JP3362600B2 - コンデンサの製造方法 - Google Patents

コンデンサの製造方法

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JP3362600B2 JP11870296A JP11870296A JP3362600B2 JP 3362600 B2 JP3362600 B2 JP 3362600B2 JP 11870296 A JP11870296 A JP 11870296A JP 11870296 A JP11870296 A JP 11870296A JP 3362600 B2 JP3362600 B2 JP 3362600B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、コンデンサの製造
方法に関し、特に導電性高分子等を固体電解質として使
用する信頼性の高い固体電解コンデンサの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来の電解コンデンサ、例えばアルミニ
ウム電解コンデンサは、エッチング処理した比表面面積
の大きい多孔質アルミ箔の上に誘電体である酸化アルミ
ニウム層を設け、陰極箔との間のセパレータ紙に液状の
電解液を含浸させた構造からなっている。
【0003】しかし、このような電解コンデンサは、電
解液のイオン伝導によって機能するため高周波領域にお
いて著しく抵抗が増大し、インピーダンスが増大すると
いう短所がある。
【0004】そこで、近年、この電解液を固体電解質で
代替する試みがなされている。このような固体電解コン
デンサは、アルミニウム、タンタルなどの弁金属の酸化
被膜誘電体層に固体電解質層を付着させた構造を有する
ものであり、例えば複素環式化合物であるピロールを酸
化剤で化学的に重合させる方法や、適当な電解質を含む
溶液から電気化学的方法で重合させて誘電体層上に付着
させ、これを固体電解質層としている。
【0005】そして、これらによるポリピロールは電気
伝導度が高く、これを用いた固体電解コンデンサは高周
波特性の非常に良好なものが得られる。
【0006】また、弁金属としてタンタルの微粉末の焼
結体を用いる場合には、電極の細孔の中まで固体電解質
を充填して容量達成率を上げるために、化学的に重合さ
せる方法が一般的である。
【0007】具体的には、タンタルの電極を化成後、ピ
ロールモノマーや添加剤を含んだピロールモノマー溶液
へ浸漬してから、硫酸第二鉄や塩化第二鉄または過酸化
水素等の酸化剤と適当なドーパント用組成物や添加剤を
含んだ酸化剤溶液へ浸漬させて、化学重合によりポリピ
ロールの導電性高分子を生成し、水洗、乾燥を行い、ピ
ロールモノマー溶液へ浸漬から乾燥までの一連の工程を
何度か繰り返すことにより、酸化被膜誘電体層の表面に
導電性高分子を付着させる方法である。
【0008】そして、固体電解コンデンサの漏れ電流や
耐電圧の特性を良くするために、重合の合間または重合
の後に化成液中で修復化成を施したり、組立が完成した
固体電解コンデンサに温度や湿度が高い状態で一定時間
電圧を印加する、いわゆるエージング工程を設ける方法
が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、導電性
高分子からなる固体電解質層を形成する前の酸化被膜誘
電体層に欠陥が多いと、コンデンサ素子を完成させた後
にエージングを行っても、充分には修復しきれずに、漏
れ電流が大きい不良やショート不良が生じてしまい、歩
留まりが悪いという課題があった。
【0010】また、化学重合の合間または重合の後にお
いて、酸化被膜誘電体層の欠陥部を修復するために、化
成液中で修復化成を行うと、固体電解質層と酸化被膜誘
電体層の間でガス発生や放電が起こり易く、固体電解質
層の剥離や酸化被膜誘電体層の破壊が生じ、その結果化
学重合の回数が増えたり、漏れ電流や耐電圧の特性が悪
くなり、歩留まりを下げるという課題があった。
【0011】さらに、組立が完成した固体電解コンデン
サに、温度を85℃と高く、相対湿度を85%と高くし
た状態で、一定時間定格の1.3倍の電圧を印加するエ
ージングを行なっても、これらの条件では化成反応が進
み難く、かつコンデンサ素子の深部にある欠陥を十分に
修復できないために、漏れ電流や耐電圧の特性を大幅に
改善することが難しいという課題があった。
【0012】本発明は、上記の課題を解決するもので、
工程の歩留まりが良く、漏れ電流が低く、耐電圧の高い
固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、導電性高分子
等の固体電解質層を形成する前に、低い電流密度で、あ
るいは電気伝導度の低い化成液を用いて、化成を行う化
成工程を有するか、または圧力が加えられた雰囲気中
で、好適には定格の1.3〜2倍の互いに異なった電圧
を印加するエージング工程をコンデンサの製造方法に代
表される。
【0014】上記構成により、工程の歩留まりが良く、
漏れ電流が低く、耐電圧の高い固体電解コンデンサの製
造方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の本発明は、焼結
体である弁金属体を用意する工程と、前記弁金属体に対
して酸化被膜誘電体層を形成すべく第一の電流密度によ
り第一化成を行う第一化成工程と、前記第一化成工程後
の弁金属体に対して前記第一化成工程に引続き前記第一
の電流密度より低い第二の電流密度により第二化成を行
なう第二化成工程と、前記酸化被膜誘電体層に隣接して
導電性高分子層を重合により形成する導電性高分子層形
成工程と、前記導電性高分子層上に陰極を形成する工程
と、加圧雰囲気中でエージングを行なうエージング工程
と、を有するコンデンサの製造方法である。
【0016】このような構成により、欠陥の少ない酸化
被膜誘電体層を形成でき、漏れ電流と耐電圧の特性に優
れた固体電解コンデンサが得られる。そして特に、この
ようにエージング工程を設けることにより、コンデンサ
素子の深部まで水分が吸収され、かつ化成反応が促進さ
れて、コンデンサ素子の深部にある欠陥まで十分に修復
でき、漏れ電流と耐電圧の特性に優れた固体電解コンデ
ンサが得られる。
【0017】ついで、請求項2記載の本発明は、焼結体
である弁金属体を用意する工程と、前記弁金属体に対し
て酸化被膜誘電体層を形成すべく第一の電気伝導度を有
する第一の化成液を用いて第一化成を行う第一化成工程
と、前記第一化成工程後の弁金属体に対して前記第一化
成工程に引続き前記第一の電気伝導度より小さい第二の
電気伝導度を有する第二の化成液を用いて第二化成を行
なう第二化成工程と、前記酸化被膜誘電体層に隣接して
導電性高分子層を重合により形成する導電性高分子層形
成工程と、前記導電性高分子層上に陰極を形成する工程
と、加圧雰囲気中でエージングを行なうエージング工程
と、を有するコンデンサの製造方法である。
【0018】このような構成により、欠陥の少ない酸化
被膜誘電体層を形成でき、漏れ電流と耐電圧の特性に優
れた固体電解コンデンサが得られる。そして特に、この
ようにエージング工程を設けることにより、コンデンサ
素子の深部まで水分が吸収され、かつ化成反応が促進さ
れて、コンデンサ素子の深部にある欠陥まで十分に修復
でき、漏れ電流と耐電圧の特性に優れた固体電解コンデ
ンサが得られる。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】または、請求項記載のように、エッチド
箔である弁金属体を用意する工程と、前記弁金属体に対
して酸化被膜誘電体層を形成すべく第一の電流密度によ
り第一化成を行う第一化成工程と、前記第一化成工程後
の弁金属体に対して前記第一化成工程に引続き前記第一
の電流密度より低い第二の電流密度により第二化成を行
なう第二化成工程と、前記第二化成工程後の弁金属体に
対して前記第二化成工程に引続き前記第一の電流密度よ
り低い第三の電流密度により第三化成を行なう第三化成
工程と、前記酸化被膜誘電体層に隣接して導電性高分子
層を重合により形成する導電性高分子層形成工程と、前
記導電性高分子層上に陰極を形成する工程と、加圧雰囲
気中でエージングを行なうエージング工程と、を有する
コンデンサの製造方法であるか、請求項記載のよう
に、エッチド箔である弁金属体を用意する工程と、前記
弁金属体に対して酸化被膜誘電体層を形成すべく第一の
電気伝導度を有する第一の化成液を用いて第一化成を行
う第一化成工程と、前記第一化成工程後の弁金属体に対
して前記第一化成工程に引続き前記第一の電気伝導度よ
り小さい第二の電気伝導度を有する第二の化成液を用い
て第二化成を行なう第二化成工程と、前記第二化成工程
後の弁金属体に対して前記第二化成工程に引続き前記第
一の電気伝導度より小さい第三の電気伝導度を有する第
三の化成液を用いて第三化成を行なう第三化成工程と、
前記酸化被膜誘電体層に隣接して導電性高分子層を重合
により形成する導電性高分子層形成工程と、前記導電性
高分子層上に陰極を形成する工程と、加圧雰囲気中でエ
ージングを行なうエージング工程と、を有するコンデン
サの製造方法であってもよい。
【0023】このような構成により、焼結体ではなくエ
ッチド箔を用いた場合でも、欠陥の少ない酸化被膜誘電
体層を形成でき、漏れ電流と耐電圧の特性に優れた固体
電解コンデンサが得られる。そして特に、このようにエ
ージング工程を設けることにより、コンデンサ素子の深
部まで水分が吸収され、かつ化成反応が促進されて、コ
ンデンサ素子の深部にある欠陥まで十分に修復でき、漏
れ電流と耐電圧の特性に優れた固体電解コンデンサが得
られる。
【0024】
【0025】
【0026】さらに、請求項5記載のように、エージン
グ工程は、互いに異なった印加電圧による複数のエージ
ング工程を含んでいてもよく、請求項記載のように、
エージングの印加電圧を定格の1.3〜2倍にすること
が好適であり、エージングの作用が一層顕著になる。
【0027】または、請求項記載のように、焼結体で
ある弁金属体を用意する工程と、前記弁金属体に対して
酸化被膜誘電体層を形成する化成工程と、前記酸化被膜
誘電体層に隣接して導電性高分子層を重合により形成す
る導電性高分子層形成工程と、前記導電性高分子層上に
陰極を形成する工程と、加圧しながら定格の1.3〜2
倍の互いに異なった印加電圧による複数のエージングを
行なうエージング工程と、を有するコンデンサの製造方
法であってもよい。
【0028】このように特徴的なエージング工程を設け
ることにより、コンデンサ素子の深部まで水分が吸収さ
れ、かつ化成反応が促進されて、コンデンサ素子の深部
にある欠陥まで十分に修復でき、漏れ電流と耐電圧の特
性に優れた固体電解コンデンサが得られる。
【0029】この場合、請求項記載のように、化成工
程は、弁金属体に対して酸化被膜誘電体層を形成すべく
第一の電流密度により第一化成を行う第一化成工程と、
前記第一化成工程後の弁金属体に対して前記第一化成工
程に引続き前記第一の電流密度より低い第二の電流密度
により第二化成を行なう第二化成工程とを含み、請求項
記載のように、さらに、第二化成工程後の弁金属体に
対して第一の電流密度より低い第三の電流密度により第
三化成を行なう第三化成工程を含んでいてもよい。
【0030】または、請求項10記載のように、化成工
程は、弁金属体に対して酸化被膜誘電体層を形成すべく
第一の電気伝導度を有する第一の化成液を用いて第一化
成を行う第一化成工程と、前記第一化成工程後の弁金属
体に対して前記第一化成工程に引続き前記第一の電気伝
導度より小さい第二の電気伝導度を有する第二の化成液
を用いて第二化成を行なう第二化成工程とを含み、請求
11記載のように、さらに、前記第二化成工程後の弁
金属体に対して前記第二化成工程に引続き前記第一の電
気伝導度より小さい第三の電気伝導度を有する第三の化
成液を用いて第三化成を行なう第三化成工程を含んでい
てもよい。
【0031】これらの化成工程により、酸化被膜誘電体
層の欠陥は一層減少する
【0032】そして、請求項12記載のように、第一の
化成工程以外の化成工程に用いる化成液の電気伝導度に
ついては、1mS/cm以下であることが好適である。
【0033】また、請求項13記載のように、さらに、
酸化被膜誘電体層と導電性高分子層の間に二酸化マンガ
ン層を形成する二酸化マンガン形成工程を有していても
い。
【0034】以下、本発明の各実施の形態について説明
する。 (実施の形態1)本実施の形態では、まず大きさ2X
1.4X0.9mmで、タンタルのリード線が配された
重量約13.5mgのタンタル焼結体を用意した。
【0035】なお、このタンタル焼結体は、その表面か
ら内部に向い、またはその内部に微細孔を有している。
【0036】ついで、第一化成として、このタンタル焼
結体を、リン酸5mlを1000mlの脱イオン水に溶
解した約90℃の溶液に浸し、5mV/secの速度で
電圧を0から33.9Vまで上げながら印加した後、3
3.9Vの定電圧を60分間印加し、素子(タンタル焼
結体)1個当たりの電流を約80μA(電流密度5.9
mA/g)まで絞り、陽極酸化により酸化被膜誘電体層
を形成した。その後、脱イオン水の流水により洗浄をし
た。
【0037】ついで、第二化成として、脱イオン水の電
気伝導度約0.5μS/cm(第一化成の場合の電気伝
導度より小さく調整した。)の溶液に浸し、約25℃で
35Vを5分間印加し、素子(タンタル焼結体)1個当
たりの電流を0.6μA(電流密度44.4μA/g)
まで絞り、陽極酸化により酸化被膜誘電体層の欠陥部分
を修復した。
【0038】その後、さらに、第三化成として、酢酸
0.05mlを1000mlの脱イオン水に溶解した電
気伝導度約41μS/cmの溶液に浸し、約25℃で3
0Vを30分間印加し、素子(タンタル焼結体)1個当
たりの電流を0.07μA(電流密度5.2μA/g)
まで絞り、第二化成に加えた二段階での陽極酸化を行い
酸化被膜誘電体層の欠陥部分を修復した。
【0039】そして、脱イオン水の流水により洗浄し
て、乾燥を行った。ここで、この構成体をコンデンサと
見立て、化成液中の容量を測定したところ、17μFで
あった。
【0040】さらに、この構成体を用いて、ピロールモ
ノマー6.7gと界面活性剤アルキルナフタレンスルフ
ォン酸ナトリウム(平均分子量338)3gと脱イオン
水100gとエタノール2gからなるピロールモノマー
溶液に2分間浸漬後、硫酸第二鉄水和物(水分量26
%)12gと界面活性剤アルキルナフタレンスルフォン
酸ナトリウム(平均分子量338)12gと脱イオン水
110gとエタノール10gとパラニトロフェノール
1.4gからなる酸化剤溶液に10分間浸漬した。
【0041】このピロールモノマー溶液と酸化剤溶液へ
浸漬させる処理を3回繰り返した後、脱イオン水の流水
により10分間洗浄し、105℃のオーブンで5分間程
乾燥させた。
【0042】そして、引続いてピロールモノマー溶液、
酸化剤溶液に浸漬しオーブンでの乾燥までの処理を6回
繰り返し、2価の硫酸イオンと1価のアルキルナフタレ
ンスルフォン酸イオンとがドープされたポリピロールの
導電性高分子固体電解質層を形成した。
【0043】本実施の形態の場合、固体電解質層形成に
要したピロールモノマー溶液と酸化剤溶液への浸漬の繰
り返し回数は計18回である。
【0044】そして、このように固体電解質層が形成さ
れた上に、カーボン層と銀ペイント層で陰極を形成する
と共に、その上に陰極リードを取り付けた。
【0045】さらに、温度85℃、相対湿度85%の雰
囲気中で、まず5mV/secの速度で電圧を0から1
3Vまで上げ、その後13Vの定電圧を60分印加した
エージング処理を行った。なお、このとき、電流が流れ
過ぎて壊れるのを防止するために、各素子毎に10kΩ
の保護抵抗を配した。
【0046】最後に、温度120℃で60分乾燥して、
合計で10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0047】そして、これら10個の素子について、1
20Hzにおける容量、損失係数、400kHzにおけ
るインピーダンス、定格電圧10Vを2分印加後の漏れ
電流、及び耐電圧を各々測定し、それらの平均値を以下
の(表1)に示した。また、化学重合の繰り返し回数も
併せて示した。
【0048】
【表1】
【0049】(比較例1)次に、比較例1として第二化
成と第三化成を行わない以外、実施の形態1と同様の条
件で10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0050】これら10個の素子について、120Hz
における容量、損失係数、400kHzにおけるインピ
ーダンス、定格電圧10Vを2分印加後の漏れ電流、及
び耐電圧を各々測定し、それらの平均値を前述の(表
1)に示した。
【0051】なお、漏れ電流は、0.5μA〜ショート
(大電流)とばらつきが大きいので表中に示さなかっ
た。
【0052】また、耐電圧もショート不良の素子が多い
ことから表中に示さなかった。(表1)における比較例
1と実施の形態1との比較をすると、比較例1において
は、第二化成と第三化成を行わずに第一化成のみ行なっ
たため、その後エージングを行っても修復しきれずに、
漏れ電流が大の不良やショートの不良が生じ易く、歩留
まりが悪いのに対して、実施の形態1によれば、電解質
形成前に電気伝導度の低い化成液を用いて、低い電流密
度で、第二化成と第三化成を行うことにより、漏れ電流
と耐電圧の特性が改善されることが理解できる。
【0053】よって、実施の形態1によれば、導電性高
分子からなる固体電解質層を形成する前に、電気伝導度
の低い化成液を用いて、低い電流密度で第二、第三化成
を行うことにより、欠陥の少ない酸化被膜誘電体層を形
成できた。
【0054】さらに、コンデンサ素子を組み立てた後
に、温度が高く、相対湿度が高い雰囲気中で、一定時間
電圧を印加するエージングを行うことにより、酸化被膜
誘電体層の欠陥をより良好に修復できるため、漏れ電流
と耐電圧の特性に優れた固体電解コンデンサを得ること
ができた。
【0055】(比較例2)比較例2として、第二、第三
化成を行なわない他の例について説明する。
【0056】まず、大きさ2X1.4X0.9mmで、
タンタルのリード線が配された重量約13.5mgのタ
ンタル焼結体を用意する。
【0057】そして、第一化成として、このタンタル焼
結体を、リン酸5mlを1000mlの脱イオン水に溶
解した約90℃の溶液に浸し、電圧を5mV/secの
速度で0から33.9Vまで上げながら印加し、その後
33.9Vの定電圧を60分間印加し、素子(タンタル
焼結体)1個当たりの電流を80μA(電流密度5.9
mA/g)まで絞って、陽極酸化により酸化被膜誘電体
層を形成した。
【0058】ここで、この構成をコンデンサと見立て、
化成液中の容量を測定したところ、17.2μFであっ
た。
【0059】ついで、脱イオン水の流水により洗浄し、
乾燥後、実施の形態1と同様のピロールモノマー溶液と
酸化剤溶液を用いて、ピロールモノマー溶液に2分間浸
漬後、酸化剤溶液に10分間浸漬した。
【0060】この浸漬処理を3回繰り返した後、脱イオ
ン水の流水により20分洗浄し、酢酸0.05mlを1
000mlの脱イオン水に溶解した溶液を用い、約25
℃で20Vを30分間印加して陽極酸化により酸化被膜
誘電体層の欠陥部分を修復する修復化成を行った。
【0061】そして、脱イオン水の流水により10分間
洗浄し、105℃のオーブンで5分間乾燥させた。
【0062】その後、ピロールモノマー溶液、酸化剤溶
液への浸漬、洗浄等の上述の処理を14回繰り返し、2
価の硫酸イオンと1価のアルキルナフタレンスルフォン
酸イオンとがドープされたポリピロールの導電性高分子
からなる固体電解質層を形成した。
【0063】ここで、本比較例では、固体電解質層形成
に要したピロールモノマー溶液と酸化剤溶液への浸漬の
繰り返し回数は計42回である。
【0064】そして、このように固体電解質層が形成さ
れた上に、カーボン層と銀ペイント層で陰極を形成する
と共に、その上に陰極リードを取り付けた。
【0065】その後、温度85℃、相対湿度85%の雰
囲気中で、まず5mV/secの速度で0から13Vま
で上げ、続けて13Vの定電圧を60分印加したエージ
ング処理を行った。このとき、電流が流れ過ぎて壊れる
のを防止するために、各素子毎に10kΩの保護抵抗を
配した。
【0066】最後に、温度120℃で60分乾燥して、
合計で3個のコンデンサ素子を完成させた。
【0067】なお、化成液中での修復化成のときに、固
体電解質層の剥離や酸化被膜誘電体層の破壊が生じたた
めに、化成電流が極端に絞られなくなった素子は7個あ
り、コンデンサ素子に仕上げても漏れ電流や耐電圧の特
性が悪いことが分かっているので、不良として除いた。
【0068】これら3個の素子について、120Hzに
おける容量、損失係数、400kHzにおけるインピー
ダンス、定格電圧10Vを2分印加後の漏れ電流、及び
耐電圧を各々測定し、それらの平均値を前述の(表1)
に示した。なお、化学重合の繰り返し回数も併せて(表
1)に示してある。
【0069】比較例2と実施の形態1との比較をする
と、比較例2では、一旦重合した後で修復化成を施して
いるために、固体電解質層と酸化被膜誘電体層の間でガ
ス発生や放電が起こり易く、固体電解質層の剥離や酸化
被膜誘電体層の破壊が生じ、その結果化学重合の回数が
増えたり、インピーダンスや漏れ電流及び耐電圧の特性
が悪くなり、歩留まりを下げているのに対して、実施の
形態1ではこのような事態を招かず、漏れ電流や耐電圧
の特性が良好で、歩留まりを上げることができ、さらに
化学重合の繰り返し回数が少なくて済むので、製造コス
トを下げることもできることが理解できる。
【0070】なお、実施の形態1において、第二、第三
化成の双方を行なうことが好適であるが、いずれか一方
のみを行なっても、酸化被膜誘電体層の欠陥を修復する
ことは可能であり、必ずしも双方を行なう必要はない。
【0071】また、実施の形態1において、微細孔を有
するものであれば、タンタルには限定されない。
【0072】(実施の形態2)本実施の形態では、エー
ジング処理以降の工程を変更した以外は、実施の形態1
と同様にコンデンサ素子を作製した。
【0073】まず、大きさ2X1.4X0.9mmで、
タンタルのリード線が配された重量約13.5mgのタ
ンタル焼結体を用意した。
【0074】ついで、第一化成実施のため、このタンタ
ル焼結体を、リン酸5mlを1000mlの脱イオン水
に溶解した約90℃の溶液に浸し、まず5mV/sec
の速度で0から33.9Vまで電圧を上げながら印加
し、その後33.9Vの定電圧を60分間印加し、素子
(タンタル焼結体)1個当たりの電流を約80μA(電
流密度5.9mA/gと高い)まで絞って、陽極酸化に
より酸化被膜誘電体層を形成した。
【0075】その後、脱イオン水の流水により洗浄した
後、第二化成を、脱イオン水の電気伝導度約0.5μS
/cm(第一化成の電気伝導度より小さく調整した。)
の溶液に浸して、約25℃で35Vを5分間印加し、素
子(タンタル焼結体)1個当たりの電流を0.6μA
(電流密度44.4μA/g)まで絞って実行した。
【0076】次に、第三化成として、酢酸0.05ml
を1000mlの脱イオン水に溶解した電気伝導度約4
1μS/cmの溶液を用い、約25℃で30Vを30分
間印加し、素子(タンタル焼結体)1個当たりの電流を
0.07μA(電流密度5.2μA/g)まで絞って、
陽極酸化による酸化被膜誘電体層の欠陥部分を修復し
た。
【0077】その後、脱イオン水の流水により洗浄し
て、乾燥を行った。ここで、この構成をコンデンサと見
立て、化成液中の容量を測定したところ、17μFであ
った。
【0078】そして、この構成を用いて、ピロールモノ
マー6.7gと界面活性剤アルキルナフタレンスルフォ
ン酸ナトリウム(平均分子量338)を3gと脱イオン
水100gとエタノール2gからなるピロールモノマー
溶液に2分間浸漬後、硫酸第二鉄水和物(水分量26
%)12gと前記界面活性剤12gと脱イオン水110
gとエタノール10gとパラニトロフェノール1.4g
からなる酸化剤溶液に10分間浸漬した。
【0079】このようなピロールモノマー溶液と酸化剤
溶液へ浸漬させる処理を3回繰り返した後、脱イオン水
の流水により10分間洗浄し、105℃のオーブンで5
分間乾燥させた。
【0080】そして、再度ピロールモノマー溶液、酸化
剤溶液への浸漬以降の処理を6回繰り返し、2価の硫酸
イオンと1価のアルキルナフタレンスルフォン酸イオン
とがドープされた(ポリピロール)導電性高分子からな
る固体電解質層を形成した。
【0081】本実施の形態では、固体電解質層形成に要
したピロールモノマー溶液と酸化剤溶液への浸漬の繰り
返し回数は計18回である。
【0082】そして、このようにポリピロールが形成さ
れたタンタル焼結体上に、カーボン層と銀ペイント層で
陰極を形成すると共に、その上に陰極リードを取り付け
た。
【0083】その後、温度122℃、相対湿度95%、
1kg/cm2の圧力が加圧された雰囲気中(大気圧+
1kg/cm2)で、まず5mV/secの速度で0か
ら13Vまで上げながら電圧を印加し、続けて13Vの
定電圧を60分印加したエージング処理を行った。な
お、このとき、電流が流れ過ぎて壊れるのを防止するた
めに、各素子毎に10kΩの保護抵抗を配した。
【0084】そして、最後に温度120℃で60分乾燥
して、合計で10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0085】これら10個の素子について、120Hz
における容量、損失係数、400kHzにおけるインピ
ーダンス、定格電圧10Vを2分印加後の漏れ電流、及
び耐電圧を各々測定し、それらの平均値を前述の(表
1)に示した。なお、化学重合の繰り返し回数も併せて
示してある。
【0086】本実施の形態では、実施の形態1でのエー
ジング処理条件を変更したものであるが、温度、相対湿
度が適度に高く、かつ圧力が加えられた雰囲気中で、一
定時間電圧を印加するエージング処理を行うことによ
り、コンデンサ素子の深部まで水分が吸収され、かつ高
い温度で化成反応が促進されて、コンデンサ素子の深部
にある酸化被膜誘電体層の欠陥まで十分に修復できると
いうことから、漏れ電流が低く、耐電圧の高いコンデン
サが得られることが判明した。
【0087】さらに、漏れ電流と耐電圧のばらつきも小
さく、歩留まりも良いという結果が得られた。
【0088】なお、本実施の形態で説明した以外のエー
ジング条件、例えば115℃、80%、(大気圧+0.
3kg/cm2)、115℃、95%、(大気圧+0.
6kg/cm2)、122℃、80%、(大気圧+0.
7kg/cm2)、及び135℃、95%、(大気圧+
1.9kg/cm2)の雰囲気でもほぼ同様の効果が得
られ、広い範囲の条件で十分良い結果が得られることが
分かった。
【0089】また、本実施の形態において、第二、第三
化成の双方を行なうことが好適であるが、いずれか一方
のみを行なっても、酸化被膜誘電体層の欠陥を修復する
ことは可能であり、必ずしも双方を行なう必要はない。
【0090】また、本実施の形態において、微細孔を有
するものであれば、タンタルには限定されない。
【0091】(実施の形態3)本実施の形態では、実施
の形態2の第三化成に代えて以下の(A)から(F)の
第三化成を実行した以外は、実施の形態2と同様であ
る。
【0092】具体的には、(A)フェノール9.4gを
1000mlの脱イオン水に溶解した電気伝導度約1.
7μS/cmの化成液を用い、約25℃で30Vを30
分間印加し、素子1個当たりの電流を0.4μA(電流
密度29.6μA/g)まで絞ったもの、(B)アジピ
ン酸アンモニウム30mgを1000mlの脱イオン水
に溶解した電気伝導度約34μS/cmの化成液を用
い、約25℃で30Vを30分間印加し、素子1個当た
りの電流を0.09μA(電流密度6.7μA/g)ま
で絞ったもの、(C)シュウ酸9mgを1000mlの
脱イオン水に溶解した電気伝導度約35μS/cmの化
成液を用い、約25℃で30Vを30分間印加し、素子
1個当たりの電流を0.09μA(電流密度6.7μA
/g)まで絞ったもの、(D)酢酸10mlを1000
mlの脱イオン水に溶解した電気伝導度約640μS/
cmの化成液を用い、約25℃で30Vを30分間印加
し、素子1個当たりの電流を0.06μA(電流密度
4.4μA/g)まで絞ったもの、(E)クエン酸21
gを1000mlの脱イオン水に溶解した電気伝導度約
2.8mS/cmの化成液を用い、約25℃で30Vを
30分間印加し、素子1個当たりの電流を0.32μA
(電流密度23.7μA/g)まで絞ったもの、及び
(F)シュウ酸9gを1000mlの脱イオン水に溶解
した電気伝導度約18.6mS/cmの化成液を用い、
約25℃で30Vを30分間印加し、素子1個当たりの
電流を0.07μA(電流密度5.2μA/g)まで絞
ったものである。
【0093】本実施の形態では、以上の各第三化成と、
重合繰り返し回数が異なる以外は、実施の形態2と同様
にして各々10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0094】これらの素子について、120Hzにおけ
る容量、損失係数、400kHzにおけるインピーダン
ス、定格電圧10Vを2分印加後の漏れ電流、及び耐電
圧を各々測定し、それらの平均値を前述の(表1)に示
し、化学重合の繰り返し回数も併せて示した。
【0095】以上の各化成液を用いた結果からは、電気
伝導度の低い化成液を用いて第三化成を行った方が、完
成したコンデンサ素子の漏れ電流が小さくなる傾向が見
られることが分かる。
【0096】これは、電気伝導度の低い第三化成液を用
いた方が、欠陥の少ない酸化被膜誘電体層が得られるた
めに、漏れ電流が小さくなると考えられ、この化成液の
電気伝導度は、1mS/cm以下が好適であると考えら
れる。
【0097】また、絞った電流密度の値と完成したコン
デンサ素子の漏れ電流とは直接的な相関が厳密には得ら
れなかったが、漏れ電流の特性が良かったものから判断
すると、数μA/g〜数十μA/g程度までは絞られて
いることが、必要であると考えられる。
【0098】なお、本実施の形態では、実施の形態2を
基本にして説明したが、実施の形態1を基本にしても同
様である。
【0099】(実施の形態4)本実施の形態では、実施
の形態2で行った脱イオン水による化成を行わずに、第
二化成として酢酸水溶液を用いて化成を施し、第三化成
を施さないようにしたものである。
【0100】本実施の形態における第二化成としては、
酢酸0.001mlを1000mlの脱イオン水に溶解
した電気伝導度約6μS/cm(第一化成の電気伝導度
より小さく調整した。)の溶液を用い、約25℃で30
Vを60分間印加し、素子1個当たりの電流を0.09
μA(電流密度6.7μA/g)まで絞って、第一化成
と第二化成により酸化被膜誘電体層を形成した。
【0101】また、重合繰り返し回数は21回であり、
以上の他は、実施の形態2と同様にして10個のコンデ
ンサ素子を完成させた。
【0102】これら10個の素子について、120Hz
における容量、損失係数、400kHzにおけるインピ
ーダンス、定格電圧10Vを2分印加後の漏れ電流、及
び耐電圧を各々測定し、それらの平均値を前述の(表
1)に示した。
【0103】本実施の形態では、第一化成の後、脱イオ
ン水による化成を行わずに、酢酸水溶液の化成のみを施
したものであるが、実施の形態2とほぼ同様の特性が得
られ、歩留まりも良い結果が得られた。
【0104】なお、本実施の形態においても、第二化成
における化成液の電気伝導度は、1mS/cm以下が好
適であると考えられる。
【0105】また、電流密度も、数μA/g〜数十μA
/gまで絞られていることが好適であると考えられる。
【0106】また、本実施の形態では、実施の形態2を
基本にして説明したが、実施の形態1を基本にしても同
様である。
【0107】(実施の形態5)本実施の形態では、実施
の形態2でのエージング処理条件の印加電圧を13V
(定格の1.3倍)から19V(定格の1.9倍)へと
変更した以外は実施の形態2と同様にして10個のコン
デンサ素子を完成させた。
【0108】これら10個の素子について、120Hz
における容量、損失係数、400kHzにおけるインピ
ーダンス、定格電圧10Vを2分印加後の漏れ電流、及
び耐電圧を各々測定し、それらの平均値を前述の(表
1)に示し、化学重合の繰り返し回数も(表1)に示し
た。
【0109】本実施の形態からは、エージングの印加電
圧を高くすることにより、化成反応が促進され、酸化被
膜誘電体層の欠陥を十分に修復できることから、漏れ電
流と耐電圧の特性が大幅に改善され、漏れ電流が低く、
耐電圧の高いコンデンサが得られることが判明した。
【0110】さらに、漏れ電流と耐電圧のばらつきも小
さく、歩留まりも良好な結果が得られた。
【0111】(実施の形態6)本実施の形態では、第
2、第3化成を実施せず、エージング処理を加圧下で行
なってコンデンサ素子を作製した。
【0112】まず、大きさ2X1.4X0.9mmで、
タンタルのリード線が配された重量約13.5mgのタ
ンタル焼結体を用意した。
【0113】なお、このタンタル焼結体は、その表面か
ら内部に向い、またはその内部に微細孔を有している。
【0114】ついで、このタンタル焼結体を、リン酸5
mlを1000mlの脱イオン水に溶解した約90℃の
溶液に浸し、まず5mV/secの速度で0から33.
9Vまで上げながら電圧を印加し、続けて33.9Vの
定電圧を60分間印加して、陽極酸化により酸化被膜誘
電体層を形成し、第一化成を行なった。
【0115】そして、脱イオン水の流水により洗浄し
て、乾燥を行った。ここで、この構成をコンデンサと見
立て、化成液中の容量を測定したところ、17.3μF
であった。
【0116】さらに、この構成を用いて、ピロールモノ
マー6.7gと界面活性剤アルキルナフタレンスルフォ
ン酸ナトリウム(平均分子量338)を3gと脱イオン
水100gとエタノール2gからなるピロールモノマー
溶液に2分間浸漬後、硫酸第二鉄水和物(水分量26
%)12gと前記界面活性剤12gと脱イオン水110
gとエタノール10gとパラニトロフェノール1.4g
からなる酸化剤溶液に10分間浸漬した。
【0117】そして、ピロールモノマー溶液と酸化剤溶
液へ浸漬させる処理を3回繰り返し、脱イオン水の流水
により10分間洗浄し、105℃のオーブンで5分間乾
燥させた。
【0118】さらに、引続いてピロールモノマー溶液、
酸化剤溶液への浸漬以降の処理を6回繰り返し、2価の
硫酸イオンと1価のアルキルナフタレンスルフォン酸イ
オンとがドープされたポリピロールの導電性高分子から
なる固体電解質層を形成した。
【0119】固体電解質層形成に要したピロールモノマ
ー溶液と酸化剤溶液への浸漬の繰り返し回数は計18回
であった。
【0120】そして、このようにポリピロールが形成さ
れたタンタル焼結体上に、カーボン層と銀ペイント層で
陰極を形成すると共に、その上に陰極リードを取り付け
た。
【0121】その後、温度122℃、相対湿度95%、
1kg/cm2の圧力が加圧された雰囲気中(大気圧+
1kg/cm2)で、まず5mV/secの速度で0か
ら10Vまで上げてから10Vの定電圧を60分印加
し、次に5mV/secの速度で10から14Vまで上
げてから14Vの定電圧を30分印加し、さらに5mV
/secの速度で14から17Vまで上げてから17V
の定電圧を30分印加し、エージング処理を行った。な
お、このとき、電流が流れ過ぎて壊れるのを防止するた
めに、各素子毎に10kΩの保護抵抗を配した。
【0122】そして、最後に、温度120℃で60分乾
燥して、合計で10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0123】これら10個の素子について、120Hz
における容量、損失係数、400kHzにおけるインピ
ーダンス、定格電圧10Vを2分印加後の漏れ電流、及
び耐電圧を各々測定し、それらの平均値を前述の(表
1)に示し、化学重合の繰り返し回数も併せてに示し
た。
【0124】本実施の形態では、温度、相対湿度が適度
に高く、かつ圧力が加えられた雰囲気中で、印加電圧を
低い電圧から高い電圧まで段階的に上げるエージング処
理を行うことにより、コンデンサ素子の深部まで水分が
吸収され、温度が高く、印加電圧が高いために化成反応
が促進されて、コンデンサ素子の深部にある酸化被膜誘
電体層の欠陥まで十分に修復できるということから、漏
れ電流と耐電圧の特性に優れたコンデンサ素子を得るこ
とができた。
【0125】さらに、印加電圧を段階的に上げて、欠陥
を徐々に修復することにより、エージングによるショー
ト不良の発生を少なくできることが分かった。
【0126】なお、本実施の形態において、微細孔を有
するものであれば、タンタルには限定されない。
【0127】(実施の形態7)本実施の形態では、大き
さ2X1.4X0.9mmで、タンタルのリード線が配
された重量約13.5mgのタンタル焼結体を用意し
た。
【0128】なお、このタンタル焼結体は、その表面か
ら内部に向い、またはその内部に微細孔を有している。
【0129】ついで、このタンタル焼結体を、リン酸5
mlを1000mlの脱イオン水に溶解した約90℃の
溶液に浸し、まず5mV/secの速度で0から33.
9Vまで上げながら電圧を印加し、続けて33.9Vの
定電圧を60分間印加し、素子(タンタル焼結体)1個
当たりの電流を約80μA(電流密度5.9mA/gと
高い)まで絞って、陽極酸化により酸化被膜誘電体層を
形成した。
【0130】その後、脱イオン水の流水により洗浄し、
乾燥を行った後に、硝酸マンガン六水和物と脱イオン水
を1対10の割合で混ぜた水溶液に1分間浸漬後、5分
間自然放置により乾かしてから、温度300℃、相対湿
度85%の雰囲気中で20分間熱分解させて、酸化被膜
誘電体層上に二酸化マンガン層を形成した。
【0131】次に、脱イオン水の電気伝導度約0.5μ
S/cm第一化成の電気伝導度より小さく調整した。)
の溶液を用い、約25℃で35Vを30分間印加し、素
子(タンタル焼結体)1個当たりの電流を0.9μA
(電流密度66.7μA/g)まで絞って、第二化成を
行なった。
【0132】そして、ついで第三化成として、酢酸0.
05mlを1000mlの脱イオン水に溶解した電気伝
導度約41μS/cmの溶液を用い、約25℃で30V
を30分間印加し、素子1個当たりの電流を0.08μ
A(電流密度5.9μA/g)まで絞って、陽極酸化に
より酸化被膜誘電体層の欠陥部分を修復した。
【0133】そして、脱イオン水の流水により洗浄し
て、乾燥を行った。ここで、この構成をコンデンサと見
立て、化成液中の容量を測定したところ、18μFであ
った。
【0134】さらに、この構成を用いて、ピロールモノ
マー6.7gと界面活性剤アルキルナフタレンスルフォ
ン酸ナトリウム(平均分子量338)を3gと脱イオン
水100gとエタノール2gからなるピロールモノマー
溶液に2分間浸漬後、硫酸第二鉄水和物(水分量26
%)12gと前記界面活性剤12gと脱イオン水110
gとエタノール10gとパラニトロフェノール1.4g
からなる酸化剤溶液に10分間浸漬した。
【0135】そして、ピロールモノマー溶液と酸化剤溶
液へ浸漬させる処理を3回繰り返したら、脱イオン水の
流水により10分間洗浄し、105℃のオーブンで5分
間乾燥させた。
【0136】その後、ピロールモノマー溶液、酸化剤溶
液への浸漬以降の処理を8回繰り返し、2価の硫酸イオ
ンと1価のアルキルナフタレンスルフォン酸イオンとが
ドープされたポリピロールの導電性高分子からなる固体
電解質層を形成した。
【0137】なお、本実施の形態における固体電解質層
形成に要したピロールモノマー溶液と酸化剤溶液への浸
漬の繰り返し回数は計24回である。
【0138】そして、このように固体電解質層が形成さ
れた上に、カーボン層と銀ペイント層で陰極を形成する
と共に、その上に陰極リードを取り付けた。
【0139】その後、温度122℃、相対湿度95%、
1kg/cm2の圧力が加圧された雰囲気中(大気圧+
1kg/cm2)で、まず5mV/secの速度で0か
ら19Vまで上げ、続けて19Vの定電圧を60分印加
したエージング処理を行った。なお、このとき、電流が
流れ過ぎて壊れるのを防止するために、各素子毎に10
kΩの保護抵抗を配した。
【0140】最後に、温度120℃で60分乾燥して、
合計で10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0141】これら10個の素子について、120Hz
における容量、損失係数、400kHzにおけるインピ
ーダンス、定格電圧10Vを2分印加後の漏れ電流、及
び耐電圧を各々測定し、それらの平均値を前述の(表
1)に示した。
【0142】本実施の形態では、酸化被膜誘電体層と導
電性高分子からなる固体電解質層の間に二酸化マンガン
層を設けたものであるが、実施の形態5とほぼ同様の良
い特性が得られ、歩留まりも良い結果が得られた。
【0143】また、二酸化マンガン層を酸化被膜誘電体
層と導電性高分子からなる固体電解質層の間に設ける
と、25℃、50℃、75℃、100℃及び125℃の
雰囲気中で特性を測定した場合、以下の(表2)に示す
ように、実施の形態5に比べ、高温での120Hzにお
ける損失係数の特性が変化しにくく、温度特性に優れた
コンデンサが得られることが分かった。
【0144】
【表2】
【0145】なお、本実施の形態において、第二、第三
化成の双方を行なうことが好適であるが、いずれか一方
のみを行なっても、酸化被膜誘電体層の欠陥を修復する
ことは可能であり、必ずしも双方を行なう必要はない。
【0146】また、本実施の形態では、実施の形態5を
基本にして説明したが、他の実施の形態を基本にしても
同様である。
【0147】また、本実施の形態において、微細孔を有
するものであれば、タンタルには限定されない。
【0148】(実施の形態8)本実施の形態では、タン
タル焼結体に代わり、陽極リードをつけた縦7mm×横
10mmのアルミニウムエッチド箔を用意した。
【0149】なお、このアルミニウムエッチド箔の表面
には、エッチングによる微細凹凸が形成されている。
【0150】ついで、このアルミニウムエッチド箔を7
0℃の3%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸し、まず
10mV/secの速度で0から65Vまで上げながら
電圧を印加し、続けて65Vの定電圧を40分間印加
し、素子(アルミニウムエッチド箔)1個当たりの電流
を約45μA(電流密度32μA/cm2と高い)まで
絞って、陽極酸化により、エッチド箔表面に酸化被膜誘
電体層を形成した。
【0151】そして、脱イオン水の流水により洗浄し、
乾燥を行った後に、硝酸マンガン30%水溶液に1分間
浸漬後、5分間自然放置により乾かしてから、温度30
0℃で30分間加熱し熱分解処理を行い、酸化被膜誘電
体層上に二酸化マンガンの導電層を形成した。
【0152】ついで、3%アジピン酸アンモニウム水溶
液の電気伝導度約22mS/cm(第一化成の電気伝導
度より小さく調整した。)の溶液に浸し、約70℃で6
3Vを20分間印加し、素子(アルミニウムエッチド
箔)1個当たりの電流を40μA(電流密度28.6μ
A/cm2)まで絞って、第二化成を行なった。
【0153】次に、第三化成として、0.003%アジ
ピン酸アンモニウム水溶液の電気伝導度約34μS/c
mの溶液を用い、約25℃で63Vを20分間印加し、
素子1個当たりの電流を0.08μA(電流密度0.0
6μA/cm2)まで絞って実行し、陽極酸化により酸
化被膜誘電体層の欠陥部分を修復した。
【0154】そして、次に、二酸化マンガンの導電層を
設けたエッチド箔を、ヒドロキシ安息香酸(0.15
M)、ピロール(0.5M)、トリイソプロピルナフタ
レンスルホン酸ナトリウム(0.1M)および脱イオン
水からなる電解重合液中に配置し、重合開始用電極を導
電層に近接させ、重合開始用電極に2.5Vの定電圧を
30分間印加して電解重合反応を行い、ポリピロールの
導電性高分子からなる固体電解質層を形成した。
【0155】そして、固体電解質層形成の後、水洗し乾
燥してから、固体電解質層の上に、カーボン層と銀ペイ
ント層で陰極を形成すると共に、その上に陰極リードを
取り付けた。
【0156】その後、温度122℃、相対湿度95%、
1kg/cm2の圧力が加圧された雰囲気中(大気圧+
1kg/cm2)で、まず5mV/secの速度で0か
ら26Vまで上げ、続けて26Vの定電圧を60分印加
したエージング処理を行った。なお、このとき、電流が
流れ過ぎて壊れるのを防止するために、各素子毎に10
kΩの保護抵抗を配した。
【0157】最後に、温度120℃で60分乾燥して、
合計で10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0158】これら10個の素子について、120Hz
における容量、損失係数、400kHzにおけるインピ
ーダンス、定格電圧16Vを2分印加後の漏れ電流、及
び耐電圧を各々測定し、それらの平均値を前述の(表
1)に示した。
【0159】本実施の形態では、導電性高分子からなる
固体電解質層を形成する前に電気伝導度の低い化成液を
用いて、低い電流密度で第三化成を行うことにより、欠
陥の少ない酸化被膜誘電体層を形成できることと、コン
デンサ素子を組み立てた後に温度が高く、相対湿度が高
く、かつ圧力が加えられた雰囲気中で、高めの電圧を一
定時間印加するエージング処理を行なうことにより、コ
ンデンサ素子の深部まで水分が吸収され、温度が高く、
印加電圧が高いために化成反応が促進されて、コンデン
サ素子の深部にある酸化被膜誘電体層の欠陥まで十分に
修復できるということから、漏れ電流と耐電圧の特性に
優れたコンデンサ素子を得ることができた。
【0160】さらに、漏れ電流と耐電圧のばらつきも小
さく、歩留まりも良好な結果が得られた。
【0161】(比較例3)比較例3として、第三化成を
行わないことと、エージング条件を温度85℃、相対湿
度85%の雰囲気中で、まず5mV/secの速度で0
から20.8Vまで上げながら電圧を印加し、続けて2
0.8V(定格の1.3倍の電圧)の定電圧を60分印
加するようにしたこと以外、実施の形態8と同様の条件
で10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0162】これら10個の素子について、120Hz
における容量、損失係数、400kHzにおけるインピ
ーダンス、定格電圧16Vを2分印加後の漏れ電流、及
び耐電圧を各々測定し、それらの平均値を前述の(表
1)に示した。
【0163】(表1)における比較例3と実施の形態8
との比較から明らかなように、実施の形態8によるコン
デンサは、漏れ電流と耐電圧における特性が優れている
ことが判明した。
【0164】なお、洩れ電流と耐電圧への要求があまり
高くなく比較例3レベルでよい場合には、実施の形態8
において、第三化成を省略してもよいし、さらに場合に
よっては、第二化成の方を省略し第三化成の方を実行し
てもよい。
【0165】また、実施の形態8では、二酸化マンガン
導電層を設けた構成で説明したが、省略可能である。
【0166】また、実施の形態8において、微細凹凸を
有するものであれば、アルミニウムエッチド箔には限定
されない。 (実施の形態9)本実施の形態でも、陽極リードをつけ
た縦7mm×横10mmのアルミニウムエッチド箔を用
意した。
【0167】なお、このアルミニウムエッチド箔の表面
には、エッチングによる微細凹凸が形成されている。
【0168】ついで、このアルミニウムエッチド箔を7
0℃の3%アジピン酸アンモニウム水溶液に浸し、まず
10mV/secの速度で0から65Vまで上げながら
電圧を印加し、続けて65Vの定電圧を40分間印加し
て、陽極酸化により、エッチド箔表面に酸化被膜誘電体
層を形成する第一化成を実行した。
【0169】そして、脱イオン水の流水により洗浄し、
乾燥を行った後に、硝酸マンガン30%水溶液に1分間
浸漬後、5分間自然放置により乾かしてから、温度30
0℃で30分間加熱し熱分解処理を行い、酸化被膜誘電
体層上に二酸化マンガンの導電層を形成した。
【0170】その後、3%アジピン酸アンモニウム水溶
液を用い、約70℃で63Vを20分間印加し、陽極酸
化により酸化被膜誘電体層の欠陥部分を修復する第二化
成を行なった。この第二化成の電気伝導度、電流密度
は、いずれも第一化成よりも小さく調整した。
【0171】次に、二酸化マンガンの導電層を設けたエ
ッチド箔を、ヒドロキシ安息香酸(0.15M)、ピロ
ール(0.5M)、トリイソプロピルナフタレンスルホ
ン酸ナトリウム(0.1M)および脱イオン水からなる
電解重合液中に配置して、重合開始用電極を導電層に近
接させ、重合開始用電極に2.5Vの定電圧を30分間
印加して電解重合反応を行い、ポリピロールの導電性高
分子からなる固体電解質層を形成した。
【0172】そして、固体電解質層形成の後、水洗し乾
燥してから、固体電解質層の上に、カーボン層と銀ペイ
ント層で陰極を形成すると共に、その上に陰極リードを
取り付けた。
【0173】その後、温度122℃、相対湿度95%、
1kg/cm2の圧力が加圧された雰囲気中(大気圧+
1kg/cm2)で、まず5mV/secの速度で0か
ら16Vまで上げてから16Vの定電圧を60分印加
し、次に5mV/secの速度で16から20Vまで上
げてから20Vの定電圧を30分印加し、さらに5mV
/secの速度で20から24Vまで上げてから24V
の定電圧を30分印加し、エージング処理を行った。な
お、このとき、電流が流れ過ぎて壊れるのを防止するた
めに、各素子毎に10kΩの保護抵抗を配した。
【0174】最後に、温度120℃で60分乾燥して、
合計で10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0175】これら10個の素子について、120Hz
における容量、損失係数、400kHzにおけるインピ
ーダンス、定格電圧16Vを2分印加後の漏れ電流、及
び耐電圧を各々測定し、それらの平均値を前述の(表
1)に示した。
【0176】本実施の形態では、温度、相対湿度が適度
に高く、かつ圧力が加えられた雰囲気中で、印加電圧を
低い電圧から高い電圧まで段階的に上げるエージング処
理を行うことにより、コンデンサ素子の深部まで水分が
吸収され、温度が高く、印加電圧が高いために化成反応
が促進されて、コンデンサ素子の深部にある酸化被膜誘
電体層の欠陥まで十分に修復できるということから、漏
れ電流と耐電圧の特性に優れたコンデンサ素子を得るこ
とができた。
【0177】さらに、印加電圧を段階的に上げて、欠陥
を徐々に修復することにより、エージングによるショー
ト不良を少なくできることが分かった。
【0178】なお、本実施の形態では、二酸化マンガン
導電層を設けた構成で説明したが、省略可能である。
【0179】また、本実施の形態において、微細凹凸を
有するものであれば、アルミニウムエッチド箔には限定
されない。
【0180】なお、以上の各実施の形態では、導電性高
分子からなる固体電解質層をポリピロールで構成した例
で説明したが、その他のポリチオフェン、ポリアニリン
についても同様に実施可能である。
【0181】また、以上の各実施の形態では、エージン
グについては、印加電圧を定格の1.3〜2倍にするこ
とが好適であり、コンデンサ素子を樹脂でモールドした
後でも同様に実施可能である。
【0182】また、以上の各実施の形態における第二化
成及び/または第三化成に用いる化成液の電気伝導度
は、1mS/cm以下であることが好適である。
【0183】
【発明の効果】以上のように本発明においては、固体電
解質層を形成する前に電気伝導度の低い化成液を用いた
り、低い電流密度により化成を行うことにより、欠陥の
少ない酸化被膜誘電体層を形成でき、漏れ電流と耐電圧
の特性に優れた固体電解コンデンサを得ることができ
る。
【0184】さらに、重合の合間または重合の後におけ
る化成液中での修復化成を施す必要がなく、工程が簡略
化される。
【0185】そしてさらに、修復化成による固体電解質
層の剥離が生じないために、重合の繰り返し回数が少な
くて済むのでコストを下げることができ、また修復化成
による酸化被膜誘電体層の破壊が生じないために、漏れ
電流や耐電圧の特性が悪くならないので歩留まりを上げ
ることができる。
【0186】また、温度が高く、相対湿度が高く、かつ
圧力が加えられた雰囲気中で、一定時間電圧を印加する
エージング処理を行うことにより、コンデンサ素子の深
部の酸化被膜誘電体層の欠陥まで修復できるために、漏
れ電流が低く、耐電圧の高いコンデンサを得ることがで
き、さらに、漏れ電流と耐電圧のばらつきも小さくな
り、良い歩留まりを得ることができる。
【0187】さらに、このエージングの印加電圧を定格
の1.3倍の電圧より高くすることにより、漏れ電流と
耐電圧の特性が大幅に改善されたコンデンサを得ること
ができる。
【0188】また、二酸化マンガン層を酸化被膜誘電体
層と導電性高分子よりなる固体電解質層の間に設ける
と、高温での損失係数の特性が変化しにくく、温度特性
に優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 工藤 康夫 神奈川県川崎市多摩区東三田3丁目10番 1号 松下技研株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−276215(JP,A) 特開 昭59−191319(JP,A) 特開 昭59−191321(JP,A) 特開 平5−121275(JP,A) 特開 昭62−81708(JP,A) 特開 昭53−106456(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 9/04

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結体である弁金属体を用意する工程
    と、前記弁金属体に対して酸化被膜誘電体層を形成すべ
    く第一の電流密度により第一化成を行う第一化成工程
    と、前記第一化成工程後の弁金属体に対して前記第一化
    成工程に引続き前記第一の電流密度より低い第二の電流
    密度により第二化成を行なう第二化成工程と、前記酸化
    被膜誘電体層に隣接して導電性高分子層を重合により形
    成する導電性高分子層形成工程と、前記導電性高分子層
    上に陰極を形成する工程と、加圧雰囲気中でエージング
    を行なうエージング工程と、を有するコンデンサの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 焼結体である弁金属体を用意する工程
    と、前記弁金属体に対して酸化被膜誘電体層を形成すべ
    く第一の電気伝導度を有する第一の化成液を用いて第一
    化成を行う第一化成工程と、前記第一化成工程後の弁金
    属体に対して前記第一化成工程に引続き前記第一の電気
    伝導度より小さい第二の電気伝導度を有する第二の化成
    液を用いて第二化成を行なう第二化成工程と、前記酸化
    被膜誘電体層に隣接して導電性高分子層を重合により形
    成する導電性高分子層形成工程と、前記導電性高分子層
    上に陰極を形成する工程と、加圧雰囲気中でエージング
    を行なうエージング工程と、を有するコンデンサの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 エッチド箔である弁金属体を用意する工
    程と、前記弁金属体に対して酸化被膜誘電体層を形成す
    べく第一の電流密度により第一化成を行う第一化成工程
    と、前記第一化成工程後の弁金属体に対して前記第一化
    成工程に引続き前記第一の電流密度より低い第二の電流
    密度により第二化成を行なう第二化成工程と、前記第二
    化成工程後の弁金属体に対して前記第二化成工程に引続
    き前記第一の電流密度より低い第三の電流密度により第
    三化成を行なう第三化成工程と、前記酸化被膜誘電体層
    に隣接して導電性高分子層を重合により形成する導電性
    高分子層形成工程と、前記導電性高分子層上に陰極を形
    成する工程と、加圧雰囲気中でエージングを行なうエー
    ジング工程と、を有するコンデンサの製造方法。
  4. 【請求項4】 エッチド箔である弁金属体を用意する工
    程と、前記弁金属体に対して酸化被膜誘電体層を形成す
    べく第一の電気伝導度を有する第一の化成液を用いて第
    一化成を行う第一化成工程と、前記第一化成工程後の弁
    金属体に対して前記第一化成工程に引続き前記第一の電
    気伝導度より小さい第二の電気伝導度を有する第二の化
    成液を用いて第二化成を行なう第二化成工程と、前記第
    二化成工程後の弁金属体に対して前記第二化成工程に引
    続き前記第一の電気伝導度より小さい第三の電気伝導度
    を有する第三の化成液を用いて第三化成を行なう第三化
    成工程と、前記酸化被膜誘電体層に隣接して導電性高分
    子層を重合により形成する導電性高分子層形成工程と、
    前記導電性高分子層上に陰極を形成する工程と、加圧雰
    囲気中でエージングを行なうエージング工程と、を有す
    るコンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 エージング工程は、互いに異なった印加
    電圧による複数のエージング工程を含む請求項1から4
    のいずれか記載のコンデンサの製造方法。
  6. 【請求項6】 エージングの印加電圧を定格の1.3〜
    2倍にした請求項1から4のいずれか記載のコンデンサ
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 焼結体である弁金属体を用意する工程
    と、前記弁金属体に対して酸化被膜誘電体層を形成する
    化成工程と、前記酸化被膜誘電体層に隣接して導電性高
    分子層を重合により形成する導電性高分子層形成工程
    と、前記導電性高分子層上に陰極を形成する工程と、加
    圧しながら定格の1.3〜2倍の互いに異なった印加電
    圧による複数のエージングを行なうエージング工程と、
    有するコンデンサの製造方法。
  8. 【請求項8】 化成工程は、弁金属体に対して酸化被膜
    誘電体層を形成すべく第一の電流密度により第一化成を
    行う第一化成工程と、前記第一化成工程後の弁金属体に
    対して前記第一化成工程に引続き前記第一の電流密度よ
    り低い第二の電流密度により第二化成を行なう第二化成
    工程とを含む請求項記載のコンデンサの製造方法。
  9. 【請求項9】 さらに、第二化成工程後の弁金属体に対
    して第一の電流密度より低い第三の電流密度により第三
    化成を行なう第三化成工程を含む請求項記載のコンデ
    ンサの製造方法。
  10. 【請求項10】 化成工程は、弁金属体に対して酸化被
    膜誘電体層を形成すべく第一の電気伝導度を有する第一
    の化成液を用いて第一化成を行う第一化成工程と、前記
    第一化成工程後の弁金属体に対して前記第一化成工程に
    引続き前記第一の電気伝導度より小さい第二の電気伝導
    度を有する第二の化成液を用いて第二化成を行なう第二
    化成工程とを含む請求項記載のコンデンサの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 さらに、前記第二化成工程後の弁金属
    体に対して前記第二化成工程に引続き前記第一の電気伝
    導度より小さい第三の電気伝導度を有する第三の化成液
    を用いて第三化成を行なう第三化成工程を含む請求項
    記載のコンデンサの製造方法。
  12. 【請求項12】 第一の化成工程以外の化成工程に用い
    る化成液の電気伝導度は、1mS/cm以下である請求
    項1から11のいずれか記載のコンデンサの製造方法。
  13. 【請求項13】 さらに、酸化被膜誘電体層と導電性高
    分子層の間に二酸化マンガン層を形成する二酸化マンガ
    ン形成工程を有する請求項1から12のいずれか記載の
    コンデンサの製造方法。
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