JP4085803B2 - 情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャッシュカード、クレジットカード、IDカード(身分証明書)、運転免許証、メンバーズカード、プリペイドカード、等に代表されるカード類、あるいは、タグ類(一般には、タグ、トークン、又は、トランスポンダー、等の色々な呼称がある)と称される情報記録媒体であって、特に高耐熱性、高耐久性、エンボス加工適性、又は、レーザ印字適性、等に優れ、あるいは環境にも優しい情報記録媒体とその製造方法に関するものであり、好適な例として(外部端子を介した接触型の通信機能を備えた)接触型ICカード、とりわけ(カードに設けられたアンテナ又はコイルを介した非接触型の通信機能を備えた)非接触ICカードとか(前記の接触型通信と非接触型通信の両機能を備えた)複合ICカード、への応用が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
従来から、キャッシュカードやクレジットカード、IDカード等の情報記録媒体が広く利用されており、その素材としては主にポリ塩化ビニル(以下では単にPVCと称する)や塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体が用いられており、特にポリ塩化ビニルが一般的である。
ポリ塩化ビニル樹脂は物理的な機械特性や文字部のエンボス適性などが優れ、素材のコストが安いことから、カードなどの情報記録媒体の素材として広く用いられている。
【0003】
ところで、近年情報記録媒体のIC化につれ、情報記録媒体の特性に関し、高機能化が期待されている。
特に高耐久性、高耐熱性及び環境に優しい情報記録媒体が求められている。
しかし、従来情報記録媒体の基材であるポリ塩化ビニル樹脂または塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂は耐熱性が低く、保管温度が80℃以上になると、記録媒体が変形することがある。
また、ポリ塩化ビニル樹脂は使用後廃棄される際、特に焼却時の塩化水素ガスを発生し、焼却炉を傷めて寿命を縮める。また焼却温度によりますが、焼却の際にダイオキシンが生じる恐れもあると言われている。
【0004】
よって、ポリ塩化ビニル樹脂の代替樹脂として、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂等のハロゲンを含まない熱可塑性樹脂が提案されている。
しかし、これらの樹脂の物性がポリ塩化ビニル樹脂とはかなり異なる為、カード等の情報記録媒体の素材として使用するには、新たな樹脂改質等を行う必要がある。
【0005】
そこで、ここ数年は非晶性ポリエステル樹脂の1種であるPETGが、ポリ塩化ビニルと近い物性を持つことから、注目され使用されるようになってきた。
[尚、「PETG」は、イーストマン・ケミカル社製のポリエステル樹脂の商標である。エチレングリコールとテレフタル酸及びシクロヘキサンジメタノールの脱水縮合反応で得られると云われている。]
また、高耐熱性(車室内の高温に耐える等)の要望に応えるため、PETGとポリカボネート(以下では単にPCと略称する)とのアロイ樹脂が開発され、カード用として使われている。
しかしながら、PETGは一般に耐熱温度が低く、またPETGとPCとのアロイ樹脂の場合はカードのエンボス加工(文字など)への適応性が低く、例えば、エンボス加工によって大きなカールが生じてしまうといった問題を抱えている。
また、PETG及びPCは、有機溶剤により溶解または膨潤されやすく、情報記録媒体とする製造過程での印刷または加熱・加圧等の加工により、基材が劣化して本来備えていた耐久性が低下しまうことがある。
【0006】
そのため、情報記録媒体の層構成において、カードの表裏側の基材としてポリエチレンテレフタレート(以下では単にPETと称する)を二軸延伸したものを用いる技術が開発されている。
しかし、PETの基材はその表面適性につき、情報記録媒体用の従来の基材とは異なって、印刷インキの密着性(なじみ易さ)が低かったり、エンボス加工の際の媒体表面に割れを生じたり、磁気ストライプを表面基材に埋め込む場合の加工の困難さ、あるいは、レーザー印字の際の印字エネルギーによる文字縁部の膨れ、等の数多くの解決しなければならない問題を抱えている。
従来これらは、何れも、カード等の情報記録媒体の素材としては、情報記録媒体の各種な仕様に必ずしも巧く対応できる好適な素材、と云うわけではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであって、従来の技術と比べて、耐久性、耐熱性、耐薬品性、エンボス加工適性(エンボスの容易性、低カール性、耐割れ性)、印刷インキの密着性(なじみ易さ)、又は、レーザ印字の適性などは、同等か又はそれ以上に改善されたものとすることができ、特に、磁気ストライプ・テープの埋め込み加工の容易さや埋設した辺りの情報記録媒体の外側表面の平坦さ(段差が無いか又は段差が実質判り難い)に優れており、また、特に、その磁気ストライプ・テープを隠蔽する隠蔽層などを形成する際の溶剤に侵され難く(溶剤への耐久性が高く隠蔽層の隠蔽性への悪影響が出難い)、埋設した磁気ストライプを巧く隠蔽できること、これらを満たす情報記録媒体とその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1に記載の発明は、熱可塑性高分子樹脂を用いた基材である第一の表面基材、熱可塑性高分子樹脂を用いた基材であるセンターコア、及び、熱可塑性高分子樹脂を用いた第二の表面基材の、少なくともこの3つの基材の位置の順序関係が、相対的にこの順に配されるように積層してある情報記録媒体であって、
前記の第一の表面基材および第二の表面基材は、それぞれ、結晶性の熱可塑性高分子樹脂が二軸延伸処理を施された基材である結晶性熱可塑性高分子樹脂基材を用いてあって、
これら表面基材の両方か又は片方のいずれかにつき、前記センターコアから遠い側の面に、非晶性の高分子樹脂の熱硬化型ポリウレタンを用いた層である非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層が形成されていて、
前記非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層は、末端にOH官能基を有するポリマーと、二つ以上のNCO官能基を有する架橋剤のイソシアナート化合物とを、架橋率に関わるOH価が1〜20mgKOH/gで架橋反応されたウレタン樹脂からなる、
こと、を特徴とする情報記録媒体を提供するものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記第一の表面基材の結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の配向の方向と、前記第二表面基材の結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の配向の方向とが、一致していること、を特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体を提供するものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記の第一の表面基材と第二の表面基材は、いずれも、前記結晶性熱可塑性高分子樹脂基材は、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートを用いてあり、
しかも、前記の第一の表面基材と第二の表面基材のうち、前記非晶性熱硬化型高分子樹脂層が形成されてある表面基材については、その結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の厚さが、その非晶性熱硬化型高分子樹脂層の厚さよりも厚いこと、特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の情報記録媒体を提供するものである。
【0012】
請求項に記載の発明は、前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層に、少なくとも磁気ストライプが設けてあり、その上に該磁気ストライプを隠蔽するように隠蔽層が設けてあること、を特徴とする前記請求項1乃至のいずれかに記載の情報記録媒体を提供するものである。
【0013】
請求項に記載の発明は、前記の第一の表面基材とセンターコアとの間、及び、前記のセンターコアと第二の表面基材との間に、接着層が形成してあること、を特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の情報記録媒体を提供するものである。
尚、接着層の材料は必ずしも限定しないが、好ましい代表例としては非晶性熱可塑性高分子樹脂が挙げられる(性能面から好ましい)。
【0014】
請求項に記載の発明は、前記センターコアは、少なくとも、非接触通信用の機能を有するICチップ、及び、該ICチップと組合されて非接触通信を行う為のアンテナ、を備えた非接触ICモジュールを有しており、
該非接触ICモジュールの全部か又は一部が、少なくとも非晶性の熱可塑性高分子樹脂の層である非晶性熱可塑性高分子樹脂層によって両側から挟み込まれた構造をなしていること、を特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の情報記録媒体を提供するものである。
【0015】
請求項に記載の発明は、前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層が、厚さ2〜50μmで形成されていること、を特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の情報記録媒体を提供するものである。
【0016】
請求項に記載の発明は、熱可塑性高分子樹脂を用いた基材である第一の表面基材、熱可塑性高分子樹脂を用いた基材であるセンターコア、及び、熱可塑性高分子樹脂を用いた第二の表面基材の、少なくともこの3つの基材の位置の順序関係が、相対的にこの順に配されるように積層することにより情報記録媒体を製造する方法であって、
前記の第一の表面基材および第二の表面基材に、それぞれ、結晶性の熱可塑性高分子樹脂が二軸延伸された基材である結晶性熱可塑性高分子樹脂基材を使用し、
前記表面基材の両方か又は片方のいずれかにつき、前記センターコアから遠い側の面に、末端にOH官能基を有するポリマーと、二つ以上のNCO官能基を有する架橋剤のイソシアナート化合物とを、架橋率に関わるOH価が1〜20mgKOH/gで架橋反応されたウレタン樹脂を用いた層である非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層を形成する工程を経ること、
を特徴とする情報記録媒体の製造方法を提供するものである。
【0017】
請求項に記載の発明は、前記少なくとも3つの基材を積層する場合に、前記第一の表面基材の結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の配向の方向と、前記第二表面基材の結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の配向の方向とを、一致させるること、を特徴とする請求項に記載の情報記録媒体の製造方法を提供するものである。
【0018】
請求項1に記載の発明は、前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層を形成する工程は、
前記ポリマーの溶解液と、前記イソシアナート化合物の架橋剤とを用いてなる混合液を、前記表面基材に直接に塗布するか、又は、
前記基材とは別の基材である中間基材の表面に前記の混合液を一旦塗布し、非晶性熱硬化型ウレタン樹脂を予め層状に形成した後に、該層状の非晶性熱硬化型ウレタン樹脂を前記表面基材に転写すること、
これらのいずれかによって前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層を形成すること、を特徴とする請求項又はのいずれかに記載の情報記録媒体の製造方法を提供するものである。
【0019】
請求項1に記載の発明は、前記の第一の表面基材、センターコア、及び、第二の表面基材の3つの基材の少なくともいずれかに、隣り合う他の基材と面する側に加熱により接着性を呈する高分子樹脂を用いた接着層を設け、
少なくとも該3つの基材を重ね合わせた状態で、熱と圧力を共にかける工程を経ることにより前記積層を行うこと、を特徴とする請求項乃至1のいずれかに記載の情報記録媒体の製造方法を提供するものである。
尚、接着層の材料については、請求項の発明の場合と同様である。
【0020】
請求項1に記載の発明は、前記非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層上に、少なくとも磁気ストライプを配置したうえ、少なくとも該3つの基材を重ね合わせ状態で熱と圧力を共にかけることにより前記積層を行うことによって、最も外側の表面の面一化を図り、
しかる後に、少なくとも前記磁気ストライプが設けてある表面に、該磁気ストライプを隠蔽する隠蔽層を設けること、を特徴とする請求項乃至1のいずれかに記載の情報記録媒体の製造方法を提供するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の実施例に係わる情報記録媒体10の構成を示す概念断面図である。
図2は本発明の第一の表面基材と第二の表面基材の結晶性高分子層の配向方向を揃える方法を示す概念図である。尚、本発明で云う配向の方向とは、これらの基材の面に平行な方向(成分)に関するものであり、これらの基材の厚さ方向(成分)については不問である。
【0022】
図1に示す本発明の情報記録媒体10は、主に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11、第一の表面基材1、接着層8、センターコア7、接着層8、第二の表面基材2、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層12が順次積層されて構成されている。
【0023】
次に、各構成について説明する。
この例は、本発明の情報記録媒体の一代表例であって、第一の表面基材1及び第二の表面基材2は、表面に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11、12が形成されている構成である。
第一の表面基材1及び第二の表面基材2の結晶性熱可塑性高分子樹脂は、情報記録媒体の高耐久性に必要な強度、強靭性等を付与し、また二軸延伸処理を施されることにより、その効果が更に強化される。基材表面に形成される非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11、12は二軸延伸処理を施された結晶性高分子基材の表面に、耐久性、柔軟性、表面成形性等を持たせ、情報記録媒体に、エンボス適性、レーザー刻印の印字適性、磁気ストライプ4の埋め込み適性を情報記録媒体に付与する。
【0024】
ここで、二軸延伸処理を施された結晶性高分子基材の厚さが厚ければ、媒体の強度、耐熱性などが高くなるが、その一方では、媒体の剛性は高まりまた堅さも強くなり、情報記録媒体としての好ましい柔軟性を欠き、硬いものとなってしまう。二軸延伸処理を施された強靱になった結晶性高分子の表面基材1,2上に、本発明のように非晶性ウレタン高分子樹脂層11,12を設けることにより、表面基材に柔軟性、エンボス加工適性、磁気ストライプ4の埋設加工適性を付与することができる。
尚、更に云うと、表面基材上に設けた非晶性ウレタン高分子樹脂の層を熱硬化型することにより、表面の耐薬品性、耐溶剤性などの耐久性が強くなる。
【0025】
尚、本発明で、この非晶性ウレタン高分子樹脂層を設けるのは、必ずしも表面基材1と同2との両方に設けなければならないわけではなく、いずれか片方のみに設ける層構成、即ち、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層の11か同12のうち、いずれか片方だけを設ける層構成としてもよい。但し、片方のみにした場合には、例えば磁気ストライプを設けるのは、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層が有る側に設けるようにする(磁気ストライプを埋設する加工の適性や、磁気ストライプの存在を外観等では容易に判らぬように隠蔽する隠蔽性の観点で優れたものとする為)。
【0026】
磁気ストライプ4などを、本発明に関わる情報記録媒体の表面に段差が生じぬように、情報記録媒体に埋設するためには、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を厚くした方が良いが、その反面、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の厚さが厚くなれば、情報記録媒体の柔軟性が高くなるが、媒体の強度、耐熱温度などが弱くなる傾向がある。そこで、結晶性熱可塑性高分子基材1,2の厚さと、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の厚さとのバランスを、得ようとする情報記録媒体が要求される性能・品質を考慮して適宜設計することが重要である。
【0027】
本発明は、結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材1,2の厚さや非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の厚さ(ここで非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層は前記のように片方だけ設ける場合もありえる)に関しては、
(a)結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材1,2の厚さはそれぞれ25〜150μm、また、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の厚さは2〜50μm、
好ましくは、更に(b)「結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材1,2の厚さ(1層分)」が、「非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の厚さ(1層分)」の2倍以上、
となるように設定する。
さもなくば、情報記録媒体の前記特性(強度、耐熱性、剛性、硬さ、等)が、実用上、不満足なものとなる。尚、ここで非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層の厚さの方が、結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材(1,2)の厚さと比べると、相対的に重要である。
【0028】
尚、反り等を予防し又は低減しようとする観点から、一般には、結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材1と同2とは、互いの厚さを同じ(又は適宜同等)にすることが好ましい。また、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層についても、[もし両方の側に設ける場合には、前記表面基材の場合と同様の理由で]一般に、互いの厚さを同じ(又は適宜同等)にすることが好ましい。
(但し、もし情報記録媒体の厚さ方向で、層構成が非対象であるとか又は構成部品等の配置が非対象であるとき、場合によっては、情報記録媒体に反り等の変形が生じるおそれもある。その場合は変形対策として、例えば、表面基材の厚さ又は非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層の厚さ等を前記の数値範囲内で適宜選択してよい。)
【0029】
結晶性熱可塑性高分子樹脂の熱溶融温度が高いため、第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を容易に加熱加圧一体化するには、結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材1、2とセンターコア7の間に、それぞれ熱溶解温度の低い非晶性熱可塑性高分子樹脂層からなる接着層8を形成して、加熱加圧により、第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を容易に積層一体化することができる。
加熱温度や加圧圧力は接着可能であれば構わないので、材料により適宜設定可能であるが、結晶性熱可塑性高分子樹脂層の表裏にそれぞれ熱溶解温度の低い非晶性熱可塑性高分子樹脂層を形成した場合には、一般的に温度100〜150℃、圧力500〜1500kPaの間で適宜選択することが好ましい。
【0030】
また、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の形成と、積層による一体化の手順としては、例えば、
(イ)予め結晶性熱可塑性高分子樹脂の基材表面1,2のそれぞれに又は一つの表面に、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を形成して、第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を積層することで一体化等を行うか、あるいは、
(ロ)第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を一旦積層することで一体化したうえで、積層体の表面にあたる第一の表面基材1と第二の表面基材2の両方かまたは片方の表面に、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を形成するか、
いずれでもよい。
【0031】
第一の表面基材1と第二の表面基材2の結晶性熱可塑性高分子樹脂としてPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリエチレン・ビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン等を用いることができる。
しかし、情報記録媒体の耐熱性、耐久性、コスト、及び加工適性から、一般にはPETを用いた方がより好ましい。
【0032】
表面基材1,2に柔軟性、エンボス適性、及び磁気ストライプ4の埋設適性を付与する為には、例えば、表面基材1,2の表面に非晶性熱可塑性高分子樹脂層11,12を設けることによって効果が得られる。しかしその反面、表面の耐久性、耐薬品、耐熱性、及び、耐溶剤性が弱くなってしまう欠点がある。
そこで、非晶性高分子樹脂層として、単に熱硬化型樹脂を用いることが好ましいのではないかとも考えられたが、熱硬化型高分子樹脂は、一般に強靭で表面の濡れ性が悪い、印刷等を施しにくい、等の短所がある。
【0033】
これらに着眼して、本発明では、表面の柔軟性や印刷適性等の特性(長所)を低下させない熱硬化型樹脂として、特には、OHとNCOとの架橋反応からなるウレタン樹脂を採用することを見出した。即ち、末端にOH官能基を持つポリマーに、二つ以上のNCO官能基を持つイソシアナート化合物の架橋剤を加え、OHとNCOとを架橋することにって、高分子樹脂の耐久性を向上させるものである。
これによると、熱硬化型ウレタン樹脂のOHとNCOとの架橋密度がもし低すぎると、樹脂が柔らかくなり、耐熱性などの耐久性が低くなる。一方、その架橋密度がもし高すぎると、樹脂が硬く、強靭になり、表面濡れ性が悪くなってしまう。そこで本発明では、架橋率に関わるOH価を1〜20mgKOH/gとし、これによって、強靭性、柔軟性、耐久性、及び、表面濡れ性等のバランスがよい特性が得られる。
【0034】
非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12に、使用される上記の末端にOH官能基を有するポリマーとして、例えば末端にOH官能基を持つポリエステルポリマー、ポリエステルポリオール、ポリエステルウレタン、ポリウレタン、ポリウレタンポリオール、アクリルポリオール等を用いることができる。
【0035】
媒体の表面にエンボス印字などを行うため、エンボス印字などによる記録媒体表面の割れを防止するため、伸びやすく弾性率が500〜2,500MPaで、形成しやすいポリマーを用いた方が好ましい。弾性率が高すぎると、樹脂剛性が高く、エンボスなどの二次加工による樹脂の塑性変形に追従できず、割れが発生したり、塑性変形のエンボスの高さが低くなることがある。しかし弾性率が低すぎると、樹脂が柔らかくなり、媒体の表面が弱く、損傷を受けやすくなる。
二つ以上のNCO官能基を持つイソシアナート化合物としては、TDI系(トルエンジイソシアネート)、MDI系(リメチレンジイソシアネート)、XDI系、IPDI系、HDI系があるが、紫外線などによる黄変の無いXDI、IPDI、HDIなどを用いた方が好ましい。
尚、それらの樹脂に有機顔料、無機顔料または有機染料、無機染料、安定剤、表面活性剤などの添加剤を加え、樹脂を改質することも可能である。
【0036】
結晶性熱可塑性高分子樹脂からなる表面基材1,2の表面に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を形成するには、上記の末端にOH官能基を有するポリマーの溶解液と二つ以上のNCO官能基を有するイソシアナート化合物の架橋剤の混合液を表面基材上1,2の表面に塗布するか、または予め他の中間基材の表面に塗布してから、上記の表面基材1,2に転写して形成することができる。
この混合液の塗布方法としては、例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、印刷機器、などを用いて塗布することができる。
【0037】
また、上記の情報記録媒体の基材表面に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層を11,12形成するにあたって、第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を積層一体化する前に、予め表面基材1,2上に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を形成してから、積層一体化を行うか、または予め積層一体化してから情報記録媒体の表面に形成するか、いずれの方法でもその効果がある。
【0038】
結晶性熱可塑性高分子樹脂の二軸延伸処理を行うことにより、表面基材の強度及び耐久性を強くすることができる。しかし、二軸延伸処理された基材が異方性を持つため、異なる方向の強度、熱力学的な性質が異なる基材となる。
第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を積層一体化することにより、形成された情報記録媒体は第一の表面基材1と、第二の表面基材2の高分子の配向の方向が一致しないと、媒体には反り、ツイスト、又は、カールが容易に発生してしまう。
そこで、本発明の請求項2,10等にも示したように、第一の表面基材1の高分子配向と、第二の表面基材2の高分子配向とが図2に示したように積層し、両者の間で高分子配向の方向を、互いに同じ方向になるよう揃えて、一体化することが重要である。
【0039】
ここで、図2は基材の分子配向の概念図を示すものであり、図中、上下の基材に描いてある円や線は、重ね合わせる2つの基材(結晶性熱可塑性高分子樹脂基材12と同22)の配向方向が同じ方向に揃っていることを表している。尚、この分子配向のパターンは、試料の誘電率の異方性による透過マイクロ波強度の変化をみることで判り、例えば、分子配向計[王子計測機器(株)、MOA−3000シリーズ]により調べることができる。
【0040】
本発明に関わる非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を、第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を積層一体化してなる積層体の表面基材の表面に形成する場合、例えば、ウェブ状のフィルムになっている表面基材の材料の縦方向(MD方向。ウェブの巻き取りの長手方向。)に並んで位置する材料から、表面基材1及び表面基材2の基材シートを取り、互いに縦方向及び横方向(TD方向。ウェブの幅方向。)を揃え、センターコア7を芯側に併せて積層することで一体化する。
このように得られる積層体の両表面側にまたは片方の表面側に、本発明に関わる非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂の層を設ける。
【0041】
第一の表面基材1及び第二の表面基材2の各々に用いられる表面基材のフィルムを加工する際に、高分子の配向を間違えないため、表面基材をまず一定幅にスリッタして、スリッタされた表面基材シートを縦方向(MD方向)、因みにフィルムの巻き取りの前後方向から、第一の表面基材1及び第二の表面基材2の基材シートを取り、それぞれ延伸の縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)を揃えるように積み重ねてから、その積み重ねた高分子配向の揃った表面基材シートのコーナーをカットするか、あるにはシートの縁部に切り口を入れ、目印を付けた方が好ましい。
【0042】
第一の表面基材1とセンターコア7と、第二の表面基材2を積層一体化する前に結晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を、予め第一の表面基材1と第二の表面基材2のそれぞれ、または一方のセンターコアから遠い側の表面に形成する場合、同じく表面基材1,2の高分子配向の方向を揃えなければならない。
【0043】
例えば、縦方向(MD方向)、因みにフィルムの巻き取りの前後方向から、まず先に巻きだしたフィルムのおもて面に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11を形成して表面基材1とする。
そして、次に巻きだしたフィルムのうら面に非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層12を形成して表面基材2とする。積層一体化する際、表面基材1を情報記録媒体の上表面にして、センターコア7、そして下表面に表面基材2とする。
表面基材1及び表面基材2の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を、それぞれ媒体外面にし、更に表面基材1と表面基材2の高分子の縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)を揃えるように積層する。
【0044】
非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の表面に磁気ストライプ4を形成して磁気ストライプ記録層付き情報記録媒体として用いる場合、予め上記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を形成してある表面基材1,2とセンターコア7を積層一体化する前に、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12に磁気ストライプ4を配置して、表面基材1,2とセンターコア7を積層一体化を行い、磁気ストライプ4を基材表面に埋設して表面を面一する。
または、表面基材1,2、センターコア7を積層一体化してから、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12に磁気ストライプ4を配置してもう一回加熱加圧一体化を行い、磁気ストライプ4を基材表面に埋設して表面を面一する。この場合は非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を予め表面基材上に形成するか、表面基材とセンターコアを積層一体化してから形成してもよい。
【0045】
結晶性熱可塑性高分子樹脂基材1,2の表面、またはそれらの表面に形成された非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の表面の全面また一部に、ID情報及び絵柄デザイン等の印刷層が設けられているものでもよい。
また、表面基材と印刷層、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12と印刷層の接着性を向上させるために、表面基材の表面か又は非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層の表面に、易接着処理(例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、又は、樹脂塗布、等)を施しても良い。
【0046】
更に、表面基材1と、表面基材2の表面に形成されている非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12の表面または印刷層の表面に、ほかの機能性薄膜層、例えば、隠蔽層、保護層、可視記録層、ホログラム層5等を、全面に又は一部に設けても良い。
更に上記のように、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12に磁気ストライプ4を形成している場合、磁気ストライプ4を表面に埋設し、表面を面一してから、磁気ストライプ4を隠蔽する隠蔽層3を設けてもよい。
更に、磁気記録層、磁気ストライプ4、隠蔽層3、保護層6を形成して、更に加熱加圧により、磁気記録媒体の表面面一を行ってもよい。
【0047】
センターコア7としては非晶性熱可塑性高分子樹脂からなる。
例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセタール、AS樹脂、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリスルホン、セルロイド、ポリフェニレンオキサイド、非晶性エラストマー、PETG、等の合成樹脂類、天然樹脂類、またはそれらの樹脂の変性樹脂などを単独または組み合わせた複合体、アロイ体、ブレンド体等の非晶性固体を使用することができる。
更にそれらの樹脂に有機顔料、無機顔料または有機染料、無機染料、安定剤、表面活性剤などの添加剤を加え、樹脂を改質することも可能である。
【0048】
また、センターコア7は必要に応じて上記高分子樹脂の複層構成を用いてもよい。
例えば、2層のセンターコア層、または数層のセンターコア層を用いて予め加熱加圧により一体化してセンターコア7として用いるか、第一の表面基材1、センターコア7、第二の表面基材2を一体化する際に、一緒に積層一体化することができる。
【0049】
また、本発明請求項7に記載したように、センターコア7中にアンテナ付きの非接触ICモジュール9を埋め込むことも可能である。
例えば、センターコア7を2層にして、2層の間にアンテナ付き非接触ICモジュール9を配置して、熱ラミネートを行うことにより、ICモジュール9をセンターコア7中に埋設する。
【0050】
ICモジュール9は、受信用また送信用のアンテナコイル(ここで「アンテナコイル」は本明細書中ではコイル状を成したアンテナを指す)とデータ蓄積用のメモリ、さらに場合によってはデータ演算用等のCPU、エネルギー供給用の電池(図示せず)などから成る。
出来上がる非接触ICカード(本発明に関わる情報記録媒体の一代表例)の外観、形状等に好ましくない影響を及ぼさないようにするため、ICモジュール9はなるべく薄型のものを用いた方が好ましい。
また、ICモジュール9の取扱い易さ、低コストであること等から、プリント基板型の一体型モジュールを用いても良い。
【0051】
2枚の基材の間にICモジュール9を挟んで、加熱、加圧方式により、非接触ICカード記録媒体を作製する際、カード記録媒体の表面を平滑にするため、加熱温度を高くし、圧力により基材樹脂をICモジュール上下から流してICモジュールを埋め込んだ方が好ましい。
その際、チップへかかる圧力を減らすため、基材樹脂を加熱してから、加圧を行った方がよい。
またセンターコアの基材上に、ICモジュール9に搭載されたチップ等電気部品と同等の大きさの穴を穿ち、ICモジュール9をチップ等の電気部品を穴に埋め込むよう、基材上に設置してから、加熱、加圧を行う方が好ましい。
【0052】
結晶性熱可塑性の表面基材1,2と非晶性熱可塑性センターコア7を容易に積層一体化を行うことができるため、第一の表面基材1とセンターコア7の間に、また第二の表面基材2とセンターコア7の間にそれぞれに接着層8を設ける。更に用途により、印刷層、隠蔽層等の機能性層を設けることもできる。
更に情報記録媒体の仕様によって、第一の表面基材1とセンターコア7の間に、また第二の表面基材2とセンターコア7の間に、それぞれに中間基材を設けることもできる。
中間基材の表面にも接着層、印刷層などを設けることもできる。
【0053】
非接触ICモジュール9付きの情報記録媒体の積層一体化方法としては、第一の表面基材1、センターコア7の基材、ICモジュール9、センターコア7の基材、第二の表面基材2を順次に積層して加熱、加圧を行う一回方式と、先ず、センターコア7の基材、ICモジュール9、センターコア7の基材を順次に積層して第一次加熱、加圧を行い、ICモジュール9とセンターコア7の基材の一体化を先ず行い、ついで、ICモジュール9が埋設されているセンターコア7上下表面に、第一の表面基材1、第二の表面基材2をそれぞれ積層して第二次加熱加圧を行う二回方式とがある。何れの方式も、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を予め、表面基材1,2の表面形成するか、積層一体化してから、形成するか、どちらでも差し使いがない。
【0054】
【実施例】
以下、更に本発明の具体的な実施例を挙げて説明する。
<実施例1>
図1は本発明の第1の実施例に係る情報記録媒体10の構成を各工程に示す説明図である。
【0055】
厚さ100μmの白色の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを結晶性熱可塑性高分子樹脂の表面基材とし、末端にOH官能基を有する非晶性ポリエステルウレタンとHMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)の下記の組成の混合物を非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂とした。
【0056】
<組成>
ポリエステルウレタン UR1400(東洋紡製KOH 2〜3mg/g)100部
TDIのタケネート D202(武田薬品製) 3部
MEK 50部
トルエン 60部
【0057】
まず、幅が400mmのウェブになっている白色で二軸延伸済みのポリエチレンテレフタレートの基材の表面に、上記の混合液をグラビアコーターにて塗膜が10μmとなるように塗布して、長さが400mmのシートを1枚取り、前方向の左側をコーナカットして本発明の表面基材1とした。
次に、幅が400mmのウェブになっている白色二軸延伸ポリエチレンテレフタレートの基材の裏側の表面に上記の混合液をグラビアコーターにて塗膜が10μmとなるように塗布して、長さが400mmのシートを1枚取り、前方向の左側をコーナカットして本発明の表面基材2とした。
【0058】
厚さ18μmの銅箔でできたエッチングアンテナ付きの一体型ICモジュールを、ICモジュール9として用いる。この厚さ18μmの銅箔は基板上に箔として設けてあり、ここでは既にその銅箔がエッチングによってアンテナ用にパターニングされてあるものを用いた。ここで、基板の厚さは120μm、チップ封止材を含むICチップ部品の厚さは250μmでサイズ2×2mmである。
【0059】
サイズ400mm×400mmで厚さ280μmの、白色をなす基材である非晶性ポリエステル樹脂;PETG[曲げ弾性率は1,980MPa、ガラス転移点(Tg)は63℃]につき、2枚をいずれもセンターコア7に用いる基材として、この2枚のセンターコア7用の基材の間に、上記のICモジュール9を設置して、その積層体を熱プレス機にセットし、温度を145°C、圧力を約1,000kPaとした条件で熱プレスを行い一体化した。このように、ICモジュール9入りの積層体を本発明のセンターコア7とした。
そして、センターコア7の表側,裏側の表面に、表面基材1及び表面基材2を、それぞれの非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11,12を外側にして、且つ、表面基材1と表面基材2のコーナーカット部が合うようにして、センターコアを挟むよう積層した。
【0060】
このようにして積層された積層体の表面(非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11側)に、磁気ストライプのテープを転写により磁気ストライプ4が表面に載るかのように設けたうえ、積層体を熱プレス機にセットして、温度を135°C、圧力を約1,000kPaとした条件で熱プレスを行い、一体化した。
そして、厚さの0.78mmの積層体が得られ、このとき磁気ストライプ4の表面と、基材表面の磁気ストライプが無い領域の表面(非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層11側)とが面一にされ、磁気ストライプによる段差が無く、外側表面が平坦なものになった。
【0061】
この積層体の磁気ストライプ4側の表面に、市販のシルバーインキからなる隠蔽層3をスクリーン印刷機にて厚さ2μmで形成し、更に、クリアの樹脂からなる保護層6を形成したうえ、再び加熱及び加圧を行うことにより表面に光沢を付与し、しかる後に、カード(いわゆるICカード類)の形状に断裁することで、実施例1に関わる情報記録媒体10とした。
【0062】
得られた情報記録媒体10の表面、表面が平滑となり、磁気ストライプ4が隠蔽された。更に情報記録媒体の表面に、ホログラム転写箔を転写しホログラム層5を設け、レーザー刻印による印字を行いレーザ刻印文字6を形成した。
ホログラムの転写が問題なく、更にレーザー刻印印字の文字縁部の膨れも生じなかった。
情報記録媒体の耐熱温度を評価したところ、熱変形温度は95°Cという高い耐熱特性が得られた。また、磁気ストライプを備えたことに起因して評価した磁気特性も、JIS規格を十分にクリアできるものであった。
【0063】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、延伸処理を施された結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の第一の表面基材、センターコア、延伸処理を施された結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の第二の表面基材を積層一体化してなる情報記録媒体において、第一の表面基材と第二の表面基材の一方または両方の表面に、非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層を形成することにより、磁気ストライプの埋設、レーザー刻印印字、表面へのホログラム転写箔の転写が可能になる。
また延伸処理を施された結晶性熱可塑性高分子樹脂基材を用いることにより、情報記録媒体の耐熱性が高くなり、耐久性がよくなる。
【0064】
つまるところ、本発明によれば、従来の技術と比べて、耐久性、耐熱性、耐薬品性、エンボス加工適性(エンボスの容易性、低カール性、耐割れ性)、印刷インキの密着性(なじみ易さ)、又は、レーザ印字の適性などは、同等か又はそれ以上に改善されたものとすることができ、特に磁気ストライプ・テープの埋め込み加工の容易さや埋設した辺りの情報記録媒体の外側表面の平坦さ(段差が無いか又は段差が実質判り難い)に優れており、また、特にその磁気ストライプ・テープを隠蔽する隠蔽層などを形成する際の溶剤に侵され難く(溶剤への耐久性が高くて隠蔽層の隠蔽性が低下し難い)、埋設した磁気ストライプを巧く隠蔽できること、これらを満たす情報記録媒体とその製造方法を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係わる情報記録媒体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第一の表面基材と第二の表面基材の、高分子基材の配向方向を揃える方法を示す概念図である。
【符号の説明】
1 ・・・第一の表面基材
2 ・・・第二の表面基材
3 ・・・隠蔽層(印刷層)
4 ・・・磁気ストライプ
5 ・・・ホログラム層
6 ・・・保護層
7 ・・・センターコア
8 ・・・接着層
9 ・・・ICモジュール
10・・・情報記録媒体
11・・・非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層
12・・・非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層
39・・・マイクロ波高分子配向計測定した配向パターン

Claims (12)

  1. 熱可塑性高分子樹脂を用いた基材である第一の表面基材、熱可塑性高分子樹脂を用いた基材であるセンターコア、及び、熱可塑性高分子樹脂を用いた第二の表面基材の、少なくともこの3つの基材の位置の順序関係が、相対的にこの順に配されるように積層してある情報記録媒体であって、
    前記の第一の表面基材および第二の表面基材は、それぞれ、結晶性の熱可塑性高分子樹脂が二軸延伸処理を施された基材である結晶性熱可塑性高分子樹脂基材を用いてあって、
    これら表面基材の両方か又は片方のいずれかにつき、前記センターコアから遠い側の面に、非晶性の高分子樹脂の熱硬化型ポリウレタンを用いた層である非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層が形成されていて、
    前記非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層は、末端にOH官能基を有するポリマーと、二つ以上のNCO官能基を有する架橋剤のイソシアナート化合物とを、架橋率に関わるOH価が1〜20mgKOH/gで架橋反応されたウレタン樹脂からなる、
    ことを特徴とする情報記録媒体。
  2. 前記第一の表面基材の結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の配向の方向と、前記第二表面基材の結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の配向の方向とが、一致していること、を特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
  3. 前記の第一の表面基材と第二の表面基材は、いずれも、前記結晶性熱可塑性高分子樹脂基材は、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートを用いてあり、
    しかも、前記の第一の表面基材と第二の表面基材のうち、前記非晶性熱硬化型高分子樹脂層が形成されてある表面基材については、その結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の厚さが、その非晶性熱硬化型高分子樹脂層の厚さよりも厚いこと、を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の情報記録媒体。
  4. 前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層に、少なくとも磁気ストライプが設けてあり、その上に該磁気ストライプを隠蔽するように隠蔽層が設けてあること、を特徴とする前記請求項1乃至のいずれかに記載の情報記録媒体。
  5. 前記の第一の表面基材とセンターコアとの間、及び、前記のセンターコアと第二の表面
    基材との間に、接着層が形成してあること、を特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の情報記録媒体。
  6. 前記センターコアは、少なくとも、非接触通信用の機能を有するICチップ、及び、該ICチップと組合されて非接触通信を行う為のアンテナ、を備えた非接触ICモジュールを有しており、
    該非接触ICモジュールの全部か又は一部が、少なくとも非晶性の熱可塑性高分子樹脂の層である非晶性熱可塑性高分子樹脂層によって両側から挟み込まれた構造をなしていること、を特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の情報記録媒体。
  7. 前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層が、厚さ2〜50μmで形成されていること、を特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の情報記録媒体。
  8. 熱可塑性高分子樹脂を用いた基材である第一の表面基材、熱可塑性高分子樹脂を用いた基材であるセンターコア、及び、熱可塑性高分子樹脂を用いた第二の表面基材の、少なくともこの3つの基材の位置の順序関係が、相対的にこの順に配されるように積層することにより情報記録媒体を製造する方法であって、
    前記の第一の表面基材および第二の表面基材に、それぞれ、結晶性の熱可塑性高分子樹脂が二軸延伸された基材である結晶性熱可塑性高分子樹脂基材を使用し、
    前記表面基材の両方か又は片方のいずれかにつき、前記センターコアから遠い側の面に、末端にOH官能基を有するポリマーと、二つ以上のNCO官能基を有する架橋剤のイソシアナート化合物とを、架橋率に関わるOH価が1〜20mgKOH/gで架橋反応されたウレタン樹脂を用いた層である非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層を形成する工程を経ること、
    を特徴とする情報記録媒体の製造方法。
  9. 前記少なくとも3つの基材を積層する場合に、前記第一の表面基材の結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の配向の方向と、前記第二表面基材の結晶性熱可塑性高分子樹脂基材の配向の方向とを、一致させること、を特徴とする請求項に記載の情報記録媒体の製造方法。
  10. 前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層を形成する工程は、前記ポリマーの溶解液と、前記イソシアナート化合物の架橋剤とを用いてなる混合液を、前記表面基材に直接に塗布するか、又は、
    前記基材とは別の基材である中間基材の表面に前記の混合液を一旦塗布し、非晶性熱硬化型ウレタン樹脂を予め層状に形成した後に、該層状の非晶性熱硬化型ウレタン樹脂を前記表面基材に転写すること、
    これらのいずれかによって前記の非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層を形成すること、を特徴とする請求項又はのいずれかに記載の情報記録媒体の製造方法。
  11. 前記の第一の表面基材、センターコア、及び、第二の表面基材の3つの基材の少なくともいずれかに、隣り合う他の基材と面する側に加熱により接着性を呈する高分子樹脂を用いた接着層を設け、
    少なくとも該3つの基材を重ね合わせた状態で、熱と圧力を共にかける工程を経ることにより前記積層を行うこと、を特徴とする請求項乃至1のいずれかに記載の情報記録媒体の製造方法。
  12. 前記非晶性熱硬化型ウレタン高分子樹脂層上に、少なくとも磁気ストライプを配置したうえ、少なくとも該3つの基材を重ね合わせ状態で熱と圧力を共にかけることにより前記積層を行うことによって、最も外側の表面の面一化を図り、
    しかる後に、少なくとも前記磁気ストライプが設けてある表面に、該磁気ストライプを
    隠蔽する隠蔽層を設けること、を特徴とする請求項乃至1のいずれかに記載の情報記録媒体の製造方法。
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