JP2005109248A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 導電性高分子を固体電解質に用いた際、コンデンサ素子の導電性高分子の異常成長を防止して、固体電解コンデンサの小型化を図るとともに、耐熱性の向上を図る。
【解決手段】 弁金属粉末からなる焼結体してなる焼結体の表面に誘電体酸化皮膜を形成したコンデンサ素子を、EDT溶液とp−トルエンスルホン酸第二鉄水溶液に順次浸漬した後、気中に引き上げ、周囲温度が40〜60℃、湿度が70〜95%RHの雰囲気中でEDTの化学重合を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】 弁金属粉末からなる焼結体してなる焼結体の表面に誘電体酸化皮膜を形成したコンデンサ素子を、EDT溶液とp−トルエンスルホン酸第二鉄水溶液に順次浸漬した後、気中に引き上げ、周囲温度が40〜60℃、湿度が70〜95%RHの雰囲気中でEDTの化学重合を行う。
【選択図】 図1
Description
この発明は固体電解コンデンサの製造方法に関するもので、特に固体電解質として導電性高分子を用いた固体電解コンデンサの製造方法に関する。
電解コンデンサとしては、タンタル微粉末を焼結してなるコンデンサ素子の表面に固体電解質層を形成してなる焼結型の電解コンデンサが知られている。
このような電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、近年、低ESR化を目的として導電性高分子が着目され、導電性高分子を固体電解質として用いる固体電解コンデンサが実用化されている。一般に、これら導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン又はそれらの誘導体等があり、中でもポリチオフェンは、ポリピロールやポリアニリンと比較して、導電率が高く、かつ熱安定性が特に優れていることから近年注目されており、ポリチオフェンを固体電解質として用いた固体電解コンデンサとして特開平2−15611号公報等に開示されているものがある。
特開平2−15611号公報
このようなポリチオフェンは、化学酸化重合及び電解重合によって製作できるが、電解重合手段を講じた場合、一個に数点の重合用電極を取り付けることが必要であることと、導電性高分子が電極上にフィルム状に形成されるため大量に製造することに困難性が伴う問題を抱えている。一方で、化学酸化重合手段の場合は、そのような問題はなく、電解重合と比較して大量の導電性高分子層を容易に得ることができることが知られている。
しかしながら、化学重合で得られる導電性高分子層は、電解重合法のように導電性高分子の形成を制御する作用は無いため、自然に任せた化学反応により微小な粒子の集合体となり、かつそれらの微小粒子を核として一方向に異常成長する場合がある。
特に、固体電解コンデンサの静電容量の増加およびESR等の電気的特性の向上を図るためには、コンデンサ素子の内部に十分な量の導電性高分子層を形成する必要があるが、このためには、一般的に高濃度のモノマー溶液を含浸し、その後、高濃度酸化剤溶液中に浸漬し、長時間放置することにより化学酸化重合が行われることになる。しかし、このような方法の場合には、同時にコンデンサ素子表面部にも導電性高分子が形成され、かつ導電性高分子の微小粒子を核として導電性高分子が一方向に異常成長することが多い。
このため、コンデンサ素子の外周に導電性高分子が異常成長した場合には、図3に示すように、コンデンサ素子の外観の凹凸が大きなものとなり、コンデンサ素子寸法が大きく、またばらつく等の問題を抱える結果となっていた。コンデンサ素子をモールド成形する製品においては、このようなコンデンサ素子の表面の凹凸が大きい場合には、成形樹脂層を厚さにマージンをとることが必要となり、製品寸法を大きく設計せざるを得ない問題があった。今後、ますます部品の小型化が望まれる中で、このような欠点は大きな問題であった。
上記の問題を解決する手段として、出願人は特願2002−97856号として、出願を行った。
しかし、この方法によってコンデンサ素子の表面に導電性高分子層が凹凸となって形成されることを解決できたものの、新たな問題があることが判明した。すなわち、過硫酸系の酸化剤を用いて重合性モノマーの重合を行った導電性高分子は、初期の導電性高分子の電導率は良好であるが、その後に長時間高温に晒されると、導電性高分子の電導率の低下が大きくなることが判明した。例えば、過硫酸系の酸化剤を用いて、ポリ−(3、4−エチレンジオキシチオフェン)の重合を行った場合、導電性高分子の電導度は初期値では5〜10S/cmの値を示すが、その後200℃で60分間加熱した場合には、1.3S/cmまで低下してしまう。
この原因について検討したところ、まず、過硫酸系の酸化剤を用いて重合を行った場合には、導電性高分子層の中に過硫酸系の酸化剤が比較的多く残留していることが判明した。そして、過硫酸は導電性高分子の中で硫酸イオンとなり、ドーパントとして機能するが、硫酸イオンは分子量が小さいため、高温雰囲気下では硫酸イオンが導電性高分子から外れて、ドーパントとして機能しなくなるものと考えられる。
さらに、導電性高分子層の中には、ドーパントとして機能しないで残留している過硫酸も存在しているものと考えられるが、この残留した過硫酸は、硫酸イオンとペルオキソニ硫酸イオンとなり、さらに、ペルオキソ二硫酸イオンは下記の式1(1)に従い、ラジカルイオン(SO4 −)を生成する。そして、このラジカルイオンは、(2)に示すように硫酸イオンに還元される。このラジカルイオンの還元に伴う酸化力は極めて強く、その影響により導電性高分子が分解される反応が生じているものと推察される。
(式1)
S2O8 2− + e− → SO4 2− + SO4 − (1)
SO4 − +e− → SO4 2− (2)
S2O8 2− + e− → SO4 2− + SO4 − (1)
SO4 − +e− → SO4 2− (2)
以上のような理由により、導電性高分子を長時間高温に晒すと、導電性高分子の導電経路が減少し、導電性高分子の電導率が低減するものと推察した。
この対策として、酸化剤中の過硫酸の濃度を薄くすることにより、導電性高分子層中の酸化剤の残留を少なくすることにより上記の問題を緩和できるが、前述したように、過硫酸は導電性高分子のドーパントとして機能するため、導電性高分子中に過硫酸が少なくなると、導電性高分子の電導率が初めから低くなってしまい、固体電解コンデンサのESRを上昇させてしまうという問題がある。すなわち、過硫酸が比較的高濃度の酸化剤を用いると、上記にように耐熱性に劣るという結果となり、過硫酸が比較的低濃度の酸化剤を用いると、導電性高分子の電導率が低下してしまうという、いわゆるトレードオフの関係にあることが判明した。
そこで、発明者らは、ドーパントとしての酸化剤について種々検討したところ、過硫酸より分子量の大きい有機スルホン酸塩を用いた場合には、導電性高分子層の耐熱性においては、過硫酸系の酸化剤を用いた場合よりも良好な値を示すことを見出した。これは、有機スルホン酸塩が過硫酸より分子量が大きいことにより、導電性高分子の中で安定して存在しており、過硫酸イオンの場合よりも高温でないと、導電性高分子から外れることがないためと考えられる。そこで、発明者らは、有機スルホン酸塩を酸化剤として用いた場合の重合方法について検討した。
そこで、従来と同様の重合方法にて導電性高分子の重合を試みた。その結果としては、まず、コンデンサ素子をモノマー溶液に浸漬した後、酸化剤溶液としてのp−トルエン酸第二鉄水溶液に浸漬して、液中で重合しようとすると、過硫酸系の酸化剤よりも、p−トルエンスルホン酸第二鉄を用いた酸化剤は酸化力が弱いため、所望の厚さの導電性高分子を得るためには、酸化剤溶液への浸漬時間を長くするか、又は、モノマー浸漬と酸化剤浸漬の工程を何回も繰り返して行うことが必要であった。そして、コンデンサ素子を酸化剤水溶液に浸漬したまま重合しようとすると、コンデンサ素子に含浸されたモノマーが酸化剤水溶液中に拡散して、コンデンサ素子の外周部に形成される導電性高分子が凹凸になってしまうことは、過硫酸系の酸化剤を用いた場合と同様であった。
そのため、コンデンサ素子を酸化剤水溶液に浸漬した後に、気中に引き上げて、その状態でモノマーの重合反応を進めることにより、コンデンサ素子の表面に導電性高分子が凹凸に形成されることを防げることを確認した。
しかし、過硫酸系の酸化剤よりも、p−トルエンスルホン酸第二鉄を用いた酸化剤は酸化力が弱いため、重合反応に時間がかかってしまう。そのため、重合速度を上げるためには、過硫酸系の酸化剤よりも周囲温度を上げて、重合反応を促進することが必要であることが判明した。そして、その周囲温度の範囲は周囲温度が40℃以上が好適であった。
また、比較的乾燥した雰囲気中では、コンデンサ素子を気中に引き上げて重合させる時に酸化剤水溶液が乾燥してしまい、p−トルエンスルホン酸第二鉄がコンデンサ素子に固着して、モノマーと接触することがなくなり、酸化剤として機能しなくなる場合がある。また、乾燥して固着するまではいかない場合でも、酸化剤水溶液の濃度が変化することにより、重合される導電性高分子の電導率等にばらつきを生じさせるおそれもある。そのため、酸化剤水溶液が乾燥しない雰囲気に放置することが、重合反応を最後まで進行させ、さらに均一な特性の導電性高分子層を得るために必要であることが判明した。
以上のような検討を経て、本発明は成された。
本願の請求項1に係る発明は、弁金属粉末からなる焼結体してなる焼結体の表面に誘電体酸化皮膜を形成したコンデンサ素子を、重合性モノマー溶液と酸化剤溶液に順次浸漬し、前記重合性モノマーの化学重合により、前記誘電体酸化皮膜の表面に導電性高分子層を形成してなる固体電解コンデンサの製造方法において、コンデンサ素子を前記重合性モノマー溶液および有機スルホン酸塩からなる酸化剤溶液に順次浸漬した後、気中に引き上げ、周囲温度が40〜60℃、湿度が70〜95%RHの雰囲気中で重合性モノマーの化学重合を行う工程を含む固体電解コンデンサの製造方法である。
重合性モノマーの重合反応を促進させるには、周囲温度が40℃以上であると好適である。重合反応の促進の観点では、周囲温度の上限は無いが、周囲雰囲気の湿度を高湿度状態に維持するためには、周囲温度を60℃より上昇させないことが必要である。周囲温度が80℃を越えると、開放系の設備では周囲雰囲気が乾燥雰囲気となりやすく、適正な湿度範囲に維持できない。周囲雰囲気の湿度としては70%RH以上が好ましく、特に高湿度になるほど好適である。このような湿度では、コンデンサ素子に付着した酸化剤水溶液が乾燥することなく、重合性モノマーを酸化重合させるための酸化剤の濃度を一定とすることができ、得られる導電性高分子の特性も均一なものとなる
本願の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の固体電解コンデンサにおいて、前記重合性モノマーがチオフェン又はその誘導体からなるモノマーであることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
このような重合性モノマー溶液の重合性モノマーとしては、チオフェン又はその誘導体であると好適である。チオフェンの誘導体としては次に掲げる構造のものを例示できる。このような、チオフェン又はその誘導体は、ポリピロール又はポリアニリンと比較して、導電率が高いとともに熱安定性が特に優れているため、低ESRで耐熱特性に優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
XはOまたはS
XがOのとき、Aはアルキレン、又はポリオキシアルキレン
Xの少なくとも一方がSのとき、
Aはアルキレン、ポリオキシアルキレン、置換アルキレン、置換ポリオキシアルキレン:ここで、置換基はアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基
本願の請求項3に係る発明は、請求項2に記載の固体電解コンデンサにおいて、前記チオフェンの誘導体が3、4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項4に記載の固体電解コンデンサの製造方法である。
3、4−エチレンジオキシチオフェンは、酸化剤と接触することで、緩やかな重合反応によってポリ−(3、4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)を生成するため、3、4−エチレンジオキシチオフェンのモノマー溶液を微細な構造を有するコンデンサ素子の内部にまで浸透した状態で重合させることができる。この結果、コンデンサ素子の内部にまで導電性高分子層を形成することができるようになり、固体電解コンデンサの静電容量の増大を図ることができる。
本願の請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の固体電解コンデンサにおいて、前記酸化剤がp−トルエンスルホン酸第二鉄であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
p−トルエンスルホン酸第二鉄を酸化剤として重合した導電性高分子は熱安定性に優れ、固体電解コンデンサを高温雰囲気で長時間使用した場合でも、導電性高分子の電導率の劣化が少なく、固体電解コンデンサの耐熱性の向上を図ることできるとともに、寿命特性を向上させることができる。
この発明によると、弁作用金属粉末を焼結してなる焼結体の表面に誘電体酸化皮膜を形成したコンデンサ素子を、重合性モノマー溶液と酸化剤溶液に順次浸漬し、前記重合性モノマーの化学重合により、前記誘電体酸化皮膜の表面に導電性高分子層を形成してなる固体電解コンデンサの製造方法において、コンデンサ素子を前記重合性モノマー溶液および酸化剤溶液に浸漬した後、気中に引き上げ、気中で重合を行うことにより、コンデンサ素子の外周での導電性高分子の異常成長を防止でき、コンデンサ素子の凹凸を小さくすることができる。このため、固体電解コンデンサの小型化を図ることができる。
また、重合工程における酸化剤として、有機スルホン酸系の酸化剤を用いて重合することにより、導電性高分子の電導率の劣化が少なく、固体電解コンデンサの耐熱性の向上を図ることできるとともに、寿命特性を向上させることができる。
次にこの発明の実施に形態について図1、図2とともに説明する。
コンデンサ素子1はタンタル微粉末を直方体形状に成型し、焼結して形成されたものである。このコンデンサ素子1にはタンタルよりなる陽極導出線が植設され、外部に導出されている。このコンデンサ素子1のタンタルの表面には、従来より知られる陽極酸化法により誘電体酸化皮膜が形成される。
このようなコンデンサ素子1を形成するには、タンタルの他、アルミニウム、ニオブ、チタン等の弁作用金属の粉末を用いることができる。
このコンデンサ素子1に導電性高分子層2を形成するために、図2(a)に示すように、まずコンデンサ素子1を重合性モノマー溶液11に浸漬する。重合性モノマー溶液11は3、4−エチレンジオキシチオフェンをアルコールを溶媒として所定の割合で希釈したものである。希釈することによって重合性モノマー溶液11の粘性が低くなり、コンデンサ素子1の内部にまで重合性モノマーが浸透しやすくなる。この重合性モノマー溶液11にはコンデンサ素子1を30秒〜1分程度浸漬する。この際、コンデンサ素子1の浸漬深さは、図2(a)に示すように、コンデンサ素子1の陽極導出線の導出端面と重合性モノマー溶液11の液面が同レベルとなる深さまで浸漬する。
コンデンサ素子1を重合性モノマー溶液11に所定時間浸漬した後、コンデンサ素子1を重合性モノマー溶液より引き上げ(図2(b))、大気中で放置する。この大気中への放置によって重合性モノマー溶液のアルコール溶媒が揮発し、3、4−エチレンジオキシチオフェンがコンデンサ素子1に油膜状に付着した状態となる。
さらに、図2(c)に示すように、コンデンサ素子1を酸化剤溶液12に浸漬する。酸化剤溶液12は純水等の所定溶媒に、p−トルエンスルホン酸第二鉄を溶解し、さらにp−トルエンスルホン酸を添加した溶液を用いる。
この酸化剤溶液12にコンデンサ素子1を浸漬する際のコンデンサ素子1の浸漬深さは、コンデンサ素子1の陽極導出線8が植設された端面と液面がほぼ同レベルとなる深さに浸漬する。この酸化剤溶液12への浸漬によって、重合性モノマーの重合が進行し、高分子化する。
なお、酸化剤水溶液への浸漬時間を長くすると、導電性高分子が一方向に異常成長し、導電性高分子層2がコンデンサ素子1の外周で凹凸を形成するようになるため、異常成長を開始する前にコンデンサ素子1を酸化剤溶液より引き上げる(図2(d))。この状態でコンデンサ素子内部での重合性モノマーの重合を進行させる。
この気中でコンデンサ素子を重合反応させる場合には、雰囲気は40℃以上60℃以下とする。また、湿度は70%RH以上95%RH以下とする。
以上のような工程によって、コンデンサ素子の内部にまで、導電性高分子を形成する。
そして、導電性高分子の重合を終えたコンデンサ素子を純水による流水で洗浄する。その後コンデンサ素子を乾燥し、1回の重合を終える。
以上のような、重合性モノマー溶液への浸漬から乾燥までの工程(図2(a)〜(d))を複数回繰り返し、所望の厚さの導電性高分子層を得る。
さらに、純水洗浄、乾燥まで行った後、導電性高分子層2の上にカーボン層3、銀ペースト層4を形成する。さらに、陽極導出線8に陽極リード線5を溶接するとともに、銀ペースト層4上に、陰極リード線6を取り付ける。そして、外装樹脂7で樹脂被覆して、外装樹脂7に沿って陽極リード線5、陰極リード線6を折り曲げて、固体電解コンデンサを得る。
次に、この発明のより具体的な実施例について説明する。
陽極として大きさが1.7×3.7×3.9mm3のタンタル焼結体を用い、陽極線としてタンタル線を用いた陽極体を0.4wt%燐酸水溶液中で60℃、16Vで4時間陽極酸化しコンデンサ素子とした。
陽極として大きさが1.7×3.7×3.9mm3のタンタル焼結体を用い、陽極線としてタンタル線を用いた陽極体を0.4wt%燐酸水溶液中で60℃、16Vで4時間陽極酸化しコンデンサ素子とした。
次に、このコンデンサ素子をイソプロピルアルコール50gと3、4−エチレンジオキシチオフェン50gとを混ぜ合わせてなるモノマー溶液に1分間浸漬した。次に有機スルホン酸イオンを含む酸化剤としてp−トルエンスルホン酸第二鉄10gとp−トルエンスルホン酸4gを10gの純水に溶解して得た酸化剤溶液に60分間浸漬し、化学酸化重合を行った。この酸化剤溶液の温度は40℃とした。
この後に、コンデンサ素子を酸化剤溶液から引き上げ、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気中で60分間放置し、コンデンサ素子内でのPEDTからなる導電性高分子の重合を進行させた。
このようにしてコンデンサ素子を構成する陽極酸化皮膜上に導電性高分子層を形成し、さらに流水洗浄を行った後、コンデンサ素子を乾燥した。その後前記高分子層が所望の厚さになるまで、モノマー溶液への浸漬−乾燥までの重合回数を20回繰り返した。
次に、このコンデンサ素子の導電性高分子層の上に、カーボン層、このカーボン層の上に陰極となる銀塗料層を形成し、この銀塗料層の上に陰極引出端子を、前記陽極体から引出した陽極線に陽極引出端子をそれぞれ取付け、トランスファーモールドにより樹脂外装を行い、前記陰極引出端子及び陽極引出端子を所定の位置に折曲げてチップ状の固体電解コンデンサを完成した。
(比較例)
比較例として、実施例と同様にして、酸化剤まで浸漬した後、コンデンサ素子を酸化剤溶液から引き上げ、大気中で60分間放置し、コンデンサ素子内でのPEDTからなる導電性高分子の重合を進行させた。この際の大気の条件は、温度25℃程度、湿度は30〜50%RHであった。この後に、モノマー溶液への浸漬−乾燥までの重合回数を、比較例の条件にて、20回繰り返した。次に、このコンデンサ素子の導電性高分子層の上に、カーボン層、このカーボン層の上に陰極となる銀塗料層を形成し、この銀塗料層の上に陰極引出端子を、前記陽極体から引出した陽極線に陽極引出端子をそれぞれ取付け、トランスファーモールドにより樹脂外装を行い、前記陰極引出端子及び陽極引出端子を所定の位置に折曲げてチップ状の固体電解コンデンサを完成した。
比較例として、実施例と同様にして、酸化剤まで浸漬した後、コンデンサ素子を酸化剤溶液から引き上げ、大気中で60分間放置し、コンデンサ素子内でのPEDTからなる導電性高分子の重合を進行させた。この際の大気の条件は、温度25℃程度、湿度は30〜50%RHであった。この後に、モノマー溶液への浸漬−乾燥までの重合回数を、比較例の条件にて、20回繰り返した。次に、このコンデンサ素子の導電性高分子層の上に、カーボン層、このカーボン層の上に陰極となる銀塗料層を形成し、この銀塗料層の上に陰極引出端子を、前記陽極体から引出した陽極線に陽極引出端子をそれぞれ取付け、トランスファーモールドにより樹脂外装を行い、前記陰極引出端子及び陽極引出端子を所定の位置に折曲げてチップ状の固体電解コンデンサを完成した。
以上のようにして作製した固体電解コンデンサの初期およびリフロー条件での熱処理(250℃、5秒)を行った後の電気的特性の測定を行ったところ、次の表1に示す通りであった。
以上の表1の結果より、静電容量については、実施例と比較例に有意差は無いが、ESRについては、実施例は比較例よりも低い値となっている。また、熱処理の後でもESR特性の悪化は少なく、本発明によって製造された固体電解コンデンサは、熱安定性に優れたものと言える。
1 コンデンサ素子
2 導電性高分子層
3 カーボン層
4 銀塗料層
5 陽極引出端子
6 陰極引出端子
7 樹脂外装層
11 重合性モノマー溶液
12 酸化剤溶液
2 導電性高分子層
3 カーボン層
4 銀塗料層
5 陽極引出端子
6 陰極引出端子
7 樹脂外装層
11 重合性モノマー溶液
12 酸化剤溶液
Claims (4)
- 弁金属粉末からなる焼結体してなる焼結体の表面に誘電体酸化皮膜を形成したコンデンサ素子を、重合性モノマー溶液と酸化剤溶液に順次浸漬し、前記重合性モノマーの化学重合により、前記誘電体酸化皮膜の表面に導電性高分子層を形成してなる固体電解コンデンサの製造方法において、
コンデンサ素子を前記重合性モノマー溶液および有機スルホン酸塩の酸化剤溶液に順次浸漬した後、気中に引き上げ、周囲温度が40〜60℃、湿度が70〜95%RHの雰囲気中で重合性モノマーの化学重合を行う工程を含む固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記重合性モノマーがチオフェン又はその誘導体からなるモノマーであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記チオフェンの誘導体が3、4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項4に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記酸化剤がp−トルエンスルホン酸第二鉄であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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