JP4077751B2 - 電子写真的な画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,電子写真的な画像形成方法にかかり,さらに詳しくは電子写真方式の画像形成装置の有機感光体の表面に液体現像剤を直接接触させて現像を行う電子写真的な画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置は,一般的に,帯電した感光体を露光して静電潜像を形成し,前記静電潜像に現像剤(トナー)を吸着させて現像を行うことにより可視画像を形成し,前記可視画像を印刷媒体に転写して印刷を行う。
【0003】
上記感光体の露光においては,光が照射された露光領域の電荷は減少し,光が当たらない非露光領域の電荷は残るので,この電荷の差により感光体の表面に静電潜像が形成される。前記静電潜像は,顔料や熱可塑性成分を含んで静電潜像と逆極性に帯電された現像剤によって可視画像に現像される。
【0004】
電子写真の現像方法は,使用する現像剤の種類によって,乾式現像剤を使用する乾式現像法と,液体現像剤を使用する湿式現像法とに分けることができる。液体現像剤を使用する湿式現像法はかなり以前から公知の技術である(例えば,特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
通常,現像に使用する現像剤の粒径が小さくなるほど画質は向上するが,液体現像剤を使用する湿式現像法においては,現像剤の粒径を1ミクロン(μm)以下の値にまで小さくすることができるため,解像度の高い画像を得ることができる長所がある。
【0006】
しかしながら,液体現像法は,液体現像剤の主成分に石油系溶媒を使用しているため,引火しやすい特性があり,また悪臭も伴なうといった欠点がある。このため,液体現像法の普及率は低く,粉体の現像剤を使用する乾式現像法の方が電子写真方式の代表的な方法として一般に認識されている。
【0007】
しかし,湿式現像法は前述したように高解像度の画像を形成することができるため,近年ではその長所が見直され,再評価されつつある。
【0008】
湿式現像法においては,感光層の表面に静電潜像を形成し,前記静電潜像を他の媒体の表面に転写させるために液体現像剤で前記感光層の表面を湿潤させて現像を行う。前記液体現像剤は,キャリア液体中に着色微粒子が懸濁されており,前記キャリア液体は前記静電潜像に付着すると潜像を劣化させるため,そのような現象を防止するために所定の静電抵抗を有する。
【0009】
液体現像剤を利用した湿式現像法における感光体には,従来は非晶質セレンのような無機感光体を使用するのが主流であったが,最近では加工性やコスト面で優れる有機感光体が使用されるようになってきた。
【0010】
前記有機感光体には,感光体の表面に電荷輸送層を有するものがあるが,前記電荷輸送層は,ポリカーボネート系樹脂またはアクリル系樹脂などの結合剤,及び電荷輸送物質である低分子化合物を含む。このとき,前記電荷輸送層を組成する物質は,脂肪族炭化水素系の溶媒に対する溶解性を有する。一方,液体現像剤は一般的に,脂肪族炭化水素系の溶媒に着色剤微粒子を分散して製造される。
【0011】
すなわち,液体現像剤を有機感光体に直接接触させると,有機感光体は液体現像剤の脂肪族炭化水素系の溶媒により浸蝕されて,その表面にクラックが発生したり感光低下が生じ,また,有機感光体から湧出した感光体成分によって現像剤が汚染される場合もあり,このような現象が有機感光体の問題点となっていた。
【0012】
このような問題点を解決するために,これまでに,液体現像剤に対する耐久性に優れた有機感光体の開発が盛んに進められてきた。その主な方法として以下の3つの方法が挙げられる。
【0013】
第1の方法は,例えば電荷輸送物質などの感光体の成分を重合させることにより,感光体成分が液体現像剤の溶媒に湧出されないようにする方法である(例えば,特許文献3参照)。しかしながら,前記第1の方法においては,液体現像剤の溶媒に対する耐性に優れる高分子型の電荷輸送物質はその種類が限定されており,一般的な樹脂を適用することができないため,コストが著しく高くなるという欠点がある。
【0014】
第2の方法は,有機感光体の表面に液体現像剤に対する耐性に優れる表面保護層を形成することにより,液体現像剤の溶媒が感光層に浸透するのを防止する方法である(例えば,特許文献4参照)。しかしながら,前記第2の方法においては,表面保護層を有する有機感光体の製造工程が複雑であり,また,感光体の電気的特性を良好にするために表面保護層を薄く形成しなければならず,そのために表面保護層の耐久性が低下してしまうという欠点がある。
【0015】
第3の方法は,感光体に含まれる結合剤の液体現像剤に対する耐性を高めて,液体現像剤の溶媒が感光層に浸透するのを防止する方法である(例えば,特許文献5参照)。しかしながら,前記第3の方法においては,有機感光体に含まれる結合剤の液体現像剤の溶媒に対する耐性を向上させるだけでは,感光体全体の耐溶剤性を向上させるには至っていないため,実際に実用化された例も報告されていない。
【0016】
また,上記3つの方法以外にも,主鎖にビフェニルフルオレン反復単位を有するポリエステル樹脂を,感光体に含まれる結合剤に利用する有機感光体が開示されている(例えば,特許文献6,特許文献7,及び特許文献8参照)。
【0017】
前記公知文献は,特定のポリエステル樹脂を利用することによる,一般的な電子写真方式における機械的耐久性の向上を様々な角度から試みているものの,前記公知技術の液体現像法への適用性については触れていない。また,前記公知技術にて開示された樹脂は,従来の一般的な樹脂と比較すると電気的特性が劣るため,実際に感光体の組成物質として実用化されることもなかった。
【0018】
【特許文献1】
米国特許第2,907,674号明細書
【特許文献2】
米国特許第3,337,340号明細書
【特許文献3】
米国特許第5,030,532号明細書
【特許文献4】
米国特許第5,368,967号明細書
【特許文献5】
米国特許第5,545,499号明細書
【特許文献6】
特開平5−297601号公報
【特許文献7】
特開平7−281456号公報
【特許文献8】
特開平10−20515号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,液体現像剤に含まれる溶媒に対する耐久性に優れる電子写真的な画像形成方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,電子写真有機感光体に液体現像剤を直接接触させて現像する電子写真的な画像形成方法において,前記液体現像剤は,脂肪族炭化水素,脂環族炭化水素,芳香族炭化水素,ハロゲン化炭化水素溶媒,またはシリコンオイル類からなる群より選択される1または2以上の物質からなる溶媒を含み,前記有機感光体の表面層に含まれた結合剤が,下記化学式2で表示される反復単位を有するポリエステル樹脂,下記化学式3で表示される反復単位を有するポリエステル樹脂,または,下記化学式2,3もしくは4で表示される反復単位のうちの2種以上を含む共重合体であるポリエステル樹脂を含んで,前記液体現像剤に含まれる溶媒から前記有機感光体全体を保護するようにしたこと,を特徴とする電子写真的な画像形成方法が提供される。
【0022】
このような本発明にかかる電子写真的な画像形成方法によれば,化学式2で表示される反復単位を有するポリエステル樹脂,下記化学式3で表示される反復単位を有するポリエステル樹脂,または,下記化学式2,3もしくは4で表示される反復単位のうちの2種以上を含む共重合体であるポリエステル樹脂は,液体現像剤の溶媒に対して非常に優れた耐久性を有するので,有機感光体が液体現像剤の溶媒により浸蝕されたり,また,有機感光体から湧出した感光体成分が液体現像剤を汚染するのを防止することができる。
【0024】
【化6】
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
更に,前記ポリエステル樹脂は化学式5または6で表示される化合物であることがより望ましい。
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
このとき,前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は20,000から200,000の範囲内である如く構成すれば,感光層の機械的なストレスに対する耐久性,及び感光層コーティング作業の容易性が良好となる。また,前記ポリエステル樹脂の含量は,前記有機感光体の表面層に含まれる結合剤の総重量に対して50から100重量%の範囲内である如く構成すれば,前記有機感光体は液体現像剤の溶媒に対して優れた耐久性を示す。
【0031】
また,前記液体現像剤の溶媒には,脂肪族炭化水素系の溶媒を使用するのが好ましい。
【0032】
このとき,前記有機感光体が導電性支持体とその上部に積層された感光層とよりなる場合,前記感光層は電荷発生物質層と電荷輸送層とが順次に積層されるか,またはその逆に積層されることが望ましい。
【0033】
あるいは,前記感光体が導電性支持体と,その上部に積層された感光層とよりなる場合,前記感光層は電荷輸送物質,電荷発生物質及び結合剤よりなる単層構造を有するのが望ましい。
【0034】
また,前記感光体が導電性支持体と,その上部に順次に積層された感光層とオーバーコート層とよりなる場合もある。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に,本発明にかかる電子写真的な画像形成方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0036】
電子写真的な画像形成方法に用いる有機感光体は,導電性支持体の表面に感光層が積層される構成を有する。また,前記感光層の上にさらに表面保護層が積層される場合もある。
【0037】
前記導電性支持体は,金属またはプラスチックなどから成り,ドラム型またはベルト状の形状を有する。
【0038】
前記感光層には,2層構造を有するものと単層構造を有するものがある。2層構造を有する感光層は,前記導電性支持体の表面に電荷発生層と電荷輸送層とが順次にまたはその逆の順に積層される。単層構造を有する感光層は,電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する物質により組成される。
【0039】
前記有機感光体の表面層は,上述した有機感光体が有する構造によって,電荷発生層である場合や電荷輸送層である場合,または表面保護層である場合などがある(詳細後述)。
【0040】
本発明の実施の形態にかかる電子写真的な画像形成方法は,有機感光体の表面層に結合剤として,下記化学式1に示されるビフェニルフルオレン反復単位を主鎖中に有するポリエステル樹脂を含む。このようなポリエステル樹脂は,液体現像剤に対して非常に優れた耐久性を示す。
【0041】
【化11】
【0042】
このとき化学式1の芳香環状の水素原子は,置換されないか,または,ハロゲン原子,炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基,及び炭素数5〜8のシクロアルキル基からなる群から選択されるいずれか一つに置換される。
【0043】
ここで,ハロゲン原子の具体例としてはF,Cl,Br,またはIなどがあり,炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としてはメチル基,またはエチル基などがあり,炭素数5〜8のシクロアルキル基の具体例としてはシクロヘキシル基などがある。
【0044】
前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は20,000から200,000の範囲内であることが望ましい。これは,ポリエステル樹脂の重量平均分子量が20,000未満の場合,感光層の機械的強度が減少して感光層が壊れやすくなるからである。また,ポリエステル樹脂の重量平均分子量が200,000以上の場合は,溶媒に対するポリマーの溶解度が低くなり,その結果溶液の粘度が高くなって有機感光体の製造におけるコーティング作業が困難になるので好ましくない。
【0045】
また,前記結合剤に含まれるポリエステル樹脂は,下記化学式2,3,及び4に示される反復単位を有するポリエステル樹脂,またはこれら反復単位のうち任意の2種以上を含む共重合体であることもある。
【0046】
【化12】
【0047】
【化13】
【0048】
【化14】
【0049】
更に,前記結合剤に含まれるポリエステル樹脂は,下記化学式5または6に示される化合物であることがより望ましい。化学式5におけるm及びnは,互いに独立した10から1000の範囲内の整数である。化学式6におけるkは,10から1000の範囲内の整数である。
【0050】
【化15】
【0051】
【化16】
【0052】
化学式5の化合物及び化学式6の化合物は,両者とも商業的に入手可能なものである。例えば,化学式5の化合物としては鐘紡社製のO−PETTM等があり,化学式6の化合物としてはIsonova社製のISARYLTM等がある。
【0053】
次に,有機感光体の表面層に含有される結合剤の組成について説明する。前述した通り,本実施形態にかかる電子写真的な画像形成方法は,有機感光体の表面層に結合剤として,化学式1に示されるビフェニルフルオレン反復単位を主鎖中に有するポリエステル樹脂を含む。
【0054】
前記結合剤は,化学式1に示されるビフェニルフルオレン反復単位を主鎖中に有するポリエステル樹脂のみによって単独で組成されるか,あるいは,結合剤として一般的に使用されている他の樹脂と混合して組成されてもよい。
【0055】
前記ポリエステル樹脂を他の結合用樹脂と混合させて前記結合剤を組成する場合は,他の結合用樹脂の配分を本発明の効果を低減させない範囲内に止めるようにする。具体的には,化学式1に示されるビフェニルフルオレン反復単位を有するポリエステル樹脂は,結合剤の総重量の50から100重量%の範囲内であることが望ましい。前記ポリエステル樹脂の含量を50重量%未満にすると,液体現像剤に対する耐久特性が低下するので望ましくない。
【0056】
前記ポリエステル樹脂と混合されて前記結合剤を組成する他の結合用樹脂としては,例えば,ビスフェノール−Aタイプポリカーボネート(例えば,帝人化学社製 PANLITETM)またはビスフェノール−Zタイプポリカーボネート(例えば,三菱化学社製 IUPILONZ−200TM)などのポリカーボネート樹脂,メタクリル系樹脂(例えば,三菱レイヨン製 DIANALTM),化学式9に示される汎用ポリエステル樹脂などの一般的に使用されているポリエステル樹脂(例えば,TOYOBO製 Vylon−200TM),ポリスチレン樹脂(例えば,Dow Chemical社製 STYLONTM)などがある。
【0057】
【化17】
【0058】
化学式9におけるu及びvは,互いに独立した10から1000の範囲内の整数である。
【0059】
次に,前述した化学式1に示されるビフェニルフルオレン反復単位を主鎖中に有するポリエステル樹脂を含む結合剤が,有機感光体の表面層に含有される形態を,有機感光体が有する構造ごとに詳細に説明する。
【0060】
前述した通り,有機感光体の構成には,導電性支持体の表面に電荷発生層と電荷輸送層とが順次にまたはその逆の順に積層される2層構造の感光層を有するものと,導電性支持体の表面に電荷発生物質と電荷輸送物質とが含有される単層構造の感光層を有するものと,感光層の表面に更に表面保護層が積層されるものとがある。
【0061】
2層構造の感光層を有する有機感光体のうち,電荷発生層の上に電荷輸送層が積層される有機感光体は,導電性支持体の表面に電荷発生層形成用組成物をコーティングして乾燥させて電荷発生層を形成し,前記電荷発生層の表面に電荷輸送層形成用組成物をコーティングして乾燥させて電荷輸送層が形成される。電荷輸送層の上に電荷発生層が積層される有機感光体の場合は,形成順序が逆になる。
【0062】
前記電荷発生層形成用組成物は,電荷発生物質,結合剤,及び溶媒を含み,前記電荷輸送層形成用組成物は,電荷輸送物質,結合剤,及び溶媒を含む。このとき,電荷発生層が有機感光体の表面層となる場合は,電荷発生層形成用組成物を構成する結合剤に,化学式1で表示されるビフェニルフルオレン反復単位を主鎖中に有するポリエステル樹脂が含まれる。逆に,電荷輸送層が有機感光体の表面層となる場合は,電荷輸送層形成用組成物を構成する結合剤に,化学式1で表示されるビフェニルフルオレン反復単位を主鎖中に有するポリエステル樹脂が含まれる。
【0063】
前記電荷発生層形成用組成物の固形分を基準とする,電荷発生物質の含量は20から90重量%の範囲内であり,結合剤の含量は10から80重量%の範囲内である。これは,結合剤の含量が10重量%未満であると,電荷発生層と電荷輸送層との結合力が低下し,また,結合剤の含量が80重量%を超過すると,電荷発生層の電荷発生物質の含量が減少して電荷発生能力が低下するからである。
【0064】
前記電荷輸送層形成用組成物の固形分を基準とする,電荷輸送物質の含量は10から60重量%の範囲内であり,結合剤の含量は40から90重量%の範囲内である。これは,電荷輸送物質の含量が10重量%未満であると,電荷輸送層の電荷輸送能力が低下して感光体の感度の低下及び残留電位の増加を引き起こし,また,電荷輸送物質の含量が60重量%を超過すると,感光層中の樹脂含量が減少して感光層の機械的強度及び液体現像剤に対する耐久性が低下するからである。
【0065】
電荷輸送層が有機感光体の表面層となる場合には,前記電荷輸送層形成用組成物の結合剤には,化学式1で表示されるビフェニルフルオレン反復単位を主鎖中に有するポリエステル樹脂が含まれる。このとき,結合剤の総重量に対する前記ポリエステル樹脂の含量は,50から100重量%の範囲内であることが望ましい。
【0066】
電荷発生層が有機感光体の表面層となる場合には,前記電荷発生層形成用組成物の結合剤には,化学式1で表示されるビフェニルフルオレン反復単位を主鎖中に有するポリエステル樹脂が含まれる。このとき,結合剤の総重量に対する前記ポリエステル樹脂の含量は,50から100重量%の範囲内であることが望ましい。
【0067】
表面保護層を有する有機感光体は,前記電荷輸送層の表面に表面保護層形成用組成物をコーティングして乾燥させることによって表面保護層が形成される。表面保護層形成用組成物には,伝導性物質または電荷輸送物質が選択的に含まれ,更に,化学式1で表示されるビフェニルフルオレン反復単位を主鎖中に有するポリエステル樹脂が含有される結合剤を含む。この時,表面保護層形成用組成物の固形分を基準とする,結合剤の含量は60から100重量%の範囲内である。更に,結合剤の総重量に対する前記ポリエステル樹脂の含量は,50から100重量%の範囲内であることが望ましい。
【0068】
単層構造の感光層を有する有機感光体は,導電性支持体の表面に感光層形成用組成物をコーティングして乾燥させることによって感光層が形成される。感光層形成用組成物は,電荷発生物質,電荷輸送物質,結合剤,及び溶媒を含む。そして,前記結合剤には,化学式1で表示されるビフェニルフルオレン反復単位を主鎖中に有するポリエステル樹脂が含まれる。この時,感光層形成用組成物の固形分を基準とする結合剤の含量は40から90重量%の範囲内である。更に,結合剤の総重量に対する前記ポリエステル樹脂の含量は50から100重量%の範囲内であることが望ましい。
【0069】
前記電荷発生層形成用組成物及び電荷輸送層形成用組成物をコーティングする際の手法については特に制限はないが,リングコーティング法,ディップコーティング法などの手法によるのが望ましい。
【0070】
前述したように形成される感光層全体の厚さは,5〜50μmの範囲内であることが望ましい。そして,感光層を構成する電荷発生層の厚さは0.1〜1μm,電荷輸送層の厚さは5〜50μm,表面保護層の厚さは0.1〜5μmの範囲内であることが望ましい。
【0071】
次に,前述した感光層に含まれる,溶媒,電荷発生物質,及び電荷輸送物質を組成する成分について,それぞれ具体的に説明する。
【0072】
溶媒は,前述した電荷発生層形成用組成物,電荷輸送層形成用組成物,及び感光層形成用組成物の中に含有される。前記溶媒の含量は,それぞれの組成物(電荷発生層形成用組成物,電荷輸送層形成用組成物または感光層形成用組成物)の固形分の重量を基準とすると,2から100重量%の範囲内であることが望ましい。
【0073】
溶媒の例としては,アルコール類,ケトン類,アミド類,エーテル類,エステル類,スルホン類,芳香族類,脂肪族ハロゲン化炭化水素類などの有機溶媒が挙げられる。
【0074】
前記有機溶媒の例としては,アルコール類としてはメタノール,エタノール,ブタノール,イソプロピルアルコールなど,ケトン類としてはアセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノンなど,アミド類としてはN,N−ジメチルフォルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミドなど,エステル類としてはエチルアセテート,メチルアセテートなど,スルホン類としてはジメチルスルホキシド,スルホランなど,芳香族類としてはベンゼン,トルエン,キシレン,モノクロロベンゼン,ジクロロベンゼンなど,脂肪族ハロゲン化炭化水素類としてはメチレンクロライド,クロロホルム,テトラクロロカーボン,トリクロロエタンなど,が挙げられる。
【0075】
電荷発生物質の例としては,フタロシアニン系顔料,アゾ系顔料,キノン系顔料,ペリレン系顔料,インジゴ系顔料,ビスベンゾイミダゾール系顔料,キナクリドン系顔料,アズレニウム系染料,スクアリリウム系染料,ピリリウム系染料,トリアリルメタン系染料,シアニン系染料などの有機材料や,非晶質シリコン,非晶質セレン,三方晶セレン,テルル,セレン−テルル合金,硫化カドミウム,硫化アンチモン,硫化亜鉛などの無機材料が挙げられる。
【0076】
電荷輸送物質には,正孔輸送物質または電子輸送物質のいずれかを使用することができる。
【0077】
電荷輸送物質としての正孔輸送物質には,含窒素環状化合物,縮合多環式化合物,またはこれらの混合物などが挙げられる。更に,前記化合物の置換基を主鎖あるいは側鎖に有する高分子化合物,またはポリシラン系化合物を使用することもできる。前記含窒素環状化合物の例としては,ピレン系,カルバゾール系,ヒドラゾン系,オキサゾール系,オキサジアゾール系,ピラゾリン系,アリルアミン系,アリルメタン系,ベンジジン系,チアゾール系,スチリル系などの化合物がある。
【0078】
電荷輸送物質としての電子輸送物質には,ベンゾキノン系,シアノエチレン系,シアノキノジメタン系,フルオレン系,キサントン系,ペナントラキノン系,無水フタル酸系,チオピラン系,ジフェノキノン系などの電子水溶性材料,またはその混合物などが挙げられる。
【0079】
本実施形態においては,正孔輸送物質として,特に化学式7または8に示される化合物を使用することが望ましい。
【0080】
【化18】
【0081】
【化19】
【0082】
前記感光層及び/または表面保護層は,結合剤の他に更に添加剤を含むことができる。前記添加剤には,可塑剤,レベリング剤,分散安定剤,酸化防止剤,光安定剤などがある。酸化防止剤の例としては,フェノール系化合物,硫黄系化合物,燐系化合物,アミン系化合物などが挙げられ,光安定剤の例としては,ベンゾトリアゾール系化合物,ベンゾフェノン系化合物,束縛アミン系化合物などが挙げられる。
【0083】
また,本実施形態にかかる有機感光体は,付加層を更に含むこともできる。前記付加層の例としては導電性支持体と感光層との間に設けられる中間層があり,このような中間層は,導電性支持体と感光層との接着性を向上させるため,あるいは導電性支持体から感光層への電荷の注入を阻止するために設けられる。
【0084】
前述した有機感光体を設けた電子写真方式画像形成装置によって画像が形成される過程を説明する。先ず,有機感光体の表面を静電気によって均一に帯電させる。次に,帯電された有機感光体の表面に画像パターンを保有する光を照射して露光された部分の静電気を除電することにより,有機感光体の表面に静電潜像を形成する。そして,前記静電潜像が形成された有機感光体の表面に液体現像剤を直接接触させて現像を行うことにより可視画像を形成し,前記可視画像を印刷媒体あるいは中間転写体に転写する。
【0085】
次に,液体現像剤を組成する成分について説明する。液体現像剤は,溶媒の中に着色剤,帯電制御剤などが分散されて製造される。液体現像剤中の着色剤と溶媒との比率は,着色剤1重量に対して,溶媒は5から100重量の範囲内であることが望ましい。
【0086】
液体現像剤の溶媒の例としては,脂肪族炭化水素(n−ペンタン,ヘキサン,ヘプタン等),脂環族炭化水素(シクロペンタン,シクロヘキサン等),芳香族炭化水素(ベンゼン,トルエン,キシレン等),ハロゲン化炭化水素溶媒(塩素化アルカン,フッ素化アルカン,クロロフルオロカーボン等),シリコンオイル類,及びこれら混合物などが挙げられる。その中でも特に,脂肪族炭化水素系の溶媒が望ましく,更に,分枝型パラフィン溶媒の混合物が最も望ましい。分枝型パラフィン溶媒の混合物の例としては,Exxon 社製のIsopar GTM,Isopar HTM,Isopar KTM,Isopar LTM,Isopar MTM,Isopar VTMや,同じくExxon 社製のNorpar 12TM,Norpar 13TM ,Norpar 15TMなどが挙げられる。
【0087】
液体現像剤の着色剤には,染料,ステイン,顔料などの物質を含む,当該技術分野で公知の着色剤であればいずれもが有用である。このような着色剤の具体的な例は数限りなく存在するが,数例を挙げると,フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue),モノアリリドイエロー,ジアリリドイエロー,アリルアミドイエロー,アゾレッド,キナクリドンマゼンタ,微粒子カーボンや同種のブラック顔料,などが挙げられる。
【0088】
本発明の実施の形態を,実施例及び比較例を挙げてより詳細に説明する。下記実施例は例示的なものであり,本発明の範囲を限定するものではない。
【0089】
実施例及び比較例では,有機感光体の感光層の結合剤の組成を変えた場合の,有機感光体の液体現像剤に対する耐久性,及び静電特性を比較及び評価した。
【0090】
実施例1,2及び比較例1,2の有機感光体は,いずれも電荷発生層の上に電荷輸送層が積層される2層構造の感光層を有する負帯電型の電子写真有機感光体である。実施例1及び2では,電荷輸送層を組成する結合剤に本実施形態で説明した物質を使用した。これに対し比較例1及び2では,結合剤に,従来より使用されている一般的な物質を使用した。
【0091】
【実施例1】
電荷発生層の上に電荷輸送層が積層される2層構造の感光層を有する負帯電型の電子写真有機感光体を以下の通り製造した。
【0092】
アルミニウム製の直径30mm,長さ260mmのドラム上に,ガンマ型チタニルフタロシアニン7重量部,ポリビニルブチラル樹脂(積水化学製 S−LEC BH−3TM)3重量部,酢酸エチル290重量部をサンドミルで分散して得た電荷発生層形成用組成物をリングコート法で塗布してから乾燥させて,厚さ0.4μmの電荷発生層を形成した。次に,前記電荷発生層上に,電荷輸送層形成用組成物をリングコート法で塗布してから乾燥させて,厚さ20μmの電荷輸送層を形成した。
【0093】
電荷輸送層形成用組成物は,結合剤としての化学式5で示されるポリエステル樹脂(鐘紡社製 O−PETTM)(m/n=7/3,Mw=40,000)60重量部と,電荷輸送物質としての化学式7で示される電荷輸送物質40重量部とを,溶媒としてのクロロホルム300重量部に溶解させて組成した。
【0094】
【実施例2】
電荷発生層の上に電荷輸送層が積層される2層構造の感光層を有する負帯電型の電子写真有機感光体を,以下の通り電荷輸送層形成用組成物の組成のみを実施例1に対して変更して,それ以外の組成物及び製造方法は実施例1と同様にして製造した。
【0095】
電荷輸送層形成用組成物は,実施例1の結合剤としての化学式5のポリエステル樹脂を化学式6で示されるポリエステル樹脂(Isonova社製 ISARYL25STM)(k=200)に代え,実施例1の化学式7の電荷輸送物質を化学式8で表示される電荷輸送物質に代えて組成した。
【0096】
(比較例1)
電荷発生層の上に電荷輸送層が積層される2層構造の感光層を有する負帯電型の電子写真有機感光体を,以下の通り電荷輸送層形成用組成物の組成のみを実施例1に対して変更して,それ以外の組成物及び製造方法は実施例1と同様にして製造した。
【0097】
電荷輸送層形成用組成物は,実施例1の結合剤としての化学式5のポリエステル樹脂を一般的な結合剤であるポリカーボネートZ樹脂(三菱ガス化学製 Iupilon Z−200TM)に代えて組成した。
【0098】
(比較例2)
電荷発生層の上に電荷輸送層が積層される2層構造の感光層を有する負帯電型の電子写真有機感光体を,以下の通り電荷輸送層形成用組成物の組成のみを実施例2に対して変更して,それ以外の組成物及び製造方法は実施例2と同様にして製造した。
【0099】
電荷輸送層形成用組成物は,実施例2の結合剤としての化学式6のポリエステル樹脂を化学式9で示される汎用ポリエステル樹脂(東洋紡績社製 Vylon−200TM)に代えて組成した。
【0100】
先ず,前記実施例1,2及び比較例1,2によって製造された電子写真有機感光体について,液体現像剤の脂肪族炭化水素系溶媒に対する耐久性を下記溶媒浸漬実験によって比較した。
【0101】
溶媒浸漬実験では,脂肪族炭化水素系溶媒(Exxon Chemical社製 Isopar LTM)を充填した容器(容積500ml)に実施例1,2及び比較例1,2の感光体試料を浸漬し,これらを室温(25℃)に約10日間放置した。
【0102】
その後,特に電荷輸送層を中心とする感光体の感光層の状態と,液体現像剤の溶媒の状態とを観察した。その結果を下記表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
次に,前記実施例1,2及び比較例1,2によって製造された電子写真有機感光体について,その静電特性を下記方法によって比較した。
【0105】
感光体の静電特性の評価には,ドラム感光体評価装置(QEA社製 PDT−2000TM)を使用した。測定は,前記溶媒浸漬実験の前と後にそれぞれ,光を照射しない場合の感光体の表面電位V0(V)と,10mJ/m2の光を照射した後の感光体の表面電位V1(V)と,露光前の表面電位V0を1/2に減衰させるのに必要な露光エネルギーE1/2(mJ/m2)とに対して行った。
【0106】
測定条件としては,先ず,帯電器の感光体に対する相対速度が100mm/secの条件下で,感光体を−7.5kVの電圧でコロナ帯電させ,前記帯電された感光体に,波長780mmの単色光を露光エネルギー0〜10mJ/m2の範囲内で照射した。
【0107】
下記表2に,前記溶媒浸漬実験の前と後の,感光体の表面電位,及び半減衰露光エネルギーを示す。
【0108】
【表2】
【0109】
表1によると,実施例1及び2ではいずれも,液体現像剤に浸漬された後の感光層の変化,及び液体現像剤への感光体成分の湧出は認められなかった。これに対し,比較例1及び2では,感光層の表面が劣化し,また,液体現像剤の溶媒にも感光体成分の湧出を示す変化が見受けられた。
【0110】
従って表1より,実施例1及び2の有機感光体は,液体現像剤に対する耐久性が,比較例1及び2の有機感光体よりも優れていると言える。
【0111】
次に表2において,露光による感光層の表面電位のV0からV1への変化を,液体現像剤に浸漬された前と後とで比較してみる。実施例1及び2では,感光体が液体現像剤に浸漬された後でも,浸漬前と同様に,感光体表面の電荷が露光によって良好に除電されている。これに対し比較例1は,浸漬前には感光体表面の電荷の除電は良好に行われているものの,浸漬後の表面電位が十分に低下しておらず除電が良好に行われていないことを示している。また比較例2は,浸漬前から残留電位があり,その現象は浸漬後には更に悪化している。
【0112】
また表2において,露光前の表面電位V0を1/2に減衰させるのに必要な露光エネルギーE1/2(mJ/m2)を,液体現像剤に浸漬された前と後とで比較してみる。実施例1及び2では,感光体が液体現像剤に浸漬された後でも,浸漬前と同等のエネルギーで感光層の電位を減衰させることができている。これに対し比較例1は,浸漬前には実施例1及び2と同等のエネルギーで感光層の電位を減衰させているものの,浸漬後にはより大きいエネルギーを要している。また比較例2は,浸漬前から減衰に大きいエネルギーを要しており,その現象は浸漬後には更に悪化している。
【0113】
従って表2より,実施例1及び2の有機感光体は,優れた静電特性を持ち,その特性は液体現像剤に浸漬された後も変化していないことから,液体現像剤に対する耐久性も優れていると言える。これに対し比較例1は,初期の静電特性は良好なものの,その特性は液体現像剤に浸漬された後には劣化しているので,液体現像剤に対する耐久性が乏しいと言える。また比較例2は,初期から静電特性が劣っており,また液体現像剤に対する耐久性も乏しいことがわかる。
【0114】
表2に示される比較例1及び2の浸漬後の静電特性の劣化は,表1に示される感光層の変化と対応している。即ち,浸漬の影響で感光層の表面には表1に示されるクラックや白濁化の現象が現われ,その結果,感光層の静電特性は表2の数値に示されるように劣化し,また表1に示されるように感光体成分が湧出して現像剤を汚染したと言える。
【0115】
従って,上記実施例1,2及び比較例1,2によって,本実施形態にかかる有機感光体は,優れた静電特性を有し,液体現像剤に対する耐久性にも優れるため,良好な現像を行うことができ,またその状態を安定的に維持できることを示すことができた。
【0116】
以上説明したように,有機感光体の表面層を構成する結合剤として,化学式1で表示されるビフェニルフルオレン反復単位を有するポリエステル樹脂を使用すれば,液体現像剤と長時間接触させても感光層にクラックは生じず,また,感光層の表面層形成材料が溶媒中に湧出されることもない。これは,ポリエステル樹脂の主鎖と概ね垂直に配置されるビフェニルフルオレン骨格の立体障害によって,高分子鎖間の解離エネルギーが増大して脂肪族炭化水素系溶媒の浸透が効果的に阻止され,同時に感光層の表面層形成材料の離脱が妨害されるからであると考えられる。
【0117】
以上,本発明に係る好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0118】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば,有機感光体の表面層を構成する結合剤として,化学式1で表示されるビフェニルフルオレン反復単位を有するポリエステル樹脂を使用することにより,液体現像剤に対する耐久性に優れる電子写真的な画像形成方法を提供できるものである。
Claims (7)
- 電子写真有機感光体に液体現像剤を直接接触させて現像する電子写真的な画像形成方法において,
前記液体現像剤は,脂肪族炭化水素,脂環族炭化水素,芳香族炭化水素,ハロゲン化炭化水素溶媒,またはシリコンオイル類からなる群より選択される1または2以上の物質からなる溶媒を含み,
前記有機感光体の表面層に含まれた結合剤が,下記化学式2で表示される反復単位を有するポリエステル樹脂,下記化学式3で表示される反復単位を有するポリエステル樹脂,または,下記化学式2,3もしくは4で表示される反復単位のうちの2種以上を含む共重合体であるポリエステル樹脂を含んで,前記液体現像剤に含まれる溶媒から前記有機感光体全体を保護するようにしたこと,
を特徴とする電子写真的な画像形成方法。
- 前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量が20,000から200,000であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真的な画像形成方法。
- 前記ポリエステル樹脂の含量は感光層の表面層で使われる結合剤の総重量に対して50から100重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真的な画像形成方法。
- 前記有機感光体が導電性支持体とその上部に積層された感光層とよりなり,前記感光層は電荷発生物質層と電荷輸送層とが順次に積層されるか,またはその逆に積層されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真的な画像形成方法。
- 前記感光体が導電性支持体と,その上部に積層された感光層とよりなり,前記感光層は電荷輸送物質,電荷発生物質及び結合剤よりなる単層構造を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真的な画像形成方法。
- 前記感光体が導電性支持体と,その上部に順次に積層された感光層とオーバーコート層とよりなることを特徴とする請求項1に記載の電子写真的な画像形成方法。
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