JP3969303B2 - コンセントの刃受構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンセントの刃受構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図15及び図16に示すような丸ピン形の刃102を有するプラグ100が抜き差し自在に差込接続されるコンセントの刃受構造としては、弾性を有する平板状の金属板を略へ字形に折曲してなる一対のばね片を先端側で近づくように向かい合わせに配設したものが提供されている(特許文献1参照)。
【0003】
ところが上記従来の刃受構造は、平形の刃に対する刃受構造と同様にばね片が平板状であるため、丸ピン形の刃102との接触面積が平形の刃と比較して非常に小さくなっていた。
【0004】
そこで本発明者は、丸ピン形の刃102との接触面積を平形の刃と同程度まで大きくした刃受構造を既に提案している(特願2002−48817号参照)。
【0005】
上記先願に開示された従来の刃受構造は、図11(a)及び図12に示すように弾性を有する金属材料により長さに対して幅の細い帯状に形成された一対のばね片52,52を、互いに長手方向に沿って並行し且つ互いの対向方向に沿って撓み自在となるように端子片51の両端縁より曲げ起こしてなり、一対のばね片52,52の先端部近傍に、ばね片52の対向方向外向きに膨らむ弧状であってばね片52の幅方向(図12における上下方向)に沿って差し込まれるプラグ100の刃102の外周面に摺接する刃受部53を設け、端子片51並びにばね片52,52を刃受ブロック50として一体に形成してなる。なお、端子片51には端子ねじ(図示せず)を挿通する挿通孔51aが貫設されており、コンセントの外郭に固定されたナットに挿通孔51aに挿通した端子ねじを螺合することで刃受ブロック50をコンセントの外郭に取り付けるようになっている。
【0006】
而して、上記従来の刃受構造では、刃受部53を弧状に形成したことにより、平形の刃と比較して丸ピン形の刃102との接触面積を増大させることができるものである。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−185844号公報(第4−5頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、刃受部53,53に刃102を接続する際には、図12乃至図13に示すようにばね片52,52からの反力(復元力)に抗して刃102を挿入する必要があるが、ばね片52,52の反力が最も大きくなるのは刃受部53,53の幅方向略中央の支点Mを通過する直前である。しかしながら、上記従来の刃受構造では、図11(b)に示すように各ばね片52、52の刃受部53,53間の距離dが刃102の挿入向きに沿って均一であったため、刃102が上記支点Mを通過する時点におけるばね片52,52の撓み状態が刃102を誘い込み難いものとなっていた(図11(c)及び図13(b)参照)。
【0009】
また上記従来の刃受構造においては、ばね片52,52が過度に撓むのを防止するため、各ばね片52,52の先端部を対向方向外向きに折り曲げることによりばね片52,52が対向方向外向きに撓んだときにコンセントの外郭Xと当接する当接部54,54が設けてある(図11(a)及び図14参照)。しかしながら、当接部54,54がばね片52,52の幅方向略全域に形成されているため、刃102が上記支点Mを通過する前後において当接部54,54が外郭Xに当接してばね片52,52の撓みが規制され、刃102が上記支点Mを通過する時点におけるばね片52,52の撓み状態が刃102を誘い込み難いものとなっていた。
【0010】
このように刃102が上記支点Mを通過する時点におけるばね片52,52の撓み状態が刃102を誘い込み難いものとなっていたため、刃102の外周面と刃受部53,53との間に生じる摩擦力も大きくなり、刃受部53,53の刃102と摺接する面が荒れて摩擦抵抗が増大し、刃の挿入力及び保持力が過大になってプラグの抜き差しが困難になる虞があった。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、プラグの抜き差しが容易であり且つプラグの抜き差しを繰り返しても適切な挿入力及び保持力を保つことができるコンセントの刃受構造を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、丸ピン形の刃を有するプラグが抜き差し自在に差込接続されるコンセントの刃受構造であって、弾性を有する金属材料により長さに対して幅の細い帯状に形成された一対のばね片を、互いに長手方向に沿って並行し且つ互いの対向方向に沿って撓み自在となるように後端部でコンセントの外郭に固定し、一対のばね片の先端部近傍に、ばね片の対向方向外向きに膨らむ弧状であってばね片の幅方向に沿って差し込まれるプラグの刃の外周面に摺接する刃受部を設けるとともに、各ばね片の先端部における幅方向の一端側であり且つ刃の挿入向きに対する後端側に、ばね片が対向方向外向きに撓んだときにコンセントの外郭と当接する当接部を設けたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の刃受構造を、造営面に設けられる埋込孔に外郭の後部を挿入する形で配設される埋込形のコンセントに適用した実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
まず、本発明の実施形態を説明する前に、本実施形態と基本構成が共通である参考例について説明する。
図2乃至図4に示すように、本参考例のコンセントはカバー10とボディ20からなる外郭1と、埋込孔に埋め込まれた埋込ボックスに外郭1を取り付ける取付枠30と、取付枠30の前面を覆い隠すプレート40とを備える。
【0017】
カバー10は、有底円筒形のカバー本体10aと、カバー本体10aの前面に形成された平面視略正方形の外鍔部10bとが合成樹脂成形品として一体に形成されてなり、カバー本体10aの前面には、図15及び図16に示すプラグ100の円柱状のプラグ本体101が前方から嵌合される凹所11が形成され、凹所11の底面には、プラグ本体101から導出された一対の刃102が差し込まれる一対の挿入口11aが形成されている。また、凹所11の内周面には、円柱状のプラグ本体101の軸方向に平行して形成された一対の突条部103をガイドするための一対のガイド溝11bが形成されいる。さらに、凹所11の底面の中央には、カバー10とボディ20を結合して外郭1を組み立てる組立ねじ2が挿通されるねじ挿通孔11cが貫設され、カバー本体10aの後面におけるねじ挿通孔11cの周囲には後方に突出する円筒形のボス部11dが形成されている。
【0018】
ここで、プラグ100のプラグ本体101には一対の接地極104が設けてあり、カバー10の凹所11には、プラグ本体101の接地極104に接触する、略逆Ω形の接地刃受部60の両端部よりなる接触片62をカバー本体10aの後面側から凹所11内に引き込むとともに接触片62の移動空間を確保するためのスリット11eが形成されている。このスリット11eは凹所11の底面と内側面とにわたってL字状に形成されている。ここで、接地刃受部60の接触片62は、接地刃受部60の基端片61よりも細幅に形成されるとともに基端片61からの延出方向に沿って凹溝62aが形成されて可撓性を有するようになっている。また、一対の接触片62は、先端側が互いに近づく向きに付勢され凹所11の内周面から内方へ突出しているので、外郭1の前方からプラグ100のプラグ本体101が凹所11に嵌め込まれた時に、接地極104に当接して外方へ撓んだ状態で接地極104と確実に接触するようになっている。
【0019】
また、カバー本体10aの後面には一対の挿入口11aを開閉自在に閉塞する扉体80が配設される。扉体80は、ボス部11dが挿通される軸孔80bを有するリング部80aと、リング部80aの外側周縁より互いに外向きに延出された一対の翼片80cと、各翼片80cの前面に突出してカバー10の挿入口11aに進退自在に挿入される筒状の扉部80dとが合成樹脂成形品として一体に形成されている。なお、一対の扉部80dの前面は互いに反対向きに傾斜する傾斜面としてある。この扉体80は復帰ばね81とともに扉カバー82内に収納される。復帰ばね81はコイルばねからなり、リング部80aの軸孔80bに挿通されたボス部11dに外挿された状態で一方の端部81aが扉体80に固定されるとともに、他方の端部81bがカバー本体10aの後面に突設されている仮固定用リブ(図示せず)に係止されてカバー本体10aの後面に仮固定される。
【0020】
一方、扉カバー82は、合成樹脂により前面が開口する矩形箱状に形成され、組立ねじ2が挿通される挿通孔83が中央に設けられ、挿通孔83の両側に刃102が挿通される一対の挿通孔84が設けられている。扉カバー82底面の挿通孔83の周縁には互いに対向して前方へ突出する一対の組立片85が形成されている。組立片85は、外向きに突出する係止部85aが先端部に設けられ、内側周面には挿通孔83と連続する溝(図示せず)が形成されている。また、扉カバー82の内側には挿通孔83を挟んで対向する位置に一対のリブ86が設けられており、カバー本体10aに扉カバー82が取り付けられたときに仮固定用リブとリブ86との間に復帰ばね81の端部81bが挟み込まれて固定されるようになっている。
【0021】
而して、プラグ100の刃102が挿入されていない状態では、図3に示すように復帰ばね81によって扉体80がカバー本体10aの方へ付勢されているので、扉体80の扉部80dがカバー本体10aの挿入口11aに後方から挿入されて閉塞することとなり、挿入口11aから異物が侵入するのを防ぐことができる。そして、プラグ100の接続時には挿入口11aに挿入される刃102によって扉部80dに後方への押圧力が作用し、復帰ばね81のばね力に抗して扉体80が後方へ移動し、扉部80dが挿入口11aから退出することになる。その結果、扉体80がボス部11dの周りに回動可能となり、刃102から受ける押圧力によって復帰ばね81のばね力に抗して扉体80が回動し、扉部80dの位置がずれて挿入口11aが開放されるから、刃102を扉カバー82の挿通孔84を通して後方へ進出させ、ボディ20前面に取り付けられた刃受部53に接続させることができる。ここで、扉部80dの前面を傾斜面としているので、刃102から押圧力を受けたときに傾斜面によって回動方向の力を扉体80に作用させることができ、扉体80をスムーズに回動させることができる。なお、刃102が挿入口11aから抜かれてしまえば、復帰ばね81のばね力によって扉体80が回動するとともにカバー本体10aの方へ移動し、扉部80dが挿入口11aに挿入される位置(復帰位置)に復帰して挿入口11aが閉塞されることになる。
【0022】
ボディ20は合成樹脂成形品からなり、前面に間隔を空けて突設された2つの隔絶壁21によって3つの部位に区画されている。2つの隔絶壁21に挟まれた中央部位には、組立ねじ2に螺合する矩形のナット3aを一端部に具備したリベット3を取り付けるためのリベット取付孔20aが貫設され、リベット取付孔20aの両側には接地刃受部60に接地線を接続するための端子ねじ63に螺合するナット64が嵌合する嵌合凹部20bが設けられるとともに嵌合凹部20bの中心には端子ねじ63の先端が挿入される孔20cが設けられている。接地刃受部60の基端片61の長手方向中央にはリベット3が挿通する挿通孔61aが貫設され、挿通孔61aを挟んだ基端片61の両端部近傍には端子ねじ63が挿通する挿通孔61bが貫設されている。すなわち、ボディ20の後方よりリベット取付孔20aに挿通したリベット3を基端片61の挿通孔61bに挿通してかしめることによって接地刃受部60がボディ20に取り付けられ、さらに、前方からカバー10のねじ挿通孔11cに挿通した組立ねじ2を基端片61の挿通孔61aに挿通し、ボディ20のリベット取付孔20aに取り付けられたリベット3のナット3aに組立ねじ2を螺合することによりカバー10とボディ20が結合されて外郭1が組み立てられるものである。
【0023】
一方、上記中央部位を挟んだボディ20前面の両端部位は、本発明に係る刃受構造を有した刃受ブロック50がそれぞれ収納される収納室22となっている。ここで、刃受ブロック50は基本的に従来例のものと共通の構造を有しているので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0024】
収納室22の一端側には端子ねじ58と螺合するナット59が嵌合する嵌合凹部22aと、ばね片52,52の先端部がボディ20前面に沿った方向から挿入される挿入溝22cとが設けられ、嵌合凹部22aの底面には端子ねじ58が挿通する挿通孔22bが設けられている。すなわち、嵌合凹部22aが設けられている側の端部からボディ20前面に沿って刃受ブロック50を収納室22内に挿入すると、ばね片52,52の先端部が挿入溝22cに挿入されることで前方向(図5における上方向)への刃受ブロック50の抜け止めがなされ、一方のばね片52の基端縁に設けられた係止突起55がボディ20に係止することで挿入向きへの刃受ブロック50の移動が規制され、さらに、前方より挿通した端子ねじ58を嵌合凹部22aに嵌合させたナット59に螺合させることで反挿入向きへの刃受ブロック50の移動が規制されて刃受ブロック50が収納室22内に収納される。
【0025】
また、ボディ20の両側面には取付枠30並びに取付金具70を取り付けるための取付台23がそれぞれ側方へ突設されており、取付台23と収納室22との間には刃受ブロック50と取付枠30及び取付金具70との絶縁距離を確保するための隔壁24が立設されている。取付台23は、後述するように取付枠30に設けられた係止片35bが係合する段部23aが両側面にそれぞれ形成され、取付金具70を取り付けるための取付ねじ78が螺合するナット79が嵌合する嵌合凹部23bが前面に設けられるとともに、嵌合凹部23bの中央には取付ねじ78が挿入される孔23cが設けられている。取付金具70は略コ字形であって、中央部に取付ねじ78が挿通されるねじ挿通孔72が穿孔された矩形板状の基端片71の両端部から延設された両脚片73のそれぞれの先端部に爪74が形成され、基端片71の端縁には取付枠30の係止孔32aに挿入係止される係止片75が突設されてなり、例えば、C型ボックスと呼ばれる合成樹脂製の埋込ボックスの内周面に爪74を食い込ませて取付枠30を固定するものである。
【0026】
次に取付枠30について説明する。取付枠30は金属製であって、中央に円形の取付窓31が開口する矩形平板状に形成され、取付窓31の周縁から後方へ一対の腕片32が垂下されている。取付枠30の各辺には互いに嵌合可能な形状及び寸法とした位置決め突部36並びに位置決め凹部37がそれぞれ形成されており、複数の取付枠30を並設する場合に隣接する取付枠30の位置決め突部36と位置決め凹部37を嵌合させることで両者の位置決めが行えるようにしてある。また、取付枠30には円形の大径部33aと大径部33aよりも幅狭で一端において大径部33aに連続する弧状の小径部33bからなるボックスねじ挿通孔33が4つの辺の中央に貫設されている。さらに取付窓31の周縁には、取付枠30を接地刃受部60に接続する場合に電線が接続される一対の接続タブ34が突設されている。腕片32には取付金具70の係止片75が挿入係止される矩形の係止孔32aが穿孔されるとともに先端部には固定片35が曲成されている。この固定片35は、腕片32に連続する基片35aの両端より先端が略V形に形成された係止片35bが後方へ垂下されて略コ字形に形成されており、基片35aの一端縁中央には取付ねじ78を逃がすための半円形の溝35cが形成されている。
【0027】
而して、ボディ20の前方より取付台23を跨ぐ形で固定片35を載置し、取付台23の両側面に形成されている段部23aに固定片35の係止片35bを係合させることでボディ20に取付枠30が取り付けられる。このとき、取付台23の嵌合凹部23bに嵌合させたナット79が取付枠30の固定片35(基片35a)とボディ20との間に挟持されることとなり、ナット79が嵌合凹部23bから脱落しないようになっている。そして、一対の脚片73の間に取付枠30の腕片32を挟む形で取付窓31の側から係止片75を腕片32の係止孔32aに挿入し、取付金具70の基端片71に設けられたねじ挿通孔72に前方より取付ねじ78を挿通し、上述のようにボディ20と取付枠30によって取付台23に固定されているナット79に取付ねじ78を螺合させることで取付金具70が取付枠30に取り付けられる。而して、取付ねじ78をナット79に締め込んでいくと取付ねじ78の頭部によって取付金具70の基端片71がボディ20(取付台23)に近付く方向へ移動するが、このとき基端片71に設けられた係止片75が取付枠30の腕片32の係止孔32aに係止されているために係止片75を支点として取付金具70が回動し、その結果、脚片73がボディ20の側方へ突出する向きに移動することで爪74を埋込ボックスの周面に食い込ませることができるものである。
【0028】
プレート40は、中央に略正方形の窓孔42が開口した略矩形枠状に形成された合成樹脂製のプレート本体41を有し、プレート本体41の前面が中央から外側に向けて後方へ傾斜する傾斜面となっている。プレート本体41の窓孔42はカバー10の外鍔部10bの外形とほぼ同じ形状及び寸法に形成され、その内周面には外鍔部10bに係止する係止段部43が全周に渡って形成されている。すなわち、プレート本体41で覆い隠すようにして取付枠30の前面側にプレート40を配置し、プレート40の窓孔42にカバー本体10aを前方から挿入し、窓孔42の係止段部43にカバー10の外鍔部10bを係止させた状態で組立ねじ2によりカバー10とボディ20を結合して外郭1を組み立てることにより、プレート40がカバー10に対して係止固定されることになる。このように取付枠30をプレート40で覆うことによって造営面に見栄えよく配設することができるものである。なお、取付枠30の前面に突出するボックスねじの頭部がカバー10に干渉することがないように、カバー10の外鍔部10bにはボックスねじの頭部を逃がすための凹部10cが各辺中央の後側に設けられており、プレート40の係止段部43にはカバー10の凹部10cに沿った形状の凹部44が形成され、プレート40とボックスねじとの干渉も防止している。
【0029】
次に、本発明の要旨である刃受ブロック50の構造について説明する。
【0030】
本参考例の刃受ブロック50が従来のものと異なる点は、図1に示すように各ばね片52,52の刃受部53,53間の距離を刃102の挿入向き(図1における下向き)に沿って徐々に大きくした点にある。すなわち、各ばね片52,52の幅方向の一端側であり且つ刃102の挿入向きに対する後端側(図1における上側)における刃受部53,53の距離の最小値dminは従来の刃受部53,53間の距離dと同一であるが、ばね片52,52の幅方向の他端側(図1における下側)における刃受部53,53の距離の最大値dmaxを最小値dminよりも大きくなるように刃受部53,53を外側に傾斜させている。
【0031】
而して、図1(b)に示すようにばね片52,52の反力が最も大きくなる刃受部53,53の支点Mを刃102が通過する時点におけるばね片52,52の撓み状態が、図11(c)に示す従来の撓み状態に比較して刃102を誘い込み易いものとなる。このように本参考例では、刃102が上記支点Mを通過する時点におけるばね片52,52の撓み状態が刃102を誘い込み易いものとなるから、刃102の外周面と刃受部53,53との間に生じる摩擦力が小さくなり、刃受部53,53の刃102と摺接する面が荒れにくくなって摩擦抵抗の増大が抑制できる。その結果、プラグ100の抜き差しが容易になるとともに、プラグ100の抜き差しを繰り返しても適切な挿入力及び保持力を保つことができる。
【0032】
ところで、刃受部53,53の距離の最小値dminを従来の刃受部53,53間の距離dと同一とした場合、従来例に比較して刃受部53,53の保持力が低下する傾向にあるから、図6(a)に示すように刃受部53,53の距離の最小値dminを従来の刃受部53,53間の距離dよりも小さくすることが望ましい。具体的には、従来の刃受部53,53間の距離dは刃102の外径(直径)の約0.7倍とされていたが、例えば、刃受部53,53間の距離の最小値dminを刃102の外径の約0.6倍とし、刃受部53,53間の距離の最大値dmaxを刃102の外径の約0.8倍とすればよい。このようにすれば、刃102の挿入し始めにおけるばね片52,52の変形量が増えて従来例と同程度の保持力が得られるようになる。また、刃102を刃受部53,53に挿入した当初には従来よりも大きな挿入抵抗がかかり、刃102を挿入するにつれて従来例よりも挿入抵抗が低下するから、プラグ100を差し込むときの感触やクリック感が従来よりも大きく感じられるようになり、プラグ100の差込完了の感触が明確に分かるようになるとともに差込時の感触が向上するという利点がある。
【0033】
(実施形態)
本実施形態の刃受構造を図7乃至図10を参照して詳細に説明する。但し、本実施形態における刃受ブロック50の構造は基本的に従来例と共通であるから、共通する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、刃受ブロック50以外のコンセントの構造については参考例と同一であるから図示並びに説明を省略する。
【0034】
すなわち、図12に示した従来の刃受構造においては、ばね片52,52が過度に撓むのを防止するための当接部54,54がばね片52,52の幅方向(図12における上下方向)の略全域に形成されていた。これに対して本実施形態では、図7に示すように各ばね片32,32の先端部における幅方向(図7の上下方向)の一端側であり且つ刃102の挿入向きに対する後端側(図7の上側)にのみ当接部54,54が設けてある。この当接部54,54は略三角形状に形成されており、外郭1に対しては先端のごく狭い範囲でのみ当接することになる。
【0035】
而して、上記従来の刃受構造では当接部54,54がばね片52,52の幅方向略全域に形成されているために刃102が刃受部53,53の支点Mを通過する前後において当接部54,54が外郭1に当接してばね片52,52の撓みが規制され、刃102が上記支点Mを通過する時点におけるばね片52,52の撓み状態が刃102を誘い込み難いものとなっていた。これに対して本実施形態では当接部54,54の当接範囲を狭く且つ刃102の挿入向きに対する後端側のみに限定したため、図8乃至図10に示すように刃102が刃受部53,53の間に挿入されて支点Mを通過する前に当接部54,54が外郭1に当接してばね片52,52の撓みが規制されるが、さらに刃102を挿入して支点Mを超えれば、支点Mより先(図10及び図11における下方)のばね片52,52の端部は当接部54,54による撓み規制がなくなるから(図10(c)参照)、ばね片52,52の撓む向きが滑らかに反転することになる。このため、ばね片52,52の撓み状態が従来例に比較して刃102を誘い込み易いものとなり、プラグ100の抜き差しが容易になるとともにプラグ100の抜き差しを繰り返しても適切な挿入力及び保持力を保つことができる。
【0036】
なお、本実施形態の当接部54と参考例の刃受部53を両方備えた刃受構造とすれば、それぞれを単独で備える場合に比較して、プラグ100の抜き差しが一層容易になるとともにプラグ100の抜き差しを繰り返しても適切な挿入力及び保持力をさらに確実に保つことができる。
【0037】
【発明の効果】
請求項1の発明は、丸ピン形の刃を有するプラグが抜き差し自在に差込接続されるコンセントの刃受構造であって、弾性を有する金属材料により長さに対して幅の細い帯状に形成された一対のばね片を、互いに長手方向に沿って並行し且つ互いの対向方向に沿って撓み自在となるように後端部でコンセントの外郭に固定し、一対のばね片の先端部近傍に、ばね片の対向方向外向きに膨らむ弧状であってばね片の幅方向に沿って差し込まれるプラグの刃の外周面に摺接する刃受部を設けるとともに、各ばね片の先端部における幅方向の一端側であり且つ刃の挿入向きに対する後端側に、ばね片が対向方向外向きに撓んだときにコンセントの外郭と当接する当接部を設けたことを特徴とし、ばね片の反力が最も大きくなる支点をプラグの刃が通過する前は当接部がコンセントの外郭に当接してばね片の撓みが規制されるが、支点より先のばね片の端部は当接部による撓み規制がなくなるため、ばね片の撓み状態が従来例に比較して刃を誘い込み易いものとなる。その結果、プラグの抜き差しが容易になるとともに、プラグの抜き差しを繰り返しても適切な挿入力及び保持力を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例の刃受構造を示し、(a)は刃を挿入する前の刃受部の断面図、(b)は刃の挿入途中における刃受部の断面図である。
【図2】 同上を用いたコンセントの分解斜視図である。
【図3】 同上のコンセントを示し、(a)は正面図、(b)は半断面図である。
【図4】 同上のコンセントの斜視図である。
【図5】 同上のコンセントのボディ並びに取付枠の正面図である。
【図6】 同上の刃受構造を示し、(a)は刃を挿入する前の刃受部の断面図、(b)は刃の挿入途中における刃受部の断面図である。
【図7】 実施形態の刃受ブロックを示す一部省略した斜視図である。
【図8】 同上の刃受ブロック全体の動作説明図である。
【図9】 同上の刃受部の動作説明図である。
【図10】 同上の当接部の動作説明図である。
【図11】 従来の刃受構造を示し、(a)は刃受ブロックの平面図、(b)は刃を挿入する前の刃受部の断面図、(c)は刃の挿入途中における刃受部の断面図である。
【図12】 同上の刃受ブロック全体の動作説明図である。
【図13】 同上の刃受部の動作説明図である。
【図14】 同上の説明図である。
【図15】 丸ピン形の刃を有するプラグの斜視図である。
【図16】 同上のプラグを示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は半断面図である。
【符号の説明】
50 刃受ブロック
52 ばね片
53 刃受部
102 刃
Claims (1)
- 丸ピン形の刃を有するプラグが抜き差し自在に差込接続されるコンセントの刃受構造であって、弾性を有する金属材料により長さに対して幅の細い帯状に形成された一対のばね片を、互いに長手方向に沿って並行し且つ互いの対向方向に沿って撓み自在となるように後端部でコンセントの外郭に固定し、一対のばね片の先端部近傍に、ばね片の対向方向外向きに膨らむ弧状であってばね片の幅方向に沿って差し込まれるプラグの刃の外周面に摺接する刃受部を設けるとともに、各ばね片の先端部における幅方向の一端側であり且つ刃の挿入向きに対する後端側に、ばね片が対向方向外向きに撓んだときにコンセントの外郭と当接する当接部を設けたことを特徴とするコンセントの刃受構造。
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