JP4078483B2 - 火頭窓付き壁の耐震補強方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、火頭窓付き壁の耐震補強方法に関し、主に既存の寺社・仏閣建築物の耐震補強に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
伝統的な木造建築物として知られる寺社建築や仏閣建築などの日本古来の建物の場合、一般に拝殿裏の北側に壁が多く配置され、南側には壁が殆ど無く、窓や出入り口が配置されている例が多い。また、窓や出入り口などの開口部は、特に開口部の上部が炎の形状に似せて火頭アーチ状に形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような建築様式の建物の場合、北側に壁が偏在しているため、建物の重心と剛芯のずれにより地震時や強風時にねじれが発生して、剛性の低い南側の軸組が大きく変形して、崩壊などの大被害を被るおそれがあった。
【0004】
そこで、壁のない南側に耐震壁を新たに配置することで、北側と南側の壁量のバランスを図って、偏芯を可能な限りなくする方法が考えられているが、単に南側の壁を増設するだけでは、開口部が塞がれて室内が暗くなるだけでなく、日本古来の伝統的な寺社や仏閣建築物としての外観を損ねる等の課題があった。
【0005】
また、この種の建物の窓や出入り口などの開口部は、上端部が火頭形状といった特殊なアーチ形状に形成されているため、矩形状をなす開口部のように開口部のコーナ部に単に火打ち材を取り付ける等の補強では対応できず、新たな耐震補強の開発が望まれていた。
【0006】
本願発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、日本古来の伝統的な建物の外観を損ねることなく、きわめて効果的な耐震補強が可能な火頭窓付き壁の耐震補強方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の火頭窓付き壁の耐震補強方法は、既存木造構造物の火頭窓付き壁の耐震補強方法において、既存の火頭窓の開口枠体および当該開口枠体の周囲の壁材を撤去した後、壁を構成する軸組内にほぼアーチ状に形成された補強枠体を設置するとともに、当該補強枠体の下端部と上端部を前記軸組にそれぞれ固定し、前記補強枠体内に窓台と窓上枠材をそれぞれ取り付け、前記窓台と窓上枠材間に前記開口枠体を改めて取り付けることを特徴とするものである。この場合の補強枠体は木質材(主に集成材)またはH形鋼などの鉄骨材で形成することができる。
【0008】
請求項2記載の火頭窓付き壁の耐震補強構造は、請求項1記載の耐震補強構造において、補強枠体は、開口枠体の両側に立設された柱材とこの柱材の上端部間に設置された斜材とからほぼアーチ形状に形成されてなることを特徴とするものである。この場合、これらの部材は現地で軸組内に一つ一つ組み立ててもよいが、工場などであらかじアーチ形状に形成しておくこともできる。
【0009】
請求項3記載の火頭窓付き壁の耐震補強構造は、請求項1または2記載の耐震補強構造において、補強枠体の両側にアーム材が突設され、その先端が軸組に接合されてなることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1と図2は、本願発明の一例を示し、図において土台1とその上に建て付けられた柱2,2とこの柱2,2間に架けわたされた梁3とから建物の軸組4が構成され、軸組4内に火頭窓の窓枠体5が設置されている。
【0011】
また、軸組4と窓枠体5との間に耐震補強枠体6(以下「補強枠体6」という)が取り付けられ、その室内側と室外側に耐震補強板7(以下「補強板7」という)が取り付けられ、さらにその上に板張りや漆喰などの壁仕上げ材8が取り付けられている。
【0012】
窓枠体5は下枠5aと下枠5aの両端部に建て付けられた竪枠5b,5bとこの竪枠5b,5bの上端部間に設置された上枠5cとから形成され、特に下枠5aは補強枠体6の左右柱材6a,6a間に架け渡され、また左右の竪枠5b,5bは窓枠体5の内側にアーチ状にやや膨出した形状に形成され、さらに上枠5cは炎の形状に似せて火頭アーチ状に形成されている。
【0013】
補強枠体6は、土台1と左右柱2,2との仕口部イに窓枠体5の竪枠5b,5bに沿ってそれぞれ窓枠体5側にやや傾けて立設された柱材6a,6aと、この柱材6a,6aの上端部間に山形状に架けわたされた斜材6b,6bと、柱材6aと斜材6bとの仕口部ロと梁3と左右柱2,2との仕口部ハ間にそれぞれ架けわたされたアーム材6c,6cとからほぼアーチ形状(門形状)に形成されている。
【0014】
柱材6aと斜材6bとアーム材6cとの仕口部ロは、その室内側と室外側の両側または片側にガセット板9を取り付けて剛接合状態に補強され、また斜材材6b,6bの上端部は梁3の中央部に固定され、かつ当該仕口部ニはその室内側と室外側の両側または片側にガセット板9を取り付けることにより剛接合状態に補強されている。なお、土台1と柱2との仕口部イと柱2と梁3との仕口部ハも、同様にガセット板9によって補強されている。
【0015】
また、窓枠体5および補強枠体6はいずれも、木材、主に集成材から形成され、またガセット板9には鋼板などが用いられている。補強板7は窓枠体5周囲の室内側と室外側の両側に取り付けられ、また補強板7には主に構造用合板が用いられている。
【0016】
なお、図において、符号10は窓枠体5を受ける窓台であり、左右柱材6a,6a間に水平に架け渡され、また符号11は窓の上枠材(まぐさ)であり、斜材6b,6b間に架け渡され、いずれもこの部分に取り付けられ補強板7を受けるべく設置されている。
【0017】
また、符号12aは土台1、左右柱2および梁3の内側にそれぞれ取り付けられた際胴縁材であり、また12bは土台1と窓台10間に所定間隔おきに立設された竪胴縁材であり、いずれも補強板7および壁仕上げ材8の受け材として取り付けられている。さらに、これらの部材はいづれも、原則として釘止めやボルト止めされ、必要に応じて補強金物が用いられている。
【0018】
このような構成において、施工方法を簡単に説明する。
▲1▼.最初に、既存の火頭窓の窓枠体5およびその周囲の壁材を全て撤去し、土台1とその上に建て付けられた柱2,2とこの柱2,2間に架けわたされた梁3のみを残す。また、建物(軸組)の傾斜ひずみ、水平等を補正する。さらに、新たにアンカーボルトや補強金物を用いて根固め補強を行う。
▲2▼.次に、予め組み立てた補強枠体6を軸組4の中に建て込む。そして、柱材6a,6aの下端部を土台1と柱2との仕口部イに、アーム材6c,6cの上端部を柱2と梁3との仕口部ロに、そして斜材6b,6bの上端部を梁3の中央部にそれそれ剛接合状態に固定する。
▲3▼.次に、補強枠体6の内側に窓台10、窓上枠材11をそれぞれ取り付け、窓台10と窓上枠材11間に窓枠体5を改めて取り付ける。
▲4▼.そして、窓枠体5周囲の室内側と室外側に補強板7を取り付け、その上に壁仕上げ8を取り付けて耐震補強を完了する。
【0019】
【発明の効果】
本願発明は以上説明したとおりであり、特に火頭形に形成された開口枠体の周囲に、ほぼアーチ形状に形成された補強枠体が取り付けられ、かつその下端部と上端部が軸組にそれぞれ固定されてなるので、開口枠体周囲の軸組はほぼ完全な剛体をなし、これにより火頭形開口部付き壁の耐震補強を、日本古来の伝統的な建物の外観を損ねることなく、確実に行うことができる。
【0020】
また、補強枠体の両側にアーム材が突設され、かつその先端部が軸組に固定されてなるので、耐震補強はさらに高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】寺社建築物の正面図である。
【図2】(a)は火頭形窓の正面図、(b)はその軸組図である。
【符号の説明】
1 土台
2 柱
3 梁
4 軸組
5 火頭窓の窓枠体
6 補強枠体(耐震補強枠体)
7 補強板(耐震補強板)
8 壁仕上げ
9 ガセット板
10 窓台
11 上枠材(まぐさ)
12a 際胴縁材
12b 竪胴縁材
Claims (3)
- 既存木造構造物の火頭窓付き壁の耐震補強方法において、既存の火頭窓の開口枠体および当該開口枠体の周囲の壁材を撤去した後、壁を構成する軸組内にほぼアーチ状に形成された補強枠体を設置するとともに、当該補強枠体の下端部と上端部を前記軸組にそれぞれ固定し、前記補強枠体内に窓台と窓上枠材をそれぞれ取り付け、前記窓台と窓上枠材間に前記開口枠体を改めて取り付けることを特徴とする火頭窓付き壁の耐震補強方法。
- 補強枠体は、開口枠体の両側に立設された柱材とこの柱材の上端部間に設置された斜材とからほぼアーチ形状に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の火頭窓付き壁の耐震補強方法。
- 補強枠体の両側にアーム材が突設され、かつその先端部が軸組に固定されてなることを特徴とする請求項1または2記載の火頭窓付き壁の耐震補強方法。
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