JP4013587B2 - 埋込型コンセント - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、造営面に設けられる埋込孔に器体の後部を挿入する形で配設される埋込型コンセントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の埋込型コンセントとして、ピン挿入口を開閉自在に閉塞する扉体と、ピン挿入口を閉じる方向へ扉体を弾性付勢する復帰ばねと、扉体並びに復帰ばねを内側に収納し、前面にピン挿入口が設けられたカバーの後面側に取り付けられる扉カバーとを備え、プラグが接続されていないときにプラグの丸ピンが挿入されるピン挿入口を扉体で閉塞し、プラグを接続するときに丸ピンをピン挿入口に挿入することで扉体を開けるようにしたものが提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、カバーに対する扉カバーの固定がリベットのかしめによって行われていたため、組立性が悪く、部品点数が増えてコストが高くつくという問題があった。
【0004】
本発明は上記問題に鑑みて為されたものであり、その目的は、組立性の向上並びに部品手数の削減によるコストダウンが図れる埋込型コンセントを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、造営面に設けられる埋込孔に器体の後部を挿入する形で配設される埋込型コンセントであって、プラグが嵌合する凹所を前面に有し凹所の底面にプラグの丸ピンが挿通されるピン挿入口が形成されたカバーと、ピン挿入口に挿入された丸ピンを受ける刃受部を保持し後側からカバーに結合されるボディとで器体が構成される埋込型コンセントにおいて、ピン挿入口を開閉自在に閉塞する扉体と、ピン挿入口を閉じる方向へ扉体を弾性付勢する復帰ばねと、扉体並びに復帰ばねを内側に収納してカバーの後面側に取り付けられる扉カバーとを備え、カバーに設けられた被係止部に係止する係止部が扉カバーに設けられるとともに、カバー並びに扉カバーを貫通してボディに螺合する組立ねじによりカバーとボディを結合してなり、カバーは、有底円筒形のカバー本体と、カバー本体の前面に形成された平面視略正方形の外鍔部とが一体に形成されてなり、プラグのプラグ本体が前方から嵌合される凹所がカバー本体前面に形成されるとともに凹所の底面に前記ピン挿入口が形成され、凹所底面の中央に前記組立ねじが挿通されるねじ挿通孔が貫設され、カバー本体の後面におけるねじ挿通孔の周囲に後方に突出する円筒形のボス部が形成され、ボス部の内周面に前記被係止部が内向きに突設されてなり、扉カバーは、前面が開口する矩形箱状に形成され、組立ねじが挿通される挿通孔が中央に設けられ、挿通孔の両側に丸ピンが挿通される一対の丸ピン挿通孔が設けられ、底面の挿通孔の周縁に互いに対向して前方へ突出し且つ撓み可能な一対の組立片が設けられ、当該組立片の先端部には外向きに突出する前記係止部が設けられるとともに内側周面には挿通孔と連続する溝が形成されてなることを特徴とし、リベットのような別部品を使わずに扉カバーをカバーに取り付けることができて組立性の向上並びに部品手数の削減によるコストダウンが図れる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記カバーに組立ねじの脱落を防止する脱落防止手段が設けられたことを特徴とし、組立ねじの脱落が防止でき、ひいては扉カバーがカバーから外れることも防止できる。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、少なくとも扉カバーをカバーに取り付けるまで復帰ばねを仮固定する仮固定用リブがカバーに設けられたことを特徴とし、扉カバーをカバーに取り付ける際の作業性の向上が図れる。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、仮固定用リブを補強する補強用リブがカバーに設けられたことを特徴とし、仮固定用リブの破損が防止できる。
【0009】
請求項5の発明は、請求項3の発明において、仮固定用リブが復帰ばねに対して対称な位置にそれぞれ設けられたことを特徴とし、復帰ばねを扉カバー内に収納する方向が一方向に限定されないために組立性の向上が図れる。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1の発明において、カバー又は扉カバーの組立ねじ頭部と当接する部位がすり鉢状に形成されたことを特徴とし、組立ねじとして皿ねじを用いる場合に組立ねじの頭部の収まりがよくなり、カバーとボディを強固に結合することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図21を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態はカバー10とボディ20からなる器体1と、埋込孔に埋め込まれた埋込ボックスに器体1を取り付ける取付枠30と、取付枠30の前面を覆い隠すプレート40とを備える。
【0013】
カバー10は、有底円筒形のカバー本体10aと、カバー本体10aの前面に形成された平面視略正方形の外鍔部10bとが合成樹脂成形品として一体に形成されてなり、カバー本体10aの前面には、図22及び図23に示すプラグ100の円柱状のプラグ本体101が前方から嵌合される凹所11が形成され、凹所11の底面には、プラグ本体101から導出された一対の丸ピン102が差し込まれる一対のピン挿入口11aが形成されている。また、凹所11の内周面には、円柱状のプラグ本体101の軸方向に平行して形成された一対の突条部103をガイドするための一対のガイド溝11bが形成されいる。さらに、凹所11の底面の中央には、カバー10とボディ20を結合して器体1を組み立てる組立ねじ2が挿通されるねじ挿通孔11cが貫設され、図2に示すようにカバー本体10aの後面におけるねじ挿通孔11cの周囲には後方に突出する円筒形のボス部11dが形成されている。
【0014】
ここで、プラグ100のプラグ本体101には一対の接地極104が設けてあり、カバー10の凹所11には、プラグ本体101の接地極104に接触する、略逆Ω形の接地刃受部60の両端部よりなる接触片62をカバー本体10aの後面側から凹所11内に引き込むとともに接触片62の移動空間を確保するためのスリット11eが形成されている。このスリット11eは凹所11の底面と内側面とにわたってL字状に形成されている。ここで、接地刃受部60の接触片62は、接地刃受部60の基端片61よりも細幅に形成されるとともに基端片61からの延出方向に沿って凹溝62aが形成されて可撓性を有するようになっている。また、一対の接触片62は、先端側が互いに近づく向きに付勢され凹所11の内周面から内方へ突出しているので、器体1の前方からプラグ100のプラグ本体101が凹所11に嵌め込まれた時に、接地極104に当接して外方へ撓んだ状態で接地極104と確実に接触するようになっている。
【0015】
また、カバー本体10aの後面には一対のピン挿入口11aを開閉自在に閉塞する扉体80が配設される。扉体80は、ボス部11dが挿通される軸孔80bを有するリング部80aと、リング部80aの外側周縁より互いに外向きに延出された一対の翼片80cと、各翼片80cの前面に突出してカバー10のピン挿入口11aに進退自在に挿入される筒状の扉部80dとが合成樹脂成形品として一体に形成されている。なお、一対の扉部80dの前面は互いに反対向きに傾斜する傾斜面としてある。この扉体80は復帰ばね81とともに扉カバー82内に収納される。復帰ばね81はコイルばねからなり、リング部80aの軸孔80bに挿通されたボス部11dに外挿された状態で一方の端部81aが扉体80に固定されるとともに、他方の端部81bがカバー本体10aの後面に突設されている仮固定用リブ12に係止されてカバー本体10aの後面に仮固定される。ここで、仮固定用リブ12は、図6に示すように仮固定用リブ12を補強する補強リブ13と一体に平面視略L形に形成され、ボス部11dを中心とする点対称の位置にそれぞれ突設されている。したがって、補強リブ13により仮固定用リブ12を補強することで仮固定用リブ12の破損を防止することができる。また、仮固定用リブ12がボス部11dを中心とした点対称の位置に突設されているから、復帰ばね81の端部81bを何れの仮固定用リブ12にも係止することができ、復帰ばね81の取付向きが限定されないために組立性の向上が図れるという利点がある。
【0016】
一方、扉カバー82は、合成樹脂により前面が開口する矩形箱状に形成され、組立ねじ2が挿通される挿通孔83が中央に設けられ、挿通孔83の両側に丸ピン102が挿通される一対の丸ピン挿通孔84が設けられている。扉カバー82底面の挿通孔83の周縁には互いに対向して前方へ突出する一対の組立片85が形成されている。組立片85は、図9に示すように外向きに突出する係止部85aが先端部に設けられ、内側周面には挿通孔83と連続する溝85bが形成されている。また、扉カバー82の内側には挿通孔83を挟んで対向する位置に一対のリブ86が設けられており、カバー本体10aに扉カバー82が取り付けられたときに仮固定用リブ12とリブ86との間に復帰ばね81の端部81bが挟み込まれて固定されるようになっている。
【0017】
ここで、扉体80、復帰ばね81及び扉カバー82をカバー10に取り付ける手順を説明する。まず、一方の端部81aで復帰ばね81が固定された扉体80のリング部80aの軸孔80bにボス部11dを挿通するとともにピン挿入口11aに扉部80dを挿入し、復帰ばね81の他方の端部81bを仮固定用リブ12に係止することで扉体80並びに復帰ばね81をカバー本体10aに仮固定する(図6参照)。そして、ボス部11dの開口端縁には内側に向けて傾斜する傾斜面が形成され、カバー10の後方から扉体80の組立片85をカバー本体10aのねじ挿通孔11cに挿入すると、傾斜面に案内されて組立片85が互いに近づく向きに撓むことになる。一方、ボス部11dの内周面には一対の被係止部11fが内向きに突設されており、撓められた状態のまま組立片85をねじ挿通孔11cに挿通していくと、やがて組立片85の係止部85aが被係止部11fを乗り越えて被係止部11fに係止されて組立片85が抜け止めされ、扉カバー82がカバー10に取り付けられる(図9参照)。すなわち、従来はリベットを用いて扉カバーをカバーに取り付けていたが、本実施形態ではリベットのような別部品を使わずに扉カバー82をカバー10に簡単に取り付けることができ、扉カバー82とカバー10の組立性の向上と部品点数の削減によるコストダウンが図れる。なお、このように扉カバー82をカバー10に取り付けるまでは扉体80並びに復帰ばね81が仮固定用リブ12のはたらきでカバー本体10aに仮固定されるため、扉カバー82を取り付ける際の作業性が向上するという利点がある。
【0018】
而して、プラグ100の丸ピン102が挿入されていない状態では、図4に示すように復帰ばね81によって扉体80がカバー本体10aの方へ付勢されているので、扉体80の扉部80dがカバー本体10aのピン挿入口11aに後方から挿入されて閉塞することとなり、ピン挿入口11aから異物が侵入するのを防ぐことができる。そして、プラグ100の接続時にはピン挿入口11aに挿入される丸ピン102によって扉部80dに後方への押圧力が作用し、復帰ばね81のばね力に抗して扉体80が後方へ移動し、扉部80dがピン挿入口11aから退出することになる。その結果、扉体80がボス部11dの周りに回動可能となり、丸ピン102から受ける押圧力によって復帰ばね81のばね力に抗して扉体80が回動し、扉部80dの位置がずれてピン挿入口11aが開放されるから、丸ピン102を扉カバー82の丸ピン挿通孔84を通して後方へ進出させ、ボディ20前面に取り付けられた刃受部50(後述する)に接続させることができる。ここで、扉部80dの前面にテーパ面85cを形成しているので、丸ピン102から押圧力を受けたときにテーパ面85cによって回動方向の力を扉体80に作用させることができ、扉体80をスムーズに回動させることができる。なお、丸ピン102がピン挿入口11aから抜かれてしまえば、復帰ばね81のばね力によって扉体80が回動するとともにカバー本体10aの方へ移動し、扉部80dがピン挿入口11aに挿入される位置(復帰位置)に復帰してピン挿入口11aが閉塞されることになる。
【0019】
ボディ20は合成樹脂成形品からなり、前面に間隔を空けて突設された2つの隔絶壁21によって3つの部位に区画されている。2つの隔絶壁21に挟まれた中央部位には、組立ねじ2に螺合する矩形のナット3aを一端部に具備したリベット3を取り付けるためのリベット取付孔20aが貫設され、リベット取付孔20aの両側には接地刃受部60に接地線を接続するための端子ねじ63に螺合するナット64が嵌合する嵌合凹部20bが設けられるとともに嵌合凹部20bの中心には端子ねじ63の先端が挿入される孔20cが設けられている。接地刃受部60の基端片61の長手方向中央にはリベット3が挿通する挿通孔61aが貫設され、挿通孔61aを挟んだ基端片61の両端部近傍には端子ねじ63が挿通する挿通孔61bが貫設されている。すなわち、ボディ20の後方よりリベット取付孔20aに挿通したリベット3を基端片61の挿通孔61bに挿通してかしめることによって接地刃受部60がボディ20に取り付けられ、さらに、前方からカバー10のねじ挿通孔11cに挿通した組立ねじ2を基端片61の挿通孔61aに挿通し、ボディ20のリベット取付孔20aに取り付けられたリベット3のナット3aに組立ねじ2を螺合することによりカバー10とボディ20が結合されて器体1が組み立てられるものである。
【0020】
ここで、扉カバー82においては、組立ねじ2の頭部と当接する組立片85の先端部に、後方に向かって挿通孔83の方へ傾斜するテーパ面85cが形成されている。さらに、カバー本体10aのねじ挿通孔11c内周面にも後方へ傾斜するテーパ面11gが対向する位置に形成されており、これらのテーパ面11cと組立片85のテーパ面85cとにより、組立ねじ2の頭部が当接する部位が全体としてすり鉢状となっている。すなわち、組立ねじ2として皿ねじを用いる場合に組立ねじ2の頭部の収まりがよくなるとともにカバー10とボディ20を強固に結合することができる。また、図5、図8及び図9に示すようにねじ挿通孔11c内周面には内側に突出する半円筒形の一対の突起11hが互いに対向する位置にそれぞれ設けられており、これらの突起11hを組立ねじ2に圧接させることにより、組立ねじ2の脱落を防止し、ひいては扉カバー82がカバー本体10aから脱落するのを防止することができる。
【0021】
一方、上記中央部位を挟んだボディ20前面の両端部位は、カバー10のピン挿入口11aに差し込まれるプラグ100の丸ピン102を受ける刃受部50がそれぞれ収納される収納室22となっている。刃受部50は、導電性並びにばね性を有する金属板を折曲加工して形成されるものであって、端子ねじ58を挿通する挿通孔51aが貫設された端子片51と、端子片51の両端縁より曲げ起こされて互いに向かい合う一対のばね板52と、各ばね板52の先端部に設けられる弧状片53と、各弧状片53の先端縁より突出する突出片54と、一方のばね板52の基端縁から外側に突出する係止突起55とを具備する。一対の弧状片53が丸ピン102の直径よりも大きくない距離だけ離間されており、弧状片53の間に挿入される丸ピン102をばね板52のばね力によって挟持し、刃受部50により丸ピン102が電気的及び機械的に接続される。なお、弧状片53の丸ピン102が挿入される側の端縁が外側に向けて拡径されており、弧状片53の間に丸ピン102が挿入し易いようになっている。
【0022】
収納室22の一端側には端子ねじ58と螺合するナット59が嵌合する嵌合凹部22aと、刃受部50の突出片54がボディ20前面に沿った方向から挿入される挿入溝22bとが設けられ、嵌合凹部22aの底面には端子ねじ58が挿通する挿通孔22cが設けられている。すなわち、嵌合凹部22aが設けられている側の端部からボディ20前面に沿って刃受部50を収納室22内に挿入すると、突出片54が挿入溝22cに挿入されることで前方向(図11における上方向)への刃受部50の抜け止めがなされ、ばね板52の基端縁に設けられた係止突起55がボディ20に係止することで挿入向きへの刃受部50の移動が規制され、さらに、前方より挿通した端子ねじ58を嵌合凹部22aに嵌合させたナット59に螺合させることで反挿入向きへの刃受部50の移動が規制されて刃受部50が収納室22内に収納される。なお、図12に示すように収納室22内に収納された刃受部50に係止する係止リブ26を隔絶壁21並びに隔壁24の側面より突設すれば、ボディ20に対する刃受部50の固定強度が向上できるという利点がある。
【0023】
ところで、接地刃受部60の基端片61の長手方向両端部では隔絶壁21との間に隙間が設けられて接地線が挿入される接地線挿入口25が形成されている。すなわち、被覆を剥いた接地線の芯線が接地線挿入口25に挿入され、端子ねじ63及びナット64により接地刃受部60に電気的及び機械的に接続されるものである。ここで、接地刃受部60の接地線挿入口25に臨む部位、すなわち基端片61の端部側縁に切り欠き65が設けられており、接地線挿入口25に挿入する際の接地線と接地刃受部60との干渉を抑制して接地線を挿入し易くしている。なお、図15に示すように基端片61の端部側縁の両側に切り欠き65が設けられてもよい。ここで、刃受部50をボディ20に固定するための係止突起55が接地線挿入口25側にも設けられていた場合、刃受部50(係止突起55)と接地線(図13中に二点破線で図示)との絶縁距離を十分に確保することが困難になる。したがって、刃受部50と接地線との間に充分な絶縁距離を確保するためには、図14に示すように刃受部50の接地線挿入口25に対する外側端部(後述する隔壁24側の端部)に係止突起55を設ければよい。しかしながら、このような構造とした場合、係止突起55が設けられる位置が2つの刃受部50で異なることとなって各刃受部50を別部品としなければならなくなる。そこで、本実施形態では、図11に示すように一方の隔絶壁(同図における右側の隔絶壁)21の係止突起55側の幅寸法を大きくして接地線挿入口25を塞いでしまい、接地線挿入口25を塞いでいる隔絶壁21に係止突起55を係止させる構造としている。これにより、各刃受部50と接地線との絶縁距離を確保すると同時に2つの刃受部50を同形状として部品の共通化が図れるという利点がある。なお、接地刃受部60に接続する接地線は、送り配線及び取付枠30への配線を考慮しても最大で3本程度であるから、上述のように隔絶壁21によって1つの接地線挿入口25を塞いでも残り3つの接地線挿入口25があれば特に支障をきたすことはない。
【0024】
また、ボディ20の両側面には取付枠30並びに取付金具70を取り付けるための取付台23がそれぞれ側方へ突設されており、取付台23と収納室22との間には刃受部50と取付枠30及び取付金具70との絶縁距離を確保するための隔壁24が立設されている。取付台23は、後述するように取付枠30に設けられた係止爪35bが係合する段部23aが両側面にそれぞれ形成され、取付金具70を取り付けるための取付ねじ78が螺合するナット79が嵌合する嵌合凹部23bが前面に設けられるとともに、嵌合凹部23bの中央には取付ねじ78が挿入される孔23cが設けられている。取付金具70は略コ字形であって、中央部に取付ねじ78が挿通されるねじ挿通孔72が穿孔された矩形板状の基端片71の両端部から延設された両脚片73のそれぞれの先端部に爪74が形成され、基端片71の端縁には取付枠30の係止孔32a(後述する)に挿入係止される係止片75が突設されてなり、例えば、C型ボックスと呼ばれる合成樹脂製の埋込ボックスの内周面に爪74を食い込ませて取付枠30を固定するものである。
【0025】
次に取付枠30について説明する。取付枠30は金属製であって、中央に円形の取付窓31が開口する矩形平板状に形成され、取付窓31の周縁から後方へ一対の腕片32が垂下されている。取付枠30の各辺には互いに嵌合可能な形状及び寸法とした位置決め突部36並びに位置決め凹部37がそれぞれ形成されており、複数の取付枠30を並設する場合に隣接する取付枠30の位置決め突部36と位置決め凹部37を嵌合させることで両者の位置決めが行えるようにしてある。また、取付枠30には円形の大径部33aと大径部33aよりも幅狭で一端において大径部33aに連続する弧状の小径部33bからなるボックスねじ挿通孔33が4つの辺の中央に貫設されている。さらに取付窓31の周縁には、取付枠30を接地刃受部60に接続する場合に電線が接続される一対の接続タブ34が突設されている。腕片32には取付金具70の係止片75が挿入係止される矩形の係止孔32aが穿孔されるとともに先端部には固定片35が曲成されている。この固定片35は、腕片32に連続する基片35aの両端より先端が略V形に形成された係止片35bが後方へ垂下されて略コ字形に形成されており、基片35aの一端縁中央には取付ねじ78を逃がすための半円形の溝35cが形成されている。
【0026】
而して、ボディ20の前方より取付台23を跨ぐ形で固定片35を載置し、図16に示すように取付台23の両側面に形成されている段部23aに固定片35の係止片35bを係合させることでボディ20に取付枠30が取り付けられる。このとき、取付台23の嵌合凹部23bに嵌合させたナット79が取付枠30の固定片35(基片35a)とボディ20との間に挟持されることとなり、ナット79が嵌合凹部23bから脱落しないようになっている。そして、一対の脚片73の間に取付枠30の腕片32を挟む形で取付窓31の側から係止片75を腕片32の係止孔32aに挿入し、取付金具70の基端片71に設けられたねじ挿通孔72に前方より取付ねじ78を挿通し、上述のようにボディ20と取付枠30によって取付台23に固定されているナット79に取付ねじ78を螺合させることで取付金具70が取付枠30に取り付けられる。而して、取付ねじ78をナット79に締め込んでいくと取付ねじ78の頭部によって取付金具70の基端片71がボディ20(取付台23)に近付く方向へ移動するが、このとき基端片71に設けられた係止片75が取付枠30の腕片32の係止孔32aに形成されているために係止片75を支点として取付金具70が回動し、その結果、脚片73がボディ20の側方へ突出する向きに移動することで爪74を埋込ボックスの周面に食い込ませることができるものである。
【0027】
プレート40は、中央に略正方形の窓孔42が開口した略矩形枠状に形成された合成樹脂製のプレート本体41を有し、プレート本体41の前面が中央から外側に向けて後方へ傾斜する傾斜面となっている。プレート本体41の窓孔42はカバー10の外鍔部10bの外形とほぼ同じ形状及び寸法に形成され、その内周面には外鍔部10bに係止する係止段部43が全周に渡って形成されている。すなわち、プレート本体41で覆い隠すようにして取付枠30の前面側にプレート40を配置し、プレート40の窓孔42にカバー本体10aを前方から挿入し、窓孔42の係止段部43にカバー10の外鍔部10bを係止させた状態で組立ねじ2によりカバー10とボディ20を結合して器体1を組み立てることにより、プレート40がカバー10に対して係止固定されることになる。このように取付枠30をプレート40で覆うことによって造営面に見栄えよく配設することができるものである。
【0028】
上述のように構成される本実施形態の埋込型コンセントは、壁面などの造営面に設けられた埋込孔に以下の手順で施工される。
【0029】
まず、ボディ20に刃受部50、接地刃受部60、取付金具70並びに取付枠30が取り付けられた状態で刃受部50並びに接地刃受部60に、埋込孔から引き出した給電用の電線及び接地線をそれぞれ接続する。そして、埋込孔に埋め込まれている埋込ボックス(図示せず)に予め取り付けられているボックスねじ4をボックスねじ挿通孔33の大径部33aに挿通した状態でボディ20を埋込孔に挿入し、ボックスねじ4を大径部33aから小径部33bへ移動させるように取付枠30を回転させて取付枠30を仮固定する。この状態でボックスねじ4を締め付ければ、取付枠30を埋込ボックスに固定して造営面に取り付けることができる。ここで、埋込ボックスとしてボックスねじ4を取り付ける構造を備えていないもの(例えば、いわゆるC型ボックスなど)に対しては、取付枠30を造営面に位置決めした状態で取付ねじ78を締め込むことで取付金具70の爪74を埋込ボックスの周面に食い込ませることにより、取付枠30を埋込ボックスに取り付ければよい。
【0030】
次に取付枠30の前面にプレート40を被せ、さらに扉体80、復帰ばね81及び扉カバー82が取り付けられたカバー10のカバー本体10aをプレート40の窓孔42を通して取付枠30の取付窓31に挿入し、プレート40の係止段部43にカバー10の外鍔部10bを係止させる。このとき、図18及び図19に示すように取付枠30の前面に突出するボックスねじ2の頭部がカバー10に干渉することがないように、カバー10の外鍔部10bにはボックスねじ2の頭部を逃がすための凹部10cが各辺中央の後側に設けられている。なお、プレート40の係止段部43にもカバー10の凹部10cに沿った形状の凹部44が形成され、プレート40とボックスねじ2との干渉も防止している。ここで、凹部10cが外鍔部10bの各辺中央に設けられているため、衝撃等が加わって破損しやすい外鍔部10bの四隅の強度が低下することがないものである。また、取付金具70を使用しない場合には取付ねじ78の頭部とカバー本体10aが干渉する虞があるので、図2及び図3に示すようにカバー本体10aの後端部に取付ねじ78の頭部を逃がすための逃げ部14が凹設され、この逃げ部14によって取付ねじ78の頭部を逃がすことでカバー本体10aと取付ねじ78との干渉を防止している。
【0031】
最後にカバー10の凹所11底面のねじ挿通孔11cに前方から組立ねじ2を挿入し、ボディ20に固定されているリベット3のナット3aに螺合させることでカバー10とボディ20を結合して器体1を組み立てて施工が完了する。
【0032】
而して、本実施形態では、上述のように取付金具70に穿孔されたねじ挿通孔72に挿通する取付ねじ78と、ボディ20と取付枠30との間で挟持されてねじ挿通孔72に挿通された取付ねじ78が螺合するナット79とで取付金具70を取付枠30に取り付ける構造としたので、取付ねじ78が螺合するねじ孔が取付枠30に設けられていないことから、図17の展開図に示すように取付枠30の腕片32の長さ寸法を大きくできる。このため、取付枠30の前面からボディ20の前面までの距離を大きく採ることができ、造営面に露出する器体1の高さ寸法を従来例よりも小さくして見栄えをよくすることができる。
【0033】
なお、ボックスねじ2を締め付ける際に取付枠30が回動してしまう場合があるので、造営面に食い込んで取付枠30の回動を防止する回動防止爪38を取付枠30に設けることが望ましい。この回動防止爪38は、例えば、図20に示すように取付枠30の四隅に突設された略三角形の突起を後方へ折り曲げて形成されるか、あるいは図21に示すように位置決め凹部37の角を後方へ折り曲げて形成される。
【0034】
【発明の効果】
請求項1の発明は、造営面に設けられる埋込孔に器体の後部を挿入する形で配設される埋込型コンセントであって、プラグが嵌合する凹所を前面に有し凹所の底面にプラグの丸ピンが挿通されるピン挿入口が形成されたカバーと、ピン挿入口に挿入された丸ピンを受ける刃受部を保持し後側からカバーに結合されるボディとで器体が構成される埋込型コンセントにおいて、ピン挿入口を開閉自在に閉塞する扉体と、ピン挿入口を閉じる方向へ扉体を弾性付勢する復帰ばねと、扉体並びに復帰ばねを内側に収納してカバーの後面側に取り付けられる扉カバーとを備え、カバーに設けられた被係止部に係止する係止部が扉カバーに設けられるとともに、カバー並びに扉カバーを貫通してボディに螺合する組立ねじによりカバーとボディを結合してなり、カバーは、有底円筒形のカバー本体と、カバー本体の前面に形成された平面視略正方形の外鍔部とが一体に形成されてなり、プラグのプラグ本体が前方から嵌合される凹所がカバー本体前面に形成されるとともに凹所の底面に前記ピン挿入口が形成され、凹所底面の中央に前記組立ねじが挿通されるねじ挿通孔が貫設され、カバー本体の後面におけるねじ挿通孔の周囲に後方に突出する円筒形のボス部が形成され、ボス部の内周面に前記被係止部が内向きに突設されてなり、扉カバーは、前面が開口する矩形箱状に形成され、組立ねじが挿通される挿通孔が中央に設けられ、挿通孔の両側に丸ピンが挿通される一対の丸ピン挿通孔が設けられ、底面の挿通孔の周縁に互いに対向して前方へ突出し且つ撓み可能な一対の組立片が設けられ、当該組立片の先端部には外向きに突出する前記係止部が設けられるとともに内側周面には挿通孔と連続する溝が形成されてなるので、リベットのような別部品を使わずに扉カバーをカバーに取り付けることができて組立性の向上並びに部品手数の削減によるコストダウンが図れるという効果がある。
【0035】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記カバーに組立ねじの脱落を防止する脱落防止手段が設けられたので、組立ねじの脱落が防止でき、ひいては扉カバーがカバーから外れることも防止できるという効果がある。
【0036】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、少なくとも扉カバーをカバーに取り付けるまで復帰ばねを仮固定する仮固定用リブがカバーに設けられたので、扉カバーをカバーに取り付ける際の作業性の向上が図れるという効果がある。
【0037】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、仮固定用リブを補強する補強用リブがカバーに設けられたので、仮固定用リブの破損が防止できるという効果がある。
【0038】
請求項5の発明は、請求項3の発明において、仮固定用リブが復帰ばねに対して対称な位置にそれぞれ設けられたので、復帰ばねを扉カバー内に収納する方向が一方向に限定されないために組立性の向上が図れるという効果がある。
【0039】
請求項6の発明は、請求項1の発明において、カバー又は扉カバーの組立ねじ頭部と当接する部位がすり鉢状に形成されたので、組立ねじとして皿ねじを用いる場合に組立ねじの頭部の収まりがよくなり、カバーとボディを強固に結合することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同上におけるカバーの後方から見た斜視図である。
【図3】同上におけるカバー、ボディ、取付枠並びにプレートを示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図4】同上におけるカバー、扉体、復帰ばね、扉カバー並びにプレートを示し、(a)は正面図、(b)は同図(a)のX−X’線断面矢視図、(c)は同図(a)のY−Y’線断面矢視図である。
【図5】同上におけるカバーの要部を示す正面図である。
【図6】同上におけるカバー、扉体並びに復帰ばねの背面図である。
【図7】同上におけるカバー及び扉カバーの背面図である。
【図8】同上におけるカバー、扉体、復帰ばね並びに扉カバーの要部を示す断面図である。
【図9】同上におけるカバー、扉体、復帰ばね並びに扉カバーの要部を示す断面図である。
【図10】同上におけるカバー、扉体、復帰ばね、扉カバー並びに組立ねじの要部を示す断面図である。
【図11】同上におけるボディ、刃受部並びに接地刃受部を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図12】同上におけるボディ、刃受部並びに接地刃受部の他の構造を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図13】同上におけるボディ、刃受部並びに接地刃受部のさらに他の構造を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図14】同上におけるボディ、刃受部並びに接地刃受部の別の構造を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図15】同上におけるボディ、刃受部並びに接地刃受部のさらに別の構造を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図16】同上における取付枠及びボディを示し、(a)は正面図、(b)は下側面図、(c)は断面図、(d)は右側面図である。
【図17】同上における取付枠の展開図である。
【図18】同上におけるカバー、ボディ、取付枠並びにプレートを示す断面図である。
【図19】同上におけるカバーとプレートを示す一部省略した断面図である。
【図20】同上における取付枠及びボディの他の構造を示し、(a)は正面図、(b)は下側面図である。
【図21】同上における取付枠及びボディのさらに他の構造を示し、(a)は正面図、(b)は下側面図である。
【図22】プラグの斜視図である。
【図23】(a)はプラグの正面図、(b)はプラグの側面図、(c)はプラグの半断面図である。
【符号の説明】
10 カバー
10a カバー本体
11c ねじ挿通孔
11d ボス部
11f 被係止部
80 扉体
81 復帰ばね
82 扉カバー
85 組立片
85a 係止部
Claims (6)
- 造営面に設けられる埋込孔に器体の後部を挿入する形で配設される埋込型コンセントであって、プラグが嵌合する凹所を前面に有し凹所の底面にプラグの丸ピンが挿通されるピン挿入口が形成されたカバーと、ピン挿入口に挿入された丸ピンを受ける刃受部を保持し後側からカバーに結合されるボディとで器体が構成される埋込型コンセントにおいて、ピン挿入口を開閉自在に閉塞する扉体と、ピン挿入口を閉じる方向へ扉体を弾性付勢する復帰ばねと、扉体並びに復帰ばねを内側に収納してカバーの後面側に取り付けられる扉カバーとを備え、カバーに設けられた被係止部に係止する係止部が扉カバーに設けられるとともに、カバー並びに扉カバーを貫通してボディに螺合する組立ねじによりカバーとボディを結合してなり、カバーは、有底円筒形のカバー本体と、カバー本体の前面に形成された平面視略正方形の外鍔部とが一体に形成されてなり、プラグのプラグ本体が前方から嵌合される凹所がカバー本体前面に形成されるとともに凹所の底面に前記ピン挿入口が形成され、凹所底面の中央に前記組立ねじが挿通されるねじ挿通孔が貫設され、カバー本体の後面におけるねじ挿通孔の周囲に後方に突出する円筒形のボス部が形成され、ボス部の内周面に前記被係止部が内向きに突設されてなり、扉カバーは、前面が開口する矩形箱状に形成され、組立ねじが挿通される挿通孔が中央に設けられ、挿通孔の両側に丸ピンが挿通される一対の丸ピン挿通孔が設けられ、底面の挿通孔の周縁に互いに対向して前方へ突出し且つ撓み可能な一対の組立片が設けられ、当該組立片の先端部には外向きに突出する前記係止部が設けられるとともに内側周面には挿通孔と連続する溝が形成されてなることを特徴とする埋込型コンセント。
- 前記カバーに組立ねじの脱落を防止する脱落防止手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載の埋込型コンセント。
- 少なくとも扉カバーをカバーに取り付けるまで復帰ばねを仮固定する仮固定用リブがカバーに設けられたことを特徴とする請求項1記載の埋込型コンセント。
- 仮固定用リブを補強する補強用リブがカバーに設けられたことを特徴とする請求項3記載の埋込型コンセント。
- 仮固定用リブが復帰ばねに対して対称な位置にそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項3記載の埋込型コンセント。
- カバー又は扉カバーの組立ねじ頭部と当接する部位がすり鉢状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の埋込型コンセント。
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