JP2005178135A - ラミネートシート、及びラミネート方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、インクの微滴によって描画された画像層の凹凸に影響を受けることなく、表面を平滑状態に維持して画像層に光沢を付与することができるラミネートシートを提供する。
【解決手段】 本発明にかかるラミネートシートは、ペーパーPにインクの微滴によって描画された画像層Vに対し光沢性を付与するためのラミネートシートであって、前記画像層V上に積層されるシール層Saと、該シール層Sa上に積層された光沢層Sbとで構成されてなり、前記シール層Saは、少なくとも画像層V上に積層される際に、前記画像層Vに対して粘着性を有するとともに、画像層Vの表面形状に対応して柔軟に変形可能に構成され、前記光沢層Sbは、少なくとも表面が平滑に形成され、且つシール層Saの変形に対抗可能な剛性を備えてなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ペーパー等の印刷対象物の被印刷面上にインクの微滴で描画された画像層に対して光沢を付与するためのラミネートシート、及びラミネート方法に関する。
近年、インクジェットプリンタの性能が飛躍的に向上し、高品質な画像を得ることができるとして、高品質な画像形成が要求される写真処理分野においてインクジェットプリンタが採用されつつある。
前記インクジェットプリンタは、ペーパー等の印刷対象物に向けてヘッドからインクの微滴を吐出させることにより画像を描画し、ペーパー上に画像層を形成するようになっている。
前記ペーパーには、一般的な紙や、半光沢紙、光沢紙等があるが、一般的な紙(PPC用紙等)は、インクがにじみやすいため、画像の品質が要求される写真処理分野においては、ペーパー上にインク吸収層の形成された半光沢紙、又は光沢紙が採用されている。
また、前記インクには、染料系のインクや、顔料系のインクがあるが、写真処理分野において、耐光性等の観点から顔料系のインクが採用されるのが一般的である。
ところで、印刷対象物の被印刷面上に形成された画像に光沢を持たせることが要求される場合があり、特に、写真処理分野においては、光沢仕上げが頻繁に要求される。
ところが、ペーパーに半光沢紙、又は光沢紙が採用されるとともに、インクに顔料系のインクが採用された場合、インクの含有する顔料の粒子がペーパーのインク吸収層内に入り込まず、画像層の表面が凹凸に形成されてしまい、該画像層における表面の光沢を著しく低下させるという問題がある。
また、このような問題は、顔料系のインクだけでなく染料系のインクで描画しても発生してしまうことがある。特に、印刷対象物が吸湿性の少ないコーティング紙や、樹脂シート等である場合には、インク滴が盛り上がった状態で付着するため、表面の凹凸が顕著に現れ、表面の光沢を著しく低下させてしまう。
そこで、画像層上に光沢のある樹脂を塗布してコーティングしたり、画像層に光沢の有る樹脂シートを貼り合わせたりして、描画された画像(画像層)に光沢を付与するようにされている。また、特許文献1に開示された発明は、軟質で薄いシート材からなる剥離用基材上に熱可塑性樹脂を主体とした転写層が積層されてなるプリント保護部材を用い、光沢性を再現するように構成されている。すなわち、特許文献1の発明は、ペーパーに描画された画像層上に、転写層を重ね合わせた状態で、ペーパーとプリント保護部材とを加熱圧着し、前記剥離用基材を剥離させることで表面の光沢を得るようにしている。
特公平7−20759号公報
しかしながら、画像層にコーティングを施すべく、光沢のある樹脂を画像層に塗布すると、該樹脂が画像層の凹凸に従った状態で画像層に付着するため、結果的にコーティングの表面も凹凸になってしまい、コーティングの表面で乱反射を起こして満足な光沢を得ることができないといった問題がある。
また、ペーパーに樹脂シートを貼り合わせると、画像層の凹凸により、画像層の表面と樹脂シートとの間に気泡が形成され、樹脂シートを介して視認される画像の品質を低下させるといった問題がある。また、画像層の表面の凹凸が大きい場合には、前記気泡の形成に加え、樹脂シートの表面が凹凸に形成されたりしてしまい、樹脂シートの表面で乱反射を起こして満足な光沢を得ることができないといった問題がある。
さらに、特許文献1に開示された発明は、最終的に剥離される非常に薄く、且つ軟質な剥離用基材を介して熱可塑性樹脂を主体とした転写層をペーパー上の画像層に加熱圧着しているため、転写層が画像層の凹凸に従って変形するに際し、剥離用基材も変形してしまう。このため、剥離用基材を剥離して露呈する転写層の表面が凹凸に形成されてしまい、表面で乱反射を起こして満足な光沢を得ることができないといった問題がある。
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、インクの微滴によって描画された画像層の表面の凹凸に影響を受けることなく、視認される画像に光沢を付与することができるラミネートシート、及びラミネート方法を提供しようとするものである。
本発明にかかるラミネートシートは、微小なインク滴による描画によって、印刷対象物の被印刷面上に形成された画像層に対して光沢を付与するためのラミネートシートであって、前記画像層上に積層される透過性を有するシール層と、該シール層上に積層された透過性を有する光沢層とで構成されてなり、前記シール層は、少なくとも画像層上に積層される際に、前記画像層に対して粘着性を有するとともに、画像層の表面形状に対応して柔軟に変形可能に構成され、前記光沢層は、少なくとも表面が平滑に形成され、且つシール層の変形に対抗可能な剛性を備えてなることを特徴とする。なお、ここで印刷対象物とは、インク滴によって画像が形成されるものであり、例えば、一般的な紙や、半光沢紙、光沢紙、コーティング紙等のペーパーは勿論のこと、ラベル面がインク滴で印刷可能に構成されたCD―ROM等のメディアなども含む概念である。また、平滑とは、凹凸がなく滑らかであることをいい、表面が平滑とは、表面が真っ直ぐで滑らかな面であることは勿論のこと、緩やかな円弧面等を含む概念である。
上記構成のラミネートシートによれば、前記シール層は、少なくとも画像層上に積層される際に、該画像層に対して粘着性を有するとともに、画像層の表面形状に対応して柔軟に変形するように構成されているので、画像層にシール層を積層するように、当該ラミネートシートを印刷対象物に重ね合わせた状態で、印刷対象物と光沢層の両側からプレスすると、シール層が、画像層の表面形状に従って変形して画像層に密接することになる。そうすると、シール層は、粘着性を有しているため、該粘着によって画像層にシール層が密接状態で貼着されることになる。
そして、光沢層は、画像層の表面形状に対応して変形するシール層に対抗可能な剛性を有しているので、シール層の変形に影響を受けることなく、常態で維持することになり、該光沢層の表面が平滑状態で維持されることになる。これにより、透過性を有するシール層、及び光沢層を介して視認される画像は、光沢層の平滑な表面によって光沢が付与されることになる。
本発明にかかるラミネートシートの一態様として、前記シール層は、加熱することで軟化して粘着性、及び流動性を発揮する熱可塑性樹脂で構成され、光沢層は、軟化点がシール層の軟化点よりも高い熱可塑性樹脂で構成されてもよい。このようにすれば、光沢層の軟化点よりも低く、且つシール層の軟化点以上の温度で、当該ラミネートシートを加熱すれば、シール層に粘着性、及び流動性が発揮し、当該シール層は、画像層の表面に対して密接状態で貼着(粘着)することになる。その一方で、光沢層は、該光沢層の軟化点に達していないので、軟化することなくシール層の変形に対抗し得る剛性を備えた状態で維持することになり、表面が平滑状態で維持され、画像に光沢を付与することができる。
したがって、常温において、シール層に粘着性がないため、例えば、ラミネートシートを長尺に形成してロール状にしたとしても、ロール状にされることで積層状態になるシール層と光沢層とが粘着することがなく、当該ラミネートシートを円滑に引き出すことができる。
さらに、他の態様として、前記光沢層の表面に剥離可能な剥離層がさらに積層されてもよい。印刷対象物とラミネートシートとを重ね合わせた状態で、印刷対象物及び光沢層の両側からプレスするに際し、光沢層に直接プレス用のジグ等が接触しないので、光沢層の表面が傷付くのを防止することができる。また、剥離層は、光沢層に対して剥離可能であるので、該剥離層を剥離することで、傷の無い光沢層の表面が露呈することになり、光沢性に優れた画像を視認することができる。
本発明にかかるラミネート方法は、微小なインク滴による描画によって、印刷対象物の被印刷面上に形成された画像層に対して光沢を付与すべく、前記画像層をラミネートするラミネート方法であって、前記画像層に対して粘着性を有するとともに、画像層の表面形状に対応して柔軟に変形できるように構成された透過性を有するシール層上に、少なくとも表面が平滑に形成され、且つシール層の変形に対抗可能な剛性を備えて透過性を有する光沢層が積層されてなるラミネートシートを、画像層上に前記シール層を積層するように、前記印刷対象物に重ね合わせ、前記印刷対象物及び光沢層の両側からプレスするようにしたことを特徴とする。なお、ここで印刷対象物とは、インク滴によって画像が形成されるものであり、例えば、一般的な紙や、半光沢紙、光沢紙、コーティング紙等のペーパーは勿論のこと、ラベル面がインク滴で印刷可能に構成されたCD―ROM等のメディアなども含む概念である。また、平滑とは、凹凸がなく滑らかであることをいい、表面が平滑とは、表面が真っ直ぐで滑らかな面であることは勿論のこと、緩やかな円弧面等を含む概念である。
上記ラミネート方法によれば、画像層に対して粘着性を有するとともに、画像層の表面形状に対応して柔軟に変形できるように構成されたシール層を画像層上に積層するように、ラミネートシートを印刷対象物に重ね合わせた状態で、前記印刷対象物及び光沢層の両側からプレスするようにしているので、シール層は、画像層の表面形状に対応して変形し、該画像層の表面に密接状態で粘着することになる。
そして、シール層上に積層された光沢層は、少なくとも表面が平滑に形成され、且つシール層の変形に対抗可能な剛性を備えているので、シール層の変形に影響を受けることなく、常態で維持することになり、該光沢層の表面が平滑状態で維持されることになる。これにより、透過性を有するシール層、及び光沢層を介して視認される画像は、光沢層の平滑な表面によって光沢が付与されることになる。
この場合、好ましい一態様として、前記シール層は、加熱することで軟化して粘着性、及び流動性を発揮する熱可塑性樹脂で構成され、光沢層は、軟化点がシール層の軟化点よりも高い熱可塑性樹脂で構成されてなり、前記プレスは、光沢層の軟化点よりも低く、且つシール層の軟化点以上に温度設定された一対のヒートローラで前記印刷対象物及び光沢層の両側から圧着しつつ搬送することで行うようにしてもよい。
このようにすれば、ヒートローラによる加熱により、シール層が軟化して粘着性、及び流動性を発揮するので、ヒートローラで圧着すると、該圧着力によってシール層が画像層の表面形状に従って流動変形し、該画像層の表面に密接状態で粘着することになる。そして、ヒートローラによる搬送により、圧着位置が順次変化することになるので、粘着前に画像層とシール層との間に介在する気体が順次押し出されて、画像層の表面の全領域にシール層が完全に密着することになる。その一方で、光沢層は、常態を保つことになるので、表面の平滑状態が維持され、シール層、及び光沢層を介して視認される画像は、光沢層の平滑な表面によって光沢が付与されることになる。
以上のように、本発明のラミネートシートによれば、インクの微滴によって描画された画像層の表面の凹凸に影響を受けることなく、視認される画像に光沢を付与することができるという優れた効果を奏し得る。
本発明のラミネート方法によれば、インクの微滴によって描画された画像層の表面の凹凸に影響を受けることなく、視認される画像に光沢を付与することができるという優れた効果を奏し得る。
以下、本発明の一実施形態にかかるラミネートシートについて、添付図面を参照しつつ説明する。
本実施形態にかかるラミネートシートは、高品質の画像の形成が要求される写真処理分野に採用されるものであり、インクジェットプリンタのヘッドからインクの微滴をペーパー(印刷対象物)に向けて吐出させることで該ペーパーの一方の面(被印刷面)に描画された画像(画像層)に光沢を付与するものである。
まず、本実施形態にかかるラミネートシートの説明に先立ち、インクジェットプリンタに採用されるインク、及び該インクによって描画されるペーパーについて説明する。
前記インクには、染料系のインクや、顔料系のインクがあるが、写真分野においては、耐光性等を考慮して顔料系のインクが採用されており、画像の劣化を防止するようにしている。
前記ペーパーとしては、半光沢紙、又は光沢紙が採用されている。具体的に説明すると、半光沢紙、及び光沢紙の何れも、図1に示す如く、紙等からなるベースペーパーPaと、該ベースペーパーPaの一方の面上に形成されたインク吸収層Pbとを備えている。これらのペーパーPは、処理効率等の観点により、前記ラミネートシートで連続的にラミネートした後に定寸に切断するようにすべく、長尺に設定されている。
前記インク吸収層Pbは、塗布されたインクを効率的に吸収することで、にじみの発生を防止するように構成されている。すなわち、インク吸収層Pbには、微小な吸収穴(図示しない)が無数に形成されており、塗布したインクが吸収穴に入り込むことで、吸収性を高めるように構成されている。
一般的に、前記吸収穴の穴径は、前記インクが含有する顔料の粒子よりも小さく、上記構成のペーパーPに対し、インクジェットプリンタのヘッドからインクの微滴を吐出して描画すると、ペーパーPに着弾したインクの顔料が吸収穴に入り込むことなく、ペーパーP(インク吸収層Pb)の表面に堆積し、インクによって形成された画像層Vの表面が凹凸状になっている。また、描画される画像に白色が含まれる場合には、白色はペーパーP自身の色が用いられるため、インクが塗布されない部分(白色部分)と、インクの塗布された部分との境界に段差が形成されている。
このような表面形状になった描画済みのペーパーPに対してラミネートするため、本実施形態にかかるラミネートシートは、図2に示す如く、前記画像層V上に積層されるシール層Saと、該シール層Saに積層された光沢層Sbと、光沢層Sbを保護すべく、光沢層Sb上に積層された剥離層Scとで構成されている。
前記シール層Saは、所定の温度(軟化点)以上に加熱することで、軟化して粘着性、及び流動性を発揮する熱可塑性樹脂により構成されている。該シール層Saに採用される熱可塑性樹脂は、透過性を有した(透明度の高い)ものが採用されており、本実施形態においては、軟化点が60℃〜100℃のポリエステル系の樹脂が採用されている。
前記光沢層Sbは、シール層Saに密着する一方の面とは反対側の面、すなわち、表面が平滑(凹凸の無い滑らかの状態)に形成されている。前記光沢層Sbは、軟化点がシール層Saよりも高く、透過性を有した(透明度の高い)熱可塑性樹脂により構成されており、本実施形態においては、軟化点が100℃〜150℃のアクリル系の樹脂が採用されている。これにより、該光沢層Sbは、シール層Saの軟化点以上の温度環境下で、シール層Saが軟化して流動変形しても、シール層Saの変形に追従することのない剛性を備えている。つまり、光沢層Sbは、シール層Saが軟化しても、常態で維持して表面を平滑状態で維持できる剛性を備えている。
なお、本実施形態において、シール層Saにポリエステル系の樹脂が採用され、光沢層Sbにアクリル系の樹脂が採用されているため、これらの積層(接着)を確実にすべく、シール層Saと光沢層Sbとの間に、これらを接着するアンカーコート層Sdが介装されている。該アンカーコート層Sdは、前記シール層Sa、及び光沢層Sbと同様に、透過性を有するもの(透明度の高いもの)が採用されている。
前記剥離層Scは、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)をシート状に成形したものであり、前記光沢層Sbに表面に対し、該剥離層Scが自ら保有する粘着性により貼着されている。これにより、光沢層Sb上に接着剤等の残存物が残ることなく、光沢層Sbから剥離できるようになっている。
上記構成のラミネートシートSは、剥離層Scを構成する薄いシートに対し、光沢層Sbを積層状態で形成し、更に光沢層Sb上にシール層Saを積層状態で形成することで作製されている。具体的には、光沢層Sbの表面を平滑にすべく、剥離層Scを構成するシートを上面が平滑な定盤上に配置した状態で、前記シートを基材として光沢層Sb、アンカーコート層Sd、及びシール層Saを順次積層することで作製されている。これにより、剥離層Scを光沢層Sbから剥離させた際に、光沢層Sbの表面を平滑状態に形成することができる。なお、いうまでもないが、剥離層Scを構成するシートは、少なくとも光沢層Sbに積層する一方の面(好ましくは両面)が平滑に形成されているものである。
該ラミネートシートSは、描画済みのペーパーPに対して連続的にラミネートできるように長尺に形成されており、収納等の観点から、光沢層Sbを外側にして巻き回されてロール状にされている(以下、ロール状にされたラミネートシートSをロール体という)。
次に、上記構成のラミネートシートSを用い、描画済みのペーパーPをラミネートする方法について説明すると、図3に示す如く、ロール体Rを軸心周りで回転できるように枢支し、該ロール体RからラミネートシートSを引き出せるようにセットする。そして、ペーパーPの一方の面に描画された画像(画像層V)とロール体Rから巻きが解かれて引き出されたラミネートシートSのシール層Saとを対向させてラミネートシートSとペーパーPとを重ね合わせる。なお、本実施形態において、ロール体Rの配置の関係から、ロール体Rから巻きの解かれたラミネートシートSの引き出し方向を変換すべく、ラミネートシートSとペーパーPとを重ね合わせる前に、ラミネートシートSを方向変換用ローラ2に巻き掛け、ラミネートシートSをペーパーPに対して適正に重ね合わせることができるようになっている。
そして、ラミネートシートS、及びペーパーPは、重ね合わせ状態が維持できるように同期をとって、長手方向に搬送されて下流側に配設された一対のヒートローラ1,1間に送り込まれる。該一対のヒートローラ1,1は、光沢層Sbを軟化させずにシール層Saのみを軟化させるべく、光沢層Sbの軟化点(軟化する温度)よりも低く、且つシール層Saの軟化点(軟化する温度)以上の表面温度(本実施形態においては、90℃〜140℃)に設定されている。
この状態で、重ね合わされたラミネートシートS、及びペーパーPは、一対のヒートローラ1,1によって加熱されることになる。そうすると、該ヒートローラ1,1に加熱によってシール層Saが軟化することになる。具体的には、ラミネートシートSの剥離層Sc、及び光沢層Sbは、シール層Saよりも融点が高く設定されているので、ヒートローラ1,1によってラミネートシートSが加熱されても、剥離層Sc、及び光沢層Sbが軟化することなく、シール層Saのみが軟化して流動性、及び粘着性を発揮することになる。
そして、この状態において、一対のヒートローラ1,1の圧着により、積層状態のラミネートシートS及びペーパーPが両側からプレスされているので、、図4(イ)に示す如く、軟化したシール層Saが画像層Vの表面形状に従うように流動変形し、画像層Vに密接状態で粘着することになる。そして、一対のヒートローラ1,1による圧着搬送により、積層状態のラミネートシートS及びペーパーPに対するプレス位置が順次変移し、画像層Vとシール層Saとの間に介在していた気体が順次押し出されつつ、画像層Vの全領域とシール層Saとが、密接状態で粘着することになる。この際、光沢層Sbは、軟化せずにシール層Saの流動変形に対抗できる剛性を得たままであるので、シール層Saの流動変形に追従することなく、常態で維持し、表面が平滑状態で保たれることになる。
そして、シール層Saと画像層Vとの間にズレが生じないように、シール層Saが固化した後、ペーパーPの画像の形成領域に対応するように、ラミネートシートSとペーパーPとを積層したものを定寸に切断する。その後、図4(ロ)に示す如く、剥離層Scを光沢層Sbから剥離することで、平滑な光沢層Sbの表面が露呈し、シール層Sa、及び光沢層Sbを介して光沢のある画像(画像層V)を視認できる状態になる。なお、前記剥離層Scは、自己機能として保有する粘着力で光沢層Sbに粘着しているので、剥離層Scを剥離した際に、接着剤を介して貼着した場合とは異なり、剥離層Scが剥離された光沢層Sbの表面には、残存物が付着することがない。
以上のように、本実施形態にかかるラミネートシートによれば、ペーパーPに描画された画像層Vに対して粘着性を有するとともに、画像層Vの表面形状に対応して柔軟に変形できるシール層Sa上に、該シール層Saの変形に対抗できる剛性を有する光沢層Sbを積層するようにしたので、シール層Saと画像層Vとを粘着させる際に、シール層Saが画像層Vの表面状態に対応して変形しても、光沢層Sbの表面が平滑状態で維持することになり、画像層Vの表面の凹凸に関係なく、高い品質が要求される写真処理分野でも満足できる光沢を画像層Vに付与するこができる。
また、シール層Saに加熱することで粘着性、及び流動性を発揮するポリエステル系の樹脂を採用したので、常温時には粘着性、及び流動性がなく、当該ラミネートシートSを保管するのに、巻き回してロール体Rにしても、シール層Saが剥離層Scに粘着してしまうことがなく、ロール体RからラミネートシートSを円滑に引き出すことができる。
さらに、光沢層Sb上に剥離可能な剥離層Scを積層したので、一対のヒートローラ1,1で圧着しても、光沢層Sbの表面がヒートローラ1,1に直接接触することがなく、ヒートローラ1,1による圧着で光沢層Sbの表面が傷付くのを防止することができる。これにより、剥離層Scを光沢層Sbから剥離することで、傷が全くなく、且つ光沢性の極めて優れた表面が露呈するので、ペーパーPに描画された画像に対して極めて優れた光沢を付与することができる。
また、前記ラミネートシートSと、描画されたペーパーPとを重ね合わせた状態で、両側からヒートローラ1,1で圧着するようにしたので、その圧着力によってシール層Saを流動変形させて画像層Vの表面形状に確実に従わせることができる。その上、前記ラミネートシートSと、描画されたペーパーPとを重ね合わせたものをヒートローラ1,1によって圧着しつつ搬送するようにしたので、シール層Saと画像層Vとの間に介在していた気体を確実に排出することができ、シール層Saと画像層Vの密着性を高めることができる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、シール層Saを熱可塑性樹脂(ポリエステル系の樹脂)を採用したが、これに限定されるものではなく、シール層Saは、例えば、アクリル樹脂とセルロースとの混合樹脂等を採用してもよい。
上記実施形態において、剥離層Scが自ら保有する粘着性により、光沢層Sbに対して剥離層Scを貼着するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、光沢層Sbに対して貼着するのに剥離層Scの粘着性が強い場合には、光沢層Sbに貼着させる(積層する)剥離層Scの一方の面に、前記光沢層Sbに粘着させる剥離コート層を形成するようにしてもよい。この剥離コート層は、軟化点が200℃〜250℃のシリコン系の樹脂や、フッ素系樹脂等で形成することが好ましく、これらを採用することで、剥離層Scにおける光沢層Sbに対する剥離性が十分に得られるとともに、剥離層Scを光沢層Sbから剥離させるに際し、光沢層Sbの表面に付着物が残ることなく、剥離コート層を剥離層Scとともに光沢層Sbから剥離させることができる。
上記実施形態において、シール層Saと光沢層Sbとの間にアンカーコート層Sdを介装し、シール層Saと光沢層Sbとの接着性を高めるようにしたが、これに限定されるものではなく、光沢層Sbの粘着性により、該光沢層Sbをシール層Saに粘着させるようにしてもよい。つまり、シール層Saに採用される材質と、光沢層Sbに採用される材質との接着性の相性により、適宜アンカーコート層Sdを設けるようにすればよい。
上記実施形態において、シール層Saに加熱することで粘着性、及び流動性を発揮するものを採用したが、これに限定されるものではなく、例えば、常温で粘着性、及び柔軟性を有し、粘着後に硬化するように構成された、いわゆる透明度の高い接着剤であってもよい。この場合、光沢層Sbは、画像層Vの表面形状に対応して変形するシール層Saに追従して変形することのない剛性を有するものを採用することは勿論のことである。また、シール層Saを加熱して軟化させる必要がないので、ヒートローラ1,1を単なるローラにするようにすればよい。
上記実施形態において、一対のヒートローラ1,1で、ラミネートシートSと描画済みのペーパーPとを重ね合わせたものを両面から圧着搬送して順次プレスしていくようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、平滑面を形成した一対のプレートや型により、ラミネートシートSと描画済みのペーパーPとを重ね合わせたものを両面からプレスするようにしてもよい。このようにした場合、上記実施形態のようにラミネートシートS、及びペーパーPが長尺なものであると、ラミネートシートSと描画済みのペーパーPとを重ね合わせたものに対して、間欠的にプレスすることになるので、均一なプレスを長手方向に連続的に行うには、上記実施形態と同様に、一対のヒートローラ1,1(ローラ)で圧着搬送するようにすることが好ましい。
また、上記実施形態において、光沢層Sb上に剥離層Scを積層したが、これに限定されるものではなく、例えば、光沢層Sbを、シール層Saの融点よりも高く、且つ表面を常時平滑状態に保てることのできるシートで構成し、これに対してシール層Saを積層して形成するようにしてもよい。つまり、光沢層Sbを、ラミネートシートSの基材として兼用させるようにしてもよい。この場合、プレスするに際し、光沢層Sbの表面にヒートローラ1,1や、プレスの型等が接触することになるので、ヒートローラ1,1の外周面や、プレスの型のプレス面に対し、光沢層Sbの表面を傷付けるのを防止する為の保護材を設けることはが好ましい。ただし、ヒートローラ1,1や型に保護材を設けても、光沢層Sbの傷付きを防止するには限界があるので、上記実施形態と同様に、光沢層Sb上に剥離層Scを剥離可能に積層することが好ましい。
上記実施形態において、顔料系のインクの微滴によってペーパー(半光沢紙、又は光沢紙)に画像層Vを形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、染料系のインクの微滴によってペーパーに画像を形成したものに対し、前記ラミネートシートSをラミネートしてもよい。このようにしても、上記実施形態と同様に、画像に対して光沢を付与することができることは勿論のことである。
また、上記実施形態において、ラミネートシートSを長尺に形成し、長尺なペーパーPに対して連続的に積層するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、画像層Vの形成されたペーパーPを定寸に裁断するとともに、ラミネートシートSもペーパーPと同様に定寸に切断し、これらを上述の如く、画像層Vに対してシール層Saを積層するように、ペーパーP及びラミネートシートSを重ね合わせ、両面側からプレスするようにしても勿論よい。
上記実施形態において、ペーパーPの一方の面に形成された画像層Vをラミネートするようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、画像層Vが形成される印刷対象物は、ペーパーPに限定されるものではなく、例えば、インク滴でラベルに対してインク滴で描画可能に構成されたCD―ROM等のメディアなどであってもよい。このような印刷対象物の被印刷面上に形成された画像層も、インク滴によって形成されることで表面が凹凸状になっているので、上記構成のラミネートシートSで画像層の表面をラミネートすることで、光沢のあるラベル(画像)に仕上げることができる。また、ペーパーPも半光沢紙又は光沢紙に限定されず、一般的な紙や、樹脂シート、コーティング紙等であってもよい。すなわち、本発明にかかるラミネートシート、及びラミネート方法は、印刷対象物の被印刷面上に形成された画像層に光沢が要求されるものであれば、印刷対象物について特に限定されるものではない。
本発明の一実施形態にかかるラミネートシートを用いてラミネートされる描画済みのペーパーの部分拡大した縦断面図を示す。 同実施形態にかかるラミネートシートの部分拡大した縦断面図を示す。 同実施形態にかかるラミネートシートを用いて描画済みのペーパーをラミネートするラミネート方法を説明するための説明図を示す。 同実施形態にかかるラミネートシートを描画済みのペーパーに積層した状態の部分拡大した縦断面図であって、(イ)は、剥離層が光沢層に積層された状態を示し、(ロ)は、光沢層から剥離層を剥離する際の状態を示す。
符号の説明
1…ヒートローラ、2…方向変換用ローラ、P…ペーパー、Pa…ベースペーパー、Pb…インク吸収層、V…画像層、R…ロール体、S…ラミネートシート、Sa…シール層、Sb…光沢層、Sc…剥離層、Sd…アンカーコート層

Claims (5)

  1. 微小なインク滴による描画によって、印刷対象物の被印刷面上に形成された画像層に対して光沢を付与するためのラミネートシートであって、前記画像層上に積層される透過性を有するシール層と、該シール層上に積層された透過性を有する光沢層とで構成されてなり、前記シール層は、少なくとも画像層上に積層される際に、前記画像層に対して粘着性を有するとともに、画像層の表面形状に対応して柔軟に変形可能に構成され、前記光沢層は、少なくとも表面が平滑に形成され、且つシール層の変形に対抗可能な剛性を備えてなることを特徴とするラミネートシート。
  2. 前記シール層は、加熱することで軟化して粘着性、及び流動性を発揮する熱可塑性樹脂で構成され、光沢層は、軟化点がシール層の軟化点よりも高い熱可塑性樹脂で構成されてなる請求項1記載のラミネートシート。
  3. 前記光沢層の表面に剥離可能な剥離層がさらに積層されてなる請求項1又は2記載のラミネートシート。
  4. 微小なインク滴による描画によって、印刷対象物の被印刷面上に形成された画像層に対して光沢を付与すべく、前記画像層をラミネートするラミネート方法であって、前記画像層に対して粘着性を有するとともに、画像層の表面形状に対応して柔軟に変形できるように構成された透過性を有するシール層上に、少なくとも表面が平滑に形成され、且つシール層の変形に対抗可能な剛性を備えて透過性を有する光沢層が積層されてなるラミネートシートを、画像層上に前記シール層を積層するように、前記印刷対象物に重ね合わせ、前記印刷対象物及び光沢層の両側からプレスするようにしたことを特徴とするラミネート方法。
  5. 前記シール層は、加熱することで軟化して粘着性、及び流動性を発揮する熱可塑性樹脂で構成され、光沢層は、軟化点がシール層の軟化点よりも高い熱可塑性樹脂で構成されてなり、前記プレスは、光沢層の軟化点よりも低く、且つシール層の軟化点以上に温度設定された一対のヒートローラで前記印刷対象物及び光沢層の両側から圧着しつつ搬送することで行うようにした請求項4記載のラミネート方法。
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