JP4081590B2 - プライマリー型摺動絞り弁型気化器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、内燃機関へ供給する混合気の量及び濃度を調整、制御する気化器に関し、そのうち特に燃料をエアブリードしないで主ノズルまで流し、主ノズルより吸出される燃料に向けてその外周より主空気を供給するプライマリー型摺動絞り弁型気化器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のプライマリー型摺動絞り弁型気化器について図7により説明する。
1は内部を側方に吸気路2が貫通する気化器本体であり、吸気路2の中間部より上方に向かって絞り弁案内筒2Aが連設される。
3は前記絞り弁案内筒2A内に移動自在に配置され、吸気路2を開閉する摺動絞り弁であり、この底部にはジェットニードル4が取着される。
又、気化器本体1の下方凹部と、それに臨んで配置される浮子室本体5とによって浮子室6が形成され、該浮子室内にはフロート、バルブシート、フロートバルブの協同作用によって一定なる燃料液面が形成される。
そして、主燃料系統Mは以下により形成される。
7は上端が吸気路2に開口する環状空気通路であって吸気路2に開口する主ノズル8の外周を囲繞して形成され、この環状空気通路7には大気に連なる主空気通路9が開口する。
又、前記主ノズル8の下端は燃料液面より下方位置にある主燃料ジェット10に連なる。
更に又、11は吸気路2に開口する環状空気通路7のエアクリーナ側Aに突起して半円状に形成されるスクリーンノズルである。
尚、前記ジェットニードル4は主ノズル8内に挿入して配置される。
【0003】
かかる従来のプライマリー型摺動絞り弁型気化器において、機関が運転されて吸気路2内に生起する負圧が主ノズル8の開口に作用すると、浮子室6内の燃料は、主燃料ジェット10、ジェットニードル4と主ノズル8とによって形成される間隙を介して吸気路2内へ吸出され、この燃料は同様に環状空気通路7より吸気路2内へ吸出される空気と混合される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来のプライマリー型摺動絞り弁型気化器において、特に主燃料系統Mより機関に向けて供給される混合気濃度は、セッティング要素としての主ノズル8、ジェットニードル4、主燃料ジェット8、主空気通路9、スクリーンノズル11によって調整することが可能なものであるが、種々の排気量を有する機関、あるいはさまざまな用途に対応するには、前記セッティング要素が多いことが好ましい。
【0005】
本発明になるプライマリー型摺動絞り弁型気化器は前記不具合に鑑み成されたもので、従来の気化器構造を大きく変えることなく特に主燃料系統Mのセッティング要素を増すことによって、種々の排気量を有する機関、さまざまな用途に対応し得るプライマリー型摺動絞り弁型気化器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を達成する為の手段】
前記目的達成の為に、上端が吸気路に環状をもって開口する環状空気通路と、吸気路に開口する環状空気通路のエアクリーナ側に連設され、吸気路内に突起して形成される半円状のスクリーンノズルと、環状空気通路内に、空気を供給する主空気通路と、環状空気通路内に配置され、その上端が吸気路に開口し、その下端が主燃料ジェットに連絡されるとともにその内方に摺動絞り弁に取着されたジェットニードルが挿入配置される主ノズルと、を備え、主空気通路から供給される空気を環状空気通路を介して吸気路に供給するプライマリー型摺動絞り弁型気化器において、本願の請求項1の発明は、
主ノズルの上端外周に、主ノズルの中心を通り、吸気路の長手軸心線に直交する線よりエアクリーナ側に、エアクリーナ側の半環状鍔部を形成し、
前記主ノズルのエアクリーナ側の半環状鍔部を環状空気通路に挿入配置することにより、環状空気通路をエンジン側への半環状空気通路として吸気路へ開口したものである。
又本願の請求項2の発明は、、主ノズルの上端外周に、主ノズルの中心を通り、吸気路の長手軸心線に直交する線よりエンジン側に、エンジン側の半環状鍔部を形成し、
前記主ノズルのエンジン側の半環状鍔部を環状空気通路に挿入配置することにより、環状空気通路をエアクリーナ側への半環状空気通路として吸気路へ開口したことを特徴とする。
【0007】
【作用】
摺動絞り弁の低開度域において、環状空気通路のエアクリーナ側開口を主ノズルのエアクリーナ側の半環状鍔部によって閉塞したことによると、混合気濃度を従来に比較して濃目に設定することができ、又環状空気通路のエンジン側開口を主ノズルのエンジン側の半環状鍔部によって閉塞すると混合気濃度を薄目に設定することができ、もって混合気濃度のセッティング要素を増すことができる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明になるプライマリー型摺動絞り弁型気化器の一実施例について図1,図2により説明する。
図1は縦断側面図、図2は環状空気通路を含む主ノズルを上方よりみた上部平面図である。
従来の気化器とは主ノズルが異なるのみであり、主ノズルについて説明する。
主ノズル20は、吸気路2に開口する環状空気通路7内に配置されるとともに主ノズル20内には摺動絞り弁3に取着されたジェットニードル4が挿入配置される。
そして主ノズル20の上端外周には、主ノズル20の中心Pを通り、吸気路2の長手軸心線X−Xに直交する線Y−Yよりエアクリーナ側Aの半環状空気通路7Aを閉塞するエアクリーナ側の半環状鍔部20Aが形成される。
以上によると、環状をなす環状空気通路7の吸気路2内への開口は、線Y−Yよりエアクリーナ側Aの半環状空気通路7Aが主ノズル(20)のエアクリーナ側の半環状鍔部20Aにて閉塞され、線Y−Yよりエンジン側Bの半環状空気通路7Bのみが開口する。
尚、エアクリーナ側の半環状鍔部20Aは、環状空気通路7に開口する主空気通路9を閉塞することはない。
前記、吸気路2に開口する線Y−Yよりエンジン側Bの半環状空気通路7Bは図2において交差線で示される。
【0009】
そして、前記エンジン側(B)の半環状空気通路7Bを備えた気化器のテスト結果が図3,図4に示される。
図3によれば摺動絞り弁の1/8開度時において、吸気負圧40mmHgから70mmHgの範囲において混合気濃度を従来の気化器に比較して薄くすることができるとともに吸気負圧30mmHgから80mmHgの範囲において混合気濃度の変化割合を小さくすることができる。
又、図4によれば摺動絞り弁の1/4開度時において、全吸気負圧の範囲において混合気濃度を従来の気化器に比較して濃くすることができる。更に何れの摺動絞り弁の開度においても混合気濃度の変化特性を変えることができる。
【0010】
図5,図6には他の実施例が示される。
そして主ノズル20の上端外周には、主ノズル20の中心Pを通り、吸気路2の長手軸心線X−Xに直交する線Y−Yよりエンジン側Bの半環状空気通路7Bを閉塞するエンジン側の半環状鍔部20Bが形成される。
以上によると、環状をなす環状空気通路7の吸気路2内への開口は、線Y−Yよりエンジン側Bの半環状空気通路7Bが主ノズル(20)のエンジン側の半環状鍔部20Bにて閉塞され、線Y−Yよりエアクリーナ側Aの半環状空気通路7Aのみが開口する。
尚、エンジン側の半環状鍔部20Bは、環状空気通路7に開口する主空気通路9を閉塞することはない。
前記、吸気路2に開口する線Y−Yよりエアクリーナ側Aの半環状空気通路7Aは図6において交差線で示される。
【0011】
そして、前記エアクリーナ側の半環状空気通路7Aを備えた気化器のテスト結果が図3,図4に示される。
図3によれば摺動絞り弁の1/8開度時において、吸気負圧10mmHgから100mmHgの全範囲において混合気濃度を従来の気化器に比較して薄くすることができる。
又、図4によれば摺動絞り弁の1/4開度時において、吸気負圧20mmHgから50mmHgの範囲において混合気濃度を従来の気化器に比較して薄くすることができる。
更に何れの摺動絞り弁の開度においても混合気濃度の変化特性を変えることができる。
【0012】
以上の如く、主ノズル20の上端の外周に、環状空気通路7を半環状通路に閉塞するエアクリーナ側の半環状鍔部20A、又はエンジン側の半環状鍔部(20B)を形成し、環状空気通路7をエンジン側Bに開口する半環状空気通路7B又はエアクリーナ側Aに開口する半環状空気通路7Aにすることができ、これによって特に摺動絞り弁3の特に低開度域におけるセッティング要素を増すことができるものである。
そして本発明の実施に当っては従来の主ノズル8に対してその先端部のみが異なる主ノズル20を用意すればよいので従来の気化器に対して容易に実施できるものである。
【0013】
【発明の効果】
以上の如く、本発明になるプライマリー型摺動絞り弁型気化器によると、上端が吸気路に環状をもって開口する環状空気通路と、吸気路に開口する環状空気通路のエアクリーナ側に連設され、吸気路内に突起して形成される半円状のスクリーンノズルと、環状空気通路内に、空気を供給する主空気通路と、環状空気通路内に配置され、その上端が吸気路に開口し、その下端が主燃料ジェットに連絡されるとともにその内方に摺動絞り弁に取着されたジェットニードルが挿入配置される主ノズルと、を備え、主空気通路から供給される空気を環状空気通路を介して吸気路に供給するプライマリー型摺動絞り弁型気化器において、請求項1の発明によると、
主ノズルの上端外周に、主ノズルの中心を通り、吸気路の長手軸心線に直交する線よりエアクリーナ側に、エアクリーナ側の半環状鍔部を形成し、
前記主ノズルのエアクリーナ側の半環状鍔部を環状空気通路に挿入配置することにより、環状空気通路をエンジン側への半環状空気通路として吸気路へ開口したので、セッテイング要素を増すことができ、混合気濃度を従来に比して濃目に設定できる。
又請求項2の発明によると、主ノズルの上端外周に、主ノズルの中心を通り、吸気路の長手軸心線に直交する線よりエンジン側に、エンジン側の半環状鍔部を形成し、
前記主ノズルのエンジン側の半環状鍔部を環状空気通路に挿入配置することにより、環状空気通路をエアクリーナ側への半環状空気通路として吸気路へ開口したので、セッテイング要素を増すことができ、混合気濃度を薄目に設定できる。特に、その実施に当っては、従来の主ノズルの上部に半環状鍔部を設ければよいのでその実施を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明になるプライマリー型摺動絞り弁型気化器の一実施例を示す縦断面図。
【図2】 図1における主ノズル部の要部上部平面図。
【図3】 摺動絞り弁1/8開度における混合比と吸気負圧との関係を示す線図。
【図4】 摺動絞り弁1/4開度における混合比と吸気負圧との関係を示す線図。
【図5】 本発明になるプライマリー型摺動絞り弁型気化器の他の実施例を示す縦断面図。
【図6】 図5における主ノズル部の要部上部平面図。
【図7】 従来のプライマリー型摺動絞り弁型気化器の縦断面図。
【図8】 図7における主ノズル部の要部上部平面図。
【符号の説明】
2 吸気路
7 環状空気通路
7A 線Y−Yよりエアクリーナ側Aの半環状空気通路
7B 線Y−Yよりエンジン側Bの半環状空気通路
20 主ノズル
P 主ノズルの中心
X−X 吸気路の長手軸心線
Y−Y 主ノズルの中心を通り線X−Xに直交する線
Claims (2)
- 上端が吸気路(2)に環状をもって開口する環状空気通路(7)と、吸気路(2)に開口する環状空気通路(7)のエアクリーナ側(A)に連設され、吸気路(2)内に突起して形成される半円状のスクリーンノズル(11)と、環状空気通路(7)内に、空気を供給する主空気通路(9)と、環状空気通路(7)内に配置され、その上端が吸気路(2)に開口し、その下端が主燃料ジェット(10)に連絡されるとともにその内方に摺動絞り弁(3)に取着されたジェットニードル(4)が挿入配置される主ノズル(20)と、を備え、主空気通路(9)から供給される空気を環状空気通路(7)を介して吸気路(2)に供給するプライマリー型摺動絞り弁型気化器において、
主ノズル(20)の上端外周に、主ノズル(20)の中心(P)を通り、吸気路(2)の長手軸心線(X)−(X)に直交する線(Y)−(Y)よりエアクリーナ側(A)に、エアクリーナ側の半環状鍔部(20A)を形成し、
前記主ノズルのエアクリーナ側の半環状鍔部(20A)を環状空気通路(7)に挿入配置することにより、環状空気通路(7)をエンジン側(B)への半環状空気通路(7B)として吸気路(2)へ開口したことを特徴とするプライマリー型摺動絞り弁型気化器。 - 上端が吸気路(2)に環状をもって開口する環状空気通路(7)と、吸気路(2)に開口する環状空気通路(7)のエアクリーナ側(A)に連設され、吸気路(2)内に突起して形成される半円状のスクリーンノズル(11)と、環状空気通路(7)内に、空気を供給する主空気通路(9)と、環状空気通路(7)内に配置され、その上端が吸気路(2)に開口し、その下端が主燃料ジェット(10)に連絡されるとともにその内方に摺動絞り弁(3)に取着されたジェットニードル(4)が挿入配置される主ノズル(20)と、を備え、主空気通路(9)から供給される空気を環状空気通路(7)を介して吸気路(2)に供給するプライマリー型摺動絞り弁型気化器において、
主ノズル(20)の上端外周に、主ノズル(20)の中心(P)を通り、吸気路(2)の長手軸心線(X)−(X)に直交する線(Y)−(Y)よりエンジン側(B)に、エンジン側の半環状鍔部(20B)を形成し、
前記主ノズルのエンジン側の半環状鍔部(20B)を環状空気通路(7)に挿入配置することにより、環状空気通路(7)をエアクリーナ側(A)への半環状空気通路(7A)として吸気路(2)へ開口したことを特徴とするプライマリー型摺動絞り弁型気化器。
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