JP2003049481A - 木造住宅の建築方法 - Google Patents

木造住宅の建築方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 屋根や壁体の施工を極力早期に終えて、防
水を早期に確保し、施工の省力化を実現する。 【解決手段】 屋根(20)の施工に際して構造上必要な壁
パネル(1)(1)…を基礎(21)若しくは土台上に立設し、
それら壁パネル(1)(1)…間に梁(23)(30)を架構しなが
ら順次屋根(20)まで施工した後、壁パネル(1)(1)…と
梁(23)(30)とによって囲まれた空間部に、残りの壁パネ
ル(10)(10)…を取り付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、木造住宅の建築
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、木造住宅の建築に際しては、土
台、通し柱や管柱、間柱、梁等によって軸組を組み付
け、屋根を施工した後に、軸組に対して壁下地合板や外
壁材等を順次取り付けて、壁体を施工していた。また、
この際、建ち通りを出した後に、軸組に仮筋違を取り付
けて、工事中の耐力を確保している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
建築方法においては、軸組を完全に組み付けてから屋根
を施工していたので、土台上に多くの柱を立設するのに
手間がかかり、屋根を施工し終えるまでにかなりの時間
を要していた。また、屋根の施工後においても、壁体を
完成させるまでに手間がかかり、それだけ壁体の防水施
工が遅くなっていた。
【0004】このため、降雨等の影響によって躯体が濡
れてしまうことがよくあり、躯体の劣化や腐れが生じた
り、壁体内に結露が発生し易くなるといった不具合があ
った。また、これらの施工は、現場で行うのが通例であ
り、人件費をはじめとして、建築コストが嵩むととも
に、工期が長くなってしまうという不具合があった。
【0005】また、仮筋違などの仮設材を必要とし、面
倒な取付け作業も必要であった。しかも、仮筋違を取り
付ける際の釘打ちによって、軸組が傷付いてしまうとい
った不具合もあった。
【0006】そこで、この発明は、上記の不具合を解消
して、屋根や壁体の施工を極力早期に終えることがで
き、防水対策に優れ、施工の省力化を実現することがで
きる木造住宅の建築方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明の木造住宅の建築方法は、屋根の施工に際
して構造上必要な壁パネルを基礎若しくは土台上に立設
し、それら壁パネル間に梁を架構しながら順次屋根まで
施工した後、前記壁パネルと梁とによって囲まれた空間
部に、残りの壁パネルを取り付けるようにしたことを特
徴とする。
【0008】また、屋根の施工に際して構造上必要な壁
パネルを基礎若しくは土台上に立設し、それら1階の壁
パネル間に床梁を架構して、複数の床パネルを敷き込ん
で足場を確保し、さらに屋根の施工に際して構造上必要
な壁パネルを立設し、それら2階の壁パネル間に小屋梁
を架構して屋根を施工した後、1階の壁パネルと床梁と
によって囲まれた空間部、及び2階の壁パネルと小屋梁
とによって囲まれた空間部に、残りの壁パネルを取り付
けるようにしたことを特徴とする。
【0009】そして、屋根の施工前に立設する壁パネル
を、耐力壁パネルとしている。また、壁パネルのいくつ
かにおいて、上端部に梁を組み込むようにしている。さ
らに、互いに隣接する壁パネルにおいて、それら壁パネ
ルの側端部に組み込んだ半柱同士を接合して構造柱を構
成するか、若しくは一方の壁パネルの側端部に組み込ん
だ構造柱に他方の壁パネルの側端部を接合するようにし
ている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の一実施
形態に係る建築方法において使用する壁パネル、図2
は、同じく別の壁パネル、図3は、同じく床パネルを示
している。
【0011】図1に示す壁パネル(1)は、主に屋根(20)
の施工前に立設するもので、方形の枠体(2)に面材(3)
を張り合わせてなる。
【0012】枠体(2)は、上下一対の横材(5)(5)と、
これら横材(5)(5)の両端部間に跨って配された左右一
対の構造柱(4)(4)と、横材(5)(5)の中間部間に跨っ
て構造柱(4)(4)と平行に配された一対の間柱(6)(6)
とを備えている。また、横材(5)(5)よりも上方に突出
した構造柱(4)(4)の上端部間には、柱勝ち状態で梁
(7)が介在されている。すなわち、構造柱(4)(4)は、
通し柱となっている。そして、これら各部材を互いに接
合することで、枠体(2)が構成されている。なお、各部
材の接合は、釘等の固定具或いは接合金物等を使用して
なされている。
【0013】また、面材(3)としては、構造用合板が使
用されている。従って、この壁パネル(1)は、構造柱
(4)(4)及び梁(7)を組み込んだ耐力壁パネルとされて
いる。
【0014】図2に示す壁パネル(10)は、主に屋根(20)
の施工後に立設するもので、方形の枠体(11)に面材(12)
を張り合わせてなる。
【0015】枠体(11)は、上下一対の横材(5)(5)と、
これら横材(5)(5)の一端部間に跨って配された半柱(1
3)と、横材(5)(5)の他端部間及び中間部間に跨って半
柱(13)と平行に配された間柱(6)(6)…とを備え、これ
ら各部材を互いに接合することで構成されている。な
お、各部材の接合は、釘等の固定具或いは接合金物等を
使用してなされている。
【0016】また、面材(12)としては、一般的な下地合
板が使用されている。従って、この壁パネル(10)は、左
右の側端部のうち一方の端部に半柱(13)を組み込んだ非
耐力壁パネルとされている。
【0017】上記の図1及び図2に示す壁パネル(1)(1
0)は、あくまでも一例であり、その他にも屋根(20)の施
工前、施工後に用いる壁パネルとして様々なタイプのも
のが用意されている。
【0018】例えば、施工前の壁パネル(1)としては、
図1に示す壁パネル(1)よりも幅の広いタイプや狭いタ
イプ(例えば50cm〜5mの幅を有するもの)、開口部
を有するタイプ、間柱(6)が1本或いは3本以上取り付
けられているタイプ、さらには管柱が組み込まれている
タイプ等が用意されている。また、施工後の壁パネル(1
0)としては、図2に示す壁パネル(10)よりも幅の広いタ
イプや狭いタイプ(例えば50cm〜5mの幅を有する
もの)、開口部を有するタイプ、間柱(6)が1、2本或
いは4本以上取り付けられているタイプ、左右の両側端
部に半柱(13)(13)が組み込まれているタイプ、半柱(13)
が組み込まれていないタイプ、管柱が組み込まれている
タイプ、さらには面材(12)として構造用合板を使用する
ことで耐力パネルとしたタイプ等が用意されている。ま
た、これら各壁パネル(1)(10)において、外装材、断熱
材、透湿防水シート、室内防湿シート等を複合したもの
を用いるようにしても良い。
【0019】図3に示す床パネル(15)は、例えば下地合
板からなる方形の面材(16)の裏面側に、一対の根太(17)
(17)を平行に取り付けてなる。この図2に示す床パネル
(15)はあくまでも一例であり、その他にも様々なタイプ
のものが用意されている。
【0020】例えば、図3に示す床パネル(15)よりも幅
の広いタイプや狭いタイプ、根太(17)が1本或いは3本
以上取り付けられているタイプ等が用意されている。ま
た、これら各床パネル(15)において、断熱材や吸音材等
を複合したものを用いるようにしても良く、さらに面材
(16)として構造用合板を使用したものを用いるようにし
ても良い。
【0021】次に、上記構成の壁パネル(1)(10)や床パ
ネル(15)を使用した木造住宅の建築方法について説明す
る。まず、図4に示すように、屋根(20)の施工に際して
構造上必要な最低限の壁パネル(1)(1)…を、建物外周
部の基礎(21)若しくは土台上に立設する。このとき使用
する各壁パネル(1)(1)…は、耐力壁パネルであり、屋
根(20)を組み上げるために必要な耐力を確保できるよう
に、主として基礎(21)のコーナー部付近において立設す
る。
【0022】壁パネル(1)(1)…には、構造柱(4)(4)
を含む各種の柱が組み込まれているので、この1階の壁
パネル(1)(1)…の施工と同時に、主要な柱を施工する
ことができる。なお、壁パネル(1)(1)…の施工と同時
に、状況に応じていくつかの壁パネル(10)(10)…を立設
しても良い。
【0023】そして、それら1階の壁パネル(1)(1)…
間に床梁(23)(23)…を架構する。このとき、壁パネル
(1)(1)…には梁(7)(7)…が組み込まれているので、
床梁(23)(23)…を梁(7)(7)…に連続させて、梁(7)
(7)…を床梁の一部として利用する。床梁(23)(23)…と
梁(7)(7)…との連結に際しては、図8に示すように、
隣接する壁パネル(1)(1)の構造柱(4)(4)の上端部に
取り付けた接合金物(26)(26)へ、床梁(23)の両端部をビ
ス等によって固定することでなされる。なお、図4にお
いては、建物外周部に沿って配置した床梁(23)(23)…し
か記載していないが、これら外周部の床梁(23)(23)…に
跨って建物内部側においても床梁(23)(23)…を順次架構
する。
【0024】次に、図5に示すように、これら床梁(23)
(23)…に対して複数の床パネル(15)(15)…を仮固定状態
で敷き込んで、時間の短縮を図りながら、屋根(20)を施
工する上で最低限必要な足場を確保する。なお、この床
パネル(15)(15)…の敷き込みは、図9に示すように、そ
の面材(16)を床梁(23)(23)…や梁(7)(7)…上に載せた
状態で、根太(17)(17)…を床梁(23)(23)…や梁(7)(7)
…上に取り付けた固定金具(27)(27)…に仮固定すること
でなされている。
【0025】続いて、屋根(20)を施工する上で構造上必
要な最低限の2階の壁パネル(1)(1)…を、建物外周部
の床梁(23)(23)…や梁(7)(7)…上に立設する。このと
き使用する壁パネル(1)(1)…も、1階のときと同様に
耐力壁パネルであり、屋根(20)を組み上げるために必要
な耐力を確保できるように、主としてコーナー部付近に
おいて立設する。壁パネル(1)(1)…には、構造柱(4)
(4)を含む各種の柱が組み込まれているので、この2階
の壁パネル(1)(1)…の施工と同時に、主要な柱を施工
することができる。なお、壁パネル(1)(1)…の施工と
同時に、状況に応じていくつかの壁パネル(10)(10)…を
立設しておいても良い。
【0026】そして、床梁(23)(23)…を架構するときと
同様にして、2階の壁パネル(1)(1)…間に小屋梁(30)
(30)…を架構して、図6に示すように、屋根(20)を施工
する。なお、屋根(20)の施工に際しては、野地板に垂木
や断熱材等を複合した屋根パネル(31)(31)…を用いるよ
うにしている。
【0027】このように、屋根(20)を施工する上で最低
限必要な壁パネル(1)(1)…を立設し、また床パネル(1
5)(15)…の施工も足場を確保する程度にとどめて、早期
に屋根(20)を架けるようにしているので、降雨等によっ
て躯体が濡れるのを極力回避することができる。
【0028】そして、屋根(20)の施工後に、図7に示す
ように、1階の壁パネル(1)(1)…と床梁(23)(23)…と
によって囲まれた空間部、及び2階の壁パネル(1)(1)
…と小屋梁(30)(30)…とによって囲まれた空間部に、残
りの壁パネル(10)(10)…を取り付けて空間部を塞ぐこと
で、壁体を施工している。
【0029】このとき、図8及び図10に示すように、
屋根(20)の施工前の壁パネル(1)と屋根(20)の施工後の
壁パネル(10)とが隣接する場合には、壁パネル(1)の側
端部の構造柱(4)と壁パネル(10)の側端部の間柱(6)と
を一体に接合している。また、半柱(13)を組み込んだ壁
パネル(10)(10)が隣接する場合には、それら壁パネル(1
0)(10)の半柱(13)(13)同士を接合することで、壁パネル
(10)(10)の施工と同時に構造柱(35)を施工するようにし
ている。なお、これらの接合は、ボルト等の固定具或い
は接合金物等を使用してなされており、また半柱(13)(1
3)…を接合してなる構造柱(35)(35)は、管柱となってい
る。
【0030】図8中、(32)(32)…は、基礎(21)に取り付
けた固定金具であり、これら固定金具(32)(32)…に壁パ
ネル(1)(10)…の下端部を固定している。なお、基礎(2
1)の上面全体に土台をまわして、この土台上に壁パネル
(1)(10)の下端部を固定しても良い。
【0031】このように、屋根(20)の施工を早期に終え
ているにもかかわらず、この屋根(20)の施工後において
も、柱を複合した壁パネル(10)(10)…を用いて、壁パネ
ル(10)(10)…の施工と同時に残りの柱を施工しているの
で、柱の施工に要する時間を短縮して壁体の施工も早期
に終えることができる。従って、建築開始からわずかの
間に壁体の防水施工に取りかかることができ、早期に防
水を確保することができる。
【0032】なお、この発明は、上記実施形態に限定さ
れるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に
多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。
【0033】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この発
明によれば、屋根の施工に際して構造上必要な壁パネル
を立設し、面倒で手間のかかる柱の施工を軽減して、屋
根を早期に架けるようにしているので、降雨等によって
躯体が濡れるのを極力防ぐことができる。しかも、壁体
を完成させるまでの時間を大幅に短縮して、早期に壁体
の防水施工に取りかかることができるので、降雨等の影
響による躯体の劣化や腐れ、壁体内の結露の発生等を軽
減することができる。
【0034】また、このような柱や梁を複合した壁パネ
ルを用いることで、現場での作業を簡単にして、施工の
省力化や建築コストの削減を実現することができる。さ
らに、屋根施工前に取り付ける壁パネルとして、耐力壁
パネルを使用することで、仮筋違などの仮設材が不要と
なり、面倒な取付け作業も廃止することができ、施工の
省力化及び建築コストの削減をさらに促進することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る建築方法において
使用する壁パネルの斜視図である。
【図2】同じく別の壁パネルの斜視図である。
【図3】同じく床パネルの斜視図である。
【図4】基礎上に壁パネルを立設した状態を示す斜視図
である。
【図5】2階の壁パネルを立設した状態を示す斜視図で
ある。
【図6】屋根の施工状態を示す斜視図である。
【図7】壁パネルの取り付け状態を示す斜視図である。
【図8】床梁及び壁パネルの取り付け状態を説明するた
めの斜視図である。
【図9】床パネルの取り付け状態を説明するための斜視
図である。
【図10】壁パネル同士の接合部の横断面図である。
【符号の説明】
(1)(10) 壁パネル (4) 構造柱 (7) 壁パネルに組み込んだ梁 (13) 半柱 (15) 床パネル (20) 屋根 (21) 基礎 (23) 床梁 (30) 小屋梁 (35) 半柱を接合してなる構造柱

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屋根の施工に際して構造上必要な壁パネ
    ルを基礎若しくは土台上に立設し、それら壁パネル間に
    梁を架構しながら順次屋根まで施工した後、前記壁パネ
    ルと梁とによって囲まれた空間部に、残りの壁パネルを
    取り付けるようにしたことを特徴とする木造住宅の建築
    方法。
  2. 【請求項2】 屋根の施工に際して構造上必要な壁パネ
    ルを基礎若しくは土台上に立設し、それら1階の壁パネ
    ル間に床梁を架構して、複数の床パネルを敷き込んで足
    場を確保し、さらに屋根の施工に際して構造上必要な壁
    パネルを立設し、それら2階の壁パネル間に小屋梁を架
    構して屋根を施工した後、1階の壁パネルと床梁とによ
    って囲まれた空間部、及び2階の壁パネルと小屋梁とに
    よって囲まれた空間部に、残りの壁パネルを取り付ける
    ようにしたことを特徴とする木造住宅の建築方法。
  3. 【請求項3】 屋根の施工前に立設する壁パネルを、耐
    力壁パネルとした請求項1又は2記載の木造住宅の建築
    方法。
  4. 【請求項4】 壁パネルのいくつかにおいて、上端部に
    梁を組み込んである請求項1乃至3のいずれかに記載の
    木造住宅の建築方法。
  5. 【請求項5】 互いに隣接する壁パネルにおいて、それ
    ら壁パネルの側端部に組み込んだ半柱同士を接合して構
    造柱を構成するか、若しくは一方の壁パネルの側端部に
    組み込んだ構造柱に他方の壁パネルの側端部を接合する
    ようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の木造住宅
    の建築方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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