JP2008087276A - 表示材製作用キット - Google Patents

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茂樹 西村
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Abstract

【課題】ユーザー側で採用できるような条件でインクジェット記録層を積層することができ、インク受容層を簡易な方法により製造することができ、非常に高価である打ち抜き加工するための設備が不要であるような、表示材製作用キットを提供する。
【解決手段】表示素材90に表面印刷を施すための表示材製作用キット100Aにおいて、基材層10、熱融着性インクジェット記録層20、接着層30、および、表示素材ガイド層40を、この順で備えるように構成し、表示素材ガイド層40および接着層30が、表示素材90の形状に対応する開口部50を備えるものとし、開口部50の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層22および基材層12を離脱可能に構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種の印刷意匠が付与されたICカード等の各種カードや異型POPを、簡易な方法により製造することができる表示材製作用キットに関する。
近年、ICカードの発達は目覚しく、非接触でのデータ通信機能を利用して、プリペイド機能、入退室管理機能等に広く利用されている。そして、その利用範囲が一般消費者にまで広がってきた現在、カード自体への意匠付与によるID機能や、カード自体の高いデザイン性、オリジナル性、ファッション性が求められ、カード一枚一枚個別に意匠や文字情報を付与することが必要になってきた。
従来におけるカードへの意匠付与は、主にオフセット印刷やシルク印刷等による大量生産型の印刷によるものであった。また、クレジットカードやキャッシュカード等のカード固有の文字情報等は、主にエンボスにより付与されており、数字情報やアルファベット情報に限られていた。
また、近年、個別の意匠を付与するため、昇華転写プリンターでの意匠付与が行われてきたが、印刷機械が高価であり、どこでもだれでも簡単に実現できるというものではなく、中央集約型(加工業者による加工)に限られていた。加えて昇華転写印刷の場合、その解像度に限界があることから、写真等の繊細な表現ができず、文字の大きさなども限られているのが現状であった。
従来の大量生産大量消費の時代から少量多品種による差異化の時代に消費動向が変化するに従い、商業エリアや遊戯施設等でよく見受けられるPOP(Point Of Purchase)は、より消費者の目を集める工夫がなされ、形状やその内容も少量多品種型に移行している。しかし、POPを一つ作るにもユーザー側(小売、サービス店等)での製作は難しく、中央集約型(加工業者による加工)に頼らざるを得ない状況であり、消費者ニーズに迅速に対応することが困難であった。
このような背景から、できるだけ末端ユーザー側でだれでも簡単に、ICカード、POP広告に代表される表示材に印刷意匠を付与可能とするような方法が求められていたが、実現できるものは無かった。
一方、インクジェットプリントの技術は日々目覚しい発展を遂げており、パソコンやデジタルカメラの普及、更にはそれらの高画質化もあいまって、インクジェットプリンターを用いることによって、写真画質を末端ユーザーで安価に実現することができるようになってきた。
インクジェットプリントを利用したカードへの意匠付与については、従来から行われてきたが、汎用のインクジェットプリンターではプリントできる材料が厚み等で規制されるため、カードへ直接印刷することは難しかった。また、カードへ印刷することができるインクジェットプリンターを用いた場合であっても、カードは日々持ち運ばれ、手に持たれたり、読み取り機器を通されたり等の状況にさらされ、ある程度の表面の耐傷性、耐指紋性等の耐久性が求められるが、一般的なインクジェット記録層はその特性から表面保護が無い場合に、ハンドリング時のキズ付きや汚れ付着等により意匠性を損ないやすいという問題があった。特に、最近普及している顔料インクタイプのインクジェットプリンターでは、インクが擦れて取れやすいという問題がある。このような、インクジェットプリントにより意匠性を付与したカードに対して表面保護を末端で行うには、粘着材が塗布されたシートをシワ入り・ゴミ入り・エア入り無く印刷表面に貼る必要があるが、煩雑で、非常に難易度が高い作業であり、容易に採用できるものではなかった。
このようなインクジェットプリントによる場合の不利益を解決しようとするものとして、特許文献1には、オーバーラミネートシートのインク受容層に印刷を施して、このインク受容層をコアシートに積層して形成したカードが記載されている。
また、特許文献2には、記録材の製造方法が記載されており、熱接着性を有するインク受容層が記載されている。
特開2002−307874号公報 特開2004−216570号公報
しかし、特許文献1で開示されているインク受容層は、コアシートに積層する際に、高温、高圧で積層する必要があり(特許文献1、段落0077参照)、ユーザー側で採用できるような条件で積層することは困難であった。このため、特許文献1のインク受容層を用いてユーザー側で積層させるには、接着材を使用することが必要であった。また、特許文献1においては、インク受容層を塗工方式で塗布乾燥して形成する必要があり、製造工程が煩雑なものとなっていた。また、所望の形状の最終製品を得るためには、打ち抜き加工等が必要であり、そのための設備が非常に高価なものとなるという問題があった。
また、特許文献2のインク受容層の場合、ユーザー側で採用できるような条件で積層してカードを作製することができるが、この場合においても所望の形状の最終製品を得るためには、打ち抜き加工等が必要であり、そのための設備が非常に高価なものとなるため、やはりユーザー側で採用できるものではないという問題があった。
そこで、本発明は、ユーザー側で採用できるような条件でインクジェット記録層を積層することができ、インク受容層を簡易な方法により製造することができ、非常に高価である打ち抜き加工するための設備が不要であるような、表示材製作用キットを提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、これにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第1の本発明は、表示素材に表面印刷を施すための表示材製作用キットであって、基材層(10)、熱融着性インクジェット記録層(20)、接着層(30)、および、表示素材ガイド層(40)を、この順で備えて構成され、表示素材ガイド層(40)および接着層(30)が、表示素材(90)の形状に対応する開口部(50)を備え、開口部(50)の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層(22)および基材層(12)が、離脱可能に構成されている、表示材製作用キット(100A)である。
第1の本発明によると、熱融着性のインクジェット記録層を備えていることから、ユーザー側で採用できるような条件でインクジェット記録層を表示素材に積層して、表示材を作製することができるものである。また、あらかじめ、開口部の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層および基材層が、離脱可能に構成されているので、非常に高価である打ち抜き加工するための設備が不要であり、ユーザー側において表示材を好適に作製することができる。
第2の本発明は、表示素材に表面印刷を施すための表示材製作用キットであって、剥離支持体層(70)、微粘着層(60)、基材層(10)、熱融着性インクジェット記録層(20)、接着層(30)、および、表示素材ガイド層(40)を、この順で備えて構成され、表示素材ガイド層(40)および接着層(30)が、表示素材(90)の形状に対応する開口部(50)を備え、熱融着性インクジェット記録層(20)および基材層(10)に、開口部(50)の開口に沿って切り込み(52)が形成されることにより、開口部(50)の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層(22)および基材層(12)が離脱可能に構成されている、表示材製作用キット(100B)である。
第2の本発明においては、第1の本発明における表示材製作用キットの、基材層の表面に微粘着層を介して剥離支持体層が貼り付けられている。これにより、熱融着性インクジェット記録層および基材層に、開口部の開口に沿って切り込みが形成されたとしても、開口部の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層および基材層が、微粘着層によって保持されているので、これらを離脱可能に構成することができる。また、基材層の表面に剥離支持体層が存在していることによって、表示材とする前の表示材製作用キットの段階で、基材層の表面に傷や汚れが付くのを防止することができる。また、剥離支持体層が貼り付けられていることによって、表示素材ガイド層が貼り合わされていない、開口部底部の熱融着性インクジェット記録層および基材層に、強度を付与してシワ入り等を防ぐという効果がある。
第1および第2の本発明において、熱融着性インクジェット記録層(20)は、下記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキシド系樹脂からなる層であることが好ましい。
Figure 2008087276
[一般式(1)において、Xは活性水素基を2個有する有機化合物の残基であり、Rはジカルボン酸類化合物残基であり、Aは下記一般式(2)によって表される。]
Figure 2008087276
[一般式(2)において、Zは炭素数2以上の炭化水素基であり、a、b、cはそれぞれ1以上の整数であり、a、b、cより計算される質量比、{44×(a+c)/(炭素数4以上のアルキレンオキシドの分子量)×b}は、80/20〜94/6である。また、c/(a+c)は0.5以上1.0未満である。]
熱融着性インクジェット記録層をこのような材料により構成することによって、熱融着性およびインク受容性を好適に備えたインクジェット記録層を形成することができる。また、該材料は溶融押出が可能な材料であるので、インクジェット記録層を溶融押出という簡易な方法により製造することができる。
第1および第2の本発明において、熱融着性インクジェット記録層(20)は、該熱融着性インクジェット記録層全体の質量を基準(100質量%)として、エチレン−アクリル酸共重合体を10〜30質量%含有していることが好ましい。これにより、熱融着性インクジェット記録層と顔料インクとの親和性が向上する。また、熱融着性インクジェット記録層と表示素材との接着性が向上する。
第1および第2の本発明において、基材層(10)は、ポリエステルフィルムであることが好ましい。基材層をポリエステルフィルムにより構成することによって、透明性、耐傷性を実現するとともに、その線膨張率の低さから熱融着工程時の基材膨張による歪みやソリといった問題が解決できる。
第2の本発明において、微粘着層(60)は、ゴム系粘着材により構成されていることが好ましい。微粘着層をゴム系粘着剤により構成することによって、その汎用性によりコストも低く材料設計にも幅があることから、剥離を容易にし、剥離後の糊残りも低減できる設計が容易になる。
第2の本発明において、剥離支持体層(70)は、ポリプロピレン樹脂により構成されていることが好ましい。剥離支持体層をポリプロピレン樹脂シートのような硬質シートにより構成することによって、開口部底部の熱融着性インクジェット記録層および基材層に、強度を付与して、シワ入り等を防ぐという効果を好適に発揮することができる。
第1および第2の本発明において、表示素材ガイド層(40)は、150g/m〜250g/mの台紙であることが好ましい。このような紙素材を使用することによって、プリンターでの搬送性を良好にし、カールの問題を防ぐことができる。
第1および第2の本発明において、表示素材ガイド層(40)の厚さは50μm以上であることが好ましい。表示素材ガイド層の厚さは、開口部の段差の大きさであり、この段差を所定の大きさ以上とすることで、表示素材を所定の位置に好適に位置決めすることができる。
第3の本発明は、第1の本発明の表示材製作用キットの製造方法であって、基材層(10)および熱融着性インクジェット記録層(20)からなる積層フィルムを製造する工程、開口部(50)底部となる位置以外の熱融着性インクジェット記録層(20)表面に接着剤(30)を塗布する工程、該接着剤(30)を介して、表示素材ガイド層(40)を積層する工程、表示素材ガイド層(40)を打ち抜いて、開口部(50)を形成する工程、開口部(50)の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層(22)および基材層(12)を離脱可能に形成する工程を備えた、表示材製作用キットの製造方法である。開口部の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層および基材層を離脱可能に形成する方法としては、例えば、開口部の開口に沿って、熱融着性インクジェット記録層および基材層にミシン目を形成する方法を挙げることができる。
第4の本発明は、第2の本発明の表示材製作用キットの製造方法であって、剥離支持体層(70)、微粘着層(60)、基材層(10)、および、熱融着性インクジェット記録層(20)を、この順で備えて構成された積層フィルムを製造する工程、開口部(50)底部となる位置以外の熱融着性インクジェット記録層(20)表面に接着剤(30)を塗布する工程、該接着剤を介して、表示素材ガイド層(40)を積層する工程、表示素材ガイド層(40)、熱融着性インクジェット記録層(20)、および基材層(10)を、開口部(50)の開口に沿って打ち抜いて、開口部(50)を形成すると共に、熱融着性インクジェット記録層(20)および基材層(10)に、開口部(50)の開口に沿って切り込み(52)を形成する工程を備えた、表示材製作用キットの製造方法である。
なお、熱融着性インクジェット記録層(20)が、上記したポリアルキレンオキシド系樹脂からなる層である場合においては、該層(20)は溶融押出により形成することができる。これにより、フィルム製造の作業を簡素化することができる。また、さらに、基材層(10)および熱融着性インクジェット記録層(20)からなる積層フィルム、あるいは、剥離支持体層(70)、微粘着層(60)、基材層(10)、および、熱融着性インクジェット記録層(20)をこの順で備えて構成された積層フィルムを、共押出により形成することが好ましい。これにより、フィルム製造の作業を大幅に簡素化することができる。
第5の本発明は、第1および第2の本発明の表示材製作用キット(100A、100B)の開口部の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層(20)に反転印刷を施す工程、表示素材(90)を開口部(50)に設置する工程、開口部(50)底部に位置する熱融着性インクジェット記録層(22)と表示素材(90)とを熱圧着する工程、開口部底部に位置する基材層(12)、熱融着性インクジェット記録層(22)、および表示素材(90)を備えて構成される表示材を離脱する工程を備えた、表示材の製造方法である。このようにして、本発明の表示材製作用キットを用いることによって、ユーザー側において表示材を好適に製造することができる。
第5の本発明において、第2の本発明の表示材製作用キット(100B)を使用した場合における、表示材を離脱する工程としては、該表示材を微粘着層(60)から剥離する工程を挙げることができる。
第6の本発明は、第5の本発明の方法により製造された、開口部底部に位置する基材層(12)、熱融着性インクジェット記録層(22)、および表示素材(90)を備えて構成される表示材である。
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
<表示材製作用キット100A>
図1は本発明の表示材製作用キット100Aの断面を示した模式図であり、図2は平面図である。なお、図1は、図2(a)におけるA−A線の断面図である。
図1(a)に示すように表示材製作用キット100Aは、基材層10、熱融着性インクジェット記録層20、接着層30、および、表示素材ガイド層40を、この順で備えて構成されており、表示素材ガイド層40および接着層30には、表示素材90の形状に対応する開口部50が形成されている。また、表示材製作用キット100Aにおいては、開口部50の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層22および基材層12が、離脱可能に構成されている。
ここで、表示素材90とは、ICカード等の各種カード、POP広告原板であり、表面に印刷を施すことによって、完成品とされるものである。本発明の表示材製作用キット100Aの使用方法を簡単に説明すると、表示素材90を、表示材製作用キット100Aの開口部50に設置し、熱圧着することによって、表示素材90と開口部底部に位置する熱融着性インクジェット記録層22とを接着させ、その後、図1(b)および図2(b)に示すように、表示素材90と積層した部分を離脱させることによって、表面に印刷が施された表示材200が形成される。
表示材製作用キット100Aにおいては、開口部50の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層22および基材層12が、離脱可能に構成されている。離脱可能な構成としては、例えば、熱融着性インクジェット記録層20および基材層10に対して開口部50の開口に沿ってミシン目を形成した構成を挙げることができる。この構成においては、表示素材90と熱融着性インクジェット記録層22とを熱融着積層した後に、該積層部分を図1(b)における紙面下方向に押圧することによって、該積層部分を他の部分から離脱して表示材200を製造することができる。
(基材層10)
基材層10は、表示材200とした際に、印刷が施されたインクジェット記録層22表面を保護するための層である。よって、該保護層としての機能を発揮するための強度を備えている必要がある。また、基材層10は、インクジェット記録層22に施した印刷を表面から視認できるようにするために、透明である必要がある。このような機能を発揮する層であれば基材層10を構成する材料は特に限定されないが、例えば、このような機能を有する基材層10としては、延伸/無延伸ポリエステル(PET)、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなるフィルムで透明なものが使用できる。この中でも、透明性、耐傷性を実現するとともに、その線膨張率の低さから熱融着工程時の基材膨張による歪みやソリといった問題が解決できることから、基材層10としてはポリエステルフィルムを用いることが好ましい。
また、基材層10の厚みは、インクジェット記録層22の保護層としての機能を発揮する点から、10μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましい。また、保護層としての機能が飽和し、形成する表示材200の厚さが不必要に厚くなるのを防ぐ点から、300μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
(熱融着性インクジェット記録層20)
熱融着性インクジェット記録層20は、図1(a)に示すように、開口部50底部となる位置に印刷が施されて、該印刷が施された位置が表示素材90と熱接着される。このため、熱融着性インクジェット記録層20は、インク受容性および熱融着性を両方備えている必要がある。
熱融着性としては、PVCやPET等の汎用プラスチックへの融着性があるものであれば特に限定されないが、このような熱融着性を備えるためには、熱融着性インクジェット記録層20を構成する材料は、融点が80℃以下である必要がある。これは、一般に普及している熱ラミネーターの温度設定は通常100〜140℃までが限界であり、熱融着性インクジェット記録層20を構成する材料の融点が80℃より高い場合は、該設定温度範囲では熱融着性インクジェット記録層20が十分に軟化せず一般の熱ラミネーターでは加工ができないからである。
本発明においては、高いインク受容性および良好な熱融着性を兼ね備えている観点から、特に、熱融着性インクジェット記録層20は、下記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキシド系樹脂からなる層であることが好ましい。
Figure 2008087276
一般式(1)において、Xは活性水素基を2個有する有機化合物の残基であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールA、アニリンプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。Rはジカルボン酸類化合物残基であり、例えば、環状ジカルボン酸化合物または直鎖状ジカルボン酸化合物が望ましく、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸の低級アルキルエステルが挙げられる。
上記ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、コハク酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、イタコン酸が挙げられる。上記ジカルボン酸無水物としては、上記各種ジカルボン酸の無水物が挙げられる。また、上記ジカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、上記各種のジカルボン酸のメチルエステル、ジメチルエステル、エチルエステル、ジエチルエステル、プロピルエステル、ジプロピルエステル等が挙げられる。特に好ましくは、炭素数12〜36の直鎖状ジカルボン酸およびその低級アルキルエステルが挙げられ、1,10−デカメチレンジカルボン酸、1,14−テトラデカメチレンジカルボン酸、1,18−オクタデカメチレンジカルボン酸、1,32−ドトリアコンタンメチレンジカルボン酸等が挙げられる。
上記の低級アルキルエステルとしては、これらジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ジプロピルエステル等が挙げられる。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。なかでも、反応の容易性という観点から、上記ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸の低級アルキルエステルを用いることが好ましい。これらは単独で、または2種以上併用して用いることができる。
また、Aは下記一般式(2)によって表される。
Figure 2008087276
一般式(2)において、Zは炭素数2以上の炭化水素基であり、例えば好ましいものとしてはエチル基、プロピル基等のアルキル基が挙げられる。a、b、cはそれぞれ1以上の整数であり、a、b、cより計算される質量比、{44×(a+c)/(炭素数4以上のアルキレンオキシドの分子量)×b}は、80/20〜94/6である。80/20より小さくても、前記親水性樹脂として使用することができるが、この場合は、親水性が低下したり、インク吸水性、印刷適性が劣るものとなったり等の問題が生じる。一方、94/6を超えても、前記親水性樹脂として使用することがきできるが、この場合は、インクの滲み耐水性等の点で劣るという問題が生じる。a、b、cの割合を上述の範囲内とすることにより、親水性を失わず、かつ水に対して不溶化することができる。また、c/(a+c)は0.5以上1.0未満に設定される。
熱融着性インクジェット記録層20を構成するポリアルキレンオキシド系樹脂の具体例としては、エチレングリコールにエチレンオキシドを付加重合した後、ブチレンオキシドを付加重合し、さらにエチレンオキシドを付加重合して得たポリアルキレンオキシドに、オクタデカン−1,18−ジカルボン酸メチルを加えエステル交換反応を行って得た樹脂(重量平均分子量:15万、融点:50℃、分解温度:230℃)を挙げることができる。また、上記の親水性樹脂を押出成形する場合に、親水性樹脂にトコフェロールなどの酸化防止剤を添加することで、熱分解等の問題を回避できる。
熱融着性インクジェット記録層20の厚さとしては、インク吸収性および接着力の維持の観点から、10〜100μmであることが好ましく、35〜75μmであることがより好ましい。
昨今ではインクジェットプリンターのインクとして、顔料系インクが用いられるようになってきた。該顔料系インクを用いて本発明の表示材製作用キットの熱融着性インクジェット記録層20に印刷を行った場合、印刷後に表示素材90へ熱融着させる際に、該記録層20の表面に形成された顔料系インク層が、記録層20が表示素材90に熱融着するのを阻害し良好な接着強度が得られない場合がある。
このような事態を防ぐため、上記した熱融着性インクジェット記録層20を構成する材料として好ましい材料であるポリアルキレンオキシド系樹脂に対して、該熱融着性インクジェット記録層20全体の質量を基準(100質量%)として、エチレン−アクリル酸共重合体を10〜30質量%添加することが好ましい。
このようにして、上記のポリアルキレンオキシド系樹脂にエチレン−アクリル酸共重合体を添加することにより、熱融着性インクジェット記録層20と顔料系インクとの親和性が良好になり、溶融時の熱融着性インクジェット記録層20の挙動が変化し、表示素材90との接着強度が上昇することが、本発明者らによる研究によりわかっている。
なお、従来公開されている特許において、シリカやアルミナ等の多孔質無機微粒子をPVA等のバインダーで皮膜化したものがインク受容層として用いられているが、これらは熱により流動しにくく、またPVCやPET樹脂に対する接着性が見られない。よって、このような空隙型インク受容層(多孔質無機微粒子の空孔に毛細管現象によってインクを吸収するもの)よりも、本発明における熱融着性インクジェット記録層のような膨潤型(樹脂そのものがインクを吸収するもの)の方が、本発明の表示材製作用キットとして向いている。
(接着層30)
熱融着性インクジェット記録層20の表面には、表示素材ガイド層40を接着するための接着層30が形成されている。該接着層30は、表示素材90の形状に対応する開口部50を囲むようにして熱融着性インクジェット記録層20の表面に形成される。つまり、所定の部分に表示素材ガイド層40を形成しないで、これにより、開口部50が形成されるので、開口部50が形成される熱融着性インクジェット記録層20の表面には接着層30は形成しないが、それ以外の場所、つまり、表示素材ガイド層40を形成する表面には接着層30を形成する。
接着層30の形成方法としては、このようなパターンで熱融着性インクジェット記録層20の表面に接着剤を塗布できる方法であれば特に限定されないが、例えば、シルク印刷、フレキソ印刷により塗布形成する方法を挙げることができる。接着層30を形成する接着剤としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系やアクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系の接着剤等を用いることができる。
(表示素材ガイド層40)
上記により形成した接着層30を介して表示素材ガイド層40を熱融着性インクジェット記録層20上に形成する。表示素材ガイド層40は、表示素材90の形状に対応する開口部50を備えており、該開口部50に表示素材90をはめ込むことによって、表示素材90の位置調整を容易に行うことができる。
図1(a)、図2(a)に示すように、開口部50を囲むようにして表示素材ガイド層40が形成されており、表示素材ガイド層40下部には接着層30が形成されている。
表示素材ガイド層40としては、150g/m〜250g/mの台紙等の紙素材を使用することが好ましい。150g/m未満のものは、薄すぎてコシが出ず、プリンター搬送性やカール等の問題が生じるおそれがある。また、本発明の表示材製作用キットにおいては、表示素材ガイド層40と熱融着性インクジェット記録層30との段差が、表示素材90の位置決めにも関係することから、表示素材が薄すぎた場合、その位置決めが困難になる。また、250g/mより大きいと汎用のインクジェットプリンターの用紙給紙性の点で問題があり、紙詰まりなどの問題が生じるおそれがある。
また、表示素材ガイド層40の厚さとしては、0.05〜0.3mmであることが好ましく、0.1〜0.3mmであることがより好ましく、0.15〜0.25mmであることが特に好ましい。ガイド層として機能するためには、最低でも0.05mmは必要であり、また、0.3mm以上だと一般的なプリンターを通らないからである。
また、インクジェットプリント時に、開口部底部の熱融着性インクジェット記録層22以外にもインクが飛散する可能性があることから、表示素材ガイド層40自体がある程度、インク吸収性のあるものを用いることが好ましく、このような観点からも、上記したような所定の面積当たりの重さを有する紙素材を使用することが好ましい。
<表示材製作用キット100B>
図3は本発明の表示材製作用キット100Bの断面を示した模式図であり、図4は平面図である。なお、図3は、図4(a)におけるA−A線の断面図である。
図3(a)に示すように表示材製作用キット100Bは、剥離支持体層70、微粘着層60、基材層10、熱融着性インクジェット記録層20、接着層30、および、表示素材ガイド層40を、この順で備えて構成されており、表示素材ガイド層40および接着層30には、表示素材90の形状に対応する開口部50が形成されている。そして、熱融着性インクジェット記録層20および基材層10に、開口部50の開口に沿って切り込み52が形成されており、これにより、開口部50の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層22および基材層12が、離脱可能に構成されている。
図3(a)に示した表示材製作用キット100Bは、基材層10の表面に微粘着層60を介して剥離支持体層70が積層されており、さらに、開口部50の開口に沿って切り込み52が形成されることにより、開口部50の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層22および基材層12が離脱可能に構成されている点において、上記した表示材製作用キット100Aとは異なる。
本発明の表示材製作用キット100Bの使用方法は、表示素材90を開口部50に設置して、熱圧着することによって、表示素材90と熱融着性インクジェット記録層22とを接着させる点までは、上記の表示材製作用キット100Aと同様である。しかし、その後の離脱の機構が異なっている。表示材製作用キット100Bにおいては、熱融着性インクジェット記録層20および基材層10に開口部50の開口に沿って切り込み52が形成されており、これにより、開口部50の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層22および基材層12は他の部分から独立した状態となっていると共に、基材層12側において微粘着層60によって保持されている。このような構造であるので、図3(b)に示すように、熱圧着により作製した表示材200を、図3(b)の紙面上方向に、微粘着層60から引き剥がすことによって、表示材200を離脱させる。
(剥離支持体層70)
剥離支持体層70は、上記した脱離機構を発現するのに欠かせないものであると共に、以下に示すような効果を有する。剥離支持体層70は、基材層10の表面に存在していることによって、表示材200とする前の表示材製作用キット100Bの段階で、基材層10の表面に傷や汚れが付くのを防止することができる。また、剥離支持体層70が貼り付けられていることによって、表示素材ガイド層40が貼り合わされていない、開口部50底部の熱融着性インクジェット記録層22および基材層12に、強度を付与してシワ入り等を防ぐという効果がある。特に、熱融着性インクジェット記録層22の印刷時のインク吸収による伸縮で該層22が「波打ち」を起こして、インクジェットヘッドの擦れやラミネート時の接着不良等を引き起こす場合があるので、これを防ぐ観点から重要である。
以上のような観点から、剥離支持体層70は、できる限り耐熱性の高いものがよく、またフラット性の高いものがよい。よって、ポリエチレン等の剛性の低いフィルムは好ましくないということになる。剥離支持体層70としては、耐熱性、フラット性および剛性を有するものであれば特に限定されないが、比較的安価で一般的であることから、ポリプロピレンフィルムを用いることが好ましい。最近では様々なメーカーが各種素材に各種粘着材料を塗布して保護フィルムを市場に提供しており、ポリプロピレンシートに微粘着性素材を塗布したものも一般的に供給されているので、このような汎用性材料を用いることもできる。
剥離支持体層70の厚さとしては、50〜200μmであることが好ましく、75〜150μmであることがより好ましい。上記したように、熱融着性インクジェット記録層22の波うち等を防ぎ、フラット性を確保するためには50μm以上は必要である。また、剥離支持体層70が厚すぎると、熱が伝わり難く、ラミネート時に不具合が生じる可能性がある。
(微粘着層60)
微粘着層60は、開口部50底部の熱融着性インクジェット記録層22および基材層12からなる積層フィルムを保持しておくためのものである。ただし、表示素材90と熱接着させて表示材200とした後は、表示材200を微粘着層60から剥離する必要があるため、粘着性は剥離作業が容易にできるように設定することが好ましい。また、表示材200を剥がした際に、表示材200の基材層10側に粘着剤が残るようなものではないことが好ましい。
微粘着層60を構成する粘着剤としては、ゴム系粘着剤を挙げることができる。微粘着層60をゴム系粘着剤により構成することによって、その汎用性によりコストも低く材料設計にも幅があることから、剥離を容易にし、剥離後の糊残りも低減できる設計が容易になる。微粘着層60の厚さは特に限定されず、粘着剤を塗布して形成される通常の厚さである。
<表示材製作用キット100Aの製造方法>
まず、表示材製作用キット100Aの製造方法について説明する。図5に表示材製作用キット100Aの製造工程の概要を示した。表示材製作用キット100Aの製造方法は、積層フィルムを製造する工程(図5(a))、接着層30を形成する工程(図5(b))、表示素材ガイド層40を積層する工程(図5(c))、開口部50を形成する工程(図5(d))、開口部50の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層22および基材層12を離脱可能に形成する工程(図5(e))を備えている。以下、各工程について説明する。
(積層フィルム製造工程)
表示材製作用キット100Aにおける積層フィルムの製造工程においては、基材層10および熱融着性インクジェット記録層20からなる積層フィルムを製造する。積層フィルムは、基材層10上にコーティングまたは押出ラミネーションすることによって熱融着性インクジェット記録層20を形成することにより製造してもよいし、基材層10と熱融着性インクジェット記録層20を共押出成形することにより製造してもよい。
特に、熱融着性インクジェット記録層20として、好ましい形態である上記したポリアルキレンオキシド系樹脂からなる層とした場合、該層20を好適に溶融押出成形、共押出成形することができ、製造工程を簡易にすることができる観点から好ましい。
(接着層30形成工程)
その後、図5(b)に示すように、作製した積層フィルムの熱融着性インクジェット記録層20上に、接着剤を塗布して接着層30を形成する。接着剤は、形成する開口部50以外の部分に塗布する。つまり、熱融着性インクジェット記録層20上において表示素材ガイド層40を形成する箇所に接着剤を塗布する。接着剤の塗布方法としては、このような形状で接着剤を塗布することができる方法であれば、特に限定されないが、例えば、シルク印刷、フレキソ印刷を挙げることができる。
接着剤の塗布箇所の具体例を挙げると、例えば、JIS X 6301に準拠する識別カード(85.6mm×53.98mm、4つの角R=3.18mmの形)を表示素材90として用いる場合を例とすると、熱融着性インクジェット記録層20上に形成する接着層30は、上記形状よりも周囲1mm大きなサイズを中心に残して、それ以外の部分に接着剤を塗布することにより形成する。このようにして、少し大きめに接着剤不塗布箇所を形成することによって、後で行う表示素材ガイド層40の打ち抜き工程を好適に行うことができる。
(表示素材ガイド層40の積層工程)
そして、図5(c)に示すように、形成した接着層30上に表示素材ガイド層40を積層する。このとき、開口部50となる位置には、接着層30が形成されていないので、該部分は接着されずに、浮いた状態となっている。
(開口部50形成工程)
そして、図5(d)に示すように、表示素材ガイド層40を打ち抜いて、接着層30を形成していない部分の表示素材ガイド層40を取り除いて、開口部50を形成する。打ち抜き加工は、一般的な機械加工により行うことができ、例えば、トムソン刃を用いて行うことができる。開口部50の形状は、基本的には、使用する表示素材90の形状と同一形状で形成される。また、例えば、周囲10μm程度大きなサイズで開口部50を形成してもよい。
(離脱可能とする工程)
そして、図5(e)に示すように、開口部50の底部に位置する熱融着性インクジェット記録層22および基材層12を脱離可能に形成する。脱離可能とする方法としては、例えば、開口部50の開口に沿って熱融着性記録層20および基材層10にミシン目を形成する方法を挙げることができる。以上の工程により本発明の表示材製造用キット100Aを製造することができる。
<表示材製作用キット100Bの製造方法>
表示材製作用キット100Bの製造工程の概要を図6に示した。図6(a)に示すように剥離支持体層70、微粘着層60、基材層10、および、熱融着性インクジェット記録層20を、この順で備えて構成された積層フィルムを製造する。積層フィルムの製造方法としては、上記の表示材製作用キット100Aの製造方法において作製した基材層10、および、熱融着性インクジェット記録層20からなる積層フィルムの基材層10側に、剥離支持体層70に粘着剤を塗布して微粘着層60を形成したものを、該微粘着層60を介して貼り付ける方法を挙げることができる。また、剥離支持体層70、微粘着層60、基材層10、および、熱融着性インクジェット記録層20の4層を共押出成形により一括成形することもできる。
そして、図6(b)、(c)に示すように、接着層30を形成し、表示素材ガイド層40を積層する。この工程は、上記した表示材製作用キット100Aの製造方法における場合と同様に行うことができる。
その後、図6(d)に示すように、表示素材ガイド層40、熱融着性インクジェット記録層20、および基材層10を、開口部の開口形状に沿って打ち抜く。これにより、打ち抜いた表示素材ガイド層40を取り除くことによって開口部50を形成し、熱融着性インクジェット記録層20および基材層10に、切り込み52を形成する。そして、開口部底部の熱融着性インクジェット記録層22および基材層12が他の部分から分離され、微粘着層60により保持された状態となっており、脱離可能となる。以上の工程により本発明の表示材製造用キット100Bを製造することができる。
<表示材200の製造方法>
上記した本発明の表示材製作用キット100A、100Bを用いた、表示材200の製造方法について説明する。図7に、表示材製作用キット100Bを用いた場合の表示材200の製造工程の概要を示した。表示材200の製造方法は、反転印刷を施す工程、表示素材90を設置する工程、熱圧着する工程、表示材200を離脱する工程、を備えて構成されている。なお、図7においては、表示素材ガイド層40が、紙面右方向に余分に形成されている。これは、本発明の一実施形態であって、図7(c)に示すように折りたたむことによって、表示素材90の表面を覆って、この状態で、熱プレス成形することによって、該ガイド層40をクッション材として使用するためである。
(反転印刷形成工程)
まず、開口部50底部の熱融着性インクジェット記録層22の表面にインクジェットプリンターにより印刷を施す。形成する表示材200は、基材層12側が表面となる。よって、この段階で熱融着性インクジェット記録層22の表面に施す印刷は、裏面印刷であるので、実際に表示材200として表示する印刷を反転させた反転印刷として形成する必要がある。
(表示素材90設置工程)
上記のように印刷を施した後は、図7(a)に示すように、開口部50に表示素材90を設置する。表示素材ガイド層40が形成している開口部50は、表示素材90と同一の形状となっている。よって、該開口部50に表示素材90をはめ込むだけで、表示素材90を印刷箇所に正確にガイドすることができる。
(熱圧着工程)
開口部50に設置した表示素材90は、熱圧着することによって、開口部50底部の熱融着性インクジェット記録層22と熱接着される。該熱圧着工程は、一般に普及している熱ラミネーターを用いて行うことができる。特に、熱融着性インクジェット記録層20を、本発明の好ましい形態であるポリアルキレンオキシド系樹脂からなる層とした場合においては、熱融着性が良好であることから、該熱圧着工程において一般的な熱ラミネーターを用いて好適に熱接着することができる。
また、上記で簡単に説明したが、図7(b)において、紙面右方向に余分に形成した熱融着性ガイド層40を折り返して、表示素材90の上に重ねて、図7(c)に示すような形態とする。そしてこの状態において、熱ラミネーターによって熱圧着工程を行う。これにより、折り返した熱融着性ガイド層40をクッション材として使用することができ、熱圧着工程において表示素材90に均一に圧力をかけ、熱圧着作業を好適に行うことができる。熱圧着工程後は、図7(d)に示したように、熱融着性ガイド層40を折りたたむ前の状態に戻す。
(離脱工程)
最後に、形成した表示材200を、図7(e)に示したようにして、弱粘着層60から剥離する。弱粘着層60は、表示材200が容易に剥離できるように構成されているので、該剥離工程は、粘着剤残り等を生じずスムーズに行うことができる。
<両面印刷>
また、本発明の表示材製作用キット100A、100Bは、図8に示したように、両面印刷された表示材を形成するために用いることができる。図8は、表示材製作用キット100Bを用いて両面印刷を行った例を示した。図8(a)は平面図、図8(b)〜(f)は、図8(a)におけるA−A線の断面図である。
図8(a)の開口部底部に位置する熱融着性インクジェット記録層22Aおよび22Bには、それぞれ表示素材90の表面および裏面に形成する印刷を反転印刷により形成する。また、表示素材90を挟み込むようにしてその表裏面印刷を転写形成するので、その表面および裏面の関係から印刷の方向も考慮する必要がある。
両面印刷の方法としては、図8(c)に示すように一方の開口部50に表示素材90を設置する。そして、図8(d)に示すように、他方の開口部側を折り返して表示素材90を覆うようにする。この図8(d)に示した状態で、熱ラミネーターにより熱圧着させる。これにより、表示素材90の両面が熱融着性インクジェット記録層22A、22Bと熱接着する。
熱圧着後、図8(e)に示すように基の状態に戻すことで、片面の基材層10が微粘着層60から剥離して、表示素材90の片面に記録層20および基材層10が形成される。そして、図8(f)に示すようにもう一方の基材層10も微粘着層60から剥離させて、両面に記録層20および基材層10が形成された表示材200が製造される。
(実施例1)
親水性樹脂として、エチレングリコールにエチレンオキシドを付加重合した後、ブチレンオキシドを付加重合し、さらにエチレンオキシドを付加重合して得たポリアルキレンオキシドにオクタデカン−1,18−ジカルボン酸メチルを加えエステル交換反応を行って重量平均分子量15万の樹脂A(融点50℃、分解温度230℃)を得た。この樹脂とエチレン−アクリル酸共重合体(レクスパールA210K、日本ポリエチレン社製)を80:20の質量比(樹脂A:エチレン−アクリル酸共重合体)でブレンドしたものを溶融押出製膜して50μmのシートとし、これを熱融着性インクジェット記録層とした。
このシートを基材層である延伸PETシート(三菱化学ポリエステル社製 T600E50、50μm)に熱ラミネートにて積層し、更にその基材層面に、粘着材付きポリプロピレンシート(サニテクトY110PH、サンエー化研社製)を貼着した。
このようにして形成した積層シートを200mm×150mmにカットし、その熱融着性インクジェット記録層の中央部に87mm×55mmの面積を残す様に接着剤をシルク印刷により塗布した後、表示素材ガイド層である台紙(北越製紙製、ニューKW 190g/m)を貼着した。
その後に、中央部に85.6mm×53.98mm、R=3.18mmの形状で、トムソン刃を用いて、台紙、熱融着性インクジェット記録層および基材層のみを打ち抜き加工(ハーフカット)し、台紙を取り除いて開口部を形成し、本発明の表示材製作用キットを得た。
得られた表示製作用キットに、エプソン社製インクジェットプリンターPM4000PXにより、開口部底部の熱融着性インクジェット記録層にインクジェットプリントし、乾燥後、85.6mm×53.98mm、R=3.18mm、厚さ0.76mmのPVCカードを開口部にはめ込んで、印刷を施した熱融着性インクジェット記録層上に重ねた。
この状態の積層体を、日本オフィスラミネーター社製JOL−4R−230を用いて、100℃でラミネートした。冷却後、PVCカードを剥がしたとき、ハーフカットされた熱融着性インクジェット記録層、基材層のみがPVCカードに貼着された状態で微粘着層から剥離され、PVCカード上に熱融着性インクジェット記録層および基材層を備えた、印刷カードが製造された。
得られたカードは、インクジェット印刷により鮮明な画像が得られており、また表面が基材層であるPETシーとで保護されていることから、携帯時や取扱時にキズがつきにくく、また指紋等の汚れがついても簡単にふき取れた。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う表示材製作用キット、表示材製作用キットの製造方法、表示材の製造方法、表示材もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
表示材製作用キット100Aの断面図(a)、表示材200を離脱した状態の断面図(b)である。 表示材製作用キット100Aの平面図(a)、表示材200を離脱した状態の平面図(b)である。 表示材製作用キット100Bの断面図(a)、表示材200を離脱した状態の断面図(b)である。 表示材製作用キット100Bの平面図(a)、表示材200を離脱した状態の平面図(b)である。 表示材製作用キット100Aの製造工程を示す概念図である。 表示材製作用キット100Bの製造工程を示す概念図である。 表示材200の製造工程を示す概念図である。 両面印刷が施された表示材200の製造工程を示す概念図である。
符号の説明
10 基材層
12 開口部底部の基材層
20 熱融着性インクジェット記録層
22 開口部底部の熱融着性インクジェット記録層
30 接着層
40 表示素材ガイド層
50 開口部
60 微粘着層
70 剥離支持体層
90 表示素材
100A、100B 表示材製作用キット
200 表示材

Claims (14)

  1. 表示素材に表面印刷を施すための表示材製作用キットであって、
    基材層、熱融着性インクジェット記録層、接着層、および、表示素材ガイド層を、この順で備えて構成され、
    前記表示素材ガイド層および前記接着層が、前記表示素材の形状に対応する開口部を備え、
    前記開口部の底部に位置する前記熱融着性インクジェット記録層および基材層が、離脱可能に構成されている、表示材製作用キット。
  2. 表示素材に表面印刷を施すための表示材製作用キットであって、
    剥離支持体層、微粘着層、基材層、熱融着性インクジェット記録層、接着層、および、表示素材ガイド層を、この順で備えて構成され、
    前記表示素材ガイド層および前記接着層が、表示素材の形状に対応する開口部を備え、
    前記熱融着性インクジェット記録層および基材層に、前記開口部の開口に沿って切り込みが形成されることにより、前記開口部の底部に位置する前記熱融着性インクジェット記録層および基材層が、離脱可能に構成されている、表示材製作用キット。
  3. 前記微粘着層が、ゴム系粘着材により構成されている、請求項2に記載の表示材製作用キット。
  4. 前記剥離支持体層が、ポリプロピレン樹脂により構成されている、請求項2または3に記載の表示材製作用キット。
  5. 前記熱融着性インクジェット記録層が、下記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキシド系樹脂からなる層である、請求項1〜4のいずれかに記載の表示材製作用キット。
    Figure 2008087276
    [一般式(1)において、Xは活性水素基を2個有する有機化合物の残基であり、Rはジカルボン酸類化合物残基であり、Aは下記一般式(2)によって表される。]
    Figure 2008087276
    [一般式(2)において、Zは炭素数2以上の炭化水素基であり、a、b、cはそれぞれ1以上の整数であり、a、b、cより計算される質量比、{44×(a+c)/(炭素数4以上のアルキレンオキシドの分子量)×b}は、80/20〜94/6である。また、c/(a+c)は0.5以上1.0未満である。]
  6. 前記熱融着性インクジェット記録層が、該熱融着性インクジェット記録層全体の質量を基準として、エチレン−アクリル酸共重合体を10〜30質量%含有している、請求項5に記載の表示材製作用キット。
  7. 前記基材層が、ポリエステルフィルムである、請求項1〜6のいずれかに記載の表示材製作用キット。
  8. 前記表示素材ガイド層が、150g/m〜250g/mの台紙である、請求項1〜7のいずれかに記載の表示材製作用キット。
  9. 前記表示素材ガイド層の厚さが50μm以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の表示材製作用キット。
  10. 請求項1に記載の表示材製作用キットの製造方法であって、
    前記基材層および前記熱融着性インクジェット記録層からなる積層フィルムを製造する工程、
    前記開口部底部となる位置以外の前記熱融着性インクジェット記録層表面に接着剤を塗布する工程、
    該接着剤を介して、前記表示素材ガイド層を積層する工程、
    前記表示素材ガイド層を打ち抜いて、前記開口部を形成する工程、
    前記開口部の底部に位置する前記熱融着性インクジェット記録層および基材層を離脱可能に形成する工程、
    を備えた、表示材製作用キットの製造方法。
  11. 請求項2に記載の表示材製作用キットの製造方法であって、
    剥離支持体層、微粘着層、基材層、および、熱融着性インクジェット記録層を、この順で備えて構成された積層フィルムを製造する工程、
    前記開口部底部となる位置以外の前記熱融着性インクジェット記録層表面に接着剤を塗布する工程、
    該接着剤を介して、前記表示素材ガイド層を積層する工程、
    前記表示素材ガイド層、前記熱融着性インクジェット記録層、および基材層を、前記開口部の開口に沿って打ち抜いて、前記開口部を形成すると共に、前記熱融着性インクジェット記録層および前記基材層に、前記開口部の開口に沿って切り込みを形成する工程、
    を備えた、表示材製作用キットの製造方法。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載の表示材製作用キットの開口部の底部に位置する前記熱融着性インクジェット記録層に反転印刷を施す工程、
    表示素材を、前記開口部に設置する工程、
    前記開口部底部に位置する前記熱融着性インクジェット記録層と前記表示素材とを熱圧着する工程、
    前記開口部底部に位置する前記基材層、前記熱融着性インクジェット記録層、および前記表示素材を備えて構成される表示材を離脱する工程、を備えた、表示材の製造方法。
  13. 前記表示材を離脱する工程が、該表示材を前記微粘着層から剥離する工程である、請求項12に記載の表示材の製造方法。
  14. 請求項12または13に記載の方法により製造された、前記開口部底部に位置する前記基材層、前記熱融着性インクジェット記録層、および前記表示素材を備えて構成される表示材。
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