JP4081935B2 - 作業車両のスロットル制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、農業用トラクタや田植機、芝刈機といった作業車両のスロットル制御装置に関し、特にリフトアームの上昇時にスロットル位置を減速側に変更するスロットル制御装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】
従来、農業用トラクタ等には、燃費の向上や安全走行を目的として、リフトアームの上昇時にスロットル位置を減速側に変更するスロットル制御装置が知られている。
【0003】
しかしながら、前記従来装置の構成は、スロットル位置を減速させる手段として、電動モータや電子ガバナ、更にはこれらを制御するコントローラや各種センサといった電気制御部品を備えた構成となっている為、生産コストが高くつくという課題があった。また、作業時のスロットルアームの位置、即ちエンジン回転数は作業状態や種類により夫れ夫れ異なるため、前記スロットルレバーとスロットルアーム、及びフトアームをロッドやワイヤー等、メカ式に連携する場合、特にスロットルレバーを独自に操作できる構成が必要であり、この任意に設定したスロットル位置からリフトアームの状態に連動させて、スロットル位置を変更する構成が好ましい。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を鑑みて作業車両のスロットル制御装置を以下のように構成した。即ち、エンジンのスロットル位置を保持するスロットルレバー(1)とエンジン側部に設けたスロットルアーム(2)とを中央部を回転自在に支持した第一プレート(3)の両端部にワイヤーを介して互いに接続し、前記第一プレート(3)の回転軸(4)を、この回転軸(4)と偏心位置させた軸(6)を中心に回転する第二プレート(5)上に設けると共に、この第二プレート(5)には、前記スロットルアーム(2)をスロットル減速側へ回動させるべく付勢する付勢部材(7)、及び第二プレート(5)近傍でリフトアーム(25)の昇降作動をワイヤーにより伝達して回転する第三プレート(9)との被当接部(5a)を設け、更に前記第三プレート(9)には、前記第二プレート(5)の被当接部(5a)に当接し、且つリフトアーム(25)が下降位置にあるときには、前記付勢部材 7)の付勢力に抗して第二プレート(5)をスロットル増速側に回動させる当接部(9a)を設けた作業車両のスロットル制御装置において、前記第二プレート(5)の近傍には、カム面(8a)を有するロックプレート(8)を設け、前記カム面(8a)が前記被当接部(5a)に当接して前記第三プレート(9)の回転に関わらず第二プレート(5)を一定状態に保持する状態と、前記カム面(8a)が前記被当接部(5a)から離れる状態とに切り替えるスロットル制御入切レバー(45)を設けてなる作業車両のスロットル制御装置とする。
【0005】
【0006】
【発明の効果】
以上のように構成した作業車両のスロットル制御装置は、スロットルレバー1、スロットルアーム2及びリフトアーム25ワイヤーやプレート部材により連動する構成としたので、前記従来と比較して生産コストを安く抑えることができる。また、第一プレート3を第二プレート5上に回転支持し、更に、この第二プレート5を、リフトアームの作動に連動する第三プレート9に当接して回動する構成としたので、スロットルレバー1の操作は、常にワイヤー、第一プレート3、ワイヤ、スロットルアーム2と伝達されてスロットル位置を設定することができ、この設定位置から、リフトアーム25の作動に連動してスロットル位置を変更することができる。
また、前記第二プレート5の近傍には、カム面8aを有するロックプレート8を設け、前記カム面8aが前記被当接部5aに当接して前記第三プレート9の回転に関わらず第二プレート5を一定状態に保持する状態と、前記カム面8aが前記被当接部5aから離れる状態とに切り替えるスロットル制御入切レバー45を設けたから、該レバー45操作によって、第二プレート5のプレート当接部5aと、ロックプレート8のカム面8aとを当接させると、ロックプレート8は、制御を切とする。従って、前記リフトアーム25を昇降作動し、前記第三プレート9が回転しても、第二プレート5は常に一定状態を保持でき、スロットルアーム2は前記スロットルレバー1の操作に従ってのみ回動できる。第二プレート5のプレート当接部5aと、ロックプレート8のカム面8aとを離すと、前記第三プレート9の当接によって第二プレート5が回動してスロットル位置を変更できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態として、農業用トラクタのスロットル制御装置について説明する。
【0008】
トラクタ10は、図1に示すように、ボンネット11内部にディーゼルエンジン12を備え、このエンジン12の回転動力をミッションケース13内の各種変速装置にて適宜減速した後、後輪14、または前後輪15,14へ伝達して走行する構成となっている。また前記エンジン12の側部には、メカ式のガバナ装置15を設け、同ガバナ装置15内のコントロールラック位置を後述するスロットルアーム2を前後に回転することでスロットル位置、即ちエンジン回転数を調整する構成となっている。
【0009】
前記ボンネット11の後部には、各種計器を備えたメータパネル18と、ステアリングハンドル16を突出するハンドルポスト17を設け、このステアリングハンドル16下方には左右後輪14を独立して制動するブレーキペダル19やアクセルペダル等を設けている。そして、このハンドルポスト17側面からは、スロットルレバー1を突出して設け、この回動基部に摩擦部材を介在させてオペレータのスロットル設定位置を保持する構成となっている。
【0010】
また更に、操縦席20側方には、前記変速装置の変速位置を切り替える変速レバーや、後部に連結する作業機の高さを設定するポジションレバー21等を設けている。
【0011】
ミッションケース13後部には、作業機昇降用油圧シリンダ22を内装するシリンダケース23を備え、前記シリンダ22のピストン伸縮によりケース左右に支持するリフトアーム25を上下回動する構成となっている。また、車体後部には、トップリンクと左右のロワーリンクからなる3点リンク機構(図示省略)を設け、同リンク機構に各種作業機を連結する構成となっている。また、前記リフトアーム25の片側には、この回動基部にリフトアーム角センサを設け、コントローラでは、ポジションレバー21の検出角度とリフトアーム25の設定角度とを一致させるように、作業機上昇用制御弁のソレノイド、或いは作業機下降用制御弁のソレノイドへ通電し作業機を昇降する構成となっている。
【0012】
次に、図2乃至図5に基づいて、前記ハンドルポスト17内に設けたトラクタ10のスロットル調整装置26について説明する。ハンドルポスト17は、プラスチック製の中空部材で、この下端部をフロア24の前部に立設して設け、その前部を前記ボンネット11後端部に接続して設けている。
【0013】
そして内部略中ほどの高さに、この中空部を上下に仕切きる略水平状の基板30を設け、同基板30上にスロットル制御装置26を設ける構成となっている。基板30には、図2に示すように、中心やや右側にスロットルレバー1に接続したプッシュプル式の第一ワイヤー31、及び前記エンジン側部のスロットルアーム2に接続したプッシュプル式の第二ワイヤー32を保持する保持片33を設けている。また、同基板30の中心やや前部左側には、リフトアーム25と接続したプッシュプル式の第三ワイヤー34と、後述する第二プレート5の回動位置を規制するストッパボルト35を保持する保持片36を設けている。
【0014】
また、前記両保持片33,36間には、後述する第二プレート5と第三プレート9の回転軸(第二プレート回転軸6、第三プレート回転軸38)を設けている。
【0015】
第二プレート5は、平面視略「ト」の字形状のプレートで、この前端部を前記第二プレート回転軸6に支持している。そして第二プレート5は、プレート後部に前記ストッパボルト35を当接するストッパ当接部5bと、第三プレート9のカム面9aを当接する被当接部となるプレート当接部5aとを立上げて形成すると共に、第二プレート5前部には、前記第二プレート回転軸6と偏心位置させた第一プレート回転軸4を設けている。
【0016】
また、第二プレート5の前部には、前記保持片33との間に亘って、スロットルアーム2がスロットル減速側へ回動すべく同プレート5を図中右方向に回転させる付勢部材であるスプリング7を設けている。
【0017】
前記第三プレート9は、平面視「卵」型のプレート9で、この中心部を第三プレート回転軸38に支持している。そしてこの後端部にプッシュプル式の第三ワイヤー34を接続して設け、リフトアーム25の回動操作を伝達して、同プレート9を回転する構成となっている。またプレート9の一側面には前記第二プレート5の当接部5aと当接する当接部(以下、カム面9a)を形成している。
【0018】
尚、第三プレート9の上方には、図2の(B)に示すように、第三プレート回転軸38を共用して支持する同一形状のプレート(以下、ロックプレート8)を設け、後述する制御入切レバー45の回動操作によって、前記第三プレート9とは独立して回転する構成となっている。
【0019】
前記第一プレート3は、平面視長方形のプレートで、この中心部を前記一プレート回転軸4に貫通支持し、前端部に第一ワイヤー31を、後端部に第二ワイヤー32を接続して設けている。
【0020】
これによりトラクタ10のスロットル位置を設定するときには、前記スロットルレバー1を前後に操作することで、第一ワイヤー31、第一プレート3、第二ワイヤー32を介してスロットルアーム2を前後に移動させる。即ち、レバー1を後方(図3中矢印イ側)に回動させるとスロットルアーム2をスロットル開度を広げる側(図中矢印ロ側)に回動する。反対に、レバー1を前方(図2中反矢印イ側)に回動させるとスロットルアーム2をスロットル開度を狭める側(図2中反矢印イ側)に回動する。
【0021】
また前記第二プレート5の上方のロックプレート8は、図5に示すように、スロットル制御入切レバー45を接続するリンクプレート46の一部を回転自在に設け、同レバー46を左右に回動操作することで、リンクプレート46を介して前記ロックプレート8の回転位置を変更する構成となっている。
【0022】
尚、前記ロックプレート8はスプリング39により常に、図中前後長手方向に付勢されており、リンクプレート46により回転により支点越えして、前記左右長手方向に回転する構成となっている。また、スロットル制御入切レバー45は、ハンドルポスト17の背面部より突出して設けた構成となっている。
【0023】
次に、トラクタ10のスロットル制御装置26の作用を説明する。最初に同制御装置を「切」とするときには、図6中(A)のように、スロットル制御入切レバー45を左側へ回動させることで、リンクプレート46を介しロックプレート8を前後長手方向に位置させる。これにより、第二プレート5のプレート当接部5aと、ロックプレート8のカム面8aとが当接し、ロックプレート8は、常に前後長手方向に保持される。従って、前記リフトアーム25を昇降作動し、前記第三プレート9が回転しても、第二プレート5は常に一定状態を保持し、スロットルアーム2は前記スロットルレバー1の操作に従ってのみ回動する。
【0024】
また、スロットル制御装置を「入」とするときには、図中(B)のように、ロットル制御入切レバー45を右側へ回動させることで、リンクプレート46を介しロックプレート8を左右長手方向に位置させる。これにより、第二プレート5のプレート当接部5aと、ロックプレート8のカム面8aとが離れる。これにより、第二プレートは、前記第三プレートの当接状態によって回動する状態となる。
【0025】
従って、この状態で前記リフトアーム25が下降位置となると、第二プレート5のプレート当接部5aと、第三プレート9のカム面9aが当接するので、第三プレート9が第二プレート5を図中反時計回りに回転させ、スロットルアーム2をエンジン回転増速側へ回動する。
【0026】
一方、リフトアーム25が上昇位置となると、前記当接部5aとカム面9aが離れて、第二プレート5は前記スプリング7の付勢力により時計回りに回転し、結果的にスロットルアーム2をエンジン回転減速側へ回動する。
【0027】
以上のように構成したトラクタ10のスロットル制御装置26は、スロットルレバー1、スロットルアーム2及びリフトアーム25とをワイヤ31,32…やプレート部材3,5,9により連動する構成としたので、前記従来の電子制御部品を用いた構成と比較して生産コストを安く抑えることができる。また、第一プレート3を第二プレート5上に回転支持し、更に、この第二プレート5を、リフトアーム25の作動に連動する第三プレート9に当接して回動する構成としたので、スロットルレバー1の操作は、常に第一ワイヤ31、第一プレート3、第二ワイヤ32、スロットルアーム2と伝達されてスロットル位置を設定することができ、この設定位置から、リフトアーム25の作動に連動してスロットル位置を変更、即ちエンジン回転数を調整することができる。
【0028】
また、スロットル制御装置26をハンドルポスト内の水平基板30上に設けたので、これら構成部材が集中し、生産時の組付けや市場でのメンテナンスが容易である上、雨水や泥に曝されることを防止し、同装置26の耐久性を損なうことが無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの全体側面図。
【図2】(A)スロットル制御装置の平面図。(B)スロットル制御装置の一部正面図。
【図3】リフトアーム下降時のスロットル制御装置の作用を示す図。
【図4】リフトアーム上昇時のスロットル制御装置の作用を示す図。
【図5】(A)制御入切レバーが制御「切」位置にあるときのスロットル制御装置の一部平面図。(B)制御入切レバーが制御「入」位置にあるときのスロットル制御装置の一部平面図。
【符号の説明】
1 スロットルレバー
2 スロットルアーム
3 第一プレート
4 第一プレート回転軸
5 第二プレート
6 第二プレート回転軸
7 スプリング
8 ロックプレート
8a カム面
9 第三プレート
45 スロットル制御入切レバー

Claims (1)

  1. エンジンのスロットル位置を保持するスロットルレバー(1)とエンジン側部に設けたスロットルアーム(2)とを中央部を回転自在に支持した第一プレート(3)の両端部にワイヤーを介して互いに接続し、前記第一プレート(3)の回転軸(4)を、この回転軸(4)と偏心位置させた軸(6)を中心に回転する第二プレート(5)上に設けると共に、この第二プレート(5)には、前記スロットルアーム(2)をスロットル減速側へ回動させるべく付勢する付勢部材(7)、及び第二プレート(5)近傍でリフトアーム(25)の昇降作動をワイヤーにより伝達して回転する第三プレート(9)との被当接部(5a)を設け、更に前記第三プレート(9)には、前記第二プレート(5)の被当接部(5a)に当接し、且つリフトアーム(25)が下降位置にあるときには、前記付勢部材(7)の付勢力に抗して第二プレート(5)をスロットル増速側に回動させる当接部(9a)を設けた作業車両のスロットル制御装置において、前記第二プレート(5)の近傍には、カム面(8a)を有するロックプレート(8)を設け、前記カム面(8a)が前記被当接部(5a)に当接して前記第三プレート(9)の回転に関わらず第二プレート(5)を一定状態に保持する状態と、前記カム面(8a)が前記被当接部(5a)から離れる状態とに切り替えるスロットル制御入切レバー(45)を設けてなる作業車両のスロットル制御装置。
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