JP2001006983A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法

Info

Publication number
JP2001006983A
JP2001006983A JP17503999A JP17503999A JP2001006983A JP 2001006983 A JP2001006983 A JP 2001006983A JP 17503999 A JP17503999 A JP 17503999A JP 17503999 A JP17503999 A JP 17503999A JP 2001006983 A JP2001006983 A JP 2001006983A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
polymer
compound
electrolytic capacitor
solid electrolytic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17503999A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideki Oohata
英樹 大籏
Ryuji Kadota
隆二 門田
Toru Sawaguchi
徹 澤口
Atsushi Sakai
厚 坂井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP17503999A priority Critical patent/JP2001006983A/ja
Publication of JP2001006983A publication Critical patent/JP2001006983A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気伝導度が適性範囲に制御され、インピー
ダンス特性に優れ、かつはんだ特性(リフロー性)など
の熱的に安定性が高く、製造プロセスが容易な固体電解
質を有するコンデンサであり、容量、誘電損失(tan
δ)等の基本諸特性、また耐湿負荷特性等の安定性に優
れたコンデンサの提供。 【解決手段】 多孔質弁作用金属の誘電体皮膜上に気相
重合によりフィブリル構造を有するチオフェン骨格を有
する化合物、イソチアナフテン骨格を有する化合物、ピ
ロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物
及びアニリン骨格を有する化合物からなる群の少なくと
も1つの化合物からなる重合体の固体電解質層を形成し
た電極を有する固体電解コンデンサ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質にフィ
ブリル構造を有する導電性重合体組成物を含む固体電解
コンデンサの製造方法に関するものであり、固体電解コ
ンデンサの小型化、高容量化、低インピーダンス化、そ
して耐湿負荷特性の良好かつ耐熱性の優れた固体電解コ
ンデンサ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】固体電解コンデンサは、一般にエッチン
グ処理された比表面積の大きな金属箔からなる陽極基体
上に誘電体の酸化物皮膜層が形成され、この外側に対向
する電極として固体の半導電体層(以下、固体電解質と
略する)が形成され、そして望ましくはさらにその外面
に導電ペーストなどの導電体層が形成され、リード線に
接続されてコンデンサの基本素子が作製される。次い
で、素子全体がエポキシ樹脂等で完全に封止され、コン
デンサ部品として幅広く電気製品に使用されている。
【0003】近年、電気機器のデジタル化、パーソナル
コンピュータの高速化などの要望に応えるべく、これら
のコンデンサに対しても小型で大容量のコンデンサ、高
周波領域において低インピーダンスのコンデンサが要求
されている。小型で大容量のコンデンサとしては、アル
ミ電解コンデンサやタンタル電解コンデンサ等の固体電
解コンデンサがある。しかし、アルミ電解コンデンサで
は電解液としてイオン伝導性の液状電解質を用いている
ため、高周波領域でのインピーダンスが高く、また温度
特性も悪いという問題点を有していた。一方、タンタル
電解コンデンサではマンガン酸化物を電解質として用い
ているが、このマンガン酸化物の比抵抗が比較的高いこ
とから高周波領域でのインピーダンスが高いという問題
点を有していた。
【0004】そこで、これらの要求に応えるものとし
て、電子伝導性を有する導電性高分子を固体電解質とし
て用いることが提案されており、π共役系高分子を含む
導電性有機物系のポリアニリン(特開昭61−2396
17号公報)、ポリピロール(特開昭61−24062
5号公報)、ポリチオフェン誘導体(特開平2−156
11号公報)、ドーパントを含まないポリイソチアナフ
テン(特開昭62−118509号公報)、ドープ状態
のポリイソチアナフテン(特開昭62−118511号
公報)、導電率が10-3〜103 S/cmの範囲である
真性導電性高分子(特開平1−169914号公報)等
の使用が提案されている。
【0005】一方、固体電解質の形成方法については、
従来から微細な空隙構造を有する弁作用金属表面の誘電
体層上に前記のような固体電解質を融解して形成する方
法や誘電体層上で前記の導電性高分子を産生する方法が
知られている。具体的には例えば、特開平2−1561
1号公報や特開平10−32145号公報においては
3,4−エチレンジオキシ−チオフェンモノマー及び酸
化剤を好ましくは溶液の形態において、前後して別々に
または一緒に金属箔の酸化物皮膜層に塗布して形成する
方法が開示されている。
【0006】特開平7−130579号公報において
は、弁作用金属上に酸化物皮膜を形成してこれを誘電体
とし、該誘電体層上に導電性重合体層を形成してこれを
固体電解質とする固体電解コンデンサの製造方法におい
て、前記酸化物皮膜の表面にモノマー化合物溶液を塗布
し、これを乾燥させて固体状モノマー化合物を形成させ
た後、前記固体状モノマー化合物に酸化剤溶液を接触さ
せて重合反応により導電性重合体層を形成する手法が開
示されている。
【0007】特開平10−50558号公報において
は、化成皮膜を形成した陽極部材を備えるコンデンサ素
子に、陰極電解質としての導電性重合体を含浸した固体
電解コンデンサの製造方法において、前記コンデンサ素
子を、酸化重合により導電性重合体となるモノマー及び
酸化剤を溶解した溶液に浸漬することにより、該コンデ
ンサ素子内に導電性重合体層を形成するという手法が開
示されている。
【0008】特開平10−50559号公報では、コン
デンサ素子を酸化剤の溶液に浸漬した後、溶媒成分を蒸
発させることにより、該コンデンサ素子内に酸化物を析
出させ、次いで該コンデンサ素子を酸化重合により導電
性重合体となるモノマーを含む溶液に浸漬して酸化剤を
モノマーに作用させ重合することによって、高温負荷特
性の向上が図れたという技術などの技術が開示されてい
る。
【0009】さらに気相重合を用いた固体電解質層形成
に関しては、特開昭62−47109号公報において
は、導電性重合体を固体電解質とする固体電解コンデン
サを製造するに当たり、多孔質誘電体層に酸化剤と有機
酸を導入し、次いで誘電体層中で気相重合によって導電
性重合体を生成せしめることを特徴とする固体電解コン
デンサの製造方法が開示されている。
【0010】特開昭63−102309号公報において
は、高分子と複素環式化合物重合体層とからなる複合物
層が積層されてなる固体電解コンデンサで、複合物層が
高分子層中の酸化剤と複素五員環系化合物気体とが反応
してできたものであることを特徴とする技術が開示され
ている。
【0011】特開昭64−12514号公報において
は、導電性重合体を固体電解質とする固体電解コンデン
サの製造方法において、誘電体層が形成された陽極基体
を、ポリマーアニオンのスルホン酸、もしくはその塩を
配合した酸化剤溶液で処理した後、該誘電体層上に気相
重合によって導電性重合体を生成せしめることを特徴と
する固体電解コンデンサの製造方法が開示されている。
【0012】特開平3−6217号公報においては、誘
電体皮膜上に、酸化剤を用いて気相重合法によりポリピ
ロールの導電性重合体層を形成させ、次いで該導電性重
合体層上に、電解重合法によりポリピロールの導電性重
合体層を形成させることを特徴とする固体電解コンデン
サの製造方法が開示されている。
【0013】特開平10−70043号公報では、多孔
質弁金属よりなる陽極体の表面に誘電体酸化物皮膜を形
成し、さらにこの誘電体酸化物皮膜上に2種の異なる液
相化学酸化重合と気相化学酸化重合を用いて導電性重合
体からなる固体電解質層を形成する固体電解コンデンサ
の製造方法が開示されている。
【0014】誘電体皮膜上に形成される固体電解質とし
て、基本的には電気伝導度が充分高く改良できる等の期
待がある導電性金属酸化物や導電性重合体等が注目され
ているが、電気伝導度が適正範囲より高すぎると漏れ電
流値が大きく上昇しその結果ショートに至らしめ、また
電気伝導度が低いと周波数特性が悪くなり、容量低下が
大きくなるという問題点があった。
【0015】具体的には、ポリピロール等の導電性重合
体を用いた従来のコンデンサでは耐湿負荷によってコン
デンサ特性が大きく変動するという問題点があった。ま
たコンデンサの電子回路への組み立てに関連して耐熱性
への要求が大きく、例えばコンデンサ素子を電子回路に
接続する際のハンダ耐熱性(リフロー性)も重要視さ
れ、耐熱性の高いコンデンサ素子が求められている。即
ち、従来技術においては酸化物皮膜上で産生される固体
電解質及びその製造方法に問題があった。
【0016】特開昭62−47109号公報記載の実施
例で得られる導電性重合体は電気伝導度が低く、低イン
ピーダンスが要求される昨今の固体電解コンデンサへの
適用が難しい。また得られるポリマー形態と重合条件お
いて、本発明とは区別されるものである。
【0017】特開昭63−102309号公報及び特開
昭64−12514号公報に記載の技術は、誘電体皮膜
上に酸化剤が含有された高分子化合物膜を形成させ、そ
こに導電性重合体を与えるモノマーを気相で導入し、そ
こで重合して得られる導電性重合体を固体電解質として
用いているが、一般に酸化剤を高分子化合物膜中に含有
させるため、酸化剤と前記モノマーとの接触が十分とは
いえず、得られる重合物の電気伝導度も低いことが予想
される。昨今の固体電解コンデンサで要求されるインピ
ーダンス特性には悪影響を与える可能性が高く、改善の
必要性がある。又、これらの開示内容は得られるポリマ
ー形態(形状)と重合条件において本発明とは区別され
る。
【0018】特開平3−6217号公報及び特開平10
−70043号公報では、固体電解質の形成方法として
気相化学酸化重合と液相化学酸化重合あるいは気相化学
酸化重合と電解重合との組み合わせが開示されている
が、固体電解コンデンサの製造プロセスを考慮した場
合、それぞれ2種の重合法の実施に伴う設備が必要であ
り、製品のコストアップという問題がある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電気伝導度
が適性範囲に制御され、インピーダンス特性に優れ、か
つはんだ特性(リフロー性)などの熱的安定性が高く、
製造プロセスが容易な固体電解質を有するコンデンサで
あり、容量、誘電損失(tanδ)等の基本諸特性、ま
たリフロー耐熱性や耐湿負荷特性等の安定性に優れたコ
ンデンサを開発することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、 [1] 多孔質弁作用金属表面に形成された誘電体皮膜
上に、気相重合によりフィブリル構造を有する重合体の
固体電解質層を形成した固体電解コンデンサ、
【0021】[2] 前記重合体の固体電解質層が多孔
質内部において空隙部を残して形成された前項[1]に
記載の固体電解コンデンサ、 [3] 前記重合体の固体電解質が、下記一般式(1)
[チオフェン骨格を有する化合物]で示される化学構造
を繰り返し単位として含む導電性重合体である前項
[1]又は[2]に記載の固体電解コンデンサ、
【化6】 (式中、置換基R1 及びR2 はそれぞれ独立にH、炭素
数1乃至10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不
飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルエステル
基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしく
は3級アミノ基、CF3 基、フェニル基及び置換フェニ
ル基からなる群から選ばれる一価の基を表す。またR1
またはR2 の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合し
て、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少
なくとも1つ以上の3乃至7員環の飽和または不飽和炭
化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。
該環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、ア
ミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ
等の結合を任意に含んでもよい。またδは0〜1の範囲
である。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し、1
または2である。)
【0022】[4] 前記重合体の固体電解質が、下記
一般式(2)[多環状スルフィド骨格を有する化合物]
で示される構造を繰り返し単位として含む導電性重合体
である前項[1]又は[2]に記載の固体電解コンデン
サ、
【化7】 (式中、置換基R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及びR8
はそれぞれ独立にH、炭素数1乃至10の直鎖状もしく
は分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、アルコキ
シ基、アルキルエステル基、ハロゲン、ニトロ基、シア
ノ基、1級、2級もしくは3級のアミノ基、CF3 基、
フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる
一価の基を表す。またR3 、R4 、R5 、R6 、R7
たはR8 の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、
かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なく
とも1つ以上の3乃至7員環の飽和または不飽和炭化水
素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。該環
状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミ
ド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ等
の結合を任意に含んでもよい。kはチオフェン環と置換
基R3 乃至R6 を有するベンゼン環に囲まれた縮合環の
数を表し、0乃至3の整数値である。式中の縮合環には
窒素またはN−オキシドを任意に含んでもよいが、その
数だけ置換基R3乃至R6 はないことになる。δは0〜
1の範囲である。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を
表し、1または2である。)
【0023】[5] 前記重合体の固体電解質が、下記
一般式(3)[ピロール骨格を有する化合物]で示され
る構造を繰り返し単位として含む導電性重合体である前
項[1]又は[2]に記載の固体電解コンデンサ、
【化8】 (式中、置換基R9 及びR10はそれぞれ独立にH、炭素
数1乃至10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不
飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルエステル
基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしく
は3級のアミノ基、CF3 基、フェニル基及び置換フェ
ニル基からなる群から選ばれる一価の基を表す。R9
たはR10の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、
かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なく
とも1つ以上の3乃至7員環の飽和または不飽和炭化水
素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。該環
状結合鎖には、カルボニル、エーテル、エステル、アミ
ド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ等
の結合を任意に含んでもよい。δは0〜1の範囲であ
る。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し、1また
は2である。)
【0024】[6] 前記重合体の固体電解質が、下記
一般式(4)[フラン骨格を有する化合物]で示される
構造を繰り返し単位として含む導電性重合体である前項
[1]又は[2]に記載の固体電解コンデンサ、
【化9】 (式中、置換基R11及びR12はそれぞれ独立にH、炭素
数1乃至10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不
飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルエステル
基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしく
は3級のアミノ基、CF3 基、フェニル基及び置換フェ
ニル基からなる群から選ばれる一価の基を表す。R11
たはR12の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、
かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なく
とも1つ以上の3乃至7員環の飽和または不飽和炭化水
素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。該環
状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミ
ド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ等
の結合を任意に含んでもよい。δは0〜1の範囲であ
る。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し、1また
は2である。)
【0025】[7] 前記重合体の固体電解質が、下記
一般式(5)[アニリン骨格を有する化合物]で示され
る構造を繰り返し単位として含む導電性重合体である前
項[1]又は[2]に記載の固体電解コンデンサ、
【化10】 (式中、置換基R13、R14、R15及びR16はそれぞれ独
立にH、炭素数1乃至10の直鎖状もしくは分岐状の飽
和もしくは不飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキ
ルエステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、
2級もしくは3級のアミノ基、CF3 基、フェニル基及
び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表
す。R13、R14、R15またはR16の炭化水素鎖は互いに
任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けてい
る炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3乃至7員環の
飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖
を形成してもよい。該環状結合鎖には、カルボニル、エ
ーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニ
ル、スルホニル、イミノ等の結合を任意に含んでもよ
い。δは0〜1の範囲である。Zは陰イオンを表し、j
はZの価数を表し、1または2である。)
【0026】[8] フィブリル構造を有する重合体の
固体電解質が、ドーパントとして2種以上のアニオンを
含んでいる前項[1]又は[2]に記載の固体電解コン
デンサ、 [9] ドーパントとして2種以上のアニオンの少なく
とも1種が高分子アニオン、又は芳香族スルホン酸アニ
オンである前項[8]に記載の固体電解コンデンサ、 [10] 高分子アニオンが、高分子スルホン酸アニオ
ンである前項[9]に記載の固体電解コンデンサ、 [11] 前記重合体の固体電解質の導電性が0.1〜
200S/cmである前項[1]乃至[10]のいずれ
か1項に記載の固体電解コンデンサ、
【0027】[12] 多孔質弁作用金属表面に形成さ
れた誘電体皮膜上に気相重合によって重合体の固体電解
質を形成するに際し、あらかじめ誘電体皮膜上に重合開
始能を有する化合物を液相で導入した後、重合性単量体
を気相で導入して化学酸化重合させ、その後洗浄または
洗浄しないでフィブリル構造を有する重合体の膜状組成
物を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製
造方法、 [13] 重合性単量体を気相で導入する工程におい
て、重合性単量体の分圧が1気圧以下になるようにし
て、重合性単量体を誘電体皮膜上に導入する前項[1
2]に記載の固体電解コンデンサの製造方法、 [14] 重合性単量体を気相で導入する工程におい
て、重合性単量体の蒸気圧が1気圧以上になるように加
圧して誘電体皮膜上に導入する前項[12]に記載の固
体電解コンデンサの製造方法、 [15] 重合性単量体を気相で導入して化学酸化重合
させる工程において、反応温度がー20℃乃至300℃
以下である前項[12]に記載の固体電解コンデンサの
製造方法、 [16] 重合開始能を有する化合物が、過硫酸塩類、
重クロム酸塩類、3価の鉄塩類から選ばれた前項[1
2]に記載の固体電解コンデンサの製造方法、 [17] 誘電体皮膜上に重合開始能を有する化合物を
液相で導入する工程において、重合開始能を有する化合
物の溶液濃度が0.01mol/L乃至5mol/Lで
ある前項[12]に記載の固体電解コンデンサの製造方
法、及び
【0028】[18] 前項[12]に記載の重合体の
固体電解質の膜状組成物を形成する工程を1乃至30繰
り返してフィブリル構造を有する重合体の膜状組成物を
形成したことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方
法、を開発することにより上記の目的を達成した。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明に使用できる弁作用を有す
る金属とは、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタ
ン、ジルコニウム、マグネシウム、珪素などの単体金
属、またはこれらの合金である。また形態については、
圧延箔のエッチング物、微粉焼結体などの多孔質成形体
の形態であればいずれでもよい。
【0030】本発明においては、フィブリル構造を有す
る導電性重合体を固体電解質として使用する。該重合体
の製造のために使用する重合性単量体のうち、チオフェ
ン骨格を有する化合物としては、下記一般式(6)
【化11】 (式中、置換基は一般式(1)と同じ。)、
【0031】多環状スルフィド骨格を有する化合物とし
ては下記一般式(7)
【化12】 (式中、置換基は一般式(2)と同じ。)、
【0032】ピロール骨格を有する化合物としては下記
一般式(8)
【化13】 (式中、置換基は一般式(3)と同じ。)、
【0033】フラン骨格を有する化合物としては下記一
般式(9)
【化14】 (式中、置換基は一般式(4)と同じ。)、
【0034】アニリン骨格を有する化合物としては下記
一般式(10)
【化15】 (式中、置換基は一般式(5)と同じ。)が挙げられる
が、これらに限定するものではない。
【0035】重合性単量体に用いられる一般式(6)で
示されるチオフェン骨格を有する化合物としては、3−
メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピ
ルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ペンチルチ
オフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオ
フェン、3−オクチルチオフェン、3−ノニルチオフェ
ン、3−デシルチオフェン、3−フルオロチオフェン、
3−クロロチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−シ
アノチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4
−ジエチルチオフェン、3,4−ブチレンチオフェン、
3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレ
ンジオキシチオフェン等の誘導体を挙げることができ
る。これらの化合物は、一般には市販されている化合物
または公知の方法(例えばSynthetic Met
als誌、1986年、15巻、169頁)で準備でき
るが、本発明においてはこれらに限るものではない。
【0036】重合性単量体に用いられる一般式(7)で
示される多環状スルフィド骨格を有する化合物として
は、具体的にはk=0の1,3−ジヒドロ多環状スルフ
ィド(別名、1,3−ジヒドロベンゾ[c]チオフェ
ン)骨格を有する化合物、またk=1の1,3−ジヒド
ロナフト[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物
である。さらには1,3−ジヒドロアントラ[2,3−
c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロ
ナフタセノ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合
物を挙げることができ、公知の方法、例えば特開平8−
3156号公報記載の方法により準備することができ
る。また、一般式(7)で表される多環状スルフィド化
合物の置換基R3 、R4 、R5 、R6 のうち、隣り合う
2つの置換基が相互に不飽和結合で結合しあって縮合系
6員環(オルソ置換)を形成する化合物も含まれる。例
えばk=0の1,3−ジヒドロナフト[1,2−c]チ
オフェン誘導体が、またk=1の場合では1,3−ジヒ
ドロフェナントラ[2,3−c]チオフェン誘導体や、
1,3−ジヒドロトリフェニロ[2,3−c]チオフェ
ン誘導体が、更にk=2の場合には、1,3−ジヒドロ
ベンゾ[a]アントラセノ[7,8−c]チオフェン誘
導体などが挙げられる。
【0037】縮合環に窒素またはN−オキシドを任意に
含んでいる場合もあり、k=0の場合としては1,3−
ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリンや、1,3
−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4−オ
キシド、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキ
サリン−4,9−ジオキシド等を挙げることができるが
これらに限定されるものではない。
【0038】重合性単量体に用いられる一般式(8)で
示されるピロール骨格を有する化合物としては、3−メ
チルピロール、3−エチルピロール、3−プロピルピロ
ール、3−ブチルピロール、3−ペンチルピロール、3
−ヘキシルピロール、3−ヘプチルピロール、3−オク
チルピロール、3−ノニルピロール、3−デシルピロー
ル、3−フルオロピロール、3−クロロピロール、3−
ブロモピロール、3−シアノピロール、3,4−ジメチ
ルピロール、3,4−ジエチルピロール、3,4−ブチ
レンピロール、3,4−メチレンジオキシピロール、
3,4−エチレンジオキシピロール等の誘導体を挙げる
ことができる。これらの化合物は、市販品または公知の
方法で準備できるが、本発明においてはこれらに限るも
のではない。
【0039】重合性単量体に用いられる一般式(9)で
示されるフラン骨格を有する化合物としては、3−メチ
ルフラン、3−エチルフラン、3−プロピルフラン、3
−ブチルフラン、3−ペンチルフラン、3−ヘキシルフ
ラン、3−ヘプチルフラン、3−オクチルフラン、3−
ノニルフラン、3−デシルフラン、3−フルオロフラ
ン、3−クロロフラン、3−ブロモフラン、3−シアノ
フラン、3,4−ジメチルフラン、3,4−ジエチルフ
ラン、3,4−ブチレンフラン、3,4−メチレンジオ
キシフラン、3,4−エチレンジオキシフラン等の誘導
体を挙げることができる。これらの化合物は、市販品ま
たは公知の方法で準備できるが、本発明においてはこれ
らに限るものではない。
【0040】重合性単量体に用いられる一般式(10)
で示されるアニリン骨格を有する化合物としては、2−
メチルアニリン、2−エチルアニリン、2−プロピルア
ニリン、2−ブチルアニリン、2−ペンチルアニリン、
2−ヘキシルアニリン、2−ヘプチルアニリン、2−オ
クチルアニリン、2−ノニルアニリン、2−デシルアニ
リン、2−フルオロアニリン、2−クロロアニリン、2
−ブロモアニリン、2−シアノアニリン、2,5−ジメ
チルアニリン、2,5−ジエチルアニリン、3,4−ブ
チレンアニリン、3,4−メチレンジオキシアニリン、
3,4−エチレンジオキシアニリン等の誘導体を挙げる
ことができる。これらの化合物は市販品または公知の方
法で準備できるが、本発明においてはこれらに限るもの
ではない。
【0041】また上記化合物群から選ばれる化合物を任
意に併用し、共重合体として固体電解質を形成させても
良い。その時の重合性単量体の組成比などは重合条件等
に依存するものであり、好ましい組成比、重合条件は簡
単なテストにより確認できる。
【0042】本発明の導電性重合体の製造において用い
られる酸化剤は、脱水素的2電子酸化反応もしくは脱水
素的4電子酸化反応の酸化反応を充分行わせ得る酸化剤
であれば良く、工業的に安価であり、製造上取り扱いが
容易である化合物が好ましい。具体的には例えば、Fe
Cl3 、FeClO4 、Fe(有機酸アニオン)塩等の
Fe(III )系化合物、または無水塩化アルミニウム/
塩化第一銅、第二銅化合物、銀化合物、アルカリ金属過
硫酸塩類、過硫酸アンモニウム塩類、過酸化物類、過マ
ンガン酸カリウム等のマンガン類、2,3−ジクロロ−
5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、
テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、テトラシアノ−
1,4−ベンゾキノン等のキノン類、沃素、臭素等のハ
ロゲン類、過酸、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロ
硫酸、フルオロ硫酸、アミド硫酸等のスルホン酸、オゾ
ン等及びこれら複数の酸化剤の組み合わせが挙げられ
る。特に前記酸化剤の組み合わせとして、Fe(III) 系
化合物とH22 の混合系や第二銅化合物と銀化合物の
混合系が挙げられる。
【0043】この中で、前記有機酸アニオン鉄(III)塩
を形成する有機酸アニオンの基本化合物としては、有機
スルホン酸または有機カルボン酸、有機リン酸、有機硼
酸が挙げられる。有機スルホン酸の具体例としては、ベ
ンゼンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸、メタンス
ルホン酸、エタンスルホン酸、α−スルホ−ナフタレ
ン、β−スルホ−ナフタレン、ナフタレンジスルホン
酸、アルキルナフタレンスルホン酸(アルキル基として
はブチル、トリイソプロピル、ジ−t−ブチル等)等が
使用される。
【0044】一方、有機カルボン酸の具体例としては、
酢酸、プロピオン酸、安息香酸、蓚酸等が挙げられる。
さらに本発明においては、ポリアクリル酸、ポリメタク
リル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン
酸、ポリビニル硫酸、ポリ−α−メチルスルホン酸、ポ
リエチレンスルホン酸、ポリリン酸等の高分子電解質ア
ニオンも使用されるが、これら有機スルホン酸または有
機カルボン酸の例は単なる例示であってこの限りではな
い。
【0045】前記記載の酸化剤のうち、特に好ましくは
3価のFe系化合物類、または塩化第一銅系、過硫酸ア
ルカリ塩類、過硫酸アンモニウム塩類、マンガン酸類、
キノン類を含む酸化剤又はそれらの混合物が好適に使用
できる。
【0046】本発明において形成されるフィブリル構造
を有する重合体の固体電解質には、一つの実施形態とし
て重合体中に酸化剤から産生される酸化剤の還元体アニ
オン(例えば、過硫酸アンモニウムを酸化剤に用いた場
合は、その還元体アニオンが硫酸イオンであり、これが
反応によって酸化剤から産生される。)がドーパントと
して含まれる。また、他の形態として酸化剤を構成する
化合物のアニオン種、例えば、PF6 -、SbF6 -、As
6 -の如き5B族元素のハロゲン化物アニオン、BF4 -
の如き3B族元素のハロゲン化物アニオン、I-
(I3 -)、Br- 、Cl- の如きハロゲンアニオン、C
lO4 -の如きハロゲン酸アニオン、AlCl4 -やFeC
4 -、SnCl5 -等の如きルイス酸アニオン、あるいは
NO3 -、SO4 2- の如き無機酸アニオン、またはp−ト
ルエンスルホン酸やナフタレンスルホン酸の如き前記有
機スルホン酸アニオン、炭素数1乃至5のアルキル置換
ナフタレンスルホン酸アニオン、アントラキノンスルホ
ン酸アニオン、CF3 SO3 -、CH3 SO3 -、またはC
3 COO- 、C65 COO- の如き前記カルボン酸
アニオンを挙げることができる。
【0047】さらに本発明においては、固体電解質中の
ドーパントには、前記酸化剤由来のアニオンの他に第2
ドーパントが含まれてもよく、例えばこれには有機スル
ホン酸アニオン、有機リン酸アニオン等が使用される。
特に有機スルホン酸アニオンにあっては、芳香族スルホ
ン酸アニオン、芳香族ポリスルホン酸アニオン、OH基
またはカルボキシル基が置換した有機スルホン酸アニオ
ン、アダマンタン等の骨格を有する脂肪族の有機スルホ
ン酸アニオン等の種々の化合物が適用できる。例えば、
有機スルホン酸を例示すれば、ベンゼンスルホン酸やp
−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスル
ホン酸、α−スルホ−ナフタレン、β−スルホ−ナフタ
レン、ナフタレンジスルホン酸、アルキルナフタレンス
ルホン酸(アルキル基としてはブチル、トリイソプロピ
ル、ジ−t−ブチル等)が挙げられる。
【0048】また、他の例示として、一つ以上のスルホ
アニオン基とキノン構造を分子内に有するスルホキノン
化合物のアニオン(以下スルホキノンアニオンと略す
る)、アントラセンスルホン酸アニオン、ナフタレンス
ルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、キシ
リレンジスルホン酸アニオン(o、p、m)を例示する
ことができる。
【0049】スルホキノンアニオンの基本骨格として
は、p−ベンゾキノン、o−ベンゾキノン、1,2−ナ
フトキノン、1,4−ナフトキノン、2,6−ナフトキ
ノン、9,10−アントラキノン、1,4−アントラキ
ノン、1,2−アントラキノン、1,4−クリセンキノ
ン、5,6−クリセンキノン、6,12−クリセンキノ
ン、アセナフトキノン、アセナフテンキノン、カルホル
キノン、2,3−ボルナンジオン、9,10−フェナン
トレンキノン、2,7−ピレンキノンが挙げられる。
【0050】中でも、本発明において使用するスルホキ
ノンとしては、アントラキノン、1,4−ナフトキノ
ン、2,6−ナフトキノンの骨格を有するスルホキノン
が好ましく使用される。例えばアントラキノン類の場
合、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン
−2−スルホン酸、アントラキノン−1,5−ジスルホ
ン酸、アントラキノン−1,4−ジスルホン酸、アント
ラキノン−1,3−ジスルホン酸、アントラキノン−
1,6−ジスルホン酸、アントラキノン−1,7−ジス
ルホン酸、アントラキノン−1,8−ジスルホン酸、ア
ントラキノン−2,6−ジスルホン酸、アントラキノン
−2,3−ジスルホン酸、アントラキノン−2,7−ジ
スルホン酸、アントラキノン−1,4,5−トリスルホ
ン酸、アントラキノン−2,3,6,7−テトラスルホ
ン酸、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニ
ウム塩等が使用できる。
【0051】1,4−ナフトキノン類の場合は、1,4
−ナフトキノン−5−スルホン酸、1,4−ナフトキノ
ン−6−スルホン酸、1,4−ナフトキノン−5,7−
ジスルホン酸、1,4−ナフトキノン−5,8−ジスル
ホン酸、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモ
ニウム塩等が使用できる。
【0052】2,6−ナフトキノン類の場合は、2,6
−ナフトキノン−1−スルホン酸、2,6−ナフトキノ
ン−3−スルホン酸、2,6−ナフトキノン−4−スル
ホン酸、2,6−ナフトキノン−3,7−ジスルホン
酸、2,6−ナフトキノン−4,8−ジスルホン酸、こ
れらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩等
が使用できる。
【0053】また、前記スルホキノンとしてはさらに工
業的な染料の中から、例えばアントラキノンアイリス
R、アントラキノンバイオレットRN−3RNがあり、
これらも同様に有用なスルホキノン系ドーパントとして
前記塩の形態で使用できる。
【0054】また同じく、ポリアクリル酸、ポリメタク
リル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン
酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリリン酸等の高分子電
解質アニオン等を挙げることができるが、必ずしも限定
されるものではない。しかしながらこれらの中でも好ま
しくは高分子系または低分子系の有機スルホン酸化合物
あるいはポリリン酸が挙げられ、望ましくは芳香族系ス
ルホン酸化合物が用いられる。
【0055】本発明は、固体電解質中のドーパントとし
て好ましくは前記ドーパント種を2種以上含んでなるフ
ィブリル構造の導電性重合体を搭載した固体電解コンデ
ンサを提供する。
【0056】本発明の導電性重合体の製造において用い
られる重合性単量体の分圧(混合気体として誘電体皮膜
上に導入する場合)及び気圧(加圧調整して誘電体皮膜
上に導入する場合)は、その化合物の置換基の種類や溶
媒等の種類によって異なるが、一般的には10-3〜10
気圧の範囲が望ましく、また10-2〜5気圧の範囲がさ
らに好ましい。また反応温度はそれぞれの重合開始能を
有する化合物の種類及び濃度、重合性単量体の分圧(圧
力)などによって定められるもので特に限定できるもの
ではないが、一般的にはー70℃〜250℃の温度範囲
で選ばれる。望ましくは0℃〜150℃であり、さらに
15℃〜100℃の温度範囲で行われることが好まし
い。
【0057】本発明の製造方法において、用いられる重
合性化合物(モノマー)を溶解する溶媒は、酸化剤、ド
ーパント能を有する電解質を共に、またはそれぞれ単独
に溶解可能な溶媒であれば良く、例えばテトラヒドロフ
ラン(THF)やジオキサン、ジエチルエーテル等のエ
ーテル類、あるいはジメチルホルムアミドやアセトニト
リル、ベンゾニトリル、N−メチルピロリドン(NM
P)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロト
ン性溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、ク
ロロホルムや塩化メチレン等の非芳香族性の塩素系溶
媒、ニトロメタンやニトロエタン、ニトロベンゼン等の
ニトロ化合物、あるいはメタノールやエタノール、プロ
パノール等のアルコール類、または蟻酸や酢酸、プロピ
オン酸等の有機酸または該有機酸の酸無水物(例、無水
酢酸等)、水、あるいはこれらの混合溶媒を用いること
ができる。また溶液濃度は重合開始能を有する化合物の
置換基の種類や溶媒等の種類によって異なるが、一般的
には10-3mol/L〜10mol/Lの範囲が好まし
く、また10-2mol/L〜5mol/Lの範囲がさら
に好ましい。
【0058】これらを用いて製造された導電性重合体層
の厚さは、1サイクルとしては固体電解質層として通常
0.1〜0.3ミクロン程度の厚さしか形成することが
できないため、得られたフィブリル構造を有する導電性
重合体を洗浄するかまたは洗浄せずに、さらに得られた
フィブリル構造を有する導電性重合体の表面上において
同じ操作を少なくとも2回程度、実用的には5回程度繰
り返すことが好ましい。ただし、固体電解質層が必要以
上の厚さになることは好ましくないので、通常は20回
程度で十分である。好ましくは3〜15回程度で必要な
固体電解質層を確保できる。この際導電性重合体の膜厚
も用いる重合性単量体の気圧、誘電体皮膜上に存在する
重合開始能を有する化合物の量や反応温度、反応時間等
によって影響するものなので、簡単なテストで確認可能
でありあらかじめ確認しておくことが好ましい。本発明
において使用される導電性重合体の電導度は、0.1〜
200S/cmの範囲であるが、望ましい条件では1〜
100S/cm、さらに好ましくは10〜100S/c
mの範囲である。
【0059】また、このようにして形成された導電性重
合体層の上に、陰極リード端子との電気的接触を良くす
るために導電体層を設けることが好ましく、例えば導電
ペーストの固体、またはメッキや金属蒸着、導電性樹脂
フィルムの形成等が行われる。その後、更にこれに陰極
リード端子を接続し、例えば樹脂モールド、樹脂ケー
ス、金属製の外装ケース、樹脂ディッピング等による外
装を施すことにより、各種用途のコンデンサ製品として
完成させることができる。
【0060】本発明の固体電解コンデンサにおいて、電
極上の固体電解質として例えば、図1に示すようにフィ
ブリル状態の導電性重合体が、化成処理された多孔質弁
作用金属箔の細孔内の酸化物皮膜(図3の状態)を覆
い、かつ複数回の重合工程で陰極内部及び金属箔外部表
面にフィブリルの層状構造が形成され、かつそれらは隣
接する層間の一部に空間部を有しているため、温度の上
下に対しその熱応力を有効に緩和することが可能であ
る。また導電性重合体表面にも細孔が形成されているた
め、接続のための導電ペースト層が外部表面細孔内に進
入することができ、このため良好な密着性が確保され
る。さらには、微細孔内にもフィブリル状態の導電性重
合体形態の存在や、複数回の積層工程により空間部が形
成されるため、酸素の供給が確保され、導通時における
誘電体酸化皮膜の修復能力が向上するものと推定する。
【0061】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明す
る。 (実施例1)表面にアルミナの誘電体皮膜層を有する厚
さ90μm、巾3mm,長さ10mmのアルミニウム化
成箔表面に、長さ5mmの部分に幅1mmのポリイミド
溶液を塗布(両面塗布)、乾燥させマスキングを実施し
た。このアルミニウム化成箔の3mm×4mmの部分
を、10wt%のアジピン酸アンモニウム水溶液に浸
し、8Vの電圧を印加してさらに化成し、誘電体酸化物
皮膜を形成した。次に、前記箔の3mm×4mmの部分
を、2mol/Lの過硫酸アンモニウム水溶液に浸漬し
た後引き上げ、室温において3分乾燥させた。続いてこ
のアルミニウム化成箔を、60℃に加温した反応容器に
入れ、60℃で発生させた3,4−エチレンジオキシ−
チオフェンの蒸気を前記箔表面に導入し、20分間重合
させた。重合後は40℃の恒温槽中で30分乾燥させ、
その後再度、2mol/Lの過硫酸アンモニウム水溶液
にアルミニウム箔の3mm×4mmの部分を含浸させ、
同様の重合操作を3回繰り返し、最終的に生成したポリ
(3,4−エチレンジオキシ−チオフェン)を50℃温
水中で洗浄した。その後100℃で30分乾燥を行い、
固体電解質としての導電性重合体層を形成した。
【0062】この導電性重合体の形状について調べるた
めに、前記重合体で被覆された箔の断面サンプルを冷却
法(液体窒素中)で作製し、SEM(走査型電子顕微
鏡)観察したところ、図1(重合体形成あり)と図3
(重合体形成なし)の対比及び観察から、該重合体は小
さなフィブリル構造からなるものの球状房形及び/フィ
ブリルから構成された膜の積層形状であることがわかっ
た。さらに、フィブリルから構成された膜は厚みが10
0nmほどあることが観察された。さらに、該重合体で
被覆された箔の表面(図2)においては密に重合体膜で
覆われている様子がわかった。
【0063】次に、図4の概略図に示すごとく上記微細
孔2を有するアルミニウム箔1の酸化物層3上に導電性
重合体層4を形成した後この部分にカーボンペースト5
と銀ペースト5を付けて上記アルミニウム箔を6枚積層
し、陰極リード端子7bを接続し、また、導電性重合体
層の形成されていない部分には陽極リード端子7aを溶
接により接続した。更に、この素子をエポキシ樹脂6で
封止した後、125℃で定格電圧を印加して2時間エー
ジングを行い、合計30個のコンデンサを完成させた。
これら30個のコンデンサ素子について、初期特性とし
て120Hzにおける容量と損失係数(tanδ)、共
振周波数におけるインピーダンス、それに漏れ電流を測
定した。尚、漏れ電流は定格電圧を印加して1分後に測
定した。表1にこれらの測定値の平均値と、0.16μ
A(0.002CV)以上の漏れ電流を不良品としたと
きの不良率およびショート品の数を示した。ここで、漏
れ電流の平均値は不良品を除いて計算した値である。更
に続いて上記コンデンサ素子30個のリフロー試験及び
更に該コンデンサ素子の耐湿性試験を行った。但し、リ
フロー試験は230℃の温度領域を30秒間通過させる
ことにより行った。また耐湿試験は85℃、85%RH
の高温高湿下に500時間放置した後漏れ電流値を測定
して行った。耐湿試験における漏れ電流値が3.2μA
(0.04CV)以上を不良品とした。結果を表2に示
す。
【0064】(実施例2)実施例1において、過硫酸ア
ンモニウムに代えて硫酸第二鉄を、また3,4−ジオキ
シエチレン−チオフェンに代えて1,3−ジヒドロイソ
チアナフテンとした以外は、実施例1と同様にして30
個のコンデンサを完成させた。これらコンデンサ素子の
特性評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1およ
び表2に示した。
【0065】(実施例3)実施例1において、3,4−
エチレンジオキシ−チオフェンに代えてピロールとした
以外は、実施例1と同様にして30個のコンデンサを完
成させた。これらコンデンサ素子の特性評価を実施例1
と同様に行い、その結果を表1および表2に示した。
【0066】(実施例4)実施例1において、3,4−
エチレンジオキシ−チオフェンに代えてフランとした以
外は、実施例1と同様にして30個のコンデンサを完成
させた。これらコンデンサ素子の特性評価を実施例1と
同様に行い、その結果を表1および表2に示した。
【0067】(実施例5)実施例1において、3,4−
エチレンジオキシ−チオフェンに代えてアニリンとした
以外は、実施例1と同様にして30個のコンデンサを完
成させた。これらコンデンサ素子の特性評価を実施例1
と同様に行い、その結果を表1および表2に示した。
【0068】(実施例6)実施例1において、2mol
/Lの過硫酸アンモニウム水溶液にドーピング能を有す
る化合物としてアントラキノン−2−スルホン酸ナトリ
ウムを0.07mol/Lとなるように加えた以外は、
実施例1と同様にして30個のコンデンサを完成させ
た。これらコンデンサ素子の特性評価を実施例1と同様
に行い、その結果を表1および表2に示した。
【0069】(実施例7)実施例1において、3,4−
エチレンジオキシ−チオフェンの分圧が600mHgと
なるようにアルゴンガスと混合して1気圧とした混合気
体を導入した以外は実施例と同様にして30個のコンデ
ンサを完成させた。これらコンデンサ素子の特性評価を
実施例1と同様に行い、その結果を表1および表2に示
した。
【0070】(実施例8)実施例1において、3,4−
エチレンジオキシ−チオフェン圧力が2気圧となるよう
に加圧調整し、耐圧反応容器導入した以外は実施例1と
同様にして30個のコンデンサを完成させた。これらコ
ンデンサ素子の特性評価を実施例1と同様に行い、その
結果を表1および表2に示した。
【0071】(比較例1)特開平10−70043号公
報を参照してコンデンサを作成し、これらコンデンサ素
子の特性評価を実施例1と同様に行い、その結果を表1
および表2に示した。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、多孔質弁作用金属表面
に形成された誘電体皮膜上に気相重合によって固体電解
質を形成するにあたり、固体電解質がフィブリル構造を
有する導電性重合体の集合体であり、またこのフィブリ
ル構造を有する導電性重合体層が層状構造をなしてもよ
く、このために、熱応力の緩和能力およびペースト層と
の密着性に優れた固体電解コンデンサが得られる。更に
本発明は、陽極の微細孔内に空間部を残すように誘電体
酸化皮膜が導電性重合体組成物で覆われ、導通時の皮膜
修復能力にも優れた固体電解質層を得ることができる。
これにより、初期特性(損失係数、漏れ電流、耐熱性、
高周波領域での等価直列抵抗およびインピーダンスな
ど)のみならず、工程簡略化や長期信頼性(高温、高湿
下における耐久性など)にも優れた固体電解コンデンサ
素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における導電性重合体層を形成した陽
極アルミニウム箔断面の走査電子顕微鏡写真(倍率5
0,000)である。
【図2】実施例1における導電性重合体層を形成した陽
極アルミニウム箔表面の走査電子顕微鏡写真(倍率5,
000)である。
【図3】実施例において使用された陽極アルミニウム化
成箔断面(重合体形成前)の走査電子顕微鏡写真(倍率
50,000)である。
【図4】固体電解コンデンサの一例の概略図である。
【符号の説明】
1 金属箔 2 微細孔 3 アルミニウムの酸化物層 4 固体電解質 5 導電体層 6 封口樹脂 7a,7b リード端子
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 79/00 C08L 79/00 A 101/06 101/06 H01G 9/02 331H 331F (72)発明者 澤口 徹 長野県大町市大字大町6850番地 昭和電工 株式会社大町工場内 (72)発明者 坂井 厚 長野県大町市大字大町6850番地 昭和電工 株式会社大町工場内 Fターム(参考) 4J002 BC122 BQ002 CE001 CM011 DD026 DF026 DG036 EF006 EG006 EV236 FD112 FD116 GQ02 4J032 BA03 BA04 BA05 BA08 BA09 BA13 BA14 BB01 BC03 BC12 BD02 CG01 4J043 PA02 QB02 QB03 RA08 SA05 SA14 SA42 SA43 SA52 SA53 SA54 SB01 UA121 XA03 XA04 XA07 XA28 YB05 YB15 YB24 YB38 ZA44 ZB49

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質弁作用金属表面に形成された誘電
    体皮膜上に、気相重合によりフィブリル構造を有する重
    合体の固体電解質層を形成した固体電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 前記重合体の固体電解質層が多孔質内部
    において空隙部を残して形成された請求項1に記載の固
    体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記重合体の固体電解質が、下記一般式
    (1)[チオフェン骨格を有する化合物]で示される化
    学構造を繰り返し単位として含む導電性重合体である請
    求項1又は2に記載の固体電解コンデンサ。 【化1】 (式中、置換基R1 及びR2 はそれぞれ独立にH、炭素
    数1乃至10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不
    飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルエステル
    基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしく
    は3級アミノ基、CF3 基、フェニル基及び置換フェニ
    ル基からなる群から選ばれる一価の基を表す。またR1
    またはR2 の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合し
    て、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少
    なくとも1つ以上の3乃至7員環の飽和または不飽和炭
    化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。
    該環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、ア
    ミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ
    等の結合を任意に含んでもよい。δは0〜1の範囲であ
    る。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し、1また
    は2である。)
  4. 【請求項4】 前記重合体の固体電解質が、下記一般式
    (2)[多環状スルフィド骨格を有する化合物]で示さ
    れる構造を繰り返し単位として含む導電性重合体である
    請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサ。 【化2】 (式中、置換基R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及びR8
    はそれぞれ独立にH、炭素数1乃至10の直鎖状もしく
    は分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、アルコキ
    シ基、アルキルエステル基、ハロゲン、ニトロ基、シア
    ノ基、1級、2級もしくは3級のアミノ基、CF3 基、
    フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる
    一価の基を表す。またR3 、R4 、R5 、R6 、R7
    たはR8 の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、
    かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なく
    とも1つ以上の3乃至7員環の飽和または不飽和炭化水
    素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。該環
    状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミ
    ド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ等
    の結合を任意に含んでもよい。kはチオフェン環と置換
    基R3 乃至R6 を有するベンゼン環に囲まれた縮合環の
    数を表し、0乃至3の整数値である。式中の縮合環には
    窒素またはN−オキシドを任意に含んでもよいが、その
    数だけ置換基R3乃至R6 はないことになる。δは0〜
    1の範囲である。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を
    表し、1または2である。)
  5. 【請求項5】 前記重合体の固体電解質が、下記一般式
    (3)[ピロール骨格を有する化合物]で示される構造
    を繰り返し単位として含む導電性重合体である請求項1
    又は2に記載の固体電解コンデンサ。 【化3】 (式中、置換基R9 及びR10はそれぞれ独立にH、炭素
    数1乃至10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不
    飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルエステル
    基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしく
    は3級のアミノ基、CF3 基、フェニル基及び置換フェ
    ニル基からなる群から選ばれる一価の基を表す。R9
    たはR10の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、
    かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なく
    とも1つ以上の3乃至7員環の飽和または不飽和炭化水
    素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。該環
    状結合鎖には、カルボニル、エーテル、エステル、アミ
    ド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ等
    の結合を任意に含んでもよい。δは0〜1の範囲であ
    る。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し、1また
    は2である。)
  6. 【請求項6】 前記重合体の固体電解質が、下記一般式
    (4)[フラン骨格を有する化合物]で示される構造を
    繰り返し単位として含む導電性重合体である請求項1又
    は2に記載の固体電解コンデンサ。 【化4】(式中、置換基R11及びR12はそれぞれ独立に
    H、炭素数1乃至10の直鎖状もしくは分岐状の飽和も
    しくは不飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルエ
    ステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、2級
    もしくは3級のアミノ基、CF3 基、フェニル基及び置
    換フェニル基からなる群から選ばれる一価の基を表す。
    11またはR12の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合
    して、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に
    少なくとも1つ以上の3乃至7員環の飽和または不飽和
    炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよ
    い。該環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステ
    ル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、
    イミノ等の結合を任意に含んでもよい。δは0〜1の範
    囲である。Zは陰イオンを表し、jはZの価数を表し、
    1または2である。)
  7. 【請求項7】 前記重合体の固体電解質が、下記一般式
    (5)[アニリン骨格を有する化合物]で示される構造
    を繰り返し単位として含む導電性重合体である請求項1
    又は2に記載の固体電解コンデンサ。 【化5】 (式中、置換基R13、R14、R15及びR16はそれぞれ独
    立にH、炭素数1乃至10の直鎖状もしくは分岐状の飽
    和もしくは不飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキ
    ルエステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1級、
    2級もしくは3級のアミノ基、CF3 基、フェニル基及
    び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表
    す。R13、R14、R15またはR16の炭化水素鎖は互いに
    任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けてい
    る炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3乃至7員環の
    飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖
    を形成してもよい。該環状結合鎖には、カルボニル、エ
    ーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニ
    ル、スルホニル、イミノ等の結合を任意に含んでもよ
    い。δは0〜1の範囲である。Zは陰イオンを表し、j
    はZの価数を表し、1または2である。)
  8. 【請求項8】 フィブリル構造を有する重合体の固体電
    解質が、ドーパントとして2種以上のアニオンを含んで
    いる請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサ。
  9. 【請求項9】 ドーパントとして2種以上のアニオンの
    少なくとも1種が高分子アニオン、又は芳香族スルホン
    酸アニオンである請求項8に記載の固体電解コンデン
    サ。
  10. 【請求項10】 高分子アニオンが、高分子スルホン酸
    アニオンである請求項9に記載の固体電解コンデンサ。
  11. 【請求項11】 前記重合体の固体電解質の導電性が
    0.1〜200S/cmである請求項1乃至10のいず
    れか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  12. 【請求項12】 多孔質弁作用金属表面に形成された誘
    電体皮膜上に気相重合によって重合体の固体電解質を形
    成するに際し、あらかじめ誘電体皮膜上に重合開始能を
    有する化合物を液相で導入した後、重合性単量体を気相
    で導入して化学酸化重合させ、その後洗浄または洗浄し
    ないでフィブリル構造を有する重合体の膜状組成物を形
    成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方
    法。
  13. 【請求項13】 重合性単量体を気相で導入する工程に
    おいて、重合性単量体の分圧が1気圧以下になるように
    して、重合性単量体を誘電体皮膜上に導入する請求項1
    2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  14. 【請求項14】 重合性単量体を気相で導入する工程に
    おいて、重合性単量体の蒸気圧が1気圧以上になるよう
    に加圧して誘電体皮膜上に導入する請求項12に記載の
    固体電解コンデンサの製造方法。
  15. 【請求項15】 重合性単量体を気相で導入して化学酸
    化重合させる工程において、反応温度がー20℃乃至3
    00℃以下である請求項12に記載の固体電解コンデン
    サの製造方法。
  16. 【請求項16】 重合開始能を有する化合物が、過硫酸
    塩類、重クロム酸塩類、3価の鉄塩類から選ばれた請求
    項12に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  17. 【請求項17】 誘電体皮膜上に重合開始能を有する化
    合物を液相で導入する工程において、重合開始能を有す
    る化合物の溶液濃度が0.01mol/L乃至5mol
    /Lである請求項12に記載の固体電解コンデンサの製
    造方法。
  18. 【請求項18】 請求項12に記載の重合体の固体電解
    質の膜状組成物を形成する工程を1乃至30回繰り返し
    てフィブリル構造を有する重合体の膜状組成物を形成し
    たことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
JP17503999A 1999-06-22 1999-06-22 固体電解コンデンサ及びその製造方法 Pending JP2001006983A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17503999A JP2001006983A (ja) 1999-06-22 1999-06-22 固体電解コンデンサ及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17503999A JP2001006983A (ja) 1999-06-22 1999-06-22 固体電解コンデンサ及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001006983A true JP2001006983A (ja) 2001-01-12

Family

ID=15989156

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17503999A Pending JP2001006983A (ja) 1999-06-22 1999-06-22 固体電解コンデンサ及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001006983A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003124068A (ja) * 2001-10-10 2003-04-25 Showa Denko Kk コンデンサ用陽極箔、該陽極箔の製造方法及び該陽極箔を用いた固体電解コンデンサ
WO2005014692A1 (ja) * 2003-08-11 2005-02-17 Tayca Corporation 導電性高分子およびそれを用いた固体電解コンデンサ
JP2007048947A (ja) * 2005-08-10 2007-02-22 Nichicon Corp 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP2011052069A (ja) * 2009-08-31 2011-03-17 Sanyo Electric Co Ltd 導電性高分子膜、導電性高分子膜の製造方法、および電子デバイス
CN102201286A (zh) * 2010-03-24 2011-09-28 三洋电机株式会社 固体电解电容器的制造方法
EP3564976A4 (en) * 2016-12-28 2020-09-23 Showa Denko K.K. SOLID ELECTROLYTE CONDENSER MANUFACTURING PROCESS

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61254620A (ja) * 1985-05-04 1986-11-12 Showa Denko Kk ナフト〔2,3―c〕チオフェン構造を有する重合体の製造方法
JPS6412514A (en) * 1987-07-07 1989-01-17 Nippon Chemicon Manufacture of solid electrolytic capacitor
JPH01134856A (ja) * 1987-11-20 1989-05-26 Mitsubishi Kasei Corp 二次電池の製造方法
JPH0215611A (ja) * 1988-04-30 1990-01-19 Bayer Ag 固体電解質及びそれを含有する電解コンデンサー
JPH0494109A (ja) * 1990-08-09 1992-03-26 Kao Corp 固体電解コンデンサの製造方法
JPH0494108A (ja) * 1990-08-09 1992-03-26 Kao Corp 固体電解コンデンサの製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61254620A (ja) * 1985-05-04 1986-11-12 Showa Denko Kk ナフト〔2,3―c〕チオフェン構造を有する重合体の製造方法
JPS6412514A (en) * 1987-07-07 1989-01-17 Nippon Chemicon Manufacture of solid electrolytic capacitor
JPH01134856A (ja) * 1987-11-20 1989-05-26 Mitsubishi Kasei Corp 二次電池の製造方法
JPH0215611A (ja) * 1988-04-30 1990-01-19 Bayer Ag 固体電解質及びそれを含有する電解コンデンサー
JPH0494109A (ja) * 1990-08-09 1992-03-26 Kao Corp 固体電解コンデンサの製造方法
JPH0494108A (ja) * 1990-08-09 1992-03-26 Kao Corp 固体電解コンデンサの製造方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003124068A (ja) * 2001-10-10 2003-04-25 Showa Denko Kk コンデンサ用陽極箔、該陽極箔の製造方法及び該陽極箔を用いた固体電解コンデンサ
WO2005014692A1 (ja) * 2003-08-11 2005-02-17 Tayca Corporation 導電性高分子およびそれを用いた固体電解コンデンサ
CN100412104C (zh) * 2003-08-11 2008-08-20 帝化株式会社 导电高分子及使用它的固体电解电容器
US7651639B2 (en) 2003-08-11 2010-01-26 Tayca Corporation Conductive polymer and solid electrolytic capacitor using the same
JP2007048947A (ja) * 2005-08-10 2007-02-22 Nichicon Corp 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP2011052069A (ja) * 2009-08-31 2011-03-17 Sanyo Electric Co Ltd 導電性高分子膜、導電性高分子膜の製造方法、および電子デバイス
CN102201286A (zh) * 2010-03-24 2011-09-28 三洋电机株式会社 固体电解电容器的制造方法
CN102201286B (zh) * 2010-03-24 2016-06-15 松下知识产权经营株式会社 固体电解电容器的制造方法
EP3564976A4 (en) * 2016-12-28 2020-09-23 Showa Denko K.K. SOLID ELECTROLYTE CONDENSER MANUFACTURING PROCESS
US11183340B2 (en) 2016-12-28 2021-11-23 Showa Denko K.K. Method for manufacturing solid electrolytic capacitor

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3187380B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP4899438B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
US6351370B1 (en) Solid electrolytic capacitor and method for producing the same
JP2010189644A (ja) π共役系共重合体、その製造方法及びその共重合体を用いたコンデンサ
JP4683318B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP4535435B2 (ja) π共役系共重合体、その製造方法及びその共重合体を用いたコンデンサ
JP2009239296A (ja) 固体電解コンデンサ及びそれらの製造方法
JP4036466B2 (ja) コンデンサ及びその製造方法
KR100548919B1 (ko) 도전성중합체, 고체전해콘덴서 및 그의 제조방법
JP2001006983A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
WO2011052237A1 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP2007095934A (ja) 弁作用金属材料の化成処理方法
JP4565730B2 (ja) 固体コンデンサ及びその製造方法
WO2007020969A1 (ja) 弁作用金属材料の化成処理方法
US6660188B1 (en) Electrical conducting polymer, solid electrolytic capacitor and manufacturing method thereof
JP4507297B2 (ja) 導電性重合体、固体電解コンデンサ及びそれらの製造方法
JP5029937B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
US6663796B1 (en) Electrical conducting polymer, solid electrolytic capacitor and manufacturing method thereof
JP5296860B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP4826237B2 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP4771218B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP4811708B2 (ja) 導電性重合体層の形成方法
MXPA00001952A (en) Conductive polymer, solid electrolytic capacitor, and processes for producing these

Legal Events

Date Code Title Description
RD13 Notification of appointment of power of sub attorney

Effective date: 20050324

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7433

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060616

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081216

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20090310

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090508

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20090508

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20091208

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20100204

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100204

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20100204

A521 Written amendment

Effective date: 20100204

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

A02 Decision of refusal

Effective date: 20100713

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02