JP4073318B2 - 記録材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は記録材およびその製造方法に関し、特に情報等の記録に適し、かつ、耐傷性に優れた記録材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、個人情報等を盛り込んだカードとして、IDカード、身分証明書、社員証、会員カード等がある。例えば、塩化ビニルやポリエステル等のカード基材表面に、会社名、発行日等の画像情報を熱転写やグラビア印刷等を用いて印刷し、利用者の顔写真等をサーマルヘッド手段等を用いて、顔写真形成用受像層に形成してカードを作製したり、紙等に個人情報等を印刷したものにパウチラミネートを施してカードを作製したりすることが多かった。
熱転写等を用いてプラスチック基材に情報等を印刷したカードでは、印刷表面に傷がつくと剥がれが生じ易く、印刷ロットも多く、また顔写真等の個人情報は別途形成しなければならないという煩雑さがあった。パウチラミネート等によりカードを作製する場合には、手軽であるという利点はあるが、画像等を所定位置にはめ込む作業の困難さがあった。
近年においては、パソコン、アプリケーション等の発達により、手軽にDTPによるカード作りが可能となった。インクジェット法による印刷は安価で高品質の画像の記録が可能であり、また、専用のインクジェットシートも発売されており、高度な情報を容易に記録することができる。そこで、インクジェット法を利用して、個人情報等を記録させたカードを作製することが検討されている。
しかし、一般的にインクジェット記録メディアは耐水性、耐傷性が低いので、情報を記録したカードを露出した状態で携帯すると、表面に傷がついたり、記録した情報が見えにくくなったり等、種々の問題が発生した。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−208107号公報
【特許文献2】
特開平11−259649号公報
【特許文献3】
特開平11−309969号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、情報記録を容易に行うことができ、かつ耐水性、耐傷性が高い記録材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の記録材の製造方法は、吸水性樹脂を主成分とするインク受容層を一方の面に有するシートの該インク受容層にインクジェットプリンターを用いて鏡面印刷を施し、基材と該インク受容層とを重ね合わせて熱ラミネートすることにより、シートと基材との積層体を形成する記録材の製造方法であって、該吸水性樹脂が下記に示す式(1)の繰り返し単位からなる樹脂を主成分とすることを特徴とする。
(式(2)中、Xは、水素原子または炭素数1以上の炭化水素基であり、a,b,cは、それぞれ1以上の正数であり、Xが炭素数1以上の炭化水素基である場合は、式 44(a+c)/(炭素数3以上のα−オレフィンオキシドの分子量)b=80/20〜96/4 を満足する)で表されるポリアルキレンオキシド残基であり、Yは、活性水素を2個有する化合物残基であり、Rは、炭素数12〜36の直鎖状ジカルボン酸およびその低級アルキルエステルからなるジカルボン酸類化合物残基である。)
ここで、吸水性樹脂は溶融温度80℃以下であることができる。
【0006】
また、本発明の記録材は、上記いずれかの製造方法により製造されたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の記録材は基材およびシートからなり、基材およびシートはそれぞれインクジェット等による記録が可能であり、かつラミネート適性を有する。
すなわち、本発明の記録材は、吸水性樹脂を主成分とするインク受容層を有するシートと基材とをラミネーションにより積層したものである。
本発明において、インク受容層はインクジェット記録が可能な層であり、吸水性樹脂を主成分とする。ここで「吸水性樹脂を主成分とするインク受容層」とは、インク受容層を構成する成分のうち、吸水性樹脂が質量比で最も多いことを指し、好ましくは50%以上である。インク受容層に含まれる化合物等はインク受容層に望まれる特性を阻害しないものであれば、特に限定されることはない。例えば、無機または有機のフィラー、界面活性剤、増粘剤等を含有することができる。
本発明において吸水性樹脂の溶融温度は80℃以下であることが好ましい。吸水性樹脂としては熱可塑性樹脂が挙げられ、例えば、ポリアルキレンオキシド、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリウレタン系樹脂、セルロース系化合物、およびこれらの変性物等が挙げられる。これらは単独で用いても、2以上を混合して用いてもよい。
【0008】
本発明においては、吸水性樹脂として、下記一般式(1)で表される繰り返し単位から構成される親水性の熱可塑性樹脂を好ましく用いることができる。
(式(2)中、Xは、水素原子または炭素数1以上の炭化水素基である。また、a,b,cは、それぞれ1以上の整数であり、Xが炭素数1以上の炭化水素基である場合は、式 44(a+c)/(炭素数3以上のα−オレフィンオキシドの分子量)b=80/20〜94/6 を満足する)で表されるポリアルキレンオキシド残基であり、Yは、活性水素を2個有する化合物残基であり、Rは、炭素数12〜36の直鎖状ジカルボン酸およびその低級アルキルエステルからなるジカルボン酸類化合物残基である。)
【0009】
ここで、活性水素基を2個有する有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールA、ブチルアミン、アニリン、アニリンプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコール等がある。
【0010】
上述した重量比、すなわち44(a+c)/(炭素数3以上のα−オレフィンオキシドの分子量)b、が80/20より小さいと親水性が低下し、インク吸水性、印刷適性で劣るものとなる。一方、94/6を超えると、インクの滲み耐水性等の点で劣るものとなる。Xは前記一般式(1)で示される樹脂組成物に疎水性を付与する機能を有するものであり、例えば好ましいものとしてはエチル基等のアルキル基等が挙げられ、a、b、cの割合を上述の範囲内とすることにより、親水性を失わず、かつ、水に対して不溶化することができる。
かかる熱可塑性樹脂は、エチレングリコールにエチレンオキシドを付加重合した後、アルキレンオキシドを付加重合し、さらにエチレンオキシドを付加重合して生成したポリアルキレンオキシドにジカルボン酸化合物またはジイソシアネート化合物を反応させて生成することができる。
【0011】
上記ジカルボン酸類化合物としては環状ジカルボン酸化合物または直鎖状ジカルボン酸化合物が望ましく、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸の低級アルキルエステルが挙げられる。上記ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、コハク酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、イタコン酸が挙げられる。上記ジカルボン酸無水物としては、上記各種ジカルボン酸の無水物が挙げられる。また、上記ジカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、上記各種ジカルボン酸のメチルエステル、ジメチルエステル、エチルエステル、ジエチルエステル、プロピルエステル、ジプロピルエステル等が挙げられる。
特に好ましくは、炭素数12〜36の直鎖状ジカルボン酸およびその低級アルキルエステルが挙げられ、1,10−デカメチレンジカルボン酸、1,14−テトラデカメチレンジカルボン酸、1,18−オクタデカメチレンジカルボン酸、1,32−ドトリアコンタンメチレンジカルボン酸等が挙げられる。上記その低級アルキルエステルとしては、これらジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ジプロピルエステル等が挙げられる。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。なかでも、反応の容易性という観点から、上記ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸の低級アルキルエステルを用いることが好ましい。
【0012】
上記ジイソシアネート系化合物としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上併せて用いることができる。
【0013】
上記式(1)で表される繰り返し単位からなる樹脂組成物を主成分とする吸水性樹脂は、融点が約60℃〜80℃であり、延伸時の条件下で容易に溶融して、基体の延伸に追随可能となる。また、分解温度が200℃以上であり、熱処理条件下で分解することはなく、外観を悪化させることはない。ここで「主成分とする」とは、式(1)で表される繰り返し単位からなる樹脂が質量比で最も多いことを指し、好ましくは50%以上である。
【0014】
本発明において、基体として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート等のプラスチックシート、紙等を用いることができ、特にこれらに限定されるものではない。また用途に応じて透明なプラスチックシート等が適宜選択される。
【0015】
本発明に係るシートは、基体上にインク受容層を設けることにより形成されるが、種々の積層方法が採用できる。また、本発明に係るシートは2層に限定されるものではなく、基体とインク受容層の間や、基体の外側に1層以上の層を有することもできる。
積層方法としては、例えば、
▲1▼インク受容層を、接着剤を介して、基体と貼り合わせる方法、
▲2▼インク受容層を構成する樹脂を融解させて、基体に貼り合わせる方法、
▲3▼インク受容層を構成する樹脂を、水溶液やアルコール溶液等にして、基体に塗布する方法、
▲4▼各層を構成する樹脂を別々の押出機で溶融させた後、共押出して積層シートとする方法等がある。
また、これらのシートには必要に応じて、延伸、熱処理等が施されていてもよい。
【0016】
積層方法▲1▼は、いわゆるウェットラミネーションでも、ドライラミネーションでもよい。ラミネート時の接着剤としては、ビニル系、アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ウレタン系、ゴム系等が用いられる。通常、ラミネーターで貼り合わせを行う場合には、貼り合わせ前に各層フィルムを予熱し、貼り合わせ後にも溶剤の乾燥と接着剤の硬化を目的にして、エージングすることが多いが、フィルムが軟化して平面性を損なったり、収縮したりしないように、予熱やエージングの加熱温度は80℃以下にすることが好ましい。また、インク受容層をごく薄いものにする場合には、ラミネート時に伸張したり破断する恐れがあるので注意を要する。
【0017】
積層方法▲2▼では、インク受容層を構成する樹脂を押出機等で溶融させ、フィルム状に押出したものを、基体上にロールで圧着して、あるいはローラーで熱圧着させて、貼り合わせる方法である。貼り合わせ時の、インク受容層フィルムの温度は、100℃を越えないことが好ましく、80℃を越えないことが更に好ましい。これ以上の温度では、▲1▼と同様に、シートの変形を生じさせる恐れがある。
【0018】
積層方法▲3▼では、基体上にインク受容層を構成する樹脂の溶液を、ノズルから噴霧して塗布したり、あるいはローラーで塗布した後、シートを乾燥する。この際の乾燥温度は、80℃を越えないことが好ましい。水溶液の場合、80℃以下の乾燥では長時間を要し、短時間に仕上げるためには減圧乾燥する必要があり、工程上不利である。乾燥を容易にする点では、アルコール等の低沸点溶剤を用いるのが好ましい。
【0019】
積層方法▲4▼では、基体を形成する樹脂とインク受容層を形成する樹脂とを、それぞれ別々の押出機で溶融した後、同一の導管内に導き、そのまま押出してシートを得る、いわゆるフィードブロック法や、2層に分かれた口金に、それぞれの溶融樹脂を導き押出す、いわゆるマルチマニホールド法等、公知の方法を採用することができる。
【0020】
例えば、インク受容層、基体等の各層を形成する樹脂組成物を、それぞれ配合し、あるいは必要に応じてペレット状にして、Tダイを共有連結した2層Tダイ押出機の各ホッパーにそれぞれ投入し、温度100〜170℃の範囲で溶融して、2層Tダイから共押出し、冷却ロール、水中または空冷等で冷却固化して、2層積層体のインク受容層を有するシートを形成することができる。または、押出によりフィルムを形成した後、このフィルムを基体上にラミネートしても、もしくは基体上に接着剤を介して積層してもよい。
【0021】
本発明に用いられる基材としては、少なくとも一方の面に印刷適性を有し、かつ上記インク受容層と熱ラミネート可能な材料であれば特に限定されないが、例えば、PET、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネートや、一般的なインクジェット記録メディア等が挙げられ、一般的なインクジェット記録メディアとしては、例えば、商品名「プリメイクシート」(三菱樹脂(株)製)等を市販品として入手することができる。
【0022】
本発明においては、本発明の特性を損なわない範囲内でシートを構成する各層、基材等に酸化防止剤、紫外線防止剤等の各種の添加剤をさらに含有させることができる。例えば、溶融押出時の熱劣化を防止するために、樹脂組成物中に酸化防止剤を含有させることが出来る。なお、熱安定性向上のために添加する酸化防止剤の量としては、0.5重量%程度が適当である。
また、手触りや柔らかさ等、材料の風合いを改良するため可塑剤等を含めることができる。本発明に好ましく用いられる可塑剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)等が挙げられる。また、ブロッキングを防止するために充填剤を含めることができる。本発明に好ましく用いられる充填剤としては例えばタルク等の無機充填剤を挙げることができる。
【0023】
本発明の記録材の各層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば、吸水性樹脂層は、5μm〜100μmの範囲であることが好ましく、他の層、例えば基体は、12.5μm〜500μmの範囲内のフィルムまたはシート状であることが好ましく、基材は0.1mm〜50mmの範囲内のシートまたは板状であることが好ましい。
【0024】
本発明において、基材にはグラビア印刷、インクジェット等により情報を記録させることができる。また、シートのインク受容層にもインクジェットにより情報等を記録させることができる。
例えば、シートのインク受容層に個人情報等を記録させ、基材に一般的な情報等を記録させることも、この逆のことも可能である。具体的には、基材に一般的な情報、例えば会社名や企業ロゴ、名前や住所等の文字の記載等を鏡面打ち(逆打ち)して記録させ、シートのインク受容層に利用する者の顔写真、名前、住所、電話番号等の個人情報をインクジェット法等で記録させ、シートと基材とをインク受容層で接するようにラミネートすることにより、記録材を形成することができる。このように、一般的な情報のみを鏡面打ちにすることにより、簡易、短時間、かつ低コストでカードを作製することができる。また、情報等を記録した印刷部分がカード表面に表出せず、層の内部に保存されるため、すなわち印刷部分を覆うように層が存在するので、耐傷性、耐湿性に優れたカードとなる。
また、シートのインク受容層に個人情報および一般情報のすべてを記録させ、基材には何も印刷せず無地のままとし、シートのインク受容層に無地の基材、例えば透明な基材を重ね合わせてラミネートすることにより記録材を作製することもできる。
また、インクジェットにより記録したシートに特殊マークや企業ロゴ等を印刷することにより、改ざんや偽造を効果的に防止することができる。
また、インクジェットプリンターに使用するインクとして特殊なもの、例えば、コピー複写した際に現出するようなインクを用いることにより、複写防止効果を付加することができる。
【0025】
本発明の記録材には、大判のインクジェットプリンタで、画像を数個割り付けて鏡面うちし、記録させることができる。このようにしてインク受容層に画像を記録した記録材を2枚用意し、各インク受容層の間に白色PVC板を配置してラミネートした後、所望の形状に打ちぬいて、商品説明等に使用されるPOPプレート(絵を描いた板)を形成することができる。
商品説明等に使用されるPOPプレートの印刷には、シルクスクリーン印刷が施されていたが、シルクスクリーン印刷では精細な画像を得ることは難しかった。高精細な画像を得るにはオフセット印刷が適しているが、商品説明等のデザインは移り変わりが激しく、店のオリジナリティーを出すために個別の柄でPOPが作製されることが多いので、高価なオフセット印刷は不向きである。また、昇華転写法では大きな画像を形成することができず、出力コストが高い。ところが、本発明の記録材を用いれば、インクジェットプリンタで画像を形成することができるので、大きな高精細な画像を安価に形成することができる。したがって、本発明の記録材は、ゲームセンター等において使用されるPOPにも好ましく適用される。
【0026】
また、本発明の記録材に、大判のインクジェットプリンタで画像を形成した後、約1mm〜約30mmの板等にラミネートして、大型広告用パネルを簡易に作製することができる。ここで得られる画像も高精細なものが可能である。また、個別に画像を形成することができるので、イベント情報、催事ポスター、展示会用パネル等の期間限定で個別に作製されるものに好適である。さらにまた、熱を与えて記録材を剥離すれば、板を再度利用することもできる。
【0027】
更にまた、本発明の記録材に、大判のインクジェットプリンタで画像を形成して床面に貼り合わせれば、フロアマーキング(床面広告)を簡易に形成することができる。ここでも高精細な画像を実現することができる。
【0028】
以上のようにラミネートされたものは、広告期間経過等、使用後は、熱を加えたり、溶剤を塗布して記録材を剥離することができ、再度、基材に別の情報を貼り付けることができる。
【0029】
本発明において、基材とシートとをラミネートする方法としては、本発明に係るシートの積層方法の説明で既述した積層方法▲1▼、▲2▼、▲4▼等を用いることができる。また、本発明において熱ラミネートとは、各層を加熱した状態でラミネートすることをいい、具体的には、ゴム、金属等のロールでニップすることによりラミネートするか、もしくはプレスにより加圧、加熱することによりラミネートすることである。なお、ラミネート時の温度は55〜100℃であることが好ましい。
【0030】
【実施例】
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
エチレングリコールにエチレンオキシドを付加重合した後、ブチレンオキシドを付加重合し、さらにエチレンオキシドを付加重合して得たポリアルキレンオキシドにオクタデカン−1,18−ジカルボン酸メチルを加えエステル反応を行い、重量平均分子量が15万の吸水性樹脂を得た。これに熱安定剤としてトコフェロール(「UVINUL2000AO」、BASF社製)1部配合した。
得られた吸水性樹脂を押出機で溶融し、Tダイ温度140℃で厚さ30μmのフィルムを押し出してインク受容層を形成した。形成されたインク受容層と、基体として厚さ75μmの透明のPETフィルムとを積層してインク受容層を有するシートを作製した。得られたシートのインク受容層上にヒューレットパッカード社製のインクジェットプリンター「デスクジェット1120C」を用いて企業ロゴを鏡面打ち(逆打ち)により記録させた。
次いで、基材として厚さ100μmの白色のPETフィルムを用意し、これに架空の氏名、ID番号、住所をグラビア印刷により記録させた。
企業ロゴを記録したPETフィルムをシートのインク受容層と重ね合わせ、市販のパウチラミネート機を用いて、温度90℃で熱ラミネートして記録材を作製した。
【0031】
(実施例2)
実施例1において、基材をインクジェット記録メディア(商品名「プリメイクシート」、三菱樹脂製)に変更した以外は実施例1と同様にして、記録材を作製した。
【0032】
実施例1、2で作製された記録材について、耐久性(耐傷性)の実験を行った。すなわち、得られた各記録材を30日間携帯保持した後、表面状態や情報の保存状態等を肉眼で観察したところ、良好であり、通常のグラビア印刷によるカードをパウチラミネートして形成したカードの状態と同等以上の結果が得られることが分かった。
また、本発明の記録材は、企業ロゴおよび個人情報を記録させるのに要する費用および時間を従来のものに比べて著しく改良することができ、低コスト、短時間を達成することができた。
【0033】
(実施例3)
エチレングリコールにエチレンオキシドを付加重合した後、ブチレンオキシドを付加重合し、さらにエチレンオキシドを付加重合して得たポリアルキレンオキシドにオクタデカン−1,18−ジカルボン酸メチルを加えエステル反応を行い、重量平均分子量が15万の吸水性樹脂を得た。これに熱安定剤としてトコフェロール(「UVINUL2000AO」、BASF社製)1部配合した。
得られた吸水性樹脂を押出機で溶融し、Tダイ温度140℃で厚さ30μmのフィルムを押し出してインク受容層を形成した。形成されたインク受容層と、基体として厚さ75μmの透明のPETフィルムとを積層してインク受容層を有するシート(914mm×1200mm)を作製した。得られたシートのインク受容層上に大判のインクジェットプリンター「デザインジェット1055cmplus」(ヒューレットパッカード社製)を用いて、画像を数個割り付けて鏡面打ち(逆打ち)により記録させた。なお、このように画像を記録した記録材を2枚用意した。
次いで、基材として厚さ1.5mmの白色のPVC板(950mm×1200mm)を用意し、このPVC板の両面に、インク受容層が接するように重ねてラミネートし、PETフィルム/インク受容層/白色PVC板/インク受容層/PETフィルムの積層体を得た。この積層体をトムソン刃で所定の形状に打ちぬき、商品説明用のPOPを作製した。得られた商品説明用のPOPは精細な画像が実現されており、また、耐湿性、耐傷性にも優れたものであった。
【0034】
(実施例4)
実施例3と同様にして、透明なPETフィルム上にインク受容層を有するシート(914mm×1200mm)を作製した。得られたシートのインク受容層上に、大判のインクジェットプリンタ「デザインジェット1055cmplus」(ヒューレットパッカード社製)で広告用画像を記録した。これを、厚さ10mmのアクリル樹脂製の板に熱ラミネートして、大型広告用パネルを作製した。
得られた広告用パネルは、高精細な画像が実現されていた。また、耐湿性、耐傷性に優れたものであった。
【0035】
(実施例5)
実施例3と同様にして、透明なPETフィルム上にインク受容層を有するシート(914mm×1200mm)を作製した。得られたシートのインク受容層上に、大判のインクジェットプリンタ「デザインジェット1055cmplus」(ヒューレットパッカード社製)で広告用画像を記録させ、床面に熱を与えて貼り合わせ、床面広告を作製した。
得られた床面広告は、高精細な画像が実現されていた。また、耐湿性、耐傷性に優れたものであった。
【0036】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、耐傷性、耐湿性に優れた記録材を得ることができた。また、簡易、短時間、低コストで情報記録が行える記録材を形成することができるようになった。さらに、本発明の記録材を用いれば、偽造防止、改ざん防止、複写防止等を図ることもできた。
Claims (3)
- 吸水性樹脂を主成分とするインク受容層を一方の面に有するシートの該インク受容層にインクジェットプリンターを用いて鏡面印刷を施し、基材と該インク受容層とを重ね合わせて熱ラミネートすることにより、シートと基材との積層体を形成する記録材の製造方法であって、該吸水性樹脂が下記に示す式(1)の繰り返し単位からなる樹脂を主成分とすることを特徴とする記録材の製造方法。
(式(2)中、Xは、水素原子または炭素数1以上の炭化水素基であり、a,b,cは、それぞれ1以上の正数であり、Xが炭素数1以上の炭化水素基である場合は、式 44(a+c)/(炭素数3以上のα−オレフィンオキシドの分子量)b=80/20〜96/4 を満足する)で表されるポリアルキレンオキシド残基であり、Yは、活性水素を2個有する化合物残基であり、Rは、炭素数12〜36の直鎖状ジカルボン酸およびその低級アルキルエステルからなるジカルボン酸類化合物残基である。) - 前記吸水性樹脂が溶融温度80℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の記録材の製造方法。
- 請求項1または2に記載の記録材の製造方法により製造されたことを特徴とする記録材。
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