMT)等が挙げられる。また、上記分光器としては、具体的には、モノクロメーター等が挙げられる。
また、上記応力算出手段とは、例えば、試料に外力が印加されていない状態の試料スペクトルと試料に応力が存在している状態の応力印加スペクトルとの差(スペクトルシフト)を解析して、応力を算出するものである。上記応力算出手段は、具体的には、得られたスペクトルを所定の関数を用いてフィッティングすることにより規格化して、この規格化されたスペクトルから、応力が存在していない状態のスペクトルと応力が存在している状態のスペクトルとのスペクトルシフトを算出して、応力を求めるプログラムを含むものである。なお、上記応力が存在している状態と応力が存在していない状態とは、測定する応力(内部応力・残留応力)によって異なる。具体的には、例えば、内部応力を測定する場合には、内部応力が存在している状態の内部応力印加スペクトルと内部応力が存在していない状態の試料スペクトルまたは応力印加スペクトルとのスペクトルシフトを算出している。また、残留応力を測定する場合には、残留応力が存在している状態の応力印加スペクトルと残留応力が存在していない状態の試料スペクトルとのスペクトルシフトを算出している。
上記の構成によれば、試料に電子線を照射して、試料からの発光に基づいて応力を測定するようになっている。電子線は、従来のレーザ光を試料に照射する構成に比べて、ビームスポット径を小さくすることができる。
従って、試料に電子線を照射することにより発生した光を用いて応力を測定する構成は、従来のレーザ光を照射することにより発生した光を用いる構成と比べて、位置分解能の優れた応力測定を行うことができる。具体的には、電子線を用いた場合、ビームスポット径を、100nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは2nm以下、最も好ましくは0.13nm程度まで小さくすることができるので、従来と比べて、位置分解能が著しく高い応力を測定することができる。従って、従来の応力測定装置に比べて、位置分解能の高い応力測定装置を提供することができる。
本発明の応力測定装置は、さらに、試料に外力を印加する外力印加手段を備えている構成がより好ましい。
上記外力印加手段とは、試料に外力をかけるものである。上記外力印加手段としては、具体的には、治具等が挙げられる。上記治具は、試料に、圧縮や引っ張り、曲げ等の外力をかけることができる。また、上記治具は、外力の大きさを連続的に変化させることができる。なお、試料に残留応力を発生させるための加熱急冷却装置等も外力印加手段に含むものとする。
上記の構成によれば、外力印加手段を備えていることにより、試料に外力をかけた状態で発生する内部応力を測定することができる。また、外力の大きさを連続的に変えることができるので、試料にかかった内部応力の変化を測定することが可能となる。
また、試料にかかる応力を外力の変化とともに測定することができるので例えば、高分子物質の分子再配列等を観察することができる。また、外力の印加量を記録することにより、外力に対するスペクトルシフトの相関を求めることができる。
本発明の応力測定装置は、さらに、スペクトルが既知である外部光を照射する外部光照射手段を備えている構成がより好ましい。
上記外部光照射手段とは、例えば、ある特定の波長の光を放出するものであり、より詳細には、ハロゲン電球(ネオン電球)等である。上記ハロゲン電球はある特定の波長の光を放出するため、応力測定の際に、すなわち、試料に電子線を照射して得られる発光を分光する際に、ハロゲン電球からの光も併せて分光しておくことにより、得られるスペクトルには基準となるピークを含むことになる。この基準となるスペクトルのピークを基に、それぞれのスペクトル(試料スペクトル、応力印加スペクトルおよび内部応力印加スペクトル)の補正を行うことにより、常に、正確な応力を測定することができる。特に、応力を試料の面方向に沿って測定して、応力分布を表示する応力マッピングの際には、常に基準点により補正することができる。
本発明の応力測定装置は、さらに、上記試料の測定箇所を可視化する可視化手段を備えている構成がより好ましい。
上記可視化手段とは、測定箇所の位置を特定化して、かつ、応力を測定する測定箇所を、例えば、CRT等に表示させることができるものである。具体的には、光学顕微鏡や電子顕微鏡が挙げられる。
上記の構成によれば、可視化手段を備えているので、試料の測定したい箇所を精度よく示すことができる。これにより、例えば、同じ場所の応力を測定する際に効率よく応力測定を行うことができる。
本発明の応力測定装置は、上記電子線照射手段から照射する電子線のビームスポット径が100nm以下である構成がより好ましい。
上記の構成によれば、ビームスポット径を100nm以下、より好ましくは、10nm以下、さらに好ましくは、2nm以下、最も好ましくは0.13nm程度とすることにより、従来のレーザ光を用いて応力測定する構成に比べて、より一層、位置分解能の高い応力測定を行うことができる。
本発明の応力測定装置は、上記電子線照射手段が走査型電子顕微鏡である構成がより好ましい。
走査型電子顕微鏡は、既に市販されており、この走査型電子顕微鏡を用いることにより容易に応力測定装置を実現させることができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施の一形態について第1図ないし第7図に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施の形態で測定する応力とは、内部応力および/または残留応力を示す。
なお、以下の説明では、試料スペクトルとは、試料に残留応力が存在していない状態のスペクトルを示す。また、応力印加スペクトルとは、試料に残留応力が存在している状態のスペクトルを示す。また、内部応力印加スペクトルとは、試料に外力をかけた状態のスペクトルを示す。また、「外力」とは、試料の外部からかけるエネルギー(力・熱等)、換言すると外部応力を示している。
上記内部応力とは、試料に外部からの力や熱(外力)をかけている状態で試料に発生する応力である。試料が、例えば、特殊な形状や、構造が一定ではないガラスなどの非晶性物質等の場合、試料にかけられた外力と外力によって試料に発生する内部応力とは必ずしも一致しない。また、所定の外力をかけた場合でも、試料には一様に外力がかからないため、試料の場所によって内部応力の値は異なっている。
上記残留応力とは、試料に外部から力や熱をかけていない状態でも、試料の内部に存在している応力である。具体的には、例えば、多結晶体が外力によって弾性的に変形されてひずみが生じ、外力が除去された後も多結晶体内部に残存する応力のことである。また、例えば、ガラス等の非晶性物質の場合、この物質に熱を加えて溶融した後、急激に冷却すると、熱膨張率の違いによって残留応力が生じる。
本実地の形態にかかる応力測定装置は、電子線を試料に照射する電子線照射手段と、電子線照射手段により試料から発生する光を分光してスペクトルを得る分光手段と、試料に応力が存在していない状態の試料スペクトルと、試料に応力が存在している状態の応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を算出する応力算出手段とを備える構成である。
(測定試料)
まず、本実施の形態にかかる応力測定装置において、測定する試料について説明する。
本発明の応力測定方法では、試料に電子線を照射することによる、試料からの発光を用いて応力を測定している。従って、本発明の応力測定方法を用いて応力を測定する場合には、電子線を照射することにより試料からの発光が得られる必要がある。
測定する試料としては、電子線を照射することによって自ら光(蛍光を含む)を発する物質が好ましい。上記電子線を照射することにより自ら発光する物質としては、例えば、ルビー(主成分;酸化アルミニウム)中のCr3+による発光等が挙げられる。しかし、電子線を照射しても自ら発光しない物質を試料として応力を測定する場合には、ランタノイド系列からなる群より選ばれる1種類以上の元素(以下、発光物質と称する)を試料に含ませる、すなわち、試料に上記発光物質をドープすればよい。これにより、上記発光物質からの発光を用いて応力を測定することができる。従って、測定する試料としては、特に限定されるものではない。
上記ランタノイド系列の元素(以下、ランタノイド元素と称する)は、電子線を照射することにより、4f−4f遷移が起こりやすい。このため、測定する試料が自ら光を発しなくても、ランタノイド元素をドープすることにより、ランタノイド元素の発光を測定することで、応力を測定することができる。
また、試料にランタノイド元素をドープする場合、上記ランタノイド系列のうち、特に、Sm、Eu、Tb、Y、La、Er、Gdからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素をドープさせることが好ましい。上記Sm、Eu、Tb、Y、La、Er、Gdは、他のランタノイド系列の元素に比べてより発光効率が高いので、試料に添加する量をより少なくすることができる。従って、試料の物性をより変化させることなく、応力を測定することができる。
上記試料にランタノイド元素をドープさせる場合、その割合は、試料に対して、1〜10000ppmの範囲内(より好ましくは50〜10000ppmの範囲内、さらに好ましくは100〜10000ppmの範囲内)が好ましい。ランタノイド元素を試料にドープさせる割合を上記範囲内とすることにより、試料からの発光を十分に検出することができる。また、ドープさせる割合が上記範囲内であれば、試料に含まれるランタノイド元素は、非常に少ないので、試料の特性を何ら変化させることがない。
(応力測定装置)
次に、本実施の形態にかかる応力測定装置について説明する。
本実施の形態にかかる応力測定装置は、第1図に示すように、電子線照射手段1(電子銃11)、集光手段2(楕円ミラー12、光ファイバー13、光ファイバー制御装置14)、分光手段3(モノクロメーター15、モノクロメーター制御装置16、光電子増倍管17)、応力算出手段4(制御部18、スペクトルフィッティング手段19、応力マップ作成手段20)、試料台5、冷却装置6および温度制御装置7を備えている。
また、内部応力を測定する場合には、外力印加手段(図示しない)を備えている。上記外力印加手段とは、試料に外力を印加するものである。より具体的には、外力印加手段は、試料の表面に外力を与えることにより、試料内部に内部応力を発生させるものである。この外力印加手段は、例えば、第2図に示すように、マイクロメーター21、ロードセル22、試料載置台23、外力記録計24等で構成されている。ここで、試料に外力を印加する方法について説明する。試料を試料載置台23に載置してマイクロメーター21を回転させると、試料に外力が印加される。このとき、試料への外力の印加量は、ロードセル22によって、電気信号に変化される。そして、該電気信号は、外力記録計24に記録されるようになっている。以上のように試料にかかる外力の大きさを測定することができる。
上記電子線照射手段1とは、試料に電子線を照射するものであり、例えば、電子銃11が挙げられる。なお、上記電子線照射手段1には、電子線のビームスポット径を小さくするための、コンデンサーレンズ等を含むこととする。従って電子線照射手段1は、電子銃11、コンデンサーレンズ等により構成されている。また、電子線照射手段1として、電子顕微鏡、より詳細には走査型電子顕微鏡を用いることもできる。
上記電子銃11とは、電子線を放出するものであり、熱フィラメント等により電子を放出するようになっている。上記電子銃11としては、熱フィラメント電界開放型電子銃を用いることが好ましい。
上記集光手段2とは、試料に電子線を照射することにより発生した光を集光するものである。上記集光手段2は、楕円ミラー12、光ファイバー13、光ファイバー制御装置14等により構成されている。上記各部材については、公知であり、詳細な説明は省略する。
楕円ミラー12は、試料に電子線を照射することにより発生した光を集光するために用いられる。上記楕円ミラー12は、電子線照射手段1と試料台5との間に設けられており、かつ、電子線の照射を妨げないように配置されている。
光ファイバー13および光ファイバー制御装置14は、上記楕円ミラー12によって、集光された光を損失させることなく、後述する分光手段3に導くために用いられている。
上記分光手段3とは、集光手段2により集光された光を検出器により検出して、検出された光を分光器により単色光に分離するものである。上記検出器としては、具体的には、光電子増倍管17(PMT)等が挙げられる。また、上記分光器としては、具体的には、モノクロメーター15等が挙げられる。
上記光電子増倍管17は、上記集光手段2によって、集光されてきた光を増幅するものである。試料からの発光は非常に小さいため、分光するためには発光を増幅する必要がある。
モノクロメーター15およびモノクロメーター制御装置16は、光電子増倍管17で増幅された光を単色光に分離する。
上記応力算出手段4とは、試料スペクトルと応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を算出するものである。具体的には、上記応力算出手段4は、残留応力の存在している試料の応力印加スペクトルと残留応力の存在していない試料スペクトルとのスペクトルシフトから残留応力を算出するものである。また、上記応力算出手段4は、内部応力の存在している試料の内部応力印加スペクトルと内部応力の存在していない試料スペクトルとのスペクトルシフトから内部応力を算出するものでもある。上記応力算出手段4としては、具体的には、例えば、試料に残留応力(または、内部応力)の存在している状態の応力印加スペクトル(内部応力印加スペクトル)と残留応力(または、内部応力)の存在していない状態の試料スペクトルとをそれぞれ、所定の関数を用いてフィッティングすることにより規格化する。そして、規格化されたスペクトルからスペクトルシフトを算出して、応力を算出するプログラムを含むものである。
また、上記応力算出手段4は、所定の外力に対するスペクトルシフトの相関を求めることもできる。スペクトルシフトは、試料の種類等によって変化する。つまり、測定する試料が異なると、試料にかけた外力とこの外力によるピークシフトとの相関は異なる。従って、試料にかけた外力とこの外力によるピークシフトとの相関が分かっていない場合には、外力の大きさとスペクトルシフトとの相関を調べる必要がある。上記応力算出手段4により上記相関を求める方法としては、外力印加手段により一定の外力をかけて、そのときに得られたスペクトルシフトを記録する。そして、外力の大きさを変化させて上記操作を繰り返すことにより、外力の大きさとスペクトルシフトとの相関を得ればよい。
試料台5は試料を載置するために用いられる。この試料台5は、温度制御装置7によって、試料の温度を一定に保つことができる。具体的には、例えば、試料の温度が高くなった場合には、冷却装置6により液体窒素または液体ヘリウム等の冷却媒体が試料台5に供給されて試料台5が冷却される。これにより、試料を冷却するようになっている。例えば、生体高分子等の有機物の試料によっては、温度によって原子配置や分子構造が変化するものがある。このような試料を用いる場合、電子線を試料に照射することにより試料の温度が変わると、正確な応力を測定することができない場合がある。従って、試料の温度を一定にすることにより、より正確に応力を測定することができる。
また、2次元の方向、すなわち、試料の応力測定を試料の面方向で行う場合には、試料台5は、自動可変x−yステージとなっていてもよい。つまり、試料台5を試料の面方向に移動させることにより、試料の2次元的な応力測定(応力マッピング)を行ってもよい。また、電子線照射手段1から照射する電子線の照射角を変動させることにより、応力マッピングを行ってもよい。応力マッピングについては後述する。
また、本実施の形態にかかる応力測定装置には、さらに、スペクトルが既知である外部光を照射する外部光照射手段を備えていることが好ましい。
上記外部光照射手段とは、例えば、ある特定の波長の光を放出するものであり、より詳細には、ハロゲン電球(ネオン電球)等である。上記ハロゲン電球はある特定の波長の光を放出するため、応力測定の際に、すなわち、試料に電子線を照射して得られる発光を分光する際に、ハロゲン電球からの光も併せて分光しておくことにより、得られるスペクトルには基準となるピークを含むこととなる。この基準となるスペクトルのピークを基に、それぞれのスペクトル(試料スペクトル、応力印加スペクトルおよび内部印加スペクトル)の補正を行うことにより、常に、正確な応力を測定することができる。
具体的には、それぞれのスペクトルを得る際に、外部光も併せて分光する。そして、例えば、試料スペクトルと応力印加スペクトルとのスペクトルシフトを算出する際に、両者のスペクトルに含まれている外部光のスペクトルの位置を一致させることにより、測定環境に起因する誤差を最小限に止めることができ、より正確なスペクトルシフトを算出することができる。また、異なる測定機器を用いて測定されたスペクトル同士を比較することもできる。
(応力測定方法)
本実施の形態にかかる、応力測定方法は、試料に電子線を照射する電子線照射工程と、この電子線照射工程により、試料からの発光を集光する集光工程と、上記集光工程により集光された光を分光してスペクトルを得る分光工程と、試料に応力が存在していない状態の試料スペクトルと、試料に応力が存在している状態の応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を求める応力算出工程とを含む方法である。
また、本実施の形態にかかる応力測定方法は、さらに、上記電子線照射工程の前に、試料に外力をかける外力印加工程を備えており、上記応力算出手段では、外力印加工程によって試料に内部応力が発生している状態の内部応力印加スペクトルと上記試料スペクトルまたは上記応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を求める方法が好ましい。
電子線照射工程では、電子ビームを試料に照射する。そして、試料に電子線を照射することにより、試料からの発光を得る。具体的には、試料に特定の波長をもった電子線を試料に照射することにより、試料の特定の電子の、電子状態が励起されて、その励起状態が基底状態に戻る際に光が発光する。試料に照射される電子ビームのビームスポット径は、応力を測定する場所、試料の種類等により適宜変更すればよい。本発明では、ビームスポット径を100nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは1.5nm以下、特に好ましくは0.13nm程度まで絞ることができる。上記ビームスポット径を100nm以下とすることにより、第3図、第4図に示すように、従来のレーザ光を試料に照射する構成に比べて、ビームスポット径を著しく小さくすることができる。具体的には、従来のレーザ光を試料に照射する構成では、ビームスポット径は、1μm程度、近接場光を用いた場合でも200nm程度であるが、本発明では、上記のようにビームスポット径を100nm以下(第4図では30nm)にすることができる。
集光工程では、上記電子線照射工程により、発生した光を楕円ミラー12により集光する。集光された光は、光ファイバー13を通ってモノクロメーター15および光電子増倍管17に伝えられる。
分光工程では、光電子増倍管17に伝えられた光が光電子増倍管17内で増幅されてモノクロメーター15に伝えられる。そしてモノクロメーター15では、増幅された光を分光して、スペクトルを得る。そして、モノクロメーター15に直接伝えられた光は、正確に周波数が測定され、ピークシフトを決めることができる。
次に応力算出工程について説明する。この応力算出工程では、残留応力を測定する場合、試料に残留応力が存在していない状態の試料スペクトルと試料に残留応力が存在している状態の応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を算出するようになっている。また、試料に発生した内部応力を測定する場合には、内部応力印加スペクトルと応力印加スペクトルまたは試料スペクトルとのスペクトルシフトから応力を算出するようになっている。
また、試料への外力の印加量と上記スペクトルシフトの量との相関が分かっていない場合には、応力算出工程の前に、相関算出工程を行う必要がある。相関算出工程では、試料への外力の印加量と上記スペクトルシフトの量との相関を求める。上記相関を求める方法としては、外力印加手段により一定の外力をかけて、そのときに得られたスペクトルシフトを記録する。そして、外力の大きさを変化させて上記スペクトルシフトを記録する操作を繰り返すことにより、外力の大きさとスペクトルシフトとの相関を得ればよい。
ここで、外力の大きさとスペクトルシフトとの相関について説明する。外力による試料に発生する応力とスペクトルシフト(具体的には、スペクトルのピークのシフト量)との関係は、外力の大きさが数GPa程度までは直線近似することができる。具体的には、外力の大きさとスペクトルシフトとの相関は、下式(1)で示される。
【数1】
Figure 0004090436
ここでνは、ゼロ応力状態のスペクトルのピークの中心波数、νσは、外力σの時のスペクトルのピークの中心波数、σは外力によって生じる応力の大きさである。()内は通常PS(Piezo−Spectroscopic)係数と呼ばれIIと表され、応力のみに依存して位置に依存しないテンソルである。従って、スペクトルのピークの外力によるシフト量Δν=νσ−νは、下式(2)で示される関係である。
【数2】
Figure 0004090436
なお、ここで留意すべきは、前記IIij及びσijがテンソルであるということである。
したがって外力による応力が1軸にのみ作用している場合、2軸に作用している場合、3軸に作用している場合で、IIの値が異なることを考慮しなければならない。また等方性の試料のように、各軸毎のIIii(i=1,2,3)を等しいとすることができる試料もあるが、例えばクローム(Cr)をドーピングしたアルミナ(Al)のように、異方性を有する試料等では、IIiiが全て等しいとは限らず異なるものもあるため、その点も考慮する必要がある。
一方、ゼロ応力状態でのスペクトルを精度よく特定することは、高い空間分解能と微小応力変化の測定を保証するうえで、非常に重要である。そのために本実施形態では、上記電子線照射工程において、所望の空間分解能を得るための電子線のスポットサイズより十分大きな1又は複数の広域領域ARに対し、電子線を絞らずに照射する広域電子線照射工程を行うようにしている。
具体的には、第5図に示すように、試料に外力を作用させない状態で、所望の空間分解能を得るための電子線のスポットサイズの2桁以上(100倍以上、本実施形態では2〜3μm以上)に設定した複数の広域領域ARに電子線を絞らずにそれぞれ照射し、それら各広域領域ARから得られた光のスペクトルの平均を上記試料スペクトルとしている。十分に大きな領域であれば、その領域に存在している応力は局所的にプラスマイナスがあるものの、トータルで0と推定することができ、その領域からの光の平均スペクトルを残留応力0でのスペクトル、すなわち試料スペクトルとすることができるからである。
もちろん、第6図に示すように、1又は複数の広域領域ARに、所望の空間分解能を得るためのスポットサイズ又はそれよりも若干大きなスポットサイズで電子線を走査して照射し、各電子線照射により得られた光スペクトルの平均を試料スペクトルとしても構わない。この例では、まず横方向に電子線を走査し、それを順次、縦にずらせることにより広域領域ARに亘っての電子線の走査が行われるようにしている。
なお試料の全領域に電子線を照射し、その平均光スペクトルを取得するようにしておけば、より確実に試料スペクトルを特定できる。また、上述したような試料スペクトルの特定方法は、電子線照射による応力測定のみならず、光(電磁波全般を含む意味である)照射による応力測定にも応用することができる。
さらに、例えば試料が半導体等においてはドーピングされた不純物の拡散等により、試料内で部分的に組成が異なる場合がある。このような場合、組成の違いによってスペクトルにケミカルシフトが生じ、これを考慮しないと試料スペクトルに誤差が混入することとなる。
そこでこれを防止するために本実施形態では、試料の部分的な組成の違いを解析する組成解析工程をさらに行い、上記応力算出工程では、上記組成解析工程で得られた、試料の組成の異なる領域毎に、その組成の違いから生じるスペクトルシフトを考慮して上記試料スペクトルを定めるようにしている。この組成解析工程では、既知の非破壊分析方法を用いればよい。
試料スペクトルを得る他の方法としては、試料から微量のサンプルを取得する微量サンプル取得工程を行い、その微量サンプルに電子線を照射して得られた光のスペクトルを上記試料スペクトルとするようにしてもよい。微量サンプルの取得には、例えばナノマニピュレータを用い、電子線照射と同一環境内、すなわち真空内で行えるようにすることが、測定の便宜上好ましい。
本実施の形態にかかる応力測定方法を用いて、試料の残留応力を測定する方法としては、例えば、以下の方法で測定すればよい。
まず、残留応力のない試料に、所定の外力をかけた際の、ピークシフトを測定して、試料にかけた外力とピークシフトとの相関を求める(第1工程)。
次に、極めて大きい圧力(例えば、ビッカース圧痕)および/または熱を局部的にかけることにより、試料に残留応力を発生させる。具体的には、例えば、応力を測定する試料がガラスの場合には、加熱溶融した後に急冷することにより、残留応力の存在している状態の試料を得ることができる。そして、上記残留応力の存在している状態のスペクトル、すなわち、応力印加スペクトルを測定する(第2工程)。
そして、残留応力のない状態の試料のスペクトル、すなわち、試料スペクトルを測定する(第3工程)。この、「残留応力のない」とは、試料内部に残留応力がない状態の試料のことである。上記「残留応力のない」状態にする方法としては、本実施形態では例えば、上述したように、非破壊で行えるという利点から広域領域から得た光スペクトルの平均をとるようにしているが、その他に試料を粉体にする、試料をアニーリングする等の方法でもよい。
そして、上記応力印加スペクトルと試料スペクトルとのピークシフトを算出する(第4工程)。
このとき、スペクトルシフトの算出方法としては、ピークの最大値同士の差を求めても良く、また、ピークの半値幅をとって差を求めても良い。
次に得られたピークシフトの値を、上記相関に当てはめる(第5工程)ことにより、試料内に残存している残留応力を測定することができる。
なお、試料にかけた外力とピークシフトとの相関(関係)が既に分かっている場合には、上記第1工程を省略することができる。
また、例えば、製品を製造した際の応力を測定しておき、一定期間使用した後、再び上記製品の応力を測定することで、試料に蓄積された残留応力を測定することもできる。
また、応力を測定する試料が自ら発光しない、すなわち、電子線を照射しても発光しない場合には、上記第1工程の前に、試料にランタノイド元素をドープさせるドープ工程を行えばよい。
ところで、試料の内部応力を測定する場合には、上記第3工程の代わりに、外力印加手段を用いて、試料に外力をかけたままの状態の内部応力印加スペクトルを測定する。(第3´工程)。そして、第5工程において、内部応力印加スペクトルと応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから内部応力を測定することができる。また、上記第3´工程と第2工程とは、どちらを先に行っても良い。すなわち、第3´工程を先に行った後に、第2工程を行っても良い。
また、上記第2工程、第3工程および第3´工程を全て行うことにより、試料の内部応力と残留応力との両方を測定することができる。具体的には、上記第2工程から得られる応力印加スペクトルと上記第3工程から得られる試料スペクトルとのスペクトルシフトから残留応力を求めることができる。そして、上記第2工程から得られる応力印加スペクトルと上記第3´工程から得られる内部応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから内部応力を求めることができる。
なお、上記第2工程、第3工程および第3´工程を行い、内部応力と残留応力との両方を測定する場合には、上記第2工程および上記第3´工程はどちらを先に行っても良いが、上記第2工程および上記第3´工程において、試料の残留応力が変化しないことが必要である。これは、試料に外力をかけた状態から外力をかけていない状態にしたときに、試料の残留応力が変化する場合があるためである。例えば、試料の分子の再配列が起こると、残留応力は変化してしまう。従って、外力印加手段によって、試料の残留応力が変化してしまうと、正確な残留応力を測定することができない。したがって、上記第2工程を行った後で、第3´工程を行うことが好ましい。また、上記第3工程は、上記第2工程および第3´工程の後に行うことがより好ましい。これは、例えば、第3工程で、試料を粉体にして試料スペクトルを測定してしまうと、第2工程および第3´工程を行うことができないためである。従って、内部応力と残留応力との両方を測定する場合には、第2工程、第3´工程、第3工程の順に行うことがより好ましい。
なお、上記試料スペクトル、応力印加スペクトルおよび内部応力印加スペクトルは、試料の同じ部分で測定されたスペクトルでもよく、異なった部分で測定されたものであっても良い。例えば、試料の同じ部分での、内部応力印加スペクトルと試料スペクトルとを得るためには、まず、試料を固定して、試料スペクトルを測定する。その後、試料に外力を印加した状態で内部応力印加スペクトルを測定すればよい。
ここでスペクトルシフトの求め方について説明する。
まず、連続的な波長の電子線を試料に照射してスペクトルを得る。これにより、試料特有のピーク(波形)が得られる。そして、試料に上記波長を照射することにより得られる光のスペクトルを得る。このスペクトルには、第7図に示すように、測定する際のノイズや、バックグラウンドを含んでいる。従って、それらノイズや、バックグラウンドを取り除くために、得られたスペクトルに対して分離補正を行い、特定の関数によって規格化する。そして、バックグラウンドを取り除くことにより、試料の発光スペクトル(試料スペクトル)を得ることができる。そして、このピークが大きい部分を選択する。また、試料に外力をかけた状態においても同様であり、上記固定された波長を外力をかけた状態の試料に照射することにより、スペクトルを得る。そして、上記と同様の処理を行うことにより、外力をかけた状態の試料の発光スペクトル(内部応力印加スペクトル)を得ることができる。
このように、測定された試料スペクトルと応力印加スペクトルとのスペクトルシフトを求めるには、両者のスペクトルのシフト量が最大のピークのピークシフトを測定すればよい。また、スペクトルシフトを測定する方法としては、両者のスペクトルのピークの半値幅を取って、シフト量を測定してもよい。また、内部応力を測定する場合も同様である。
本発明にかかる応力測定方法を用いることにより、原子または分子レベルでの構造解析や応力測定が可能となる。具体的には、例えば、アモルファスセラミックスの応力測定、半導体プロセスの解析、スプリングやアクチュエータ等マイクロマシーンの応力解析、カーボンナノチューブ・ナノコイル等の応力解析、構造解析を行うことができる。また、骨の応力測定を行うこともできる。
次に応力マッピングについて説明する。
試料にかかる応力を、試料の面方向に測定して、測定された応力を表示する方法、すなわち、応力の2次元マッピングを行うためには、例えば、試料台5を移動させながら電子線を照射して、試料の面方向の応力を測定すればよい。また、上記と異なる方法としては、例えば、パルス発生装置とビームブランキングユニットとを用いて電子線から照射される電子ビームをパルス化する方法がある。
パルス発生装置とビームブランキングユニットとは、電子線照射手段1により照射される電子ビームをパルス化するために用いるものである。そしてパルス化された電子ビームを照射角度を変えながら試料に照射することにより、試料台5を移動させることなく、試料の面方向に電子線を照射させることができる。
そして、試料の面方向の応力を測定することにより応力マッピングを行うことができる。
以上のように、本実施の形態にかかる応力測定方法は、試料への外力の印加量と上記スペクトルシフトの量との相関を算出する相関算出工程と、試料に電子線を照射する電子線照射工程と、上記電子線照射工程により試料から発生する光を分光してスペクトルを得る分光工程と、試料に応力が存在していない状態の試料スペクトルと、試料に応力が存在している状態の応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を求める応力算出工程とを含む構成である。
上記の構成によれば、試料に電子線を照射することにより発生した光を用いて応力を測定している。具体的には、試料に電子線を照射することにより得られる試料スペクトルと、上記外力印加工程により外力が印加されている試料に電子線を照射することにより得られる内部応力印加スペクトルとの差から残留応力を算出するようになっている。
また、さらに、上記電子線照射工程の前に、試料に外力をかける外力印加工程を含み、上記応力算出手段では、外力印加工程によって試料に内部応力が発生している状態の内部応力印加スペクトルと上記試料スペクトルまたは上記応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を求めることにより、内部応力を測定することができる。
上記電子線は、従来の応力測定に用いられてきたレーザ光と比べて、波長が短いため、ビームスポットを小さくすることができる。従って、試料に電子線を照射することにより発生した光を用いて応力を測定する構成(エレクトロルミネッセンス分光法)は、従来の光を照射することにより発生した光を用いる構成(フォトルミネッセンス分光法)と比べて、位置分解能(空間分解能)の優れた応力測定を行うことができる。具体的には、電子線を用いた場合、ビームスポット径を、100nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは2nm以下、最も好ましくは0.13nm程度まで小さくすることができるので、従来と比べて、位置分解能が著しく高い応力を測定することができる。
これにより、高位置分解能(数nm単位)の応力測定が可能となるので、従来の応力測定方法ではビームスポット径が大きいために応力の測定ができなかったカーボンナノチューブやマイクロマシーン等の微細部分に関して原子・分子レベルでの応力解析が可能となる。また、算出された応力を基に、試料の構造を推定することもできる。
また、電子線を試料に照射することにより得られる発光を利用して応力を測定する構成は、従来のレーザ光を照射する構成に比べて、実験的に証明されたとおり、スペクトルシフトを大きくすることができる。従って、スペクトルシフトをより精度よく測定することができるので、分解能の高い応力測定を行うことができる。また、従来では、応力が小さいために、スペクトルシフトが小さくて応力を測定することができなかった試料の場合でも、電子線を用いることで、スペクトルシフトを測定することが可能となる。
また、応力算出工程の前に、試料への外力の印加量と上記スペクトルシフトの量との相関を算出する相関算出工程を行うことにより、試料への外力の印加量と上記スペクトルシフトの量との相関が分かっていない場合でも、試料にかかっている応力(内部応力、残留応力)を算出することができる。
また、上記電子線照射工程では、スペクトルの周波数が既知である外部光を照射して、上記分光工程では、外部光と試料からの発光とを併せて分光してスペクトルを得て、上記応力算出工程では、上記試料スペクトルと応力印加スペクトルとのそれぞれのスペクトルの位置を外部光のスペクトルを基に補正する構成とすることがより好ましい。また、同様にして内部応力を求める際にも外部光を用いて補正することができる。
上記外部光とは、試料からの発光とは無関係の光であり、かつ、スペクトルが既知である光を示す。この例では、第8図に示すように、上記外部光スペクトルにおける基準となる所定ピーク波長を、比較すべき試料スペクトル及び応力印可スペクトルの各所定ピーク波長の近傍、より具体的には、その半値幅の2倍以内程度に設定している。そして試料スペクトルと応力印加スペクトルとのそれぞれのスペクトルの位置を、外部光のスペクトルに基づいて補正するようにしている。具体的には、それぞれのスペクトルを得る際に、外部光も併せて分光し、試料スペクトルと応力印加スペクトルとのスペクトルシフトを算出する際に、両者のスペクトルに含まれている外部光のスペクトルを一致させる。
このことにより、測定環境に起因する誤差を最小限に止めることができ、より正確なスペクトルシフトを算出することができる。また、異なる測定機器を用いて測定されたスペクトル同士を比較することもできる。特に位置分解能、感度に優れた本装置の場合、わずかな環境変動も誤差に直結するため、このようにフィッティングエラーを自動補正できる構成が非常に好ましいものとなる。
また、上記試料は、ランタノイド系列からなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素が1ppm〜10000ppmの範囲内でドープすることにより、電子線を照射することによる試料からの発光が得られない場合でも、応力を測定することができる。従って、上記の構成によれば、試料に1ppm〜10000ppmの範囲内のランタノイド系列の元素をドープすることにより、このランタノイド系列の4f−4f遷移により発生する光を測定することができるので、応力を測定することができる。
また、ランタノイド系列の元素は非常に微量でもはっきりとしたスペクトルを得ることができるので、試料に非常に微量の割合(1ppm〜10000ppmの範囲内、より好ましくは50ppm〜10000ppmの範囲内、さらに好ましくは100ppm〜10000ppmの範囲内)で含有させればよい。これにより、試料の特性(物性)を何ら変化させることなく応力を測定することができる。
また、上記ランタノイド系列が、Sm、Eu、Tb、Y、La、Er、Gdからなる群より選ばれる少なくともひとつの元素であることがより好ましい。
なお、本実施の形態にかかる応力測定方法は、内部応力の存在していない試料に電子線を照射して得られる発光を分光することにより試料スペクトルを得る第1のステップと、試料に外力をかけることにより内部応力が発生している状態の試料に、電子線を照射して得られる発光を分光して内部応力印加スペクトルを得る第2のステップと、上記第1のステップで得られた試料スペクトルと、上記第2のステップで得られた内部応力印加スペクトルとの差から応力を求める応力算出ステップとを含む構成であってもよい。
また、残留応力のない状態の試料に電子線を照射して得られる発光を分光して試料スペクトルを得る第1のステップと、残留応力の存在している状態の試料に電子線を照射することによって得られる発光を分光して残留応力印加スペクトルを得る第2のステップと、上記第1のステップで得られた試料スペクトルと、上記第2のステップで得られた残留応力印加スペクトルとの差から応力を求める応力算出ステップとを含む構成であってもよい。
また、本実施の形態にかかる応力測定方法としては、試料に外力をかける外力印加工程と、試料に電子線を照射する電子線照射工程と、この電子線照射工程により試料から発生する光を分光してスペクトルを得る分光工程と、上記試料に電子線を照射することにより得られる試料スペクトルと、上記外力印加工程により応力が存在している状態の試料に電子線を照射することにより得られる応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を求める応力算出工程とを含む構成であってもよい。
また、本実施の形態にかかる応力測定方法としては、試料に外力をかける外力印加工程と、カソードルミネッセンスにより得られる光を分光してスペクトルを得る分光工程と、上記外力印加工程により外力がかけられた試料の内部応力印加スペクトルと、内部応力の存在していない試料に電子線を照射することにより得られる試料スペクトルとの差から応力を求める応力算出工程とを含む構成であってもよい。
カソードルミネッセンスとは、電子プローブの試料への照射によって、試料から紫外、可視、赤外領域の波長を持つ電磁波(光)が放出される現象のことである。
上記の構成によれば、分光工程において、カソードルミネッセンスを用いて分光しているので、従来のフォトルミネッセンスを用いて分光する工程に比べて、位置分解能および分解能の高い応力測定を行うことができる。
【実施例】
(測定試料の作成)
ホウ珪酸ガラスに、最終濃度が1000ppmとなるようにSmF3粉末を混入して、一般的な溶融急冷法により、応力を測定する試料であるガラスを作製した。
(応力測定装置)
電子線照射手段1として、分解能が1.5nmの熱フィラメント電界放出型電子銃11を備えた走査型電子顕微鏡(日本電子製 型式;JSM−6500F)を用いた。そして、振動を防止するとともに、光学系を調整するために、上記走査型電子顕微鏡を、空気バネ式光学テーブル上の切り抜き内に設置した。また、集光手段2および分光手段3として、楕円鏡、光ファイバー13、および、CCDカメラを備えたトリプルモノクロメーター15を有する高感度カソードルミネッセンス検出ユニット(愛宕物産製 型式;MP−32FE)を用いた。また、応力算質手段4として、マッピング装置およびその関連ソフト(愛宕物産製 型式;PMT R943−02)を用いた。
〔実施例1〕
まず、試料の、外力に対するピークシフトの相関を求めた。具体的には、最初に、試料に外力を印加していない状態で、加速電圧を1.5kVに設定して、最小限の横方向拡散で、電子をビームスポット径が30nmとなるように上記試料に注入して、試料からの発光を分光器で分光することによりスペクトルを得た。従って、1μm四方には、約1000スポットが存在することとなる。そして、上記1μm四方の面積に照射されたビームスポットから得られるスペクトルの平均値をとった。なお、電子顕微鏡のビームスポット径は、倍率を定めることによって測定範囲を絞ることができる。
次に、試料に所定の外力を印加しながらスペクトルを得た。そして、所定の外力を印加することによるピークシフトを測定した。具体的には、外力を印加していない状態でのスペクトルから、強度が最も強いピークまたはピークの形が明確であるピークを選択した。そして、選択したピークにおける外力が印加されていない状態でのスペクトルと外力が印加されている状態のスペクトルとのスペクルシフトを算出した。上記処理を外力の大きさを変化させて行い、第9図に示すように、外力に対するスペクトルシフトの相関を得た。なお、得られたスペクトルは、所定の関数を用いて規格化しており、両者のピークの最大値からの差をピークシフトとした。また、図中、「フォトルミネッセンス」(○)は、従来のレーザ光を用いた場合の外力の印加量に対するピークシフトの相関を表し、「エレクトロルミネッセンス」(●)は、本発明にかかる電子線を用いた場合の外力の印加量に対するピークシフトの相関を表す。
次に、外力印加手段を用いて、上記試料表面に、第10図に示すように、圧痕(へこみ傷)を付けた。なお、第10図は、電子顕微鏡写真である。これにより、試料には、残留応力が存在することとなる。そして、上記圧痕およびその周囲のスペクトルを上記の測定条件で測定した。この、残留応力の存在する状態における応力印加スペクトルと残留応力のない状態における試料スペクトルと対比を第11図に示す。なお、図中、実線は試料スペクトルを表し、点線は応力印加スペクトルを表す。
次に、上記試料スペクトルと応力印加スペクトルとのスペクトルシフトを算出して、先に求めている試料の外力に対するピークシフトの相関から、残留応力を算出した。その結果を第12図に示す。なお、上記スペクトルシフトの算出および残留応力の算出は、応力算出手段4により行われる。
〔比較例〕
電子線照射手段1の代わりに、ビームスポット径が1μmである波長488nmのレーザ光を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、外力に対するピークシフトの相関、および、残留応力の存在する状態におけるスペクトルと残留応力のない状態におけるスペクトルを得た。外力に対するピークシフトの相関を第9図に示す。また、応力印加スペクトルと試料スペクトルとの対比を第13図に示す。なお、図中、実線は試料スペクトルを表し、点線は応力印加スペクトルを表す。また、上記圧痕の光学電子顕微鏡写真を第14図に示す。そして、上記残留応力の存在する状態における応力印加スペクトルと残留応力のない状態における試料スペクトルとのスペクトルシフトから残留応力を算出して、先に求めている試料の負荷に対するピークシフトの相関から、残留応力を算出した。その結果を第15図に示す。
以上のことから、第12図および第15に示すように、レーザ光を用いた残留応力の測定結果と、電子線を用いた残留応力の測定結果とは、同じ挙動を示していることがわかる。つまり、電子線を用いた場合でも残留応力が測定されていることがわかる。
また、第9図に示すように、電子線を用いて残留応力を測定する場合の方が、レーザ光を用いて残留応力を測定する場合に比べて、ピークシフトが、より明確に現れており、分解能が優れていることが分かる。
〔実施例2〕
電子線のビームスポット径を1.5nmとして、上記実施例1で測定した圧痕のある試料の、圧痕を中心付近の約90nm四方、3箇所に渡って応力を測定した。上記1μm四方のビームスポットは約5×105スポットとなる。そして、任意に90nm四方の3箇所の領域における応力を2次元マッピングした。結果を第16図に示す。
第16図に示すように、微小部分における応力は、測定場所によって異なっていることが分かる。また、その不均一性がnmスケールのガラス構造によるものであると考えられる。
以上のように、従来のレーザ光を用いて残留応力を測定する場合には、レーザビームスポット径を1μm程度までしか小さくすることができないが、電子線を用いて残留応力を測定する場合には、ビームスポット径を1.5nmまで小さくすることが可能であるため、位置分解能を著しく向上させることができる。
産業上の利用可能性
本発明の応力測定方法は、上記試料に電子線を照射することにより得られる試料スペクトルと、上記外力印加工程により応力が存在している状態の試料の応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を求める応力算出工程を含む構成である。本発明の応力測定方法は、以上のように、試料に外力をかける外力印加工程と、試料に電子線を照射する電子線照射工程と、この電子線照射工程により試料から発生する光を分光してスペクトルを得る分光工程と、試料に応力が存在していない状態の試料スペクトルと、試料に応力が存在している状態の応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を求める応力算出工程とを含む構成である。
また、本発明の応力測定方法は、さらに、上記電子線照射工程の前に、試料に外力をかける外力印加工程を含み、上記応力算出手段では、外力印加工程によって試料に内部応力が発生している状態の内部応力印加スペクトルと上記試料スペクトルまたは上記応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を求める構成が好ましい。
それゆえ、電子線を用いた場合、ビームスポット径を、100nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは2nm以下、最も好ましくは0.13nm程度まで小さくすることができるので、従来と比べて、位置分解能が著しく高い応力を測定することができる。これにより、高位置分解能(数nm単位)の応力測定が可能となるので、従来の応力測定方法では応力の測定ができなかった、例えば、カーボンナノチューブやマイクロマシーン等の微小部分に関して原子・分子レベルでの応力解析が可能となるという効果を奏する。
本発明の応力測定方法は、さらに、上記電子線照射工程では、スペクトルが既知である外部光を照射して、上記分光工程では、外部光と試料からの発光とのスペクトルを得て、上記応力算出工程では、上記試料スペクトルと応力印加スペクトルとのそれぞれのスペクトルの位置を外部光のスペクトルを基に補正することが好ましい。これにより、測定環境に起因する誤差を最小限に止めることができ、より正確なスペクトルシフトを算出することができる。
本発明の応力測定方法は、さらに、試料への外力の印加量と上記スペクトルシフトの量との相関を算出する相関算出工程を含むことにより、試料の外力の印加量と上記スペクトルシフトの量との相関とが分かっていない場合でも、試料にかかっている応力(内部応力、残留応力)を算出することができる。
本発明の応力測定方法は、さらに、上記試料に、ランタノイド系列からなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を1ppm〜10000ppmの範囲内でドープすることにより、はっきりとしたスペクトルを得ることができる。また、試料に非常に微量の割合で含有させればよいので、試料の特性(物性)を何ら変化させることなく応力を測定することができる。
また、上記ランタノイド系列が、Sm、Eu、Tb、Y、La、Er、Gdからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素である構成がより好ましい。
本発明の応力測定装置は、以上のように、電子線を試料に照射する電子線照射手段と、電子線照射手段により試料から発生する光を分光してスペクトルを得る分光手段と、試料に応力が存在していない状態の試料スペクトルと、試料に応力が存在している状態の応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから応力を算出する応力算出手段とを備える構成である。
それゆえ、従来のレーザ光を照射することにより発生した光を用いる構成と比べて、位置分解能の優れた応力測定を行うことができる。具体的には、電子線を用いた場合、ビームスポット径を、100nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは2nm以下、最も好ましくは0.13nm程度まで小さくすることができるので、従来と比べて、位置分解能が著しく高い応力を測定することができる。従って、従来の応力測定装置に比べて、位置分解能の高い応力測定装置を提供することができるという効果を奏する。
本発明の応力測定装置は、さらに、試料に外力を印加する外力印加手段を備えることにより、試料に外力をかけた状態で発生する応力(内部応力)を測定することができる。
本発明の応力測定装置は、さらに、スペクトルが既知である外部光を照射する外部光照射手段を備えていることにより、応力を試料の面方向に沿って測定して、応力分布を表示する応力マッピングの際には、常に基準点により補正することができる。
本発明の応力測定装置は、さらに、上記試料の測定箇所を可視化する可視化手段を備えていることにより、試料の測定したい箇所を精度よく示すことができる。これにより、例えば、同じ場所の応力を測定する際に効率よく応力測定を行うことができる。
本発明の応力測定装置では、上記電子線照射手段から照射する電子線のビームスポット径を100nm以下、より好ましくは、10nm以下、さらに好ましくは、2nm以下、最も好ましくは0.13nm程度とすることにより、従来のレーザ光を用いて応力測定する構成に比べて、より一層、位置分解能の高い応力測定を行うことができる。
本発明の応力測定装置は、上記電子線照射手段を走査型電子顕微鏡とすることにより、容易に応力測定装置を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施の一形態における応力測定装置の概略を示すブロック図である。
第2図は、本発明の実施の一形態における外力印加装置の概略の構成を示す正面図である。
第3図は、本発明の実施の一形態における電子銃と、従来のレーザ光とのビームスポット径の大きさの違いを示す斜視図である。
第4図は、本発明の実施の一形態における電子銃と、従来のレーザ光とのビームスポット径の大きさの違いを示す平面図である。
第5図は、本発明の実施の一形態における試料スペクトルを得る際に電子ビームを試料に絞らずに照射する場合の照射態様を示す平面図である。
第6図は、本発明の実施の一形態における試料スペクトルを得る際に、電子ビームを試料に走査して照射する場合の照射態様を示す平面図である。
第7図は、本発明の実施の一形態における試料に電子線を照射することにより得られるスペクトルを示すグラフである。
第8図は、本発明の実施の一形態における外部光のスペクトルを示すグラフである。
第9図は、実施例1および比較例における外力の印加量に対するピークシフトの相関と、従来のレーザ光を用いた場合の外力の印加量に対するピークシフトの相関との対比を示すグラフである。
第10図は、実施例1における試料の電子顕微鏡写真である。
第11図は、実施例1における残留応力の存在する状態におけるスペクトルと残留応力のない状態におけるスペクトルとの対比を示すグラフである。
第12図は、実施例1における試料の応力測定結果を表すグラフである。
第13図は、比較例における残留応力の存在する状態におけるスペクトルと残留応力のない状態におけるスペクトルとの対比を示すグラフである。
第14図は、比較例における試料の光学顕微鏡写真である。
第15図は、比較例における試料の応力測定結果を表すグラフである。
第16図は、実施例2における応力の2次元マッピングを行った応力マップを示す写真である。

Claims (25)

  1. 試料に電子線を照射する電子線照射工程と、
    上記電子線照射工程により試料から発生する光を分析してスペクトルを得る分光工程と、
    所定状態での試料から得られるスペクトルと、その所定状態とは異なる状態での試料から得られるスペクトルとのスペクトルシフトからその試料に生じている応力変化を求める応力算出工程とを含み、且つ上記電子線照射工程が、所望の空間分解能を得るべく絞った電子線のスポットサイズより十分大きな広域領域に対し、電子線を絞らずに照射する広域電子線照射工程を含み、
    上記応力算出工程では、その広域電子線照射工程により試料から発生する光を分析して得られたスペクトルを、試料に応力が存在していない状態のスペクトルである試料スペクトルとすることを特徴とする応力測定方法。
  2. 試料に電子線を照射する電子線照射工程と、
    上記電子線照射工程により試料から発生する光を分析してスペクトルを得る分光工程と、
    所定状態での試料から得られるスペクトルと、その所定状態とは異なる状態での試料から得られるスペクトルとのスペクトルシフトからその試料に生じている応力変化を求める応力算出工程とを含み、且つ上記電子線照射工程が、所望の空間分解能を得るべく絞った電子線のスポットサイズより十分大きな広域領域に対し、当該電子線を前記スポットサイズで走査して照射する広域電子線照射工程を含み、
    上記応力算出工程では、その広域電子線照射工程における電子線の各照射によってそれぞれ発生する光のスペクトルの平均を、試料に応力が存在していない状態のスペクトルである試料スペクトルとすることを特徴とする応力測定方法。
  3. 上記応力算出工程において、試料に応力が存在していない状態のスペクトルである試料スペクトルと、試料に残留応力が存在している状態のスペクトルである応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから前記残留応力を求めることを特徴とする請求項1または請求項2記載の応力測定方法。
  4. さらに、上記電子線照射工程の前に、試料に外力をかける外力印加工程を備えており、
    上記応力算出工程では、外力印加工程によって試料に内部応力が発生している状態のスペクトルである内部応力印加スペクトルと、試料に応力が存在していない状態のスペクトルである試料スペクトルまたは試料に残留応力が存在している状態のスペクトルである応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから上記内部応力を求めることを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれかに記載の応力測定方法。
  5. 上記広域領域が試料の全領域である請求項1ないし4いずれかに記載の応力測定方法。
  6. 上記広域領域の径を、所望の空間分解能を得るべく絞った電子線のスポットサイズの100倍以上に設定している請求項1ないし4いずれかに記載の応力測定方法。
  7. 試料の部分的な組成の違いを解析する組成解析工程をさらに含み、
    上記応力算出工程では、上記組成解析工程で得られた、試料の組成の異なる領域毎に、その組成の違いから生じるスペクトルシフトを考慮して上記試料スペクトルを定めるようにしていることを特徴とする請求項1ないし6いずれかに記載の応力測定方法。
  8. 上記電子線照射工程では、スペクトルが既知である外部光を照射して、
    上記分光工程では、外部光と試料からの発光とのスペクトルを得て、
    上記応力算出工程では、応力変化測定のための比較すべき各状態における試料からのそれぞれのスペクトルの位置を、外部光のスペクトルを基に補正する請求項1ないし7いずれかに記載の応力測定方法。
  9. 上記応力算出工程では、試料に応力が存在していない状態のスペクトルである試料スペクトルと、試料に残留応力が存在している状態のスペクトルである応力印加スペクトルとのそれぞれのスペクトルの位置を外部光のスペクトルを基に補正することを特徴とする請求項8記載の応力測定方法。
  10. 上記応力算出工程では、試料に内部応力が発生している状態のスペクトルである内部応力印加スペクトルと、試料に応力が存在していない状態のスペクトルである試料スペクトルまたは試料に残留応力が存在している状態のスペクトルである応力印加スペクトルとのそれぞれのスペクトルの位置を外部光のスペクトルを基に補正することを特徴とする請求項8または9記載の応力測定方法。
  11. 上記外部光スペクトルにおける基準となる所定ピーク波長を、試料からの発光スペクトルにおける所定ピーク波長の近傍に設定している請求項8又は9記載の応力測定方法。
  12. さらに、上記応力算出工程の前に、試料への外力の印加量と上記スペクトルシフトの量との相関を算出する相関算出工程を含むことを特徴とする請求項1ないし11いずれかに記載の応力測定方法。
  13. 上記試料には、ランタノイド系列からなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素が1ppm〜10000ppmの範囲内で含まれていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の応力測定方法。
  14. 上記ランタノイド系列は、Sm、Eu、Tb、Y、La、Er、Gdからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であることを特徴とする請求項13記載の応力測定方法。
  15. 試料に電子線を照射する電子線照射手段と、
    上記電子線照射手段により試料から発生する光を分析してスペクトルを得る分光手段と、
    所定状態での試料から得られるスペクトルと、その所定状態とは異なる状態での試料から得られるスペクトルとのスペクトルシフトからその試料に生じている応力変化を求める応力算出手段とを含み、
    上記電子線照射手段が、所望の空間分解能を得るべく絞った電子線のスポットサイズより十分大きな広域領域に対し、電子線を絞らずに照射する広域電子線照射手段を含み、
    上記応力算出手段では、その広域電子線照射手段により試料から発生する光を分析して得られたスペクトルを、試料に応力が存在していない状態のスペクトルである試料スペクトルとすることを特徴とする応力測定装置。
  16. 試料に電子線を照射する電子線照射手段と、
    上記電子線照射手段により試料から発生する光を分析してスペクトルを得る分光手段と、
    所定状態での試料から得られるスペクトルと、その所定状態とは異なる状態での試料から得られるスペクトルとのスペクトルシフトからその試料に生じている応力変化を求める応力算出手段とを含み、
    上記電子線照射手段が、所望の空間分解能を得るべく絞った電子線のスポットサイズより十分大きな広域領域に対し、当該電子線を前記スポットサイズで走査して照射する広域電子線照射手段を含み、
    上記応力算出手段では、その広域電子線照射手段における電子線の各照射によってそれぞれ発生する光のスペクトルの平均を、試料に応力が存在していない状態のスペクトルである試料スペクトルとすることを特徴とする応力測定装置。
  17. 上記応力算出手段が、試料に応力が存在していない状態のスペクトルである試料スペクトルと、試料に残留応力が存在している状態のスペクトルである応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから前記残留応力を求めるものであることを特徴とする請求項15または請求項16記載の応力測定装置。
  18. 試料に外力をかける外力印加手段をさらに備えていることを特徴とする請求項15ないし請求項17いずれかに記載の応力測定装置。
  19. 上記応力算出手段が、外力印加手段によって試料に内部応力が発生している状態の内部応力印加スペクトルと上記試料スペクトルまたは上記応力印加スペクトルとのスペクトルシフトから前記内部応力を求めるものであることを特徴とする請求項18記載の応力測定装置。
  20. 試料から微量のサンプルを取得する微量サンプル取得手段をさらに備えることを特徴とする請求項15ないし19いずれかに記載の応力測定装置。
  21. 試料の部分的な組成の違いを解析する組成解析手段をさらに備えることを特徴とする請求項15ないし20記載の応力測定装置。
  22. さらに、スペクトルが既知である外部光を照射する外部光照射手段を備えていることを特徴とする請求項15ないし21いずれか記載の応力測定装置。
  23. さらに、上記試料の測定箇所を可視化する可視化手段を備えていることを特徴とする請求項15ないし22いずれか記載の応力測定装置。
  24. 上記電子線照射手段から照射する電子線のビームスポット径が100nm以下であることを特徴とする請求項15ないし23いずれかに記載の応力測定装置。
  25. 上記電子線照射手段が走査型電子顕微鏡であることを特徴とする請求項15ないし24いずれかに記載の応力測定装置。
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