JP2004230633A - 熱転写受容シートおよびicカード - Google Patents
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Abstract
【課題】染料染着性樹脂を有機溶剤に溶解して、シート状支持体上に塗工又は印刷して受容層を形成する際に、表面が膨張して外観が損なわれたり、シート状支持体中に有機溶剤が残留するといった問題がなく、シート状支持体と、下塗り塗被層および受容層との接着強度に優れ、かつ染料染着性、溶融インク転写性およびカード成型等の加工性が良好な受容シート、及びこれを用いたICカードを提供する。
【解決手段】アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂を主成分とするシート状支持体と、該シート状支持体の少なくとも一面に、水性高分子樹脂を含む下塗り塗被層と、染料染着性樹脂を含む受容層とを順次積層した熱転写受容シート、及びこれを用いたICカード。
【選択図】 なし
【解決手段】アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂を主成分とするシート状支持体と、該シート状支持体の少なくとも一面に、水性高分子樹脂を含む下塗り塗被層と、染料染着性樹脂を含む受容層とを順次積層した熱転写受容シート、及びこれを用いたICカード。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートの成形加工が容易で、染料を加熱により拡散転写して染着画像を形成することが可能であるばかりでなく、軟化溶融するインクを加熱転写させ、高濃度に文字等を鮮明に印字することが可能な熱転写受容シート(以下、単に受容シートと称す。)およびこれを用いたICカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、サーマルプリンター、特に、鮮明なフルカラー画像を印刷することが可能な熱転写プリンターが注目されている。中でも、昇華熱転写プリンターは、加熱により昇華若しくは溶融拡散して移行する染料を含有する染料層を有する昇華インクリボンを、フィルム基材の片面に染料を受容する受容層が形成された受容シートに重ね合わせ、染料層の所要箇所の染料を、サーマルヘッドから供給される熱により、所定量だけ受容層上に転写して画像を形成するものである。この昇華熱転写プリンターは、高階調の写真型フルカラー画像の形成に特に有利であるという特徴を有している(特許文献1参照。)。
【0003】
一方、溶融熱転写プリンターは、加熱により溶融するインクを塗布したインクリボンと、受容シートとをプラテンロールで圧接し、インクリボンの背面から加熱して、瞬時にインクを溶融し、受容シート上に転写して文字や画像などを形成するものである。このような溶融熱転写プリンターによる印刷の特徴としては、インクを熱拡散する方式に比較して、エッジの効いたシャープで高濃度な画像が得られ、また、堅牢な顔料タイプのインクが用いられるため、画像の耐光性および耐薬品性などに優れている。このようなことから、溶融熱転写プリンターは、特に文字情報の印字、印画に好ましく用いられている。
【0004】
ところで、磁気カードやICカードなどに代表されるカード類のうち、会員証、社員証などのIDカード用途においては、個人を認識するために、顔写真などの画像情報が印画されていることが好ましい。このような写真などの画像を形成する方法としては、前記昇華熱転写方式が、その写真階調性、印画機器の操作性、高い信頼性などから特に優れている。したがって、IDカードの印刷においては、まず、顔写真などを昇華熱転写方式によりフルカラーで印画し、次いで溶融熱転写方式により文字を鮮明に印字する方法が行なわれている。
【0005】
前記のような異なる印刷法を同時に行なうことが可能な、昇華・溶融熱転写併用プリンターが既に知られている。このプリンターにおいては、まず、昇華性のイエロー、マゼンタ、シアンの染料および熱溶融転写性インク(特にブラック)を(場合によってはさらにオーバーラミ層という保護層を)塗布したシート(以下、インクリボンと称す。)の染料塗布面に、受容シートの受容層が形成された面を重ね合わせる。次いで、所望の画像および文字に対応する電気信号に応じて、サーマルヘッドから供給される熱により、インクリボンから染料およびインクを、所要箇所から所定量だけ受容シートに転写、染着して画像や文字を形成する。
【0006】
従来、磁気特性を利用した磁気カードが情報記録媒体として使用されてきたが、近年、ICカードの発達によりICカードが大容量可変記録媒体として、磁気カードから移行しつつある。ICカードは大別すると、接触型と非接触型がある。接触型ICカードでは、ICチップと外部のデータ処理装置との間の情報交換が、ICチップと電気的かつ機械的に接続されている接触端子を介して行われている。
【0007】
一方、非接触型ICカードは、外部との情報の送受信をカード内にあるアンテナを介して電波により無線交信する送受信機である。通信手段が電波による非接触型であるため、例えば、駅の改札において、定期券などの磁気カードを接触型読み取り装置に挿入する必要がなく、鞄などの中にICカードを保持した状態のまま改札を通過する事が可能である。さらに、非接触であるため、ICカードと読み取り装置との接触による不具合、例えば、ICカードの搬送不良、読み取り装置のヘッドの摩耗などの問題がなく、読み取り装置のメンテナンス費用を大幅に削減する事が可能である。
【0008】
ICカードは、電気絶縁性の樹脂フィルムで形成されている表面基材および裏面基材のカード基材と、これらのカード基材の間にあり、これらの表面の一方に設けられたICチップなどの電子回路とから概略構成されている。また、ICカードは、内装されたICチップへの情報の記録が電気記録であるため、外部からICチップの情報を更新するには特殊な書き込み変更装置が必要であるため、機密性の面においても優れている。
【0009】
ICカード表面に同一のデザインを多量に形成する場合には、オフセット印刷やスクリーン印刷が適している。一方、IDカード用途では、カード一枚ごとに異なる顔写真や文字情報を簡便に印刷したいとの要請があり、昇華・溶融熱転写併用プリンターが適している。
【0010】
市販のカード用熱転写型プリンターで、現在、主に使用されているカード基材は、ポリ塩化ビニル(以下、PVCと略す。)を主成分とするカード基材や、表面をPVC層でラミネート処理したポリエチレンテレフタレートカード基材等である(例えば、特許文献2参照。)。近年は、塩素を含有する樹脂の廃棄焼却に伴うダイオキシン類の発生の問題から、非塩素系カード基材への転換要請が高まっている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0011】
例えば、一般的なポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す。)樹脂からなるカード基材を用いると、昇華性染料の染着性が劣る上、溶融熱転写性インクの転写濃度も低い。また、一般的なPET樹脂は軟化点が高いため、カード基材の成形、貼り合わせなどの加工が難しく、接着剤を用いなければラミネートすることも、重ねてカード基材とすることもできない。また、カード基材表面に磁気ストライプやホログラムを装着する場合には、これらを装着可能な層を新たに設ける必要がある。それ故に、複数の樹脂層からなるカード基材を成形した場合は、カード基材の層構成が厚みの中心に対して非対称となり、各層を構成する樹脂の収縮率や配向性の差から、カード基材にカールが発生し易くなる上に、これを制御することが困難になる。
【0012】
また、カード用基材としてアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(以下、ABS樹脂と略す。)フィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。ABS樹脂からなる基材は、成形加工性が良好であり、かつカール制御が容易である上に、熱融着性や繰り返し曲げ等の物理特性をPVCと同程度にすることができるが、昇華染料の転写画像の画像濃度は不十分である。
【0013】
従来、PETのような基材では、染着性を付与するために、有機溶剤に溶解した染料染着性樹脂を基材の表面に塗布、乾燥して、受容層を形成する方法が一般に行なわれている。しかし、ABS樹脂の場合には、一般的な有機溶剤により表面が膨張し、外観が損なわれたり、基材中に有機溶剤が残留するといった問題があった。
【0014】
【特許文献1】
特許第3058913号明細書(第1−2頁)
【特許文献2】
特許第2880399号明細書(第1頁)
【特許文献3】
特開平5−262085号公報(第2−3頁)
【非特許文献1】
「月刊Card WAVE、1999年5月号」、シーメディア出版、p.96−99
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、染料染着性樹脂を有機溶剤に溶解して、シート状支持体上に塗工又は印刷して受容層を形成する際に、表面が膨張して外観が損なわれたり、シート状支持体中に有機溶剤が残留するといった問題がなく、シート状支持体と、下塗り塗被層および受容層との接着強度に優れ、かつ染料染着性、溶融インク転写性およびカード成型等の加工性が良好な受容シートを提供することを課題とする。
また、上記受容シートをカード基材として用いたICカードを提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂を主成分とするシート状支持体と、該シート状支持体の少なくとも一面に、水性高分子樹脂を含む下塗り塗被層と、染料染着性樹脂を含む受容層とを順次積層したことを特徴とする熱転写受容シート。
【0017】
(2)前記下塗り塗被層の主成分が、トルエン及びメチルエチルケトンを同比率で混合した溶剤に対するゲル分率が70質量%以上の水性高分子樹脂である(1)項に記載の熱転写受容シート。
【0018】
(3)前記水性高分子樹脂が、アクリル系樹脂及び/又はウレタン系樹脂である(1)項または(2)項に記載の熱転写受容シート。
【0019】
(4)コアシート上にICユニットを備えてなるインレットと、該インレットのICユニット側片面又は両面に積層されたオーバーシートとを有するICカードであって、前記オーバーシートの少なくとも一部が、(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の熱転写受容シートからなるICカード。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、シート状支持体の少なくとも片面に染料染着性樹脂を主成分とする受容層を有する熱転写受容シートであり、シート状支持体としてABS樹脂を主成分とするシートを用い、シート状支持体と受容層との間に、シート支持体及び受容層との接着性、及び溶剤バリア性等が優れた下塗り塗被層を設けたことを特徴とする熱転写受容シートである。
【0021】
下塗り塗被層用材料としては、水溶性あるいは水分散性の水性高分子樹脂が主成分として使用され、水性高分子樹脂としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カゼイン、デキストリン、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられ、ABS樹脂を主成分とするシート状支持体との接着性、及び耐溶剤性(溶剤バリア性)との観点から適宜選択され、単独又は混合して使用される。
【0022】
前記の水性高分子樹脂の中でも、トルエン及びメチルエチルケトン(MEK)を同比率で混合した溶剤に対するゲル分率が70質量%以上の水性高分子樹脂が好ましく使用され、より好ましくはゲル分率が85質量%以上の水性高分子樹脂が使用される。特定のゲル分率を有する水性高分子樹脂を含む下塗り塗被層を設けることにより、受容層を塗工する際に使用する有機溶剤による、シート状支持体の膨潤や変形が防止され、良好な外観を維持できるとともに、下塗り塗被層とシート状支持体との接着性に優れ、染料染着性、成形加工性などの良好な熱転写受容シートが得られるものである。水性高分子樹脂のゲル分率が70質量%未満の場合には、耐溶剤性が劣り、受容層を塗工する際にABS樹脂からなるシート状支持体を損なうおそれがあり、下塗り塗被層上に塗工する受容層本来の性能が得られないことがある。
【0023】
ここで、トルエン及びMEKの混合溶剤に対するゲル分率とは以下の如き方法により得られる値である。ポリ四フッ化エチレンからなるシート上で、高分子樹脂の皮膜厚が0.5〜1.0mm(乾燥後)になるように皮膜を作成する。乾燥条件は20℃、24時間である。次いで、上記条件により作成した皮膜を3cm角に切り、トルエン及びMEKを同比率で混合した溶剤に24時間浸漬後、120℃、1時間乾燥して溶剤を完全に揮散させ、溶剤浸漬前後の皮膜の質量変化を測定する。下記の式(1)により、ゲル分率を求める。
ゲル分率(%)=〔浸漬後の質量(g)/浸漬前の質量(g)〕×100(1)
【0024】
前記の水性高分子樹脂の中でも、ABS樹脂との接着性が良好なこと等から、アクリル系樹脂及び/又はポリウレタン系樹脂が、下塗り塗被層の成分として好ましく用いられる。さらに、ABS樹脂をカード成型用に供するには、成形機と基材との貼りつきを防止するために基材中に滑剤を配合する場合が殆どであり、ABS樹脂との接着性を十分に発現する水性高分子樹脂は、一般に耐ブロッキング性が劣ることがある。特に、水系ポリウレタンは優れた接着力を発現し、且つその構造中に架橋構造や芳香環族基を含んだ硬い層を形成して、耐ブロッキング性も良好なことから、本発明の下塗り塗被層として好ましく使用される。
【0025】
水系ポリウレタン系樹脂は、例えば、ポリイソシアネート、およびポリオールを、溶媒中でウレタン化反応させてプレポリマーとし、次いで、プレポリマーを中和、鎖延長し、水を加えて水性ウレタン樹脂とすることによって製造される。水系ポリウレタン系樹脂のゲル分率は、架橋密度を変化させるなどの方法で容易にコントロールできる。
【0026】
また、水系ポリウレタン系樹脂のガラス転移温度Tgは、60〜150℃の範囲が好ましく、Tgが60℃未満ではブロッキングすることがあり、Tgが150℃を超えると塗工層がもろくなることがある。ポリウレタン樹脂のTgをコントロールするために、例えば可塑剤を配合してTgを下げることが行われており、可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系可塑剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリエーテル系可塑剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低分子量エーテルエステル系可塑剤が好ましく使用される。
【0027】
さらに、下塗り塗被層中には顔料を含有させてもよく、顔料を含有させることで塗被層の耐ブロッキング性が向上し、塗被層を形成する際の塗工液の安定性などを改善することも可能である。塗被層に含有させる顔料としては、通常の無機または有機の顔料が適宜使用でき、例えば、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、チタン、アルミニウム、アンチモン、鉛等の各種金属酸化物、水酸化物、硫化物、炭酸塩、硫酸塩または珪酸塩化合物やポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の固体高分子微粉末等が挙げられる。中でも、カオリン、タルク、シリカ、石膏、バライト粉、アルミナホワイト、サチンホワイト、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機顔料を使用すると、効率よくブロッキングを防止することができる。
【0028】
下塗り塗被層に含有させる顔料の量は、水性高分子樹脂に対して固形分比率で250質量%以下、好ましくは200質量%以下である。因みに、皮膜の粘着性、耐溶剤性から含有量が決められるが、250質量%を超えると、皮膜の溶剤バリア性が不十分となり、適切な性能が得られないことがある。
【0029】
また、本発明における塗被液中には、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、例えば、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類等の水溶性可塑剤、さらには無機塩、充填剤、消泡剤、濡れ剤、レベリング剤、硬化剤、増粘剤、滑剤、皮膜形成助剤等を適宜添加することができる。
【0030】
下塗り塗被層は、乾燥質量で1〜10g/m2の範囲で調節するのが好ましく、より好ましくは2〜6g/m2の範囲である。因みに、1g/m2より少ないと下塗り塗被層としての作用効果が少なく、一方10g/m2より多い場合は、ブロッキングや操業性が問題となるおそれがある。また、本発明において、シート状支持体と下塗り塗被層の接着性と濡れ性を改善するために、シート状支持体表面にコロナ処理等の表面処理を行ってもよい。
【0031】
本発明において、シート状支持体の少なくとも片面に設けられた下塗り塗被層上に形成される受容層は、インクリボンから転写される昇華性染料により染着され、固定し得る染料染着性樹脂を主成分として含有するものである。このような染料染着性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、及びセルロースアセテートブチレートなどのセルロース誘導体等を用いることができる。本発明の熱転写受容シートの受容層表面には、印画の際に、サーマルヘッドによる加熱に起因する受容シートとインクリボンとの融着を防ぐ目的で、架橋剤、滑剤、及び/又は剥離剤を必要に応じて添加することが好ましい。また、必要に応じて受容層中に、酸化防止剤、顔料、紫外線吸収剤、及び/又はその他の添加剤を加えてもよい。これらの添加剤は、受容層の主成分樹脂と予め混合して塗工又は印刷されてもよいし、別の塗被層として受容層の上に塗工又は印刷されてもよい。
【0032】
受容層の塗工量は1〜12g/m2であることが好ましく、より好ましくは2〜8g/m2である。受容層が薄すぎると画像が劣化したり、印画面の光沢が低下する等の欠点を生ずることがある。また受容層が厚すぎると効果が飽和し、不経済であるばかりか、印画濃度が低下することがある。
【0033】
なお、本発明の下塗り塗被層および受容層は、塗工方式または印刷方式によって形成される。塗工方式については、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、グラビアコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、サイズプレスコーター、スロットダイコーター、カーテンコーター、リップコーター、あるいはスライドビードコーター等の各種装置が適宜使用される。また、印刷方式については、スクリーン印刷、オフセット印刷およびグラビア印刷等の各種装置が適宜使用される。特に、下塗り塗被層および受容層を部分的に形成する場合には、印刷方式で所定の個所に各層を設けることができるので好ましい。
【0034】
本発明において、シート状支持体上に下塗り塗被層および染料染着層を印刷又は塗工する場合、軟化点が60℃以上のABS樹脂シートが好ましく使用され、乾燥後の基材に凹凸が発生せず、塗工時のテンションによって基材が伸びてしまうこともない。軟化点が60℃未満であると前述の欠陥が発生したり、乾燥時の温度を上げることができず、基材と下塗り塗被層の接着性低下や、受容層中の溶剤残留の問題等がある。
【0035】
また、ICカードに代表されるIDカード等では、個人に関する情報以外の共通部分では、共通の文字や絵柄等が印刷により予めカードに設けられていることが多い。本発明の受容シートでは、文字や絵柄等の印刷層を、ABS樹脂を主成分としたシート状支持体上、下塗り塗被層上および受容層上等何れの表面にも設けることができる。但し、受容層には、前述のように滑剤および剥離剤が含有していることが多く、印刷インクやその表面を保護する目的で使用されるニスがはじいてしまうことがあり、好ましくはABS樹脂を主成分としたシート状支持体上および下塗り塗被層上に印刷層を形成するとよい。
【0036】
本発明のABS樹脂は、アクリロニトリル、ブタジエン、及びスチレンを共重合させて得ることができる。一般的な製造方法としては、ポリブタジエンラテックスに、アクリロニトリルとスチレンをグラフト共重合させる方法が挙げられ、グラフト重合には乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法など公知の方法が使用できる。
【0037】
本発明のABS樹脂の軟化点は、好ましくは60〜140℃の範囲であり、より好ましくは70〜120℃の範囲である。軟化点が60℃より低いと、熱によりフィルムが伸びることがあり、一方、軟化点が140℃より高いと、フィルムの加工成形適性が悪化することがある。ABS樹脂は、アクリロニトリル、ブタジエン、及びスチレン等のモノマーを共重合させる際に、モノマー成分やその比率等を変えることにより、得られる樹脂の、軟化点、耐熱性、耐衝撃性などを適宜調整することができる。ここで軟化点としては、JIS K7206に基いてビカット軟化点が求められる。
【0038】
適度な軟化点を得るためには、ABS樹脂中の各モノマー単位の比率は、ABS樹脂100質量部に対して、スチレン単位20〜60質量部が好ましく、30〜50質量部がより好ましい。また、適度な耐衝撃性を得るためには、ABS樹脂100質量部に対して、ブタジエン単位10〜30質量部が好ましい。モノマー成分の選択としては、例えばスチレンをα−メチルスチレンに置き換えるなどの方法で軟化点を上げることができる。
【0039】
本発明の受容シート用シート状支持体の樹脂成分としては、ABS樹脂の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、一般に公知の熱可塑性樹脂を併用することも勿論可能である。併用樹脂としては成形性、加工性等の面からABS樹脂と混和性のよい樹脂が好ましい。例えば、ポリエステル、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート(MMA)−スチレン共重合体、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリウレタン、ナイロン等の各種樹脂を1種以上使用することも可能である。
【0040】
本発明の受容シート用シート状支持体中には、無機顔料として、例えば酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク等の1種以上を含有せしめてもよい。
更に必要に応じて、公知の添加剤を添加できる。例えば、ジアルキルチオジエステル、トリス(アルキルアリール)ホスファイトなどの安定剤、ロジン類、スルホアミド化合物などの加工性改良剤、エステルフェノール化合物などの老化防止剤、塩素化アルコールエステル、臭素化アルコールエステルなどの難燃剤などが挙げられる。またステアリン酸亜鉛のような金属石鹸、各種界面活性剤のような分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、増白剤、紫外線吸収剤、有色顔料等の公知の各種添加剤を含有させてもよい。例えば、フェノール系の酸化防止剤を添加することにより耐熱酸化劣化性は著しく向上する。その他必要に応じて、可塑剤、光安定剤、架橋剤、充填剤、発泡剤、防曇剤、表面処理剤、難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、離型剤などを包含させることができる(例えば、「ABS樹脂」、1970年8月31日、高分子機械材料委員会偏、参照。)。
【0041】
本発明のABS樹脂の成形方法は特に限定されるものではなく、公知の方法により成形することができる。例えば、スクリュー型押出機に接続された単層または多層のTダイやIダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、カレンダー成形、圧延成形、インフレーション成形などの方法が挙げられる。シート状支持体の厚みに関しては特に制限はないが、30〜600μmの範囲が好ましく、50〜400μmがより好ましい。シート状支持体は平滑なものが好ましく、その坪量は30〜350g/m2が好ましい。
【0042】
本発明のICカードは、インレットのICユニット側片面、又はインレットの両面に積層されたオーバーシートを有し、オーバーシートの少なくとも一部に受容層を有し、オーバーシートの少なくとも一方が、本発明の下塗り塗被層及び受容層を具備するABS樹脂シートであり、カード成型時や印画後のカールが良好なICカードである。
【0043】
図1は本発明のICカードについて、実施形態の一例を示す断面図である。このICカード1においてはコアシート(IC回路装着用基材)2の一方の面上に、少なくともICユニット3が設けられ、このコアシート2とICユニット3でインレット4を構成している。また、インレット4の両面に接着剤層5及び6を介して積層されたオーバーシート7、8の少なくとも一部に下塗り被覆層10を介して受容層9が形成されている。図1の例では、受容層を有するオーバーシート11は、オーバーシート7と下塗り被覆層10と受容層9とで構成されている。さらに図1は、受容層9に、昇華熱転写によるフルカラー画像12aおよび溶融熱転写によるモノクロ文字情報12bを設け、さらに転写方式による保護層13を順次設けた構成となっている例を示している。
図2は本発明のICカードについて、インレット4のICユニット3側片面に、接着剤層5を介して、受容層を有するオーバーシート11が積層されている例を示している。
【0044】
ICユニット3は、ICチップと必要に応じて他の部材とが一体化されたものである。非接触型ICカードに用いられるICユニット3は、アンテナを有している。なお、図1では、ICユニット3のアンテナ部分は図示していない。図1においては、ICユニット3がコアシート2の表面上に設けられた例(インレット4)を示しているが、コアシートにICチップを収納可能な窪みを設け、そこにICチップを収納してもよい。
【0045】
ICユニット3としては、例えば、略平板状のアンテナコイルと、このアンテナコイルの一方の面上に突き出して配置されたICチップとを備えるICユニットが用いられる。例えば、アンテナコイルの両端は異方導電性テープで接続されていて、アンテナコイルとICチップとが導通している。また、アンテナコイルは、基板上に形成された板状アンテナであってもよい。ICチップとしては、通常は縦横の長さが0.5〜10mmで、厚さが50〜500μm程度のものが使用される。
【0046】
本発明で使用されるICユニット装着用のコアシートとしては絶縁性のあるシート状の基材が用いられる。このような基材としては、例えばPET樹脂、ABS樹脂、ポリブチレン樹脂、又はポリカーボネート樹脂等からなるシート、或は紙、合成紙等を1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
【0047】
本発明のICカードにおいて、オーバーシート上の少なくとも一部に受容層が形成されており、例えば、インレットの両面にオーバーシートが積層されている場合、受容層が形成されない側のオーバーシートとしては、例えば、PET樹脂、非晶性PET樹脂、ABS樹脂、ポリブチレン樹脂、又はポリカーボネート樹脂等からなるシート、或は紙、合成紙等を1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。好ましくは、受容層が形成されるオーバシートと同種類のシート基材が使用され、ABS樹脂からなるシートが使用される。表裏同種類のシート基材を積層することにより、貼合わせ工程における表裏の熱収縮差をなくすことができ、カールがなく、外観の良好なICカードを得ることが可能となる。
【0048】
本発明のICカードは、インレットのICユニット側表面にオーバーシートを積層、或いはインレットの両面を、一対のオーバーシートで挟み込んだ後に積層して得られる。積層方法は特に限定しないが、ラミネート法によって積層されることが好ましい。
即ち本発明のICカードは、公知の接着剤或いは粘着剤を介して、インレットのICユニット側表面とオーバーシートとを重ね合わせた後(或いは、インレットの両面を一対のオーバーシートで挟み込んだ後)、2枚の金属板で挟み、熱プレス機中へ供し(或いは、金属面からなる一対のプレス面を有する熱プレス機中へ供し)、所定のプレス条件(プレス温度、プレス圧力、プレス時間)で圧着して貼り合わせる。プレスした状態で室温まで冷却した後、得られた積層体を取り出し、打ち抜き機でカード型に成形してICカードを得る。
【0049】
積層体を得るための圧着貼合工程でのプレス条件は、使用するオーバーシート、インレット基材の材質、接着剤又は粘着剤の種類等により任意に選択することができ、特に限定されるものではないが、例えば、プレス温度は20℃〜250℃の間で任意に設定できる。なお接着媒体として、接着剤を用いる場合のプレス温度は60〜200℃が好ましく、粘着剤を用いる場合には20〜120℃が好ましい。ICカード1の厚みは、全体として150〜1000μmの範囲であり、好ましくは400〜850μmである。
【0050】
ラミネート法によるシートの積層では、接着剤、または粘着剤のいずれも使用でき、例えばユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル(EVA)系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム系、シアノアクリレート系、シリコーン系樹脂等の任意の接着剤、またはこれらの接着剤に適当な粘着付与剤を添加した粘着剤が使用できる。更に必要に応じて可塑剤、充填剤、老化防止剤等も添加することができる。
【0051】
また、接着剤強度の点では、化学反応で硬化或いは重合するタイプの化学反応型接着剤が好ましい。これら化学反応型接着剤の種類としては、例えば、エポキシ、レゾール等の熱硬化型、2−シアノアクリル酸エステル、シリコーン、アルキルチタネート等の湿気硬化型、アクリル系オリゴマー等の嫌気硬化型、紫外線硬化型、ないしはラジカル重合型、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物等の付加反応型接着剤等が挙げられる。
【0052】
本発明のICカードでは、オーバーシート上に下塗り塗被層を介して形成されている受容層表面に、熱転写プリンターによる印画を行う。市販の昇華・溶融熱転写併用プリンターにより、顔写真等の画像情報を昇華転写方式によりフルカラーでプリントし、名前などの文字情報を溶融熱転写方式により印字するのが一般的である。必要に応じて、画像情報・文字情報を被覆する保護層を形成してもよい。保護層形成については、インクリボンに転写用保護層を設け、加熱により熱転写画像上に保護層を転写する方式、実質的に透明なシートを熱転写画像上に貼着積層する方式など公知の方法を用いる。
【0053】
転写方式の場合、染料層を有するインクリボンに転写用保護層を設けておき、印画を行うプリンターで印画後直ちに保護層を形成してもよく、また染料層を有するインクリボンとは別のシートに転写用保護層を形成しておき、一旦印画した後、プリンター等で加熱により保護層を形成してもよい。別のシートとしては、PETフィルムなど、一般にインクリボンに使用されるシート材料であれば特に限定されるものでない。
【0054】
保護層の成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂などが挙げられる。また、SBRラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンラバー(NBR)ラテックス、アクリル系エマルジョン、澱粉、ポリビニルアルコール等の水性樹脂も使用可能である。また、適宜顔料を併用してもよく、クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミナ、サチンホワイト、シリカ、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0055】
貼着方式の場合、透明な保護フィルムを用いて、ICカードの印画面に卓上ラミネーター等で熱により保護層を接着させてもよく、あるいは保護層を透明フィルム上に形成しておき、他面に粘着剤や接着剤を形成し、粘着剤や接着剤を介して印画面に貼着してもよい。透明フィルムとしては、例えばポリエチレン系フィルム、EVA系フィルム、ポリプロピレン系フィルム等のポリオレフィン系フィルム、あるいはPET系フィルム等が用いられる。勿論、アンカーコート処理やコロナ処理、帯電防止処理等の公知の処理を施してもよい。
また、前記透明フィルム上には塗被層を形成することができ、前述の保護層成分と同様な樹脂、及び顔料等が使用される。
【0056】
上記の保護層或いは塗被層には紫外線吸収剤を配合してもよく、300〜400nmの紫外線を吸収するものが好ましく、例えばベンゾフェノン系、トリアゾール系、サリシレート系の化合物を用いることができる。また、蛍光染料、蛍光顔料、燐光顔料等を偽造防止の為に配合することもできる。
【0057】
本発明のICカードにおいて、この裏面側に、静電気の防止、ICカード相互の擦れによる受容層表面の損傷防止、さらにはプリントしたICカードを重ね置きしたとき、受容層表面からそれに接触隣接するICカード裏面へ染料の移行防止などを目的として背面被覆層が形成されていてもよい。
【0058】
背面被覆層には、接着剤として有効な樹脂が含まれ、且つ、この樹脂は受容層表面の傷つき防止、上記染料の移行防止の為にも有効なものである。このような樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等、並びにこれらの樹脂の反応硬化物を用いることができる。
【0059】
また背面被覆層には帯電防止処理のために各種の導電剤を添加することができる。導電剤としては、カチオン系ポリマーを用いることが望ましい。カチオン系ポリマーとしては、一般的にポリエチレンイミン、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド系重合体およびカチオン澱粉等が好ましく用いられる。背面被覆層の塗工量は、0.3〜15g/m2の範囲内にあることが望ましい。0.3g/m2未満であると、受容層表面と裏面とが擦れ合った時に受容層表面の傷つきを十分に防止できないことがあり、また15g/m2を超えると、効果が飽和して不経済である。
【0060】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示のない限り「質量部」及び「質量%」である。
実施例1
ABS樹脂シート(商品名:PRA400、厚さ100μm、一般タイプ、ビカット軟化点104℃、筒中プラスチック社製)の片面に下記組成の塗料−1(下塗り塗被層用塗工液)を乾燥質量が4g/m2となるように塗工、乾燥させて下塗り塗被層を形成した。この下塗り塗被層上に下記組成の塗料−2(受容層用塗工液)を乾燥質量が4g/m2となるように塗工、乾燥させて受容層を形成し、受容シートを得た。
塗料−1(下塗り塗被層用塗工液)
水系ポリウレタン樹脂
(商品名:UX−125、旭電化工業社製、ゲル分率93.4%)100部
ブチルセロゾルブ系濡れ剤
(商品名:ダプロU99、サンノプコ社製) 0.5部
塗料−2(受容層用塗工液)
ポリエステル樹脂
(商品名:バイロン200、東洋紡社製) 100部
シリコーンオイル
(商品名:KF393、信越化学工業社製) 3部
イソシアネート
(商品名:タケネートD−140N、三井武田ケミカル社製) 5部
トルエン 300部
【0061】
実施例2
シート状支持体として、ABS樹脂シート(商品名:PSZ950、厚さ100μm、ポリカーボネートブレンドタイプ、ビカット軟化点98℃、信越ポリマー社製)を使用し、塗料−1(下塗り塗被層用塗工液)の水系ポリウレタン樹脂として、水系ポリウレタン樹脂(商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ製、ゲル分率78.4%)を用いた以外は、実施例1と同様な方法で受容シートを得た。
【0062】
実施例3
シート状支持体として、ABS樹脂シート(商品名:PSZ930、厚さ80μm、透明タイプ、ビカット軟化点84℃、信越ポリマー社製)を使用し、塗料−1(下塗り塗被層用塗工液)の水系ポリウレタン樹脂として、水系アクリル樹脂(商品名:S−1318、三井化学社製、ゲル分率94.5%)を用いた以外は、実施例1と同様な方法で受容層を形成し、この受容層の一部分にオフセット印刷機(商品名:リスロン20、小森社製)を使用して文字や絵柄等の印刷層を形成し、受容シートを得た。
【0063】
実施例4
塗料−1(下塗り塗被層用塗工液)の水系ポリウレタン樹脂として、水系ポリウレタン樹脂(商品名:タケネートW6020、三井武田ケミカル社製、ゲル分率90.2%)を用いた以外は、実施例1と同様な方法で受容シートを得た。
【0064】
実施例5
「インレットの作製」
絶縁性基材(商品名:テトロンS、帝人社製、厚さ175μm、材質:ポリエチレンテレフタレート)の表面側に3ターンの巻き線アンテナ及び回路を、ペーストによるスクリーン印刷法にて作製し、回路基盤のICチップが搭載される位置に異方性樹脂を介して、ICチップ(型番:SLE44R31、SIEMENS社製、厚さ185μm)をフェースボンディングにて搭載し、インレットを作製した。
「ICカードの作製」
上記作製したインレットのICユニット側に、シート状ポリエステル系接着剤、ABS樹脂シート(商品名:PRA400、厚さ200μm、一般タイプ、軟化点104℃、筒中プラスチック社製)を順次重ね、さらにインレットのコアーシート側に、シート状ポリエステル系接着剤、実施例1の受容シートを順次重ね合せて、この積層体をマット仕上げしたSUS板で挟み、プレス温度140℃、試料圧力5kgf/cm2で10分間保持して貼合わせた後、室温まで冷却してSUS板を引き剥がし、得られた積層体を打ち抜き機でカード型(縦55mm、横85mm)に成形して非接触型ICカードを得た。得られたカードの厚さは780μmであった。
【0065】
実施例6
「帯電防止層の形成」
ABS樹脂シート(商品名:PSZ950、厚さ100μm、ポリカーボネートブレンドタイプ、ビカット軟化点98℃、信越ポリマー社製)の片面に下記組成の塗料−3(帯電防止層用塗工液)を乾燥質量が1g/m2となるように塗工、乾燥して帯電防止層を設けた。
塗料−3(帯電防止層用塗工液)
アクリル樹脂
(商品名:リカボンドSAR−615A、中央理化社製) 100部
エポキシ硬化剤
(商品名:リカボンドSAR−615B、中央理化社製) 5部
導電剤
(商品名:ST2000H、三菱油化社製) 75部
シリカ顔料
(商品名:P78A、水沢化学社製) 30部
「ICカードの作製」
実施例5で作製したインレットのICユニット側に、シート状ポリエステル系接着剤、前記帯電防止層を設けたABS樹脂シートを順次重ね、さらにインレットのコアーシート側に、シート状ポリエステル系接着剤、実施例1の受容シートを順次重ね合せて、この積層体をマット仕上げしたSUS板で挟み、プレス温度130℃、試料圧力5kgf/cm2で10分間保持して貼合わせた後、室温まで冷却してSUS板を引き剥がし、得られた積層体を打ち抜き機でカード型(縦55mm、横85mm)に成形して非接触型ICカードを得た。得られたカードの厚さは720μmであった。
【0066】
実施例7
「デザイン印刷シートの作成」
非晶性ポリエステルシート(商品名:UW−1A、厚さ100μ、東レ合成社製)の片面にオフセット印刷機(商品名:リスロン20、小森社製)を使用し、文字や絵柄等の印刷層を形成してデザイン印刷シートを作成した。
「ICカードの作製」
実施例5で作製したインレットのICユニット側に、シート状ポリエステル系接着剤、非晶性ポリエステルシート(商品名:UW−1A、厚さ150μ、東レ合成社製)を順次重ね、さらにインレットのコアーシート側に、シート状ポリエステル系接着剤、上記デザイン印刷シート、シート状ポリエステル系接着剤、及び実施例1の受容シートを順次重ね合せて、この積層体をマット仕上げしたSUS板で挟み、プレス温度130℃、試料圧力5kgf/cm2で10分間保持して貼合わせた後、室温まで冷却してSUS板を引き剥がし、得られた積層体を打ち抜き機でカード型(縦55mm、横85mm)に成形して非接触型ICカードを得た。得られたカードの厚さは750μmであった。
【0067】
比較例1
下塗り塗被層を形成しないで、ABS樹脂シートに直接、受容層を塗工した以外は、実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0068】
比較例2
ICカードの作製において、両オーバーシート用として、ABS樹脂シートの代わりに延伸PETシート(商品名:U298W、厚さ100μ、ビカット軟化点200℃以上、帝人社製)を用いた以外は、実施例5と同様にして非接触ICカードを得た。
【0069】
評価
前記各実施例、比較例で得られた受容シート及びICカードに関して、以下の項目について評価し、表1に示した。
【0070】
〔耐溶剤性〕
受容層を塗布後、100℃にて、1分間加熱した後、受容シート中のトルエンの残留量を測定し、受容シートの耐溶剤性を下記基準により評価した。下塗り塗被層の溶剤バリア性が不足の場合には、ABSシートに溶剤が浸透するため残留溶剤となり、残留溶剤が基準より多い場合には、画像の保存性は低下し、画像のにじみ等を生じる。
<評価基準>
◎:受容シートの残留溶剤が50ppm未満で、実用上全く問題が無い。
○:受容シートの残留溶剤が50以上、100ppm未満で、実用上問題が無い。
×:受容シートの残留溶剤が100ppm以上で、実用上問題がある。
【0071】
〔印画濃度〕
市販のカード用熱転写カラープリンター(商品名:NCP100、野崎印刷紙業社製、インクリボン:イエロー、マゼンタ、シアン(昇華)+ブラック(溶融)+オーバーラミ、野崎印刷紙業社製)を用いて、サーマルヘッドで段階的に加熱することにより、所定の画像をICカードの画像形成用表面に熱転写させ、各色の中間調の単色および色重ねの画像をプリントした。この記録画像について、マクベス反射濃度計(商品名:RD−914)を用いて、印加エネルギー別に反射濃度を測定し、同一印画エネルギーでの反射濃度を比較した。印画濃度が低いものはプリンターのエネルギーがより必要になるため、商品価値が下がる。
<評価基準>
○:印画濃度が高く、優れている。
×:印画濃度が低く、実用的には適さない。
【0072】
〔画像のにじみ〕
残留溶剤の影響として、記録画像のにじみを観察した。前記と同様な市販のカード用熱転写カラープリンター及びインクリボンを用いて、人物画像を受容層表面にプリントした受容シート又はICカードを、温度60℃、湿度85%RHの環境下で1週間放置し、記録画像のにじみを目視評価した。
<評価基準>
○:記録画像の変化はなく、にじみは認められない。
×:記録画像のにじみが発生した。
【0073】
〔画像部の碁盤目テープ法強度試験〕
前記と同様な市販のカード用熱転写カラープリンター及びインクリボンを用いて、受容シート又はICカードの受容層表面に人物画像をプリントし、これらの記録画像表面について、JIS K 5400−1990/碁盤目テープ法に準じてセロハン粘着テープ剥離試験を行い、目視にて下記基準で評価した。
<評価基準>
◎:記録画像の剥離が全くなく、実用上全く問題が無い。
○:画像の切断部で僅かに剥離がある程度で、実用上問題が無い。
△:画像の切断部以外で剥離があり、実用上やや問題がある。
×:殆ど全面で転写画像が剥離し、実用上問題がある。
【0074】
〔ICカードのカール〕
得られたICカードの印画前カールの状況について、下記基準により目視にて評価した。カールが増大すると、商品価値が低下し、記録の際に画像の均一性が劣り、走行障害を起す傾向がある。
<評価基準>
◎:カールは全くなく、外観は優れている。
○:カールは僅かであり、外観は良好である。
×:大きなカールが発生し、外観不良。
【0075】
【表1】
【0076】
【発明の効果】
本発明により、昇華・溶融熱転写記録方式おいて、印画濃度が高く、画質の優れた記録画像が得られ、画像のにじみや剥離がなく、かつカールのない外観の良好な熱転写受容シートおよびICカードを実用することが可能となり、産業界に寄与するところが大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のICカードの実施形態の一例を示す断面図であり、インレットの両面にオーバーシートを有する例である。
【図2】本発明のICカードの実施形態の一例を示す断面図であり、インレットのICユニット側片面にオーバーシートを有する例である。
【符号の説明】
1:ICカード
2:コアシート
3:ICユニット
4:インレット
5,6:接着剤層
7,8:オーバーシート
9:受容層
10:下塗り被覆層
11:受容層を有するオーバーシート
12a:昇華熱転写画像
12b:溶融熱転写画像
13:保護層
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートの成形加工が容易で、染料を加熱により拡散転写して染着画像を形成することが可能であるばかりでなく、軟化溶融するインクを加熱転写させ、高濃度に文字等を鮮明に印字することが可能な熱転写受容シート(以下、単に受容シートと称す。)およびこれを用いたICカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、サーマルプリンター、特に、鮮明なフルカラー画像を印刷することが可能な熱転写プリンターが注目されている。中でも、昇華熱転写プリンターは、加熱により昇華若しくは溶融拡散して移行する染料を含有する染料層を有する昇華インクリボンを、フィルム基材の片面に染料を受容する受容層が形成された受容シートに重ね合わせ、染料層の所要箇所の染料を、サーマルヘッドから供給される熱により、所定量だけ受容層上に転写して画像を形成するものである。この昇華熱転写プリンターは、高階調の写真型フルカラー画像の形成に特に有利であるという特徴を有している(特許文献1参照。)。
【0003】
一方、溶融熱転写プリンターは、加熱により溶融するインクを塗布したインクリボンと、受容シートとをプラテンロールで圧接し、インクリボンの背面から加熱して、瞬時にインクを溶融し、受容シート上に転写して文字や画像などを形成するものである。このような溶融熱転写プリンターによる印刷の特徴としては、インクを熱拡散する方式に比較して、エッジの効いたシャープで高濃度な画像が得られ、また、堅牢な顔料タイプのインクが用いられるため、画像の耐光性および耐薬品性などに優れている。このようなことから、溶融熱転写プリンターは、特に文字情報の印字、印画に好ましく用いられている。
【0004】
ところで、磁気カードやICカードなどに代表されるカード類のうち、会員証、社員証などのIDカード用途においては、個人を認識するために、顔写真などの画像情報が印画されていることが好ましい。このような写真などの画像を形成する方法としては、前記昇華熱転写方式が、その写真階調性、印画機器の操作性、高い信頼性などから特に優れている。したがって、IDカードの印刷においては、まず、顔写真などを昇華熱転写方式によりフルカラーで印画し、次いで溶融熱転写方式により文字を鮮明に印字する方法が行なわれている。
【0005】
前記のような異なる印刷法を同時に行なうことが可能な、昇華・溶融熱転写併用プリンターが既に知られている。このプリンターにおいては、まず、昇華性のイエロー、マゼンタ、シアンの染料および熱溶融転写性インク(特にブラック)を(場合によってはさらにオーバーラミ層という保護層を)塗布したシート(以下、インクリボンと称す。)の染料塗布面に、受容シートの受容層が形成された面を重ね合わせる。次いで、所望の画像および文字に対応する電気信号に応じて、サーマルヘッドから供給される熱により、インクリボンから染料およびインクを、所要箇所から所定量だけ受容シートに転写、染着して画像や文字を形成する。
【0006】
従来、磁気特性を利用した磁気カードが情報記録媒体として使用されてきたが、近年、ICカードの発達によりICカードが大容量可変記録媒体として、磁気カードから移行しつつある。ICカードは大別すると、接触型と非接触型がある。接触型ICカードでは、ICチップと外部のデータ処理装置との間の情報交換が、ICチップと電気的かつ機械的に接続されている接触端子を介して行われている。
【0007】
一方、非接触型ICカードは、外部との情報の送受信をカード内にあるアンテナを介して電波により無線交信する送受信機である。通信手段が電波による非接触型であるため、例えば、駅の改札において、定期券などの磁気カードを接触型読み取り装置に挿入する必要がなく、鞄などの中にICカードを保持した状態のまま改札を通過する事が可能である。さらに、非接触であるため、ICカードと読み取り装置との接触による不具合、例えば、ICカードの搬送不良、読み取り装置のヘッドの摩耗などの問題がなく、読み取り装置のメンテナンス費用を大幅に削減する事が可能である。
【0008】
ICカードは、電気絶縁性の樹脂フィルムで形成されている表面基材および裏面基材のカード基材と、これらのカード基材の間にあり、これらの表面の一方に設けられたICチップなどの電子回路とから概略構成されている。また、ICカードは、内装されたICチップへの情報の記録が電気記録であるため、外部からICチップの情報を更新するには特殊な書き込み変更装置が必要であるため、機密性の面においても優れている。
【0009】
ICカード表面に同一のデザインを多量に形成する場合には、オフセット印刷やスクリーン印刷が適している。一方、IDカード用途では、カード一枚ごとに異なる顔写真や文字情報を簡便に印刷したいとの要請があり、昇華・溶融熱転写併用プリンターが適している。
【0010】
市販のカード用熱転写型プリンターで、現在、主に使用されているカード基材は、ポリ塩化ビニル(以下、PVCと略す。)を主成分とするカード基材や、表面をPVC層でラミネート処理したポリエチレンテレフタレートカード基材等である(例えば、特許文献2参照。)。近年は、塩素を含有する樹脂の廃棄焼却に伴うダイオキシン類の発生の問題から、非塩素系カード基材への転換要請が高まっている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0011】
例えば、一般的なポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す。)樹脂からなるカード基材を用いると、昇華性染料の染着性が劣る上、溶融熱転写性インクの転写濃度も低い。また、一般的なPET樹脂は軟化点が高いため、カード基材の成形、貼り合わせなどの加工が難しく、接着剤を用いなければラミネートすることも、重ねてカード基材とすることもできない。また、カード基材表面に磁気ストライプやホログラムを装着する場合には、これらを装着可能な層を新たに設ける必要がある。それ故に、複数の樹脂層からなるカード基材を成形した場合は、カード基材の層構成が厚みの中心に対して非対称となり、各層を構成する樹脂の収縮率や配向性の差から、カード基材にカールが発生し易くなる上に、これを制御することが困難になる。
【0012】
また、カード用基材としてアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(以下、ABS樹脂と略す。)フィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。ABS樹脂からなる基材は、成形加工性が良好であり、かつカール制御が容易である上に、熱融着性や繰り返し曲げ等の物理特性をPVCと同程度にすることができるが、昇華染料の転写画像の画像濃度は不十分である。
【0013】
従来、PETのような基材では、染着性を付与するために、有機溶剤に溶解した染料染着性樹脂を基材の表面に塗布、乾燥して、受容層を形成する方法が一般に行なわれている。しかし、ABS樹脂の場合には、一般的な有機溶剤により表面が膨張し、外観が損なわれたり、基材中に有機溶剤が残留するといった問題があった。
【0014】
【特許文献1】
特許第3058913号明細書(第1−2頁)
【特許文献2】
特許第2880399号明細書(第1頁)
【特許文献3】
特開平5−262085号公報(第2−3頁)
【非特許文献1】
「月刊Card WAVE、1999年5月号」、シーメディア出版、p.96−99
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、染料染着性樹脂を有機溶剤に溶解して、シート状支持体上に塗工又は印刷して受容層を形成する際に、表面が膨張して外観が損なわれたり、シート状支持体中に有機溶剤が残留するといった問題がなく、シート状支持体と、下塗り塗被層および受容層との接着強度に優れ、かつ染料染着性、溶融インク転写性およびカード成型等の加工性が良好な受容シートを提供することを課題とする。
また、上記受容シートをカード基材として用いたICカードを提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂を主成分とするシート状支持体と、該シート状支持体の少なくとも一面に、水性高分子樹脂を含む下塗り塗被層と、染料染着性樹脂を含む受容層とを順次積層したことを特徴とする熱転写受容シート。
【0017】
(2)前記下塗り塗被層の主成分が、トルエン及びメチルエチルケトンを同比率で混合した溶剤に対するゲル分率が70質量%以上の水性高分子樹脂である(1)項に記載の熱転写受容シート。
【0018】
(3)前記水性高分子樹脂が、アクリル系樹脂及び/又はウレタン系樹脂である(1)項または(2)項に記載の熱転写受容シート。
【0019】
(4)コアシート上にICユニットを備えてなるインレットと、該インレットのICユニット側片面又は両面に積層されたオーバーシートとを有するICカードであって、前記オーバーシートの少なくとも一部が、(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の熱転写受容シートからなるICカード。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、シート状支持体の少なくとも片面に染料染着性樹脂を主成分とする受容層を有する熱転写受容シートであり、シート状支持体としてABS樹脂を主成分とするシートを用い、シート状支持体と受容層との間に、シート支持体及び受容層との接着性、及び溶剤バリア性等が優れた下塗り塗被層を設けたことを特徴とする熱転写受容シートである。
【0021】
下塗り塗被層用材料としては、水溶性あるいは水分散性の水性高分子樹脂が主成分として使用され、水性高分子樹脂としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カゼイン、デキストリン、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられ、ABS樹脂を主成分とするシート状支持体との接着性、及び耐溶剤性(溶剤バリア性)との観点から適宜選択され、単独又は混合して使用される。
【0022】
前記の水性高分子樹脂の中でも、トルエン及びメチルエチルケトン(MEK)を同比率で混合した溶剤に対するゲル分率が70質量%以上の水性高分子樹脂が好ましく使用され、より好ましくはゲル分率が85質量%以上の水性高分子樹脂が使用される。特定のゲル分率を有する水性高分子樹脂を含む下塗り塗被層を設けることにより、受容層を塗工する際に使用する有機溶剤による、シート状支持体の膨潤や変形が防止され、良好な外観を維持できるとともに、下塗り塗被層とシート状支持体との接着性に優れ、染料染着性、成形加工性などの良好な熱転写受容シートが得られるものである。水性高分子樹脂のゲル分率が70質量%未満の場合には、耐溶剤性が劣り、受容層を塗工する際にABS樹脂からなるシート状支持体を損なうおそれがあり、下塗り塗被層上に塗工する受容層本来の性能が得られないことがある。
【0023】
ここで、トルエン及びMEKの混合溶剤に対するゲル分率とは以下の如き方法により得られる値である。ポリ四フッ化エチレンからなるシート上で、高分子樹脂の皮膜厚が0.5〜1.0mm(乾燥後)になるように皮膜を作成する。乾燥条件は20℃、24時間である。次いで、上記条件により作成した皮膜を3cm角に切り、トルエン及びMEKを同比率で混合した溶剤に24時間浸漬後、120℃、1時間乾燥して溶剤を完全に揮散させ、溶剤浸漬前後の皮膜の質量変化を測定する。下記の式(1)により、ゲル分率を求める。
ゲル分率(%)=〔浸漬後の質量(g)/浸漬前の質量(g)〕×100(1)
【0024】
前記の水性高分子樹脂の中でも、ABS樹脂との接着性が良好なこと等から、アクリル系樹脂及び/又はポリウレタン系樹脂が、下塗り塗被層の成分として好ましく用いられる。さらに、ABS樹脂をカード成型用に供するには、成形機と基材との貼りつきを防止するために基材中に滑剤を配合する場合が殆どであり、ABS樹脂との接着性を十分に発現する水性高分子樹脂は、一般に耐ブロッキング性が劣ることがある。特に、水系ポリウレタンは優れた接着力を発現し、且つその構造中に架橋構造や芳香環族基を含んだ硬い層を形成して、耐ブロッキング性も良好なことから、本発明の下塗り塗被層として好ましく使用される。
【0025】
水系ポリウレタン系樹脂は、例えば、ポリイソシアネート、およびポリオールを、溶媒中でウレタン化反応させてプレポリマーとし、次いで、プレポリマーを中和、鎖延長し、水を加えて水性ウレタン樹脂とすることによって製造される。水系ポリウレタン系樹脂のゲル分率は、架橋密度を変化させるなどの方法で容易にコントロールできる。
【0026】
また、水系ポリウレタン系樹脂のガラス転移温度Tgは、60〜150℃の範囲が好ましく、Tgが60℃未満ではブロッキングすることがあり、Tgが150℃を超えると塗工層がもろくなることがある。ポリウレタン樹脂のTgをコントロールするために、例えば可塑剤を配合してTgを下げることが行われており、可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系可塑剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリエーテル系可塑剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低分子量エーテルエステル系可塑剤が好ましく使用される。
【0027】
さらに、下塗り塗被層中には顔料を含有させてもよく、顔料を含有させることで塗被層の耐ブロッキング性が向上し、塗被層を形成する際の塗工液の安定性などを改善することも可能である。塗被層に含有させる顔料としては、通常の無機または有機の顔料が適宜使用でき、例えば、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、チタン、アルミニウム、アンチモン、鉛等の各種金属酸化物、水酸化物、硫化物、炭酸塩、硫酸塩または珪酸塩化合物やポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の固体高分子微粉末等が挙げられる。中でも、カオリン、タルク、シリカ、石膏、バライト粉、アルミナホワイト、サチンホワイト、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機顔料を使用すると、効率よくブロッキングを防止することができる。
【0028】
下塗り塗被層に含有させる顔料の量は、水性高分子樹脂に対して固形分比率で250質量%以下、好ましくは200質量%以下である。因みに、皮膜の粘着性、耐溶剤性から含有量が決められるが、250質量%を超えると、皮膜の溶剤バリア性が不十分となり、適切な性能が得られないことがある。
【0029】
また、本発明における塗被液中には、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、例えば、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類等の水溶性可塑剤、さらには無機塩、充填剤、消泡剤、濡れ剤、レベリング剤、硬化剤、増粘剤、滑剤、皮膜形成助剤等を適宜添加することができる。
【0030】
下塗り塗被層は、乾燥質量で1〜10g/m2の範囲で調節するのが好ましく、より好ましくは2〜6g/m2の範囲である。因みに、1g/m2より少ないと下塗り塗被層としての作用効果が少なく、一方10g/m2より多い場合は、ブロッキングや操業性が問題となるおそれがある。また、本発明において、シート状支持体と下塗り塗被層の接着性と濡れ性を改善するために、シート状支持体表面にコロナ処理等の表面処理を行ってもよい。
【0031】
本発明において、シート状支持体の少なくとも片面に設けられた下塗り塗被層上に形成される受容層は、インクリボンから転写される昇華性染料により染着され、固定し得る染料染着性樹脂を主成分として含有するものである。このような染料染着性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、及びセルロースアセテートブチレートなどのセルロース誘導体等を用いることができる。本発明の熱転写受容シートの受容層表面には、印画の際に、サーマルヘッドによる加熱に起因する受容シートとインクリボンとの融着を防ぐ目的で、架橋剤、滑剤、及び/又は剥離剤を必要に応じて添加することが好ましい。また、必要に応じて受容層中に、酸化防止剤、顔料、紫外線吸収剤、及び/又はその他の添加剤を加えてもよい。これらの添加剤は、受容層の主成分樹脂と予め混合して塗工又は印刷されてもよいし、別の塗被層として受容層の上に塗工又は印刷されてもよい。
【0032】
受容層の塗工量は1〜12g/m2であることが好ましく、より好ましくは2〜8g/m2である。受容層が薄すぎると画像が劣化したり、印画面の光沢が低下する等の欠点を生ずることがある。また受容層が厚すぎると効果が飽和し、不経済であるばかりか、印画濃度が低下することがある。
【0033】
なお、本発明の下塗り塗被層および受容層は、塗工方式または印刷方式によって形成される。塗工方式については、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、グラビアコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、サイズプレスコーター、スロットダイコーター、カーテンコーター、リップコーター、あるいはスライドビードコーター等の各種装置が適宜使用される。また、印刷方式については、スクリーン印刷、オフセット印刷およびグラビア印刷等の各種装置が適宜使用される。特に、下塗り塗被層および受容層を部分的に形成する場合には、印刷方式で所定の個所に各層を設けることができるので好ましい。
【0034】
本発明において、シート状支持体上に下塗り塗被層および染料染着層を印刷又は塗工する場合、軟化点が60℃以上のABS樹脂シートが好ましく使用され、乾燥後の基材に凹凸が発生せず、塗工時のテンションによって基材が伸びてしまうこともない。軟化点が60℃未満であると前述の欠陥が発生したり、乾燥時の温度を上げることができず、基材と下塗り塗被層の接着性低下や、受容層中の溶剤残留の問題等がある。
【0035】
また、ICカードに代表されるIDカード等では、個人に関する情報以外の共通部分では、共通の文字や絵柄等が印刷により予めカードに設けられていることが多い。本発明の受容シートでは、文字や絵柄等の印刷層を、ABS樹脂を主成分としたシート状支持体上、下塗り塗被層上および受容層上等何れの表面にも設けることができる。但し、受容層には、前述のように滑剤および剥離剤が含有していることが多く、印刷インクやその表面を保護する目的で使用されるニスがはじいてしまうことがあり、好ましくはABS樹脂を主成分としたシート状支持体上および下塗り塗被層上に印刷層を形成するとよい。
【0036】
本発明のABS樹脂は、アクリロニトリル、ブタジエン、及びスチレンを共重合させて得ることができる。一般的な製造方法としては、ポリブタジエンラテックスに、アクリロニトリルとスチレンをグラフト共重合させる方法が挙げられ、グラフト重合には乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法など公知の方法が使用できる。
【0037】
本発明のABS樹脂の軟化点は、好ましくは60〜140℃の範囲であり、より好ましくは70〜120℃の範囲である。軟化点が60℃より低いと、熱によりフィルムが伸びることがあり、一方、軟化点が140℃より高いと、フィルムの加工成形適性が悪化することがある。ABS樹脂は、アクリロニトリル、ブタジエン、及びスチレン等のモノマーを共重合させる際に、モノマー成分やその比率等を変えることにより、得られる樹脂の、軟化点、耐熱性、耐衝撃性などを適宜調整することができる。ここで軟化点としては、JIS K7206に基いてビカット軟化点が求められる。
【0038】
適度な軟化点を得るためには、ABS樹脂中の各モノマー単位の比率は、ABS樹脂100質量部に対して、スチレン単位20〜60質量部が好ましく、30〜50質量部がより好ましい。また、適度な耐衝撃性を得るためには、ABS樹脂100質量部に対して、ブタジエン単位10〜30質量部が好ましい。モノマー成分の選択としては、例えばスチレンをα−メチルスチレンに置き換えるなどの方法で軟化点を上げることができる。
【0039】
本発明の受容シート用シート状支持体の樹脂成分としては、ABS樹脂の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、一般に公知の熱可塑性樹脂を併用することも勿論可能である。併用樹脂としては成形性、加工性等の面からABS樹脂と混和性のよい樹脂が好ましい。例えば、ポリエステル、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート(MMA)−スチレン共重合体、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリウレタン、ナイロン等の各種樹脂を1種以上使用することも可能である。
【0040】
本発明の受容シート用シート状支持体中には、無機顔料として、例えば酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク等の1種以上を含有せしめてもよい。
更に必要に応じて、公知の添加剤を添加できる。例えば、ジアルキルチオジエステル、トリス(アルキルアリール)ホスファイトなどの安定剤、ロジン類、スルホアミド化合物などの加工性改良剤、エステルフェノール化合物などの老化防止剤、塩素化アルコールエステル、臭素化アルコールエステルなどの難燃剤などが挙げられる。またステアリン酸亜鉛のような金属石鹸、各種界面活性剤のような分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、増白剤、紫外線吸収剤、有色顔料等の公知の各種添加剤を含有させてもよい。例えば、フェノール系の酸化防止剤を添加することにより耐熱酸化劣化性は著しく向上する。その他必要に応じて、可塑剤、光安定剤、架橋剤、充填剤、発泡剤、防曇剤、表面処理剤、難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、離型剤などを包含させることができる(例えば、「ABS樹脂」、1970年8月31日、高分子機械材料委員会偏、参照。)。
【0041】
本発明のABS樹脂の成形方法は特に限定されるものではなく、公知の方法により成形することができる。例えば、スクリュー型押出機に接続された単層または多層のTダイやIダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、カレンダー成形、圧延成形、インフレーション成形などの方法が挙げられる。シート状支持体の厚みに関しては特に制限はないが、30〜600μmの範囲が好ましく、50〜400μmがより好ましい。シート状支持体は平滑なものが好ましく、その坪量は30〜350g/m2が好ましい。
【0042】
本発明のICカードは、インレットのICユニット側片面、又はインレットの両面に積層されたオーバーシートを有し、オーバーシートの少なくとも一部に受容層を有し、オーバーシートの少なくとも一方が、本発明の下塗り塗被層及び受容層を具備するABS樹脂シートであり、カード成型時や印画後のカールが良好なICカードである。
【0043】
図1は本発明のICカードについて、実施形態の一例を示す断面図である。このICカード1においてはコアシート(IC回路装着用基材)2の一方の面上に、少なくともICユニット3が設けられ、このコアシート2とICユニット3でインレット4を構成している。また、インレット4の両面に接着剤層5及び6を介して積層されたオーバーシート7、8の少なくとも一部に下塗り被覆層10を介して受容層9が形成されている。図1の例では、受容層を有するオーバーシート11は、オーバーシート7と下塗り被覆層10と受容層9とで構成されている。さらに図1は、受容層9に、昇華熱転写によるフルカラー画像12aおよび溶融熱転写によるモノクロ文字情報12bを設け、さらに転写方式による保護層13を順次設けた構成となっている例を示している。
図2は本発明のICカードについて、インレット4のICユニット3側片面に、接着剤層5を介して、受容層を有するオーバーシート11が積層されている例を示している。
【0044】
ICユニット3は、ICチップと必要に応じて他の部材とが一体化されたものである。非接触型ICカードに用いられるICユニット3は、アンテナを有している。なお、図1では、ICユニット3のアンテナ部分は図示していない。図1においては、ICユニット3がコアシート2の表面上に設けられた例(インレット4)を示しているが、コアシートにICチップを収納可能な窪みを設け、そこにICチップを収納してもよい。
【0045】
ICユニット3としては、例えば、略平板状のアンテナコイルと、このアンテナコイルの一方の面上に突き出して配置されたICチップとを備えるICユニットが用いられる。例えば、アンテナコイルの両端は異方導電性テープで接続されていて、アンテナコイルとICチップとが導通している。また、アンテナコイルは、基板上に形成された板状アンテナであってもよい。ICチップとしては、通常は縦横の長さが0.5〜10mmで、厚さが50〜500μm程度のものが使用される。
【0046】
本発明で使用されるICユニット装着用のコアシートとしては絶縁性のあるシート状の基材が用いられる。このような基材としては、例えばPET樹脂、ABS樹脂、ポリブチレン樹脂、又はポリカーボネート樹脂等からなるシート、或は紙、合成紙等を1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
【0047】
本発明のICカードにおいて、オーバーシート上の少なくとも一部に受容層が形成されており、例えば、インレットの両面にオーバーシートが積層されている場合、受容層が形成されない側のオーバーシートとしては、例えば、PET樹脂、非晶性PET樹脂、ABS樹脂、ポリブチレン樹脂、又はポリカーボネート樹脂等からなるシート、或は紙、合成紙等を1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。好ましくは、受容層が形成されるオーバシートと同種類のシート基材が使用され、ABS樹脂からなるシートが使用される。表裏同種類のシート基材を積層することにより、貼合わせ工程における表裏の熱収縮差をなくすことができ、カールがなく、外観の良好なICカードを得ることが可能となる。
【0048】
本発明のICカードは、インレットのICユニット側表面にオーバーシートを積層、或いはインレットの両面を、一対のオーバーシートで挟み込んだ後に積層して得られる。積層方法は特に限定しないが、ラミネート法によって積層されることが好ましい。
即ち本発明のICカードは、公知の接着剤或いは粘着剤を介して、インレットのICユニット側表面とオーバーシートとを重ね合わせた後(或いは、インレットの両面を一対のオーバーシートで挟み込んだ後)、2枚の金属板で挟み、熱プレス機中へ供し(或いは、金属面からなる一対のプレス面を有する熱プレス機中へ供し)、所定のプレス条件(プレス温度、プレス圧力、プレス時間)で圧着して貼り合わせる。プレスした状態で室温まで冷却した後、得られた積層体を取り出し、打ち抜き機でカード型に成形してICカードを得る。
【0049】
積層体を得るための圧着貼合工程でのプレス条件は、使用するオーバーシート、インレット基材の材質、接着剤又は粘着剤の種類等により任意に選択することができ、特に限定されるものではないが、例えば、プレス温度は20℃〜250℃の間で任意に設定できる。なお接着媒体として、接着剤を用いる場合のプレス温度は60〜200℃が好ましく、粘着剤を用いる場合には20〜120℃が好ましい。ICカード1の厚みは、全体として150〜1000μmの範囲であり、好ましくは400〜850μmである。
【0050】
ラミネート法によるシートの積層では、接着剤、または粘着剤のいずれも使用でき、例えばユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル(EVA)系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム系、シアノアクリレート系、シリコーン系樹脂等の任意の接着剤、またはこれらの接着剤に適当な粘着付与剤を添加した粘着剤が使用できる。更に必要に応じて可塑剤、充填剤、老化防止剤等も添加することができる。
【0051】
また、接着剤強度の点では、化学反応で硬化或いは重合するタイプの化学反応型接着剤が好ましい。これら化学反応型接着剤の種類としては、例えば、エポキシ、レゾール等の熱硬化型、2−シアノアクリル酸エステル、シリコーン、アルキルチタネート等の湿気硬化型、アクリル系オリゴマー等の嫌気硬化型、紫外線硬化型、ないしはラジカル重合型、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物等の付加反応型接着剤等が挙げられる。
【0052】
本発明のICカードでは、オーバーシート上に下塗り塗被層を介して形成されている受容層表面に、熱転写プリンターによる印画を行う。市販の昇華・溶融熱転写併用プリンターにより、顔写真等の画像情報を昇華転写方式によりフルカラーでプリントし、名前などの文字情報を溶融熱転写方式により印字するのが一般的である。必要に応じて、画像情報・文字情報を被覆する保護層を形成してもよい。保護層形成については、インクリボンに転写用保護層を設け、加熱により熱転写画像上に保護層を転写する方式、実質的に透明なシートを熱転写画像上に貼着積層する方式など公知の方法を用いる。
【0053】
転写方式の場合、染料層を有するインクリボンに転写用保護層を設けておき、印画を行うプリンターで印画後直ちに保護層を形成してもよく、また染料層を有するインクリボンとは別のシートに転写用保護層を形成しておき、一旦印画した後、プリンター等で加熱により保護層を形成してもよい。別のシートとしては、PETフィルムなど、一般にインクリボンに使用されるシート材料であれば特に限定されるものでない。
【0054】
保護層の成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂などが挙げられる。また、SBRラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンラバー(NBR)ラテックス、アクリル系エマルジョン、澱粉、ポリビニルアルコール等の水性樹脂も使用可能である。また、適宜顔料を併用してもよく、クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミナ、サチンホワイト、シリカ、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0055】
貼着方式の場合、透明な保護フィルムを用いて、ICカードの印画面に卓上ラミネーター等で熱により保護層を接着させてもよく、あるいは保護層を透明フィルム上に形成しておき、他面に粘着剤や接着剤を形成し、粘着剤や接着剤を介して印画面に貼着してもよい。透明フィルムとしては、例えばポリエチレン系フィルム、EVA系フィルム、ポリプロピレン系フィルム等のポリオレフィン系フィルム、あるいはPET系フィルム等が用いられる。勿論、アンカーコート処理やコロナ処理、帯電防止処理等の公知の処理を施してもよい。
また、前記透明フィルム上には塗被層を形成することができ、前述の保護層成分と同様な樹脂、及び顔料等が使用される。
【0056】
上記の保護層或いは塗被層には紫外線吸収剤を配合してもよく、300〜400nmの紫外線を吸収するものが好ましく、例えばベンゾフェノン系、トリアゾール系、サリシレート系の化合物を用いることができる。また、蛍光染料、蛍光顔料、燐光顔料等を偽造防止の為に配合することもできる。
【0057】
本発明のICカードにおいて、この裏面側に、静電気の防止、ICカード相互の擦れによる受容層表面の損傷防止、さらにはプリントしたICカードを重ね置きしたとき、受容層表面からそれに接触隣接するICカード裏面へ染料の移行防止などを目的として背面被覆層が形成されていてもよい。
【0058】
背面被覆層には、接着剤として有効な樹脂が含まれ、且つ、この樹脂は受容層表面の傷つき防止、上記染料の移行防止の為にも有効なものである。このような樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等、並びにこれらの樹脂の反応硬化物を用いることができる。
【0059】
また背面被覆層には帯電防止処理のために各種の導電剤を添加することができる。導電剤としては、カチオン系ポリマーを用いることが望ましい。カチオン系ポリマーとしては、一般的にポリエチレンイミン、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド系重合体およびカチオン澱粉等が好ましく用いられる。背面被覆層の塗工量は、0.3〜15g/m2の範囲内にあることが望ましい。0.3g/m2未満であると、受容層表面と裏面とが擦れ合った時に受容層表面の傷つきを十分に防止できないことがあり、また15g/m2を超えると、効果が飽和して不経済である。
【0060】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示のない限り「質量部」及び「質量%」である。
実施例1
ABS樹脂シート(商品名:PRA400、厚さ100μm、一般タイプ、ビカット軟化点104℃、筒中プラスチック社製)の片面に下記組成の塗料−1(下塗り塗被層用塗工液)を乾燥質量が4g/m2となるように塗工、乾燥させて下塗り塗被層を形成した。この下塗り塗被層上に下記組成の塗料−2(受容層用塗工液)を乾燥質量が4g/m2となるように塗工、乾燥させて受容層を形成し、受容シートを得た。
塗料−1(下塗り塗被層用塗工液)
水系ポリウレタン樹脂
(商品名:UX−125、旭電化工業社製、ゲル分率93.4%)100部
ブチルセロゾルブ系濡れ剤
(商品名:ダプロU99、サンノプコ社製) 0.5部
塗料−2(受容層用塗工液)
ポリエステル樹脂
(商品名:バイロン200、東洋紡社製) 100部
シリコーンオイル
(商品名:KF393、信越化学工業社製) 3部
イソシアネート
(商品名:タケネートD−140N、三井武田ケミカル社製) 5部
トルエン 300部
【0061】
実施例2
シート状支持体として、ABS樹脂シート(商品名:PSZ950、厚さ100μm、ポリカーボネートブレンドタイプ、ビカット軟化点98℃、信越ポリマー社製)を使用し、塗料−1(下塗り塗被層用塗工液)の水系ポリウレタン樹脂として、水系ポリウレタン樹脂(商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ製、ゲル分率78.4%)を用いた以外は、実施例1と同様な方法で受容シートを得た。
【0062】
実施例3
シート状支持体として、ABS樹脂シート(商品名:PSZ930、厚さ80μm、透明タイプ、ビカット軟化点84℃、信越ポリマー社製)を使用し、塗料−1(下塗り塗被層用塗工液)の水系ポリウレタン樹脂として、水系アクリル樹脂(商品名:S−1318、三井化学社製、ゲル分率94.5%)を用いた以外は、実施例1と同様な方法で受容層を形成し、この受容層の一部分にオフセット印刷機(商品名:リスロン20、小森社製)を使用して文字や絵柄等の印刷層を形成し、受容シートを得た。
【0063】
実施例4
塗料−1(下塗り塗被層用塗工液)の水系ポリウレタン樹脂として、水系ポリウレタン樹脂(商品名:タケネートW6020、三井武田ケミカル社製、ゲル分率90.2%)を用いた以外は、実施例1と同様な方法で受容シートを得た。
【0064】
実施例5
「インレットの作製」
絶縁性基材(商品名:テトロンS、帝人社製、厚さ175μm、材質:ポリエチレンテレフタレート)の表面側に3ターンの巻き線アンテナ及び回路を、ペーストによるスクリーン印刷法にて作製し、回路基盤のICチップが搭載される位置に異方性樹脂を介して、ICチップ(型番:SLE44R31、SIEMENS社製、厚さ185μm)をフェースボンディングにて搭載し、インレットを作製した。
「ICカードの作製」
上記作製したインレットのICユニット側に、シート状ポリエステル系接着剤、ABS樹脂シート(商品名:PRA400、厚さ200μm、一般タイプ、軟化点104℃、筒中プラスチック社製)を順次重ね、さらにインレットのコアーシート側に、シート状ポリエステル系接着剤、実施例1の受容シートを順次重ね合せて、この積層体をマット仕上げしたSUS板で挟み、プレス温度140℃、試料圧力5kgf/cm2で10分間保持して貼合わせた後、室温まで冷却してSUS板を引き剥がし、得られた積層体を打ち抜き機でカード型(縦55mm、横85mm)に成形して非接触型ICカードを得た。得られたカードの厚さは780μmであった。
【0065】
実施例6
「帯電防止層の形成」
ABS樹脂シート(商品名:PSZ950、厚さ100μm、ポリカーボネートブレンドタイプ、ビカット軟化点98℃、信越ポリマー社製)の片面に下記組成の塗料−3(帯電防止層用塗工液)を乾燥質量が1g/m2となるように塗工、乾燥して帯電防止層を設けた。
塗料−3(帯電防止層用塗工液)
アクリル樹脂
(商品名:リカボンドSAR−615A、中央理化社製) 100部
エポキシ硬化剤
(商品名:リカボンドSAR−615B、中央理化社製) 5部
導電剤
(商品名:ST2000H、三菱油化社製) 75部
シリカ顔料
(商品名:P78A、水沢化学社製) 30部
「ICカードの作製」
実施例5で作製したインレットのICユニット側に、シート状ポリエステル系接着剤、前記帯電防止層を設けたABS樹脂シートを順次重ね、さらにインレットのコアーシート側に、シート状ポリエステル系接着剤、実施例1の受容シートを順次重ね合せて、この積層体をマット仕上げしたSUS板で挟み、プレス温度130℃、試料圧力5kgf/cm2で10分間保持して貼合わせた後、室温まで冷却してSUS板を引き剥がし、得られた積層体を打ち抜き機でカード型(縦55mm、横85mm)に成形して非接触型ICカードを得た。得られたカードの厚さは720μmであった。
【0066】
実施例7
「デザイン印刷シートの作成」
非晶性ポリエステルシート(商品名:UW−1A、厚さ100μ、東レ合成社製)の片面にオフセット印刷機(商品名:リスロン20、小森社製)を使用し、文字や絵柄等の印刷層を形成してデザイン印刷シートを作成した。
「ICカードの作製」
実施例5で作製したインレットのICユニット側に、シート状ポリエステル系接着剤、非晶性ポリエステルシート(商品名:UW−1A、厚さ150μ、東レ合成社製)を順次重ね、さらにインレットのコアーシート側に、シート状ポリエステル系接着剤、上記デザイン印刷シート、シート状ポリエステル系接着剤、及び実施例1の受容シートを順次重ね合せて、この積層体をマット仕上げしたSUS板で挟み、プレス温度130℃、試料圧力5kgf/cm2で10分間保持して貼合わせた後、室温まで冷却してSUS板を引き剥がし、得られた積層体を打ち抜き機でカード型(縦55mm、横85mm)に成形して非接触型ICカードを得た。得られたカードの厚さは750μmであった。
【0067】
比較例1
下塗り塗被層を形成しないで、ABS樹脂シートに直接、受容層を塗工した以外は、実施例1と同様にして受容シートを得た。
【0068】
比較例2
ICカードの作製において、両オーバーシート用として、ABS樹脂シートの代わりに延伸PETシート(商品名:U298W、厚さ100μ、ビカット軟化点200℃以上、帝人社製)を用いた以外は、実施例5と同様にして非接触ICカードを得た。
【0069】
評価
前記各実施例、比較例で得られた受容シート及びICカードに関して、以下の項目について評価し、表1に示した。
【0070】
〔耐溶剤性〕
受容層を塗布後、100℃にて、1分間加熱した後、受容シート中のトルエンの残留量を測定し、受容シートの耐溶剤性を下記基準により評価した。下塗り塗被層の溶剤バリア性が不足の場合には、ABSシートに溶剤が浸透するため残留溶剤となり、残留溶剤が基準より多い場合には、画像の保存性は低下し、画像のにじみ等を生じる。
<評価基準>
◎:受容シートの残留溶剤が50ppm未満で、実用上全く問題が無い。
○:受容シートの残留溶剤が50以上、100ppm未満で、実用上問題が無い。
×:受容シートの残留溶剤が100ppm以上で、実用上問題がある。
【0071】
〔印画濃度〕
市販のカード用熱転写カラープリンター(商品名:NCP100、野崎印刷紙業社製、インクリボン:イエロー、マゼンタ、シアン(昇華)+ブラック(溶融)+オーバーラミ、野崎印刷紙業社製)を用いて、サーマルヘッドで段階的に加熱することにより、所定の画像をICカードの画像形成用表面に熱転写させ、各色の中間調の単色および色重ねの画像をプリントした。この記録画像について、マクベス反射濃度計(商品名:RD−914)を用いて、印加エネルギー別に反射濃度を測定し、同一印画エネルギーでの反射濃度を比較した。印画濃度が低いものはプリンターのエネルギーがより必要になるため、商品価値が下がる。
<評価基準>
○:印画濃度が高く、優れている。
×:印画濃度が低く、実用的には適さない。
【0072】
〔画像のにじみ〕
残留溶剤の影響として、記録画像のにじみを観察した。前記と同様な市販のカード用熱転写カラープリンター及びインクリボンを用いて、人物画像を受容層表面にプリントした受容シート又はICカードを、温度60℃、湿度85%RHの環境下で1週間放置し、記録画像のにじみを目視評価した。
<評価基準>
○:記録画像の変化はなく、にじみは認められない。
×:記録画像のにじみが発生した。
【0073】
〔画像部の碁盤目テープ法強度試験〕
前記と同様な市販のカード用熱転写カラープリンター及びインクリボンを用いて、受容シート又はICカードの受容層表面に人物画像をプリントし、これらの記録画像表面について、JIS K 5400−1990/碁盤目テープ法に準じてセロハン粘着テープ剥離試験を行い、目視にて下記基準で評価した。
<評価基準>
◎:記録画像の剥離が全くなく、実用上全く問題が無い。
○:画像の切断部で僅かに剥離がある程度で、実用上問題が無い。
△:画像の切断部以外で剥離があり、実用上やや問題がある。
×:殆ど全面で転写画像が剥離し、実用上問題がある。
【0074】
〔ICカードのカール〕
得られたICカードの印画前カールの状況について、下記基準により目視にて評価した。カールが増大すると、商品価値が低下し、記録の際に画像の均一性が劣り、走行障害を起す傾向がある。
<評価基準>
◎:カールは全くなく、外観は優れている。
○:カールは僅かであり、外観は良好である。
×:大きなカールが発生し、外観不良。
【0075】
【表1】
【0076】
【発明の効果】
本発明により、昇華・溶融熱転写記録方式おいて、印画濃度が高く、画質の優れた記録画像が得られ、画像のにじみや剥離がなく、かつカールのない外観の良好な熱転写受容シートおよびICカードを実用することが可能となり、産業界に寄与するところが大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のICカードの実施形態の一例を示す断面図であり、インレットの両面にオーバーシートを有する例である。
【図2】本発明のICカードの実施形態の一例を示す断面図であり、インレットのICユニット側片面にオーバーシートを有する例である。
【符号の説明】
1:ICカード
2:コアシート
3:ICユニット
4:インレット
5,6:接着剤層
7,8:オーバーシート
9:受容層
10:下塗り被覆層
11:受容層を有するオーバーシート
12a:昇華熱転写画像
12b:溶融熱転写画像
13:保護層
Claims (4)
- アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂を主成分とするシート状支持体と、該シート状支持体の少なくとも一面に、水性高分子樹脂を含む下塗り塗被層と、染料染着性樹脂を含む受容層とを順次積層したことを特徴とする熱転写受容シート。
- 前記下塗り塗被層の主成分が、トルエン及びメチルエチルケトンを同比率で混合した溶剤に対するゲル分率が70質量%以上の水性高分子樹脂である請求項1に記載の熱転写受容シート。
- 前記水性高分子樹脂が、アクリル系樹脂及び/又はウレタン系樹脂である請求項1または2に記載の熱転写受容シート。
- コアシート上にICユニットを備えてなるインレットと、該インレットのICユニット側片面又は両面に積層されたオーバーシートとを有するICカードであって、前記オーバーシートの少なくとも一部が、請求項1〜3のいずれかに記載の熱転写受容シートからなるICカード。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003019987A JP2004230633A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 熱転写受容シートおよびicカード |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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---|---|
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004230633A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011009772A1 (de) * | 2009-07-23 | 2011-01-27 | Basf Se | Bauteil umfassend ein einlegeteil sowie eine kunststoffummantelung sowie verfahren zu seiner herstellung |
US8691127B2 (en) | 2008-12-19 | 2014-04-08 | Basf Se | Method for producing a composite component by multi-component injection molding |
JP2016040132A (ja) * | 2009-08-27 | 2016-03-24 | コダック アラリス インコーポレイティド | 画像受容体要素 |
CN115052754A (zh) * | 2020-02-05 | 2022-09-13 | 大日本印刷株式会社 | 防粘构件一体型图像形成用片、装饰品和它们的制造方法 |
-
2003
- 2003-01-29 JP JP2003019987A patent/JP2004230633A/ja active Pending
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CN115052754B (zh) * | 2020-02-05 | 2023-11-10 | 大日本印刷株式会社 | 防粘构件一体型图像形成用片、装饰品和它们的制造方法 |
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