JP3592225B2 - コイル組立体及び電磁クラッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸心回りに回転可能なシャフトと、このシャフトに回転可能に外嵌された入力側回転体との連結を電気的に行うようにした電磁クラッチに用いられるコイル組立体及び電磁クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電磁クラッチは、複写機の給紙機構等に適用されるものであり、例えば、軸心周りに回転可能なシャフトに入力側回転体であるギアと出力側回転体であるロータとが外嵌され、これらのギアとロータとの間に伝達体であるアーマチュアがギアと共回り可能に配設され、アーマチュアが板ばね等の弾性力に抗して磁気発生部からの磁気によりロータに吸着されることでギアの回転がシャフトに伝達されるように構成されている。
【0003】
このような構成の電磁クラッチでは、図7に要部を示すように、磁気発生部を構成する励磁コイル51が収納されるフィールド52は、シャフト53が挿通される貫通孔54の形成された底部55を一体に有する筒状体からなるもので、プレスシボリ加工により作製するようにしたものであった。また、このように作製されたフィールド52には、その底部55に電磁クラッチを回り止めするための回り止め部56がカシメ加工により取り付けられるようになっていた。なお、ここでは、励磁コイル51をフィールド52内に収納したものをコイル組立体という。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記構成の電磁クラッチでは、フィールド52のプレスシボリ加工はその工程数が多いために金型費用が高くつき、そのことがコストアップの要因になるという問題があった。また、励磁コイル51は、通常は圧入によりフィールド52内の底面に当接するようにして収納配置されるようになっているため、衝撃が加えられると底面位置から浮いてしまって位置ずれが生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、フィールドの構成を簡素化してコストダウンを可能にすると共に、フィールド内における励磁コイルの浮きを効果的に阻止することができるコイル組立体及び電磁クラッチを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、両端が開口された筒状体と、この筒状体の一方の開口端に配設される板状体と、前記筒状体の内部に収納される励磁コイルとからなる電磁クラッチ用のコイル組立体であって、前記板状体は、中心部に形成されたシャフト挿通用の貫通孔と、その貫通孔の外周領域に周方向に沿って形成された複数の係止孔とを備え、前記励磁コイルは、両端に鍔が形成され、中心部にシャフト挿通用の貫通孔が形成されたボビンと、このボビンに導線が巻回されてなるコイルと、一方の鍔の前記各係止孔に対向する位置にそれぞれ形成された係止突起と、他方の鍔の外周縁に形成され、前記筒状体の抜けを他方の開口端で規制する規制部とを備え、前記励磁コイルがその規制部により前記筒状体を他方の開口端で抜け規制した状態で前記筒状体に収納され、その係止突起が前記板状体の係止孔に挿通されて当該板状体に係止されてなることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、励磁コイルがその規制部により筒状体を他方の開口端で抜け規制した状態で筒状体に収納され、その係止突起が筒状体の一方の開口端に配設された板状体の係止孔に挿通されて板状体に係止されることで板状体が筒状体に取り付けられる。このため、フィールドの構成が簡素化されてコストダウンが可能になると共に、フィールド内における励磁コイルの浮きを効果的に阻止することができる。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に係るものにおいて、前記板状体の貫通孔の周縁に前記筒状体側に突出する筒体が一体に形成されていることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、筒体に電磁クラッチのシャフトが支持されると共に、この筒体がシャフトと面対向することで励磁コイルの磁路の一部とされる。このため、シャフトが確実に支持されるようになると共に、筒体とシャフト間の磁気抵抗を小さくして伝達トルクを強め、かつ安定化させることができる。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に係るものにおいて、前記板状体の外周縁に突出する回り止め部が一体に形成されていることを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、フィールドの構成が簡素化されると共に、回り止め部により電磁クラッチが所定位置に固定される。このため、電磁クラッチのコストダウンが可能となり、電磁クラッチの所定位置への固定を確実に行うことができる。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに係るものにおいて、前記係止突起の先端に鉤部が形成され、その鉤部により係止突起が板状体に係止されていることを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、係止突起の鉤部が板状体に係止されることで板状体が筒状体に確実に取り付けられる。このため、コイル組立体の組み立て作業が容易となり、フィールドの構成がより簡素化される。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のコイル組立体と、このコイル組立体に回転可能に貫通配置されたシャフトと、このシャフトに共回り可能に外嵌され、前記コイル組立体の励磁コイルに対向して配設された出力側回転体と、前記シャフトに回転可能に外嵌された入力側回転体と、この入力側回転体に弾性部材を介して共回り可能に取り付けられ、前記励磁コイルによる磁気により前記出力側回転体に吸着可能に配設された伝達体とを備えたことを特徴としている。
【0015】
この構成によれば、励磁コイルがその係止部を筒状体の他方の開口端に係止させた状態で筒状体に収納され、その係止突起が筒状体の一方の開口端に配設された板状体の係止孔に挿通されて板状体に係止されることで板状体が筒状体に取り付けられて一体化される。このため、フィールドの構成が簡素化されてコストダウンが可能になると共に、フィールド内における励磁コイルの浮きを効果的に阻止することができて動作信頼性に優れたものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係る電磁クラッチの断面図である。この図において、電磁クラッチ10は、コイル組立体12と、コイル組立体12を貫通して配置されたシャフト14と、シャフト14に共回り不能に外嵌された出力側回転体であるロータ16と、シャフト14に回転可能に外嵌された入力側回転体であるギア18と、ギア18に弾性部材であるリング体20を介して取り付けられ、ロータ16に対向するように配設された伝達体であるアーマチュア22とを備えている。
【0017】
コイル組立体12は、図2に示すように、両面が開口された筒状体24と、この筒状体24の一方の開口端縁に当接して配設される板状体26と、筒状体24内に配設される励磁コイル28とから構成されている。筒状体24は、鉄系金属等の磁性材料で構成されたもので、一方(図では左側)の開口端縁に3つの凹部(切り欠き)241,242,243が等間隔で形成され、他方(図では右側)の開口端縁に3つの凹部(切り欠き)244,245,246が等間隔で形成されている。
【0018】
板状体26は、鉄系金属等の磁性材料で構成されたもので、中央にシャフト14が挿通される貫通孔261が形成され、この貫通孔261の周縁に筒状体24側に突出する筒体(軸受け嵌合部)262が形成されている。この筒体262は、シャフト14の支持を容易にすると共に、シャフト14との間の磁気抵抗を小さくするためのものである。このため、この筒体262は、シャフト14の軸芯方向における板状体26外面からの長さLoが予め設定された所定値(例えば、Lo=1.2mm以上、好ましくは2.0mm以上)となるようにされている。また、この筒体262は、シャフト14との間に軸受けを嵌合させる隙間Gが形成される内径寸法とする必要があるが、その隙間Gが大きくなり過ぎると磁気抵抗が大きくなるため、その隙間Gが予め設定された所定値(例えば、G=0.05〜1mm、好ましくは0.1〜0.5mm)となるように内径寸法が設定されている。
【0019】
また、この板状体26の外周縁には、3つの凹部(切り欠き)263,264,265が等間隔で形成されており、凹部263と凹部264との間に筒状体24の凹部242に嵌合される凸部(突起部)266が外周方向に突出形成され、凹部264と凹部265との間に筒状体24の凹部243に嵌合される凸部(突起部)267が外周方向に突出形成されている。
【0020】
また、この板状体26の凹部263と凹部265との間に回り止め部268が外周方向に突出形成され、その根元部が筒状体24の凹部241に嵌合されるようになっている。また、この板状体26の貫通孔261の外周領域であって、回り止め部268及び凸部266、267に対応する位置にそれぞれ係止孔269,270,271が形成されている。すなわち、これら係止孔269,270,271は、貫通孔261の外周領域に周方向に沿って等間隔で形成されたものである。
【0021】
これら筒状体24と板状体26とは、筒状体24の各凹部241,242,243に板状体26の凸部266,267と回り止め部268の根元部とが嵌合されて互いに組み付けられることによりフィールド(ハウジング)27を構成するようになっている。
【0022】
励磁コイル28は、ボビン281と、このボビン281のコイル巻装部に導線が巻回されてなるコイル282とから構成されている。ボビン281は、合成樹脂等の絶縁材料で構成されたもので、中央にシャフト14が挿通される貫通孔283が形成されると共に、軸芯方向に3つの鍔284,285,286が形成されており、鍔284と鍔285間がコイル282の引出線287を固定する固定部とされ、鍔285と鍔286間がコイル巻装部とされている。なお、ボビン281の貫通孔283の径寸法は、板状体26の筒体262の内径寸法と略同じ値になるように設定されている。ただし、この貫通孔283の板状体26側の径寸法は、筒体262を受け入れるために筒体262の外径寸法と略同じ値となるようにされている。
【0023】
これら3つの鍔284,285,286のうち、板状体26に対向する側(図では左側)の鍔284には、その外面における板状体26の各係止孔269,270,271に対応する位置に、先端に鉤部288,289,290が形成されたフック形状の係止突起291,292,293がそれぞれ軸芯方向に突出形成されている。この鉤部288,289,290は、軸芯方向に対し略直角に屈曲されてなるものである。これら係止突起291,292,293は、鍔284の直径方向と直交する方向に板状となるように形成されることにより直径方向に弾性的に湾曲可能とされている。
【0024】
また、この鍔284には、板状体26の凹部264に対応する位置にコイル282の引出線287を外部に引き出すための引出部294が軸芯方向に突出形成されており、この引出部294が板状体26の凹部264に嵌合されるようになっている。これにより、鍔284と鍔285間で保持された引出線287が引出部294を介して外部に引き出されるようになっている。なお、ユーザの要望等により引出部294を凹部263又は凹部265に嵌合させるようにすることで引出線287の引出位置を変更するようにすることもできる。また、鍔284とは反対側に位置する鍔286には、その外周縁であって筒状体24の凹部244,245,246に対応する位置に凸部(規制部)295,296,297が外周方向に突出形成されている。
【0025】
このように構成された励磁コイル28は、板状体26がその回り止め部268の根元部と凸部266,267とを筒状体24の各凹部241,242,243に嵌合させた状態で突き合わされた筒状体24内に、鍔286の凸部295,296,297を筒状体24の凹部244,245,246に嵌合させることで筒状体24をその凸部295,296,297により抜け規制した状態で収納される。このとき、鍔284の係止突起291,292,293は、根元から若干内側方向に湾曲された状態で板状体26の係止孔269,270,271に挿通され、先端の鉤部288,289,290が板状体26の外面に突き出たときに元の真っ直ぐな状態に復帰して鉤部288,289,290が板状体26の外面に係止され、係止孔269,270,271から抜け出ないようになっている。
【0026】
これにより、筒状体24と板状体26とが互いに一体化され、同時に励磁コイル28が筒状体24内(すなわち、板状体26が筒状体24に組み付けられてなるフィールド27内)に位置固定された状態となる。なお、筒状体24、板状体26及び励磁コイル28のがたつきをなくすため、ボビン281における鉤部288,289,290の内面と凸部295,296,297の内面との間の距離をLbとし、筒状体24の凹部244,245,246の底面と板状体26の外面との間の距離をLfとしたとき、Lb≒Lfとなるように各部材の寸法が設定されている。
【0027】
シャフト14は、コイル組立体12における板状体26の筒体262とボビン281の貫通孔283とに回転可能に貫通配置されるものであり、合成樹脂等の絶縁材料により形成された中心軸体141と、鉄系金属等の磁性材料で形成され、中心軸体141に外嵌される外嵌筒体142とから構成されている。なお、シャフト14をコイル組立体12に貫通配置するにあたっては、板状体26の貫通孔261とボビン281の鍔286側の貫通孔283とに合成樹脂等で形成された軸受け(スペーサ)30,32が嵌合されている。
【0028】
中心軸体141は、軸芯方向に外部シャフトが挿通される貫通孔143が形成されると共に、一端に軸受け部材30の外面に当接される鍔144が形成され、他端外周にワッシャ等のリング状係止部材が嵌合されるリング状溝145が形成されたものである。また、中心軸体141は、貫通孔143の図中左端側が断面D字型の回り止め形状とされると共に、鍔144が形成された位置から中央よりも他端寄りの位置までの外周面が断面正多角形状(例えば、断面正十角形)とされており、この断面正多角形状とされた部分が外嵌筒体142が外嵌される嵌合部146を構成している。
【0029】
外嵌筒体142は、その内周面が中心軸体141の嵌合部146外周面の断面多角形状と合致する断面正多角形状となるように構成されたもので、中心軸体141の他端側から一端の鍔144に当接する位置にまで挿入されて中心軸体141の嵌合部146に回り止めされた状態で配設されている。また、外嵌筒体142は、その外径寸法が、ボビン281の貫通孔283の径寸法よりも僅かに小さな値になるように設定され、その長さ寸法が、コイル組立体12の長さ寸法よりも若干長くなる値となるように設定されている。
【0030】
また、外嵌筒体142は、図3に示すように、一端側(図示の右端側)の端縁に軸芯方向に突出する3つの凸部(突起部)147,148,149が周方向に等間隔で形成されている。これらの凸部147,148,149は、ロータ16をシャフト14に対し回り止めし、これによりロータ16をシャフト14と共回り可能にするためのものである。
【0031】
ロータ16は、鉄系金属等の磁性材料からなるものであり、図4に示すように、コイル組立体12に対向する平板部161と、平板部161の外周縁に一体形成され、コイル組立体12における筒状体24の端部を覆う円環部162とから構成されたものである。平板部161には、中心にシャフト14が挿通される貫通孔163が形成され、貫通孔163の外周領域に3つのスリット状の貫通孔164,165,166が形成されている。
【0032】
また、貫通孔163には、外嵌筒体142の凸部147,148,149にそれぞれ嵌合される3つの凹部(切り欠き)167,168,169が形成されている。また、円環部162は、シャフト14の軸芯方向の長さ、及び筒状体24の端部外周面との隙間が磁気抵抗の大きくなり過ぎない所定値に設定されるようになっている。このように構成されたロータ16は、3つの凹部167,168,169が外嵌筒体142の凸部147,148,149に嵌合されることでシャフト14に共回り可能に外嵌されている。
【0033】
ギア18は、例えば樹脂成型により形成され、外周面に複数の歯181が等ピッチで形成されると共に、中央にシャフト14が挿通される筒部182がロータ16側に突出形成されたもので、この筒部182のロータ16側端面がロータ16に当接した状態で配置されている。この筒部182の外周には、図5に示すように、周方向に形成された一対の位置規制突起183,184からなる複数組(本実施形態では3組)の位置規制部185がギア18面から突出するようにして周方向に等間隔で形成されている。これらの位置規制突起183,184は、シャフト14の軸芯方向における厚み寸法がアーマチュア22の板厚寸法よりも僅かに大きな値となるように設定され、それらの位置規制突起183,184間の寸法がアーマチュア22の後述する凸部222の幅(周方向)寸法よりも僅かに大きな値となるように設定されている。
【0034】
また、筒部182の外周には、その先端部であって隣接する位置規制部185間に対応する位置に径方向に突出する抜止突起186が形成されている。なお、本実施形態では、位置規制部185が3組形成されているため、3つの抜止突起186が形成されることになる。この抜止突起186と位置規制突起183,184との間の軸芯方向における寸法は、弾性部材であるリング体20の厚み寸法と略等しい値に設定されている。また、抜止突起186は、ロータ16側の面が筒部182周面から径方向外方に離反するのに従ってロータ16から離反する方向のテーパを有する傾斜面とされている。
【0035】
このように構成されたギア18は、シャフト14に回転可能に外嵌された後に、シャフト14のリング状溝145にワッシャ等のリング状係止部材34が嵌合されることで抜け止め状態とされている。
【0036】
アーマチュア22は、鉄系金属等の磁性材料からなり、図5に示すように、ギア18の筒部182の外径よりも大きな径の貫通孔221が形成されると共に、外径がロータ16の外径に略等しい大きさに設定され、貫通孔221の周縁に所定間隔をおいて3つの凸部222が径方向内方に突出形成されたものである。このアーマチュア22は、3つの凸部222が一対の位置規制突起183,184間に嵌め込まれて回り止めされた状態でギア18に保持され、ギア18と一体に回転するようになっている。
【0037】
このようにギア18に保持されたアーマチュア22は、弾性部材としてのリング体20によりギア18から離脱しないようにされている。すなわち、リング体20は、ポリエステル等の合成樹脂やゴム等の弾性高分子材料、又はステンレススチール等の弾性を有する金属材料で板状に形成され、内径がギア18の筒部182の外径よりも僅かに大きく、外径がアーマチュア22の貫通孔221よりも小さくなるように設定(すなわち、筒部182と凸部222との間隙よりも大きな径方向厚みを有するように設定)され、筒部182の抜止突起186の内側に外嵌されて配設されている。これにより、アーマチュア22がギア18から離反する方向に移動しても各凸部222がリング体20に当接することによりアーマチュア22がギア18から離脱しないようになる。
【0038】
このリング体20は、弾性高分子材料で形成されている場合には、例えば、各抜止突起186の傾斜面(テーパ面)に載置された後にギア18側への押圧力が加えられて抜止突起186の傾斜面に沿って径方向に引き伸ばされ、抜止突起186を乗り越えることにより筒部182に外嵌される。また、弾性を有する金属材料で形成されている場合には、例えば、筒部182の各抜止突起186の両側に軸芯方向へ切り込みを形成して各抜止突起186が径方向内方に陥没可能にしておき、各抜止突起186に径方向内方への押圧力を加えて陥没させた状態で筒部182に外嵌される。
【0039】
上記のように構成された電磁クラッチ10は、例えば複写機等の画像形成装置における給紙機構部等の外部シャフトがシャフト14を構成する中心軸体141の貫通孔143に挿通され、コイル組立体12の回り止め部268が画像形成装置等の機器内部の固定部材に固定されてコイル組立体12が回転しないように取り付けられる。この状態で、外部の駆動源からギア18に回転力が与えられると、ギア18がアーマチュア22と共にシャフト14の回りを回転する。
【0040】
この状態で励磁コイル28に通電されると、本来は筒状体24、板状体26、外嵌筒体142及びロータ16で形成される磁路中に励磁コイル28による磁束が生成されることになるが、ロータ16における磁気抵抗が貫通孔164,165,166の存在によって大きくなるため、磁束はロータ16の近傍位置にあるアーマチュア22を経由して生成されることになる。このため、ロータ16にアーマチュア22を吸引する磁気吸着力が発生し、図6に示すように、アーマチュア22がリング体20の弾性力に抗してロータ16側に移動し、ロータ16に吸着されることになる。なお、図6中の符号Mはアーマチュア22を経由して生成される磁束を示している。
【0041】
すなわち、アーマチュア22がロータ16に吸着される前では、リング体20にはアーマチュア22による押圧力が作用していないため、リング体20には撓み変形が生じないが、アーマチュア22がロータ16の磁気吸着力により引っ張られると、リング体20の隣接する抜止突起186間に対応する部分(すなわち、一対の位置規制突起183,184間に対応する部分)が、アーマチュア22の各凸部222による押圧力によりロータ16側に引き伸ばされて撓み変形することになり、これによりアーマチュア22がリング体20の弾性力に抗してロータ16に吸着されることになる。これにより、ロータ16がアーマチュア22と共に回転する結果、ギア18の回転力がシャフト14に伝達され、シャフト14がギア18の回転に応じて回転することになる。
【0042】
一方、励磁コイル28への通電が遮断されると、磁束Mが消滅するためにロータ16における磁気吸着力が消滅し、アーマチュア22によりリング体20に加えられていた押圧力が解除される。このため、撓み変形していたリング体20が撓みのない元の状態に戻る復帰力によってアーマチュア22はロータ16から離反した元の位置に引き戻されることになり、ギア18のシャフト14に対する回転力の伝達が遮断され、シャフト14の回転が停止されることになる。
【0043】
本発明の実施形態に係る電磁クラッチ10は、上記のように筒状体24と板状体26とが励磁コイル28の係止突起291,292,293により一体化されることによりコイル組立体12のフィールド27を構成するようになっているので、フィールド27を構成するのに従来のようなプレスシボリ加工技術等を採用する必要がなくなる結果、フィールド27の構成が簡素化されてコストダウンが可能となる。また、励磁コイル28が係止突起291,292,293により板状体26に係止されて移動不能となるため、励磁コイル28の浮きが効果的に阻止され、アーマチュア22の吸着特性が安定したものとなって動作信頼性に優れたものとなる。
【0044】
なお、本発明のコイル組立体及び電磁クラッチは、上記実施形態のものに限定されるものではなく、次に述べるような種々の変形態様を採用することが可能である。
【0045】
(1)上記実施形態では、フィールド27を構成する板状体26は、回り止め部268が一体に形成されたものであるが、これに限るものではない。例えば、回り止め部268を板状体26とは独立したものとして形成し、この回り止め部268をカシメ加工等により板状体26に取り付けるようにしてもよい。勿論、上記実施形態のように、回り止め部268を板状体26に一体に形成した場合、製作コストを下げることができる。
【0046】
(2)上記実施形態では、励磁コイル28の係止突起291,292,293を板状体26の係止孔269,270,271に挿通し、鉤部288,289,290により板状体26の外面に係止させるようにしているが、これに限るものではない。例えば、係止突起291,292,293を板状体26の係止孔269,270,271に挿通させると共に、その先端部を加熱溶融させて板状体26の外面側に膨出部を形成し、この膨出部で板状体26の外面に係止させるようにすることも可能である。
【0047】
(3)上記実施形態では、シャフト14を構成する中心軸体141は、非磁性材料である合成樹脂等の絶縁材料により形成されたものであるが、磁性材料である金属シャフトを切削加工することにより形成したり、粉末磁性材料を成型した後に焼結させて形成したりすることも可能である。このように、中心軸体141を磁性材料で形成する場合は、中心軸体141により磁路を兼用することができるので、中心軸体141に外嵌されている外嵌筒体142は必ずしも必要としない。また、中心軸体141を非磁性材料で形成する場合、アルミナ等のセラミックス材料で形成することも可能である。
【0048】
(4)上記実施形態では、シャフト14を構成する中心軸体141の嵌合部146外周面が断面正多角形の回り止め形状とされ、外嵌筒体142の内周面が嵌合部146の形状と等しい断面正多角形の回り止め形状とされているが、このような回り止め形状に限るものではない。例えば、嵌合部146外周面の軸芯方向に線状突起が形成され、外嵌筒体142の内周面にその線状突起に嵌合される線状溝が形成される等、両者が互いに協働して回り止め状態となるような形状となっておればよい。
【0049】
(5)上記実施形態では、アーマチュア22がリング体20によりギア18から離脱しないようにされているが、アーマチュア22を弾性部材である板ばねを介してギア18に取り付けるようにすることもできる。この場合には、抜止突起186等は不要になり、ギア18の構造が簡素化されたものとなる。要するに、励磁コイル28が励磁状態にあるときにはアーマチュア22が弾性部材の弾性力に抗してギア18から離間することでロータ16に吸着され、励磁コイル28が非励磁状態にあるときにはアーマチュア22が弾性部材によりギア18側に引き戻されるような構成となっておればよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1のコイル組立体によれば、励磁コイルの係止突起により筒状体と板状体とが一体化されているので、フィールドの構成が簡素化されてコストダウンが可能になると共に、フィールド内における励磁コイルの浮きを効果的に阻止することができる。
【0051】
また、請求項2のコイル組立体によれば、板状体の貫通孔の周縁に筒状体側に突出する筒体が一体に形成されているので、電磁クラッチのシャフトを容易に支持することができ、しかも筒体とシャフト間の磁気抵抗を小さくすることができる。
【0052】
また、請求項3のコイル組立体によれば、板状体の外周縁に回り止め部が一体に形成されているので、回り止め部の別工程での取り付けが不要となってフィールドの構成がより簡素化される。
【0053】
また、請求項4のコイル組立体によれば、係止突起が先端の鉤部により板状体に係止されているので、組み立て作業が容易となってフィールドの構成がより簡素化される。
【0054】
また、請求項5の電磁クラッチによれば、励磁コイルの係止突起により筒状体と板状体とが一体化されているので、フィールドの構成が簡素化されてコストダウンが可能になると共に、フィールド内における励磁コイルの浮きを効果的に阻止することができて動作信頼性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電磁クラッチの断面図である。
【図2】図1に示す電磁クラッチに適用されるコイル組立体の分解斜視図である。
【図3】図1に示す電磁クラッチに適用されるシャフトの構成を説明するための図で、(a)は正面図、(b)はその左側面図である。
【図4】図1に示す電磁クラッチに適用されるロータの構成を説明するための図で、(a)は正面図、(b)はその左側面図である。
【図5】図1に示す電磁クラッチに適用されるギヤの要部、アーマチュア及びリング体を示す斜視図である。
【図6】図1に示す電磁クラッチの動作を説明するための断面図である。
【図7】従来例の電磁クラッチの要部断面図である。
【符号の説明】
10 電磁クラッチ
12 コイル組立体
14 シャフト
16 ロータ(出力側回転体)
18 ギア(入力側回転体)
20 リング体(弾性部材)
22 アーマチュア(伝達体)
24 筒状体
26 板状体
27 フィールド
28 励磁コイル
261 貫通孔
262 筒体(軸受け部)
268 回り止め部
269,270,271 係止孔
281 ボビン
282 コイル
284,286 鍔
288,289,290 鉤
291,292,293 係止突起
295,296,297 凸部(規制部)

Claims (5)

  1. 両端が開口された筒状体と、この筒状体の一方の開口端に配設される板状体と、前記筒状体の内部に収納される励磁コイルとからなる電磁クラッチ用のコイル組立体であって、
    前記板状体は、中心部に形成されたシャフト挿通用の貫通孔と、その貫通孔の外周領域に周方向に沿って形成された複数の係止孔とを備え、
    前記励磁コイルは、両端に鍔が形成され、中心部にシャフト挿通用の貫通孔が形成されたボビンと、このボビンに導線が巻回されてなるコイルと、一方の鍔の前記各係止孔に対向する位置にそれぞれ形成された係止突起と、他方の鍔の外周縁に形成され、前記筒状体の抜けを他方の開口端で規制する規制部とを備え、
    前記励磁コイルがその規制部により前記筒状体を他方の開口端で抜け規制した状態で前記筒状体に収納され、その係止突起が前記板状体の係止孔に挿通されて当該板状体に係止されてなることを特徴とするコイル組立体。
  2. 前記板状体は、前記貫通孔の周縁に前記筒状体側に突出する筒体が一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載のコイル組立体。
  3. 前記板状体は、その外周縁に突出する回り止め部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のコイル組立体。
  4. 前記係止突起は先端に鉤部が形成され、その鉤部により前記板状体に係止されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコイル組立体。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のコイル組立体と、このコイル組立体に回転可能に貫通配置されたシャフトと、このシャフトに共回り可能に外嵌され、前記コイル組立体の励磁コイルに対向して配設された出力側回転体と、前記シャフトに回転可能に外嵌された入力側回転体と、この入力側回転体に弾性部材を介して共回り可能に取り付けられ、前記励磁コイルによる磁気により前記出力側回転体に吸着可能に配設された伝達体とを備えたことを特徴とする電磁クラッチ。
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