JP4026134B2 - プラスチックカード - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば磁気カードやエンボスカード、接触/非接触ICカード等に用いられるプラスチックカードに関するものであり、特に、アンテナモジュール層が内在されたプラスチックカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばキャッシュカードやクレジットカード、IDカード等の分野においては、これまで磁気記録媒体が広く利用されてきた。磁気記録媒体には、カード所有者の氏名や会員番号等、簡単な情報を磁気的に記録することができ、これら情報に基づいてカード所有者の認証等が行われている。ただし、磁気記録媒体では記録し得る情報量に限度があり、また磁気的に記録された情報は簡単に読み取ることができることから、セキュリティーの点でも不安が残る。
【0003】
近年、個人情報の流出を防ぐ動きからセキュリティーの強化を重視する傾向にあり、ICチップを記録媒体としたICカードが、より高セキュリティー化を目的とした意味で注目を浴び、また主流となりつつある。特に非接触のICカードは、搭乗システムやセキュリティーシステム等に多く使用されており、その普及には目を見張るものがある。
【0004】
ところで、これらのカードは、いずれも熱プレスで作られ、加工性等の機能の点から、その材料としては塩化ビニル系の樹脂がほとんどである。しかしながら、塩化ビニル系の樹脂は、エンボス加工には優れているものの、その反面、繰り返し曲げの耐久性に劣るといった欠点を持ち合わせている。また、近年は環境問題が重視されており、焼却の際に発生する有毒ガスが与える環境負荷も問題のひとつである。さらに、現在までカード素材として一般的に用いられているポリ塩化ビニル樹脂(PVC)の物性の欠点として耐熱性の低いことが挙げられる。一般に、PVCは約60℃で軟化し、変形するため、高温域でのアプリケーションには適さない。したがって、これら物性面や環境問題の観点からもPVC代替カード材料が望まれている。
【0005】
そこで、代替材料として、非塩化ビニル系樹脂であるポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂等、ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂を中心に検討されている(例えば、特許文献1乃至特許文献3等を参照)。
【0006】
ただし、これらの樹脂を単体で用いた場合、カードとしての物性がPVCに劣るため、特にJIS規格においてカードに規定される規格値を満たすことができず、JIS規格に見合った物性を有するカード基材が必要となっている。また、耐熱性を考慮したプラスチック材料、例えばポリカーボネート樹脂をカード基材に用いると、カードにエンボス加工した時に、エンボス加工部分の周辺部分もエンボス加工部分の変形に引っ張られて変形し、結果としてカードがカールしてしまうという問題が生じている。
【0007】
このような状況から、PVCに代わるカード用基材として、非結晶性のポリエチレンテレフタレートが注目されている(例えば、特許文献4や特許文献5等を参照)。非結晶性のポリエチレンテレフタレート樹脂は、非結晶のポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコール成分の10〜70モル%をシクロヘキサンジメタノールで置換した樹脂(以下、PETG樹脂と称する。)であり、これをカード基材に用いることで、環境問題面に考慮しながら、エンボス加工性に優れたカードを提供することが可能である。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−302526号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2001−283175号公報
【0010】
【特許文献3】
特開2002−37996号公報
【0011】
【特許文献4】
特開平11−232414号公報
【0012】
【特許文献5】
特開2002−96440号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記PETG樹脂はエンボス加工性に優れているものの、先の非接触型のICカードのようにアンテナモジュール層が内在されたカードでは、例えば温度70℃、相対湿度60%等の高温保存環境下での長期間保存後に、カード内部に積層されているモジュールの形状が表面に浮き出すという現象が見られる。このようなモジュール形状の表面への浮き出しは、カードの外観を大きく損ねることになり、その改善が望まれる。
【0014】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、エンボス加工性に優れるとともに、耐熱性に優れ、例えば高温保存後における外観変形を軽減することが可能なプラスチックカードを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の目的を達成するために、長期に亘り種々の研究を重ねてきた。その結果、耐熱性に優れた樹脂であるポリカーボネート樹脂をエンボス加工性の良いPETG樹脂に添加することで得られるポリマーアロイ樹脂をコア材として用い、その層構成や各層あるいはカード全体でのポリカーボネート樹脂の配合比等を最適化することにより、耐熱性とエンボス加工性を両立し得るとの結論を得るに至った。
【0016】
本発明のプラスチックカードは、このような知見に基づいて完成されたものであり、アンテナモジュール層の両側にそれぞれ2層のコア材と1層の外装材とが順次積層され、アンテナモジュール層を中心に上下対称な層構成を有するプラスチックカードであって、上記2層のコア材のうちの一方のコア材における樹脂配合比が重量比で非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂:ポリカーボネート樹脂=70:30〜50:50、他方のコア材における樹脂配合比が重量比で非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂:ポリカーボネート樹脂=100:0〜50:50であり、且つ、カード全体でポリカーボネート樹脂の占める割合が30〜50重量%であることを特徴とするものである。
【0017】
PETG樹脂をカード基材に用いたカードは、エンボス加工性に優れているが、耐熱性の面では環境試験後にカードの中のモジュールが浮き出して見え、外観上に支障きたす。そこで、本発明では、PETG樹脂にPETG樹脂よりもガラス転位点の高いポリカーボネート樹脂を添加してポリマーアロイ樹脂とし、このポリマーアロイ樹脂をカード基材であるコア材に用いることで、耐熱性(高温保存後における外観変形の軽減)とエンボス加工性とを両立させている。ただし、このとき層構成やカード全体でのポリカーボネート樹脂の割合が重要で、これらを本発明のように最適化することで、はじめて耐熱性とエンボス加工性の両立が実現される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用したプラスチックカードについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、非接触ICカードへの適用例を示すものである。この非接触ICカードは、図1に示すように、表面にアンテナパターンが形成されたアンテナモジュール層1を中心に、その両側にコア材2及び外装材3を順次貼り合わせてなるものである。
【0020】
アンテナモジュール層1は、高分子フィルム上に金属薄膜をドライラミネート、あるいは蒸着、メッキ等の手法により積層するとともに、この金属薄膜を例えばイオンエッチングすることにより薄層状コイルをアンテナパターンとして形成し、これにICチップを接続してなるものであり、これらによりICモジュール(電子モジュール)が構成されている。すなわち、例えばポリエチレンテレフタレート等からなる高分子フィルム基材の表面に金属薄膜であるアルミニウム薄膜等をパターニングすることによりアンテナパターンが形成されている。また、上記アンテナモジュール層1には、アンテナパターンと接続されてICチップ4が実装されており、このICチップ4に種々の情報が記録されている。そして、記録された情報は、アンテナモジュール層1の表面に形成されたアンテナパターンを介して外部に伝達される。
【0021】
このような非接触ICモジュール(アンテナモジュール層1)をプラスチックカード内に設置する場合は、これを例えば1対のコア材間に挟み込むことが望ましい。そこで、本例では、アンテナモジュール層1の両側にコア材2及び外装材3を順次貼り合わせている。
【0022】
コア材2は、ここではそれぞれ2層構造を有し、アンテナモジュール層1側から、第1のコア材2a、第2のコア材2bの順に積層されている。したがって、アンテナモジュール層1の片側の層構成は、第1のコア材2a、第2のコア材2b、外装材3の3層構成である。
【0023】
上記コア材2a,2bは例えば白色、外装材3は例えば透明であり、例えば印刷等により任意の装飾が施される。印刷を行う場合には、コア材2と外装材3の間に行うが、この時コア材2bの表面に印刷してもよいし、外装材3の内側に絵柄を反転させて印刷してもよい。ただし、この時UV硬化性のインキを用いると、外装材3とコア材2bとの接着に不具合が生ずるので注意を要する。
【0024】
また、上記コア材2のうちアンテナモジュール層1側に配される第1のコア材2aには、ICチップ4に対応して貫通孔が形成されており、この貫通孔内にICチップ4を収容する形になっている。なお、コア材2のうち他方のコア材(第2のコア材2b)には、このような貫通孔は形成されていない。
【0025】
以上の層構成を有するプラスチックカードにおいては、アンテナモジュール層1に対してコア材2及び外装材3が対称に積層されていることが好ましい。例えば、各層の厚みはカード中心から上下対称にすることが好ましい。上下の厚み構成が非対称になったり、アンテナモジュール層1が中心から外れているとカードが反る原因になりやすい。
【0026】
このように積層された各層(アンテナモジュール層1、コア材2、外装材3)は、例えば熱プレスによって溶着することにより一体化され、プラスチックカードとなる。
【0027】
本例のプラスチックカードは、前述の通り、アンテナモジュール1をカード基材であるコア材2や外装材3で挟み込み、熱プレスでラミネートすることによって形成されている。プラスチックカードの使用環境としては、様々な状況が想定されるが、例えばPVCの代替材料として用いられているPETG樹脂をカード基材に用いると、例えばアンテナモジュール1をカード基材で挟み込んだ非接触ICカードを温度70℃,相対湿度60%等の高温環境下にて数時間保存したときに、カード基材に挟まれているアンテナが保存前の平滑な状態から変形し、最終的にアンテナ形状の浮き出しを生じる。
【0028】
これを回避する目的でカード基材に耐熱性を上げた熱可塑性樹脂材料(具体的にはPC樹脂等)を用いると、エンボス文字加工によってカードがカールしてしまう問題がある。
【0029】
そこで、本発明のプラスチックカードでは、これらPETG樹脂や熱可塑性樹脂材料を単体で用いるのではなく、エンボス加工性に優れているPETG樹脂に耐熱性の高い熱可塑性樹脂であるポリカーボネート樹脂を添加してポリマーアロイ樹脂とし、上記両方の特性を満足し得るプラスチックカードとする。
【0030】
具体的には、上記2層のコア材2a,2bのうちの一方のコア材における樹脂配合比を重量比でPETG樹脂(非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂):ポリカーボネート樹脂=70:30〜50:50とし、他方のコア材における樹脂配合比を重量比でPETG樹脂:ポリカーボネート樹脂=100:0〜50:50とする。
【0031】
PETG樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂において、エチレングリコール成分の10〜70モル%をシクロヘキサンジメタノールに置換したものであり、前記置換により共重合ポリエステル樹脂が非結晶性の樹脂となって熱融着性を持ち、弾性率の低下がなくなる。したがって、PETG樹脂をコア材2に用いることでエンボス加工によるカールの発生を抑制することができるが、これを単体で用いるとアンテナの浮き出しが問題となるため、前記割合でポリカーボネート樹脂を配合添加することでこれを防止する。
【0032】
また、鋭意検討の結果、コア材2の配合のみならず、カード材料全体(外装材3とコア材2)におけるポリカーボネート樹脂の割合も重要であり、これを重量比で30%以上、50%以下とすることで、カールの発生の抑制とアンテナの浮き出し防止を両立できることがわかった。
【0033】
さらに、その際、アンテナモジュール1を介してカード基材が少なくとも3層構成を有することが必要であり、各層におけるポリカーボネート樹脂の配合比や厚みを選定することで、カード材料全体におけるポリカーボネート樹脂の割合を上記適正な範囲に設定することが必要である。
【0034】
例えば、カードの表層から順にA,B,C層とした場合(すなわち、外装材3をA層、コア材2bをB層、コア材2aをC層とし、各層の厚みをA,B,Cとした場合)、A層の厚みは、A/(B+C)と表したときに0.46〜0.50であり、且つA層がポリカーボネート樹脂を70重量%配合した樹脂であることが好ましい。また、B層の樹脂に添加されるポリカーボネート樹脂の割合が50重量%以下で、厚みがB/Aと表したときに0.6〜0.8、且つ、C層の樹脂に添加されるポリカーボネート樹脂の割合が50重量%以下で、厚みがC/Aと表したときに1.2〜1.4であることが好ましい。このような設定にすることで、エンボス加工後のカードの反りがJIS規格値を越えることなく、また温度70℃、相対湿度60%等の高温環境下でのアンテナ浮き出しもPETG樹脂単体をカード基材として使用したカードより軽減することができる。
【0035】
上記材料(PETG樹脂にポリカーボネート樹脂を添加した材料)は、良好な熱融着性を有することから、カード化した際に外装材3との接着強度の点でも優れた特性を有し、例えばJIS X 6301−1998 8.1.8の規格を十分に満たし、且つ材料破壊が起きる12N/cm以下であることという条件も満たしており、カード基材であるコア材2と外装材3との接着性の点でも満足し得るものである。
【0036】
なお、外装材3に使われる非塩ビ系の材料としては、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)の他、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PETG樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等のポリエステルが代表的である。この他、ポリスチレン、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等も使用できる。また、これらをポリマーアロイ化した材料、具体的にはポリカーボネート/PETG、ポリカーボネート/PBT、ポリカーボネート/ABS等も好適である。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
【0038】
実験例1
カード基材のうち、コア材2をコア材2a,2bの2層構造とし、各コア材2a,2bの材質としてそれぞれPETG樹脂にポリカーボネート樹脂が添加されていない(ポリカーボネートの配合比率が0重量%)樹脂を用いるとともに、アンテナモジュール層1側のコア材2a(C層)の厚みCが外装材3(A層)の厚みAに対してC/A=1.4、外装材3側のコア材2b(B層)の厚みBが外装材3の厚みAに対してB/A=0.8となるように設定した。
【0039】
カードの中央にあるアンテナモジュール層1を介して両側のコア材2を対称とし、さらにその外側にA/(B+C)=0.46となるような厚さのポリカーボネート/PBT(重量比が70/30)アロイ樹脂からなるシートを外装材3として配し、5層構造とした後、温度130℃、圧力1.0MPaにて熱溶着した。これを所定のサイズに打ち抜いて、プラスチックカードを作製した。なお、前記アンテナモジュール層1に実装されるモジュールとしては、15μm以上の段差を持つ薄層状コイルにICチップが接続されたいわゆる非接触のICモジュールを用いた。
【0040】
実験例2
外装材3側のコア材2bにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が15重量%)を用いた。他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0041】
実験例3
アンテナモジュール層1側のコア材2aにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が15重量%)を用いた。他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0042】
実験例4
アンテナモジュール層1側のコア材2aにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合していない樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が0重量%)を用い、アンテナモジュール層1側のコア材2aの厚みCが外装材3の厚みAに対してC/A=1.2となるように設定した。
【0043】
また、外装材3側のコア材2bにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が30重量%)を用い、外装材3側のコア材2bの厚みBが外装材3の厚みAに対してB/A=0.8となるように設定した。
【0044】
さらに、カードの中央にあるアンテナモジュール層1を介して両側のコア材2を対称とし、その外側にA/(B+C)=0.50となるような厚さのポリカーボネート/PBT(重量比が70/30)アロイ樹脂からなるシートを外装材3として配し、5層構造とした。
【0045】
他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0046】
実験例5
外装材3側のコア材2bにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が50重量%)を用い、外装材3側のコア材2bの厚みBが外装材3の厚みAに対してB/A=0.6となるように設定した。他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0047】
実験例6
外装材3側のコア材2bにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が50重量%)を用いた。他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0048】
実験例7
アンテナモジュール層1側のコア材2a及び外装材3側のコア材2bにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が30重量%)を用いた。他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0049】
実験例8
アンテナモジュール層1側のコア材2aにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が50重量%)を用いた。他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0050】
実験例9
アンテナモジュール層1側のコア材2aにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が50重量%)を用い、アンテナモジュール層1側のコア材2aの厚みCが外装材3の厚みAに対してC/A=1.4となるように設定した。
【0051】
また、外装材3側のコア材2bにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合していない樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が0重量%)を用い、外装材3側のコア材2bの厚みBが外装材3の厚みAに対してB/A=0.6となるように設定した。
【0052】
さらに、カードの中央にあるアンテナモジュール層1を介して両側のコア材2を対称とし、その外側にA/(B+C)=0.50となるような厚さのポリカーボネート/PBT(重量比が70/30)アロイ樹脂からなるシートを外装材3として配し、5層構造とした。
【0053】
他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0054】
実験例10
アンテナモジュール層1側のコア材2aにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が30重量%)を用い、アンテナモジュール層1側のコア材2aの厚みCが外装材3の厚みAに対してC/A=1.2となるように設定した。
【0055】
また、外装材3側のコア材2bにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が50重量%)を用い、外装材3側のコア材2bの厚みBが外装材3の厚みAに対してB/A=0.8となるように設定した。
【0056】
さらに、カードの中央にあるアンテナモジュール層1を介して両側のコア材2を対称とし、その外側にA/(B+C)=0.50となるような厚さのポリカーボネート/PBT(重量比が70/30)アロイ樹脂からなるシートを外装材3として配し、5層構造とした。
【0057】
他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0058】
実験例11
アンテナモジュール層1側のコア材2aにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が50重量%)を用い、アンテナモジュール層1側のコア材2aの厚みCが外装材3の厚みAに対してC/A=1.2となるように設定した。
【0059】
また、外装材3側のコア材2bにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が30重量%)を用い、外装材3側のコア材2bの厚みBが外装材3の厚みAに対してB/A=0.8となるように設定した。
【0060】
さらに、カードの中央にあるアンテナモジュール層1を介して両側のコア材2を対称とし、その外側にA/(B+C)=0.50となるような厚さのポリカーボネート/PBT(重量比が70/30)アロイ樹脂からなるシートを外装材3として配し、5層構造とした。
【0061】
他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0062】
実験例12
アンテナモジュール層1側のコア材2aにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が50重量%)を用い、アンテナモジュール層1側のコア材2aの厚みCが外装材3の厚みAに対してC/A=1.2となるように設定した。
【0063】
また、外装材3側のコア材2bにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が50重量%)を用い、外装材3側のコア材2bの厚みBが外装材3の厚みAに対してB/A=0.8となるように設定した。
【0064】
さらに、カードの中央にあるアンテナモジュール層1を介して両側のコア材2を対称とし、その外側にA/(B+C)=0.50となるような厚さのポリカーボネート/PBT(重量比が70/30)アロイ樹脂からなるシートを外装材3として配し、5層構造とした。
【0065】
他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0066】
実験例13
アンテナモジュール層1側のコア材2aにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が75重量%)を用い、アンテナモジュール層1側のコア材2aの厚みCが外装材3の厚みAに対してC/A=1.2となるように設定した。
【0067】
また、外装材3側のコア材2bにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が20重量%)を用い、外装材3側のコア材2bの厚みBが外装材3の厚みAに対してB/A=0.8となるように設定した。
【0068】
さらに、カードの中央にあるアンテナモジュール層1を介して両側のコア材2を対称とし、その外側にA/(B+C)=0.50となるような厚さのポリカーボネート/PBT(重量比が70/30)アロイ樹脂からなるシートを外装材3として配し、5層構造とした。
【0069】
他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0070】
実験例14
アンテナモジュール層1側のコア材2aにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が20重量%)を用い、アンテナモジュール層1側のコア材2aの厚みCが外装材3の厚みAに対してC/A=1.2となるように設定した。
【0071】
また、外装材3側のコア材2bにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が75重量%)を用い、外装材3側のコア材2bの厚みBが外装材3の厚みAに対してB/A=0.8となるように設定した。
【0072】
さらに、カードの中央にあるアンテナモジュール層1を介して両側のコア材2を対称とし、その外側にA/(B+C)=0.50となるような厚さのポリカーボネート/PBT(重量比が70/30)アロイ樹脂からなるシートを外装材3として配し、5層構造とした。
【0073】
他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0074】
実験例15
アンテナモジュール層1側のコア材2aの厚みCが外装材3の厚みAに対してC/A=1.75、外装材3側のコア材2bの厚みBが外装材3の厚みAに対してB/A=1.0となるように設定した。
【0075】
また、カードの中央にあるアンテナモジュール層1を介して両側のコア材2を対称とし、その外側にA/(B+C)=0.36となるような厚さのポリカーボネート/PBT(重量比が70/30)アロイ樹脂からなるシートを外装材3として配し、5層構造とした。
【0076】
他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0077】
実験例16
アンテナモジュール層1側のコア材2aにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が50重量%)を用い、アンテナモジュール層1側のコア材2aの厚みCが外装材3の厚みAに対してC/A=1.75となるように設定した。
【0078】
また、外装材3側のコア材2bにPETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂の配合比率が50重量%)を用い、外装材3側のコア材2bの厚みBが外装材3の厚みAに対してB/A=1.0となるように設定した。
【0079】
さらに、カードの中央にあるアンテナモジュール層1を介して両側のコア材2を対称とし、その外側にA/(B+C)=0.36となるような厚さのポリカーボネート/PBT(重量比が70/30)アロイ樹脂からなるシートを外装材3として配し、5層構造とした。
【0080】
他は、先の実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0081】
実験例17
アンテナモジュール層1の両側のコア材をそれぞれ単層とするとともに、コア材にPVC(三菱樹脂社製、商品名C−4636)を用いたことを除いて、実験例1と同様にプラスチックカードを作製した。
【0082】
以上により作製した各プラスチックカードについて、アンテナ形状の浮き出しの有無、及びエンボス加工後のカードの反りを測定した。ここで、アンテナ形状の浮き出しは、プラスチックカードを温度70℃、相対湿度60%で3日間保存した後、外観形状を目視にて観察し、高温保存後におけるアンテナ形状の浮き出し(外観)が若干みられる程度である場合を○、高温保存後におけるアンテナ形状の浮き出し(外観)がはっきり見える場合を△、高温保存後におけるアンテナ形状の浮き出し(外観)が激しく、はっきり見える場合を×とした。
【0083】
また、エンボス加工後のカードの反りは、昭和情報機器社製の商品名エンボッサーLOGIKA EMBOSSER VERTIGO を用いて「8」の文字を1行19文字、合計3行印刻したのち、カードの反り(mm)を測定した。反りについては、JIS X 6305 5.1.1 に準じて測定を行った。結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
表1から明らかなように、カード全体におけるポリカーボネート樹脂の配合比率が30重量%〜50重量%と適正に設定され、各コア材2a,2bのポリカーボネート樹脂の配合比率も適正に設定されたプラスチックカード(実験例4〜実験例10)(いずれも実施例に相当する。)は、高温環境後の外観(浮き出し)が良好であり、カードの反り量もJIS規格内(2.5mm以下)となった。
【0085】
これに対し、コア材がポリカーボネート樹脂を含まないPETG樹脂のみの構成の実験例1及び実験例15、さらにはポリカーボネート樹脂を含んでも配合比率が規定よりも少ない実験例2及び実験例3は、外観上に問題がある。逆に、ポリカーボネート樹脂のカード全体における配合比率が50%を越える実験例11乃至実験例14、さらには実験例16は、カードの反り量が大きく、その値がJIS規格である2.5mmを上回っており、カード基材に用いるには不適切であることがわかる。
【0086】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明のプラスチックカードにおいては、PETG樹脂にポリカーボネート樹脂を配合したポリマーアロイ樹脂をカード基材であるコア材に用いるとともに、層構成やカード全体でのポリカーボネート樹脂の配合比率を最適化しているので、高温環境下での保存の後にも外観を損なうことがなく、エンボス加工後のカードの反り量もJIS規格値内とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したプラスチックカードの層構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 アンテナモジュール層、2 コア材、2a コア材(アンテナモジュール層側)、2b コア材(外装材側)、3 外装材、4 ICチップ
Claims (5)
- アンテナモジュール層の両側にそれぞれ2層のコア材と1層の外装材とが順次積層され、アンテナモジュール層を中心に上下対称な層構成を有するプラスチックカードであって、
上記2層のコア材のうちの一方のコア材における樹脂配合比が重量比で非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂:ポリカーボネート樹脂=70:30〜50:50、他方のコア材における樹脂配合比が重量比で非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂:ポリカーボネート樹脂=100:0〜50:50であり、
且つ、カード全体でポリカーボネート樹脂の占める割合が30〜50重量%であることを特徴とするプラスチックカード。 - 上記アンテナモジュール層にICチップが実装され、アンテナモジュール層側のコア材にはこのICチップに対応して貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載のプラスチックカード。
- エンボス加工が施されることを特徴とする請求項1記載のプラスチックカード。
- 上記非結晶性ポリエチレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコール成分の10〜70モル%をシクロヘキサンジメタノールで置換した樹脂であることを特徴とする請求項1記載のプラスチックカード。
- 熱プレスでラミネートすることにより上記アンテナモジュール層に上記コア材や外装材が積層されていることを特徴とする請求項1記載のプラスチックカード。
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