JP2003141491A - Icカード - Google Patents

Icカード

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JP2003141491A
JP2003141491A JP2001336932A JP2001336932A JP2003141491A JP 2003141491 A JP2003141491 A JP 2003141491A JP 2001336932 A JP2001336932 A JP 2001336932A JP 2001336932 A JP2001336932 A JP 2001336932A JP 2003141491 A JP2003141491 A JP 2003141491A
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polyester resin
card
sheet
resin sheet
layer
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JP2001336932A
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English (en)
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Kyoko Uchida
恭子 内田
Tatsu Nakai
達 中居
Hideaki Shinohara
英明 篠原
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 昇華・溶融熱転写により、文字や画像などを
高濃度で鮮明に印画できるICカードを提供する。 【解決手段】 ICモジュール4を備えたカード状基体
表面の少なくとも一部に、ポリエステル樹脂シート6を
積層し、ポリエステル樹脂シート6が、少なくともその
表面側に、軟化点が50〜140℃であり、ポリエステ
ル樹脂を主成分とし、離型剤を0.01〜5.0質量%
含有するポリエステル樹脂層を有するICカード10。
ポリエステル樹脂シート6は、20℃における表面エネ
ルギーを38dyne/cm以下とし、多層化された多
層シートとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、その表面に加熱に
より昇華する染料を転写して染着画像を形成したり、軟
化溶融するインクを加熱転写して、文字などを高濃度で
鮮明に印字することが可能なICカードに関するもので
ある。特に、大容量可変記録媒体であるICチップを内
蔵したICカードなどに代表されるカード類で要求され
ている写真などの画像と文字情報を高画質で印画、印字
することが可能なICカードに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、サーマルプリンター、特に、鮮明
なフルカラー画像を印刷することが可能な熱転写プリン
ターが注目されている。中でも、昇華熱転写プリンター
は、加熱により昇華若しくは溶融拡散して移行する染料
を含有する染料層を有する昇華熱転写染料シートを、フ
ィルム基材の片面に染料を受容する染料受容層が形成さ
れた受像シートに重ね合わせ、染料層の所要箇所の染料
を、サーマルヘッドなどから供給される熱により所定量
だけ染料受容層上に転写して画像を形成するものであ
る。この昇華熱転写プリンターは、高階調の写真型フル
カラー画像の形成に特に有利であるという特徴を有して
いる。
【0003】一方、溶融熱転写プリンターは、加熱によ
り溶融するインクを塗布した転写フィルム(以下、「イ
ンクシート」と称す。)と、受像シートとをプラテンロ
ールで圧接し、インクシートの背面から加熱して、瞬時
にインクを溶融し、受像シート上に文字や画像などを形
成するものである。このような溶融熱転写プリンターに
よる印刷の特徴としては、インクを昇華する方式ではな
いため、エッジの効いたシャープで高濃度な画像が得ら
れ、また、堅牢な顔料タイプのインクが用いられるた
め、画像の耐光性および耐薬品性などに優れている。こ
のようなことから、溶融熱転写プリンターは、特に文字
情報の印字、印画に好ましく用いられている。
【0004】ところで、従来、磁気特性を利用した磁気
カードが情報記録媒体として使用されてきたが、近年、
ICカードの発達によりICカードが大容量可変記録媒
体として、磁気カードから移行しつつある。ICカード
のうち、会員証・社員証などのIDカード用途において
は、個人を認識するために、顔写真などの画像情報が表
示され、さらに、文字情報やバーコード情報が表示され
ている。写真などの画像を形成する方法としては、前記
昇華熱転写方式が、その写真階調性、印画機器の操作
性、高い信頼性などから特に優れている。文字情報など
を形成する方法としては、前記溶融熱転写方式が、その
耐光性、耐薬品性などから優れている。したがって、I
Dカードの印刷においては、まず、顔写真などを昇華熱
転写方式によりフルカラーで印画し、次いで溶融熱転写
方式により文字を鮮明に印字する方法が行なわれてい
る。このような異なる印刷法を同時に行なうことが可能
な、昇華・溶融熱転写併用プリンターが既に知られてい
る。このプリンターにおいては、まず、昇華性のイエロ
ー、マゼンタ、シアンの染料および熱溶融転写性インク
を塗布したインクシート(インクリボン)の染料塗布面
に、カードを重ね合わせる。次いで、所望の画像および
文字に対応する電気信号に応じて、サーマルヘッドから
供給される熱により、インクシートから染料およびイン
クを、所要箇所から所定量だけカードに転写、染着して
画像や文字を形成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】市販の昇華/溶融型カ
ードプリンターで、現在主に使用されているカード基材
は、ポリ塩化ビニル(以下、「PVC」と略す。)を主
成分とするカード基材や、表面をPVC層でラミネート
処理したポリエチレンテレフタレート(以下、「PE
T」と略す。)カード基材である。近年、塩素を含有す
る樹脂の廃棄焼却に伴うダイオキシン類の発生の問題か
ら、非塩素系カード基材への転換要請が高まっている。
しかし、PVCカード基材の代替として、それと同程度
の性能を有する非塩素系樹脂の報告はない。非PVC樹
脂からなるカード基材を用いると、昇華性染料の染着性
が悪い上、溶融熱転写性インクの転写濃度も低い。ま
た、非PVC樹脂からなるカード基材では、プリンター
のサーマルヘッドから供給される熱により、インクリボ
ンがカード基材表面に融着してしまう。このような不具
合を避けるために、サーマルヘッドの熱を下げると、染
料の染着濃度が低く、明瞭な画像が得られないという問
題があった。また、非PVC樹脂は軟化点が高いため、
カード基材の成形、貼り合わせなどの加工が難しく、接
着剤を用いなければラミネートすることも、重ねてカー
ド基材とすることもできず、直接熱圧着法を用いて、裏
面に磁気ストライプやホログラムなどを装着することも
できない。したがって、カード基材表面に磁気ストライ
プやホログラムを装着する場合は、新たにこれらを装着
可能な層をもう一層設ける必要がある。それゆえに、複
数の樹脂層からなるカード基材を成形した場合は、カー
ド基材の層構成が厚みの中心に対して非対称となり、各
層を構成する樹脂の収縮率や配向性の差から、カード基
材にカールが発生しやすくなる上に、これを制御するこ
とが困難になる。
【0006】染料染着性の低い非PVC樹脂からなるカ
ード基材に染着性を付与するために、その表面に染料受
容層を設けることが試みられている。例えば、特開平7
−88974号公報には、非PVC樹脂からなるカード
基材の表面に、染料受像層としてポリ塩化ビニル樹脂を
塗布する方法が記載されている。しかしながらこの方法
では、環境対策として、非PVC樹脂への転換要請に答
えられるものではない。また、特許2572569号公
報には、ポリスチレン樹脂などを溶剤に溶解した溶液を
カード基材の表面に塗布し、染料受容層を設ける方法が
記載されている。しかしながらこの方法では、染料の染
着性が不十分なため明瞭で高画質な画像を得ることがで
きない。また、ポリスチレン樹脂は軟化点が低いため、
サーマルヘッドの熱により、インクリボンがカード基材
の表面に融着してしまう。
【0007】そこで、最近、カード基材用樹脂として、
PVCと類似の加工性を示すアモルファスポリエステル
樹脂が注目されている。アモルファスポリエステル樹脂
は、加熱すると自己接着性を示し、また、熱収縮が無い
などの点で、2軸延伸ポリエステル樹脂とは全く異なる
物性を示す。このように、アモルファスポリエステル樹
脂は、カード加工性に優れた樹脂である上に、昇華・溶
融熱転写においてもすぐれた染料染着性を示す。しかし
ながら、一方で、アモルファスポリエステル樹脂からな
るカード基材では、アモルファスポリエステル樹脂の軟
化点が低いため、昇華・溶融熱転写の際に、インクリボ
ンがカード基材表面に融着することが著しいという問題
があった。
【0008】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、昇華・溶融熱転写により、文字や画像などを高濃度
で鮮明に印刷できるICカードを提供することを課題と
する。具体的には、染料染着性に優れ、熱転写プリンタ
ーのインクリボンが融着し難く、特に、写真などの画像
と文字情報を双方ともに高画質で印画、印字することが
可能なICカードを提供することを目的とする。また、
環境対策として、表面基材が非PVC樹脂からなるIC
カードを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題は、ICチップ
を備えたカード状基体表面の少なくとも一部に、ポリエ
ステル樹脂シートを積層したICカードであって、前記
ポリエステル樹脂シートが、少なくともICカードの表
面側に、軟化点が50〜140℃であり、ポリエステル
樹脂を主成分とし、離型剤を含有するポリエステル樹脂
層を有するICカードによって解決できる。前記ポリエ
ステル樹脂層は、離型剤を0.01〜5.0質量%含有
していることが好ましい。前記ポリエステル樹脂シート
の、JIS K6768に準じる20℃における表面エ
ネルギーが38dyne/cm以下であることが好まし
い。前記ポリエステル樹脂シートは、ポリエステル樹脂
を主成分とする軟化点が50〜140℃のポリエステル
樹脂層と、該ポリエステル樹脂層以外の基材シートとが
積層された多層シートであることが好ましい。前記離型
剤が、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、高
級脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸、
シリコーン樹脂またはシリコーンオイルのいずれか1種
または2種以上であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明のICカードの一例を示す断面図であ
る。このICカード10は、表面基材1と、ICチップ
などからなるICモジュール4が一方の面に設けられた
裏面基材2が、これらを接着する接着剤層3によって一
体化されてカード状積層体5が形成されている。カード
状積層体5の表面基材1の上には、ポリエステル樹脂シ
ート6が積層されている。また、ポリエステル樹脂シー
ト6の上には、昇華染料層7、溶融熱転写インク層8、
保護層9などが設けられている。なお、昇華染料層7と
溶融熱転写インク層8は、一方でも両方でもよい。IC
カード10の厚みは、全体として150〜1,000μ
mの範囲であり、好ましくは200〜800μmであ
る。
【0011】表面基材1は、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂などのポリエステル樹脂から形成されてい
る。
【0012】裏面基材2としては、絶縁性を有するシー
トなどが用いられる。絶縁性を有するシートとしては、
例えば、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン共重合体樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリ
塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂などから選択さ
れる1種または2種以上の樹脂からなる樹脂シートや、
紙、合成紙などが挙げられる。
【0013】また、裏面基材2を、表面基材1、ポリエ
ステル樹脂シート6の一方または両方と同じ材料から形
成してもよい。このようにすれば、表面基材1、裏面基
材2およびポリエステル樹脂シート6の貼り合わせ工程
における熱収縮の差が小さくなり、カールが無く、良好
な外観を有するICカードを得ることができる。
【0014】本発明においては、カード状積層体5の表
面基材1および裏面基材2の間に、接着剤層3が設けら
れていることが好ましい。接着剤層3を形成する材料と
しては、接着剤または粘着剤が使用可能で、例えば、ユ
リア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体樹
脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、アクリル系
樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル系共重合体樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩
素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹
脂、アクリル酸エステル系共重合体樹脂、メタクリル酸
エステル系共重合体樹脂、天然ゴム系樹脂、シアノアク
リレート系樹脂、シリコーン系樹脂などの接着剤、また
はこれらの接着剤に適当な粘着付与剤を添加した粘着剤
が挙げられる。また、上記の接着剤または粘着剤には、
必要に応じて可塑剤、充填剤、老化防止剤などの添加剤
が配合されていてもよい。
【0015】特に、強い接着強度を必要とする場合に
は、上記接着剤または粘着剤の中でも、化学反応で硬化
あるいは重合するタイプの化学反応型接着剤が好ましく
用いられる。化学反応型接着剤としては、例えば、エポ
キシ樹脂、レゾール型フェノール樹脂などの熱硬化型、
2−シアノアクリル酸エステル系樹脂、シリコーン樹
脂、アルキルチタネート樹脂などの湿気硬化型、アクリ
ル系オリゴマー樹脂などの嫌気硬化型、エポキシ樹脂、
ポリウレタン系樹脂などの付加反応型、紫外線硬化型、
ラジカル重合型接着剤などが挙げられる。
【0016】接着剤層3は、あらかじめ剥離紙上に接着
剤または粘着剤を塗布、乾燥して接着剤層3を形成した
後、この上に表面基材1または裏面基材2を積層し、剥
離紙を除去して、表面基材1または裏面基材2上に接着
剤層3を転写する方法、表面基材1または裏面基材2上
に直接、接着剤または粘着剤を塗布、乾燥して、形成す
ることができる。好ましくは、接着剤層3は、表面基材
1と裏面基材2の間にシート状ホットメルト接着剤を挟
み込んで積層される。また、接着剤層3の厚さはICモ
ジュール4の厚さに応じて適宜設定される。
【0017】ICモジュール4としては、特に制限はな
く、例えば、厚さが50〜500μmのものが一般的に
使用される。例えば、略平板状のアンテナコイル(図示
略)と、このアンテナコイルの一方の面上に突出して配
置されたICチップ(図示略)とが基板(図示略)上に
形成されたもので、アンテナコイルの両端が異方導電性
テープ(図示略)で接続されていて、アンテナコイルと
ICチップとが導電性を保つようになっているものなど
が用いられる。また、アンテナコイルは、基板上に形成
された板状アンテナであってもよい。
【0018】ICモジュール4を構成する基板として
は、厚さ20〜400μmの絶縁性基材フィルムが用い
られる。絶縁性基材としては、PET樹脂、PET樹脂
以外の軟化点が50〜140℃のポリエステル樹脂、ア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、
ポリブチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、紙、合成紙などが挙げられ、これらの1種ま
たは2種以上が用いられる。そして、この基板上に、ア
ンテナコイルを形成する方法としては、銀や銅などのワ
イヤーからなるコイルを貼り付ける方法、銅やアルミニ
ウムなどをコイル状にエッチングする方法、導電性イン
キなどを用いてコイル状に印刷を施す方法などがある。
また、板状アンテナを形成する方法としては、導電性イ
ンキなどを用いて印刷を施す方法、銅やアルミニウムな
どの金属を蒸着する方法などがある。また、ICチップ
としては、通常、縦横の長さが0.5〜10mmで、厚
さが50〜300μm程度のものが使用されている。
【0019】ポリエステル樹脂シート6は、少なくとも
ICカードの表面側に、軟化点が50〜140℃であ
り、ポリエステル樹脂を主成分とし、離型剤を含有する
ポリエステル樹脂層を有するものである。ポリエステル
樹脂シート6は、好ましくは、軟化点が50〜140℃
のポリエステル樹脂を主成分とする。ポリエステル樹脂
は、ジカルボン酸とジオールの重縮合反応によって生成
したものである。軟化点が50〜140℃のポリエステ
ル樹脂としては、アモルファスポリエステル樹脂が好適
である。アモルファスポリエステル樹脂とは、結晶格子
がほとんど認められない固体状態(非晶質)のポリエス
テル樹脂のことである。ジカルボン酸成分としては テ
レフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類、
コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ド
デカジオン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸類
などが挙げられ、これらの1種または2種以上が用いら
れる。ジオール成分としては、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,
4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ−ル、1,
6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪
族グリコール類、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,3−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族
グリコール類、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、
2,2−ビス[4´−ヒドロキシフェニル]プロパンな
どの芳香族グリコール類、ビスフェノールA骨格を有す
るジオール化合物などが挙げられ、これらの1種または
2種以上が用いられる。
【0020】本発明で用いられるポリエステル樹脂は、
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分と
してエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノール
の組み合せが好ましく、テレフタル酸、エチレングリコ
ール、シクロヘキサンジメタノールの繰り返し単位から
なる共重合体であることが好ましい。
【0021】ジオール成分をエチレングリコールとシク
ロヘキサンジメタノールとしたポリエステル樹脂は、シ
クロヘキサンジメタノールの配合比率を変えて重縮合す
ることによって、得られるポリエステル樹脂の物性、例
えば軟化点、結晶性、耐熱性などを変えることができ
る。このようにモノマーの配合比率を変えて重縮合すれ
ば、ポリエステル樹脂の軟化点を所定の温度範囲に制御
することも可能である。ポリエステル樹脂シート6を形
成するポリエステル樹脂の軟化点を50〜140℃の範
囲にするためには、ポリエステル樹脂中の多価アルコー
ルに由来する残基(ここでは多価アルコールがジオー
ル)のうち、シクロヘキサンジメタノール残基を5モル
%以上とすることが好ましく、より好ましくは5〜70
モル%、さらに好ましくは10〜50モル%、最も好ま
しくは25〜40モル%である。シクロヘキサンジメタ
ノ−ル残基が5モル%未満では、ポリエステル樹脂の軟
化点を50〜140℃の範囲とすることができない。
【0022】特に、本発明で好ましく用いられるジオー
ル成分がエチレングリコールと1,4−シクロヘキサン
ジメタノールからなるポリエステル樹脂の場合は、ジオ
ール成分中の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基
を5〜70モル%、エチレングリコール残基を95〜3
0モル%の配合比率とすることが好ましい。より好まし
くは、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を10
〜50モル%、エチレングリコール残基を90〜50モ
ル%、特に好ましくは、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール残基を25〜40モル%、エチレングリコール残
基を75〜60モル%の配合比率とする。また、上記の
ようなポリエステル樹脂は、ジカルボン酸ジメチルなど
のジカルボン酸エステルまたは塩化物と、ジオール類と
を重縮合して得ることもできる。
【0023】また、ポリエステル樹脂シート6を形成す
るポリエステルを主成分とする樹脂の軟化点は50〜1
40℃であり、好ましくは60〜130℃である。軟化
点がこの範囲内であれば、加工時にポリエステル樹脂シ
ート6に凹凸や皺が発生じたり、伸びてしまうこともな
い上に、優れた染料染着性が得られるから好ましい。ポ
リエステルを主成分とする樹脂の軟化点が50℃未満で
は、加工時の加熱によりポリエステル樹脂シート6が伸
びたり、加工温度を上げることができないため、ポリエ
ステル樹脂シート6と表面基材1との間で十分な接着力
が得られない。軟化点が140℃を超えると、ポリエス
テル樹脂シート6の加工性が劣化する。このようなポリ
エステル樹脂シート6を形成する樹脂は、加工性が良好
な上、PVCのように塩素を含まないから燃焼時に有害
ガスが発生しない上、熱融着特性に優れるため、ICカ
ード成形時に高い密着強度が得られるから、ICカード
の繰り返し曲げなどの耐久性においても優れた性能を示
す。
【0024】ここで軟化点とは、樹脂の粘性率(応力と
塑性流動速度の比)が1012P(ポアズ)になる温度で
あり、樹脂をこの温度に放置すると、10秒以内に流動
する温度であり、JIS K7196に準拠して測定さ
れる。以下に、セイコーインスツルメンツ社製粘弾性測
定装置DMS6100を用いて、静的荷重制御モード
(F制御モード)にて測定した軟化点の測定方法を記
す。その測定方法は、まず、1cm×4cmの樹脂フィ
ルムの試料を用意する。次に、チャック間距離2cmと
して、試料を粘弾性測定装置にセットする。次に、荷重
100g、昇温速度5℃/分で、温度範囲−20〜20
0℃における樹脂フィルムの変位を測定する。このとき
の樹脂フィルムの変位と温度の関係を、縦軸が変位を、
横軸が温度を示す変位−温度曲線として描く。次に、こ
の変位−温度曲線において、樹脂フィルムが軟化し始め
る点よりも低温側にある直線部分を高温側に延長した延
長線と、変位が最大となる点における接線を低温側に延
長した延長線との交点を軟化点とする。
【0025】ポリエステル樹脂シート6を形成するポリ
エステル樹脂には、他の熱可塑性樹脂を1種または2種
以上配合することもできる。本発明の効果を損なわない
範囲で、ポリエステル樹脂に添加される熱可塑性樹脂と
しては、ポリエステル樹脂と相溶性の高い樹脂が好まし
い。ポリエステル樹脂に添加される熱可塑性樹脂として
は、染料染着性を向上する目的では、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、
ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹
脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、スチレン−
アクリル共重合体樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルア
セタール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などが
挙げられるが、中でもエチレン−酢酸ビニル共重合体樹
脂が好ましい。また、耐熱性を向上する目的では、ポリ
カーボネート樹脂などが好ましく用いられる。
【0026】ポリエステル樹脂に他の熱可塑性樹脂を配
合した樹脂では、ポリエステル樹脂が10質量%以上含
まれていることが好ましく、より好ましくは50〜90
質量%となるようにする。例えば、ポリエステル樹脂に
ポリカーボネート樹脂を添加して用いる場合、ポリカー
ボネート樹脂の配合量は、ポリエステル樹脂シート6を
形成する樹脂全体量の5〜90質量%、好ましくは10
〜50質量%である。
【0027】また、ポリエステル樹脂シート6は、少な
くともICカードの表面側に、上記の軟化点が50〜1
40℃であり、ポリエステル樹脂を主成分とし、離型剤
を含有するポリエステル樹脂層を有するものである。実
用的には、ポリエステル樹脂シート6の表面側に、軟化
点50〜140℃のポリエステル樹脂層が設けられてい
ればよい。離型剤を含有するポリエステル樹脂層を設け
ることにより、ポリエステル樹脂シート6を形成するポ
リエステル樹脂の軟化点が低くても、昇華・溶融熱転写
の際に、インクリボンがポリエステル樹脂シート6の表
面に融着することがないから、熱転写プリンターのヘッ
ドがポリエステル樹脂シート6の表面を走行するのを妨
げることがなく、高品質な画像が得られる。
【0028】上記ポリエステル樹脂層の離型剤の含有量
は、0.01〜5.0質量%であり、好ましくは0.0
3〜3.0質量%である。離型剤の含有量が0.01質
量%未満では、ポリエステル樹脂シート6がインクリボ
ンに融着することを防止する効果が得られない。5.0
質量%を超えると、ポリエステル樹脂と離型剤の相溶性
が極端に劣り、不均一な樹脂となり、場合によっては、
離型剤が染み出すことがある。
【0029】離型剤としては、流動パラフィン、天然パ
ラフィン、合成パラフィンなどのパラフィンワックス、
各種分子量のポリエチレンワックス、高級脂肪酸、オキ
シ脂肪酸などの脂肪酸、アルカノールアミド、ステアリ
ン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂
肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、ポリグリコールエス
テルなどの脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ステア
リン酸亜鉛などの金属石鹸、縮合反応型シリコーン樹
脂、付加反応型シリコーン樹脂、過酸化物硬化反応型シ
リコーン樹脂などのシリコーン樹脂、ジメチルシリコー
ンオイル、フェニルシリコーンオイル、フッ素シリコー
ンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ヒドロキシ変
性シリコーンオイル、SiH変性シリコーンオイル、シ
ラノール変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコ
ーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキ
シル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーン
オイル、メルカプト変性シリコーンオイル、ビニル変性
シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイ
ル、フッ素変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリ
コーンオイル、カルナバ変性シリコーンオイル、アミド
変性シリコーンオイル、アルキルアリル変性シリコーン
オイルなどのシリコーンオイルなどが挙げられ、これら
の1種または2種以上が用いられる。中でも、パラフィ
ンワックス、ポリエチレンワックス、高級脂肪酸、脂肪
酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸、シリコーン樹脂
またはシリコーンオイルが好ましい。
【0030】上記ポリエステル樹脂層が離型剤を含有す
るとは、ポリエステル樹脂層の内部または表面上に離型
剤が存在していることを示す。例えば、ポリエステル樹
脂に離型剤を混合してからポリエステル樹脂層を成形し
た場合や、ポリエステル樹脂層を成形したシートの表面
に、転写、塗布、吹き付け、印刷などの方法により離型
剤からなる離型剤層を形成する場合などを包含する。
【0031】なお、必ずしもポリエステル樹脂シート6
の全面に、離型剤を含有するポリエステル樹脂層が存在
する必要はなく、必要な箇所に、必要な量だけ存在すれ
ばよい。したがって、ポリエステル樹脂シート6の表面
に印刷される文字や画像の大きさや形状に合せて、ポリ
エステル樹脂層を必要な箇所に、必要な量だけ形成すれ
ばよい。
【0032】また、ポリエステル樹脂シート6には、酸
化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化
チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシ
ウム、ケイ酸カルシウム、タルクなどの無機顔料、ブロ
ッキング防止剤、安定剤、帯電防止剤、難燃剤、耐衝撃
防止剤、酸化防止剤、増白剤、紫外線吸収剤などの各種
添加剤の1種または2種以上を配合することができる。
これらの添加剤の中でも顔料は、ICカード10に隠蔽
性を付与するために配合されることが多い。特に、隠蔽
性を付与するためには白色顔料が好ましく、その中で
も、酸化チタンは安価でかつ隠蔽性に優れているため好
ましい。
【0033】また、ポリエステル樹脂シート6は、その
表面のJIS K0601における中心線平均粗さRa
は0.4μm以下が好ましい。実用的には0.01〜
0.3μmが好ましい。ポリエステル樹脂シート6の表
面の中心線平均粗さRaが0.4μm以下であれば、熱
転写プリンターのインクリボンとポリエステル樹脂シー
ト6の密着性に優れ、昇華・溶融熱転写の際に高品質な
画像が得られる。中心線平均粗さRaが0.4μmを超
えると、インクリボンとポリエステル樹脂シート6の密
着性が劣り、昇華・溶融熱転写した際に、画像の白抜け
が発生する。ポリエステル樹脂シート6の表面の中心線
平均粗さRaを0.4μm以下とするには、ポリエステ
ル樹脂シート6の表面に、必要に応じて、上記の離型
剤、導電剤などを塗布して被覆層を設けたり、ポリエス
テル樹脂シート6の成形時に用いられる金型の流路表面
の中心線平均粗さRaを0.4μm以下とするなどの方
法がある。
【0034】また、ポリエステル樹脂シート6は、20
℃における表面エネルギーが38dyne/cm以下が
好ましく、より好ましくは36dyne/cm以下であ
る。実用的には、20〜36dyne/cmが好まし
い。ポリエステル樹脂シート6の20℃における表面エ
ネルギーが38dyne/cm以下であれば、昇華・溶
融熱転写の際に、インクリボンがポリエステル樹脂シー
ト6の表面に融着することがないから、熱転写プリンタ
ーのヘッドがポリエステル樹脂シート6の表面を走行す
るのを妨げることがなく、高品質な画像が得られる。表
面エネルギーが38dyne/cmを超えると、昇華・
溶融熱転写の際に、インクリボンがポリエステル樹脂シ
ート6の表面に融着するため、熱転写プリンターのヘッ
ドの走行が阻害され、印刷できなくなる。表面エネルギ
ーが過度に低い場合には、保護層などのラミ接着性が不
十分となる場合がある。20℃における表面エネルギー
を38dyne/cm以下とするには、ポリエステル樹
脂シート6に、前記離型剤が、パラフィンワックス、ポ
リエチレンワックス、高級脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪
酸エステル、金属石鹸、シリコーン樹脂またはシリコー
ンオイルなどの離型剤を1種または2種以上、ポリエス
テル樹脂シート6に対して、好ましくは0.01〜5.
0質量%配合する。
【0035】20℃におけるポリエステル樹脂シート6
の表面エネルギーの測定方法は、ぬれ試験液(和光純薬
製)を用い、JIS K6768に準じて、測定するポ
リエステル樹脂シートに上記ぬれ試験液を滴下して、は
じき度合を目視評価することにより実施する。
【0036】また、ポリエステル樹脂シート6は、ポリ
エステル樹脂を主成分とする軟化点が50〜140℃の
ポリエステル樹脂層と、このポリエステル樹脂層以外の
複数の基材シートが積層されて多層化された多層シート
であってもよい。ポリエステル樹脂シート6を多層化す
る際に、軟化点が50〜140℃のポリエステル樹脂層
に積層する基材シートとしては、該ポリエステル樹脂層
を形成する樹脂以外のアモルファスポリエステル樹脂、
結晶性ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リプロピレン樹脂などで形成された樹脂シート、これら
の樹脂シートに離型剤を添加した樹脂シート、生分解性
樹脂シート、合成繊維シート、合成樹脂シートを擬紙化
した合成紙、不織布、天然パルプ紙、コーテッド紙、ラ
ミネート紙、ガラスペーパーなどが挙げられる。
【0037】このような多層シートの積層方法は、特に
限定されるものではないが、例えば、ポリエーテル樹脂
やポリエステル樹脂などにエポキシ系、ポリイソシアネ
ート系などの硬化剤を配合した接着剤、あるいはアクリ
ル樹脂やポリウレタン樹脂などにエポキシ系、ポリイソ
シアネート系などの硬化剤を配合した粘着剤を用いるド
ライラミネート法、ポリオレフィン樹脂を溶融押し出し
してフィルムの間に積層して接着層とするサンドイッチ
ラミネート法などがある。また、複数枚の基材シートを
積層し、接着剤や粘着剤を用いずに熱圧着して積層して
もよい。また、ポリエステル樹脂シート6を多層化する
場合、離型剤を含有するポリエステル樹脂層からなる基
材シートに、接着剤または粘着剤を介して他の基材シー
トを重ねて、これら全てを表面平滑な金属板などで上下
から挟んで熱圧着すれば、ポリエステル樹脂シート6の
多層化と離型剤の塗布を同時に行なうことができる。こ
のようにポリエステル樹脂シート6を多層化することに
より、ポリエステル樹脂シート6の加工性、耐熱性、耐
溶剤性を向上することができる。
【0038】ポリエステル樹脂シート6の厚さは、60
0μm以下が好ましく、より好ましくは400μm以下
である。ポリエステル樹脂シート6の厚さが600μm
を越えると、これを用いたICカード10の厚さが増大
し好ましくない。
【0039】ポリエステル樹脂シート6は、ICカード
10の作製に供される際には、表面基材1の少なくも一
部に積層されるか、表面基材1の代わりに表面基材とし
て用いられる。
【0040】ポリエステル樹脂シート6の成形方法は特
に限定されるものではなく、公知の方法の中から適宜選
択される。例えば、スクリュー型押出機に接続された単
層または多層のTダイやIダイを使用して、軟化点が5
0〜140℃のアモルファスポリエステル樹脂を主成分
とする溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、カ
レンダー成形、圧延成形、インフレーション成形などを
用いて成形することができる。また、ポリエステル樹脂
シート6は、表面基材1などとの接着性および濡れ性を
向上するために、その表面をコロナ放電処理してもよ
い。
【0041】昇華染料層7または溶融熱転写インク層8
は、ポリエステル樹脂シート6の一方の面6aに熱転写
により印画されたものである。昇華染料層7は、昇華熱
転写プリンターを用いて形成されたものである。その形
成方法は、加熱により昇華若しくは溶融拡散して移行す
るイエロー、マゼンタ、シアンの染料を含有する染料層
を有する昇華熱転写染料シートを、ポリエステル樹脂シ
ート6の一方の面6aに重ね合わせ、染料層の所要箇所
の染料を、サーマルヘッドなどから供給される熱により
所定量だけポリエステル樹脂シート6の一方の面6a上
に転写して形成するものである。
【0042】溶融熱転写インク層8は、溶融熱転写プリ
ンターを用いて形成されたものである。その形成方法
は、加熱により溶融するインクを塗布したインクシート
をポリエステル樹脂シート6の一方の面6a上に圧接
し、インクシートの背面から加熱して、瞬時に熱溶融転
写性インクを溶融し、ポリエステル樹脂シート6の一方
の面6a上に転写して形成する。
【0043】また、昇華・溶融熱転写併用プリンターを
用いて、昇華性の染料および熱溶融転写性インクを塗布
したインクシートの染料塗布面を、ポリエステル樹脂シ
ート6の一方の面6a上に重ね合わせて、昇華染料層7
および溶融熱転写インク層8を同時に形成してもよい。
ポリエステル樹脂シート6が、軟化点が50〜140℃
であり、アモルファスポリエステル樹脂を主成分として
形成されているから、昇華・溶融熱転写併用プリンター
を用いて、高品質で鮮明な画像を形成することができ
る。
【0044】ポリエステル樹脂シート6には、昇華染料
層7または溶融熱転写インク層8が形成された後、これ
らの画像形成面上に保護層9が形成されていてもよい。
保護層9を形成する材料としては、ポリエステル樹脂、
アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、
ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹
脂、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース
樹脂、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、ネオプレ
ン−ブタジエンゴムラテックス、アクリル系エマルジョ
ン、澱粉、ポリビニルアルコールなどの水性樹脂などが
挙げられる。また、保護層9を形成する材料には、クレ
ー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミナ、
サチンホワイト、シリカ、酸化マグネシウム、硫酸バリ
ウムなどの無機顔料を配合してもよい。
【0045】保護層9を形成する方法は、ポリエステル
樹脂シート6の一方の面6aに形成された昇華染料層7
または溶融熱転写インク層8上に、基材上に形成された
上記の樹脂からなる転写用保護層を重ね合わせて、加熱
により、この転写用保護層を昇華染料層7または溶融熱
転写インク層8上に転写して保護層9を形成する方式
(以下、「転写方式」ともいう。)、透明な樹脂フィル
ムを昇華染料層7または溶融熱転写インク層8上に貼着
して積層する方式(以下、「貼着方式」ともいう。)な
どがある。
【0046】転写方式としては、昇華性の染料および熱
溶融転写性インクを塗布したインクシートに転写用保護
層を設けておき、プリンターで昇華染料層7または溶融
熱転写インク層8を印画後、直ちに昇華染料層7または
溶融熱転写インク層8上に転写用保護層を転写して保護
層9を形成する方式、インクシートとは別の樹脂フィル
ムに転写用保護層を設けておき、昇華染料層7または溶
融熱転写インク層8を印画後、樹脂フィルムに設けられ
た転写用保護層を昇華染料層7または溶融熱転写インク
層8上にプリンターなどで加熱して転写し、保護層9を
形成する方式がある。ここで用いられる樹脂フィルム
は、PETフィルムなど、一般にインクシートに用いら
れる樹脂フィルムであれば特に限定されるものでない。
【0047】貼着方式としては、ポリエステル樹脂シー
ト6の一方の面6aに形成された昇華染料層7または溶
融熱転写インク層8上に、卓上ラミネーターなどを用い
て、加熱により透明樹脂フィルムを融着して保護層9を
形成する方式、あらかじめ昇華染料層7または溶融熱転
写インク層8上に粘着剤または接着剤を塗布しておき、
この粘着剤または接着剤を介して透明な樹脂フィルムを
貼着して保護層9を形成する方式がある。
【0048】透明な樹脂フィルムとしては、透明なポリ
エチレン系フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系
フィルム、ポリプロピレン系フィルムなどのポリオレフ
ィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート系フィル
ムなどが、その透明性、加工性などから好ましく用いら
れる。また、昇華染料層7または溶融熱転写インク層8
に対する接着性を向上するために、透明な樹脂フィルム
には、アンカーコート処理、コロナ放電処理、帯電防止
処理などの公知の処理を施してもよい。
【0049】保護層9の不透明度(「黒化度」ともい
う。)は、0〜70%が好ましく、より好ましくは0〜
40%である。不透明度が70%を越えると、熱転写画
像が不鮮明となり、画像を認識し難くなる。なお、貼着
方式の場合は、粘着剤または接着剤と透明樹脂フィルム
を積層した状態の不透明度が上記範囲であることが好ま
しい。
【0050】また、保護層9上には、塗被層が形成され
ていてもよい。この塗被層を形成する材料としては、ポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体樹脂、ポリビニルブチラールなどのポリビニ
ルアセタール樹脂、セルロースアセテートブチレートな
どのセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴムラテッ
クス、ネオプレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリ
ル系エマルジョン、澱粉、ポリビニルアルコールなどの
水性樹脂などが挙げられる。また、塗被層を形成する材
料には、クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸
化アルミナ、サチンホワイト、シリカ、酸化マグネシウ
ム、硫酸バリウムなどの無機顔料を配合してもよい。こ
の塗被層に、鉛筆などによる筆記を可能としたり、昇華
性染料や熱溶融転写性インクによる印字、印画を可能と
するためには、上記無機顔料の粒径は、0.1〜20μ
m程度が好ましい。また、塗被層の吸油量は100〜3
00ml/100g程度が好ましく、吸油量がこの範囲
であれば、昇華性染料や熱溶融転写性インクによる印
字、印画が可能となる。
【0051】また、保護層9または上記の塗被層には、
波長300〜400nmの紫外線を吸収する紫外線吸収
剤が配合されていることが好ましい。紫外線吸収剤を配
合することにより、印刷された昇華染料層7または溶融
熱転写インク層8が、紫外線により劣化するのを防止す
ることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノ
ン系、トリアゾール系、サリシレート系などの化合物が
挙げられ、これらが適宜選択されて用いられる。また、
保護層9または上記の塗被層には、蛍光染料、蛍光顔
料、燐光顔料などが配合されていてもよい。これらの染
料や顔料が配合されていれば、ICカードの偽造を防止
することができる。
【0052】また、ICカード10にあっては、カード
状積層体5の露出面5b上に、背面被覆層が形成されて
いてもよい。背面被覆層を形成することにより、ICカ
ード10に静電気が発生するのを防止することができ
る。また、ICカード10が重ね置きなどされた際に、
相互に擦れ合うことによって昇華染料層7または溶融熱
転写インク層8の表面が損傷することを防止し、昇華染
料層7または溶融熱転写インク層8から、これらに隣接
しているICカードへ染料やインクが移行することを防
止することができる。さらに、印画時にプリンターのヘ
ッドがICカード10を構成するポリエステル樹脂シー
ト6の表面を走行する際に、滑らかに走行することがで
きるため、高品質な画像が得られる。
【0053】背面被覆層を形成する樹脂としては、アク
リル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノー
ル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂
など、並びにこれらの樹脂の反応硬化物などが挙げられ
る。これらの樹脂は、接着剤、昇華染料層7または溶融
熱転写インク層8の表面の損傷防止、昇華染料層7また
は溶融熱転写インク層8を形成する染料またはインクの
移行防止に非常に有効である。
【0054】また、背面被覆層には、帯電防止のため
に、各種の導電剤が含有されていてもよい。導電剤とし
ては、ポリエチレンイミン、カチオン性モノマーを含む
アクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド系重合
体、カチオン化澱粉などのカチオン系ポリマーなどが好
ましく用いられる。
【0055】背面被覆層の塗布量は、乾燥質量で0.3
〜15g/m2が好ましく、より好ましくは0.5〜5
g/m2である。塗布量が0.3g/m2未満では、IC
カード10が重ね置きなどされた際に、相互に擦れ合う
ことによって昇華染料層7および/または溶融熱転写イ
ンク層8の表面が損傷するのを十分に防止できないこと
がある。また、塗布量が15g/m2を超えると、効果
が飽和し不経済である。
【0056】また、ICカード10は、優れた昇華染料
受容性および溶融熱転写インク受容性を有するものであ
るが、公知の各種加工を施すことができる。例えば、オ
フセット印刷、スクリーン印刷などの印刷、磁気ストラ
イプ、ホログラム、サインパネルなどをICカード表面
に貼付けあるいは埋め込みなどの方法で付与することが
できる。
【0057】以下に、ICカード10の製造方法の例を
示す。第1の方法としては、まず、裏面基材2の一方の
面2a上にICモジュール4を設ける。次に、表面基材
1として、軟化点が50〜140℃のポリエステル樹脂
を主成分とするシートを用い、裏面基材2のICモジュ
ール4が設けられた面が内側になるようにして、両基材
間に粘着剤シートを挟み、重ね合わせる。次に、表面基
材1の表面に剥離用のPETフィルムを重ねて、この積
層物を2枚の金属板で挟む。次に、金属板に挟まれた積
層物を熱プレス機中に供し、所定のプレス条件(プレス
温度、プレス圧力、プレス時間)で圧着して、貼り合わ
せる。プレスした状態で室温まで冷却した後、得られた
積層体を取り出し、打ち抜き機でカード型に成形してI
Cカードを得る。次に、ポリエステル樹脂シート6(裏
面基材1に相当)の表面に、昇華・溶融熱転写併用プリ
ンターを用いて、昇華染料層7と溶融熱転写インク層8
の一方または両方からなる文字や画像を形成し、続い
て、この文字や画像上に保護層9を熱転写する。
【0058】第2の方法としては、まず、表面基材1の
一方の面1a上または裏面基材2の一方の面2a上にI
Cモジュール4を設ける。次に、ICモジュール4が設
けられた表面基材1または裏面基材2に、接着剤を介し
て、ICモジュール4が設けられていない表面基材1ま
たは裏面基材2を重ね合わせる。次に、この積層物を2
枚の金属板で挟み込み、金属板に挟まれた積層物を熱プ
レス機中に供し、所定のプレス条件(プレス温度、プレ
ス圧力、プレス時間)で圧着して、貼り合わせる。プレ
スした状態で室温まで冷却した後、積層体5を得る。次
に、積層体5の表面基材1の他方の面1bの一部または
全面上に、ポリエステル樹脂シート6を、接着剤を介し
て重ね合わせる。次に、この積層物を、2枚の金属板で
挟み込む。次に、金属板に挟まれた積層物を熱プレス機
中に供し、所定のプレス条件(プレス温度、プレス圧
力、プレス時間)で圧着して、貼り合わせる。プレスし
た状態で室温まで冷却した後、得られた積層体を金属板
から剥がし、打ち抜き機でカード型に成形して、ICカ
ード10を得る。次に、ポリエステル樹脂シート6の表
面に、昇華・溶融熱転写併用プリンターを用いて、昇華
染料層7と溶融熱転写インク層8の一方または両方から
なる文字や画像を形成し、続いて、この文字や画像上に
保護層9を熱転写する。また、第2の方法において、ポ
リエステル樹脂シート6の表面に、熱転写プリンターを
用いて文字や画像および保護層を形成した後、このポリ
エステル樹脂シート6を、前記と同様に積層体5に貼り
合せて、ICカード10を得ることもできる。
【0059】熱プレスの条件は、使用する表面基材1、
裏面基材2、ポリエステル樹脂シート6の材質および接
着剤層3の種類、ICモジュール4の種類などに応じて
適宜設定することができる。プレス温度は、20℃〜2
50℃の間で任意に設定可能であるが、接着剤層3とし
て接着剤を用いる場合のプレス温度は60〜200℃が
好ましく、粘着剤を用いる場合には20〜100℃が好
ましい。
【0060】
【実施例】以下、具体的な実施例を示して本発明の効果
を明らかにする。
【0061】(実施例1) (ポリエステル樹脂シートの作製)下記組成の(組成物
−1)を混合し、この(組成物−1)をスクリュー型押
出機に接続されたスロットダイから、冷却されたキャス
ティングドラム上にシート形状に連続的に押し出した
後、冷却して巻き取り、厚さ100μmのポリエステル
樹脂シートを得た。得られたポリエステル樹脂シートの
軟化点は70℃であった。 (組成物−1) アモルファスポリエステル樹脂(商品名:PETG6763、軟化点:70℃ 、イーストマンケミカル社製) 100質量部 エチレンビスステアリン酸アミドワックス(商品名:カオーワックスEB−P 、花王社製) 0.3質量部 ポリエチレンワックス(商品名:ダイヤレン30、三菱化学社製) 0.1質量部 ステアリン酸亜鉛 3質量部
【0062】(インレットの作製)絶縁性基材フィルム
(商品名:テトロンS、厚さ175μm、材質:ポリエ
チレンテレフタレート、帝人社製)を用意した。次に、
この絶縁性基材フィルムの表面側に3ターンの巻き線ア
ンテナおよび回路を、銀ペーストを用いてスクリーン印
刷法により作製した。巻き線アンテナまたは回路の所定
の位置に異方性樹脂を介してICチップ(型番:SLE
44R31、厚さ185μm、シーメンス社製)をフェ
ースボンディングにて搭載し、ICモジュールを作製
し、インレットを得た。
【0063】(ICカードの作製)インレットのICユ
ニットが設けられている面を内側として、インレット、
シート状ポリエステル系接着剤、ポリエステル樹脂シー
トを、この順に重ね合せた。次に、この積層物をステン
レス鋼板で挟んで、プレス温度120℃、圧力5kgf
/cm2で10分間保持して、貼り合わせた。次に、貼
り合わされた積層体を室温まで冷却して、ステンレス鋼
板を剥がし、得られた積層体を打ち抜き機でカード型
(縦55mm×横85mm)に成形し、ICカードを得
た。得られたICカードの厚さは750μmであった。
また、得られたICカードを構成するポリエステル樹脂
シートの表面のJIS K0601における中心線平均
粗さRaは0.2μm、20℃における表面エネルギー
は36dyne/cmであった。
【0064】(実施例2) (ポリエステル樹脂シートの作製)下記組成の(組成物
−2)を混合し、この(組成物−2)をスクリュー型押
出機に接続されたスロットダイから、冷却されたキャス
ティングドラム上にシート形状に連続的に押し出した
後、冷却して巻き取り、厚さ100μmのポリエステル
樹脂シートを得た。得られたポリエステル樹脂シートの
軟化点は130℃であった。 (組成物−2) アモルファスポリエステル樹脂(商品名:PETG6763、イーストマンケ ミカル社製) 45質量部 ポリカーボネート樹脂(商品名:パンライトAD5503、軟化点:140℃ 、帝人化成社製) 45質量部 酸化チタン 10質量部 シリコン樹脂(商品名:TSR160、東芝シリコーン社製) 1質量部
【0065】(インレットの作製)実施例1と同様にし
て、インレットを作製した。 (ICカードの作製)実施例1と同様にして、ICカー
ドを作製した。得られたICカードの厚さは750μm
であった。また、得られたICカードを構成するポリエ
ステル樹脂シートの表面のJIS K0601における
中心線平均粗さRaは0.2μm、20℃における表面
エネルギーは33dyne/cmであった。
【0066】(実施例3) (ポリエステル樹脂シートの作製)下記組成の(組成物
−3)を混合し、この(組成物−3)をスクリュー型押
出機に接続されたスロットダイから、冷却されたキャス
ティングドラム上にシート形状に連続的に押し出した
後、冷却して巻き取り、樹脂シートを得た。得られた樹
脂シートにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品
名:リパール870P、ライオン社製)の水希釈液を塗
布、乾燥し、厚さ50μmのポリエステル樹脂シートを
得た。得られたポリエステル樹脂シートの軟化点は60
℃であった。 (組成物−3) アモルファスポリエステル樹脂(商品名:PETG6763、イーストマンケ ミカル社製) 90質量部 酢酸ビニル含有EVA樹脂(商品名:ソアブレンEVA−DH、酢酸ビニル含 有率:60モル%、軟化点:54℃、日本合成化学社製) 10質量部 エチレンビスステアリン酸アミドワックス(商品名:カオーワックスEB−P 、花王社製) 0.3質量部
【0067】(インレットの作製)実施例1と同様にし
て、インレットを作製した。 (ICカードの作製)ポリエステル樹脂シートのジオク
チルスルホコハク酸ナトリウム塗布面を外側として、ポ
リエステル樹脂シート、シート状ポリエステル系接着
剤、インレット、シート状ポリエステル系接着剤、ポリ
エステル樹脂シートを、この順に重ね合わせた。次に、
この積層物をマット仕上げしたステンレス鋼板で挟ん
で、プレス温度120℃、圧力5kgf/cm2で10
分間保持して、貼り合わせた。次に、貼り合わされた積
層体を室温まで冷却して、ステンレス鋼板を剥がし、得
られた積層体を打ち抜き機でカード型(縦55mm×横
85mm)に成形し、ICカードを得た。得られたIC
カードの厚さは450μmであった。また、得られたI
Cカードを構成するポリエステル樹脂シートの表面のJ
IS K0601における中心線平均粗さRaは0.4
μm、20℃における表面エネルギーは35dyne/
cmであった。なお、画像の記録は、インレットの絶縁
性基材フィルム(ここでは表面基材に相当する)側に積
層されたポリエステル樹脂シート表面に行なった。
【0068】(実施例4) (ポリエステル樹脂シートの作製)下記組成の(組成物
−4)を混合し、この(組成物−4)をスクリュー型押
出機に接続されたスロットダイから、冷却されたキャス
ティングドラム上にシート形状に連続的に押し出した
後、冷却して巻き取り、厚さ100μmのポリエステル
樹脂シートを得た。得られたポリエステル樹脂シートの
軟化点は70℃であった。 (組成物−4) アモルファスポリエステル樹脂(商品名:PETG6763、イーストマンケ ミカル社製) 100質量部 エチレンビスステアリン酸アミドワックス(商品名:カオーワックスEB−P 、花王社製) 0.3質量部 ポリエチレンワックス(商品名:ダイヤレン30、三菱化学社製) 0.1質量部 ステアリン酸亜鉛 3質量部
【0069】(インレットの作製)実施例1と同様にし
て、インレットを作製した。
【0070】(ICカードの作製)実施例1と同様にし
て、ICカードを得た。得られたICカードの厚さは7
50μmであった。また、得られたICカードを構成す
るポリエステル樹脂シートの表面のJIS K0601
における中心線平均粗さRaは0.1μm、20℃にお
ける表面エネルギーは31dyne/cmであった。
【0071】(比較例1)離型剤を添加せずに作製した
軟化点が70℃のポリエステル樹脂シートを用いた以外
は、実施例1と同様にして、ICカードを作製した。得
られたICカードの厚さは750μmであった。また、
得られたICカードを構成するポリエステル樹脂シート
の表面のJIS K0601における中心線平均粗さR
aは0.2μm、20℃における表面エネルギーは44
dyne/cmであった。
【0072】(比較例2)ポリエステル樹脂シートの代
わりに2軸延伸ポリエステル樹脂シート(商品名:U−
2、軟化点250℃、帝人社製)を用いた以外は、実施
例1と同様にしてICカードを作製した。得られたIC
カードの厚さは750μmであった。また、得られたI
Cカードを構成する2軸延伸ポリエステル樹脂シートの
表面のJIS K0601における中心線平均粗さRa
は0.2μm、20℃における表面エネルギーは32d
yne/cmであった。
【0073】実施例1〜4および比較例1〜2で得られ
たICカードに関して、以下の項目について評価した。 (1)画像均一性 市販の熱転写ビデオプリンター(商品名:NCP−10
0、野崎印刷社製、リボン:イエロー、マゼンタ、シア
ン(昇華)+ブラック(溶融)+オーバーラミ、野崎印
刷社製)を用いて、インクリボンを、ICカードを構成
するポリエステル樹脂シートの表面に接触し、サーマル
ヘッドで段階的に加熱することにより所定の画像をポリ
エステル樹脂シートの表面に熱転写し、各色の中間調の
単色および色重ね画像を印刷した。ポリエステル樹脂シ
ートの表面に転写された画像について、マクベス反射濃
度計(商品名:RD−914、Kollmorgen社
製)を用いて、画像に対する印加エネルギーを変えて、
異なる印加エネルギーにおける反射濃度を測定し、黒の
反射濃度が1.0に相当する階調部分の記録画像の画像
均一性について、濃淡斑の有無、白抜けの有無などにつ
いて目視により評価した。評価基準を、下記の通りとし
た。 ◎ :濃淡斑、白抜けが全く認められなかった。 ○ :濃淡斑、白抜けが極わずかに認められた。 △ :濃淡斑、白抜けがわずかに認められた。 ×:濃淡斑、白抜けが顕著にに認められた。
【0074】(2)画像鮮明性 市販の熱転写ビデオプリンター(商品名:NCP−10
0、野崎印刷社製、リボン:イエロー、マゼンタ、シア
ン(昇華)+ブラック(溶融)+オーバーラミ、野崎印
刷社製)を用いて、インクリボンを、ICカードを構成
するポリエステル樹脂シートの表面に接触し、サーマル
ヘッドで段階的に加熱することにより所定の画像をポリ
エステル樹脂シートの表面に熱転写し、各色の中間調の
単色および色重ね画像を印刷した。ポリエステル樹脂シ
ートの表面に転写された画像について、マクベス反射濃
度計(商品名:RD−914、Kollmorgen社
製)を用いて、画像に対する印加エネルギーを変えて、
異なる印加エネルギーにおける反射濃度を測定し、同一
印加エネルギーにおける反射濃度を比較した。評価基準
を、下記の通りとした。印画濃度が高く鮮明な画像が得
られたものから順に、◎、○、△、×の4段階で評価し
た。
【0075】(3)印画音、剥離線 項目(1)と同様なカード用熱転写カラープリンターを
用いて、イエロー、マゼンタ、シアンの昇華染料の混色
によるブラックのベタ画像をポリエステル樹脂シートの
表面に熱転写し、印画時の印画音の程度および印画面に
発生した剥離線の状況を観察した。評価基準を下記の通
りとした。 ◎:印画音および剥離線ともに全くない。 ○:印画音はわずかにあるが、剥離線は認められない。 ×:印画音がひどく、剥離線も生じる。
【0076】(4)カール 印画前のICカードを用いて、カードの凸面側が水平に
接するように放置し、カードの4隅について平面からの
高さを測定し、平均値を求めた。評価基準を下記の通り
とした。カードのカールが大き過ぎると、カードプリン
ター走行性などに問題を生じるおそれがある。 ◎:平面からの平均高さが3mm未満。 ○:平面からの平均高さが3〜5mm。 ×:平面からの平均高さが5mmを超える。 以上、(1)〜(4)の評価結果を表1に示した。
【0077】
【表1】
【0078】表1の結果から、実施例1〜4のICカー
ドは、画像均一性、画像鮮明性が良好であり、かつ印画
音や剥離線もほとんど発生することなく、カールも生じ
ないことが確認された。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のICカー
ドは、ICチップを備えたカード状基体表面の少なくと
も一部に、ポリエステル樹脂シートを積層したICカー
ドであって、前記ポリエステル樹脂シートが、少なくと
もICカードの表面側に、軟化点が50〜140℃であ
り、ポリエステル樹脂を主成分とし、離型剤を含有する
ポリエステル樹脂層を有するから、画質が良好で、銀塩
写真類似の画像が得られ、カールも生じ難く加工性に優
れている。前記ポリエステル樹脂層は、離型剤を0.0
1〜5.0質量%含有しているから、熱転写プリンター
のインクリボンに融着することはない。前記ポリエステ
ル樹脂シートの、JIS K6768に準じる20℃に
おける表面エネルギーが38dyne/cm以下であれ
ば、昇華・溶融熱転写の際に、インクリボンがポリエス
テル樹脂シートの表面に融着することがないから、熱転
写プリンターのヘッドが前記ポリエステル樹脂シートの
表面を走行するのを妨げることがなく、高品質な画像が
得られる。前記ポリエステル樹脂シートは、ポリエステ
ル樹脂を主成分とする軟化点が50〜140℃のポリエ
ステル樹脂層と、該ポリエステル樹脂層以外の基材シー
トとが積層された多層シートであれば、加工性、耐熱
性、耐溶剤性などに優れている。前記離型剤が、パラフ
ィンワックス、ポリエチレンワックス、高級脂肪酸、脂
肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸、シリコーン樹
脂またはシリコーンオイルのいずれか1種または2種以
上であれば、前記ポリエステル樹脂シートが、熱転写プ
リンターのインクリボンに融着することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のICカードの一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1・・・表面基材、2・・・裏面基材、3・・・接着剤層、4・・・
ICモジュール、5・・・カード状積層体、6・・・ポリエス
テル樹脂シート、7・・・昇華染料層、8・・・溶融熱転写イ
ンク層、9・・・保護層、10・・・ICカード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠原 英明 東京都江東区東雲1丁目10番6号 王子製 紙株式会社東雲研究センター内 Fターム(参考) 2C005 MA12 NA09 PA03 PA04 PA15 PA18 PA21 PA23 PA29 RA04 2H111 CA03 CA25 CA30 CA33 CA41 CA47 CA48 5B035 BA05 BB09 CA01 CA06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ICチップを備えたカード状基体表面の
    少なくとも一部に、ポリエステル樹脂シートを積層した
    ICカードであって、 前記ポリエステル樹脂シートが、少なくともICカード
    の表面側に、軟化点が50〜140℃であり、ポリエス
    テル樹脂を主成分とし、離型剤を含有するポリエステル
    樹脂層を有することを特徴とするICカード。
  2. 【請求項2】 前記ポリエステル樹脂層は、離型剤を
    0.01〜5.0質量%含有していることを特徴とする
    ICカード。
  3. 【請求項3】 前記ポリエステル樹脂シートの、JIS
    K6768に準じる20℃における表面エネルギーが
    38dyne/cm以下であることを特徴とする請求項
    1または2記載のICカード。
  4. 【請求項4】 前記ポリエステル樹脂シートは、ポリエ
    ステル樹脂を主成分とする軟化点が50〜140℃のポ
    リエステル樹脂層と、該ポリエステル樹脂層以外の基材
    シートとが積層された多層シートであることを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれかに記載のICカード。
  5. 【請求項5】 前記離型剤が、パラフィンワックス、ポ
    リエチレンワックス、高級脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪
    酸エステル、金属石鹸、シリコーン樹脂またはシリコー
    ンオイルのいずれか1種または2種以上であることを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のICカー
    ド。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006265329A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Kaneka Corp ポリエステル樹脂組成物およびそれから得られる成形体
JP2013509478A (ja) * 2009-10-30 2013-03-14 セブ ソシエテ アノニム Pet熱可塑性ポリマー物品、およびそのような物品の作製方法
JP2016040132A (ja) * 2009-08-27 2016-03-24 コダック アラリス インコーポレイティド 画像受容体要素

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JP2016040132A (ja) * 2009-08-27 2016-03-24 コダック アラリス インコーポレイティド 画像受容体要素
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