JP3798265B2 - 機器用シールドコネクタ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機器用シールドコネクタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気自動車において車輪のモータから延出させたシールド電線をインバータ装置に接続するための機器用シールドコネクタ装置としては、インバータ装置側に機器側コネクタを設け、その機器側コネクタに、シールド電線の端末に固着した電線側コネクタを嵌合するようにしたものがある。機器側コネクタは、インバータ装置のシールドケースに筒状のアウタハウジングを設け、このアウタハウジング内に、端子金具を備えたインナハウジングを挿入した構造になり、アウタハウジングはシールド機能を持たせるために金属製とされ、インナハウジングは絶縁性樹脂材料からなる。
【0003】
機器側コネクタに電線側コネクタを嵌合すると、電線側コネクタのシールドシェルが機器側コネクタのアウタハウジングに接触することにより、双方のコネクタの嵌合領域における導電経路がシールドされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の装置では、機器側コネクタを構成するアウタハウジングには、インナハウジングを保持するための剛性と、シールドのための導電性という2つの機能を具備させるようにしていたため、金属材料によって肉厚に形成されていた。そのため、機器側コネクタの重量、ひいてはインバータ装置全体の重量が大きくなるという問題があった。
【0005】
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、機器側コネクタの軽量化を図ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、機器のシールドケースに設けた機器側コネクタに、前記シールドケース外に配索される電線の端末部に接続された電線側コネクタを嵌合させることで、双方のコネクタの端子金具同士及びシールド部材同士を接続させるようにしたものであって、前記機器側コネクタは、前記シールドケースに設けられたアウタハウジングと、前記端子金具と前記シールド部材とを備えたインナハウジングとからなり、前記アウタハウジングに前記インナハウジングを挿入するとともに、そのインナハウジングのシールド部材を前記シールドケースに接続して構成されており、前記アウタハウジングには、矩形フランジと受け部が形成され、前記アウタハウジングは、前記矩形フランジを前記シールドケースの外面に当接させるとともに、前記受け部を前記シールドケースの取付孔に嵌合した状態で固定され、前記シールドケースの内面に取り付けた接続片が、前記受け部の内周に重ねられ、前記接続片の内周に、前記シールド部材に形成した弾性接触片が弾性的に接続されて構成されている。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記アウタハウジングを前記シールドケースと一体に形成した構成とした。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記電線側コネクタが、前記シールドケースの外側から前記機器側コネクタに嵌合されるようになっているものにおいて、前記インナハウジングを、前記シールドケースの外側から前記アウタハウジングに挿入させるとともに、正規挿入位置において前記アウタハウジングに設けたストッパに当接させる構成とした。
【0008】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
機器側コネクタを構成するアウタハウジングとインナハウジングのうち、インナハウジングにシールド部材を設けたので、アウタハウジングは、シールド機能が不要となり、インナハウジングを保持する剛性のみを備えていれば済む。したがって、アウタハウジングを合成樹脂製にすることが可能となり、アウタハウジングを金属製にした場合に比べると、機器側コネクタの軽量化を図ることができる。
【0009】
[請求項2の発明]
アウタハウジングをシールドケースと一体に形成したので、アウタハウジングをシールドケースとは別体の部品にした場合に比べると、機器側コネクタの組付け工数が少なくて済む。
[請求項3の発明]
インナハウジングをシールドケースの内側から挿入した場合には、インナハウジングの挿入過程でその挿入経路外へ弾性変位する弾性抜止め手段を設け、その弾性抜止め手段によってインナハウジングの抜けを規制するとともに、電線側コネクタを機器側コネクタに嵌合するときに生じる嵌合抵抗を受け止めることになるが、このように弾性的に撓む手段では、嵌合抵抗を確実に受け止めることができるか否かが懸念される。これに対し本発明では、インナハウジングの挿入方向と電線側コネクタの嵌合方向とを同じ方向とし、弾性的に撓ませる必要のないストッパ、即ち剛性の高い形態のストッパによってインナハウジングを前止まりさせるとともに、この前止まり用のストッパによって嵌合抵抗を受け止めるようにしたので、嵌合抵抗を確実に受け止めることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図10を参照して説明する。本実施形態の機器用シールドコネクタ装置は、電気自動車におけるインバータ装置(本発明の構成要件である機器)50のシールドケース51に設けた機器側コネクタAに、車輪に設けたモータ(図示せず)から導出されてシールドケース51の外部に配索されたシールド電線43の端末部に接続された電線側コネクタBを嵌合させ、双方のコネクタA,Bの端子金具25,41同士を接続させるとともに、双方のコネクタA,Bに設けたシールド部材31,42同士を接続させるようにしたものである。
【0011】
機器側コネクタAは、金属製のシールドケース51に取り付けられる合成樹脂製のアウタハウジング10内に、合成樹脂製のインナハウジング20を挿入したものであって、インナハウジング20には端子金具25とシールド部材31とがアウタハウジング10への挿入前に予め組み付けられている。アウタハウジング10は、円筒体11の後端に矩形フランジ12を一体形成したものである。円筒体11の後端部内周には、その円筒体11の内周に内接する形態の正六角形部が形成されており、その正六角形部のうち、山形をなす上縁部と谷形をなす下縁部は、アウタハウジング10に挿入したインナハウジング20を前止まりさせるためのストッパ13となっている。また、円筒体11の後端の開口縁には、上縁部及び下縁部を同じ形状を保ちつつストッパ13と連続するように後方へ延長した形態の受け部14が突成されている。また、正六角形部のうち左右一対の側縁部は、アウタハウジング10に挿入したインナハウジング20を抜止めするための抜止め部15となっている。また、矩形フランジ12の四隅にはボルト孔16が形成されているとともに、矩形フランジ12の後面にはシールリング17が装着されている。
【0012】
インナハウジング20は、後端壁21を有する円形の内筒22と、この内筒22に対して前端で連結されるとともに同心状をなす円形の外筒23とからなり、内筒22と外筒23は、前端から切り込まれた左右一対のスリット24によって周方向に2分割された形態となっている。後端壁21には、帯状の金属をクランク状に屈曲させてなる端子金具25が、後方から貫通され、ランス26とランス孔27の係止及び端子金具25の段差部25aと後端壁21内の図示しない段差部との係止により、抜き差し方向(前後方向)の遊動不能に固定されている。端子金具25の前端のタブ25bは、内筒22の内部において電線側コネクタBの端子金具41を待ち受けており、後端部のボルト孔25dを有する機器接続部25cは、シールドケース51内の図示しないインバータに接続されるようになっている。
【0013】
また、後端壁21には、前方(アウタハウジング10に対するインナハウジング20の挿入方向とは反対方向)へ片持ち状に延出する左右一対の弾性抜止片28が形成されている。この弾性抜止片28は、インナハウジング20がアウタハウジング10から前方へ抜けることを規制する。さらに、外筒23の後端は突当部29となっており、この突当部29は、アウタハウジング10に挿入したインナハウジング20を前止まりするために機能する。
【0014】
内筒22と外筒23との間の円筒状の取付け空間30は後方へ開放されており、その取付け空間内には後方から円筒形をなす金属製のシールド部材31が嵌入されている。嵌入されたシールド部材31は、その前端を取付け空間30の前端に突き当てるとともに、ランス32を後端壁21の係止段部33に係止させることにより、インナハウジング20に対して前後方向への遊動不能に取り付けられている。シールド部材31には、後方へ片持ち状に延びる湾曲状の弾性接触片34が、内筒22のスリット35から内側へ突出するように形成されており、この弾性接触片34が電線側コネクタBのシールド部材42に弾性接触する。また、シールド部材31の後端部には弾性接触片36が形成されており、この弾性接触片36は、シールドケース51の接触片53に接続される。
【0015】
電線側コネクタBは、円筒状をなす合成樹脂製のハウジング40に、端子金具41を収容するとともに、円筒形をなすシールド部材42を取り付けたものである。シールド部材42の略前半部分はハウジング40の外周面に沿った状態で露出されている。シールド部材42の略後半部分は、ハウジング40の内周面に沿った状態とされ、端子金具41に接続したシールド電線43のシールド層44と介装部材45を介して接続されている。また、ハウジング40の外周には、前方に開放された嵌合筒部46が形成されている。
【0016】
次に、本実施形態の作用を説明する。
組付けに際しては、まず、インナハウジング20が挿入される前のアウタハウジング10をシールドケース51に固定する。固定に際しては、シールドケース51の外面に矩形フランジ12を当接させるとともに、シールドケース51の取付孔52に円筒体11を対応させ、ボルト孔16に貫通したボルト(図示せず)をシールドケース51の雌ネジ孔(図示せず)に螺合する。シールドケース51にアウタハウジング10を固定した状態では、円筒体11が前方に突出した状態でインナハウジング20を待ち受け、シールドケース51とアウタハウジング10との隙間がシールリング17により防水され、さらに、シールドケース51の内面に取り付けた接続片53が、アウタハウジング10の受け部14の内面に重ねられる。
【0017】
次に、アウタハウジング10の円筒体11に対して前方からインナハウジング20を挿入する。正規位置まで挿入されたインナハウジング20は、その突当部29をストッパ13に突き当てることにより前止まりされるとともに、弾性抜止片28を抜止め部15に係止させることによって抜止めされ、もってアウタハウジング10に対してインナハウジング20が前後方向(挿抜方向)への遊動を規制された状態に取り付けられる。アウタハウジング10にインナハウジング20を取り付けた状態では、外筒23が円筒体11内に嵌合されるので、インナハウジング20がアウタハウジング10に対して径方向にガタ付くことはない。また、シールド部材31の弾性接触片36が、アウタハウジング10の受け部14の内面の接触片53に対して弾性的に接触し、もって、シールド部材31とシールドケース51とが導通可能に接続される。尚、シールド部材31の後端部はこの受け部14に対して内接するように対応している。また、端子金具25の機器接続部25cは、アウタハウジング10を貫通してシールドケース51の内部へ大きく突出し、インバータと接続可能となる。以上により、機器側コネクタAの組付けが完了する。
【0018】
この後、電線側コネクタBを機器側コネクタAに対してその前方から嵌合させる。嵌合状態では、電線側コネクタBのハウジング40の前端部がインナハウジング20の内筒22内に嵌入され、機器側コネクタAのシールド部材31の弾性接触片34が電線側コネクタBのシールド部材42の外面に弾性接触し、もって双方のコネクタA,Bのシールド部材31,42同士が導通可能に接続される。また、嵌合筒部46がアウタハウジング10の円筒体11に対して外嵌され、嵌合筒部46のロックアーム47が円筒体11のロック突起11aに係止し、もって電線側コネクタBが機器側コネクタAに対して抜止めされる。さらに、双方のコネクタA,Bの嵌合部分は電線側コネクタBに装着したシールリング48によって防水される。
【0019】
上述のように本実施形態においては、機器側コネクタAを構成するアウタハウジング10とインナハウジング20のうち、インナハウジング20にシールド部材31を設けたので、アウタハウジング10は、シールド機能が不要となり、インナハウジング20を保持する剛性のみを備えていれば済むようになっており、これにより、アウタハウジング10を合成樹脂製にすることが実現されている。したがって、本実施形態では、アウタハウジングを金属製にした場合に比べると、機器側コネクタAが軽量化されている。
【0020】
また、インナハウジング20をシールドケース51の内側から挿入した場合には、インナハウジング20の挿入過程でその挿入経路外へ弾性変位する弾性抜止め手段を設け、その弾性抜止め手段によってインナハウジング20の抜けを規制するとともに、電線側コネクタBを機器側コネクタAに嵌合するときに生じる嵌合抵抗を受け止めることになるが、このように弾性的に撓む手段では、嵌合抵抗を確実に受け止めることができるか否かが懸念される。これに対し本実施形態では、インナハウジング20の挿入方向と電線側コネクタBの嵌合方向とを同じ方向とし、弾性的に撓ませる必要のないストッパ13、即ち剛性の高い形態のストッパ13によってインナハウジング20を前止まりさせるとともに、この前止まり用のストッパ13によって嵌合抵抗を受け止めるようにしたので、嵌合抵抗を確実に受け止めることができるようになっている。
【0021】
[実施形態2]
次に、本発明を具体化した実施形態2を図11を参照して説明する。
本実施形態2は、機器側コネクタCのアウタハウジング60を機器70のシールドケース71と一体化させた点で上記実施形態1と異なっている。本実施形態2では、シールドケース71は、合成樹脂製のケース本体72と、このケース本体72の内壁に沿って設けたシールドシェル73との二重構造となっており、ケース本体72に形成した取付孔74の孔縁部から外側へアウタハウジング60の円筒部61が突出している。また、取付孔74の内周には、上記実施形態1の受け部14に相当する山形と谷形の受け部62が形成されていて、この受け部62の内面にシールドシェル73の接触片75が重ねられ、シールド部材31の弾性接触片36と接触し得るようになっている。本実施形態2では、アウタハウジング60をシールドケース71と一体に形成したので、アウタハウジングをシールドケースに固定する工程が不要であり、アウタハウジングをシールドケースとは別体の部品にした場合に比べると機器側コネクタCの組付け工数が少なくて済んでいる。尚、その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0022】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では機器側コネクタの端子金具を雄端子金具としたが、雌端子金具としてもよい。
(2)上記実施形態ではインナハウジングをシールドケースの外側からアウタハウジングに挿入したが、シールドケースの内側からインナハウジングを挿入してもよい。この場合、アウタハウジングにインナハウジングの挿入過程でその挿入経路外へ弾性変位する弾性抜止め手段を設け、その弾性抜止め手段によってインナハウジングの抜けを規制すればよい。
【0023】
(3)上記実施形態では電線側コネクタの前止まり手段としてその電線側コネクタをインナハウジングに当接させるようにしたが、電線側コネクタをアウタハウジングに当接させることによって前止まりするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の機器側コネクタの斜め後方から見た斜視図
【図2】機器側コネクタの分解状態の斜視図
【図3】インナハウジングからシールド部材と端子金具を外した状態の斜視図
【図4】機器側コネクタの斜め前方から見た斜視図
【図5】機器側コネクタに電線側コネクタを嵌合した状態の斜視図
【図6】機器側コネクタをシールドケースに取り付けた状態の断面図
【図7】機器側コネクタの背面図
【図8】インナハウジングの断面図
【図9】アウタハウジングの正面図
【図10】電線側コネクタの断面図
【図11】実施形態2の断面図
【符号の説明】
A…機器側コネクタ
B…電線側コネクタ
10…アウタハウジング
13…ストッパ
20…インナハウジング
25…機器側コネクタの端子金具
31…機器側コネクタのシールド部材
41…電線側コネクタの端子金具
42…電線がコネクタのシールド部材
50…インバータ装置(機器)
51…シールドケース
C…機器側コネクタ
60…アウタハウジング
70…インバータ装置(機器)
71…シールドケース

Claims (3)

  1. 機器のシールドケースに設けた機器側コネクタに、前記シールドケース外に配索される電線の端末部に接続された電線側コネクタを嵌合させることで、双方のコネクタの端子金具同士及びシールド部材同士を接続させるようにしたものであって、
    前記機器側コネクタは、前記シールドケースに設けられたアウタハウジングと、前記端子金具と前記シールド部材とを備えたインナハウジングとからなり、前記アウタハウジングに前記インナハウジングを挿入するとともに、そのインナハウジングのシールド部材を前記シールドケースに接続して構成されており、
    前記アウタハウジングには、矩形フランジと受け部が形成され、
    前記アウタハウジングは、前記矩形フランジを前記シールドケースの外面に当接させるとともに、前記受け部を前記シールドケースの取付孔に嵌合した状態で固定され、
    前記シールドケースの内面に取り付けた接続片が、前記受け部の内周に重ねられ、
    前記接続片の内周に、前記シールド部材に形成した弾性接触片が弾性的に接続されていることを特徴とする機器用シールドコネクタ装置。
  2. 前記アウタハウジングを前記シールドケースと一体に形成したことを特徴とする請求項1記載の機器用シールドコネクタ装置。
  3. 前記電線側コネクタが、前記シールドケースの外側から前記機器側コネクタに嵌合されるようになっているものにおいて、
    前記インナハウジングを、前記シールドケースの外側から前記アウタハウジングに挿入させるとともに、正規挿入位置において前記アウタハウジングに設けたストッパに当接させる構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の機器用シールドコネクタ装置。
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