JP3907956B2 - カード用シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クレジットカードやキャッシュカードなどの磁気ストライプカードやICカード用に使用されるカード用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気ストライプカードやICカード等のプラスチックカードの素材としては、従来よりポリ塩化ビニル系樹脂(以下、「PVC」という)からなるシートがよく使用されている。
【0003】
例えば、磁気ストライプカードは、一般に、片面に印刷を施した2枚の白色のコアシートを、印刷していない面が向き合うように合わせ、さらに磁気テープを仮貼りした透明のオーバーシートを印刷面の上に重ねて、熱プレスでシート間を熱融着した後、打ち抜き刃でカード形状に切断し、最後に磁気テープへのエンコードと、エンボスと呼ばれる文字の刻印とを施して製造される。
【0004】
PVCシートはカレンダー法で大量に生産でき、印刷、融着、エンボスなどの加工性に優れた、カード用に好適な素材である。
近年、世の中のエコロジーブームに乗って、PVC以外の素材からなるカード用シートのニーズが高まっており、例えば、テレフタル酸とエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールの脱水縮合体である非結晶性のポリエステル樹脂からなるシートが提案されている。
【0005】
この材料は、PVCシートに近いカードへの加工性を持ち、PVCシートと同じ設備を用いてカード化できるため、PVCに替わるシート素材の本命と言われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記非結晶性のポリエステル樹脂からなるシートは、PVCと同じ条件設定のエンボッサーで文字の刻印を行うと、カードのカール(以下、「エンボスカール」という)が大きくなることがあり、ISO、JIS規格を満たさなかったり、カードの美観上好ましくないという問題があった。
【0007】
また、PVCと同じインキ、同じ条件でコアシートにスクリーン印刷を行うと乾燥が非常に遅く、乾燥工程を終えたシートを積み重ねると、印刷面の上側のシートの裏面にインキが転写してしまう、所謂「裏写り」が起こり易いという問題があった。
【0008】
この「裏写り」を防止するため、乾燥時間をPVCの場合より長くしたり、インキの溶剤組成を変更する等の検討が行われているが、PVCシートと非結晶性ポリエステル樹脂シートを同じ設備でカード化している現状では、これらの対策は実現性に乏しく、PVCシートと同じ条件でスクリーン印刷を行っても裏写りの起こらないようなシートが望まれていた。
【0009】
エンボスカールの大きさはカードの曲げ弾性率とエンボス部の残留応力との比に比例しており、これを改良するには板状のフィラーを添加して曲げ弾性率を向上させ、エンボス部の残留応力を低下するのが望ましい。しかし、裏写りを同時に防止するには高濃度のフィラーを添加する必要があり、シートの衝撃強度が低下してカードが割れ易くなるという問題があった。
【0010】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、PVCシートと同じ条件でスクリーン印刷、エンボス加工を行ってカードを製造しても、裏写りが起こらず、エンボスカールも抑制できるカード用シートを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は、鋭意検討した結果、実質的に非結晶性のポリエステル樹脂を主成分とするシートのスクリーン印刷後の裏写りは、以下の原因によるものであることを見出した。即ち、スクリーン印刷用インキ中に含まれている遅乾燥性溶剤がPVCシートには短時間で吸収され、やがてシート中を拡散し、シート外へ蒸発して行くのに対し、実質的に非結晶性のポリエステルを主成分とするシートには吸収され難く、やがてシート表面を溶解してしまう。その結果、通常の乾燥工程を終えてもシート表面付近の残留シクロヘキサノン濃度が高くなっており、裏写りが起こり易くなる。
【0012】
更に発願明者は、これを解決するためにはPVCのようにシート中へ溶剤が吸収され易くする方法の他に、逆にシートの耐溶剤性を高くして、溶剤がシート表面を溶解し難くする方法が有効であることを見出した。そして、そのためにはポリブチレンテレフタレートあるいはその共重合体の添加が大きな効果を有し、板状の無機フィラーとの併用により、裏写りとエンボスカールとを同時に改良(抑制)することができることを見出し、本願発明に至ったのである。
【0013】
そして、前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなる実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂を主成分とするシートであって、平均粒径が1〜7μmの板状無機フィラーを3〜15wt%と、ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体を5〜40wt%とを含有する。
【0014】
「実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂」とは、所謂共重合ポリエステルの中でも特に結晶性の低いもので、プレス融着等の実用上頻繁に行われる熱加工を行っても、結晶化による白濁や融着不良を起こさないものを言う。
【0015】
この発明では、シートに含有された板状無機フィラーによりシートの曲げ弾性率を向上させ、ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体により印刷インキの裏写りが抑制される。従って、環境面でPVCシートより優れ、しかもPVCシートに近いカードへの加工性を有するシートが得られる。
【0016】
請求項2に記載の発明では、ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなる実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂を主成分とするシートの少なくとも片側の面に、請求項1に記載の組成物からなる層が設けられている。
【0017】
この発明では、カード用シート全体に板状無機フィラーと、ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体とを含有させるのではなく、それらが含有されていない非結晶性のポリエステル系樹脂製シートの少なくとも片面にそれらを含有する前記シートが設けられているので、シートの物性の調整の自由度が大きくなる。
【0018】
請求項3に記載の発明では、ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなる実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂を主成分とする2種2層のシートであって、平均粒径が1〜7μmの板状無機フィラーを3〜15wt%含有する層と、ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体を5〜40wt%含有する層が積層されている。
【0019】
この発明では、裏写りを抑制する機能と、エンボスカールを抑制する機能とがそれぞれ別の層で担われるため、各機能が効率良く発揮される。
請求項4に記載の発明では、ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなる実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂を主成分とする2種3層のシートであって、平均粒径が1〜7μmの板状無機フィラーを3〜15wt%含有する層が中心層、ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体を5〜40wt%含有する層が表裏層となるように積層されている。
【0020】
この発明では、請求項3に記載の発明と同様に、裏写りを抑制する機能と、エンボスカールを抑制する機能とがそれぞれ別の層で担われるため、各機能が効率よく発揮される。また、表裏層に裏写りを抑制する機能を有する層が設けられているため、カードを製造する際に印刷する面を確認する必要がない。
【0021】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記板状無機フィラーが、平均粒径1μm以上、3μm以下のタルクであり、前記ポリブチレンテレフタレートはその構成成分であるテレフタル酸の10〜40モル%がイソフタル酸で置換されている。
【0022】
この発明では、裏写り及びエンボスカールを抑制する機能がより向上する。
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、少なくともシートの片面に、10点平均粗さが10μm以上、40μm以下である連続的なマット加工が施されている。
【0023】
この発明では、カードを製造する際、他のカードの印刷面にマット加工面が接触するように重ねても、裏写りの防止効果が向上する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を説明する。
本発明のカード用シートは、ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4シクロヘキサンジメタノールで置換してなる実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂を主成分とするシートである。そして、平均粒径が1〜7μmの板状無機フィラーを3〜15wt%と、ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体を5〜40wt%とを含有している。
【0025】
具体的には、エチレングリコールの約30〜60モル%を1,4シクロヘキサンジメタノールで置換したイーストマンケミカル社製の商品名PETG6763や同社のPCTG5445等が商業的に入手可能なものとして挙げられる。シートには必要に応じて、着色剤や滑剤、あるいは衝撃強度や耐熱性等の物性を改良する材料が添加されていてもよい。
【0026】
板状無機フィラーとは、その形状が鱗片状のもので、例えばマイカ(雲母)、タルク等の汎用のものを使用できる。
板状無機フィラーの粒径が大きすぎるとシートの衝撃強度が大きく低下することがあるため、板状無機フィラーの粒径は概ね平均粒径が7μm以下であるのが望ましい。また、粒径が小さすぎるとシートへの練り込みの作業性が低下するため、概ね平均粒径が1μm以上であるのが望ましい。そして、1〜3μmが特に好ましい。
【0027】
板状無機フィラーの濃度は3wt%以上、15wt%以下が望ましい。濃度が3wt%未満ではエンボスカールの改良効果が不十分となることがあり、濃度が15wt%を超えるとシートの衝撃強度が低下することがある。
【0028】
ポリブチレンテレフタレートはテレフタル酸と1,4−ブタンジオールの脱水縮合体であり、ホモポリマーでも共重合ポリマーでもどちらでもよい。共重合ポリマーとしては、テレフタル酸の一部をイソフタル酸で置換したものが商業的に入手でき、好適に使用できる。
【0029】
ポリブチレンテレフタレートあるいはその共重合体の濃度は5wt%以上40wt%以下が望ましい。ホモポリマーを用いる場合の濃度は概ね5wt%以上20wt%以下が望ましい。5wt%未満では裏写りの改良効果が不十分となり、20wt%を超えると、カードの加工での熱プレス融着工程でシートの結晶化が進み、シート間の融着強度が低下したり、カードが割れ易くなるという問題が起こることがある。ポリブチレンテレフタレートの共重合体を用いると熱プレス融着工程での結晶化が起こり難くなるため、例えば、テレフタル酸の約30モル%をイソフタル酸で置換した共重合体を用いると結晶化をほぼ防止することができる。しかし、その添加濃度が高すぎるとシートの腰が弱くなりすぎたり、インキの密着力が弱くなったりすることがあるため、その添加濃度の上限は概ね40wt%である。
【0030】
シートは単層構成の他に、2層、3層のような多層構成であってもよい。しかし、上記の板状無機フィラーと、ポリブチレンテレフタレートあるいはその共重合体とが、一層に同時に添加されるか、異なる層にそれぞれ単独に添加されて全層で板状無機フィラーと、ポリブチレンテレフタレートあるいはその共重合体とが添加されていることが必要で、いずれか一方のみの添加では、エンボスカールと裏写りとを同時に解決することができない。
【0031】
また、シートはポリブチレンテレフタレート又はその共重合体を5〜40wt%含有する層がシートの片側の表層あるいは表裏層にあり、残りの層が平均粒径が1〜7μmの板状無機フィラーを3〜15wt%含有する層である、2種2層あるいは2種3層構成であってもよい。
【0032】
この場合の各層の厚さ比率については特に限定はないが、ポリブチレンテレフタレートあるいはその共重合体を含有する層が全体に占める割合がおおよそ20〜50%の範囲であることが望ましい。20%以下であれば裏写りの防止効果が不十分となることがあり、50%を超えるとエンボスカールの改良効果が不十分となることがある。
【0033】
シートが2種2層構成の場合は、ポリブチレンテレフタレートあるいはその共重合体を含有する層があるシート面がスクリーン印刷面となるように使用する。
これらのシートに用いる板状無機フィラーとしては、シートへの加工性、エンボスカールの改良効果の大きさ、コスト面から見てタルクが最も好ましい。また、ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体としては、テレフタル酸の10〜40モル%をイソフタル酸で置換したものが、カードへの加工でのプレス工程で結晶化が起こり難いためカードの物性低下が少なく、裏写りの改良効果も十分にあり、これらを組み合わせて使用するのが最も望ましい。
【0034】
また、表裏層に裏写りを抑制する機能を有する層を配して2種3層としたものは、印刷後の乾燥が不充分で溶剤が幾分残存している場合でも、印刷面と接触する面も溶剤で膨潤し難くなっているので裏写りの危険が小さく、更に好ましい。
【0035】
シートは、少なくとも片面に、10点平均粗さが10μm以上、40μm以下である連続的なマット加工が施されていることが望ましく、スクリーン印刷後、シートを積み重ねた時に印刷面に接触する面の表面粗さが上記の範囲であれば裏写り防止効果がさらに大きくなる。10点平均粗さが10μm未満であれば裏写り防止効果が明確に現れないことがあり、40μmを超えると、その面同士を合わせてプレスするとき、シート間に空気が溜まり易くなることがあり望ましくない。
【0036】
(実施例)
以下、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明する。
<シートの作製>
ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなる実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂としては、イーストマンケミカル社のPETG6763(以下、「PETG」と略す)を、ポリブチレンテレフタレートとしてはポリプラスチック社のジュラネックス600FP(以下、「ホモPBT」と略す)を、ポリブチレンテレフタレートの共重合体としては、テレフタル酸の約30モル%をイソフタル酸で置換した、ポリプラスチック社のジュラネックス600LP(以下、「IPA変性PBT」と略す)を使用した。そして、それらの樹脂を用いて、表1,2に示した配合処方からなる白色の単層シート及び表4に示した層構成からなる多層シートを、同方向2軸押出機を使用したTダイ押出法及び共押出法により製作した。シートの厚さは単層、多層ともに総厚さ280μmとした。以下、これらのシートを「コアシート」と呼ぶ。
【0037】
表1,2において、タルクの平均粒径はタルクAが0.5μm、タルクBが2μm、タルクCが5μm、タルクDが10μmのものを使用した。いずれのタルクも特別な表面処理を行っていないものを用いた。
【0038】
また、PETGに少量の脂肪酸エステル系潤滑剤を添加した配合物を用いて、コアシートと同様にTダイ押出法によって厚さ100μmの透明シートを得た。以下、このシートを「オーバーシート」と呼ぶ。
【0039】
<シートの評価>
1.裏写り
枚葉にカットしたコアシートの片面に、PVCシートの印刷に用いられているインキと同一のスクリーンインキ(商品名「VSスクリーンインキ」、帝国インキ製造社製)を用い、スクリーン印刷法によりベタ柄の印刷を行い、40℃の熱風循環式乾燥機中で15分乾燥した。その後、印刷面が上となるように100枚のシートを積み重ね、室温で一晩放置した後、一番下側のシートの印刷面がその上のシートの裏面にどの程度密着しているかを評価した。
【0040】
2種2層構成のコアシートの場合は、ホモPBTあるいはIPA変性PBTを含有する層側に印刷を行った。
密着がほとんどなく容易に剥がれ、インキの転移が起こっていないものを○、剥がす時の抵抗が大きいもの、インキが上側のシートの裏面に転移しているものを×とした。
【0041】
さらに、前記乾燥時間を5分(乾燥不充分の状態)として上記と同様の評価を行っても、密着がほとんどなく容易に剥がれ、インキの転移が起こっていないものについては◎とした。
【0042】
2.エンボスカール
2枚のコアシートを重ね、その上下を各1枚のオーバーシートで挟み、これを1枚のクロムメッキ板で挟み、110℃で10分間、シートの面圧9.8×105 Paでプレスした後、室温まで冷却して取り出し、カード形状に打ち抜いてから日本データカード社のエンボスエンコーダーDC9000を用いて7Bフォントの文字を3行、各行19文字エンボスした。エンボス文字のパターンは「123・・・90123・・・789」とした。
【0043】
2種2層構成のコアシートは、ホモPBTあるいはIPA変性PBTを含有する層側がオーバーシートと接するような重ね方とした。
エンボス後のカードを定盤上に置き、定盤面からカードの非エンボス面の最も高い位置までの高さを測定し、これをエンボスカールの値とした。エンボスカールはISO、JISともに2.5mm以下と規定されているが、実用上のカードの見栄えを考慮して、エンボスカールが2.0mm未満のものを◎、2.0〜2.2mmのものを○、2.2mmを超えるものを×とした。
【0044】
3.カードの割れ
エンボスしたカードの両短辺を手の親指と中指で挟み、カードの長辺方向に垂直に折り曲げた時、カードが割れずに折れ曲がるものを○、カードが割れるものを×とした。
【0045】
各実施例及び比較例のシートの評価結果を表3及び表4に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0003907956
【0047】
【表2】
Figure 0003907956
【0048】
【表3】
Figure 0003907956
【0049】
【表4】
Figure 0003907956
比較例1〜比較例3から板状無機フィラーを含有しない場合は、エンボスカール防止効果が無いことを確認できる。また、比較例7から板状無機フィラーを含有していても、平均粒径が1μm未満ではエンボスカール防止効果が無いことを確認でき、比較例9から平均粒径が適正であっても含有量が3wt%未満ではエンボスカール防止効果が無いことを確認できる。
【0050】
比較例8からエンボスカール防止効果が良くても、板状無機フィラーの平均粒径が10μm程度と大きくなると、衝撃強度が低下してカードの割れが発生することを確認できる。また、比較例10からエンボスカール防止効果が良くても、板状無機フィラーの含有量が15wt%のように大きくなると、衝撃強度が低下してカードの割れが発生することを確認できる。
【0051】
比較例1及び比較例4からホモPBT及びIPA変成PBTのいずれも含有せずに樹脂成分として非結晶性のポリエステル系樹脂(PETG)のみを使用した場合は裏写り防止効果が無いことを確認でき、比較例5からシートがポリブチレンテレフタレートを含有していても、含有量が5wt%未満の場合は裏写り防止効果がないことを確認できる。
【0052】
比較例6からホモPBTを多量に含有すると、カードが割れ易くなることを確認できる。
実施例7及び実施例8から樹脂成分を非結晶性のポリエステル系樹脂のみ(PETG)で形成したシートに、適量のIPA変成PBT及びタルクを含有した非結晶性のポリエステル系樹脂で形成した層を片面又は両面に設けることにより、エンボスカール及び裏写りの抑制効果と、カードの割れの防止効果が得られることを確認できる。
【0053】
実施例9〜実施例12から、エンボスカールの抑制効果が有る層と、裏写り抑制効果がある層とを2層又は3層組み合わせることにより、エンボスカール及び裏写りの両方の抑制効果を有するシートが得られることを確認できる。
【0054】
比較例12〜比較例14から、エンボスカールの抑制効果が有る層と、裏写り抑制効果がある層とを2層又は3層組み合わせても、元の層に無い効果は新たに生じないことを確認できる。
【0055】
この実施の形態では次の効果を有する。
(1) 実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂に平均粒径が1〜7μmの板状無機フィラーを3〜15wt%と、ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体を5〜40wt%とを含有させることにより、カードを製造したときにエンボスカール及び裏写りを抑制でき、カードの割れも防止できる。
【0056】
(2) 板状無機フィラーと、ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体を含有しない層と、板状無機フィラーと、ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体を含有する層との組合せでも、エンボスカール及び裏写りを抑制でき、カードの割れも防止できる。従って、シートの物性の調整の自由度が大きくなる。
【0057】
(3) ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体を含有する層と、板状無機フィラーを含有する層とを分けた2層構成でシートを構成することで、裏写りを抑制する機能と、エンボスカールを抑制する機能とがそれぞれ別の層で担われるため、各機能が効率良く発揮される。
【0058】
(4) 板状無機フィラーを含有する層を挟んでその両面にポリブチレンテレフタレート又はその共重合体を含有する層が配置された3層構成でシートを構成することで、エンボスカールを抑制する機能と、裏写りを抑制する機能とが効率良く発揮される。また、表裏層に裏写りを抑制する機能を有する層が設けられているため、カードを製造する際に印刷する面を確認する必要がない。
【0059】
(5) 板状無機フィラーとして平均粒径1μm以上、3μm以下のタルクを使用し、ポリブチレンテレフタレートとしてその構成成分であるテレフタル酸の10〜40モル%がイソフタル酸で置換されたものを使用することにより、裏写り及びエンボスカールを抑制する機能がより向上する。
【0060】
(6) 実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂として、商業的に入手可能なものを使用できるので、製造コストを低下できる。
(7) 少なくともシートの片面に、10点平均粗さが10μm以上、40μm以下である連続的なマット加工を施すことにより、カードを製造する際、印刷後のカードを積み重ねても、裏写りが起こるのを防止できる。
【0061】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 2層又は3層構成のシートを共押出しではなく、各層を構成するシート(フィルム)を別々に製造し、ラミネートでシートを形成してもよい。
【0062】
前記実施の形態から把握される技術的思想(発明)について、以下に記載する。
(1) 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記非結晶性のポリエステル系樹脂にポリブチレンテレフタレートを含有させる場合は5〜20wt%を含有させる。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1〜請求項6に記載の発明によれば、PVCシートと同じ条件でスクリーン印刷、エンボス加工を行ってカードを製造しても、裏写りが起こらず、エンボスカールも抑制できる。

Claims (6)

  1. ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなる実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂を主成分とするシートであって、平均粒径が1〜7μmの板状無機フィラーを3〜15wt%と、ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体を5〜40wt%とを含有することを特徴とするカード用シート。
  2. ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなる実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂を主成分とするシートの少なくとも片側の面に、請求項1に記載の組成物からなる層が設けられていることを特徴とするカード用シート。
  3. ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなる実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂を主成分とする2種2層のシートであって、平均粒径が1〜7μmの板状無機フィラーを3〜15wt%含有する層と、ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体を5〜40wt%含有する層が積層されていることを特徴とするカード用シート。
  4. ポリエチレンテレフタレートの構成成分であるエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換してなる実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂を主成分とする2種3層のシートであって、平均粒径が1〜7μmの板状無機フィラーを3〜15wt%含有する層が中心層、ポリブチレンテレフタレート又はその共重合体を5〜40wt%含有する層が表裏層となるように積層されていることを特徴とするカード用シート。
  5. 前記板状無機フィラーが、平均粒径1μm以上、3μm以下のタルクであり、前記ポリブチレンテレフタレートはその構成成分であるテレフタル酸の10〜40モル%がイソフタル酸で置換されている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のカード用シート。
  6. 少なくともシートの片面に、10点平均粗さが10μm以上、40μm以下である連続的なマット加工が施されている請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のカード用シート。
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