JP4068949B2 - ジアゾ複写材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はジアゾ複写材料に関し、詳しくは中性紙を支持体とした原紙上に、プレコート層を介してジアゾ感光層を設けたジアゾ複写材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジアゾ感光紙は、一般に支持体とプレコート層を介して支持体上に設けられた感光層と、該感光層が設けられている該支持体の面の反対側の面に塗設されたバック層から構成され、該感光層はジアゾ化合物、カップリング成分および各種助剤を含有し、該支持体としては、ロジンサイズ剤等でサイジングされた紙面PHが2〜4の酸性紙が用いられてきた。
【0003】
しかしながら、近年、ジアゾ感光紙の支持体として用られる上質紙や複写印刷用紙として、アルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸などの中性サイズ剤によりサイジングされた紙面PH5〜9の中性紙が主として用いられるようになった。その結果、上記従来の酸性紙は特殊紙化し、そのためにコスト高となり、入手も困難になり、ジアゾ感光紙の支持体として使用することができなくなりつつある。従って、将来は中性紙をジアゾ感光紙の支持体として使用せざるを得ない状況にある。
【0004】
しかしながら、上記中性紙を支持体としてジアゾ感光紙に使用した場合、画像濃度が低く、地肌のヌケも悪く、低コントラスト画像になり、かつ、保存中にプレカップリングが徐々に進み、好ましくない着色が発生し実用化が困難であるという問題がある。その理由は、これらの中性紙は一般的に炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン等を填料として紙中に含み、これらはアルカリ性であることから保存中にプレカップリングが徐々に進行するからである。
【0005】
かかる問題を解決するために、インクジェット記録紙を用いることが提案されている。例えば、特開平8−269893号公報(特許文献1)には、中性紙の填料として炭酸カルシウムに変えて珪酸塩系の填料を用い、該中性紙の片面に無定形シリカと水系結着剤を主成分とする記録層を設けることが開示されている。即ち、炭酸カルシウムはインクジェット記録用インクの染料に含まれるカルボキシル基と反応して発色性が変化し印字物の品位を損なうため、炭酸カルシウムに変えて珪酸塩系の填料を用いることが提案されている。しかし、珪酸塩系の填料を含有する紙をジアゾ感光紙の支持体に用いると、紙面pHが酸性にシフトすることにより、ジアゾ感光紙に適さない強酸性にシフトする虞がある。また、炭酸カルシウム等を填料とする中性紙市場の趨勢を無視することもできない。
【0006】
また、特開平11−24203号公報(特許文献2)には、ジアゾ感光材料の中性紙中に含まれる炭酸カルシゥムによる悪影響を低減させるため、中性紙支持体上に特定の結着剤と無定形シリカを含有する前処理層を設けることが開示されている。また、特開2001−66733号公報(特許文献3)には中性紙支持体の表面サイズ処理工程で特定の澱粉及び金属塩を含有させることが開示されている。しかしながら、特許文献2や特許文献3記載の手段では、いずれも中性紙を支持体として用いたジアゾ感光紙の保存時のプレカップリングを十分に防止することができない状況である。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−269893号公報
【特許文献2】
特開平11−24203号公報
【特許文献3】
特開2001−66733号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたもので、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン等を含有する中性紙をジアゾ感光紙用の支持体として用いても、その最大の欠点である保存時のプレカッリング(保存性の劣化)を防止することができ、さらに高発色性で発色画像が鮮明なジア感光紙を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために、プレコート層や感光層に使用される材料に着目して鋭意検討した結果、特定の材料を組み合せて使用することにより、保存性に優れ、保存時のプレカップリングを防止することができるジアゾ複写材料を見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明によれば、以下に示すジアゾ複写材料が提供される。
〔1〕アルカリ性の填料を含み、紙面pHが5.5以上の中性紙からなる支持体上に、プレコート層、ジアゾ化合物を主成分とする感光層をこの順で設けると共に、該感光層が設けられている中性紙表面と反対側の中性紙表面にバック層を設けたジアゾ複写材料において、疎水性カップリング成分を該プレコート層に含有させることを特徴とするジアゾ複写材料。
〔2〕該感光層にカップリング成分が添加されていることを特徴とする前記〔1〕に記載のジアゾ複写材料。
〔3〕該疎水性カップリング成分の水への溶解度が0.5wt%以下であることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載のジアゾ複写材料。
〔4〕該疎水性カップリング成分の粒子径が、0.2〜1.0μmであることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のジアゾ複写材料。
〔5〕該中性紙からなる支持体が、古紙を原料とする古紙パルプを50%以上含有していることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のジアゾ複写材料。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のジアゾ複写材料においては、紙面PHが5.5以上の中性紙からなる支持体(以下、単に中性紙支持体ともいう。)上に、プレコート層、ジアゾ化合物を主成分とする感光層をこの順で設けると共に、該感光層が設けられている中性紙表面と反対側の中性紙表面にバック層を設けている。更に、本発明においては、疎水性カップリング成分を該プレコート層に含有させている。かかる構成を採用したことにより、本発明のジアゾ複写材料の保存性(プレカップリング防止性)は大幅に改善される。
【0011】
即ち、中性紙支持体をジアゾ複写材料用の支持体として使用した場合、紙中の炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン等のアルカリ性物質及び含有水分によりジアゾ複写材料のプレカップリング現象が促進され、好ましくない着色が発生する。しかし、本発明のジアゾ複写材料においては、微粒子状の疎水性カップリング成分がプレコート層に含有されているので、中性紙支持体中に炭酸カルシウム等のアルカリ性物質が含まれていても、プレカップリング現象の発生が防止され、保存性が向上している。
【0012】
本発明に用いられる中性紙は、LBKP、NBKP等に代表される化学パルプ、サイズ剤、填料を主体とし、その他の抄紙助剤が必要に応じて添加され、常法により抄造される。使用されるパルプ材としては、機械パルプや古紙パルプを併用しても良く、また、これらを主体とするものであってもよい。このようにして得られた中性紙は、その紙面PHが5.5以上となっている。尚、冷水等で抽出した時の中性紙のPHは5.5〜8.5である。
【0013】
紙面PHの測定は、PH指示薬を直接紙面に含浸させる方法等で行われる。
【0014】
本発明の中性紙は、前記古紙を原料とする再生パルプ(古紙パルプ)を50%以上含有していることが、低コスト化が可能になるので好ましい。該再生パルプの原料としては、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌等が挙げられる。更に具体例としては、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙などのプリンター用紙、及びPPC用紙等のOA古紙、アート紙、微塗工紙、マット紙等の塗被紙、あるいは上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗被紙等の紙や、板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙等が使用される。これらは、印字、複写、印刷、非印刷を問わず使用することができる。
【0015】
本発明においては、前記プレコート層が疎水性カップリング成分を含有する。疎水性カップリング成分がプレコート層に含有されているので、後述する感光層に含まれるジアゾ化合物と隔離されており、しかも水溶解度が小さいため、中性紙支持体中に存在する炭酸カルシウムのようなアルカリ成分や含有水分により起こるジアゾ化合物とのプレカップリング(カブリ)を防止する効果が発揮される。
【0016】
該疎水性カップリング成分としては、水への溶解度が0.5wt%以下であることが好ましい。該疎水性カップリング成分の水への溶解度が0.5wt%を超える場合は、十分な保存性改善効果が得られない虞がある。又、該疎水性カップリング成分としては、粒子径が0.2〜1.0μmのものが好ましく、このような微粒子状の疎水性カップリング成分がプレコート層中に分散していると、中性紙支持体中に炭酸カルシウム等のアルカリ性物質が含まれていても、プレカップリング現象の発生を効果的に防止することができる。該粒子径が0.2μm未満の場合は、ジアゾ複写材料としての、コピー画像濃度の低下、画像ムラ、保存性の劣化(カブリの増大)等の副作用が発生する虞がある。該粒子径が1.0μmを超える場合は、十分な保存性改善効果が得られないと共にジアゾ複写材料としての、コピー画像濃度の低下、画像ムラ、保存性の劣化(カブリの増大)等の副作用が発生する虞がある。
【0017】
本発明において好ましく用いられる疎水性カップリング成分としては、例えば、ナフトールAS、ナフトールAS−D、ナフトールAS−OL、ナフトールAS−DH、ナフトールAS−E、ナフトールAS−BS、ナフトールAS−RL、ナフトールAS−TR、ナフトールAS−BO、ナフトールAS−G、ナフトールAS−LB、ナフトールAS−SW、ナフトールAS−SW等が挙げられる。
【0018】
本発明のプレコート層には、前記したカップリング成分の他に一般に使用されている、無定形シリカ微粉末等の画像濃度補強剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色染料、尿素、チオ尿素等の助剤が適宜添加できる。
【0019】
本発明における疎水性カップリング成分は、界面活性剤、ポリビニルアルコールのような分散安定剤とともに、ダイノミル、サンドミル、ボールミルのような一般的に使用されている湿式分散機を用いて、0.2〜1.0μmの範囲に微粒子化し、プレコート液中に添加することが好ましい。
【0020】
本発明におけるプレコート層の塗工量は、乾燥後付着量で1.0〜4.0g/m2の範囲が望ましい。該塗工量が1.0g/m2以下では、十分な画像濃度が得られなかったり、支持体を均一に被覆することができず次に塗工されるジアゾ感光層の浸透ムラを発生させる虞がある。また、4.0g/m2を超える場合はプレカップリング防止効果が不十分となりカブリを大きくさせる虞がある。
【0021】
本発明のジアゾ複写材料においては、前記中性紙支持体上に前記疎水性カップリング成分を含有するプレコート層を介して、感光層が設けられている。該感光層はジアゾ化合物を主成分とする。
【0022】
本発明で使用されるジアゾ化合物は、一般式ArN2 +X−で示されるジアゾニウム塩である(式中、Arは置換あるいは無置換の芳香族部分を表し、ArN2 +はジアゾニウムカチオンを表し、X−は酸アニオンを表す。)。該ジアゾ化合物の具体例としては、例えば、4−ジアゾ−N,N−ジメチルアニリン、4−ジアゾ−N,N−ジエチルアニリン、4−ジアゾ−N,N−メチルヒドロキシエチルアニリン、4−ジアゾフェニルモルホリン、4−ジアゾ−N,N−ジブチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジメトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジプロポキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N−ベンジル−N−エチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N,N−ジブチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N−ベンジル−N−オキシエチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルピペラジン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシフェニルピロリジン、4−ジアゾ−2,5−ジプロポキシフェニルピペリジン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−N,N−ジメチルアニリン、4−ジアゾ−1−ベンゾイルアミノ−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メチルシベンゾイルアミノ)−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−クロルベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−メチルシベンゾイルアミノ)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−フェニルメルカプト−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−トルイルメルカプト)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メトキシフェニルメルカプト)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−クロルフェニルメルカプト)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−トルイルメルカプト)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3’−メトキシフェニルメルカプト)−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(2’−トルイルメルカプト)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−フェノキシー−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4’−メトキシフェノキシ)−2,5−ジエトキシベンゼンなどの塩化物の塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化錫等の複塩、および前記ジアゾの硫酸、ヘキサフルオロリン酸、4フッ化ホウ素酸などの無機酸の塩などが挙げられる。
【0023】
本発明においては、プレコート層中の疎水性カップリング成分だけでは発色速度、発色濃度が十分でない場合は、感光層にカップリング成分を含有させることが好ましい。該カップリング成分の種類及び使用量は保存性を阻害しないものが適宜選択される。
【0024】
感光層に含有させるカップリング成分としては、ジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するもので、カルボニル基の隣にメチレン基を有する、いわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などが挙げられる。例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N,N−ジメチルアミノモルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸、1−ヒドロキシナフタレン−4−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、ベンゾイルアセトアニリド、3−ヒドロキシシアノアセトアニリド、パラスルホアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミノ)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミノメチル)ベンゼン等が挙げられる。これらのカップリング成分は単独でも2種以上の併用でも用いることができ、必要に応じて任意の色相を得ることもできる。但し、本発明はこれらのものに限定するものではない。
【0025】
本発明の感光層においては、上述した発色成分の他に、通常のジアゾ感光層に適用されている各種添加物、例えば安定剤、保存性向上剤として硫酸、塩酸、リン酸、ホウ酸のような無機酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、スルホサリチル酸、パラトルエンスルフォン酸のような有機酸、ナフタレンモノ、ジ、トリスルフォン酸塩のような安定剤等も添加できる。
【0026】
また溶解剤としてカフェイン、ティオフェリンなど、酸化防止剤としてチオ尿素、尿素など、塗布安定剤としてサポニン、エチルアルコールのようなアルコール類を少量添加することができる。その他に、現像促進剤としてエチレングリコール、トリエチレングリコールのようなグリコール類、グリコールエーテル類などの多価アルコール及びその誘導体が使用可能である。画像濃度補強剤としては、コロイダルシリカ、無定形シリカ微粉末等適宜使用できる。
【0027】
本発明における感光層は、公知の手段でプレコート層上に塗工される。
【0028】
本発明のジアゾ複写材料においては、前記感光層が設けられている中性紙表面と反対側の中性紙表面にバック層が、ジアゾ複写材料のカールを調節する目的で設けられている。該バック層には、通常使用される材料が用いられる。例えば、アルコール及びグリコール類、ゼラチン、ポリビニルアルコールのような親水性樹脂等が用いられ、また感光層に使用されている無機、有機酸のような安定剤が適宜添加される。該バック層は、通常の方法で塗工形成され、その塗工量は乾燥後付着量で0.1〜3.0g/m2が望ましい。
【0029】
このようにして製造された本発明のジアゾ複写材料は、主にアルカリ性有機溶剤を使用した半乾式現像法(ジアゾ複写材料への現像液付着量が5g/m2以下と少量の湿式現像法)で使用されるが、アンモニアガスを使用した乾式現像法などによっても使用することができる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下における部、%は全て重量によるものである。
実施例および比較例においては、次に示す中性紙1、2を支持体として用いた。これらの中性紙は公知の方法で抄造されたものである。
・中性紙1;LBKP100%使用、紙面PH7.5(水抽出液PH7.8)の中性紙
・中性紙2;LBKP20%使用、上白古紙パルプ80%使用、紙面PH6.0(水抽出PH6.5)の再生パルプ使用中性紙
【0031】
また、プレコート層中の疎水性カップリング成分は次に示す組成の20%分散液を使用した。
・疎水性カップリング成分 20部
・ポリビニルアルコール 10部(20%溶解液を使用)
・水 70部
該組成液をダイノミル(メディアはガラスビーズ)にて循環分散し、所望の粒子径に調整した。
【0032】
[実施例1]
上記中性紙1(支持体)の上に下記の組成からなるプレコート層液をエアーナイフにて塗布し、乾燥後付着量2.5g/m2のプレコート層を形成した。
【0033】
このプレコート層の上に下記の組成からなるジアゾ感光層をエア−ナイフにより塗布し、乾燥後付着量0.6g/m2の感光層を形成した。
【0034】
このプレコートされた中性紙1(支持体)の感光層が設けられている中性紙表面と反対側の中性紙表面に下記の組成からなるバック層をエアーナイフにより塗布し、乾燥後付着量0.5g/m2のバック層を形成し、本発明のジアゾ複写材料を作成した。
<バック層液組成>
酒石酸 1.0部
エチレングリコール 1.5部
水 97.5部
【0035】
[実施例2]
上記中性紙2を支持体とし、実施例1のプレコート液中のカップリング成分を田岡化学製ナフトールAS(水溶解度0.1%以下、粒子径0.5μm)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でジアゾ複写材料を作成した。
【0036】
[実施例3]
実施例1の感光層液にカップリング成分として、2−ヒドロキシ3−ナフトエ酸モルフォリノプロピルアミド0.5部を添加した以外は、実施例1と同一のプレコート液、バック液組成を用い、実施例1と同様の方法でジアゾ複写材料を作成した。
【0037】
[実施例4]
上記中性紙1の上に実施例2のプレコート層液をエアーナイフにより塗布し、乾燥後付着量3.0g/m2のプレコート層を形成した。
このプレコート層上に下記組成からなる、ジアゾ感光層液を実施例1と同様の方法で塗布し、乾燥後付着量0.7g/m2の感光層を形成した。
更に、感光層が設けられた中性紙1の面の反対側の面に実施例1と同一の組成からなるバック層液を、実施例1と同様の方法で塗布し、ジアゾ複写材料を作成した。
【0038】
[比較例1]
実施例1のプレコート層液からナフトールAS−Dを除去し、感光層液に2−ヒドロキシ3−ナフトエ酸モルフォリノプロピルアミド1.0部を溶解添加した以外は実施例1と同様にジアゾ複写材料を作成した。
【0039】
[比較例2]
実施例2のプレコート層液中ナフトールASの代わりに2−ヒドロキシ3−ナフトエ酸プロピルアミド1.0部を溶解添加した以外は、実施例2と同様にジアゾ複写材料を作成した。
【0040】
[比較例3]
実施例2のプレコート層液中ナフトールASの代わりに2,3ジヒドロキシナフタレン−6−スルフォン酸ナトリゥム0.6部を溶解添加した以外は実施例4と同様にジアゾ複写材料を作成した。
【0041】
こうして作成したジアゾ感光紙に原図を重ねてジアゾ複写機で露光、現像したところ青色画像が得られた。(実施例1〜3及び比較例1、2はリコー製SD−730、実施例4、及び比較例3はリコー製SM−1500にて露光、現像した。
【0042】
得られた画像濃度の評価は、反射濃度計(マクベス濃度計RD914型)で測定することにより行った。
また、感光紙の保存性を試験するため、各サンプルを温度50℃湿度50%及び温度30℃湿度80%の雰囲気下に暴露して2日間放置し強制劣化させた後、取り出し、上記複写機で全面露光し、地肌部のカブリ後の濃度を反射濃度計で測定した。
それらの結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1より本発明の中性紙及び再生パルプを含有した中性紙を使用し、プレコート層中に特定の疎水性カップリング成分を含有させた実施例のジアゾ感光紙は高濃度で保存性が良好である。これに対し、従来技術に基づく比較例のジアゾ感光紙は濃度が低く、保存性が著しく劣る(カブリが大きい)ジアゾ感光紙しか得られないことがわかる。
【0045】
【発明の効果】
本発明のジアゾ複写材料においては、中性紙からなる支持体上に、プレコート層、ジアゾ化合物を主成分とする感光層がこの順で設けられ、疎水性カップリング成分を該プレコート層に含有させているので、炭酸カルシウム等を含有する中性紙をジアゾ感光紙用の支持体として用いても、その最大の欠点である保存時のプレカッリング(保存性の劣化)が防止され、さらに高発色性で発色画像が鮮明である。
Claims (5)
- アルカリ性の填料を含み、紙面pHが5.5以上の中性紙からなる支持体上に、プレコート層、ジアゾ化合物を主成分とする感光層をこの順で設けると共に、該感光層が設けられている中性紙表面と反対側の中性紙表面にバック層を設けたジアゾ複写材料において、疎水性カップリング成分を該プレコート層に含有させることを特徴とするジアゾ複写材料。
- 該感光層にカップリング成分が添加されていることを特徴とする請求項1に記載のジアゾ複写材料。
- 該疎水性カップリング成分の水への溶解度が0.5wt%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のジアゾ複写材料。
- 該疎水性カップリング成分の粒子径が、0.2〜1.0μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のジアゾ複写材料。
- 該中性紙からなる支持体が、古紙を原料とする古紙パルプを50%以上含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のジアゾ複写材料。
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