JP4077539B2 - 電磁クラッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁クラッチに関し、特に詳細には回転軸の抜け止め構造に特徴を有する電磁クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電磁クラッチ100の基本的な構成について図17、図18、図19を用いて説明する。
まず、電磁クラッチ100の各構成要素について詳細に説明する。
ヨーク102は磁性体(一例として鉄)を用いて、外形が有底の円筒状に形成されている。そして底部102aには円形孔104が開口されている。
電磁コイル106は、電気的絶縁性を有する合成樹脂材料を用いて形成されたボビン108と、このボビン108の筒状部108bの外周面に巻回された電線110とで構成されている。ここで筒状部108bの両端に形成されたフランジ108aの外形は電磁コイル106が円筒状のヨーク102内部に装着できるようにヨーク102の内周面の断面形状に合わせて円環に設定されている。
【0003】
スリーブ112は磁性体(一例として鉄)を用いて、ボビン108の筒状部108bの内径よりも若干小径な外径の円筒状に形成されている。スリーブ112は電磁コイル106をヨーク102内に固定すると共に、電磁コイル106の磁気回路を形成するためのものであり、その取付構造は、ヨーク102に電磁コイル106を装着し、スリーブ112をボビン108の筒状部108bに挿入する。そしてスリーブ112の挿入側の端部をカシメ等の手段によってヨーク102の円形孔104の口縁若しくは内周に連結すると共に、拡径された他方の端部112aをボビン108のフランジ108aの側面に密着させる。これにより、電磁コイル106はヨーク102の内周面とスリーブ112の外周面との間で保持され、ヨーク102、電磁コイル106、スリーブ112とから成るヨークアセンブリが完成する。
そしてヨークアセンブリの中心には、ボビン108の筒状部108bと同軸であって、筒状部108b内に位置する円形孔が、スリーブ112の内周面によって形成される。
【0004】
回転軸114は円筒状の外形を有し、磁性体(一例として鉄等の金属材)を用いて形成されている。また、両端部の外周面には止め輪用の溝116が周方向に沿って設けられている。回転軸114の外径はスリーブ112の内径よりも若干小径に形成されて、ヨークアセンブリの中心に形成された円形孔内、すなわちスリーブ112内に挿入される。
また回転軸114内には出力軸(不図示)が装着されるが、この出力軸が回転軸114と一体に回転できるように、回転軸114の内周面には出力軸に設けられたフラット部(不図示)と嵌合するDカット部114aが形成されている。
【0005】
ロータ118は磁性体(一例として鉄等の金属材)を用いてリング状に形成され、中心に設けられた円形孔内に回転軸114が挿入されて、回転軸114の外周面に回転軸114と同軸となるように固定されている。固定方法は通常はロータ118の円形孔内に回転軸114を圧入して固定することが行われる。
そしてロータ118の回転軸114上での固定位置は、ロータ118が固定された回転軸114をスリーブ112内に挿入した際に、ロータ118が電磁コイル106の端面と接近した位置となり、かつ回転軸114の挿入側の端部に形成された止め輪用の溝116がヨーク102の外壁面から突出する位置となるように設定されている。
ハブ120は外部から回転力が入力されるものであり、一例として合成樹脂材料を用いて円盤状に形成され、その外周面に歯が形成されて成る。ハブ120はロータ118を挟んで電磁コイル106と反対側の回転軸114の外周面に回転軸114と同軸となるように回転自在に外嵌される。また、ハブ120の中央部分に設けられた回転軸114が挿通される円形孔120aのロータ118側の口縁には図18に示すように筒状の延出部120bが形成されて、ハブ120が回転軸114に外嵌された際に、ハブ120とロータ118との間に隙間が形成される構造となっている。
【0006】
アーマチュア122は磁性体を用いてリング状に形成されている。そして延出部120bに外嵌され、ハブ120のロータ118と対向する側面に板バネ124を用いてハブ120と一体的に回転するように取り付けられる。板バネ124とアーマチュア122の連結は、板バネ124に設けた孔124a内にアーマチュア122の側面に形成した突起を挿入し、その後当該突起を潰すことにより一体的にする。すなわちカシメにより連結する。また、このように板バネ124が一体的に取り付けられたアーマチュア122をハブ120に取り付ける構造は、板バネ124にネジ孔124bを設け、またアーマチュア122にはこのネジ孔124bを避けるための切欠部122aをアーマチュア122の内周面にネジ孔124bに対応する位置に形成する。そして板バネ124がハブ120との間に介在するようにしてハブ120の延出部120b側の側面にアーマチュア122をネジ126を用いて固定する。
そして、アーマチュア122にハブ120と反対方向へ板バネ124の弾性力を越える外力が作用した場合には、板バネ124が弾性変形してアーマチュア122は回転軸114上をロータ118方向へ若干の距離だけ移動可能である。そしてこの外力が作用しなくなった場合にはアーマチュア122は板バネ124の弾性力によりハブ120方向へ移動し、元の位置に戻る。また、アーマチュア122はこの板バネ124を介してハブ120に連結されているため、ハブ120と一体となって回転する。
【0007】
次に各構成要素の組み立て手順について説明する。
まず、上述したようにヨーク102内にスリーブ112を用いて電磁コイル106を固定する。
続いて、ロータ118が固定された回転軸114の一端側に第1の軸受128を嵌め、その後に回転軸114の当該一端側から回転軸114をスリーブ112内に挿入する。
回転軸114の挿入側の前記一端側がヨーク102の円形孔104から外方へ突出するので、この一端側から回転軸114に第2の軸受129を外嵌し、スリーブ112と回転軸114との間に介装する。その後回転軸114の当該一端側に形成された溝116に止め輪130を嵌める。これにより、ヨークアセンブリの円形孔の口縁(当該円形孔はスリーブ112の内周面で構成されるため、スリーブ112の口縁)に止め輪130が第2の軸受129を介して係合し、スリーブ112から回転軸114が抜けないようになる。見方を変えれば、回転軸114からヨークアセンブリが抜けないようになる。
【0008】
続いて、回転軸114の他方の端部側の外周に、上述したようにアーマチュア122が取り付けられたハブ120をアーマチュア122がロータ118と対向するように外嵌させる。
最後にハブ120から突出した回転軸114の前記他方の端部外周に形成された溝116に止め輪130を嵌める。これにより、ハブ120の中心に設けられた円形孔120aの口縁と止め輪130とが係合し、ハブ120が回転軸114から抜けないようになる。これにより、共通の回転軸114を介してスリーブ112、ヨーク102、ロータ118、ハブ120が一対の止め輪130によって挟持されて一体に組み付けられて図19に示す構造の電磁クラッチ100が完成する。
この電磁クラッチ100では、上述したようにスリーブ112の両端には合成樹脂製の第1、第2の軸受128が配され、各軸受128を介してスリーブ112内に回転軸114が挿入されており、摩擦の少ないスムーズな回転が確保されている。
【0009】
ここで第1の軸受128の形状について説明すると、第1の軸受128は合成樹脂材料を用いて形成され、筒体部128bと、筒体部128bの一端側に形成された円形のフランジ部128aとから成る。また、筒体部128bの外径はスリーブ112の内径よりも若干小径に形成され、かつ内径は回転軸114の外周よりも若干大径に形成されている。そしてこの筒体部128bが、スリーブ112の内周面と回転軸114の外周面との間に介在してスリーブ112と回転軸114との間の摩擦を低減する。なお、電磁クラッチ100を小型化するために、軸受128の肉厚は強度を確保できる範囲内で薄く形成されている。また、第2の軸受129も第1の軸受128と同様の構成であり、筒体部129bと、フランジ部129aとから成る。
【0010】
このようにして製造された電磁クラッチにおいて、電磁コイル106が非通電状態の場合にはアーマチュア122とロータ118との間には隙間が生じており、ハブ120に入力される回転力はロータ118には伝達されず、従って回転軸114さらには出力軸も回転しない。
電磁コイル106に通電されると、図19に点線で示すような磁気回路が、ヨーク102、スリーブ112、回転軸114、ロータ118およびアーマチュア122内に形成される。このため、アーマチュア122は板バネ124の付勢力に抗してロータ118側に移動してロータ118に吸着される。よって、ハブ120に入力された回転力は、板バネ124、アーマチュア122を介してロータ118に伝達され、さらに回転軸114、最終的には出力軸に伝達されるのである。なお、電磁コイル106が再度非通電状態となると、アーマチュア122に対する電磁コイル106の吸引力が消失するために板バネ124の弾性力によりアーマチュア122はハブ120側に移動し、アーマチュア122とロータ118との間に隙間が生じる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の電磁クラッチには次の様な課題が有る。
電磁クラッチ100は上述したように、回転軸114を介してヨーク102、ロータ118、ハブ120が一対の止め輪130によって挟持されて一体に組み付けられるが、止め輪130は一般的に弾性変形可能な例えば金属材料を用いてC字状等に形成され、作業者はこの止め輪130を拡径しながら回転軸114の溝116に嵌める。
しかしながら、回転軸114からのヨーク102、ロータ118、ハブ120の抜脱を防止すべく、止め輪130の弾性力はある程度強めに設定されており、単に手で拡径しようとしてもできないのが普通である。このため、作業者は一例としてペンチに似た構造の専用工具を用いて止め輪130を拡径して回転軸114の溝116に装着しなければならず、装着作業に時間がかかる。また、一旦組み立てた後に、修理等により分解しようとしてもやはり専用工具が必要であり、簡単にはできないという課題もある。
【0012】
従って、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、止め輪を使用することなく回転軸にヨーク、ロータ、ハブ等をワンタッチで抜脱不能に取付可能な電磁クラッチを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、ヨーク内にボビンの筒状部に電線が巻回されて成る電磁コイルが装着されると共に、前記筒状部内には磁性体を用いて筒状に形成されたスリーブが挿着されたヨークアセンブリと、前記スリーブ内に回転自在に挿通された回転軸と、磁性体を用いてリング状に形成され、前記回転軸に該回転軸と一体に回転可能に外嵌されたロータと、中心に円形孔が形成され、前記ロータを挟んで前記電磁コイルと反対側の前記回転軸に回転自在に外嵌されたハブと、前記回転軸に外嵌され、前記ハブの前記ロータと対向する側面に取り付けられたリング状のアーマチュアとを具備する電磁クラッチにおいて、前記回転軸は、筒状の第2回転軸体と、該第2回転軸体に一体的に外嵌される筒状の第1回転軸体とで構成され、前記第2回転軸の前記ヨークアセンブリ側の端部には、該第2回転軸の長手方向に沿って延出し、先端部の外面には前記スリーブの口縁と係合する係合突部が形成されると共に前記先端部が該第2回転軸の径方向に弾性変形可能な舌片状のフック部が形成され、前記第1回転軸体の前記ヨークアセンブリ側の端部には、前記フック部が嵌り込む切欠部が、該フック部に対応した位置に同数、該第1回転軸体の長手方向に沿って形成され、前記フック部の係合突部が、前記切欠部から、前記第1回転軸体の外径よりも径方向の外側に突出させて形成されていることを特徴とする。
【0014】
これにより、回転軸をフック部を内側に弾性変形させながらスリーブ内に挿通してフック部をスリーブから突出させると、自らの弾性力により拡開して元の位置に復帰したフック部の先端外面に形成された係合突部がスリーブの口縁と係合する。これにより、止め輪を用いずに回転軸からのヨークアセンブリの抜脱を防止できる。
【0015】
また、前記回転軸の前記ハブ側の端部には、該回転軸の長手方向に沿って延出し、先端部の外面には前記ハブの前記円形孔の口縁と係合する第2係合突部が形成されると共に前記先端部が回転軸の径方向に弾性変形可能な舌片状の第2フック部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
これにより、回転軸を第2フック部を内側に弾性変形させながらハブの円形孔に挿通して円形孔から突出させると、自らの弾性力により拡開して元の位置に復帰した第2フック部の先端外面に形成された第2係合突部が円形孔の口縁と係合する。これにより、止め輪を用いずに回転軸からのハブの抜脱を防止できる。
【0017】
また、前記係合突部の前記フック部の延出方向の先端面および前記第2係合突部の前記第2フック部の延出方向の先端面は各フック部の延出方向に向かうに従って絞り込まれるテーパ面に形成すると、円形孔内への回転軸の挿入が簡単に行え、便利である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電磁クラッチの好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
まず、電磁クラッチ10は図1に示すように主として、ヨーク12と電磁コイル14とから成るヨークアセンブリ15と、回転軸16と、ロータ18と、ハブアセンブリ20とから構成されており、以下に各構成要素について詳細に説明する。
【0019】
(ヨークの構造)
ヨーク12は、本実施の形態では一例として図2に示すように、磁性体(一例として金属板)を断面コ字状に折曲して成る第1ヨーク体22と、磁性体を用いて構成され、第1ヨーク体22の一対の折曲片の両端部間に嵌め込まれる第2ヨーク体24とから構成されている。ヨーク12はこの第1ヨーク体22と第2ヨーク体24が接続される構成により全体として断面ロ字状に形成される。
そして第1ヨーク体22の中央部分には回転軸16が挿通される第1円形孔22aが設けられ、また第2ヨーク体24の中央部分にはロータ18が嵌まる第2円形孔24aが設けられている。
また、ヨーク12の他の実施の形態としては、第1ヨーク体22を有底の円筒体に形成し、第2ヨーク体24は第1ヨーク体22の開口部分を閉塞するように円板体に形成するようにしても良い。さらに、第1ヨーク体22の開口部分の内径をロータ18の外径より若干大径に形成し、ロータ18が第1ヨーク体22の開口部分に直接嵌まり込む構造として第2ヨーク体24を省くようにしても良い。この後者のヨークの構成は従来例で説明したヨーク102の構造と同じものとなる。
【0020】
第1ヨーク体22と第2ヨーク体24の連結方法は、第1ヨーク体22の両端縁に嵌合凹部22bをそれぞれ形成し、一方第2ヨーク体24の第1ヨーク体22と接触する両端縁には嵌合凹部22bに嵌め込まれる嵌合凸部24bをそれぞれ形成する。そして嵌合凹部22b内に嵌合凸部24bを嵌め込んだ後にカシメて嵌合凹部22b内に嵌合凸部24bを固定する。
【0021】
(電磁コイル、特にボビンの構造)
電磁コイル14は、電気的絶縁性を有する合成樹脂材料を用いて図2や図3に示す構造に形成されたボビン26と、このボビン26の筒状部26aの外周面に巻回された電線28とで構成されている。また、ボビン26の両端に形成されたフランジ26b,26cの形状はボビン26がヨーク12内部に装着できるように各フランジ26b,26cが接触するヨーク12の内面形状に合わせて設定されている。
具体的には、少なくとも第2ヨーク体24の内面と接触するフランジ26bの形状は、図2や図3に示すように第1ヨーク体22の先端と接触する両端縁が互いに平行な直線で形成され、その幅Aは第1ヨーク体22の両端部の内壁面間の距離と略一致する長さに設定されている。また、当該フランジ26bの他の両端縁には第2ヨーク体24の嵌合凸部24bが形成されていない両端縁と係合する一対の位置決め片26dが対向して突設されている。本実施の形態では一例として第2ヨーク体24の当該両端縁は弧状に形成されているため、それに合わせて位置決め片26dも弧状に形成されている。
【0022】
また、従来例と同様にスリーブ30の両端には第1の軸受27と第2の軸受29が配され、回転軸16はこれら軸受27,29によってスリーブ30内で回動自在に支持される構造となっているが、本実施の形態では図3に示すように、スリーブ30のロータ18側の端部に配される第1の軸受27はボビン26の筒状部26aのロータ18側の口縁に一体に結合されている点が特徴部分である。
各軸受27,29の構造について図3、図12を用いて説明する。
第1の軸受27は、スリーブ30のボビン26のフランジ26c側の口縁に配される第2の軸受29と共に、従来例で説明した軸受128と同様に合成樹脂材料を用いて形成されて、スリーブ30の内周面と回転軸16の外周面との間に介装される筒体部27b,29bと、この筒体部27b,29bの一端側に形成されたフランジ部27a,29aとからなる。
【0023】
なお、本実施の形態では各フランジ部27a,29aは筒体部27b,29bの形状に合わせて円形に形成されているが、特に円形に限定されず、楕円や角形等でも良い。特に、第1の軸受27の場合には、筒体部27bをボビン26の筒状部26a内に同軸に配置した状態で筒体部27bをボビン26に一体に結合できれば、特にフランジ状の形状でなくても良く、例えば径方向へ放射状に伸びる複数の延出片としても良い。
この第1の軸受27は、そのフランジ部27aが筒状部26aのロータ18側の口縁に一体に結合され、その結果、筒体部27bがボビン26の筒状部26a内に同軸となるように配される。ボビン26と第1の軸受27を個別に製作して、接着や溶着等の手段により一体に結合させても良いが、実際には、ボビン26と第1の軸受27は合成樹脂材料を用いて一体成形すると良い。これにより、部品点数が削減され、また第1の軸受27を取り付ける工程も削除でき、製品コストの低減が行える。
【0024】
そして、スリーブ30のロータ側の端部は図3(c)に示されるボビン26の筒状部26aの内周面と第1の軸受27のフランジ部27aと筒体部27bとで囲まれるリング状の空間31内に装着され、スリーブ30の内周面には第1の軸受27の筒体部27bが密着して配される。また、図1に示すようにスリーブ30の反対側の端部には第2の軸受29が、そのフランジ部29aがスリーブ30の端面に当接する状態で配され、スリーブ30の当該端部の内周面には第2の軸受29の筒体部29bが密着した配される。よって、ボビン26の筒状部26a内に挿通された回転軸16はスリーブ30内において第1の軸受27の筒体部27bと第2の軸受29の筒体部29bとにより回転自在に支持されることになる。
また、本実施の形態では、第1の軸受27が結合される筒状部26aのロータ18側の口縁は図3(c)に示すように、フランジ26bの側面からロータ18側に突出して形成されている。これにより、ロータ18はボビン26の筒状部26aのロータ18側の端面と軸受27のフランジ部27aの側面に接触するだけであり、ボビン26のフランジ26bの側面と全体的に接触しないために接触面積が少なく、摩擦の少ないスムーズな回転が行える。
なお、部品点数や取付工程は増えるが、第1の軸受27は従来例で説明した第1の軸受128と同様にボビン26と分離した形状のものとしても良い。
【0025】
(スリーブの構造)
スリーブ30は磁性体を用いて円筒形状に形成されている。そして一方の端部側は第1円形孔22a内に圧入若しくはカシメ等の手段により第1ヨーク体22に対して直角に連結される。また、スリーブ30はボビン26の筒状部26a内に挿入されるため、外径は筒状部26aの内径よりも若干小径に形成されている。また、スリーブ30の内径は、ボビン26の筒状部26a内に挿通された回転軸16がスリーブ30内に第1の軸受27の筒体部27bと第2の軸受29の筒体部29bを介して挿入されるため、回転軸16の外径に筒体部27bや筒体部29bの厚みの2倍の長さを加えた長さよりも若干大径に形成されている。
スリーブ30の機能は従来例で説明したように電磁コイル14の保持と磁気回路の構成にある。
なお、上述したように第1の軸受27を従来例の第1の軸受128と同様にボビン26と分離した構造とした場合には、スリーブ30は従来例のスリーブ112と同様の構成として、拡径された他方の端部112aでボビン26を第1ヨーク体22から抜けないようにしても良い。
【0026】
(回転軸の構造)
回転軸16は図4に示すように、全体として円筒状の外形を有し、ヨークアセンブリ15の円形孔15a、具体的にはスリーブ30の内周面で構成される円形孔内に回転自在に挿通される。また、回転軸16にはロータ18やハブアセンブリ20が外嵌される。
従来は前述したように磁性材である鉄等の金属材のみを用いて形成していたが、本実施の形態では、図4や図5に示すように合成樹脂材料から成る筒状の第2回転軸体32と、この第2回転軸体32に一体的に外嵌される筒状の第1回転軸体34とで構成されている。
【0027】
詳細に各回転軸体32、34の構造を説明する。
最初に、長い方の第2回転軸体32であるが、合成樹脂材料を用いて図6に示すように円筒体に形成され、一方の端部にはフック部36が形成され、他方の端部の外周面には止め輪用の溝38が周設されている。また、第2回転軸体32の中心には挿着孔32bが形成され、この挿着孔32b内に電磁クラッチにより回転力の伝達・非伝達制御が行われる出力軸(不図示)が第2回転軸体32の一方の端部側から挿入され、挿着される。そして従来例の回転軸114と同様に出力軸が第2回転軸体32と一体となって回転できるように第2回転軸体32のヨーク12側の端部の内周面には出力軸の外周面に形成されたフラット部(不図示)と嵌合するDカット部32aが形成されている。このDカット部32aは第2回転軸体32の出力軸が挿入される端部と反対の端部に形成されるため、出力軸が第2回転軸体32のヨーク12側の端部から挿入される場合にはハブ40側の端部に形成される。また、本実施の形態では挿着孔32bは第2回転軸体32を貫通する孔として形成されているが、第2回転軸体32の一端側にのみ開口する孔として形成し、Dカット部32aは挿通孔32bの奥部に形成するようにしても良い。
この第2回転軸体32の長さは、図1に示すようにヨークアセンブリ15とハブアセンブリ20(具体的にはハブ)との間に亘る長さに設定されている。
【0028】
フック部36は、第2回転軸体32の一方の端部外周面に第2回転軸体32の長手方向に沿って複数(一例として線対称の位置に2つ)、当該一方の端部方向に向けて延出する舌片状に形成されている。そしてフック部36の先端部の外面にはヨークアセンブリ15の中心に形成された円形孔15aの口縁と係合する係合突部37が形成されている。このフック部36の先端部は図6(d)の矢印に示すように回転軸16の径方向に弾性変形可能である。
係合突部37の形状は、ヨークアセンブリ15の円形孔15aの口縁と係合できる形状であれば直方形、半円形等、種々の形状が採用し得るが、本実施の形態では、係合突部37の延出方向の先端面はフック部36の延出方向に向かうに従って絞り込まれるテーパ面37aに形成されている。なお、本実施の形態では、図1の(b)に示すようにフック部36の先端部の端面もまた係合突部37のテーパ面37aに連続するようにテーパ面に形成されているが、図1の(c)に示すように少なくとも円形孔15aの口縁と直接当接する係合突部37の延出方向の先端面のみがテーパ面37aに形成されていれば良い。また、係合突部37のテーパ面37aの背面はヨークアセンブリ15の円形孔15aの口縁と係合する係合面37bに形成されている。係合面37bはフック部36の外面から略垂直に起立する面で構成され、円形孔15aの口縁と確実に係合できるようになっている。
また、本実施の形態のフック部36は一例として第2回転軸体32の外周面から一旦径方向へ起立した後に第2回転軸体32の外周面に沿って平行に延出し、その先端は第2回転軸体32の端面に達する。
【0029】
次に、短い方の第1回転軸体34であるが、図7に示すように磁性体を用いて第2回転軸体32より短く、かつスリーブ30やボビン26の筒状部26aよりも長い円筒体に形成されている。また第1回転軸体34の外径は第1の軸受27の筒体部27bと第2の軸受29の筒体部29bの内径よりも若干小径に形成され、また内径は第2回転軸体32の外径よりも若干大径に形成されて、第2回転軸体32に一体に外嵌された状態で第2回転軸体32と共にスリーブ30内に挿入される。そして、ボビン26の筒状部26aに挿入された際には、第1回転軸体34は図1に示すようにボビン26の筒状部26aの両端に亘るように配されるため、スリーブ30と共に点線で示すように第1ヨーク体22の第1円形孔22aの口縁とロータ18との間の磁気回路の一部を構成する。
【0030】
また、第1回転軸体34の一方の端部には第2回転軸体32に設けられたフック部36が嵌まり込む第1切欠部34aがフック部36に対応した位置に同数、第1回転軸体34の長手方向に沿って形成されている。また他方の端部には後述するロータの内周面に形成された弧状突起が嵌まり込む第2切欠部34bが弧状突起と同数(本実施の形態では一例として2つ)、第1回転軸体34の長手方向に沿って形成されている。
そして、溝38が周設された端部側から第2回転軸体32を、第1切欠部34aが形成された第1回転軸体34の端部側から第1回転軸体34内に、フック部36が第1切欠部34a内に嵌まり込むまで圧入する。これにより、第2回転軸体32に対して第1回転軸体34が回動不能な状態で第2回転軸体32に一体的に外嵌されて回転軸16が組み立てられる。また、第2回転軸体32に第1回転軸体34が一体的に外嵌された状態に形成する方法としては上述した圧入による方法以外に、インサート成形により一体成形する方法が採用し得る。
【0031】
この第1回転軸体34は、回転軸16が電磁コイル12内に挿通された際には上述したように電磁コイル12の磁気回路をスリーブ30と共に形成し、後述するアーマチュアの吸引力を増加させる機能を果たすものである。従来例では回転軸全体が磁性体を用いて形成されているが、この第1回転軸体34の厚みを適切に設定することにより、回転軸16を合成樹脂製の第2回転軸体32との2重構造としても従来例の場合と略同等のアーマチュア42に対する吸引力が確保できる。
本実施の形態では、回転軸16をこのように2重構造としているため、外層の第1回転軸体34により充分な吸引力を確保しつつ、Dカット部32aやフック部36を形成する必要があって形状が複雑となる内層の第2回転軸体32は合成樹脂材料を用いて樹脂成形により短時間で、かつ低コストで製造することができ、回転軸16全体の、さらには電磁クラッチ10全体の製品単価を低減できるようになる。
また、回転軸16は、安価に製造できるのであれば上述した金属材と合成樹脂材との2重構造に代えて、従来例で説明した回転軸114のように全体を磁性体で構成するという単純な構造のものでも良い。
【0032】
(ロータの回転軸への取付構造)
ロータ18は図4に示すように、磁性体を用いてリング状に形成され、回転軸16に回転軸16と同軸となるように外嵌され、回転軸16と一体となって回転するものである。
本実施の形態のロータ18は回転軸16が挿入される第3円形孔18aの内径は第1回転軸体34の外径よりも若干大径に形成され、さらにその内周面には内径が第2回転軸体32の外径よりも若干大径に形成された複数(本実施の形態では一例として点対称の位置に2つ)の弧状突起18bがロータ18の長手方向に沿って形成されている。
【0033】
この弧状突起18bは、ロータ18の第3円形孔18a内に回転軸16を挿入し、ロータ18を第2回転軸体38の外周面上を摺動させながら第1回転軸体34方向へ移動させ、第2回転軸体32の端面に当接後、ロータ18を回転軸16に対して相対的に回転させることで簡単に第2切欠部34bに嵌め込むことができ、これにより回転軸16に対するロータ18の自由な回転が規制され、ロータ18が回転軸16と一体となって回転できる。
なお、ロータ18の弧状突起18bの形状は回転軸16に嵌め込んだ後には周方向のガタツキがなるべく少なくなるように設定されている。また、ロータ18は弧状突起18bが第2切欠部34bに嵌まり込むことによって第1回転軸体34と当接して回転軸16の長手方向に沿った位置決めが行われる。
このようにしてロータアセンブリ17が完成するが、回転軸16を従来例とっどうように全体的に磁性体で構成する場合には、ロータ18は従来例と同様の構成として圧入によりロータを回転軸に固定するようにしても良い。
【0034】
(ハブアセンブリの構造)
ハブアセンブリ20は図8に示すように、ハブ40、アーマチュア42、板バネ44で構成される。ここでハブ40は、一例として合成樹脂材料を用いて円板状に形成され、ロータ18を挟んで電磁コイル14と反対側の回転軸16の外周面に回転軸16と同軸となるように回転自在に外嵌される。また、ハブ40の中央部分に設けられた回転軸16が挿通される円形孔としての第4円形孔40aのロータ18側の口縁には筒状の延出部40bが形成されて、ハブ40が回転軸16に外嵌された際に、ハブ40とロータ18との間に隙間が形成され、この隙間内にアーマチュア42と板バネ44が延出部40bに外嵌された状態で配される。
【0035】
次に、ハブアセンブリ20の各構成要素について詳細に説明する。
本実施の形態では、アーマチュア42のハブ40への取付構造に特徴があり、以下その特徴部分も併せて説明する。
ハブ40の延出部40bの基部には図8や図9に示すように外周面にアーマチュア42を連結するためのキー溝46が延出部40bの長手方向に沿って形成された拡径部48が形成されている。本実施の形態ではキー溝46は一例として等角度間隔に3つ形成されているが、2個以上の複数個であれば良い。また、拡径部48の長さは電磁コイル14によりアーマチュア42が回転軸16の長手方向に沿ってロータ18方向へ移動してもキー溝46とアーマチュア42との係合関係が解除されないように設定されている。
【0036】
また、延出部40bの先端と拡径部48との間の延出部40bの外周面には図9や図10に示すように板バネ44を装着するための装着溝50が形成されている。また、延出部40bの先端と装着溝50との間の外周には、当該先端から装着溝50に至る案内溝52が、後述する板バネ44の内縁突起に対応して形成されている。また、装着溝50の幅は板バネ44の板厚に合わせて若干幅広に形成されている。また、案内溝52の対向面52aは装着溝50方向へ向かうに従って次第に離間する斜面に形成されている。本実施の形態では案内溝52は延出部40bの軸線を中心として点対称の位置に2つ形成されているが、3つ等、複数個であれば良い。
【0037】
アーマチュア42は磁性体を用いてリング状に形成され、中心には図8に示すように、延出部40bが挿入される第5円形孔42aが形成されている。
そしてさらに詳細には図11に示すように第5円形孔42aは軸線方向に沿って内径の大きな大径領域Cと大径領域よりも小径な小径領域Dとに分かれている。ここで大径領域Cはアーマチュア42のロータ18との当接面側に位置し、この大径領域C内にリング状の板バネ44が装着される。
また、第5円形孔42aの小径領域Dの内周面には延出部40bに形成されたキー溝46と嵌まり合うキー42bがキー溝46と同数だけ第5円形孔42aの軸線方向に沿って形成されている。ここで、キー42bが形成された小径領域Dの長さは延出部40bの拡径部48の長さよりも若干長めに形成されている。
この構成により、アーマチュア42が延出部40bの拡径部48に外嵌された際には、キー42bとキー溝46との凹凸嵌合によりアーマチュア42はハブ40に対して回動不能に取り付けられてハブ40と一体的に回転すると共に、延出部40bの長手方向に沿ってキー42bとキー溝46とが凹凸嵌合する範囲内で移動可能となっている。
また、アーマチュア42とハブ40との凹凸嵌合の構造は上述したキー42bとキー溝46とによるスプライン構造に限らず、例えば図16に示すように、拡径部48にはキー溝46は設けず、またアーマチュア42の小径領域Dの内周にもキー42bは設けないで小径領域Dの内径は拡径部48に嵌まり込むように設定する。そして、アーマチュア42とハブ40のそれぞれの対向する側面間で凹凸嵌合する構成としても良い。一例としてアーマチュア42の側面に複数の凸部(一例として円柱状)42cを設け、またハブ40の側面には当該突起42cが挿入可能な凹部(一例として断面円形の凹部)40cを複数設ける構造が取りうる。
【0038】
リング状の板バネ44は、弾性を有する金属薄板から打ち抜き加工等の手段により形成される。またその板厚は上述したように、装着溝50内に丁度入り込む厚さに設定されている。
形状について説明すると、板バネ44は、外径がアーマチュア42の小径領域Dの内周面に形成された弧状のキー42bの先端内径よりも小径に形成され、内径は延出部40bの先端外径よりも若干大径に形成されたリング状である。
また、板バネ44の外縁には板バネ44がアーマチュア42の大径領域C内に装着された際に第5円形孔42aの小径領域Dの端面に接触してアーマチュア42をハブ40側に押さえつける弧状の外縁突起44aが一例として板バネ44の中心に対して点対称の位置に2つ形成されている。この外縁突起44aの外縁の直径はアーマチュア42の第5円形孔42aの大径領域Cの内径よりも若干小径に形成されている。
【0039】
また、板バネ44の内縁には、延出部40bの先端に設けられた案内溝52の位置に対応して案内溝52と同数形成され、案内溝52から入り込んで延出部40bに対して回動されることによって装着溝50内に嵌まり込む個状の内縁突起44bが形成されている。板バネ44はこの内縁突起44bが装着溝50内に嵌まり込んだ状態で延出部40bに外嵌されることでアーマチュア42を延出部40bに固定するものである。
【0040】
板バネ44は上述したようにハブ40の延出部40bにアーマチュア42を取り付ける機能と共に、取付後は常時アーマチュア42をハブ40方向へ付勢する付勢手段としての機能を有している。
付勢手段としての機能を説明すると、板バネ44はその内縁に形成された内縁突起44bが延出部40bの装着溝50内に嵌まり込んでいるが、板バネ44の内径は延出部40bの外径よりも大径である。また、外縁突起44aはアーマチュア42の小径領域Dの端面に当接しているが、板バネ44の外径は小径領域Dの内面に形成されたキー42bの先端内径よりも小径である。この構成から板バネ44は内縁突起44bが支点となってその外縁に形成された外縁突起44aがアーマチュア42をハブ40方向へ付勢する。そして、板バネ44の内縁突起44bと外縁突起44a間のリング状の本体部分がバネとして作用するのである。このため、例えば支点となる内縁突起44bを基準として考えた場合にバネとして作用する本体部分の内縁突起44bから外縁突起44aまでの距離は均等であることが望ましく、均等に設定することによってアーマチュア42が電磁コイル14により吸引されてロータ18方向へ移動した際に外縁突起44aが捩じれないで均一にアーマチュア42を押圧することができる。
【0041】
本実施の形態では、内縁突起44bおよび外縁突起44aの数はともに2つずつである。このため、内縁突起44bおよび外縁突起44aを板バネ44の中心に対してそれぞれ点対称となる位置に設けると共に、内縁突起44bに対して外縁突起44aを90度ずらして配置し、内縁突起44bから外縁突起44aまでの距離を均等としている。
なお、上述したようにハブ40に板バネ44を用いてアーマチュア42を取り付ける構造にしても良いが、ネジ止めの手間が問題とならず、また板バネの強度が十分なものである場合には、従来例で説明した図18の構成のハブアセンブリでも良い。
また、アーマチュア42とハブ40とを上述したように回転方向に対して凹凸嵌合させて一体に回転する構成とし、板バネ44を介さないでハブ40の回転力をアーマチュア42に直接伝達することを主たる目的とするのであれば、取付工程は増えるが、従来例と同様にアーマチュア42に板バネ44を固定し、板バネ44を介してアーマチュア42をハブ40に固定する構造を採用することも可能である。
また、板バネ44は弾性を有する金属材を用いて構成したが、剛性を有しかつ弾性を有する合成樹脂材料で形成することも可能である。
【0042】
次に各構成要素の組み立て手順について説明する。
(ハブアセンブリ)
まず、最初にハブ40にアーマチュア42を板バネ44を用いて取り付ける手順を図8を用いて説明する。
アーマチュア42の第5円形孔42a内にハブ40の延出部40bを挿通させ、アーマチュア42とハブ40とを相対的に回転させながらキー溝46にキー42bを嵌め込む。なお、アーマチュア42は、第5円形孔42aの小径領域D側をハブ40側に向けながらハブ40の延出部40bを挿通させる。
続いて、リング状の板バネ44を、内縁突起44bを案内溝52の位置に合わせて延出部40bに外嵌する。この状態において板バネ44は第5円形孔42aの大径領域C内に装着されて、その外縁突起44aは第5円形孔42aの小径領域Dの端面に接触した状態となっている。
【0043】
そしてこの状態から板バネ44を周方向へ回動させる。すると、案内溝52の対向面52aは前述したような斜面に形成されているため、内縁突起44bは対向面52aに沿って装着溝50内に入り込む。また、外縁突起44aも周方向に沿って移動し、第5円形孔42aの小径領域Dの内面に突設されたキー42bの側面に一部が接触する。
この回動の最中に、板バネ44の外縁突起44aの延出部40bの軸線方向の位置は小径領域Dの端面に接触した状態で変わりはないが、内縁突起44bは装着溝50に嵌まり込む際に延出部40bの軸方向に沿ってハブ40方向へ移動する。このために板バネ44の内縁突起44bと外縁突起44a間のリング状の本体部分が弾性変形する。よって、板バネ44には内縁突起44bを基準として外縁突起44aをハブ40方向へ付勢する付勢力が生ずることになる。そして、電磁コイル14による吸引が解除されたアーマチュア42を板バネ44の付勢力により元の位置にすばやく戻すことができる。また、この付勢力により、内縁突起44bと装着溝50との間の摩擦力も増し、板バネ44が回動しにくくなり、従ってアーマチュア42のハブ40への装着状態を保持できるのである。
以上によりハブアセンブリ20が完成する。このハブアセンブリ20を板バネ44方向から見た状態を図15に示す。この図15からも分かるように、板バネ44の内縁突起44bが装着溝50内に入り込んで延出部40bに係合すると共に、外縁突起44aがアーマチュア42の小径領域Dの端面(キー42bの側面)に接触して、板バネ44はアーマチュア42をハブ40方向へ付勢しつつ、延出部40bに抜脱不能に取り付けている。
【0044】
(ヨークアセンブリ)
次に、ヨーク12に、電磁コイル14を組み付けてヨークアセンブリ15とする手順について図2を用いて説明する。
第1に、断面コ字状の第1ヨーク体22内にスリーブ30を取り付ける。スリーブ30は一方の端部を第1円形孔22a内に挿入して、第1円形孔22aと同軸となるようにカシメ、圧入等の手法により固定する。
第2に、電磁コイル14を、ボビン26の筒状部26a内にスリーブ30を挿入しながら第1ヨーク体22に装着する。装着された状態では、ボビン26の挿入方向の一方のフランジ26cは第1ヨーク体22の内面に密着し、また筒状部26a内に挿入されたスリーブ30の先端部分は他方のフランジ26bに形成されたリング状の空間31内に収納される。
【0045】
第3に、第1ヨーク体22に第2ヨーク体24を連結し、電磁コイル14を第1ヨーク体22と第2ヨーク体24との間で挟み込んで固定する。第1ヨーク体22と第2ヨーク体24との連結は前述したように、第1ヨーク体22の嵌合凹部22b内に第2ヨーク体24の嵌合凸部24bを嵌め込み、嵌合凹部22bの開口幅を狭めることで嵌合凸部24bをカシメて固定する。
この第1ヨーク体22と第2ヨーク体24の連結の際、まず第2ヨーク体24がボビン26の他方のフランジ26b上に載置されるのであるが、この他方のフランジ26bには位置決め片26dが形成されており、この位置決め片26dが第2ヨーク体24の横方向の両端縁と係合するので第2ヨーク体24がずれることがない。
以上によりヨークアセンブリ15が完成する。
【0046】
(全体のアセンブリ)
次に、ヨークアセンブリ15と、ロータアセンブリ17と、ハブアセンブリ20とを一体に組み立てる手順について図12を用いて説明する。
第1に、第2の軸受29を、その筒状部29bをスリーブ30の第1ヨーク体22側の端部からスリーブ30内に挿入してフランジ部29aをスリーブ30の当該端部口縁に密着させる。
第2に、ロータアセンブリ17の回転軸16をそのフック部36側からスリーブ30内に第2ヨーク体24方向から挿入する。この際、係合突部37のテーパ面37aが第1の軸受27のフランジ部27aの口縁と当接して内側への圧力を受けてフック部36が弾性変形してその先端部が内側へ移動して縮径し、回転軸16がスリーブ30内へ挿入される。そして、フック部36が第2の軸受29から突出すると、フック部36は自らの弾性力により元の位置に拡開し、その先端部に形成された係合突部37の係合面37bがヨークアセンブリ15の円形孔15aの口縁、すなわちスリーブ30の口縁に、第2の軸受29のフランジ部分を介して係合する。これにより、フック部36方向からのヨークアセンブリ15の回転軸16からの抜脱は防止される。
この状態では回転軸16は、その第1回転軸体34の外周面とスリーブ30の内周面との間に、第1の軸受27の筒体部27bと第2の軸受29の筒体部29bが介在した状態でスリーブ30内に挿入されている。よって、回転軸16が摩擦が少ない状態でスムーズに回転することができる。
【0047】
また、ロータ18は第2ヨーク体24の第2円形孔24a内に収納された状態となるが、ロータ18の電磁コイル14側の側面は上述したようにボビン26のフランジ26bの側面全体と接触してはおらず、ボビン26の筒状部26aおよび第1の軸受27のフランジ部27aの側面のみに接触した状態にある。よって、接触面積がフランジ26bの側面全体と接触する場合に比べて少ないために回転摩擦が小さくて済み、スムーズな回転が確保できる。
第3に、回転軸16の第2回転軸体32にハブアセンブリ20を装着する。
つまり、第2回転軸体32をその溝38が形成された端部側から、ハブ40の延出部40b側からハブ40の第4円形孔40a内に挿入し、第2回転軸体32の溝38を第4円形孔40aの反対側から突出させる。
第4として最後に、第2回転軸体32の溝38に止め輪54を嵌め込んで電磁クラッチ10の組み立てが完了する。これにより図1に示すように、回転軸16を介して、ヨークアセンブリ15とロータ18とハブアセンブリ20とが略密着した状態で、フック部36と止め輪54により一体的に組み立てられる。
【0048】
(回転軸の他の実施の形態)
また、上述した実施の形態においては第2回転軸体32に溝38を形成して止め輪54を用いて組み立てる構成としていたが、図13に示すように第2回転軸体32のフック部36と同様の構造の第2フック部56を溝38に代えて形成し、止め輪54を全く使用せずに電磁クラッチ10を組み立てできる構成としても良い。本実施の形態では、磁性体の第1回転軸体34と第2回転軸体32とはインサート成形により一体的となっているが、図4に示す回転軸16の第2回転軸体32の溝38に代えて第2フック部56を設けるようにしても良い。
詳細な構成は、第2回転軸体32の端面にフック部36と反対方向に延出するように第2フック部56を形成する。図13においては一例として、第2回転軸体32の軸線を中心として点対称の位置に2つ形成している。なお、第2フック部56の外面には係合突部37と同じ構成の第2係合突部57が形成される。そして第2係合突部57の第2フック部56の延出方向の先端面はやはりテーパ面57aに形成されて、ハブ40の円形孔40a内に挿入し易くされており、またテーパ面57aの背面は係合面57bとして形成されている。
そして第2回転軸体32の第2フック部56側の端部を、ハブ40の延出部40b側からハブ40の第4円形孔40a内に挿入し、第2フック部56を第4円形孔40aの反対側から突出させると、第2フック部56は自らの弾性力により元の位置に拡開して第2係合突部57の係合面57bがハブ40の第4円形孔40aの口縁と係合する。
【0049】
よって、図14に示すように、回転軸16を介して、ヨークアセンブリ15とロータ18とハブアセンブリ20とが略密着した状態で、フック部36と第2フック部56により一体的に組み立てられる。
この場合には、ハブ40の第4円形孔40a内に第2回転軸体32を挿入するだけでワンタッチで組み立てできるので、止め輪54を全く必要としないために、組み立て作業の作業効率が止め輪54を用いていた場合と比較して格段に向上する。
【0050】
以上、本発明の好適な実施の形態について種々述べてきたが、本発明は上述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【0051】
【発明の効果】
本発明に係る電磁クラッチによれば、回転軸の少なくとも一方は止め輪を用いずに済み、電磁クラッチの組み立て作業性が向上する。また、回転軸の両端にフック部を設けると、止め輪を全く必要としないために、組み立て作業の作業効率がより一層向上するとともに、部品点数の削減と相まって格段に製造コストの低減が図られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る電磁クラッチの構造を示す側面断面図であり、(b)はそのフック部の拡大図、また(c)はフック部の他の実施の形態の拡大図である。
【図2】図1のヨークアセンブリの構成を示す分解斜視図である。
【図3】図2のボビンの構造を示す説明図であり、(a)は側面断面図、(b)は正面図、(c)はキャップ部の構成を示す拡大図である。
【図4】図1のロータアセンブリの構成を示す分解斜視図である。
【図5】図4のフック部側から見た回転軸の要部斜視図である。
【図6】図4の回転軸を構成する第2回転軸体の構成を示す説明図であり、(a)はフック部側から見た正面図、(b)は一部切欠側面図、(c)は背面図、(d)は(b)のX−X矢視図である。
【図7】図4の回転軸を構成する第1回転軸体の構成を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は一部切欠側面図、(c)は背面図である。
【図8】図1のハブアセンブリの構成を示す分解斜視図である。
【図9】図8のハブの構成を示す説明図であり、(a)はハブの延出部方向から見た正面図、(b)は側面断面図である。
【図10】図8のハブの延出部の先端に形成された装着溝と案内溝の構造を示す要部拡大図である。
【図11】図8のアーマチュアの構成を示す説明図であり、(a)は小径領域側から見た正面図、(b)は側面断面図である。
【図12】図1の電磁クラッチの分解斜視図である。
【図13】回転軸の他の実施の形態の構成を示す説明図であり、(a)はフック部側から見た正面図、(b)は一部切欠側面図、(c)は背面図、(d)は(b)のX−X矢視図である。
【図14】図13の回転軸を用いた電磁クラッチの他の実施の形態の構造を示す側面断面図である。
【図15】図8のハブアセンブリの組み立て後の板バネ方向から見た正面図である。
【図16】ハブアセンブリの他の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図17】従来の電磁クラッチの一例の構成を示す分解斜視図である。
【図18】図17のハブアセンブリの構成を示す分解斜視図である。
【図19】図17の電磁クラッチの組み立て後の構造を示す側面断面図である。
【符号の説明】
10 電磁クラッチ
12 ヨーク
14 電磁コイル
15 ヨークアセンブリ
16 回転軸
18 ロータ
26 ボビン
26a ボビンの筒状部
28 電線
30 スリーブ
36 フック部
37 係合突部
40 ハブ
40a ハブの円形孔(第4円形孔)
42 アーマチュア
44 板バネ
56 第2フック部
57 第2係合突部

Claims (3)

  1. ヨーク内にボビンの筒状部に電線が巻回されて成る電磁コイルが装着されると共に、前記筒状部内には磁性体を用いて筒状に形成されたスリーブが挿着されたヨークアセンブリと、
    前記スリーブ内に回転自在に挿通された回転軸と、
    磁性体を用いてリング状に形成され、前記回転軸に該回転軸と一体に回転可能に外嵌されたロータと、
    中心に円形孔が形成され、前記ロータを挟んで前記電磁コイルと反対側の前記回転軸に回転自在に外嵌されたハブと、
    前記回転軸に外嵌され、前記ハブの前記ロータと対向する側面に取り付けられたリング状のアーマチュアとを具備する電磁クラッチにおいて、
    前記回転軸は、筒状の第2回転軸体と、該第2回転軸体に一体的に外嵌される筒状の第1回転軸体とで構成され、
    前記第2回転軸の前記ヨークアセンブリ側の端部には、該第2回転軸の長手方向に沿って延出し、先端部の外面には前記スリーブの口縁と係合する係合突部が形成されると共に前記先端部が該第2回転軸の径方向に弾性変形可能な舌片状のフック部が形成され
    前記第1回転軸体の前記ヨークアセンブリ側の端部には、前記フック部が嵌り込む切欠部が、該フック部に対応した位置に同数、該第1回転軸体の長手方向に沿って形成され、
    前記フック部の係合突部が、前記切欠部から、前記第1回転軸体の外径よりも径方向の外側に突出させて形成されていることを特徴とする電磁クラッチ。
  2. 記回転軸の前記ハブ側の端部には、該回転軸の長手方向に沿って延出し、先端部の外面には前記ハブの前記円形孔の口縁と係合する第2係合突部が形成されると共に前記先端部が回転軸の径方向に弾性変形可能な舌片状の第2フック部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電磁クラッチ。
  3. 前記係合突部の前記フック部の延出方向の先端面および前記第2係合突部の前記第2フック部の延出方向の先端面は各フック部の延出方向に向かうに従って絞り込まれるテーパ面に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電磁クラッチ。
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