JP4071469B2 - コンデンサ用陽極箔、該陽極箔の製造方法及び該陽極箔を用いた固体電解コンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子機器に利用される固体電解コンデンサ用の陽極箔、その製造方法及びその箔を用いた固体電解コンデンサに関する。さらに詳しく言えば、特に固体電解コンデンサ用アルミニウム箔の表面の接触角が一定範囲にある良好なアルミニウム箔を用いた固体電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化、プリント基板の高密度実装化、実装の効率化等の要請から電子部品のチップ化、小型化が著しく進展し、これに伴い電解コンデンサのチップ化、小型化の要請が高まり、近年電解液を用いない固体電解コンデンサが急速に伸びてきている。
【0003】
固体電解コンデンサは、一般的にアルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン及びその合金などの弁作用金属からなる陽極体の表面をエッチングにより粗面化してミクロンオーダーの微細孔を形成して表面積を拡大し、その上に化成工程によって誘電体酸化皮膜を形成し、さらに陽極部との間にセパレータ(マスキング)を介して固体電解液を含浸させて陰極体としたコンデンサ素子を巻回あるいは積層させて筒状の金属ケースに収納し、金属ケースの開口部を封止部材によって密封することにより構成されている。また、チップ型の固体電解コンデンサでは、誘電体酸化皮膜を形成した電解箔に含浸させた固体電解質、その上のコロイダルカーボン層、銀ペーストからなる陰極導電層を形成した後に外装部を形成して構成される。
【0004】
上記の弁作用金属の中でも、アルミニウムはエッチング処理により容易に表面積を拡大でき、またアルミニウムを陽極とする陽極酸化処理(化成処理)により表面に形成される酸化皮膜が誘電体として利用できるため、他のコンデンサに比べて小型で大容量でかつ安価に製造できる特長があり、特に低圧用のアルミニウム固体電解コンデンサとして広く用いられている。
【0005】
アルミニウム固体電解コンデンサに用いられる電極箔はアルミニウム箔を電気化学的または化学的にエッチングしてその表面積を拡大した後、製品パターンの形状に打ち抜き、切り口部を化成処理して用いられている。
【0006】
また、アルミニウム箔のエッチング方法は、塩素イオンを含む水溶液中にリン酸、硫酸、硝酸などを添加した電解液中で、アルミニウム箔を正極とし、かつアルミニウム箔に隣接させて配置された電極を負極として直流電流を流してエッチングする直流電解エッチング法と、塩素イオンを含む水溶液中にリン酸、硫酸、硝酸等を添加した電解液中で、アルミニウム箔の両側に配置された電極間に交流電圧を印加しエッチングする交流電解エッチング法とがある。
【0007】
さらに、高容量の電極箔を得るためには、化成においてはエッチング処理で形成された細孔が溶解により崩れることを防ぐと共に化成皮膜が均一に形成され、かつ欠陥部がないことが必要である。
【0008】
アルミニウム箔の表面撥水性に関しては、エッチング処理後化成処理工程前に、エッチング面を微アルカリまたは珪酸アルカリを含む熱水で処理し、次いで形成された水和酸化物に撥水性を付与する水溶液で処理する方法が提案されている(特開平6−104147号公報)。また、エッチングする前に予備脱脂と表面の均一性を付与するために水との接触角が30〜80度である微細孔を有しないアルミニウム箔が提案されている(特開平5−214498号公報)。
【0009】
本発明者らは、先に所定の長方形の形状に切断した金属箔(アルミニウム箔)の一辺を直線状の金属製支持体(金属製ガイド)に並列して取り付け金属箔の固体電解質を形成する全領域を化成処理し、ついで化成領域の固体電解質を形成する陰極となる領域と陽極端部となる境界域にマスキングを施した後、固体電解質を形成する固体電解コンデンサ素子の製造方法を提案している。この方法によれば切断により生じる切り口部分も完全に化成することができるため、固体電解質や導電ペーストの切口部への浸入による漏れ電流が防止できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
固体電解コンデンサは、所定の容量のコンデンサとするために、切り口部分を化成した素子を通常複数個積層して陽極端子に陽極リード線を接続し、導電性重合体を含む導電体層に陰極リード線を接続し、さらに全体をエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂で封止して固体電解コンデンサが作製されている。
【0011】
しかし、固体電解コンデンサでは、弁作用金属上の誘電体表面の撥水性により導電性重合体の付着において重合条件を綿密にコントロールしなければ、導電性重合体の形成が不均一になり、容量の低下、等価直列抵抗(ESR)の上昇及び漏れ電流の上昇につながるという問題があった。
【0012】
したがって、本発明は上記従来技術の問題点を解決し、固体電解コンデンサの容量を高め、安定した品質を有し、かつ生産性を向上できる固体電解コンデンサ用陽極箔の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み鋭意検討した結果、本発明者らは、電解エッチングを施したアルミニウム箔について、所定の電圧及び化成液で化成処理する方法により、全面が均一的に化成された表面が得られ、コンデンサ容量の増加、漏れ電流の低下及びESRの低下が見られた。また、積層型固体電解コンデンサではコンデンサ素子の積層時に陽極体部分の接合を確実にかつ効率的に行え、生産性が向上することを見出して本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は以下の固体電解コンデンサ用陽極箔、その製造方法およびその陽極箔を用いた固体電解コンデンサに関する。
1) 微細孔を有する弁作用金属を化成処理して誘電体皮膜を有する固体電解コンデンサ用陽極箔を製造する方法において、化成処理がシュウ酸、アジピン酸、ホウ酸、リン酸、ケイ酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも1種を含む電解液で一次化成する工程、該一次化成電解液とは異なる組成の電解液で二次化成する工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサ用陽極箔の製造方法、
2) 微細孔を有する弁作用金属を化成処理して誘電体皮膜を有する固体電解コンデンサ用陽極箔を製造する方法において、化成処理がシュウ酸、ホウ酸、リン酸、ケイ酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも1種を含む電解液で一次化成する工程を経て、次いでそれを熱処理する工程、そして、アジピン酸またはその塩を含む電解液で二次化成する工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサ用陽極箔の製造方法、
3) 化成する工程が、20V未満の電圧による化成処理である上記1)または2)に記載の固体電解コンデンサ用陽極箔の製造方法、
4) 熱処理する工程が、250℃以上である上記2または3に記載の固体電解コンデンサ用陽極箔の製造方法、
5) 弁作用金属が、アルミニウム箔である上記1)乃至4)のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサ用陽極箔の製造方法、
6) アルミニウム箔が、0.05〜1mmの厚さを有するものである上記5)に記載の固体電解コンデンサ用陽極箔の製造方法、
7) 上記1)乃至6)のいずれかひとつに記載の陽極箔の製造方法で得られた誘電体皮膜の表面が、10〜100度の接触角を有することを特徴とする固体電解コンデンサ用陽極箔、
8) 上記1)乃至6)のいずれかひとつに記載の陽極箔の製造方法を経て、次いで該陽極箔上に、固体電解質を形成し、その上に導電体を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法、
9) 上記7)に記載の陽極箔上に、固体電解質を形成し、その上に導電体を形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法、
10) 固体電解コンデンサを作製した時に陽極箔の陽極端部となる領域と導電体層を形成する陰極となる領域との境界部に予めマスキングを施す上記8)または9)に記載の固体電解コンデンサの製造方法、
11) 上記7)に記載の陽極箔上に、固体電解質層および導電層を順次有する固体電解コンデンサ、
12) 上記8)乃至10)のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法を含む製造プロセスから製造された固体電解コンデンサ。
13) 固体電解質層が、導電性重合体を含むことを特徴とする上記11)または12)に記載の固体電解コンデンサ、
14) 導電性重合体が、複素五員環を含む化合物またはアニリン骨格を有する化合物の重合体を含んだものである上記13)に記載の固体電解コンデンサ、
15) 複素五員環を含む化合物が、ピロール、チオフェン、フラン、多環状スルフィド及びそれらの置換誘導体から選ばれた少なくとも1種である上記14)に記載の固体電解コンデンサ、
16) 複素五員環を含む化合物が、下記一般式(I)
【化2】
(式中、置換基R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルエステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしくは3級アミノ基、CF3基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価の基を表わす。またR1またはR2の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子とともに少なくとも1つ以上の3乃至7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。前記環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノの結合を任意に含んでもよい。)で示される化合物である上記14)に記載の固体電解コンデンサ。
17) 複素五員環を含む化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェン及び1,3−ジヒドロイソチアナフテンから選ばれる化合物である上記14)に記載の固体電解コンデンサ、及び
18) 上記7)に記載の陽極箔に固体電解質層および導電体層を有するコンデンサ素子を複数枚積層してなる積層型固体電解コンデンサ。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の方法を説明する。
【0016】
(アルミニウム)
本発明で使用するアルミニウム箔は、例えばロール状で市販されているアルミニウム箔を固体コンデンサの形状に合わせて所定の形状に裁断したものである。箔の厚みは、エッチング後のアルミニウム箔の強度が十分確保できる範囲であれば良く限定されないが、例えば0.05〜1mm、好ましくは0.1〜0.4mm、さらに好ましくは0.1〜0.2mmの範囲がよい。
【0017】
アルミニウムとしては、Si、Fe、Cu、Ti、VおよびZrからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を含有するアルミニウム、好ましくは該元素を10〜1000質量ppm、さらに好ましくは10〜300質量ppm含有するものであればよい。
【0018】
特に、Siを10〜100質量ppm、Feを10〜100質量ppm、およびCuを10〜100質量ppm含有するアルミニウムが好ましい。
【0019】
また、アルミニウム箔は、箔圧延後の熱処理(焼鈍)によって性質が変化する。熱処理を行っていない「硬質箔」は、圧延方向に引き延ばされた細長い繊維状結晶の集合体になっており、熱処理として300〜400℃で焼鈍するとほぼ完全に一次再結晶を完了した「軟質箔」となり、550〜600℃で焼鈍すると、正常結晶粒が成長した「極軟質箔」となる。本発明で使用するアルミニウム箔は、上記のいずれの箔が使用できるが、硬質箔が好ましい。
【0020】
裁断の形状は限定されないが、好ましくは平板形素子単位として幅1〜50mm、長さ1〜50mmの範囲であれば良く、好ましくは幅2〜20mm、長さ2〜20mm、より好ましくは幅2〜5mm、長さ2〜6mmである。
【0021】
本発明では上記所定の形状に裁断したアルミニウム箔(1)の一辺を金属製支持体(10)に並列して取り付ける(図1)。
【0022】
(マスキング)
本発明では、図2(A)に示すように前記アルミニウム箔(1)の陽極となる陽極端部(2)と導電体層を形成する領域(3)との境界部に予めマスキング(4)を施しておくことが好ましい。
【0023】
マスキングは後に形成する導電体層(陰極部)を確実に陽極部と絶縁する機能を有するだけでなく、エッチング、化成処理、電解質形成、導電体形成工程における処理液のはい上がりを防止する働きを有する。
【0024】
使用するマスキング材としては、一般的な耐熱性樹脂、好ましくは溶剤に可溶あるいは膨潤しうる耐熱性樹脂またはその前駆体、無機質微粉とセルロース系樹脂からなる組成物(特開平11−80596号公報)などが使用できる。
【0025】
具体例としてはポリフェニルスルホン(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等)、低分子量ポリイミド及びそれらの誘導体などが挙げられる。低分子量ポリイミド、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂及びそれらの前駆体が好ましく、特に低分子量ポリイミドが好ましい。
【0026】
これらを有機溶剤の溶液あるいは分散液として線状に塗布し、加熱処理により熱変性し高分子化して硬化する。
【0027】
また、マスキングとしては、ポリプロピレン、ポリエステル、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂製等のテープを貼付する方法、樹脂コートフィルム部を形成する方法を採用することもできる。
【0028】
(電解エッチング)
上記金属製支持体に並列して取り付けたアルミニウム箔の、陽極となる部分から下、好ましくはマスキングを施した部分の下を塩素イオンを含む水溶液中にリン酸、硫酸、硝酸等を添加した電解液中で電解液に浸漬してエッチング処理する(図2(B))。
【0029】
エッチングは周波数1〜1000Hz、電流密度0.025〜4A/cm2、エッチング電気量0.02〜100C/cm2の条件の交流エッチングを行うが、交流の電流密度を徐々に上昇させ、その後一定電流で交流電解エッチングを行うことが好ましい。
【0030】
また直流電解エッチングと交流電解エッチングを併用し、最初に直流で、その後に交流電解エッチングを行ってもよいし、直流電解エッチングのみでエッチングしてもよい。
【0031】
(化成処理)
ついで上記でエッチングされた部分(5)のみを化成処理する(図2(C))。
【0032】
化成処理は種々の方法によって行なうことができるが、化成液の条件で、得られる誘電体(酸化)皮膜の表面撥水性が異なってくることが判った。アルミニウム箔の誘電体皮膜表面には水酸化アルミニウムが存在していることが知られている。化成条件によって、この水酸化アルミニウムの親水基を制御して水ぬれ性を好ましい範囲にすることができる。化成処理の条件は表面撥水性(水ぬれ性)を好ましい範囲にすることができれば特に限定されるものではないが、例えば蓚酸、アジピン酸、ホウ酸、リン酸、珪酸またはそれらの塩等の少なくとも1種を含む電解液を用い1次化成し、その電解液濃度が0.05質量%〜20質量%、温度が0℃〜90℃、電流密度が0.1mA/cm2〜600mA/cm2、電圧は処理する箔の化成電圧に応じた数値、化成時間が60分以内の条件で化成を行なう。さらに好ましくは前記電解液濃度が0.1質量%〜15質量%、温度が20℃〜70℃、電流密度が1mA/cm2〜100mA/cm2、化成時間が30分以内の範囲内で条件を選定する。次いで、1次化成電解液組成とは異なる電解液で2次化成を行うのがよい。
【0033】
また、1次化成の後に、化成箔を好ましくは250℃以上、さらに好ましくは250℃以上600℃以下の熱処理を行うのがよい、さらに2次化成電解液としてはカルボキシル基(−COOH)を分子内に2個以上含むカルボン酸またはその塩がよく、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、フタール酸またはその塩が使用でき、pH6〜8付近、好ましくはpH6.5〜7.5である。
【0034】
必要に応じて3次、4次化成を行うこともできる。また、化成処理の後に、必要により、例えば耐水性向上のためのリン酸浸漬処理、皮膜強化のための熱処理または沸騰水への浸漬処理等を行なうことができる。
このようにして、得られた誘電体皮膜の表面が水に対する接触角として10〜100度を有することが、好ましくは10〜90度、さらに好ましくは40〜90度を有することが、後述する固体電解質を形成するために皮膜界面との接着性が良好になる。
【0035】
接触角の測定は、表面を化学的に洗浄した後、ゴニオメータ式接触角測定器で読みとるか、写真を低倍率の顕微鏡に取り付け、角度目盛付載物台を回転して測定できる。
【0036】
表面撥水性(水ぬれ性)は誘電体皮膜を構成する分子や原子の密度、結晶性、表面静電場、双極子、水素結合性、酸・塩基相互作用に関係する表面官能基などが関与する。詳細は不明だが、本発明で得られた表面撥水性は汚れ、水分等による変化が少ない表面になっていて、表面撥水性の経時変化が少ないものである。
【0037】
以上により本発明の固体電解コンデンサ用アルミニウム箔が得られるが、この後引き続く工程として化成処理部分(6)に陰極層となる固体電解質(7)を形成する(図3)。
【0038】
(固体電解質の形成)
本発明の固体電解コンデンサに用いられる固体電解質を形成する導電性高分子は限定されないが、好ましくはπ電子共役系構造を有する導電性重合体、例えばチオフェン骨格を有する化合物、多環状スルフィド骨格を有する化合物、ピロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物、アニリン骨格を有する化合物等で示される構造を繰り返し単位として含む導電性重合体が挙げられる。
【0039】
導電性重合体の原料として用いられるモノマーのうち、チオフェン骨格を有する化合物としては、一般式(I)
【化3】
(式中、置換基R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルエステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしくは3級アミノ基、CF3基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価の基を表わす。またR1またはR2の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子とともに少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。前記環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ等の結合を任意に含んでもよい。)で示されるものが挙げられる。
【0040】
具体的には、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ペンチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−ノニルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−フルオロチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−シアノチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェン、3,4−ブチレンチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、一般には市販されている化合物または公知の方法(例えば、Synthetic Metals誌,1986年,15巻,169頁)で準備できる。
【0041】
また、例えば、多環状スルフィド骨格を有する化合物としては、下記一般式(II)
【化4】
(式中、置換基R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルエステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしくは3級アミノ基、CF3基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価の基を表わす。またR3、R4、R5、R6、R7及びR8の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子とともに少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。前記環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ等の結合を任意に含んでもよい。kはチオフェン環と置換基R3〜R6を有するベンゼン環に囲まれた縮合環の数を表わし、0〜3の整数値である。式中の縮合環には窒素またはN−オキシドを任意に含んでもよいが、その数だけ置換基R3〜R6はないことになる。)で示されるものが挙げられる。
【0042】
具体的には、1,3−ジヒドロ多環状スルフィド(別名、1,3−ジヒドロベンゾ[c]チオフェン)骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフト[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物が使用できる。さらには1,3−ジヒドロアントラ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフタセノ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物を挙げることができ、公知の方法、例えば特開平8−3156号公報記載の方法により準備することができる。
【0043】
また、例えば、1,3−ジヒドロナフト[1,2−c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロフェナントラ[2,3−c]チオフェン誘導体、1,3−ジヒドロトリフェニロ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロベンゾ[a]アントラセノ[7,8−c]チオフェン誘導体等も使用できる。
【0044】
縮合環に窒素またはN−オキシドを任意に含んでいる化合物もあり、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリンや、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4−オキシド、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4,9−ジオキシド等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
また、ピロール骨格を有する化合物としては、下記一般式(III)
【化5】
(式中、置換基R9及びR10は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルエステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしくは3級アミノ基、CF3基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価の基を表わす。またR9またはR10の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子とともに少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。前記環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ等の結合を任意に含んでもよい。)で示されるものが挙げられる。
【0046】
具体的には、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−ペンチルピロール、3−ヘキシルピロール、3−ヘプチルピロール、3−オクチルピロール、3−ノニルピロール、3−デシルピロール、3−フルオロピロール、3−クロロピロール、3−ブロモピロール、3−シアノピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジエチルピロール、3,4−ブチレンピロール、3,4−メチレンジオキシピロール、3,4−エチレンジオキシピロール等の誘導体を挙げられるが、これらに限られない。これらの化合物は、市販品または公知の方法で準備できる。
【0047】
また、フラン骨格を有する化合物としては、下記一般式(IV)
【化6】
(式中、置換基R11及びR12は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルエステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしくは3級アミノ基、CF3基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価の基を表わす。またR11またはR12の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子とともに少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。前記環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ等の結合を任意に含んでもよい。)で示されるものが挙げられる。
【0048】
具体的には、3−メチルフラン、3−エチルフラン、3−プロピルフラン、3−ブチルフラン、3−ペンチルフラン、3−ヘキシルフラン、3−ヘプチルフラン、3−オクチルフラン、3−ノニルフラン、3−デシルフラン、3−フルオロフラン、3−クロロフラン、3−ブロモフラン、3−シアノフラン、3,4−ジメチルフラン、3,4−ジエチルフラン、3,4−ブチレンフラン、3,4−メチレンジオキシフラン、3,4−エチレンジオキシフラン等の誘導体が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの化合物は市販品または公知の方法で準備できる。
【0049】
また、アニリン骨格を有する化合物としては、下記一般式(V)
【化7】
(式中、置換基R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルエステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしくは3級アミノ基、CF3基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価の基を表わす。またR13、R14、R15及びR16の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子とともに少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。前記環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ等の結合を任意に含んでもよい。)で示されるものが挙げられる。
【0050】
具体的には、2−メチルアニリン、2−エチルアニリン、2−プロピルアニリン、2−ブチルアニリン、2−ペンチルアニリン、2−ヘキシルアニリン、2−ヘプチルアニリン、2−オクチルアニリン、2−ノニルアニリン、2−デシルアニリン、2−フルオロアニリン、2−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、2−シアノアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,5−ジエチルアニリン、2,3−ブチレンアニリン、2,3−メチレンジオキシアニリン、2,3−エチレンジオキシアニリン等の誘導体が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの化合物は、市販品または公知の方法で準備できる。
【0051】
また上記化合物群から選ばれる化合物を併用し、共重合体として固体電解質を形成させても良い。その時の重合性単量体の組成比などは重合条件等に依存するが、好ましい組成比、重合条件などは簡単なテストにより確認できる。例えば、モノマー及び酸化剤を好ましくは溶液の形態において、前後して別々にまたは一緒に金属箔の酸化皮膜層に塗布して形成する方法(特開平2−15611号公報や特開平10−32145号公報)等が利用できる。一般に導電性重合体には、アリールスルホン酸塩系ドーパント、例えばベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸などの塩をドーパント供与剤として用いることができる。
【0052】
固体電解質層(7)の表面に、カーボンペースト層と金属粉含有導電性層を設けてコンデンサの陰極部(8)が形成される(図3)。金属粉含有導電性層は固体電解質層と密着接合し陰極として作用すると同時に、最終コンデンサ製品(図4)の陰極リード端子(9)を接合するための接着層となるものである。金属粉含有導電性層の厚さは限定されないが、一般には10〜100μm程度、好ましくは10〜50μm程度である。
【0053】
本発明のコンデンサ素子は、少なくとも2枚を積層した積層型のコンデンサとして通常用いられる。積層型固体電解コンデンサにおいては、リードフレーム(11)を面取り、つまり稜角の部分を少し平らに削ったり、丸味をつけたりするリードフレーム形状にしても良い。
【0054】
また、リード端子(9)、(13)の役目をリードフレームの対向する陰極ボンディング部、陽極ボンディング部にもたせたものとして使用しても良い。
【0055】
リードフレームの材料は一般的に使用されるものであれば特に制限はないが、好ましくは銅系(例えばCu−Ni系、Cu−Ag系、Cu−Sn系、Cu−Fe系、Cu−Ni−Ag系、Cu−Ni−Sn系、Cu−Co−P系、Cu−Zn−Mg系、Cu−Sn−Ni−P系合金等)の材料もしくは表面に銅系の材料のメッキ処理を施した材料で構成すればリードフレームの形状の工夫により抵抗の減少、リードフレームの面取り作業性が良好になる等の効果が得られる。
【0056】
固体電解コンデンサ(14)は、図4に断面図を示す通り、陽極部(12)に接合したリードフレーム(11)にリード端子(13)を接合し、固体電解質層(7)、カーボンペースト層および金属粉含有導電性層からなる陰極部(8)にリード線(9)を接合し、さらに全体をエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂(15)で封止して得られる。
【0057】
【実施例】
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。
【0058】
実施例1:
エッチング処理工程
厚さ150μmのアルミニウム箔を60℃の第1電解液(10質量%塩酸+0.5質量%硫酸水溶液)、35℃の第2電解液(10質量%塩酸+1.5質量%硫酸水溶液)に浸漬して、交流電解エッチングを行った。さらに3質量%硝酸水溶液でケミカルエッチングを行った。
【0059】
化成処理工程
アルミニウム箔を次の化成条件で検討した。
蓚酸アンモニウム水溶液中に浸して13Vの電圧を印加して化成し、珪酸ソーダ水溶液(5質量%)に入れ13Vの電圧で二次化成する。次に500℃で熱処理して、三次化成としてアジピン酸アンモニウム水溶液中に浸して13Vの電圧を印加して、誘電体皮膜を形成した。このようにして得られた皮膜表面における水の接触角は、ゴニオメータ式接触角測定器で測定し72度を示した。
【0060】
固体電解質形成工程
化成処理層領域に以下のようにして固体電解質を形成した。
【0061】
すなわち、アルミ箔を3,4−エチレンジオキシチオフェン 20質量%を含むイソプロパノール溶液(溶液1)に浸漬し、引き上げて25℃で5分間放置した。次にモノマー溶液処理したアルミ箔部分を2−アントラキノンスルホン酸ナトリウム(東京化成社製)が0.07質量%となるように調製した過硫酸アンモニウム水溶液30質量%を含む水溶液(溶液2)に浸漬し、これを60℃で10分間乾燥し、酸化重合を行った。溶液1に浸漬してから溶液2に浸漬し酸化重合を行う操作を25回繰返して固体電解質層を形成した。金属製ガイドからアルミニウム箔を切り出し、図3に示すような固体電解コンデンサ素子として得た。
【0062】
チップ積層型固体電解コンデンサ素子の構築と試験
固体電解コンデンサ素子をマスキング層を含む部分をリードフレーム上に銀ペーストで接合しながら3枚重ね、導電性重合体のついていない部分に陽極リード端子を溶接により接続し、全体をエポキシ樹脂で封止し、120℃で定格電圧を印加して2時間エージングして合計30個のチップ型固体電解コンデンサを作製した。作製した積層型固体電解コンデンサの断面図を図4に示す。
この積層型固体電解コンデンサ素子について、230℃の温度領域を30秒通過させることによりリフロー試験を行い、定格電圧印加後1分後の漏れ電流を測定し、測定値が1CV以下のものについて漏れ電流の平均値(μA)を求め、0.04CV以上を不良品として「不良品数/評価数」を求めリフロー耐熱不良率とした。これらの結果を表2に示す。
【0063】
実施例2〜10:
実施例2〜10は実施例1と同様に次の表1に示す化成条件で化成し、得られた皮膜表面における水の接触角を測定しその結果を表1に示した。また、実施例1と同様に積層型固体電解コンデンサを作製し、漏れ電流測定、リフロー試験を行いその結果を表2に示す。
【0064】
実施例11:
実施例2において、アルミ箔の厚みを150μmの代わりに300μmにした他は、同様にして得られた皮膜表面における水の接触角を測定しその結果を表1に示し、積層型固体電解コンデンサを作製し、漏れ電流測定、リフロー試験を行いその結果を表2に示す。
【0065】
実施例12:
実施例1において、熱処理温度を250℃以下で処理した他は、同様にして得られた皮膜表面における水の接触角を測定しその結果を表1に示し、積層型固体電解コンデンサを作製し、漏れ電流測定、リフロー試験を行いその結果を表2に示す。
【0066】
参考例1:
実施例1においてアルミニウム箔の代わりに市販のエッチドアルミニウム箔を用い、エッチング処理工程を除いた他は、同様にして得られた皮膜表面における水の接触角を測定しその結果を表1に示し、積層型固体電解コンデンサを作製し、漏れ電流測定、リフロー試験を行いその結果を表2に示す。
【0067】
参考例2:
実施例1において得られた化成箔を、希薄なシリコーンオイルに浸して、乾燥したアルミニウム箔の皮膜表面における水の接触角を測定しその結果を表1に示し、この箔を用いて積層型固体電解コンデンサを作製し、漏れ電流測定、リフロー試験を行いその結果を表2に示す。
【0068】
実施例13:
実施例2において、過硫酸アンモニウムに代えて硫酸第2鉄を、また3,4−エチレンジオキシチオフェンに代えて1,3−ジヒドロイソチアナフテンとした以外は、実施例1と同様にして30個のコンデンサを完成させた。これらコンデンサ素子の特性評価を実施例1と同様に行い、その結果を表2に示した。
【0069】
実施例14:
実施例1において、3,4−エチレンジオキシチオフェンに代えてピロールとした以外は、実施例1と同様にして30個のコンデンサを完成させた。これらコンデンサ素子の特性評価を実施例1と同様に行い、その結果を表2に示した。
【0070】
実施例15:
実施例1において、3,4−エチレンジオキシチオフェンに代えてフランとした以外は、実施例1と同様にして30個のコンデンサを完成させた。これらコンデンサ素子の特性評価を実施例1と同様に行い、その結果を表2に示した。
【0071】
実施例16:
実施例1において、3,4−エチレンジオキシチオフェンに代えてアニリンとした以外は、実施例1と同様にして30個のコンデンサを完成させた。これらコンデンサ素子の特性評価を実施例1と同様に行い、その結果を表2に示した。
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【発明の効果】
本発明により得られる効果は次の通りである。
(1)陽極箔、例えばアルミニウム箔は、エッチングを施し、次に化成で得られる誘電体皮膜上の接触角が10〜100度になるように化成を施すことが出きる。従って、切断エッジ部からの漏れ電流が大幅に少なくなり、さらに、固体電解質の形成が均一に起こりやすく、かつ重合体が付着しやすくなる。また、均一な皮膜と重合体の均一な付着により、製作後のコンデンサにおいてESRの低下がみられ、容量の向上がみられ、総合的にコンデンサの歩留まりが向上する。
(2)要求される厚さでの陽極箔のエッチング設計ができ、コンデンサとして任意の大容量を得ることができる。
【0074】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法を実施するため金属支持体に取り付ける陽極箔の配置を示す図。
【図2】 (A)〜(C)は本発明の固体電解コンデンサ用陽極箔の製造工程の説明図。
【図3】 本発明の固体電解コンデンサ素子の断面図。
【図4】 本発明の固体電解コンデンサ素子からの積層型固体電解コンデンサ例の断面図。
【符号の説明】
1 弁作用金属箔(アルミニウム箔)
2 陽極端部
3 導電体層を形成する領域
4 マスキング
5 エッチング領域
6 化成処理域
7 固体電解質層
8 陰極部
9 陰極リード端子
10 金属製支持体(ガイド)
11 リードフレーム
12 陽極部
13 陽極リード端子
14 固体電解コンデンサ
15 絶縁性樹脂
Claims (18)
- 微細孔を有する弁作用金属を化成処理して誘電体皮膜を有する固体電解コンデンサ用陽極箔を製造する方法において、化成処理がシュウ酸、アジピン酸、ホウ酸、リン酸、ケイ酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも1種を含む電解液で一次化成する工程、該一次化成電解液とは異なる組成の電解液で二次化成する工程を含むことを特徴とする、誘電体皮膜の表面が、10〜100度の接触角を有する固体電解コンデンサ用陽極箔の製造方法。
- 微細孔を有する弁作用金属を化成処理して誘電体皮膜を有する固体電解コンデンサ用陽極箔を製造する方法において、化成処理がシュウ酸、ホウ酸、リン酸、ケイ酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも1種を含む電解液で一次化成する工程を経て、次いでそれを熱処理する工程、そしてアジピン酸またはその塩を含む電解液で二次化成する工程を含むことを特徴とする、誘電体皮膜の表面が、10〜100度の接触角を有する固体電解コンデンサ用陽極箔の製造方法。
- 化成する工程が、20V未満の電圧による化成処理である請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ用陽極箔の製造方法。
- 熱処理する工程が、250℃以上である請求項2または3に記載の固体電解コンデンサ用陽極箔の製造方法。
- 弁作用金属が、アルミニウム箔である請求項1乃至4のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサ用陽極箔の製造方法。
- アルミニウム箔が、0.05〜1mmの厚さを有するものである請求項5に記載の固体電解コンデンサ用陽極箔の製造方法。
- 微細孔を有する弁作用金属を化成処理してなる誘電体皮膜を有する固体電解コンデンサ用陽極箔であって、誘電体皮膜の表面が、10〜100度の接触角を有することを特徴とする固体電解コンデンサ用陽極箔。
- 請求項1乃至6のいずれかひとつに記載の陽極箔の製造方法を経て、次いで該陽極箔上に固体電解質を形成し、その上に導電体を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
- 請求項7に記載の陽極箔上に、固体電解質を形成し、その上に導電体を形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法。
- 固体電解コンデンサを作製した時に陽極箔の陽極端部となる領域と導電体層を形成する陰極となる領域との境界部に予めマスキングを施す請求項8または9に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 請求項7に記載の陽極箔上に、固体電解質層および導電層を順次有する固体電解コンデンサ。
- 請求項8乃至10のいずれかひとつに記載の固体電解コンデンサの製造方法を含む製造プロセスから製造された固体電解コンデンサ。
- 固体電解質層が、導電性重合体を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の固体電解コンデンサ。
- 導電性重合体が、複素五員環を含む化合物またはアニリン骨格を有する化合物の重合体を含んだものである請求項13に記載の固体電解コンデンサ。
- 複素五員環を含む化合物が、ピロール、チオフェン、フラン、多環状スルフィド及びそれらの置換誘導体から選ばれた少なくとも1種である請求項14に記載の固体電解コンデンサ。
- 複素五員環を含む化合物が、下記一般式(I)
- 複素五員環を含む化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェン及び1,3−ジヒドロイソチアナフテンから選ばれる化合物である請求項14に記載の固体電解コンデンサ。
- 請求項7に記載の陽極箔に固体電解質層および導電体層を有するコンデンサ素子を複数枚積層してなる積層型固体電解コンデンサ。
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