JP5417954B2 - 防水コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、防水コネクタに関する。
例えば電気自動車等において金属製のケースに収容されたモータ等の機器に電力を供給するための防水コネクタとして、特許文献１に記載のものが知られている。
この防水コネクタは、前端部に板状の接続部が形成され、後端部に電線圧着部が形成された端子金具と、この端子金具が後方から嵌合されるコネクタハウジングとを備えている。
コネクタハウジングは合成樹脂製であって、内部には前後に貫通して電線の端末部に固着された端子金具を個別に収容可能な３つのキャビティが横並びに形成されている。
端子金具がキャビティに後方から収容された後、各電線に予め嵌合されたゴム栓がコネクタハウジングの後端部である電線挿通筒部に嵌合され、電線挿通筒部の内周面と電線の外周面とが液密にシールされる。ゴム栓は、内側に電線を挿通可能な略円筒状に形成されるとともに、その内周と外周には、それぞれ電線の外周面とコネクタハウジングの内周面に密着するように複数条のリップが膨出して設けられることで、電線周りのシールが取られるようになっている。
コネクタハウジングの後端部には、各ゴム栓の抜け止めを一括して図るためのバックリテーナが後方から装着されている。バックリテーナは、合成樹脂製とされ、幅方向に沿って分割した一対の脚部の一端側をヒンジによって連結した構成となっており、このヒンジを中心として両脚部が回動可能とされている。両脚部には、略半円状の凹部が３つずつ設けられ、両脚部を閉じた状態で対応する上下の凹部間に電線が挟まれる。両脚部における上下外面には、係合突部がそれぞれ複数設けられ、これら係合突部がコネクタハウジングの後端部に穿設された係合凹部にそれぞれ係止されることで、バックリテーナはコネクタハウジングに固定されている。
特開２００２−２８１６５４号公報
上記のような構造において、バックリテーナの係合突部がコネクタハウジングの係合凹部に係止されることで、ゴム栓がコネクタハウジングから抜け落ちることを防止している。このように係合凹部は必要不可欠であるものの、係合凹部の開口縁部は鋭利なエッジ状であり、ゴム栓をハウジングに嵌入させる際、上記係合凹部の少なくとも電線挿通筒部の軸方向に対して交差する方向の開口縁部によってゴム栓が傷つけられ、ゴム栓の防水性が低下してしまう虞がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ゴム栓のコネクタハウジングへの嵌入時に、ゴム栓が傷つくことを防止できる防水コネクタを提供することを目的とする。
本発明の防水コネクタは、電線を圧着した端子金具を収容するキャビティを備えたコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに一体に設けられ前記端子金具に圧着された電線が挿通される略円筒状の内周面を有する電線挿通筒部と、前記電線と前記電線挿通筒部との間に挿入されて前記電線の外周面と前記電線挿通筒部の内周面との間を液密にシールする略円筒状のゴム栓と、前記ゴム栓に対して前記キャビティとは反対側に位置して前記電線挿通筒部の先端開口縁部内に装着されるバックリテーナと、前記バックリテーナの外周面に突設された係合突部と、前記電線挿通筒部に形成され前記係合突部が係止されて前記バックリテーナの抜け止めが行われる角孔状の係合凹部とを備え、前記電線挿通筒部の内周面において開口する前記係合凹部の開口縁部のうち、前記電線挿通筒部の軸方向に対して交差し、かつ、前記ゴム栓側に近い側に位置するキャビティ側開口縁部は面取り形状をなす面取り部とされているとともに、前記キャビティ側開口縁部と対向する後方開口縁部および前記電線挿通筒部の軸方向に延びる開口縁部は直角形状とされており、前記後方開口縁部と前記電線挿通筒部の前記先端開口縁部との間にはガイド溝が形成されており、前記ガイド溝の開口側縁部と前記電線挿通筒部の軸方向に延びる開口縁部とは一直線上に配されているところに特徴を有する。
このような構成によれば、ゴム栓をコネクタハウジング内に嵌入させる際に、係合凹部のキャビティ側開口縁部にゴム栓が引っ掛かり、ゴム栓が傷つくことを防止することができる。また、ゴム栓の挿入時にゴム栓が当接するキャビティ側開口縁部だけに面取り部を形成して、他の開口縁部は直角形状としたことにより、ゴム栓の傷付きを防止しながら、バックリテーナの抜け止め力の低下を効果的に抑制できる。さらに、ゴム栓はガイド溝に沿って案内され、面取り部を乗り越えて挿入されることにより、ゴム栓挿入作業が容易になる。
前記係合凹部は前記電線挿通筒部を貫通する角孔として形成され、その角孔の開口縁部の対向二辺が前記電線挿通筒部の軸方向に対して直交するように配置されていることが望ましい。
前記ガイド溝は前記面取り形状の幅寸法に対応した寸法とされていることが望ましい。すなわち、ガイド溝を利用して面取り部を形成するための成形型のピンを挿入できるから、面取り部の成型を合理的に行うことができる。
前記面取り形状は、円筒面であってもよい。
本発明によれば、ゴム栓の挿入時にゴム栓を傷つけることを防止できるから、防水性が高いコネクタを提供することができる。
実施形態１における両コネクタの嵌合状態を示す側断面図 バックリテーナの両脚部が開いた状態を示す正面図 バックリテーナの両脚部が閉じた状態を示す正面図 ゴム栓とバックリテーナが嵌合される直前を示す防水コネクタの側断面図 ゴム栓とバックリテーナが嵌合された状態を示す防水コネクタの側断面図 図４の係合凹部の拡大図 図５の係合凹部の拡大図
＜実施形態１＞
本発明の実施形態１を図１ないし図７によって説明する。
本実施形態におけるコネクタは、図示しない機器（例えば、ハイブリッド車等に搭載されたモータやインバータ等）に電力を供給するためのものであり、互いに嵌合・離脱を可能とされた機器側コネクタ１０と、本発明を適用したハーネス側の防水コネクタ２０とを備えている。以下、各構成部材において、両コネクタ１０、２０における嵌合面側を前方とし、また、図１の上側を上方、下側を下方として説明する。なお、機器は、シールド機能を有する金属製のケース６０内に収容されており、ケース６０には、ケース６０の外面側と内面側とを貫通する取付孔６１が形成されている。
機器側コネクタ１０はケース６０内の取付孔６１と対応する位置に固定されている。
機器側コネクタコネクタハウジング１１は合成樹脂製であって、横長の略直方体状をなすフード部１２と、フード部１２の後端部において全周に張り出す板状のフランジ部１３と、フランジ部１３の後面から後方へ突出する形状をなす機器側接続部１４とを備えている。
機器側コネクタ１０には、３本の中継端子１５が保持されており、さらにフランジ部１３にはコネクタ取付部材１６が装着されている。
電線側コネクタハウジング２１の内部には電線４１の端末部に固着された端子金具４０を収容可能な３つのキャビティ２２が横並びに形成されている。各キャビティ２２には、後方から端子金具４０をそれぞれ収容可能とされており、各キャビティ２２の前端部には、端子金具４０に係合して抜け止めを図るランス２３が設けられている。さらにキャビティ２２の後方に位置する電線挿通筒部２４には、電線４１に外嵌されたゴム栓４２の前面を当接させる図示しない前止り部がそれぞれ設けられている。そのゴム栓４２の後方から電線挿通筒部２４内にゴム栓４２の抜け止めを一括して図るためのバックリテーナ５０が電線４１に外嵌された状態で装着されている。
ゴム栓４２は、内側に電線４１を挿通可能な略円筒状に形成されるとともに、その内周と外周には、それぞれ電線４１の外周面端子のキャビティ２２の内面に密着するように複数条のリップが膨出して設けられることで、電線４１周りが液密に封止されている。
バックリテーナ５０は、合成樹脂製とされ、図２に示すように、幅方向に沿って分割した一対の脚部５１の一端側をヒンジ５２によって連結した構成となっており、このヒンジ５２を中心として両脚部５１が回動可能とされている。両脚部５１には、略半円状の凹部５３が３つずつ設けられ、両脚部５１を閉じた状態で対応する図３の上下の凹部５３間に電線４１が挟まれる。両脚部５１における上下外面には、図２，３に示すように、係合突部５４がそれぞれ複数設けられ、これら係合突部５４がコネクタハウジング２１の後端部に形成された係合凹部３０にそれぞれ係止されることで、バックリテーナ５０がコネクタハウジング２１に固定されている。
コネクタハウジング２１の係合凹部３０は、電線挿通筒部２４の軸方向に対して直交する前記対向二辺の開口縁部３１のうちキャビティ側開口縁部３１Ａには面取り部３２が形成されており、それに対向するもう一方の後方開口縁部３１Ｂと、前記電線挿通筒部２４の先端開口縁部２７との間には、面取り形状の幅寸法に対応した寸法のガイド溝３３が形成されている。
コネクタハウジング２１のうち、機器側コネクタ１０のフード部１２内に嵌合可能な前端部は電線側フード部２６とされている。電線側フード部２６の外周面のうち前端部分にはシールリング４３が装着され、電線側フード部２６がフード部１２内に嵌合されると、シールリング４３がフード部１２の内周面に密着してこの間のシールがなされ、フード部１２内への水の浸入が防止される。
なお、コネクタハウジング２１には、コネクタハウジング２１に対して後方から嵌合して装着されるシールドシェル７０が備えられている。
次に、防水コネクタ２０の組み付け手順について説明する。まず、電線４１を圧着した端子金具４０をキャビティ２２内に挿入し、ランス２３に係合させる（図４参照）。予め電線４１に外嵌しておいたゴム栓４２をガイド溝３３に沿って案内しつつ、面取り部３２を乗り越えて挿入させる（図５参照）。この際、係合凹部３０のキャビティ側開口縁部３１Ａは面取り部３２を有するため、ゴム栓４２が傷つくことなく嵌入させることができる。さらに、バックリテーナ５０を電線４１に装着し、コネクタハウジング２１の後方からゴム栓４２に続いて嵌入させ、係合凹部３０に係合突部５４を係止させることで、コネクタハウジング２１にバックリテーナ５０を固定させる。
以上説明した実施形態１によれば、係合凹部３０の電線挿通筒部２４の軸方向に対して直交する対向二辺の開口縁部３１のうちキャビティ側開口縁部３１Ａは面取り部３２を有するため、ゴム栓４２をコネクタハウジング２１内に嵌め込む際、ゴム栓４２を傷つけることなく嵌入させることができる。これにより、防水コネクタ２０を組み立てる際、ゴム栓４２を傷つけることなく、さらにその他係合凹部３０の開口縁部３１は直角形状であるから、バックリテーナ５０の抜け止め力の低下を効果的に抑制でき、ゴム栓４２とキャビティ２２との間は完全にシールすることができる。
＜他の実施形態＞
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、発明を逸脱しない範囲のその他の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
２０…防水コネクタ
２１…コネクタハウジング
２２…キャビティ
２４…電線挿通筒部
３０…係合凹部
３１…開口縁部
３１Ａ…キャビティ側開口縁部
３２…面取り部
４０…端子金具
４１…電線
４２…ゴム栓
５０…バックリテーナ
５４…係合突部

Claims (4)

  1. 電線を圧着した端子金具を収容するキャビティを備えたコネクタハウジングと、
    このコネクタハウジングに一体に設けられ前記端子金具に圧着された電線が挿通される略円筒状の内周面を有する電線挿通筒部と、
    前記電線と前記電線挿通筒部との間に挿入されて前記電線の外周面と前記電線挿通筒部の内周面との間を液密にシールする略円筒状のゴム栓と、
    前記ゴム栓に対して前記キャビティとは反対側に位置して前記電線挿通筒部の先端開口縁部内に装着されるバックリテーナと、
    前記バックリテーナの外周面に突設された係合突部と、
    前記電線挿通筒部に形成され前記係合突部が係止されて前記バックリテーナの抜け止めが行われる角孔状の係合凹部とを備え、
    前記電線挿通筒部の内周面において開口する前記係合凹部の開口縁部のうち、前記電線挿通筒部の軸方向に対して交差し、かつ、前記ゴム栓側に近い側に位置するキャビティ側開口縁部は面取り形状をなす面取り部とされているとともに、前記キャビティ側開口縁部と対向する後方開口縁部および前記電線挿通筒部の軸方向に延びる開口縁部は直角形状とされており、
    前記後方開口縁部と前記電線挿通筒部の前記先端開口縁部との間にはガイド溝が形成されており、
    前記ガイド溝の開口側縁部と前記電線挿通筒部の軸方向に延びる開口縁部とは一直線上に配されていることを特徴とする防水コネクタ。
  2. 前記係合凹部は前記電線挿通筒部を貫通する角孔として形成され、その角孔の開口縁部の対向二辺が前記電線挿通筒部の軸方向に対して直交するように配置されていることを特徴とする請求項１記載の防水コネクタ。
  3. 前記ガイド溝は前記面取り形状の幅寸法に対応した寸法とされていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の防水コネクタ。
  4. 前記面取り部の面取り形状は、円筒面であることを特徴とする請求項１ないし請求項３のいずれか一項に記載の防水コネクタ。
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