JP6579073B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
本発明の第一実施形態に係るポリアリレート樹脂は、一般式(1)で表される。以下、このようなポリアリレート樹脂をポリアリレート樹脂(1)と記載することがある。
バインダー樹脂の製造方法は、ポリアリレート樹脂(1)を製造できれば、特に限定されない。これらの製造方法として、例えば、ポリアリレート樹脂の繰返し単位を構成するための芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸とを縮重合させる方法が挙げられる。ポリアリレート樹脂(1)の合成方法は特に限定されず、公知の合成方法(より具体的には、溶液重合、溶融重合、又は界面重合等)を採用することができる。以下、ポリアリレート樹脂(1)の製造方法の一例を説明する。
本発明の第二実施形態に係る電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)は、導電性基体と、感光層とを備える。感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体(以下、積層型感光体と記載することがある)、又は単層型電子写真感光体(以下、単層型感光体と記載することがある)が挙げられる。
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部に導電性を有する材料で構成することができる。導電性基体としては、例えば、導電性を有する材料で構成される導電性基体、又は導電性材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。2種以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、又は真鍮)が挙げられる。
感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂としてポリアリレート樹脂(1)とを含有する。感光層は、添加剤を更に含有してもよい。積層型感光体では、感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層とを備える。電荷発生層は、電荷発生剤を含有する。電荷輸送層は、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを含有する。電荷発生層の厚さは、電荷発生層として十分に作用することができれば、特に限定されない。電荷発生層の厚さは、具体的には、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層の厚さは、電荷輸送層として十分に作用することができれば、特に限定されない。電荷輸送層の厚さは、具体的には、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
以下、電荷発生剤、正孔輸送剤、及びバインダー樹脂を説明する。更に添加剤を説明する。
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤であれば、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンのような無機光導電材料の粉末、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、又はキナクリドン系顔料が挙げられる。フタロシアニン系顔料としては、例えば、フタロシアニン又はフタロシアニン誘導体が挙げられる。フタロシアニンとしては、例えば、無金属フタロシアニン顔料(より具体的には、X型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)等)が挙げられる。フタロシアニン誘導体としては、例えば、金属フタロシアニン顔料(より具体的には、チタニルフタロシアニン、又はV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン等)が挙げられる。フタロシアニン系顔料の結晶形状については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。フタロシアニン顔料の結晶形状としては、例えば、α型、β型、又はY型が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。感光層がポリアリレート樹脂を含有する場合、電荷発生剤は、フタロシアニン系顔料が好ましく、金属フタロシアニン顔料がより好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが更に好ましい。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法を説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。得られたX線回折スペクトルから主ピークを決定し、主ピークのブラッグ角を読み取る。
正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン誘導体(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体);オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール);スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン);カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール);有機ポリシラン化合物;ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン);ヒドラゾン系化合物;インドール系化合物;オキサゾール系化合物;イソオキサゾール系化合物;チアゾール系化合物;チアジアゾール系化合物;イミダゾール系化合物;ピラゾール系化合物;トリアゾール系化合物が挙げられる。
バインダー樹脂は、積層型感光体の電荷輸送層又は単層型感光体の感光層に用いられる。バインダー樹脂は、ポリアリレート樹脂(1)を含む。感光体がポリアリレート樹脂(1)を含有することにより、感光体の耐フィルミング性を向上させることができる。
電荷発生層、電荷輸送層、単層型感光体の感光層及び中間層のうちの少なくとも一つが、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、電子輸送剤及び電子アクセプター化合物、ドナー、界面活性剤、又はレベリング剤が挙げられる。これらの添加剤のうち、酸化防止剤、並びに電子輸送剤及び電子アクセプター化合物を以下で説明する。
積層型感光体では、電荷発生層は、電荷発生層用バインダー樹脂(以下、ベース樹脂と記載することある)を含有してもよい。ベース樹脂は、感光体に適用できる限り、特に限定されない。ベース樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエーテル樹脂、又はポリエステル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、又はその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリル酸系樹脂、又はウレタン−アクリル酸系樹脂が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのベース樹脂のうち、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
第二実施形態に係る感光体は、中間層(例えば、下引き層)を有してもよい。中間層は、例えば、無機粒子、及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層を介在させると、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、電気抵抗の上昇を抑えることができる。
感光体の製造方法について説明する。感光体の製造方法は、例えば、感光層形成工程を有する。
積層型感光体の製造方法において、感光層形成工程は、電荷発生層形成工程と電荷輸送層形成工程とを有する。電荷発生層形成工程では、まず、電荷発生層を形成するための塗布液(以下、電荷発生層用塗布液と記載することがある)を調製する。電荷発生層用塗布液を導電性基体上に塗布する。次いで、適宜な方法で乾燥することによって、塗布した電荷発生層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して電荷発生層を形成する。電荷発生層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、ベース樹脂と、溶剤とを含む。このような電荷発生層用塗布液は、電荷発生剤を溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。電荷発生層用塗布液は、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。
単層型感光体の製造方法において、感光層形成工程では、感光層を形成するための塗布液(以下、感光層用塗布液と記載することがある)を調製する。感光層用塗布液を導電性基体上に塗布する。次いで、適宜な方法で乾燥することによって、塗布した感光層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して感光層を形成する。感光層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(1)と、溶剤とを含む。このような感光層用塗布液は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(1)とを溶剤に溶解又は分散させることにより調製する。感光層用塗布液は、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。
第二実施形態で説明した電荷発生剤(CGM−2)を準備した。電荷発生剤(CGM−2)は、化学式(CGM−2)で表されるチタニルフタロシアニン(Y型チタニルフタロシアニン結晶)であった。結晶構造はY型であった。
Y型チタニルフタロシアニン結晶を、以下のように調製した。まず、チタニルフタロシアニンを合成した。アルゴン置換したフラスコ中に、o−フタロニトリル22g(0.17mol)と、チタンテトラブトキシド25g(0.073mol)と、キノリン300gと、尿素2.28g(0.038mol)とを加えた。フラスコの内容物を攪拌しつつフラスコの内温を150℃まで昇温した。
次いで、Y型チタニルフタロシアニン結晶を調製した。この調製では、岩礁化前処理と、顔料化処理とを行った。
青紫色の固体12gを反応容器へ投入し、N,N−ジメチルホルムアミド100mL中に加えた。反応容器の内容物を攪拌しつつ反応容器の内温を130℃に昇温し、反応容器の内温を130℃に維持して更に2時間攪拌した。次いで、2時間経過した時点で温度保持を停止し、反応容器を冷却した。反応容器の内温が23±1℃となった時点で攪拌を停止した。この状態で12時間、反応容器の内容物を静置して安定化処理を行った。そして安定化された後に内容物の上澄みをガラスフィルターによってろ別し、固体を得た。固体をメタノールで洗浄した後、真空乾燥した。その結果、チタニルフタロシアニンの粗結晶11.8gを得た。
チタニルフタロシアニンの粗結晶10gを、97wt%の濃硫酸100gに加えて溶解し、溶液を調製した。なお、かかる酸処理は、5℃で1時間行った。次いで、この溶液を、氷冷下の純水5L中に毎分10mLにて滴下した。その後15±3℃付近で30分間、攪拌した。その後30分静置した。次いで溶液をガラスフィルターでろ過し、ウェットケーキを得た。
第二実施形態で説明した正孔輸送剤(HTM−1)〜(HTM−9)を準備した。
第一実施形態で説明したポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−7)に加えて、ポリアリレート樹脂(Resin−8)〜(Resin−11)を準備した。ポリアリレート樹脂(Resin−8)〜(Resin−11)は、それぞれ化学式(Resin−8)〜(Resin−11)で表される。
以下に、ポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−7)の合成方法を説明する。
三口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器は、温度計、三方コック、及び滴下ロート200mLを備えた容量1Lの三口フラスコである。反応容器に9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン31.25g(82.56ミリモル)と、t−ブチルフェノール0.124g(0.826ミリモル)と、水酸化ナトリウム7.84g(196ミリモル)と、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド0.240g(0.768ミリモル)とを投入した。次いで、反応容器内をアルゴン置換した。その後、水600mLを更に反応容器に投入した。反応容器の内温20℃の条件下で、反応容器の内容物を1時間攪拌した。次いで、反応容器の内容物を冷却し、反応容器の内温を10℃まで降温した。このようにしてアルカリ性水溶液を調製した。
9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンをポリアリレート樹脂((Resin−2)〜(Resin−7))の出発物質である芳香族ジオールに変更し、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジクロリド及び4,4’−オキシビス安息香酸クロリドをポリアリレート樹脂((Resin−2)〜(Resin−7))の出発物質であるハロゲン化アルカノイルに変更した以外は、ポリアリレート樹脂(Resin−1)と同様にしてそれぞれポリアリレート樹脂(Resin−2)〜(Resin−7)を製造した。また、ポリアリレート樹脂(Resin−2)〜(Resin−7)の製造における出発物質の物質量は、ポリアリレート樹脂の製造における物質量と同様であった。ここで、出発物質の物質量は、芳香族ジカルボン酸の合計物質量、及び芳香族ジオールの物質量を示す。
ポリアリレート樹脂(Resin−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=8.81(s, 1H), 8.26(d, 1H), 8.20(d, 2H), 8.09(d, 1H), 7.74−7.80(m, 2H), 7.28−7.48(m, 7H), 6.99−7.18(m, 7H), 2.11−2.18(m, 6H).
[感光体(A−1)]
以下、実施例1に係る感光体(A−1)の製造について説明する。
はじめに、表面処理された酸化チタン(テイカ株式会社製「試作品SMT−A」、平均一次粒径10nm)を準備した。詳しくは、アルミナとシリカとを用いて酸化チタンを表面処理し、更に、表面処理された酸化チタンを湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて表面処理したものを準備した。次いで、表面処理された酸化チタン(2質量部)と、ポリアミド樹脂であるアミラン(登録商標)(東レ株式会社製「CM8000」)(1質量部)とを、メタノール(10質量部)、ブタノール(1質量部)及びトルエン(1質量部)を含む溶剤に対して添加した。アミランは、ポリアミド6,ポリアミド12,ポリアミド66,及びポリアミド610の四元共重合ポリアミド樹脂であった。ビーズミルを用いて、これらの材料及び溶媒を5時間混合し、溶剤中に材料を分散させた。これにより、中間層用塗布液を調製した。
Y型チタニルフタロシアニン結晶(1.5質量部)と、ベース樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製「エスレックBX−5」)(1質量部)とを、プロピレングリコールモノメチルエーテル(40質量部)及びテトラヒドロフラン(40質量部)を含む溶剤に対して添加した。ビーズミルを用いて、これらの材料及び溶媒を12時間混合し、溶剤中に材料を分散させて、電荷発生層用塗布液を作製した。得られた電荷発生層用塗布液を、目開き3μmのフィルターを用いてろ過した。次いで、得られたろ過液を、上述のようにして形成された中間層上にディップコート法を用いて塗布し、50℃で5分間乾燥させた。これにより、中間層上に電荷発生層(膜厚0.3μm)を形成した。
正孔輸送剤(HTM−1)50質量部と、添加剤としてのヒンダードフェノール酸化防止剤(BASF株式会社製「イルガノックス(登録商標)1010」)2質量部と、電子アクセプター化合物として3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジフェノキノン2質量部と、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(Resin−1)(粘度平均分子量40,000)100質量部とを、テトラヒドロフラン550質量部及びトルエン150質量部を含む溶剤に対して添加した。これらを12時間混合し、溶剤中に材料を分散させて、電荷輸送層用塗布液を調製した。
正孔輸送剤(HTM−1)の代わりに表1に記載の正孔輸送剤を用いた。バインダー樹脂としてポリアリレート樹脂(Resin−1)の代わりに表1に記載のバインダー樹脂を用いた。そのようにして感光体(A−2)〜(A−15)及び感光体(B−1)〜(B−4)をそれぞれ得た。表1は感光体(A−1)〜(A−15)及び感光体(B−1)〜(B−4)の構成を示す。表1中、欄「正孔輸送剤の種類」のHTM−1〜HTM−9は、それぞれ正孔輸送剤(HTM−1)〜(HTM−9)を示す。欄「バインダー樹脂の種類」のResin−1〜Resin−11は、それぞれポリアリレート樹脂(Reisn−1)〜(Resin−11)を示す。欄「バインダー樹脂の分子量」は、バインダー樹脂の粘度平均分子量を示す。
<耐フィルミング性の評価>
(画像評価)
感光体(A−1)〜(A−15)及び感光体(B−1)〜(B−4)の何れかを評価機に搭載した。評価機は、改造機(株式会社沖データ製「カラープリンターC711dn」の改造機)であった。評価機のトナーカートリッジにシアントナーを充填した。高温高湿環境(温度32℃及び相対湿度85%RH:以下、HH環境と記載することがある)下及び16秒間隔で2,000枚印字した。次いで、低温低湿環境(温度10℃及び相対湿度15%RH:以下、LL環境と記載することがある)下で2,000枚印字した。次いで、2時間静置した後に、LL環境下にてソリッド画像(画像濃度100%)を1枚印字した。ソリッド画像を評価画像とした。目視で評価画像を観察しフィルミングの発生の有無を確認して、下記基準で耐フィルミング性を評価した。
(評価基準)
○(良い):画像の欠け(フィルミング)が確認されなかった。
×(悪い):画像の欠け(フィルミング)が確認された。
[感光体表面の画像作成]
印刷終了後(上記画像評価において評価画像を作成した後)、感光体を画像形成装置から取り出し、感光体表面におけるトナーフィルミングの発生の程度を観察した。具体的には、光学顕微鏡(株式会社ニコン社製「セナーK・K」)を用いて感光体表面を観察し、観察画像を得た。光学顕微鏡の視野は、1.7mm×2.1mm角であり、倍率は50倍であった。感光体の観察箇所は、以下の示す感光体の上端25mm、中央部、及び下端から25mmの三か所であった。
測定箇所1:感光体の中心部
測定箇所2:感光体の上端面から下端面に向かう方向に上端面から20mm移動した箇所
測定箇所3:感光体の下端面から上端面に向かう方向に下端面から20mm移動した箇所
観察画像に対して二値化処理を施した。具体的には、画像解析ソフトウェア(Image J)を用いて、観察画像に対して輝度値180を閾値とした2値化処理を行った。観察画像を構成する画素は、各々、0以上255以下の輝度値を有していた。閾値未満の輝度値を有する画素は、トナーフィルミングが発生している領域に対応する。一方、閾値以上の輝度値を有する画素は、トナーフィルミングが発生していない領域に対応する。
面積比率A[%]=[At/(At+An)]×100・・(計算式1)
フィルミング率が小さい程、感光体表面にトナーフィルミングが発生していないことを示す。例えば、フィルミング率が5.0%以下であると、形成される画像に画像不良が現れ難い。
(帯電電位V0の測定)
感光体(A−1)〜(A−15)及び感光体(B−1)〜(B−4)の何れかに対して、ドラム感度試験機(ジュンテック株式会社製)を用いて、回転数31rpm及びドラム流れ込み電流−10μAの条件下で、帯電させた。感光体の表面電位を測定した。測定した表面電位を帯電電位(V0)とした。測定環境は、温度23℃、かつ相対湿度50%RHであった。
感光体(A−1)〜(A−15)及び感光体(B−1)〜(B−4)の何れかに対して、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、回転数31rpm及び帯電電位−600Vの条件で帯電させた。次いで、単色光(波長:780nm、露光量:0.8μJ/cm2)をハロゲンランプの光からバンドパスフィルターを用いて取り出し、感光体の表面に照射した。単色光の照射終了後、80ミリ秒が経過した後の表面電位を測定した。測定した表面電位を感度電位(VL)とした。測定環境は、温度23℃、かつ相対湿度50%RHであった。
2 導電性基体
3 感光層
3a 電荷発生層
3b 電荷輸送層
4 中間層
Claims (5)
- 導電性基体と、感光層とを備える電子写真感光体であって、
前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを含有し、
前記バインダー樹脂は、下記一般式(1)で表されるポリアリレート樹脂を含む、電子写真感光体。
R 1 、R 2 、R 3 、及びR 4 は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、
r、s、t、及びuは、何れも正の整数を表し、
r+s+t+u=100であり、
r+t=s+uであり、
r/(r+t)は、0.10以上0.70以下であり、
s/(s+u)は、0.10以上0.70以下であり、
Xは、化学式(2A)、化学式(2B)、化学式(2C)、又は化学式(2D)で表される二価の基を表し、
Yは、化学式(4A)、化学式(4B)、化学式(4C)、化学式(4D)、又は化学式(4E)で表される二価の基を表し、
X及びYは、互いに異なる。
- 前記正孔輸送剤が、一般式(2)、一般式(3)、又は一般式(4)で表される化合物を含む、請求項1に記載の電子写真感光体。
Q1は、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を有してもよいフェニル基を表し、
Q2は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、
Q3、Q4、Q5、Q6、及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、Q3、Q4、Q5、Q6、及びQ7のうちの隣接した二つが互いに結合して環を形成してもよく、
aは、0以上5以下の整数を表し、aが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
Q8、Q10、Q11、Q12、Q13、及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、
Q9及びQ15は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、
bは、0以上5以下の整数を表し、bが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ9は、互いに同一でも異なっていてもよく、
cは、0以上4以下の整数を表し、cが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ15は、互いに同一でも異なっていてもよく、
kは、0又は1を表す。
Ra、Rb及びRcは、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表し、
qは、0以上4以下の整数を表し、qが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRcは、互いに同一でも異なっていてもよく、
m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、mが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、nが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRaは、互いに同一でも異なっていてもよい。 - 前記一般式(2)中、
Q1は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を有するフェニル基又は水素原子を表し、
Q2は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表し、
Q3、Q4、Q5、Q6及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表し、Q3、Q4、Q5、Q6及びQ7のうち隣接した二つが互いに結合して環を形成してもよく、
aは、0又は1を表し、
前記一般式(3)中、
Q8、Q10、Q11、Q12、Q13及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又はフェニル基を表し、
b及びcは、0を表し、
前記一般式(4)中、
Ra及びRbは、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表し、
m及びnは、各々独立に、0以上2以下の整数を表し、
qは0を表す、請求項2に記載の電子写真感光体。 - 前記感光層は、前記電荷発生剤を含有する電荷発生層と、前記正孔輸送剤、及び前記バインダー樹脂を含有する電荷輸送層とを備え、
前記電荷輸送層は一層であり、前記電荷輸送層は最表面層として配置される、請求項1〜4の何れか一項に記載の電子写真感光体。
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