JP3864651B2 - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器のポータブル化、高速化に伴い、電子部品である固体電解コンデンサにも小型高性能化が求められてきている。
【0003】
この市場の要求に応えるために陽極の表面状態、酸化皮膜の形成方法、固体電解質層の開発、改善、陰極の表面状態、コンデンサ素子の構造などさまざまな角度から検討がなされている。
【0004】
図2に代表的な固体電解コンデンサ素子の構成を断面図で示す。図2に示すように、アルミニウムやタンタル等の弁作用を有する金属の箔や焼結体11を陽極酸化して誘電体酸化皮膜層12を形成した陽極体の表面にMn,Pbなどの遷移金属酸化物を用いた固体電解質層13を形成し、この固体電解質層13の表面にカーボン層14及び銀層15を順次積層して陰極層を形成し、最後に陽極導出線16および陰極導出線17を表出させるようにして樹脂モールドなどで外装部(図示せず)を形成することにより構成されている。
【0005】
上記固体電解質層13の高性能化のための改善策として、電荷移動錯体としてTCNQ塩を利用した有機半導体コンデンサや複素環式化合物であるピロール、チオフェン、フランなどを重合して導電化してなる導電性高分子を利用した機能性高分子固体電解コンデンサが実用化されてきている。
【0006】
このような導電性高分子はその固有抵抗が著しく低いという特徴を有するため、固体電解コンデンサの低インピーダンス化には有力な固体電解質層として種々の開発が進められ実用化されてきている。
【0007】
また、この固体電解質層の形成方法としては、特開昭60−244017号公報や特開昭63−181308号公報に開示されているように、誘電体酸化皮膜層を形成した陽極体を陽極として、重合液に浸漬して通電することにより前記誘電体酸化皮膜層上に電解重合による固体電解質層を形成する方法、或いは陽極体にモノマー溶液を含浸後、p−トルエンスルホン酸鉄やドデシルベンゼンスルホン酸鉄などの酸化剤溶液に浸漬して化学酸化重合による固体電解質層を形成する方法や化学酸化重合した後に電解重合を行い導電性高分子の固体電解質を形成する方法などが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記モノマー溶液と酸化剤を用いて化学酸化重合により固体電解質層を形成する方法において、重合反応に供しなかった酸化剤の三価の鉄イオンや二価の鉄イオンは重合反応後に固体電解質層中に残留されるので、誘電体酸化皮膜層に介在する欠陥部に固体電解質層が形成された場合、鉄イオンは前記陽極体との酸化還元電位差により鉄に還元されて、漏れ電流不良、ショート不良の原因となり、製造工程において歩留まりが非常に悪くなってしまうという課題を有していた。
【0009】
本発明はこのような課題を解決し、漏れ電流が低く、ショート不良を低減し、製造工程での歩留まりを著しく向上させることができる固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、弁作用を有する金属からなる陽極体の表面に形成された誘電体酸化皮膜層と、この誘電体酸化皮膜層の表面に、第二鉄塩からなる酸化剤および複素環式モノマーを用いた化学重合反応により形成された導電性高分子からなる固体電解質層と、この固体電解質層上に形成された陰極層とからなり、前記固体電解質層は、鉄濃度が100ppm以下(0は含まず)である構成としたものである。
【0011】
また、この固体電解コンデンサを得るための製造方法としては、弁作用を有する金属からなる陽極体の表面に陽極酸化法により誘電体酸化皮膜層を形成し、この陽極体を複素環式モノマーを含有する重合溶液と無機の第二鉄塩からなる酸化剤を含有する酸化溶液とに個々に含浸させた後に洗浄し、続いて複素環式モノマーと有機酸の第二鉄塩からなる酸化剤とを含有する混合溶液に含浸させた後に洗浄することにより鉄濃度が100ppm以下の導電性高分子の固体電解質層を形成する製造方法としたものである。
【0012】
これらの本発明により、漏れ電流が低く、ショート不良を低減し、製造工程での歩留まりを著しく向上させた固体電解コンデンサを得ることができるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、弁作用を有する金属からなる陽極体の表面に形成された誘電体酸化皮膜層と、この誘電体酸化皮膜層の表面に、第二鉄塩からなる酸化剤および複素環式モノマーを用いた化学重合反応により形成された導電性高分子からなる固体電解質層と、この固体電解質層上に形成された陰極層とからなり、前記固体電解質層は、鉄濃度が100ppm以下(0は含まず)である構成としたもので、この構成により、漏れ電流が低くなり、ショート不良数を低減し、製造工程において歩留まりの良い固体電解コンデンサを得ることができるという作用を有する。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、導電性高分子からなる固体電解質層が化学酸化重合後に水酸基とカルボキシル基を併せ持つ電解質を含む溶液を用いて洗浄することにより形成された構成としたものであり、この構成により化学酸化重合により形成された導電性高分子の固体電解質層の鉄濃度を低減させることができるという作用を有する。すなわち、電解質の分子中の水酸基とカルボキシル基の働きにより、鉄イオンの錯体を形成して溶液中では安定であるため、固体電解質層中からの鉄濃度の低減が容易になり、その結果、固体電解質層中の鉄濃度を低減することができるという作用を有する。なお、前記電解質は分子構造中に水酸基とカルボキシル基を併せ持つことが重要であり、どちらか一方もしくはそのいずれも持たない電解質では、鉄イオンと錯体を形成することが困難となるため、作用は著しく低減する。また、電解質としては、クエン酸、酒石酸、グルコン酸などを用いることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、弁作用を有する金属からなる陽極体の表面に陽極酸化法により誘電体酸化皮膜層を形成し、この陽極体を複素環式モノマーを含有する重合溶液と第二鉄塩からなる酸化剤を含有する酸化溶液とに個々に含浸させた後に、水酸基とカルボキシル基を併せ持つ電解質を含む溶液を用いて洗浄し、続いて複素環式モノマーと第二鉄塩からなる酸化剤とを含有する混合溶液に含浸させた後に洗浄することにより鉄濃度が100ppm以下(0は含まず)の導電性高分子の固体電解質層を形成するようにした製造方法であり、この方法により、固体電解質層の鉄濃度を100ppm以下にすることができるもので、漏れ電流が低くなり、ショート不良数を低減し、製造工程において歩留まりの良い固体電解コンデンサを得ることができるという作用を有する。すなわち、電解質の分子中の水酸基とカルボキシル基の働きにより、鉄イオンの錯体を形成して溶液中では安定であるため、固体電解質層中からの鉄濃度の低減が容易になり、その結果、固体電解質層中の鉄濃度を低減することができるという作用を有する。なお、前記電解質は分子構造中に水酸基とカルボキシル基を併せ持つことが重要であり、どちらか一方もしくはそのいずれも持たない電解質では、鉄イオンと錯体を形成することが困難となるため、作用は著しく低減する。また、電解質としては、クエン酸、酒石酸、グルコン酸などを用いることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、導電性高分子の固体電解質層を形成する工程が、陽極体を複素環式モノマーを含有する重合溶液と第二鉄塩からなる酸化剤を含有する酸化溶液とに個々に含浸させた後に、水酸基とカルボキシル基を併せ持つ電解質を含む溶液を用いて洗浄する工程を少なくとも2回繰り返して行い、続いて複素環式モノマーと第二鉄塩からなる酸化剤を含有する混合溶液に含浸させる工程を少なくとも2回繰り返し行い、その後洗浄をして行う方法としたもので、この方法により、欠陥の少ない誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子の固体電解質層をより緻密に形成して、固体電解質層中に残留している鉄濃度を低減することができるので、漏れ電流が低くなり、ショート不良数を低減することができるという作用を有する。
【0018】
なお、上記洗浄は水洗と湯洗のいずれか一方または両方を用いることができ、順序は逆でも構わないが、湯洗を最初に用いた方が鉄含有量の低減をより一層高めることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、洗浄工程が電解質を含む溶液中に浸漬しながら陽極体を陽極として電圧を印加する方法としたもので、この方法により、電解質の作用により鉄含有量を低減しやすいイオンの状態に維持することが可能となり、固体電解質層中からの鉄濃度の低減が容易にでき、また、陽極体を陽極として電圧を印加することにより、プラスの電荷を有する鉄イオンが陽極体に対して斥力を受けるため、固体電解質層中からの鉄濃度の低減がさらに容易にできるという作用を有する。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、陽極体に印加する電圧は、誘電体酸化皮膜層の化成電圧に対して0.2〜1倍の電圧である方法としたもので、この方法により、陽極体への印加により電場が形成され、プラスの電荷を持つ鉄イオンは斥力を受けるため、導電性高分子中からの除去が容易になり、その結果、固体電解質層中の鉄濃度が低減し、電流集中が緩和されるため、漏れ電流が低くなり、ショート不良数を低減し、製造工程において歩留まりの良い固体電解コンデンサを得ることができるという作用を有する。
【0024】
なお、前記印加電圧が誘電体酸化皮膜の化成電圧に対して0.2倍未満である場合では、固体電解質層からの鉄濃度を低減させるのに必要な斥力を十分得られず、また、前記印加電圧が1倍を越える場合では、誘電体酸化皮膜の絶縁破壊が発生し、再度誘電体酸化皮膜の形成が行われることになり、その結果、鉄イオンが誘電体酸化皮膜中に取り込まれ、漏れ電流の増大を招く。
【0025】
以下、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0026】
図1は本発明の実施の形態による固体電解コンデンサの構成を概念的に示した断面図であり、同図において、1はタンタル線等の弁作用金属からなる陽極導出線、2は陽極導出線1の一端部が表出するようにして陽極導出線1を埋設した弁作用金属微粉末を成形焼結して得られた多孔質体の陽極体、3はこの陽極体2の表面に陽極酸化により形成された誘電体酸化皮膜層、4はこの誘電体酸化皮膜層3の表面に化学酸化重合により形成された導電性高分子の固体電解質層、5はカーボン層、6は導電性接着層、7はこの導電性接着層6に接続された陰極引出線である。このように構成された本発明の固体電解コンデンサは、上記陽極導出線1及び陰極引出線7の一部が外部に表出するようにして図示しない外装樹脂で被覆することによって構成したものである。
【0027】
次に、本発明の具体的な実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
【0028】
(実施の形態1)
タンタル線からなる陽極導出線をその一端部が表出するように埋設したタンタル金属微粉末を成形、焼結して多孔質体の陽極体を得て、前記多孔質体の陽極体の表面に陽極酸化法により誘電体酸化皮膜層を形成した。次に、前記誘電体酸化皮膜層が形成された陽極体を複素環式モノマーであるピロール1部と重合溶剤である1−プロパノール4部を含む溶液に浸漬して引き上げて、続いて酸化剤である硫酸第二鉄2部と溶剤である1−プロパノール4部を含む溶液に浸漬して引き上げた後、この陽極体を温度85℃で濃度1.0%のクエン酸水溶液中で洗浄して乾燥を行った。続いて複素環式モノマーであるピロール1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤である1−プロパノール4部を含む混合溶液に浸漬して引き上げた後、この陽極体を温度85℃で濃度1.0%のクエン酸水溶液中で洗浄して乾燥を行い導電性高分子の固体電解質層を形成した(この時の固体電解質層の鉄濃度は85ppmであった)。その後、カーボン層、導電性接着層を順次形成して陰極引出線を接続して、最後に陽極導出線及び陰極引出線の一部が外部に表出するように外装樹脂で被覆してタンタル固体電解コンデンサを作製した(Dサイズ:7.3×4.3×2.8mm)。
【0029】
(実施の形態2)
上記実施の形態1において、導電性高分子の固体電解質層の形成を複素環式モノマーであるピロール1部と重合溶剤である1−プロパノール4部を含む溶液に浸漬して引き上げて、続いて酸化剤である硫酸第二鉄2部と溶剤である1−プロパノール4部を含む酸化溶液に浸漬して引き上げた後、この陽極体を温度85℃で濃度1.0%の酒石酸水溶液中で洗浄して乾燥を行った。続いて修復化成を行い水洗して乾燥した後、複素環式モノマーであるピロール1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤である1−プロパノール4部を含む混合溶液に浸漬して引き上げて乾燥した。この陽極体を温度85℃で濃度1.0%のクエン酸水溶液中で洗浄して乾燥を行った(この時の固体電解質層の鉄濃度は75ppmであった)。これ以外は実施の形態1と同様にしてタンタル固体電解コンデンサを作製した。
【0030】
(実施の形態3)
上記実施の形態1において、導電性高分子の固体電解質層の形成を複素環式モノマーであるピロール1部と重合溶剤である1−プロパノール4部を含む溶液に浸漬して引き上げて、続いて酸化剤である硫酸第二鉄2部と溶剤である1−プロパノール4部を含む酸化溶液に浸漬して引き上げた後、この陽極体を温度85℃で濃度1.0%のクエン酸水溶液中で洗浄して乾燥を行い、その後修復化成を行い水洗して乾燥した。この一連の工程を5回繰り返し行った。続いて複素環式モノマーであるピロール1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤である1−プロパノール4部を含む混合溶液に浸漬して引き上げて乾燥して、再び混合溶液に浸漬して乾燥する工程を3回繰り返した後、この陽極体を温度85℃で濃度1.0%の酒石酸水溶液中で洗浄して乾燥を行った(この時の固体電解質層の鉄濃度は55ppmであった)以外は実施の形態1と同様にしてタンタル固体電解コンデンサを作製した。
【0031】
(実施の形態4)
上記実施の形態1において、クエン酸の水溶液で洗浄する工程を、水溶液に陽極体を浸漬しながら誘電体酸化皮膜層の化成電圧の0.1倍の電圧を印加した以外は実施の形態1と同様にしてタンタル固体電解コンデンサを作製した(この時の固体電解質層の鉄濃度は82ppmであった)。
【0032】
(実施の形態5)
上記実施の形態1において、クエン酸の水溶液で洗浄する工程を水溶液に陽極体を浸漬しながら誘電体酸化皮膜層の化成電圧の0.2倍の電圧を印加した以外は実施の形態1と同様にしてタンタル固体電解コンデンサを作製した(この時の固体電解質層の鉄濃度は70ppmであった)。
【0033】
(実施の形態6)
上記実施の形態1において、クエン酸の水溶液で洗浄する工程を水溶液に陽極体を浸漬しながら誘電体酸化皮膜層の化成電圧の1倍の電圧を印加した以外は実施の形態1と同様にしてタンタル固体電解コンデンサを作製した(この時の固体電解質層の鉄濃度は65ppmであった)。
【0034】
(実施の形態7)
上記実施の形態1において、クエン酸の水溶液で洗浄する工程を水溶液に陽極体を浸漬しながら誘電体酸化皮膜層の化成電圧の1.1倍の電圧を印加した以外は実施の形態1と同様にしてタンタル固体電解コンデンサを作製した(この時の固体電解質層の鉄濃度は90ppmであった)。
【0035】
(比較例)
タンタル線からなる陽極導出線をその一端部が表出するように埋設したタンタル金属微粉末を成形焼結して多孔質体の陽極体を得て、前記多孔質体の陽極体の表面に陽極酸化法により誘電体酸化皮膜層を形成した。次に、前記誘電体酸化皮膜層が形成された陽極体を複素環式モノマーであるピロール1部と重合溶剤である1−プロパノール4部を含む溶液に浸漬して引き上げた後、酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤である1−プロパノール4部を含む溶液に浸漬して引き上げた後、85℃で60分間放置することによりポリピロールの固体電解質層を形成した(この時の固体電解質層の鉄濃度は130ppmであった)。この陽極体にカーボン層、導電性接着層を順次形成して陰極引出線を接続し、最後に陽極導出線及び陰極引出線の一部が表出するように外装樹脂で被覆してタンタル固体アルミ電解コンデンサを構成した(Dサイズ:7.3×4.3×2.8mm)。
【0036】
以上のように作製した本発明の実施の形態1〜7と比較例のタンタル固体電解コンデンサについて、固体電解質層の鉄濃度、漏れ電流(定格電圧印加後30秒値)、エージング処理中のショート発生(不良)数を比較した結果を(表1)に示す。
【0037】
なお、試験個数は各50個であり、鉄濃度は各50個の平均値で示し、漏れ電流は、ショート品を除いたサンプルについての平均値で示した。
【0038】
【表1】
【0039】
(表1)から明らかなように、本発明の実施の形態1〜3のタンタル固体電解コンデンサは、比較例と比較して陽極体を化学酸化重合後の洗浄工程を電解質を含む溶液中に浸漬することにより、固体電解質層の鉄濃度を100ppm以下に低減することができ、その結果、漏れ電流が低くなり、ショート不良数を低減し、製造工程において歩留まりの良いタンタル固体電解コンデンサを得ることができる。
【0040】
また、本発明の実施の形態4〜7のタンタル固体電解コンデンサは、電解質を含む水溶液中に浸漬しながら導電性高分子の固体電解質層を形成した陽極体を陽極として電圧を印加した洗浄方法としたもので、実施の形態4のタンタル固体電解コンデンサは電圧を印加する効果が得られなかった。また、実施の形態7のタンタル固体電解コンデンサは、固体電解質層の鉄濃度を低減させることはできるが、静電容量が低下してしまう。
【0041】
従って、電解質を含む溶液中に浸漬しながら電圧を印加した洗浄方法の印加電圧の最適値は0.2〜1倍の範囲が好ましい。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明の固体電解コンデンサは、弁作用を有する金属からなる陽極体の表面に形成された誘電体酸化皮膜層と、この誘電体酸化皮膜層の表面に、第二鉄塩からなる酸化剤および複素環式モノマーを用いた化学重合反応により形成された導電性高分子からなる固体電解質層と、この固体電解質層上に形成された陰極層とからなり、前記固体電解質層は、鉄濃度が100ppm以下(0は含まず)であるとしたもので、漏れ電流が低くなり、ショート不良数を低減し、歩留まりの良い固体電解コンデンサを得ることができるものであり、その工業的な価値は大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による固体電解コンデンサの構成を概念的に示した断面図
【図2】従来の固体電解コンデンサ素子の構成を示した断面図
【符号の説明】
1 陽極導出線
2 陽極体
3 誘電体酸化皮膜層
4 導電性高分子の固体電解質層
5 カーボン層
6 導電性接着層
7 陰極引出線
Claims (6)
- 弁作用を有する金属からなる陽極体の表面に形成された誘電体酸化皮膜層と、この誘電体酸化皮膜層の表面に、第二鉄塩からなる酸化剤および複素環式モノマーを用いた化学重合反応により形成された導電性高分子からなる固体電解質層と、この固体電解質層上に形成された陰極層とからなり、前記固体電解質層は、鉄濃度が100ppm以下(0は含まず)である固体電解コンデンサ。
- 導電性高分子からなる固体電解質層が化学酸化重合後に水酸基とカルボキシル基を併せ持つ電解質を含む溶液を用いて洗浄することにより形成されたものである請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 弁作用を有する金属からなる陽極体の表面に陽極酸化法により誘電体酸化皮膜層を形成し、この陽極体を複素環式モノマーを含有する重合溶液と第二鉄塩からなる酸化剤を含有する酸化溶液とに個々に含浸させた後に、水酸基とカルボキシル基を併せ持つ電解質を含む溶液を用いて洗浄し、続いて複素環式モノマーと第二鉄塩からなる酸化剤とを含有する混合溶液に含浸させた後に洗浄することにより鉄濃度が100ppm以下(0は含まず)の導電性高分子の固体電解質層を形成するようにした固体電解コンデンサの製造方法。
- 導電性高分子の固体電解質層を形成する工程が、陽極体を複素環式モノマーを含有する重合溶液と第二鉄塩からなる酸化剤を含有する酸化溶液とに個々に含浸させた後に、水酸基とカルボキシル基を併せ持つ電解質を含む溶液を用いて洗浄する工程を少なくとも2回繰り返して行い、続いて複素環式モノマーと第二鉄塩からなる酸化剤を含有する混合溶液に含浸させる工程を少なくとも2回繰り返し行い、その後洗浄する請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 洗浄工程が電解質を含む溶液中に浸漬しながら陽極体を陽極として電圧を印加する請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 陽極体に印加する電圧は、誘電体酸化皮膜層の化成電圧に対して0.2〜1倍の電圧である請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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