JP3255091B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法

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JP3255091B2
JP3255091B2 JP23206497A JP23206497A JP3255091B2 JP 3255091 B2 JP3255091 B2 JP 3255091B2 JP 23206497 A JP23206497 A JP 23206497A JP 23206497 A JP23206497 A JP 23206497A JP 3255091 B2 JP3255091 B2 JP 3255091B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解コンデン
サの製造方法に関し、特に導電性高分子を固体電解質と
して使用する信頼性の高いタンタル固体電解コンデンサ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電解コンデンサ、例えばアルミニ
ウム電解コンデンサは、エッチング処理した比表面面積
の大きい多孔質アルミ箔の上に誘電体である酸化アルミ
ニウム層を設け、陰極箔との間のセパレ−タ紙に液状の
電解液を含浸させた構造からなっているが、電解液のイ
オン伝導によって機能するために、高周波領域において
著しく抵抗が増大し、インピ−ダンスが増大するという
短所がある。
【0003】そこで、近年、この電解液を固体電解質で
代替する試みがなされている。このような固体電解コン
デンサは、アルミニウム、タンタルなどの弁金属の酸化
皮膜誘電体層に固体電解質層を付着させた構造を有する
ものであり、例えば複素環式化合物であるピロ−ルを酸
化剤で化学的に重合させる方法や、適当な電解質を含む
溶液から電気化学的に重合させる方法で誘電体層上に付
着させ、これを固体電解質層としている。
【0004】これらの方法で形成されたポリピロ−ルは
電気伝導度が高く、これを用いた固体電解コンデンサは
高周波特性の非常に良好なものが得られている。
【0005】ここで、タンタル固体電解コンデンサの従
来の製造方法を説明する。まず、タンタルの弁作用金属
粉末を焼結してなる陽極焼結体に、リン酸水溶液による
化成処理を施して酸化皮膜誘電体層を形成する。
【0006】次に、ピロ−ルモノマ−や添加剤を含んだ
ピロ−ルモノマ−溶液へ浸漬してから、硫酸第二鉄や塩
化第二鉄または過酸化水素等の酸化剤と適当なド−パン
ト用組成物や添加剤を含んだ酸化剤溶液へ浸漬させて、
化学重合によりポリピロ−ルの導電性高分子を生成し、
水洗、乾燥を行い、ピロ−ルモノマ−溶液への浸漬から
乾燥までの一連の工程を何度か繰り返すことにより、酸
化皮膜誘電体層の上に導電性高分子からなる固体電解質
層を形成する。
【0007】その後に、カ−ボン層と銀ペイント層から
なる導電体層の陰極を形成して、タンタル固体電解コン
デンサを完成させている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リン酸
水溶液により化成処理を施された陽極焼結体は、重合性
のモノマ−と、溶媒に少なくとも水と、界面活性剤とを
含んだモノマ−溶液の含浸性が悪いために、化学重合に
より生成される固体電解質層が、陽極焼結体の内部まで
被覆されず、高い容量達成率が得られないという課題が
あった。
【0009】また、リン酸水溶液により化成処理を施さ
れた陽極焼結体を用いてコンデンサを作製した場合、コ
ンデンサの特性において容量の温度依存性が大きいとい
う課題もあった。
【0010】本発明は、上記の課題を解決するもので、
高い容量達成率が得られ、容量の温度依存性をも低減し
得る固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目
的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、第一の手段として、リン酸水溶液による
化成処理により酸化皮膜誘電体層を形成する工程の後
に、陽極焼結体を空気中で一定時間放置する工程を有す
る。
【0012】また、第二の手段として、リン酸水溶液に
よる化成処理により酸化皮膜誘電体層を形成する工程の
後に、モノマ−溶液に陽極焼結体を浸漬する際に、減圧
させて、陽極焼結体の内部にモノマ−溶液を含浸する工
程を有する。
【0013】また、第三の手段として、リン酸水溶液に
よる化成処理により酸化皮膜誘電体層を形成する工程の
後に、陽極焼結体を空気中で熱処理する工程を有する。
【0014】上記の構成により、高い容量達成率が得ら
れ、容量の温度依存性をも低減し得る固体電解コンデン
サの製造方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、タンタルの弁作用金属粉末を焼結して構成された陽
極焼結体に対してリン酸水溶液を用いた化成処理を行い
酸化皮膜誘電体層を形成する酸化皮膜誘電体層形成工程
と、前記酸化皮膜誘電体層が形成された陽極焼結体を空
気中で長時間放置する放置工程と、前記放置工程後、モ
ノマー溶液に前記陽極焼結体を浸漬する第1の浸漬工程
及び酸化剤溶液に前記陽極焼結体を浸漬する第2の浸漬
工程を有し、化学重合により前記酸化皮膜誘電体層に隣
接して導電性高分子を含む固体電解質層を形成する固体
電解質層形成工程と、陰極を形成する陰極形成工程とを
備えた固体電解コンデンサの製造方法である。
【0016】かかる構成により、化成処理後に、陽極焼
結体を空気中で一定時間放置して、モノマ−溶液とのぬ
れ性が向上する。
【0017】よって、モノマ−溶液の含浸性が高まり、
化学重合により陽極焼結体の内部まで固体電解質層が被
覆され、高い容量達成率の固体電解コンデンサが得られ
る。
【0018】また、タンタルの弁作用金属粉末を焼結し
て構成された陽極焼結体に対してリン酸水溶液を用いた
化成処理を行い酸化皮膜誘電体層を形成する酸化皮膜誘
電体層形成工程と、モノマ−溶液に前記陽極焼結体を浸
漬しかつ減圧する第1の浸漬工程及び酸化剤溶液に前記
陽極焼結体を浸漬する第2の浸漬工程を有し、化学重合
により前記酸化皮膜誘電体層に隣接して導電性高分子を
含む固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程と、
陰極を形成する陰極形成工程とを備えた固体電解コンデ
ンサの製造方法としてもよい
【0019】かかる構成により、モノマ−溶液に陽極焼
結体を浸漬する際に減圧され、陽極焼結体の内部までモ
ノマ−溶液が含浸される。
【0020】よって、化学重合により陽極焼結体の内部
まで固体電解質層が被覆され、高い容量達成率の固体電
解コンデンサが得られる。
【0021】ここで、第1の浸漬工程及び第2の浸漬
程を、複数回繰り返、前記第1の浸漬工程における減
、最初の第1の浸漬工程で行ことにすると、構成
の簡便さ故に好適である。
【0022】また、請求項に記載の本発明は、タンタ
ルの弁作用金属粉末を焼結して構成された陽極焼結体に
対してリン酸水溶液を用いた化成処理を行い酸化皮膜誘
電体層を形成する酸化皮膜誘電体層形成工程と、前記酸
化皮膜誘電体層が形成された陽極焼結体を空気中で20
0℃以上の温度で30分以上熱処理する熱処理工程と、
前記熱処理工程後、モノマ−溶液に前記陽極焼結体を浸
漬する第1の浸漬工程及び酸化剤溶液に前記陽極焼結体
を浸漬する第2の浸漬工程を有し、化学重合により前記
酸化皮膜誘電体層に隣接して導電性高分子を含む固体電
解質層を形成する固体電解質層形成工程と、陰極を形成
する陰極形成工程とを備えた固体電解コンデンサの製造
方法である。
【0023】かかる構成により、化成処理後に、陽極焼
結体を熱処理して、モノマ−溶液とのぬれ性が向上す
る。
【0024】よって、モノマ−溶液の含浸性が高まり、
化学重合により陽極焼結体の内部まで固体電解質層が被
覆され、高い容量達成率の固体電解コンデンサが得られ
る。
【0025】さらに、酸化皮膜誘電体層が形成された陽
極焼結体を空気中で200℃以上の温度で30分以上
処理することにより、酸化皮膜誘電体層の誘電率の温度
依存性が小さくなり、確実に高い容量達成率と容量の温
度依存性が小さい固体電解コンデンサが得られる。
【0026】
【0027】以上において、請求項記載のように、モ
ノマー溶液が、ドーパントとしてのアニオン系界面活性
剤を含むことが、好適である。
【0028】このように解離して有機酸イオンを生成す
るアニオン系界面活性剤には、アルキルナフタレンスル
ホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、アルキルスルホン酸ナトリウム(アルキル基の数
が11から17の範囲にあるものの混在したもの)、2
−エチルヘキシル硫酸エステルナトリウム、ポリエチレ
ンエキシド(エチレンオキシド繰り返し数:3)アルキ
ル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数が11から15
の範囲にあるものの混在したもの)等があげられるが、
より好適には、請求項記載のように、アルキルナフタ
レンスルホン酸ナトリウムが用いられ、請求項記載の
ように、アルキルナフタレンスルフォン酸イオンが、固
体電解質層に対しドーパントとして確実に機能する。
【0029】そして、請求項記載のように、モノマ−
溶液が、重合性のモノマ−と、水を含む溶媒とを含むこ
とが好ましく、請求項記載のように、モノマ−溶液の
モノマ−が、ピロ−ル、チオフェン、アニリンまたはこ
れらの誘導体であることが好適である。
【0030】以下、本発明の実施の形態について、主と
して固体電解質としてポリピロールまたはポリチオフェ
ンを用い、ドーパントとしてアルキルナフタレンスルホ
ン酸ナトリウムを用いた例を代表的構成として説明をし
ていく。
【0031】(実施の形態1)本実施の形態では、タン
タルの焼結体を電極に用いた固体電解コンデンサの製造
方法について説明する。
【0032】最初に、大きさが、3.6X2.9X1.
4mmで、タンタルのリ−ド線が配された重量約90m
gのタンタル焼結体に対して、化成処理を施した。具体
的には、リン酸5mlを1000mlの脱イオン水に溶
解した約90℃の溶液を用い、まず5mV/secの速
度で0から42Vまで上げ、続けて42Vの定電圧を1
80分間印加し、陽極酸化により酸化皮膜誘電体層を形
成した。
【0033】ここで、この構成をコンデンサと見立て、
化成液中の容量を測定したところ68μFであった。
【0034】次に、化成処理後に誘電体層が形成された
陽極焼結体を脱イオン水の流水により洗浄して、乾燥を
行った。
【0035】そして、この陽極焼結体を空気中で20日
間放置した。さらに、この構成を用いて、ピロ−ルモノ
マ−6.7gと界面活性剤アルキルナフタレンスルフォ
ン酸ナトリウム(平均分子量338)を3gと脱イオン
水100gとエタノ−ル2gからなるピロ−ルモノマ−
溶液に5分間浸漬後、硫酸第二鉄水和物(水分量26
%)12gと界面活性剤アルキルナフタレンスルフォン
酸ナトリウム(平均分子量338)12gと脱イオン水
110gとエタノ−ル10gとパラニトロフェノ−ル
1.4gからなる酸化剤溶液に10分間浸漬した。
【0036】そして、このようなピロ−ルモノマ−溶液
と酸化剤溶液へ浸漬させる処理を3回繰り返したら、脱
イオン水の流水により10分間洗浄し、105℃のオ−
ブンで5分間乾燥させた。
【0037】引続き、ピロ−ルモノマ−溶液に浸漬から
の処理を繰り返し、化学重合により2価の硫酸イオンと
1価のアルキルナフタレンスルフォン酸イオンとがド−
プされた(ポリピロ−ル)導電性高分子からなる固体電
解質層を形成した。
【0038】ここで、固体電解質層形成に要したピロ−
ルモノマ−溶液と酸化剤溶液への浸漬の繰り返し回数は
18回であった。
【0039】そして、このように固体電解質層が形成さ
れた上に、カ−ボン層と銀ペイント層で陰極を形成する
と共に、その上に陰極リ−ドを取り付け、合計10個の
コンデンサ素子を完成させた。
【0040】ここで、1kHzにおける容量を測定し、
それらの平均値を求めると62.3μFであった。
【0041】(比較例1)比較例1として、陽極焼結体
を空気中で2日間放置した以外、実施の形態1と同様の
操作でコンデンサ素子を作製した。このときの容量の平
均値は46.5μFであった。
【0042】比較例1と実施の形態1との比較から明ら
かなように、実施の形態1では、化成処理の後に陽極焼
結体を空気中で長時間放置することにより、モノマ−溶
液とのぬれ性が向上して含浸性が高まり、その結果、化
学重合により陽極焼結体の内部まで固体電解質層が被覆
され、92%と高い容量達成率の固体電解コンデンサが
得られたことが判明した。
【0043】さらに、放置日数を変化させて容量を測定
した結果を図1に示す。図1より、放置日数が増えると
徐々に容量が増加し、20日以上放置すれば高い容量達
成率が得られることが分かった。
【0044】なお、この放置日数は、陽極焼結体のCV
値や作製条件により違いが生じるので、それらの違い毎
に適当な放置日数を設定すればよい。
【0045】(実施の形態2)ついで、本発明の第2の
実施の形態について説明する。
【0046】まず、タンタルの陽極焼結体に実施の形態
1と同様の条件で化成処理を施し、陽極酸化により酸化
皮膜誘電体層を形成した。そして、化成処理後に脱イオ
ン水の流水により洗浄して、乾燥を行った。
【0047】ここで、本実施の形態では、化成処理後に
空気中で20日間放置しないで、すぐに次の工程の固体
電解質層の形成へと作業を進めた。
【0048】即ち、ピロ−ルモノマ−6.7gと界面活
性剤アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム(平均
分子量338)3gと脱イオン水100gとエタノ−ル
2gからなるモノマ−溶液をビ−カに入れ、このモノマ
−溶液に陽極焼結体を浸漬した。なお、陽極焼結体は、
取り付け治具を用いてビ−カに接触しないように支持し
た。
【0049】そして、それらを排気口とリ−ク弁の設け
られたベルジャ−内に配置してから、アスピレ−タによ
り約30mmHgの圧力まで減圧させ、20分間保持し
て、陽極焼結体の内部にモノマ−溶液を含浸した。
【0050】その後、リ−クさせてからベルジャ−内の
ビ−カを取り出し、モノマ−溶液内の陽極焼結体を引き
上げた。
【0051】続いて、硫酸第二鉄水和物(水分量26
%)12gと界面活性剤アルキルナフタレンスルフォン
酸ナトリウム(平均分子量338)と脱イオン水110
gとエタノ−ル10gとパラニトロフェノ−ル1.4g
からなる酸化剤溶液に、陽極焼結体を10分間浸漬し
た。
【0052】そして、モノマ−溶液の減圧含浸は最初の
1回目に施すだけで効果が得られるので、モノマ−溶液
への2回目の以降の浸漬は、減圧せずに行うこととし、
また5分間の浸漬とした。
【0053】このようにピロ−ルモノマ−溶液と酸化剤
溶液へ浸漬させる処理を3回繰り返したら、脱イオン水
の流水により10分間洗浄し、105℃のオ−ブンで5
分間乾燥させた。
【0054】引続いてピロ−ルモノマ−溶液に浸漬から
の処理を、減圧含浸を行わないこと以外は同様に繰り返
し、化学重合により導電性高分子からなる固体電解質層
を形成した。
【0055】そして、このように固体電解質層が形成さ
れた上に、カ−ボン層と銀ペイント層で陰極を形成する
と共に、その上に陰極リ−ドを取り付け、合計10個の
コンデンサ素子を完成させた。
【0056】ここで、1kHzにおける容量を測定し、
それらの平均値を求めると62.6μFであった。
【0057】実施の形態2では、モノマ−溶液に陽極焼
結体を浸漬する際に、減圧させることにより、陽極焼結
体の内部までモノマ−溶液が含浸される。
【0058】その結果、化学重合により陽極焼結体の内
部まで固体電解質層が被覆され、92%と高い容量達成
率の固体電解コンデンサが得られたことが判明した。
【0059】また、実施の形態2では、実施の形態1の
ように化成処理後に一定時間放置しないですぐにコンデ
ンサを作製できるという長所も有する。
【0060】もちろん、本実施の形態の減圧含浸する
と実施の形態1の化成処理後に一定時間放置する工程
とを共に有する構成も適宜採り得るものである。
【0061】(実施の形態3)ついで、本発明の第3の
実施の形態について説明する。
【0062】まず、タンタルの陽極焼結体に実施の形態
1と同様の条件で化成処理を施し、陽極酸化により酸化
皮膜誘電体層を形成した。そして、化成処理後に脱イオ
ン水の流水により洗浄して、乾燥を行った。
【0063】本実施の形態では、化成処理後に空気中で
20日間放置しないで、すぐに次の工程へと作業を進め
た。
【0064】即ち、この陽極焼結体を空気中で200℃
の温度で30分熱処理を施した。この後の工程のモノマ
−溶液への浸漬からは実施の形態1と同様の条件で行
い、合計10個のコンデンサ素子を完成させた。
【0065】ここで、1kHzにおける容量を測定し、
それらの平均値を求めると61.8μFであった。
【0066】本実施の形態では、化成処理後に、陽極焼
結体を空気中で200℃の温度で30分熱処理すること
により、モノマ−溶液とのぬれ性が向上して含浸性が高
まり、その結果、化学重合により陽極焼結体の内部まで
固体電解質層が被覆され、91%と高い容量達成率の固
体電解コンデンサが得られたことが判明した。
【0067】さらに、熱処理時間を30分に固定し、熱
処理温度を変化させて熱処理を施してからコンデンサ素
子を作製して、容量を測定した結果を図2に示す。
【0068】図2によれば、熱処理温度が高くなると徐
々に容量が増加し、約200℃以上の温度で熱処理すれ
ば高い容量達成率の所定の容量が得られることが分かっ
た。
【0069】一方、熱処理温度を180℃に固定し、熱
処理時間を変化させて熱処理を施してからコンデンサ素
子を作製して、容量を測定した結果を後述の図3に示
す。
【0070】図3によれば、処理温度が200℃より低
い180℃の場合でも、熱処理時間を300分と長くす
れば高い容量達成率の所定の容量が得られることが分か
った。
【0071】以上より、陽極焼結体のぬれ性の向上に
は、熱処理の温度と時間の両者のパラメ−タ−が寄与し
ていることが判明した。
【0072】よって、作業時間等を考慮して、熱処理の
温度と時間を適宜決定すればよいことが分かるが、空気
中で200°C以上で30分以上の熱処理をすることが
好適である。
【0073】さて、ここで、熱処理を施した場合の酸化
皮膜誘電体層の誘電率の温度依存性、即ち容量の温度依
存性について検討する。
【0074】具体的には、以下のように陽極焼結体の液
中容量を測定した。まず、硫酸30.5mlを100g
の脱イオン水で希釈した濃度の硫酸水溶液をビ−カの中
に入れた。
【0075】そして、陰極にはタンタル板を用い、ビ−
カに沿うように配する一方で、化成処理が施された陽極
焼結体を、120℃〜400℃の各温度で30分熱処理
した7種類のサンプルを用意して、それらの陽極焼結体
につき、硫酸水溶液の中に浸漬して、ほぼ真ん中に配し
た。
【0076】ここで、陽極焼結体の中に硫酸水溶液を十
分に含浸させるために、アスピレ−タで20分間減圧含
浸を行った。
【0077】図4に、硫酸水溶液の温度を変えながら液
中容量を測定した結果を示す。なお、容量変化率の0%
の基準は、25℃における容量とした。
【0078】図4によれば、180℃以上の温度で熱処
理すれば容量変化率が小さく、酸化皮膜誘電体層の容量
変化の温度依存性を小さくできることが分かった。
【0079】即ち、熱処理を施すとぬれ性が向上するだ
けでなく、酸化皮膜誘電体層の容量の温度依存性を小さ
くできる効果があることが判明した。
【0080】次に、図5に、120℃と200℃で30
分熱処理を施した陽極焼結体を用いて、実際に完成させ
たコンデンサ素子の温度と容量変化率の関係を示す。
【0081】図5から、180℃より高い200℃の温
度で30分熱処理を施した場合には、容量変化率が小さ
く、容量の温度依存性が小さい固体電解コンデンサが得
られたことが分かる。なお、陽極焼結体単体の容量変化
率より数%大きい分は、導電性高分子の固体電解質の分
であると考えられる。
【0082】一方、熱処理温度が120℃と低い場合に
は、容量変化率が大きく、容量の温度依存性が大きい。
【0083】従って、このように完成させたコンデンサ
素子においても、熱処理の効果が同様に確認され、空気
中で200°C以上で30分以上の熱処理をすることが
好適である。
【0084】なお、300℃程度の高い温度で熱処理し
たために、酸化皮膜誘電体層に欠陥が生じ、コンデンサ
の漏れ電流特性が悪くなる場合には、熱処理の後に、水
や酢酸水溶液の化成液を用いて修復化成を施せばよい。
【0085】もちろん、本実施の形態の熱処理の工程
と、実施の形態1の化成処理後に一定時間放置する工程
と、実施の形態2の減圧含浸とを適宜組み合わせる工程
をも採り得るものである。
【0086】(実施の形態4)ついで、本発明の第4の
実施の形態について説明する。
【0087】本実施の形態では、固体電解質層を形成す
る工程の内容以外は、実施の形態3と同様の条件でコン
デンサ素子を作製した。
【0088】以下、本実施の形態の固体電解質層を形成
する工程を説明する。まず、解離して有機酸イオンを生
成するアニオン系界面活性剤として界面活性剤アルキル
ナフタレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量328)
40%水溶液5gを100gの水に混ぜ合わせた。ここ
で、溶液の安定性を上げるために、エタノ−ル5gを混
ぜ合わせた。さらに、3,4−エチレンジオキシチオフ
ェン5gを混ぜ合わせ、モノマ−溶液を用意した。
【0089】一方、遷移金属イオンを含む酸化剤として
硫酸第二鉄n水和物12gを100gの水に溶解させた
後、溶液の安定性を上げるために、エタノ−ル5gを混
ぜ合わせた。ついで、界面活性剤アルキルナフタレンス
ルホン酸ナトリウム(平均分子量328)40%水溶液
5gを混ぜ合わせて酸化剤溶液を用意した。
【0090】次に、陽極焼結体をモノマ−溶液に7分間
浸漬してから、次に酸化剤溶液に15分間浸漬した。な
お、重合速度を速くするために、酸化剤溶液の温度を4
5℃とした。
【0091】そして、モノマ−溶液と酸化剤溶液へ浸漬
させる処理を3回繰り返したら、脱イオン水の流水によ
り10分間洗浄し、105℃のオ−ブンで5分間乾燥さ
せた。
【0092】引続いて、モノマ−溶液に浸漬からの処理
を繰り返し、化学重合により2価の硫酸イオンと1価の
アルキルナフタレンスルフォン酸イオンとがド−プされ
た(ポリエチレンジオキシチオフェン)導電性高分子か
らなる固体電解質層を形成した。
【0093】なお、固体電解質層が所定の厚さになるま
でに要したモノマ−溶液と酸化剤溶液への浸漬の繰り返
し回数は45回であった。
【0094】ここで、完成した10個のコンデンサ素子
の1kHzにおける容量を測定し、それらの平均値を求
めると61.2μFであった。
【0095】従って、重合性モノマ−として3,4−エ
チレンジオキシチオフェンを用いた場合にも、化成処理
後に、陽極焼結体を空気中で200℃の温度で30分熱
処理することにより、モノマ−溶液とのぬれ性が向上し
て含浸性が高まり、その結果、化学重合により陽極焼結
体の内部まで固体電解質層が被覆され、90%と高い容
量達成率の固体電解コンデンサが得られたことが判明し
た。
【0096】また、容量の温度依存性においても、実施
の形態3と同様の効果が得られた。以上より、ポリチオ
フェンを固体電解質として用いた場合にも、熱処理によ
り高い容量達成率の所定の容量が得られ、容量の温度依
存性も小さくなることが分かった。
【0097】さらに、本実施の形態におけるポリチオフ
ェンを用いて、実施の形態1及び2と同様のコンデンサ
素子を作製したところ、高い容量達成率の所定の容量が
得られることも確認された。
【0098】
【発明の効果】以上のように本発明は、化成処理の後に
陽極焼結体を空気中で長時間放置することにより、モノ
マ−溶液とのぬれ性が向上して含浸性が高まり、その結
果、化学重合により陽極焼結体の内部まで固体電解質層
が被覆され、高い容量達成率の固体電解コンデンサを得
ることができる。
【0099】また、モノマ−溶液に陽極焼結体を浸漬す
る際に、減圧させることにより、陽極焼結体の内部まで
モノマ−溶液が含浸され、その結果、化学重合により陽
極焼結体の内部まで固体電解質層が被覆され、高い容量
達成率の固体電解コンデンサを得ることができる。
【0100】また、化成処理後に、陽極焼結体を空気中
で熱処理することにより、モノマ−溶液とのぬれ性が向
上して含浸性が高まり、その結果、化学重合により陽極
焼結体の内部まで固体電解質層が被覆され、高い容量達
成率の固体電解コンデンサを得ることができる。そし
て、容量の温度依存性が小さい固体電解コンデンサを得
ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の放置日数を変化させて
容量を測定した結果を示す図
【図2】本発明の実施の形態3の熱処理時間を30分に
固定し、熱処理温度を変化させて熱処理を施し容量を測
定した結果を示す図
【図3】同熱処理温度を180℃に固定し、熱処理時間
を変化させて熱処理を施し容量を測定した結果を示す図
【図4】同硫酸水溶液の温度を変えながら液中容量を測
定した結果を示す図
【図5】同120℃と200℃で30分熱処理を施した
陽極焼結体を用いたコンデンサ素子の容量を測定した結
果を示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−83735(JP,A) 特開 昭64−82515(JP,A) 特開 平3−78222(JP,A) 特開 平4−48710(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 9/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンタルの弁作用金属粉末を焼結して構
    成された陽極焼結体に対してリン酸水溶液を用いた化成
    処理を行い酸化皮膜誘電体層を形成する酸化皮膜誘電体
    層形成工程と、前記酸化皮膜誘電体層が形成された陽極
    焼結体を空気中で長時間放置する放置工程と、前記放置
    工程後、モノマー溶液に前記陽極焼結体を浸漬する第1
    の浸漬工程及び酸化剤溶液に前記陽極焼結体を浸漬する
    第2の浸漬工程を有し、化学重合により前記酸化皮膜誘
    電体層に隣接して導電性高分子を含む固体電解質層を形
    成する固体電解質層形成工程と、陰極を形成する陰極形
    成工程とを備えた固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 タンタルの弁作用金属粉末を焼結して構
    成された陽極焼結体に対してリン酸水溶液を用いた化成
    処理を行い酸化皮膜誘電体層を形成する酸化皮膜誘電体
    層形成工程と、前記酸化皮膜誘電体層が形成された陽極
    焼結体を空気中で200℃以上の温度で30分以上熱処
    理する熱処理工程と、前記熱処理工程後、モノマー溶液
    に前記陽極焼結体を浸漬する第1の浸漬工程及び酸化剤
    溶液に前記陽極焼結体を浸漬する第2の浸漬工程を有
    し、化学重合により前記酸化皮膜誘電体層に隣接して導
    電性高分子を含む固体電解質層を形成する固体電解質層
    形成工程と、陰極を形成する陰極形成工程とを備えた固
    体電解コンデンサの製造方法。
  3. 【請求項3】 モノマー溶液が、ドーパントとしてのア
    ニオン系界面活性剤を含む請求項1または2に記載の固
    体電解コンデンサの製造方法。
  4. 【請求項4】 アニオン系界面活性剤が、アルキルナフ
    タレンスルフォン酸ナトリウムである請求項記載の固
    体電解コンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 アルキルナフタレンスルフォン酸イオン
    が、固体電解質層に対しドーパントとして機能する請求
    記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 【請求項6】 モノマー溶液が、重合性のモノマーと、
    水を含む溶媒とを含む請求項1からのいずれかに記載
    の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 【請求項7】 モノマー溶液のモノマーが、ピロール、
    チオフェン、アニリンまたはこれらの誘導体である請求
    記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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