JP4074005B2 - ユニット式建物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、四隅の柱の上端間同士および下端同士を梁で連結して直方体状の骨組みを有する建物ユニットを複数組み合わせたユニット式建物に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、予め工場で製造した箱状の建物ユニットを建築現場で複数組み合わせることにより、建築されるユニット式建物が利用されている。このようなユニット式建物によれば、内装、外装および設備部材等の部品・部材が工場で建物ユニットに組み付けられてしまうので、建築現場での作業が大幅に軽減され、短期間で建築できるという利点がある。
【0003】
このようなユニット式建物では、上階の居室および下階の居室とを仕切る床の遮音性を向上させるために、上下左右に隣接する建物ユニットの四本の梁を一体化し、各梁の自由な振動を抑制している(特公平6−15785号公報)。
この公報によれば、隣接配置された二つの下階建物ユニットの互いに隣接する二本の天井梁にまたがって連結プレートが配置され、この連結プレートが当該二本の天井梁にリベットやボルトで接合され、これにより、下階建物ユニットの互いに隣接する二本の天井梁が一体化されている。
【0004】
また、隣接配置された二つの上階建物ユニットの互いに隣接する二本の床梁に跨って連結プレートが配置され、この連結プレートが当該床梁にリベットやボルトで接合され、これにより、上階建物ユニットの互いに隣接する二本の床梁が一体化されている。
さらに、一体化された上階建物ユニット二本の床梁と、下階建物ユニットの二本の天井梁とがボルトで接合され、これにより、隣接する四本の梁が一体化され、床面荷重を支持する床梁の振動が抑制されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなユニット式建物では、床梁同士を連結する連結プレートは、リベットやボルトで床梁や天井梁に接合しなければならないので、ボルト用の穴開けををする必要がある等、作業性が悪く、現場作業に多くの手間がかかり、生産効率が上がらないという問題がある。また、床梁同士を連結する連結プレートは、床梁の上面に配置され、天井梁同士を連結する連結プレートは、当該天井梁の下面に配置されるので、建築現場で床梁および天井梁に連結プレートを接合するにあたり、床面および天井面に開口を設けておき、床梁および天井梁の連結部分を露出させておく必要がある。
このため、連結プレートで床梁同士および天井梁同士を連結した後、床面および天井面に形成された開口を塞ぐ必要があり、建築現場での作業が増え、工業化率が低下するという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上下左右に隣接する建物ユニットの梁同士の連結を、連結プレート設置用の開口を設けることなく容易に行えるとともに、現場作業が少なくてすみ、かつ作業効率の向上を図れるようになるユニット式建物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、図面をも参照して説明すると、図5に示すように、四隅の柱4の上端間同士および下端間同士を梁5Aで連結した直方体状の骨組みを備えてなる建物ユニット2を上下左右に複数組み合わせて建てられるユニット式建物1であって、隣接する下階建物ユニットの左右に隣り合う天井梁の上面部に跨るように設けられ、これら天井梁同士を左右から挟持する水平挟持部材20と、隣接する下階建物ユニットの隣り合う天井梁間およびこれらの下階建物ユニットの上に隣接配置される上階建物ユニットの隣り合う床梁間における前記水平挟持部材が配置された水平位置とは異なる水平位置に配置され、前記隣り合う天井梁と隣り合う床梁同士とを鉛直方向に挟持する鉛直挟持部材30とを備え、前記鉛直挟持部材30は、前記下階建物ユニットの隣り合う天井梁の間にはまるブロック部34およびこのブロック部34の両側からそれぞれ水平に延びる鍔部35を有して前記天井梁の下面間に架けわたされる第1フランジ部材31と、前記上階建物ユニットの隣り合う床梁の間にはまるブロック部34およびこのブロック部34の両側からそれぞれ水平に延びる鍔部35を有して前記床梁の上面間に架けわたされる第2フランジ部材32と、これらの第1、2フランジ部材31,32同士を連結する連結部材33とを備えて構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本明細書中、挟持手段は、左右に隣接する建物ユニットの隣り合う天井梁同士を挟持する水平方向用のタイプ、およびこれらの天井梁同士と、上記建物ユニットの上に載置される上階建物ユニットの隣り合う床梁同士との間に架けわたされる鉛直方向用のタイプを含む概念である。また、水平方向用および鉛直方向用の挟持手段の形式は問わない。例えば、水平方向用の挟持手段は、隣り合う天井梁間にわたされるプレート部材の両端を折り曲げ、この折り曲げ部を引っかけることにより挟持することが考えられ、鉛直方向用の挟持手段としては、隣り合う天井梁の下面間に架けわたされるフランジ部材と、床梁の上面間に架けわたされるフランジ部材とを長尺のネジ棒で連結するタイプが好ましいが、ネジ棒に替えてコイルばねを使用してもよい。
【0009】
このような本発明では、複数の建物ユニットを隣接させて配置した後、隣り合う梁同士を挟持手段によって挟持すれば、梁同士を連結できるので、連結プレート設置用の開口を設けることなく建物ユニットの梁同士を連結することができる。また、隣り合う梁同士を挟持手段によって挟持すればよいので、現場作業が少なくてすみ、かつ作業効率の向上を図れるようになる。
また、このような本発明では、上下のフランジ部材を連結部材で連結することにより上下方向に隣り合う梁5A,6A同士を連結できるので、構造が簡単であり、取り付け作業が容易である。
【0011】
以上において、水平挟持部材は、左右に隣り合う梁同士を挟持できるものであれば形式を問わないが、所定巾の板部材を使用し、この板部材に梁同士を係止する折り曲げ部を形成することが好ましい。また、板部材に替えて丸棒あるいは角棒を使用してもよい。
【0013】
本発明の請求項2に記載のユニット式建物は、図3に示すように、請求項1に記載のユニット式建物において、水平挟持部材20は、複数個が均等配置されるとともに、隣接する建物ユニット2の左右に隣り合う梁5A同士間の寸法を正常な寸法に保持する水平部20Aと、この水平部20Aの両端に梁5A側に延びこれらの梁5Aのフランジ部を係止する係止部20Bとを有していることを特徴とするものである。
【0014】
このような本発明では、水平挟持部材が水平部と係止部とを有する形状となっているので、製作が容易である。
【0015】
本発明の請求項3に記載のユニット式建物は、図4,9に示すように、請求項1または2に記載のユニット式建物において、水平挟持部材20の左右に隣り合う梁5Aへの取り付けは、挟持部材20が隣り合う梁5Aを挟持できる位置までこれらの梁5Aを互いに引き寄せる引き寄せ治具40により行われることを特徴とするものである。
【0016】
以上において、引き寄せ治具の形式は問わない。例えばフック部と係止部とを有し、操作部を回動させることで、フック部と係止部とが隣り合う梁のフランジ部を引き寄せることができるような形式、あるいは隣り合う梁のそれぞれのフランジ縁に押し当てる当接部材を設け、このうちの一方にねじ棒を連結させ、このねじ棒をハンドルで回すことにより、一方の当接部材を前進させ、これにより、隣り合う梁同士を引き寄せるような形式等を適用できる。
【0017】
このような本発明では、引き寄せ治具によって隣り合う梁同士を引き寄せることができるので、水平挟持部材の取り付けが容易に行える。
【0021】
このような本発明では、上下のフランジ部材を連結部材で連結することにより上下方向に隣り合う梁5A,6A同士を連結できるので、構造が簡単であり、取り付け作業が容易である。
【0022】
本発明の請求項4に記載のユニット式建物は、図5に示すように、請求項1〜3のいずれかに記載のユニット式建物において、建物ユニットに設けられる床は、上下に所定間隔をおいて設けられた上側床面材61および下側面材62と、これらの面材61,62の間に充填される遮音材63とを含み形成される床パネル60を備えて構成されていることを特徴とするものである。
【0023】
このような本発明では、高気密性が確保されるとともに、遮音性の向上を図ることができる。
【0024】
本発明のユニット式建物を展開したユニット式建物の組立方法は、図9等に示すように、四隅の柱の上端間同士および下端間同士を梁で連結した直方体状の骨組みを備えてなる建物ユニットを複数組み合わせて建てられるユニット式建物であって、複数の下階建物ユニット2を所定位置に配置するとともに、互いに隣接する下階建物ユニット2の天井梁5A同士を引き寄せ治具40により引き寄せた後、これらの天井梁5A同士を水平挟持部材20で挟持するとともに、引き寄せ治具40を取り外し、下階建物ユニット2の上に複数の上階建物ユニット3を配置し、隣接する下階建物ユニット2の隣り合う天井梁5A間、およびこれらの下階建物ユニット2の上に隣接配置される上階建物ユニット3の隣り合う床梁6A間に鉛直挟持部材30を配置するとともに、この鉛直挟持部材30により上下に隣り合う天井梁5Aと床梁6A同士を挟持することを特徴とするものである。
【0025】
このような本発明では、複数の建物ユニットを隣接させて配置した後、隣り合う梁同士を、引き寄せ治具により引き寄せた後、挟持手段によって挟持すれば梁同士を連結でき、また、下階建物ユニットの上に上階建物ユニットを載せた後、鉛直挟持部材により上下に隣り合う天井梁と床梁同士を挟持することができるので、隣り合う梁同士の連結が容易にでき、かつ現場作業が少なくてすみ、作業効率の向上を図れるようになる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るユニット式建物1は、基礎1Aの上において、箱状に形成された複数の建物ユニット2,3を組み合わせた二階建ての建物である。建物ユニット2は、一階に配置されている下階建物ユニットであり、建物ユニット3は、二階に配置されている上階建物ユニットである。
【0027】
建物ユニット2,3の各々は、図2に示されるように、四隅の柱4の上下端をそれぞれ4本づつの天井梁5および床梁6で連結した直方体状の骨組み7を備えたものである。骨組み7の天井梁5としては、長さの異なる長辺天井梁5Aおよび短辺天井梁5Bの二種類が設けられ、フレーム7の床梁6としては、天井梁5と同様に、長さの異なる長辺床梁6Aおよび短辺床梁6Bの二種類が設けられている。
【0028】
対向する長辺天井梁5Aの間には、天井を形成する天井面材(図示省略)を支持するために、複数本の天井小梁8が架けわたされている。
対向する長辺床梁6Aの間には、床を形成する床面材(図示省略)を支持するために、複数の根太9が架けわたされている。
【0029】
このようなユニット式建物1は、上階の居室および下階の居室とを仕切る床の遮音性を向上させるために、上下左右に隣接する建物ユニット2,3の梁5A同士および6A同士を一体化し、各梁5A,6Aの自由な振動が抑制されるようになっている。
すなわち、建物ユニット2,3の梁5A,6Aは、図5に示されるように、その左右方向の梁5A,5A同士および上下方向の梁5A,6A同士が挟持手段10によって挟持されている。
【0030】
挟持手段10は、隣接する下階建物ユニット2の左右に隣り合う天井梁5A同士を挟持・連結する水平挟持部材20と、左右に隣接する下階建物ユニット2の隣り合う天井梁5A同士、および二階建物ユニット3の隣り合う床梁6A同士を挟持・連結する鉛直挟持部材30とを含んで構成されている。
【0031】
水平挟持部材20は、図3にも示すように、所定巾寸法の板部材で形成されており、隣接する建物ユニット2,2の左右に隣り合う天井梁5A同士間の寸法を正常な寸法に保持する水平部20Aと、この水平部20Aの両端に各天井梁5A側に折り曲げ形成された係止部20Bを有しており、この係止部20Bにより、各天井梁5Aのフランジ部5Bが係止されている。
【0032】
鉛直挟持部材30は、隣接する下階建物ユニット2の左右に隣り合う天井梁5A,5Aの下面間に架けわたされる水平な第1フランジ部材31と、上階建物ユニット3の左右に隣り合う床梁6A,6Aの上面間に架けわたされる水平な第2フランジ部材32と、これらの第1、2フランジ部材31,32同士を連結する連結部材である長ボルト33とを備えて構成されている。
【0033】
第1、2フランジ部材31,32は、図5,6に示すように、それぞれ平面四角形のブロック34と、そのブロック34の両側に繋がる鍔部35を有する断面キャップ型に形成されており、鍔部35は、左右の天井梁5A,5Aの下フランジ面間および床梁6A,6Aの上フランジ面間に架けわたされ、ブロック34の対向する側面は、左右の天井梁5A,5A間および床梁6A,6A間にはまり込むようになっている。
【0034】
また、鍔部35において左右の天井梁5A,5A間にはまり込む側面と直交する両端には、補強用の立ち上がり部35Aが形成されている。
これらのフランジ部材31,32の各ブロック34には、互いに向き合う方向に凹部34Bが形成され、この凹部34Bの上下方向に明けられた穴には、前記長ボルト33が挿通されるようになっている。長ボルト33の一端にはナット36が螺合されており、このナット36の締め付け力を調整することで、上下の梁5A,6A間の連結が調整されることになる。
【0035】
このような水平挟持部材20と鉛直挟持部材30とは、隣接する建物ユニット同士に、例えば、図7に示すような配置で設けられる。
すなわち、水平挟持部材20は、隣接する建物ユニット2,2の長辺方向に3箇所、鉛直挟持部材30は、水平挟持部材20の間に2箇所配置されており、全体が均等間隔となっている。
【0036】
なお、建物ユニット2等は大きさが異なる複数種あるので、各挟持部材20、30の配置は、例えば、最も小さな建物ユニットでは、水平挟持部材20を2箇所に配置し、鉛直挟持部材30をその水平挟持部材20の間に1箇所配置する等、それぞれの大きさに合わせて行えばよい。
また、隣接する建物ユニット2,2同士の接続は、それぞれの柱4が4本集まる角部では、4本の柱4を覆う大きさの第1の接続プレート37を使用して行い、柱4が2本集まる角部では、2本の柱4を覆う大きさの第2の接続プレート38を使用して行う。そして、これらの接続プレート37,38に明けられた穴を、それぞれの柱4に立設された連結ピン39に挿通させることにより、各建物ユニット2,2等同士が接続されるようになっている。
【0037】
図7に示すように、このような水平挟持部材20の近傍には、スペーサ部材25が設けられている。
すなわち、スペーサ部材25は、水平挟持部材20の板厚とほぼ等しい厚みを有し、ボルト26により床梁6A、天井梁5Aに固定されている。そして、これにより、天井梁5Aの上面と床梁6Aの下面との間に生じた水平挟持部材20等の板厚の分の隙間が部分的にも補填され、床梁6Aにかかる負担が軽減されるようになっている。
【0038】
隣接する建物ユニット2の隣り合う天井梁5A間には、図3,8に示すように、遮音等のために、グラスウール27が詰め込まれている。
また、天井梁5Aの上面には、水平挟持部材20をも覆う、例えばブチルゴム製の所定厚さの遮音シート15が貼り付けられるようになっている。
【0039】
図5に示すように、上階建物ユニット3の床梁6Aには、ブラケット12を介して複数本の前記根太9が取り付けられており、これらの根太9に高気密床パネル60が取り付けられている。この床パネル60は、根太9の上面に釘打ち等により取り付けられ建物の床を形成する上側床面材61と、根太9の下面に釘打ち等により取り付けられる下側面材62とを備えており、上下の面材61,62の間には、グラスウール等の遮音材63が充填され、建物の遮音性の向上が図られている。
なお、下側面材62の下面と床梁6Aの下面の高さはほぼ同一面となっている。そのため、根太9の下面は、下側面材62の厚さの分だけ削られている。
【0040】
隣接する建物ユニット2の隣り合う天井梁5A同士の引き寄せは、図4に示すような梁引き寄せ治具40により行われる。
すなわち、梁引き寄せ治具40は、一端に操作部41、他端に係止部42を有する長尺のレバー部材43と、このレバー部材43の中間部分に支軸44を介して回動自在に取り付けられた係止部材45とを備えて構成されている。そして、このような梁引き寄せ治具40により、隣り合う天井梁5A同士は、引き寄せられ、かつ、互いの間隔を正常な状態に保持されるとともに、今度は、その状態で取り付けられた水平挟持部材20により、互いの間隔を正常な状態に保持されることになる。
【0041】
レバー部材43の係止部42は、長尺のレバー部材本体46からその長手方向に沿って直線的に延びる上面当接部47と、本体46の途中から分岐して斜め下方に延びる側面当接部48とを備えている。このような係止部42は、上面当接部47を一方の梁5Aの上面に当接させるとともに、側面当接部48を一方の梁5Aの側面のうち、他方の梁5A側とは反対側の側面に当接させることにより、一方の梁5Aの上部に係止できるようになっている。
【0042】
また、係止部材45は、一端にフック部51を備えたフック部材52と、このフック部材52の他端およびレバー部材43の中間部を挟持する一対の連結部材53,54とを備え、これらの連結部材53,54は、フック部材52およびレバー部材43にそれぞれ支軸55を介して回動自在に取り付けられている。また、フック部材52のフック部51は、所定角度に屈曲した形状を有し、この屈曲部を引っかけることにより、他方の梁の上部に係止できるようになっている。
【0043】
この梁引き寄せ治具40では、操作部41を握って、図9に示すように、レバー部材43を図中時計回りの方向に回動させることにより、係止部42とフック部52とが互いに引き寄せられるようになっている。このとき、レバー部材43における支軸44から操作部41までの距離は、支軸44から係止部42までの距離よりも大きくなっているので、レバー部材43を回動させる力は少なくて済む。
【0044】
次に、本実施形態のユニット式建物1の組立手順について、図9をも参照して説明する。
まず、複数の下階建物ユニット2,2を基礎1A上の所定位置に配置し、次に、互いに隣接する下階建物ユニット2,2の天井梁同士を、図7の位置で、水平挟持部材20により挟持する。この際、図9(A)に示すように、梁引き寄せ治具40のフック部52を、一方の建物ユニット2における所定位置の天井梁5aの上フランジの縁部に引っかけ、レバー部材43の上面当接部47を、他方の建物ユニット2の天井梁5Aの上フランジの上面に押し当てるとともに、係止部42をそのフランジの縁部に引っかける。
【0045】
その状態で操作部41を矢印方向に回動させる。そうすると、フック部52と係止部42とが互いに引き寄せられ、これに連れ、隣り合う天井梁5A同士も互いに引き寄せられる。次いで、梁引き寄せ治具40を取り付けたままで、図9(B)に示すように、3個の水平挟持部材20をそれぞれ所定の位置に取り付ける。この際、両端の折り曲げ部20Bを隣り合う天井梁5Aの上面縁部にはめ込み、水平部20Aを各天井梁5Aの上面に押し当てて取り付ける。また、天井梁5A間にグラスウール等の遮音シール27を詰め込む。
【0046】
すべての水平挟持部材20の取り付けを終了し、遮音シール27を詰め込んだ後、図9(C)に示すように、梁引き寄せ治具40を取り外す。この際、梁引き寄せ治具40の操作部41を支軸44を支点にして上方側に回動し、フック部52と係止部42とを隣り合う天井梁5Aの上フランジ部から取り外せばよい。
そして、図9(D)に示すように、隣り合う天井梁5Aの上面に水平挟持部材20をも覆って遮音シート15を貼り付ける。
【0047】
その後、下階建物ユニット2の上に所定の上階建物ユニット3を載せる。この際、下階建物ユニット2の柱4の上面に、所定の第1接続プレート37および第2接続プレート38を配置するとともに、下階建物ユニット2の柱4の連結ピン39に上階建物ユニット3の柱4の下面の係合穴を係合させる。
【0048】
次に、所定の位置で、下階建物ユニット2の天井梁5Aの下面から、上階建物ユニット3の床梁6Aの上面に架けわたして鉛直挟持部材30を取り付ける。取り付けに際して、上下のフランジ部材31,32を、隣り合う天井梁5A間および床梁6A間にはめ込み、下側フランジ部材31の凹部34Bの穴から上側フランジ部材32の凹部34Bの穴に長ボルト33を差し込んで、上側フランジ部材32の凹部内34Bでナット36を螺合させて所定の強さで締め付ける。
なお、上階建物ユニット3の床梁6Aには、予め工場で床パネル60が取り付けられている。そして、これらの床パネル60の端部間には、図示しないが、現場でジョイント床パネルが設けられるようになっている。
【0049】
前述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
▲1▼隣接する下階建物ユニット2の隣り合う天井梁5A同士は、その上面に跨って配置される水平狭持部材20によって連結、一体化されるので、ボルトやリベット等を使う必要がなく、きわめて容易に連結することができ、現場作業にかかる手間が少なくて済む。
【0050】
▲2▼隣接する下階建物ユニット2の隣り合う天井梁5A同士は、その上面に跨って配置される水平狭持部材20によって連結、一体化されるので、下階建物ユニット2の上方からの設置作業および接合作業が行なえ、下階建物ユニット2の天井梁5A,5Bに天井面材が張り付けてあっても、その天井面に、水平狭持部材20を設置するための開口を設ける必要がない。
【0051】
▲3▼隣接する下階建物ユニット2の隣り合う天井梁5A同士の連結,一体化は、その上面に跨って配置される水平狭持部材20によって行われが、この水平狭持部材20は、梁引き寄せ治具40を使用し、隣り合う梁5A同士を引き寄せた後取り付ければよいので、取り付け作業が容易である。
【0052】
▲4▼上下方向に隣接する建物ユニット2、3の天井梁5Aと床梁6Aとの連結,一体化は、鉛直狭持部材30によって行われ、この鉛直狭持部材30は、第1、2のフランジ部材31、32を長ボルト33で連結する構造となっているので、取り付けに際しては、床面材や天井面材のジョイント用面材を取り付ける前に行うことができ、従って、鉛直狭持部材30を取り付けるための開口を設ける必要がない。
【0053】
▲5▼鉛直狭持部材30の第1、2フランジ部材31、32におけるブロック34は、上下方向に隣接する建物ユニット2、3の天井梁5A間および床梁6A間に挿通可能となっているので、これらの間にはめ込んだ後、ナット36を締め付ければよく、ブロック34の側面34Aが位置決めの役割を兼ねることとなり、鉛直狭持部材30の取り付けが容易である。
【0054】
▲6▼床パネル60は、上下の面材61,62の間に遮音材63を充填して形成されているので、遮音性が向上し、かつ、高気密性を確保できる。従って、快適な住空間を得ることができる。
▲7▼下階建物ユニット2の天井梁5Aにおいて水平挟持部材20の近傍にはスペーサ部材25が設けられているので、天井梁5Aの上面と床梁6Aの下面との間に生じた水平挟持部材20等の板厚の分の隙間を部分的にも補填することができ、これにより、上階建物ユニット3の床梁6Aにかかる負担を軽減することができる。
【0055】
▲8▼水平狭持部材20は、建物ユニット2等の長辺方向に3箇所、また、鉛直狭持部材30は、それぞれの水平狭持部材20の間に2箇所配置され、全体として均等となっているので、上下左右に隣接する建物ユニット2,3をバランスよく連結、一体化することができる。
▲9▼梁引き寄せ治具40は、操作部41を握ってレバー部材43を回動させるだけで、係止部42およびフック部51、つまり、これらに係止した隣り合う天井梁5A同士を互いに引き寄せることができるので、操作が簡単であり、これにより、その後の水平狭持部材20の取り付けが迅速に行え、作業性の向上を図ることができる。
【0056】
以上本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、この実施形態の限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。
例えば、ユニット式建物としては、二階建てのものに限らず、三フロア以上の階層を有する多層のユニット式建物でもよい。
また、上下左右に隣接する建物ユニットの互いに一体化される梁は、長辺梁に限らず、短辺梁でもよく、長辺梁および短辺梁の両方を一体化してもよい。
【0057】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、複数の建物ユニットを隣接させて配置した後、隣り合う梁同士を挟持手段によって挟持すれば、梁同士を連結できるので、連結プレート設置用の開口を設けることなく建物ユニットの梁同士を連結することができる。また、隣り合う梁同士を挟持手段によって挟持すればよいので、現場作業が少なくてすみ、かつ作業効率の向上を図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るユニット式建物を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の建物ユニットの骨組みを示す斜視図である。
【図3】本実施形態の水平挟持部材と隣り合う梁とを示す斜視図である。
【図4】本実施形態の梁引き寄せ治具を示す斜視図である。
【図5】本実施形態の水平挟持部材と鉛直挟持部材との使用例を示す縦断面図である。
【図6】本実施形態の鉛直挟持部材を示す全体斜視図である。
【図7】本実施形態の水平挟持部材と鉛直挟持部材との配置を示す平面図である。
【図8】本実施形態の水平挟持部材近傍を示す斜視図である。
【図9】本実施形態の梁引き寄せ治具使用による水平挟持部材の取り付け手順を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ユニット式建物
2 下階建物ユニット
3 上階建物ユニット
4 柱
5 天井梁
6 床梁
7 骨組み
10 挟持部材
20 水平挟持部材
30 鉛直挟持部材
31 第1フランジ部材
32 第2フランジ部材
33 連結部材である長ボルト
40 梁引き寄せ治具
42 係止部
51 フック部
60 床パネル
61 上側床面材
62 下側面材
63 断熱材
Claims (4)
- 四隅の柱の上端間同士および下端間同士を梁で連結した直方体状の骨組みを備えてなる建物ユニットを上下左右に複数組み合わせて建てられるユニット式建物であって、
隣接する下階建物ユニットの左右に隣り合う天井梁の上面部に跨るように設けられ、これら天井梁同士を左右から挟持する水平挟持部材と、
隣接する下階建物ユニットの隣り合う天井梁間およびこれらの下階建物ユニットの上に隣接配置される上階建物ユニットの隣り合う床梁間における前記水平挟持部材が配置された水平位置とは異なる水平位置に配置され、前記隣り合う天井梁と隣り合う床梁同士とを鉛直方向に挟持する鉛直挟持部材とを備え、
前記鉛直挟持部材は、前記下階建物ユニットの隣り合う天井梁の間にはまるブロック部およびこのブロック部の両側からそれぞれ水平に延びる鍔部を有して前記天井梁の下面間に架けわたされる第1フランジ部材と、前記上階建物ユニットの隣り合う床梁の間にはまるブロック部およびこのブロック部の両側からそれぞれ水平に延びる鍔部を有して前記床梁の上面間に架けわたされる第2フランジ部材と、これらの第1、2フランジ部材同士を連結する連結部材とを備えて構成されていることを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1に記載のユニット式建物において、前記水平挟持部材は、複数個が均等配置されるとともに、前記隣接する建物ユニットの左右に隣り合う前記梁同士間の寸法を正常な寸法に保持する水平部と、この水平部の両端に前記梁側に延びこれらの梁のフランジ部を係止する係止部とを有していることを特徴とするユニット式建物。
- 請求項1または2に記載のユニット式建物において、前記水平挟持部材の左右に隣り合う梁への取り付けは、前記挟持部材が前記隣り合う梁を挟持できる位置までこれらの梁を互いに引き寄せる引き寄せ治具により行われることを特徴とするユニット式建物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のユニット式建物において、前記建物ユニットに設けられる床は、上下に所定間隔をおいて設けられた上側床面材および下側面材と、これらの面材の間に充填される遮音材とを含み形成される床パネルを備えて構成されることを特徴とするユニット式建物。
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