JP3961243B2 - カード用樹脂シート及びicカード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カード用樹脂シート及びICカードに係り、詳しくはICカードのコアシートとして好適なカード用樹脂シート及びICカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気ストライプカードやICカード等のプラスチックカードの素材としては、従来よりポリ塩化ビニル系樹脂(以下、「PVC」という)からなるシートがよく使用されている。
【0003】
例えば、磁気ストライプカードは、一般に、片面に印刷を施した2枚の白色のコアシートを、印刷していない面が向き合うように合わせ、さらに磁気テープを仮貼りした透明のオーバーシートを印刷面の上に重ねて、熱プレスでシート間を熱融着した後、打ち抜き刃でカード形状に切断し、最後に磁気テープへのエンコードと、エンボスと呼ばれる文字の刻印とを施して製造される。
【0004】
ICカードには「接触式ICカード」と「非接触式ICカード」とがあり、「接触式ICカード」はICチップの情報を読み書きするリーダライタとの接点がカード表面に露出している。「非接触式ICカード」は、カードにアンテナコイルとICチップとが内蔵され、磁界中をカードが通過する時にコイルに発生する誘導電流で、ICチップの情報の読みとり、書き換えが可能となっている。
【0005】
ICカードはコアシートと、その表裏両側に貼り合わされたオーバーシートとを有する。そして、接触式ICカードでは、表面側のオーバーシート及びコアシートにかけて形成された凹部に、ICチップモジュールが、リーダライタとの接点がカード表面に露出する状態で埋め込まれる。また、非接触式ICカードでは、アンテナコイル及びICチップがコアシート内に埋設されている。
【0006】
PVCシートはカレンダー法で大量に生産でき、印刷、融着、エンボスなどの加工性に優れた、カード用に好適な素材である。しかし、PVC製樹脂カードは、炎天下、直射日光が当たる自動車の車内等に保管又は放置すると、カードにエンボス加工により刻印された文字、記号等の凸部の高さが低下するという問題がある。この問題を解決するため、特開平11−60921号公報には、ポリカーボネート70〜25重量%とポリブチレンテレフタレート30〜75重量%とからなるプラスチックカード用樹脂組成物が提案されている。
【0007】
また、近年、世の中のエコロジーブームに乗って、PVC以外の素材からなるカード用シートのニーズが高まっており、例えば、テレフタル酸とエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールの脱水縮合体である非結晶性のポリエステル樹脂からなるシートが提案されている。この材料は、PVCシートに近いカードへの加工性を持ち、PVCシートと同じ設備を用いてカード化できるため、PVCに替わるシート素材の本命と言われている。しかし、前記非結晶性のポリエステル樹脂からなるシートは、PVCと同じ条件設定のエンボッサーで文字の刻印を行うと、カードのカール(以下、「エンボスカール」という)が大きくなることがあり、ISO、JIS規格を満たさなかったり、カードの美観上好ましくないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特開平11−60921号公報に記載の樹脂組成物で形成された樹脂カードは、エンボス文字の高さの減少量はPVC製樹脂カードに比較して向上したが、反りに関してはPVC製樹脂カードより悪い。
【0009】
非結晶性のポリエステル樹脂からなるシートから形成したカードのエンボスカールを抑制するため、フィラーを混合することが考えられる。しかし、フィラーを多く入れると、シート間の融着強度が低下するとともに、割れ易くなる。また、接触式ICカードでは、コアシートに埋め込まれた部分のICチップがICカードの裏面側から見えないように隠蔽すること、非接触式ICカードでは、コアシートに埋め込まれた部分のICチップ及びアンテナコイルがICカードの表面及び裏面側から見えないように隠蔽することが、見栄えの上で重要となる。
【0010】
コアシートの透けを防止するため顔料を添加して前記隠蔽を行った場合、顔料を増やすとカードが割れやすくなるとともに、コストアップにもなる。
フィラー及び顔料の添加量の増加によりシートの衝撃強度が低下して割れ易くなるのを抑制するため、衝撃改良剤をコアシート全体に添加すると、腰が弱くなってエンボスカールが大きくなるとともに、耐熱性も低下するという問題がある。
【0011】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、オーバーシートとの融着強度を低下させず、エンボスカールの増大を抑制し、ICカードに適用した際、ICチップ等の隠蔽性を高めることができるカード用樹脂シートを提供することにある。また、第2の目的は、エンボスカールが小さく、ICチップ等の隠蔽性を高めたICカードを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、樹脂成分がポリエステル系樹脂又はポリカーボネートとポリエステル系樹脂の混合物である樹脂シートを使用して、表層、中間層及び裏層の3層構成としたICカードのコアシート用の樹脂シートにおいて、前記表層及び裏層のフィラー含有量を前記中間層のフィラー含有量より少なくし、前記各層の樹脂に着色剤を添加するとともに、前記着色剤の割合を中間層より表裏層で多くし、前記着色剤の濃度は表層及び裏層で下限が15重量%、上限が30重量%である。
【0013】
この発明では、樹脂シートはPVCの樹脂シートと同等の加工性が得られる。
樹脂シートが表層、中間層及び裏層の3層構成で、表裏両層に含有されるフィラー及び着色剤の割合が、中間層に含有されるフィラー及び着色剤の割合と異なるように設定されている。そして、フィラーの含有量は表裏両層で低く、着色剤の含有量は表裏両層で高くなる。従って、樹脂シート全体としてエンボスカールを抑えるのに必要なフィラー量を使用しても、ICカードのコアシートとして使用した際、ICチップ等を良好に隠蔽するのに必要な着色剤を表裏両層に含有させることができる。また、表裏両層のフィラー量を低くでき、オーバーシートとの融着強度が低下せず強固に融着される。また、この発明では、隠蔽性と割れ難さを共に満足させることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記樹脂成分はポリカーボネートとポリエステル系樹脂との樹脂アロイであり、ポリエステル系樹脂としてポリブチレンテレフタレート又はその共重合体が使用されている。この発明では、樹脂アロイの構成樹脂の配合を変えることにより、カードの加工性等の自由度が高くなる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記着色剤は顔料である。この発明では、着色剤として顔料が使用されているため、染料に比較して必要な隠蔽性と色調を確保し易い。
【0017】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記フィラーは平均粒径が2μm以下のタルクで、前記中間層のフィラー含有量の下限が8重量%である。この発明では、エンボスカールの要求性能を満たした状態で、表裏両層の顔料濃度の自由度が増す。
【0018】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記表層及び裏層には衝撃改良剤が5〜20重量%含有されている。
この発明では、表裏両層に衝撃改良剤が含有されているため、耐衝撃性を低下させずに顔料濃度を高めて隠蔽性を確保することができる。
【0019】
前記第2の目的を達成するため、請求項6に記載の発明のICカードでは、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明のカード用樹脂シートをコアシートに使用した。この発明では、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明の効果を有する。
【0020】
請求項7に記載の発明では、前記コアシートは前記カード用樹脂シートを複数枚積層して構成されている。この発明では、厚さの異なるコアシートを備えたICカードを容易に製造することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を接触式ICカードのコアシートに具体化した一実施の形態を図1(a),(b)に従って説明する。図1(a)はICモジュールを組み込む前の接触式ICカードのカード本体の部分模式断面図、図1(b)はICモジュールを組み込んだ状態の接触式ICカードの部分模式断面図である。
【0022】
接触式ICカード11はコアシート12と、その表裏両面に積層されたオーバーシート13a,13bとからカード本体14が形成され、カード本体14に形成された収容凹部15にICモジュール16が収容されている。オーバーシート13a,13bは透明な樹脂フィルムで形成されている。オーバーシート13aと対向する面がコアシート12の表の印刷面17aとなり、オーバーシート13bと対向する面がコアシート12の裏の印刷面17bとなる。
【0023】
ICモジュール16は、ICチップ16aを基板16bに実装するとともに、封止剤16cで封止することにより構成されている。基板16bにはその裏面(ICチップ16aが実装された面と反対側の面)にカードリーダライタとの接点(図示せず)が設けられている。
【0024】
収容凹部15は表面側のオーバーシート13aとコアシート12とに跨って形成されている。ICモジュール16は、基板16bの裏面がカード本体14の表面に露出する状態で、収容凹部15に収容されるとともに接着剤18でカード本体14に接着固定されている。収容凹部15は印刷面17a,17bに所望の印刷が施された後、ルータなどによる切削加工で形成される。なお、図1(a),(b)では印刷部は図示していない。
【0025】
コアシート12は、表層12a、中間層12b及び裏層12cの3層で構成されている。各層12a〜12cは、樹脂成分がポリエステル系樹脂又はポリカーボネート(PC)とポリエステル系樹脂の混合物(PC/ポリエステル系樹脂アロイ)である樹脂シートで形成されている。コアシート12の総厚さは0.1〜0.7mmで、表層12a、中間層12b及び裏層12cの厚さの比は、1/8/1〜2/1/2に、即ち中間層12bの厚さがコアシート12の20〜80%となっている。
【0026】
各層12a〜12cをポリエステル系樹脂で構成する場合は、ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4シクロヘキサンジメタノールで置換してなる実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂(PETG)を主成分とするものが好ましい。具体的には、エチレングリコールの約30〜60モル%を1,4シクロヘキサンジメタノールで置換したイーストマンケミカル社製の商品名PETG6763や同社のPCTG5445等が商業的に入手可能なものとして挙げられる。
【0027】
また、樹脂成分としてPC/ポリエステル系樹脂アロイを使用する場合は、ポリエステル成分としてPETG又はポリブチレンテレフタレート(PBT)を使用するのが好ましい。ポリブチレンテレフタレートはテレフタル酸と1,4−ブタンジオールの脱水縮合体であり、ホモポリマーでも共重合ポリマーでもどちらでもよい。共重合ポリマーとしては、テレフタル酸の一部をイソフタル酸で置換したものが商業的に入手でき、好適に使用できる。
【0028】
ポリブチレンテレフタレートのホモポリマーを用いる場合、濃度が高いとカードの加工での熱プレス融着工程でシートの結晶化が進み、シート間の融着強度が低下したり、カードが割れ易くなるという問題が起こることがある。ポリブチレンテレフタレートの共重合体を用いると熱プレス融着工程での結晶化が起こり難くなるため、例えば、テレフタル酸の約30モル%をイソフタル酸で置換した共重合体を用いると結晶化をほぼ防止することができる。しかし、その添加濃度が高すぎるとシートの腰が弱くなりすぎたり、インキの密着力が弱くなったりすることがあるため、その添加濃度の上限は概ね40wt%である。
【0029】
各層12a〜12cの樹脂にそれぞれ別の樹脂を使用してもよいが、この実施の形態では製造のし易さから、各層12a〜12cは同じ樹脂を使用して添加物の割合を変えた構成としている。
【0030】
各層12a〜12cにはフィラー及び着色剤が含有されている。フィラーには例えば、平均粒径が2μm以下のタルクが使用され、表層12a及び裏層12cのフィラー含有量は、中間層12bのフィラー含有量より少なく設定されている。中間層12bのフィラー濃度は8重量%以上に設定されている。表層12a及び裏層12cのフィラー濃度はそれ未満に設定されている。中間層12bの物性によりコアシート12全体としてエンボスカールの必要な軽減が図れる場合は、表層12a及び裏層12cのフィラー含有量をゼロとしてもよいが、フィラーは含まれている方が好ましい。
【0031】
着色剤には顔料が使用されている。顔料としては酸化チタンや硫酸バリウムのような白色顔料が望ましい。表層12a及び裏層12cの着色剤の含有量は、中間層12bの着色剤の含有量より大きく設定されている。一定の隠蔽性を確保するにはある量以上の着色剤が必要となる。そして、その濃度は表層12a及び裏層12cの厚さによっても変化し、表層12a及び裏層12cが薄くなれば濃度は高くなる。しかし、あまり高くすると割れ易くなるため、顔料の濃度は表層及び裏層で下限が15重量%、上限が30重量%が好ましい。
【0032】
表層12a及び裏層12cには衝撃改良剤が添加されている。衝撃改良剤としては、例えばアクリルゴムが使用される。衝撃改良剤は樹脂に対して5〜20重量%の範囲で添加するのが好ましい。
【0033】
(実施例)
以下、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明する。
<カードの作製>
コアシートを形成する樹脂として、イーストマンケミカル社のPETG6763(以下、「PETG」と略す)と、ポリカーボネート(PC)とポリエステル系樹脂の樹脂アロイを使用した。樹脂アロイのポリエステル系樹脂としてポリブチレンテレフタレート(PBT)ホモポリマーと、イソフタル酸(IPA)変性PBTを使用した。それらの樹脂を使用して、表1〜表3に示す配合処方となるように、表層、中間層及び裏層からなる3層構成の多層シートを、同方向2軸押出機を使用した共押出法により製作した。
【0034】
フィラーには平均粒径が2μmのタルクを使用した。タルクは特別な表面処理を行っていないものを用いた。
また、PETGに少量の脂肪酸エステル系潤滑剤を添加した配合物を用いて、Tダイ押出法によって厚さ100μmの透明なオーバーシートを製作した。
【0035】
<シートの評価>
1.エンボスカール
1枚のコアシートの上下を各1枚のオーバーシートで挟み、これをクロムメッキ板で挟み、110℃で10分間、シートの面圧9.8×105 Paでプレスした後、室温まで冷却して取り出し、カード形状に打ち抜いてから日本データカード社のエンボスエンコーダーDC9000を用いて7Bフォントの文字を3行、各行19文字エンボスした。エンボス文字のパターンは「123・・・90123・・・789」とした。
【0036】
エンボス後のカードを定盤上に置き、定盤面からカードの非エンボス面の最も高い位置までの高さを測定し、これをエンボスカールの値とした。エンボスカールはISO、JISともに2.5mm以下と規定されているが、実用上のカードの見栄えを考慮して、エンボスカールが2.0mm未満のものを◎、2.0〜2.2mmのものを○、2.2mmを超えるものを×とした。
【0037】
2.カードの割れ
エンボスしたカードの両短辺を手の親指と中指で挟み、カードの長辺方向に垂直に折り曲げた時、カードが割れずに折れ曲がるものを○、カードが割れるものを×とした。
【0038】
3.隠蔽性
カードの裏面から目視観察して、隠蔽が十分なものを◎、完全ではないが支障のないものを○、隠蔽が不十分なものを×とした。
【0039】
4.コアシートとオーバーシートとの融着性
実施例1〜実施例14についてコアシートとオーバーシートとの融着状態を調べたが、オーバーシートは確実に表裏層と融着していた。
【0040】
各実施例及び比較例のシートの評価結果を表4に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
実施例1〜3により、表層12a及び裏層12cの顔料が15%以上のときは、両層12a,12bの厚さが大幅に変化しても、エンボスカール性、隠蔽性が十分であり、カード割れも満足できる性能が得られることを確認できる。比較例1,2、比較例5,6及び比較例9,10から、表裏層の顔料が10%(15%未満)のときは隠蔽性が不十分であることを確認できる。また、比較例3,7,11から、顔料が30%より多くなると、隠蔽性は十分であるが、カードが割れ易くなることを確認できる。
【0045】
実施例5,6、実施例9,10及び実施例13,14から、表裏層の顔料の濃度を高くするとともに厚さを薄くし、その分、中間層を厚くすることにより、隠蔽性が良好なまま、エンボスカール性がより向上することを確認できる。
【0046】
この実施の形態では次の効果を有する。
(1) 樹脂成分がポリエステル系樹脂又はPCとポリエステル系樹脂のアロイ樹脂の樹脂シートを使用して、表層、中間層及び裏層の3層構成とし、表層及び裏層のフィラー含有量を中間層のフィラー含有量より少なくし、各層の樹脂に着色剤を添加するとともに、着色剤の割合を中間層より表裏層で多くした。即ち、表裏層は隠蔽性に重点をおいた組成とし、中間層はエンボスカールを抑えるのに重点をおいた組成となっている。従って、樹脂シート全体としてエンボスカールを抑えるのに必要なフィラー量を使用しても、ICカードのコアシートとして使用した際、ICチップ等を良好に隠蔽するのに必要な着色剤を表裏両層に含有させることができる。また、表裏両層のフィラー量を低くでき、オーバーシートとの融着強度が低下せず強固に融着される。
【0047】
(2) 着色剤として顔料が使用されているため、染料に比較して必要な隠蔽性と色調を確保し易い。
(3) 顔料の濃度は表層及び裏層で下限が15重量%、上限が30重量%に設定されている。従って、表裏層と中間層の厚さの比を大きく変えても隠蔽性と割れ難さを共に満足させることができる。
【0048】
(4) フィラーに平均粒径が2μm以下のタルクを使用し、中間層のフィラー含有量の下限を8重量%としたので、エンボスカールの要求性能を満たした状態で、表裏両層の顔料濃度を比較的広い範囲で変更できる。
【0049】
(5) 表層12a及び裏層12cには衝撃改良剤が5〜20重量%含有されているため、耐衝撃性を低下させずに顔料濃度を高めて隠蔽性を確保することができる。また、ICカードとして使用され、繰り返し曲げ作用を受けた際、収容凹部15の底部の隅から裏層12cを経て割れが表面へ伝播するのが抑制される。また、中間層には衝撃改良剤を添加しないため、コアシート12全体としてエンボスカールが大きくなるほど腰が弱くならず、耐熱性の低下も抑制される。
【0050】
(6) 実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂として、商業的に入手可能なものを使用できるので、製造コストを低下できる。
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0051】
○ コアシート12を非接触式ICカードの製造に使用してもよい。非接触式ICカードの場合は、図2に示すように、ICチップ19aを備えたICモジュール19及びアンテナコイル20は、中間層12bに形成された孔21に収容された状態で接着剤で固定される。そして、孔21は表層12a及び裏層12cで覆われる。
【0052】
○ ICカードを製造する際、1枚のコアシート12を両オーバーシート13a,13bで挟持する構成に限らず、図3に示すように、複数枚(図3では2枚)のコアシート12をオーバーシート13a,13b間に挟持する構成としてもよい。この場合、薄いコアシート12を予め多数準備しておき、両オーバーシート13a,13bに挟持されるコアシート12の枚数を調整することにより、厚さの異なるコアシート12を備えたICカードを容易に製造できる。
【0053】
○ カードとしての要求性能を満たせば、中間層12bと、表層12a及び裏層12cとで違った樹脂を使用した構成としてもよい。例えば、PCとポリエステルのアロイの場合、表層12a及び裏層12cと中間層12bとで、PCの比率を変えたり、各樹脂の分子量を変えた構成としてもよい。具体的には、PC/PBT系の3層品の場合、表層12a及び裏層12cには、中間層12bより分子量が低めのPC及び/又はPBTを使用する。この場合、シート間のプレス時の融着性が向上する。
【0054】
○ 表層12a及び裏層12cにPETGを使用し、中間層12bにPC/ポリエステル系アロイを使用した構成としてもよい。この場合、PETGの低温融着の長所と、PC/ポリエステル系アロイの耐熱性の長所が生かせる。
【0055】
○ 表層12a及び裏層12cに使用する顔料の種類によっては、衝撃改良剤を添加しなくても良い。しかし、一般には衝撃改良剤を添加する方が良い。
○ 顔料は白色のものに限らず、白以外の色に着色されるものでもよい。しかし、白に着色される顔料の方が、印刷面17a,17bの印刷に使用するインクの色の自由度が大きくなる。
【0056】
○ 所望の隠蔽性と色調とを確保できれば、着色剤として顔料に代えて染料を使用してもよい。しかし、顔料の方が要求性能を満たすのが容易となる。
○ 参考例としてICカードのコアシートに限らず、磁気ストライプカードのコアシートに適用してもよい。磁気ストライプカードにおいても、コアシートとオーバーシートとの融着性は重要であり、エンボスカールを抑えて融着性を高めることができる。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明のカード用樹脂シートによれば、オーバーシートとの融着強度を低下させず、エンボスカールの増大を抑制し、ICカードに適用した際、ICチップ等の隠蔽性を高めることができる。また、本発明のICカードによれば、エンボスカールが小さく、ICチップ等の隠蔽性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は一実施の形態のカード本体の部分模式断面図、(b)は接触式ICカードの部分模式断面図。
【図2】 非接触式ICカードの部分模式分解断面図。
【図3】 別の実施の形態のカード本体の部分模式分解断面図。
【符号の説明】
12a…表層、12b…中間層、12c…裏層、12…カード用樹脂シートとしてのコアシート。
Claims (7)
- 樹脂成分がポリエステル系樹脂又はポリカーボネートとポリエステル系樹脂の混合物である樹脂シートを使用して、表層、中間層及び裏層の3層構成としたICカードのコアシート用の樹脂シートにおいて、前記表層及び裏層のフィラー含有量を前記中間層のフィラー含有量より少なくし、前記各層の樹脂に着色剤を添加するとともに、前記着色剤の割合を中間層より表裏層で多くし、且つ前記着色剤の濃度は表層及び裏層で下限が15重量%、上限が30重量%であることを特徴とするカード用樹脂シート。
- 前記樹脂成分はポリカーボネートとポリエステル系樹脂との樹脂アロイであり、ポリエステル系樹脂としてポリブチレンテレフタレート又はその共重合体が使用されている請求項1に記載のカード用樹脂シート。
- 前記着色剤は顔料である請求項1又は請求項2に記載のカード用樹脂シート。
- 前記フィラーは平均粒径が2μm以下のタルクで、前記中間層のフィラー含有量の下限が8重量%である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のカード用樹脂シート。
- 前記表層及び裏層には衝撃改良剤が5〜20重量%含有されている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のカード用樹脂シート。
- 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明のカード用樹脂シートをコアシートに使用したICカード。
- 前記コアシートは前記カード用樹脂シートを複数枚積層して構成されている請求項6に記載のICカード。
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