JP2004172009A - 機器用コネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】機器の取付孔とハウジングとの嵌合部分を確実に防水する。
【解決手段】機器用コネクタAのハウジング50は機器10のケース11の取付孔13に嵌合され、ハウジング50と取付孔13の間がシール部材55によって防水される。ハウジング50の外周形状、取付孔13の内周形状及びシール部材55は楕円形、即ち非円形をなしているが、係止部56と規制部52との係止によってシール部材55の周方向への遊動が規制され、シール部材55は周方向において位置決めされる。この位置決めにより、シール部材55がハウジング50の外周に対して位置決めされ、シール部材55による防水機能が確実に発揮される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車のインバータ装置やモータ等の機器に取り付けられる機器用コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車のインバータ装置やモータ等の機器に取り付けられる機器用コネクタとして、従来、機器のケースの外壁に取付孔を形成するとともに、ケースの内部に機器側端子を設け、複数本の電線に接続した電線側金具を1つのハウジングに保持させ、このハウジングを取付孔に嵌合させることで各電線側端子を機器側端子に接続するようにしたものがある。このコネクタでは、ケース内を防水するために、取付孔の内周とハウジングの外周との間にシール部材を設けている。(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−161892号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のコネクタでは、3極の端子を三角形なすように配置するとともに、電線側端子を保持するハウジングの外周を真円状に成形し、この真円状のハウジングの外周に円環形をないシール部材を外嵌する構造となっている。
【0005】
このように端子を三角形配置にした場合、端子を配置するためには幅と高さの両方向においてある程度のスペースを確保しなければならないが、機器や他の周辺部品のレイアウトなどに起因する制約により、機器側端子を横並びに配置することを余儀なくされることも考えられる。この場合、電線側端子も横並びの配置となることから、これに合わせてハウジングも全体として横長の楕円形、長円形、略長方形などの非円形状に成形されることになり、このハウジングの外周に装着されるシール部材も同様に非円形状となる。
【0006】
ところが、ハウジングの外周及びシール部材を非円形にした場合には、シール部材がハウジングに対して周方向に位置ずれしていると、シール部材の一部がハウジングの外周から浮き上がったり、過度に引き延ばされたりする虞がある。このような状態でシール部材が装着されていると、取付孔にハウジングを嵌合したときに、ハウジングの外周及び取付孔の内周に対してシール部材の密着状態(シール部材の弾性撓み状態)が周方向において均一にならず、シール機能の信頼性の低下が懸念される。
【0007】
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、機器の取付孔とハウジングとの嵌合部分を確実に防水することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、電線に接続された複数の電線側端子をハウジングに保持させ、機器のケースに開口させた取付孔に前記ハウジングを嵌合させることで、前記電線側端子を前記ケース内の機器側端子に接続するとともに、前記ハウジングの外周と前記取付孔の内周との間をリング状のシール部材によって防水するようにした機器用コネクタであって、
前記シール部材には、前記ハウジング又は前記取付孔に設けた規制部に係止させることで前記ハウジング又は前記取付孔に対する周方向への遊動を規制可能な係止部が形成されている構成とした。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記規制部が前記ハウジングの外面に露出した形態で形成され、前記シール部材が前記ハウジングの外周に装着されている構成とした。
【0010】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
ハウジングの外周形状、取付孔の内周形状及びシール部材が楕円形などの非円形をなす場合でも、係止部と規制部との係止によってシール部材の周方向への遊動が規制され、シール部材は周方向において位置決めされる。この位置決めにより、シール部材がハウジングの外周又は取付孔の内周に対して位置決めされ、シール部材による防水機能が確実に発揮される。
【0011】
[請求項2の発明]
規制部をハウジングの外面に露出した形態で形成するとともにシール部材をハウジングの外周に装着されているので、取付孔にハウジングを嵌合する前に、規制部と係止部との係止状態を目視によって確認することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図4を参照して説明する。
本実施形態の機器用コネクタAはシールド電線20(本発明の構成要件である電線)を機器10(例えば、電気自動車のインバータ装置等)に接続するためのものである。
【0013】
機器10は、導電性材料からなるシールドケース11(本発明の構成要件であるケース)内に機器本体12を収容したものであり、シールドケース11の側壁には、横長の略楕円形をなす取付孔13が貫通して形成されているとともに、取付孔13の上方位置に左右一対の袋小路状(シールドケース11の内面に開口していない形態)の雌ネジ孔14が形成されている。シールドケース11の内部には、機器本体12から延出された機器側端子15が待ち受けており、この機器側端子15には上下に貫通するボルト孔15Hが形成されている。
【0014】
本実施形態の機器用コネクタAは、ハウジング50、電線側端子40及び接続部材30を備えて構成されている。尚、本実施形態において前後方向については、図2〜図4における左側を前側ということにする。また、前後方向と軸方向とは同義で用いる。
機器用コネクタAはシールド電線20の前端部に接続される。シールド電線20は、複数の金属細線からなる導体21を、絶縁性合成樹脂材料からなる筒状のコア22で包囲するとともに、そのコア22の外周に沿って編組線からなる筒状のシールド層23を配し、さらに、このシールド層23を絶縁性の合成樹脂材料からなるシース24で包囲した構成になる。シールド電線20の前端部においては、シース24が大きく剥き取られてシース24の前端縁からコア22とシールド層23が露出して突出され、さらに、そのコア22の前端部が剥き取られてそのコア22の前端縁から導体21が露出した状態で突出されている。
【0015】
シース24の前端部には導電性のスリーブ25が外嵌されており、このスリーブ25の略前半部分には、シース24の前端から露出されているシールド層23が後方へ折り返された状態で外嵌され、さらに、この折り返されたシールド層23には、金属製のカシメ筒26がカシメ付けにより固着されている。このカシメ筒26により、スリーブ25とシールド層23がシース24の前端部に対して遊動規制された状態で固定されている。
【0016】
また、スリーブ25の略後半部分には、接続部材30が導通可能に取り付けられている。接続部材30は、導電性材料(金属又は導電性樹脂)からなり、軸線をシールド電線20と平行に向けて左右に並んだ円形をなす3つの筒部31と、シールド電線20の軸方向と直交する平板状をなす1枚の板部32とを一体成形したものであり、各筒部31は板部32を貫通して前後に突出する形態となっている。板部32には、各筒部31の外周に沿って周方向に間隔を空けた複数の樹脂流通孔33が前後に貫通して形成されている。板部32の左右両端部には上方へ突出する一対の固定部34が形成され、固定部34にはボルト孔34Hが形成されている。
【0017】
かかる接続部材30の各筒部31には、夫々、シールド電線20が貫通され、筒部31がスリーブ25に対して軸方向及び径方向への遊動を規制された状態で外嵌されるとともに導通可能に接続されている。これにより、シールド電線20と接続部材30とが一体的に組み付けられるとともに、シールド層23と接続部材30とがスリーブ25を介して導通可能に接続されている。
電線側端子40は、所定形状に打ち抜いた金属板材を曲げ加工することで全体として前後方向に細長い形状に成形されている。電線側端子40の略前半部分は、水平な平板状をなすとともにボルト孔41Hの形成された機器接続部41とされ、略後半部分はオープンバレル状をなす電線接続部42とされている。かかる電線側端子40は、上記シールド電線20の導体21に対し電線接続部42をカシメ付けることで圧着により接続されている。接続状態では、シールド電線20の前端部から電線側端子40が前方へほぼ一直線状に延出する形態となる。
【0018】
ハウジング50は、樹脂モールドにより、シールド電線20の前端部(接続部材30とシールド層23との接続部分)及び電線側端子40の後端部(シールド電線20の導体21と電線側端子40との圧着部分)に対してこれらを全周に亘って隙間なく包囲する形態で一体化されたものであり、1つのハウジング50に3つの電線側端子40が横並びに保持されている。また、ハウジング50の外周からは接続部材30の板部32及びその固定部34が全周に亘って露出(突出)されている。
【0019】
かかるハウジング50は、取付孔13に対応する形状、即ち横長の略楕円形をなしており、その外周における前端部(接続部材30の板部32よりも前方領域)には、周方向のシール溝51が全周に亘って連続して形成されている。また、ハウジング50の外周における上面領域には、シール溝51の開口縁のうち後側の縁部を後方へ方形に切欠した凹形態の規制部52が左右一対形成されている。この一対の規制部52の位置は左右方向において対称とされ、また、この2つの規制部52の形状及び寸法は互いに同一とされている。
【0020】
かかるシール溝51には、ハウジング50及び取付孔13と概ね相似系のリング状をなすゴム製のシール部材55が装着されている。このシール部材55の断面形状は概ね円形をなし、内周側の部分がシール溝51の溝底面に弾性接触するとともに、外周側の部分が取付孔13の内周面に弾性接触するようになっている。このシール部材55には、上記ハウジング50の規制部52に係止される係止部56が左右一対形成されている。この係止部56は、規制部52に対して隙間なく嵌合するように方形をなし、後方へ突出されている。また、2つの係止部56の位置については、左右方向において規制部52と対応するように配置されている。また、この係止部56の厚さ(径方向の寸法)はシール部材55よりも小さく、自由状態(シール部材55が弾性変形していない状態)においてシール部材55の最も外周側の面は係止部56の外面よりも外側に位置するともに、最も内周側の面は係止部56の内面よりも内側に位置する。
【0021】
次に、本実施形態の作用を説明する。
機器用コネクタAの製造に際しては、シールド電線20にスリーブ25を外嵌してその上にシールド層23を折り返して重ね合わせ、さらにそのシールド層23の外嵌したカシメ筒26をプレスによりカシメ加工することで、シールド層23とスリーブ25とを接続する。また、このシールド電線20の導体21には電線側端子40を接続しておき、スリーブ25を接続部材30の筒部31に内嵌してシールド層23と接続部材30とを接続させる。
【0022】
この後、上記した電線側端子40、シールド電線20及び接続部材30をモールド金型(図示せず)にセットしてハウジング50をモールド成形する。モールド成形されたハウジング50は、電線側端子40、シールド電線20及び接続部材30に対しこれらを包囲するように一体化される。これをモールド金型から取り出した後、ハウジング50のシール溝51にシール部材55を装着する。
シール溝51にシール部材55を装着する際には、シール溝51とシール部材55が非円形、即ち横長の略楕円形をなすため、シール溝51に対してシール部材55の周方向の位置にずれがあると、部分的にシール部材55がシール溝51から浮き上がったりする等の不具合が生じることが懸念される。しかしながら本実施形態においては、シール溝51に周方向と交差する方向に凹んだ形態の規制部52を形成するとともに、シール部材55には周方向と交差する方向に突出した係止部56を形成し、この規制部52と係止部56とを嵌合させることにより、シール部材55をシール溝51に対して周方向に位置決めすることができるようになっている。したがって、ハウジング50が取付孔13に嵌合されていない状態において、シール部材55が部分的にシール溝51から浮き上がったり、部分的に引き伸ばされたりする等の不具合はなく、シール部材55はシール溝51(ハウジング50)に対して正しく装着される。
【0023】
一方、ハウジング50の外周における接続部材30の板部32よりも後方の領域には、上下一対の半割部材を筒状に合体させたカバー57が装着され、更に、カバー57の後端部には、コルゲートチューブ58の前端部が嵌合されている。カバー57内及びコルゲートチューブ58内にはハウジング50の後端面から導出された3本のシールド電線20が束ねられた状態で収容される。以上により、機器用コネクタAの製造が完了する。
【0024】
製造された機器用コネクタAは、機器10に取り付けられる。取付けに際しては、電線側端子40の機器接続部41を先に向けて機器用コネクタAをシールドケース11の外側から取付孔13に差し込み、シールドケース11の外面に板部32の固定部34を当接させてそのボルト孔34Hをシールドケース11の雌ネジ孔14に対応させるとともに、機器接続部41をシールドケース11内の機器側端子15に重ね合わせて双方のボルト孔15H,41H同士を対応させ、両ボルト孔15H,41Hに貫通させたボルト16をナット17に螺合して締め付けることにより、両端子15,40が接続される。また、板部32のボルト孔34Hに差し込んだボルト36を雌ネジ孔14に螺合することにより接続部材30がシールドケース11に対して導通可能に固定される。また、この接続部材30を介して、ハウジング50、シールド電線20及び電線側端子40もシールドケース11に固定される。
【0025】
固定されたハウジング50の外周と取付孔13の内周との隙間はシール部材55によって液密状にシールされる。ここで、シール部材55は規制部52と係止部56との嵌合によりハウジング50に対して周方向に正しく位置決めされているので、シール部材55は全周に亘って均等に弾性変形し、ひいては、周方向において均一なシール性能が得られる。以上により、シールド電線20が機器10に取り付けられる。
【0026】
上述のように本実施形態おいては、ハウジング50の外周形状、取付孔13の内周形状及びシール部材55が略楕円形、つまり非円形をなしているのであるが、シール部材55に形成した係止部56とハウジング50に形成した規制部52とを嵌合させることにより、シール部材55をハウジング50に対して周方向に位置決めするとともに、ハウジング50に対するシール部材55の周方向への遊動を規制するようになっているので、シール部材55による防水機能を確実に発揮させることができる。
【0027】
また、シール部材55をハウジング50の外周に装着するとともに、規制部52と係止部56との嵌合をハウジング50の外面に露出した形態で行わせるようにしたので、取付孔13にハウジング50を嵌合する前に、規制部52と係止部56との係止状態を目視によって確認することができる。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0028】
(1)上記実施形態ではシール部材をハウジングの外周に装着するようにしたが、本発明によれば、シール部材を取付孔の内周に装着してもよい。この場合、シール部材の係止部を係止させる規制部は取付孔に形成される。
(2)上記実施形態ではハウジングの外周形状及び取付孔の内周形状を略楕円形としたが、本発明によれば、長円形や角を弧状にした略方形などの楕円形以外の形状としてもよい。
【0029】
(3)上記実施形態では規制部と係止部との係止を目視可能な形態としたが、本発明によれば、係止部をシール部材の内周側に設け、目視確認できない係止形態としてもよい。この場合、規制部と係止部との凹凸による係止構造がシール部材の内側の隠れるので、美観に優れる。
(4)上記実施形態では規制部を凹状にするとともに係止部を凸状としたが、本発明によれば、規制部を凸状にするとともに係止部を凹状としてもよい。また、規制部として凸状のものと凹状のものを設けるとともに係止部として凹状のものと凸状のものを設けてもよい。
【0030】
(5)上記実施形態では端子金具をハウジングに対してモールド成形によって一体化させたが、本発明は、ハウジング内にキャビティを形成し、そのキャビティ内に端子金具を挿入する機器用コネクタにも適用することができる。
(6)上記実施形態では1つのハウジングに複数の端子金具を保持させたが、本発明は、1つのハウジングに1つの端子金具を保持させる機器用コネクタにも適用することができる。
【0031】
(7)上記実施形態ではシールド機能を備えた機器用コネクタについて説明したが、本発明は、シールド機能を有しない機器用コネクタにも適用することができる。
(8)上記実施形態ではシールド層を備えたシールド電線の端末に電線側端子を接続するようにしたが、本発明は、シールド層を有しない非シールド電線の端末に電線側端子を接続し、複数の非シールド電線を1つの筒状シールド部材で包囲する場合にも適用することができる。
【0032】
(9)上記実施形態では規制部をハウジングの上面側のみに配したが、本発明によれば、規制部はハウジングの下面側のみに形成してもよく、上下両面に形成してもよい。
(10)上記実施形態では規制部を2つ設けたが、本発明によれば、規制部の数は1つでもよく、3以上でもよい。
(11)上記実施形態では規制部を左右対称の配置としたが、本発明によれば、2つの規制部を左右非対称の配置としてもよい。
【0033】
(12)上記実施形態では2つの規制部の形状及び寸法を同一としたが、本発明によれば、2つ以上の規制部を設けた場合においてそれらの形状と寸法が互いに異なるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の機器用コネクタの斜視図
【図2】平面図
【図3】機器用コネクタを機器に取り付けた状態の断面図
【図4】図3の部分拡大断面図
【符号の説明】
A…機器用コネクタ
10…機器
11…シールドケース(ケース)
13…取付孔
15…機器側端子
40…電線側端子
50…ハウジング
52…規制部
55…シール部材
56…係止部

Claims (2)

  1. 電線に接続された複数の電線側端子をハウジングに保持させ、機器のケースに開口させた取付孔に前記ハウジングを嵌合させることで、前記電線側端子を前記ケース内の機器側端子に接続するとともに、前記ハウジングの外周と前記取付孔の内周との間をリング状のシール部材によって防水するようにした機器用コネクタであって、
    前記シール部材には、前記ハウジング又は前記取付孔に設けた規制部に係止させることで前記ハウジング又は前記取付孔に対する周方向への遊動を規制可能な係止部が形成されていることを特徴とする機器用コネクタ。
  2. 前記規制部が前記ハウジングの外面に露出した形態で形成され、前記シール部材が前記ハウジングの外周に装着されていることを特徴とする請求項1記載の機器用コネクタ。
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