JP4089151B2 - コネクタのパネル取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタをパネルに対して待ち受け状態で取り付ける構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の取付構造の一例を示すと、コネクタハウジングの外周面にはフランジとその前方に係止爪とが形成され、コネクタハウジングをパネルに開口された取付孔に挿通して、この取付孔の口縁をフランジと係止爪とで挟持することによって、コネクタハウジングがパネルに対して相手のコネクタとの嵌合を待ち受ける状態で取り付けられるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここで待ち受け側のコネクタは、相手のコネクタを嵌合する場合の便宜等のために一定の回動姿勢に位置決めされて取り付けられることが望ましく、例えば、パネルの取付孔とコネクタハウジングの外形とが方形等の異形形状であれば、回動姿勢については自ずから位置決めがなされるのであるが、それらが円形であった場合には、位置決めのために格別の手段を講じる必要があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、コネクタハウジングの回動姿勢の位置決めが簡単にできるようにするところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、パネルには円形の取付孔が開口される一方、コネクタハウジングには前記取付孔に緊密に嵌合可能な挿通部が設けられて、この挿通部の外周面にはフランジとその前方に係止爪が形成されており、前記挿通部が前記取付孔に挿通されてこの取付孔の口縁が前記フランジと前記係止爪で挟持されることにより、前記コネクタハウジングがパネルに取り付けられるものにおいて、前記パネルにおける前記コネクタハウジングのフランジが当接する面には位置決めピンが立設されるとともに、前記フランジには前記位置決めピンが貫通する位置決め孔が形成され、かつ前記コネクタハウジングの挿通部の外周部における周方向の一部の前縁には、前方に張り出した張り出し部が形成されており、前記フランジにおいて前記挿通部の中心を挟んで前記張り出し部が設けられた側と反対側には突出部が突出され、かつこの突出部に形成された前記位置決め孔は、前記位置決めピンを径方向から挿通可能なように、前記突出部の外周縁に開口した溝状に形成されており、その入口は前記位置決めピンの挿通案内のために間口が広げられて形成されているところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記挿通部が、相手側のコネクタハウジングを内側に嵌合可能な円筒状のフード部となっており、このフード部の前縁の一部に前記張り出し部が形成されているところに特徴を有する。
【0006】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
コネクタハウジングの挿通部をパネルの取付孔に挿通する場合、張り出し部を取付孔内に臨ませつつ、位置決め孔に位置決めピンを貫通させる。例えば張り出し部が設けられていないと、位置決め孔に位置決めピンを貫通したとしても、取付孔の手前側でコネクタハウジングが位置決めピンを中心として振れ、挿通部を取付孔に挿通すること自体に手間取るおそれがある。その点この発明では、先に張り出し部が取付孔内に臨んで振れ止めがなされるから、引き続き挿通部を取付孔に挿通するだけで、コネクタハウジングはスムーズに所定の回動姿勢に位置決めされて取り付けられる。
また、請求項1の発明では、コネクタハウジングを傾けて張り出し部を取付孔の口縁に載せたのち、その張り出し部を中心にコネクタハウジングを真直姿勢に戻しつつ、位置決めピンを開口縁から位置決め孔に通すといった手順で取り付けるができる。コネクタハウジングの取り付けをよりスムーズに行うことができる。
【0007】
<請求項2の発明>
張り出し部を、相手のコネクタハウジングをフード部内に嵌合する場合のガイドとして利用することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図8に基づいて説明する。
この実施形態では、図1に示すように、パネル1に円形の取付孔2が開口されており、この取付孔2に雄側のコネクタMが裏面側から挿通されて待ち受け状態で取り付けられ、表面側から相手の雌側のコネクタFが嵌合されるようになっている。
雄コネクタMは、合成樹脂材からなる雄ハウジング10を有しており、この雄ハウジング10は、図2及び図3にも示すように、本体部11の前面に、パネル1の取付孔2内に緊密に嵌合可能な円筒形をなすフード部12が設けられた形状となっている。本体部11内には、大型の雄側端子金具を収容するキャビティ13や、小型の雄側端子金具を収容したサブハウジング14を装着する装着孔15が設けられている。また、相手の雌コネクタFとの間を締結して嵌合状態に保持するためのボルト44のネジ孔18を設けた締結部17が形成されている。
【0009】
フード部12の外周面における前縁から少し後方に入った位置には、外周部が前方に突出された段付き状をなすフランジ20が形成されている。フード部12の前縁には、パネル1の取付孔2における表面側の口縁に係止可能な3つの係止爪が等角度間隔を開けて設けられている。図2における正面から見た右方の係止爪は、一体的に形成された固定係止爪22によって構成されている。正面から見た左斜め上と左斜め下の係止爪は、可動係止爪23となっている。この可動係止爪23は、金属製の帯材の先端を山形に折り返すことで爪部24が形成され、爪部24を前方に向けた姿勢でフード部12の内周面に沿って軸方向に挿入されて、その基端部を本体部11に圧入することで固定されており、常には爪部24が、フード部12の前縁に切られた逃がし溝25を通してその外側に突出しているとともに、先端側がフード部12の内方に向けて撓み変形可能となっている。
【0010】
パネル1の取付孔2における裏面側の口縁のうちで、表面側から見た左側の位置には、位置決めピン3が立てられている。
一方、雄ハウジング10側では、フランジ20における正面から見た左側の部分が突出されていて、この突出部27に、上記した位置決めピン3を貫通可能な位置決め孔28が形成されている。この位置決め孔28は、位置決めピン3を径方向から挿通可能なように、突出部27の外周縁に開口した溝状に形成されており、その入口29はガイド用に間口が広げられている。
【0011】
また、雄ハウジング10のフード部12の前縁のうちで、正面から見た右側の位置には、前方に向けて張り出し部31が形成されている。この張り出し部31は、フード部12の周面と面一で、図3に示すようにほぼ台形状に形成されている。また張り出し部31の内面には、その幅方向の中央部に、軸線方向に沿ったリブ32がフード部12の付け根まで形成されている。このリブ32は、張り出し部31の補強と、相手の雌ハウジング40が嵌合される際のガイドの機能を果たしている。
【0012】
なお、相手の雌コネクタFは、図1及び図8に示すように、上記した雄ハウジング10のフード部12内に緊密に嵌合可能な雌ハウジング40を有し、この雌ハウジング40内に雌側端子金具が収容されるともに、雌ハウジング40の後面に、電線を収容して一方向に引き出す防水を兼ねたゴムカバー41が被着されている。雌ハウジング40の外周面の所定位置には、上記した雄ハウジング10の張り出し部31のリブ32に嵌合可能な軸線方向を向いたガイド溝42が形成されているとともに、雌ハウジング40には、雄ハウジング10との間を締結するボルト44が装着されている。
【0013】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
雄ハウジング10の本体部11に、雄側端子金具やサブハウジング14を装着する。また、雄ハウジング10の後面にはカバー34が被せられる。次に雄ハウジング10は、図1に示すように、パネル1の裏面側において、フランジ20の位置決め孔28を正面から見た左側に位置させた回動姿勢とされ、また図4に示すように、張り出し部31を設けた側を前方に突き出した斜め姿勢とされて、そのフード部12が、同図の矢線に示すように取付孔2内に挿通される。
【0014】
まず、張り出し部31が取付孔2内に挿入され、図5に示すように、フランジ20がパネル1の裏面に当たると、固定係止爪22が取付孔2の口縁に達するとともに、位置決めピン3は、拡がった入口29でガイドされつつ位置決め孔28内に径方向に挿通される。続いて、同図の矢線に示すように、固定係止爪22側を支点として、位置決め孔28を設けた側をパネル1に接近させるように回動すると、固定係止爪22が取付孔2の表面側に回り込むとともに、爪部24が取付孔2の口縁に当たって可動係止爪23が内方に撓み変形する。また、位置決めピン3は位置決め孔28内を後方に向けて相対的に進出する。
【0015】
回動が進んで、フランジ20の位置決め孔28の設けられた側もパネル1の裏面に当たると、図6及び図7に示すように、固定係止爪22が取付孔2の表面側の口縁に係止するとともに、爪部24がパネル1の表面側に抜けることで、可動係止爪23が外方に復元変形して爪部24が取付孔2の表面側の口縁に係止する。また、位置決めピン3は位置決め孔28を後面側に貫通した状態となる。
すなわち雄コネクタMは、取付孔2の口縁が、固定係止爪22と可動係止爪23の爪部24と、フランジ20との間で挟まれることで、前後方向の抜け不能に取り付けられ、また、位置決めピン3がフランジ20の位置決め孔28を貫通していることで回り止めされて、所定の回動姿勢を取ってパネル1に対して待ち受け状態で取り付けられる。
【0016】
相手の雌コネクタFを嵌合する場合は、ガイド溝42をリブ32に嵌めるようにして雌ハウジング40を張り出し部31の内面に当て、そのまま真直にフード部12内に押し込む。最後に図8に示すように、雌ハウジング40に装着されたボルト44を雄ハウジング10の締結部17のネジ孔18にネジ込むことによって、雌雄のコネクタF,Mが嵌合状態に締結される。なお、ゴムカバー41の周縁がパネル1の表面との間で弾性的に挟持されて、シールが取られる。
【0017】
この実施形態では、パネル1から突設された位置決めピン3を、雄ハウジング10のフランジ20の位置決め孔28に貫通することで、雄ハウジング10の取付孔2内での回動姿勢を定めるようにしているが、例えば張り出し部31が設けられていないと、位置決め孔28に位置決めピン3を貫通したとしても、取付孔2の手前側で雄ハウジング10が位置決めピン3を中心として振れ、フード部12を取付孔2に挿通すること自体に手間取るおそれがある。
【0018】
その点この実施形態では、上記のようにフード部12の前縁の一部から張り出し部31が形成され、位置決めピン3が位置決め孔28を貫通した状態で、張り出し部31が先に取付孔2内に臨んで振れ止めがなされるようになっているから、引き続くフード部12の挿通をスムーズに行える。特に、位置決め孔28がフランジ20の周縁に開口して形成されているとともに、張り出し部31がフード部12の中心を挟んで位置決め孔28とは反対側の位置に形成されているから、雄ハウジング10の軸線を傾けて張り出し部31を取付孔2の口縁に載せたのち、その張り出し部31を中心に雄ハウジング10を真直姿勢に戻しつつ、位置決めピン3を入口29から位置決め孔28に通すといった手順で取り付けができ、すなわち、雄ハウジング10を取付孔2に挿通して取り付ける作業が簡単に能率良く行える。
また張り出し部31は、相手の雌ハウジング40をフード部12内に嵌合する場合のガイドとして利用され、雌雄のハウジング40,10の嵌合作業も簡単となる。
【0019】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)本発明は、待ち受け側が雌側のコネクタの場合にも同様に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る分解斜視図
【図2】雄ハウジングの正面図
【図3】その断面図
【図4】雄コネクタをパネルの取付孔に挿通する直前の平断面図
【図5】張り出し部を取付孔内に臨ませた状態の平断面図
【図6】雄コネクタが取付孔に係止された状態の平断面図
【図7】その斜視図
【図8】相手の雌コネクタが嵌合された状態の平断面図
【符号の説明】
M…雄コネクタ
F…雌コネクタ
1…パネル
2…取付孔
3…位置決めピン
10…雄ハウジング(コネクタハウジング)
12…フード部(挿通部)
20…フランジ
22…固定係止爪
23…可動係止爪
24…爪部
28…位置決め孔
29…入口
31…張り出し部
40…雌ハウジング(相手のコネクタハウジング)
Claims (2)
- パネルには円形の取付孔が開口される一方、コネクタハウジングには前記取付孔に緊密に嵌合可能な挿通部が設けられて、この挿通部の外周面にはフランジとその前方に係止爪が形成されており、前記挿通部が前記取付孔に挿通されてこの取付孔の口縁が前記フランジと前記係止爪で挟持されることにより、前記コネクタハウジングがパネルに取り付けられるものにおいて、前記パネルにおける前記コネクタハウジングのフランジが当接する面には位置決めピンが立設されるとともに、前記フランジには前記位置決めピンが貫通する位置決め孔が形成され、かつ前記コネクタハウジングの挿通部の外周部における周方向の一部の前縁には、前方に張り出した張り出し部が形成されており、
前記フランジにおいて前記挿通部の中心を挟んで前記張り出し部が設けられた側と反対側には突出部が突出され、かつこの突出部に形成された前記位置決め孔は、前記位置決めピンを径方向から挿通可能なように、前記突出部の外周縁に開口した溝状に形成されており、その入口は前記位置決めピンの挿通案内のために間口が広げられて形成されていることを特徴とするコネクタのパネル取付構造。 - 前記挿通部が、相手側のコネクタハウジングを内側に嵌合可能な円筒状のフード部となっており、このフード部の前縁の一部に前記張り出し部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタのパネル取付構造。
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